アパート経営を辞めたほうがよいタイミング
この章では、アパート経営を辞めた方が良いタイミングをご紹介します。
賃貸経営を辞める時期に迷われている方は、参考にしてみてください。
経営が悪化したとき
アパート経営を辞めるべき代表的なタイミングは、 経営悪化を起こしているときです。
損切りをすることで、今以上に手元のキャッシュを目減りさせたり、売却金額が下がったりするのを防げます。
損失が生じている状態で見切りをつけて保有している資産を売却すること
どのようなシーンで損失が膨らんでしまうのか、以下で詳しく見ていきましょう。
固定資産税や管理費が高騰した
固定資産税の支払いは、毎年1月1日時点で不動産を所有している人に課せられます。
税額を決めるときの基準となる「固定資産税評価額」は、 納税者間の税負担を公平にするために3年に1回「評価替え」が行われます。
不動産のさまざまな要因によって上下動し続ける地価を加味して、市町村が「適正な時価」へ評価しなおすこと
つまり、資産価値が高いと判断されると固定資産税額は増加する可能性があるのです。また、物価の上昇などに伴って管理費が高騰するケースもあります。
入居者が埋まらなくなった
新築物件に住みたいというニーズが多い一方で、築古物件が敬遠されやすい傾向にあります。
そのため、築年数が古くなってくると家賃を下げても入居者が埋まらなくなる現象が起こりがちです。
家賃を下げても入居者が決まりにくく、家賃が入らないから物件を綺麗にする修繕費もかけられない負のループに陥ってしまいます。
突然、アパート相続することになったとき
故人が生前に賃貸経営をしていて、配偶者や子供などの親族が相続をきっかけに受け継ぐことがあります。
ただし、アパートを黒字経営することは、運用ノウハウをもたない一般個人には難しいのです。
固定資産税や定期的な設備補修、管理業者の委託費など定期的なランニングコストが発生する上に、5年10年スパンで大規模補修が必要になるからです。
事業として取り組むという覚悟があるのであればやったほうが良いですが、そうでなければ売却してまとまった金額を得たほうが堅実です。
目標収益を達成したとき
目標収益が達成し、アパートが満室状態となっているタイミングも売却に適しています。
基本的に、アパートを丸ごと買う対象となるのは不動産投資家です。投資家は収益性が高い・あるいは見込める不動産を積極的に買いたいので、満室稼働であれば、アパートの売却金額も大きくなります。
1番高値で売れそうな時期を狙うのも、出口戦略の1つです。
アパート経営を辞めたいときに考えるべき4つのポイント
ここでは、所有するアパートを手放す前に考えるべきポイントについて解説します。
不動産の売却処分が可能かどうか
不動産売却において、まずは売れるかどうかを検討しましょう。
以下の条件に該当するアパートは売却処分が厳しいです。
- 築30年を超えている
- 都市部で駅から10分以上かかる
- 地方部で市街地まで車で20分かかる
もちろん売却する方法はありますが、後述する再生の余地があるかどうかは要検討です。
入居者を残して売るか、立ち退きしてもらってから売るか
もし投資家をターゲットにして売却するのであれば、 一見、入居者を残したまま引き渡したほうが良さそうです。 このように入居者がいるままの状態で大家が変わることを「 オーナーチェンジ 」と言います。
しかし、オーナーチェンジ物件が一概に喜ばれない理由に、 以下のようなものが挙げられます。
- 家賃滞納者が紛れてる可能性がある
- 賃料を上げられない
- 普通借家契約から定期借家契約に変えられない
新オーナーは、旧オーナーと賃借人が交わした賃貸借契約の内容を引き継ぐことになります。そのため、不動産投資のスタンスに違いが生じる場合は、入居者を残すのがデメリットになるケースもあるのです。
再生の余地があるかどうか
所有するアパートに再生の余地があるかどうかは重要な要素です。下記の条件に当てはまるのであれば、引き続き所有を検討しても良いでしょう。
好立地
立地の良し悪しは入居率に直結します。
都市部の駅から徒歩10分以内の好立地で、なおかつ主要ターミナル駅まで電車1本で行けて距離も近いのであれば、入居者がこれからも確保できる可能性があります。
この場合は、建物の修繕などによって再生の余地があると言えるでしょう。
メンテナンスがなされている
定期的なメンテナンスが施されていて、建物の一番下の部分である「基礎」にガタがなければ、内装リフォームで入居者の確保が見込める可能性があります。
基礎は、家本体を支えたり地震から守ったりする建物においてもっとも重要な部分です。「基礎部分にガタがない = 建物の寿命が長い」とも言えます。
具体的には、10年おきにアパートの基礎部分に塗装をして、雨などの水分から守っていたか?が重要です。基礎はコンクリートやモルタルでできているため、防水性を損なった部分にびび割れが生じて脆くなった末にカビが発生しやすくなるからです。
もし基礎のメンテナンスをしていなければ、建物の寿命が短くなっている上に、カビの発生による健康被害をもたらす可能性もあります。
こうした基礎部分へのメンテナンスを定期的に行っていたのであれば、築20年・30年であっても再生の余地があります。
保有期間に応じた税金特例が受けられるかどうか
売却する際に、税金特例が受けられるかどうかも確認しましょう。
不動産を売却すると利益部分に対して「譲渡所得税」という所得税・住民税の支払いが課せられます。譲渡所得税は、不動産の保有期間に応じて税率が変わります。
税率の違いを、下記にまとめました。
譲渡所得の区分 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
---|---|---|---|
短期譲渡所得( 5年以内) | 30.63% | 9% | 39.63% |
長期譲渡所得( 5年以上) | 15.315% | 5% | 20.315% |
売却した際に生じる譲渡所得が500万円であれば、保有期間が5年以内で198万1,500円・5年以上だと101万5,750円です。
このように、保有期間が5年を超えているかどうかで支払う税金がおよそ半分違ってきます。
保有期間5年を迎えてから売却したほうが税負担は軽くなります。
アパート経営をやめる際に最高額で売却処分する方法【シーン別に解説】
最適な売却方法は、アパートの建物の状態や立地、入居率などによって変わります。この章ではシーン別に解説するので状況に見合った方法を選び、最高額での売却を目指しましょう。
そのままの状態でオーナー向けに売却する
アパートを投資物件として不動産投資家に売却する方法です。
物件をそのままの状態で引き渡せるので、売主が売却に向けてリフォームや交渉をする必要がありません。
デメリットとしては、低収益だと売却が難しい点です。そもそも一棟アパートは投資額が大きいため、部屋単位の売却活動よりハードルが上がります。
おすすめのシーン
オーナー向けの売却におすすめなシーンは入居率が80%以上で、なおかつリフォーム等をしなくても継続的に入居者が住み続けられる状態であることです。
入居率は入居者の割合を示す利率で、下記の計算式で求められます。
全体戸数30のアパートで、1年間に3部屋解約の申込みがあり、それぞれ5ヶ月ずつ空室期間があった例を見ていきましょう。
このように、入居率は95%となりました。この計算式で自身のアパートが80%以上だと、投資家への売却の見込みはあるでしょう。
入居者の立ち退きを進めてから、一般の買い手に売り出す
入居者の立ち退きをして、マイホームとして一般の買い手へ売り出す方法です。
この方法だと、投資物件より広い需要にリーチできるので買い手が見つかりやすいメリットがあります。
一方で、マイホームとして購入してもらうには現時点の賃借人に立ち退きしてもらう必要があります。詳しくは後述しますが、立ち退きは煩雑な手続きが必要です。
おすすめのシーン
入居者が少ない状態であれば、立ち退きを進めて一般の買い手に売却活動をするのが適しています。
また、マイホームとして売却するので、駅から徒歩10分以上かかる・市街地まで車で10分以上かかるなど、立地条件に問題がないのも条件です。
そのままの状態で不動産買取業者に売却する
アパートをそのままの状態で不動産買取業者に売却する方法です。
買取業者は、業者自身が買主となって不動産を直接買い取る業者です。第三者への再販を目的にしており、リフォームなどを施す前提であるため、売主は丸投げする形で買い取ってもらえます。
また買い手が業者なので、買取金額などに両者が合意すれば最短数日で売れるメリットがあります。
デメリットは、市場価格より多少金額が安価になる点です。買取業者が修繕などの再生を行うため、少なからずコストが発生するからです。
おすすめのシーン
不動産買取業者への売却が向いているシーンは、入居者が少なく、立地が悪い・家屋の状態が悪いなど、いわゆる人気条件に該当しない物件を保有しているケースです。
こうした市場では売れにくいとされる物件も、買取業者であれば、不動産の特徴を活かした運用ノウハウを充てられるので積極的に買い取れます。
弊社AlbaLink(アルバリンク)も、日本全国の市場で売れにくいとされる物件を取り扱っている買取業者です。
2011年創業より蓄積したノウハウを駆使して、売主様の不動産を最大限高く買い取れるよう全力のサポート体制を心がけています。
弊社AlbaLinikでのアパート買取事例をご紹介
弊社AlbaLinkの過去の買取事例を一部ご紹介します。
【千葉県いすみ市・築年数45年のアパートの買取事例】
アパート経営を始めてみたものの、家賃を下げても入居者が埋まらない状態が続き、常に収支が不安定でした。
入居者が決まらない一方で毎年の固定資産税もかかり、突発的な修繕費なども発生して、アパート経営は収益を生むどころか、資産を食い潰す「負動産」と化していました。
街の不動産屋に手当たり次第相談してみましたが「築年数が古いので売れない」と、ことごとく断られてしまいました。
しかし、赤字を垂れ流すわけにはいかないので不動産会社をリサーチし続け、アルバリンクさんへの相談に至りました。
どこも取り扱ってくれなかった私の築古アパートは、800万円で買い取ってもらえることに決まりました。
不動産市場で好まれる物件・好まれない物件というのは、ある程度条件が決まっています。
しかし、弊社は「価値がない」と見切りをつけられる不動産であっても、最適な活用方法を充てることで、必ずニーズは生まれると思っています。
売却を諦めかけている売主様も、ぜひ弊社に一度ご相談ください。不動産のプロである弊社スタッフが、お悩み解決に向けて全力で対応させていただきます。
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アパート経営をやめる手順
ここでは、アパート経営をやめる手順について解説します。
売却方法を決めて不動産業者に相談する
まずは、アパートの売却方法を決めて不動産会社に相談しましょう。
売却方法には「仲介」と「買取」の2種類があります。
買取業者が不動産を直接買い取る業者であるのに対して、 仲介業者は売主と買主の売買契約のサポートを担う業者です。
両者の違いを下記にまとめました。
仲介 | 買取 | |
買主となる対象 | 個人 | 不動産会社 |
売却の価格 | 買主が見つかり次第 | 1週間〜1ヶ月 |
売却までの期間 | 相場価格程度 | 相場価格の6〜8割程度 |
売却にかかる費用 | 仲介手数料あり | なし |
売主の販売活動 | あり | なし |
大まかに適しているシーンを分けるならば、
- 仲介 = 時間がかかってでも高く売るのを諦めたくない人向け
- 買取 = 多少安くなってでも早く売却したい人向け
と言えます。
売却方法が決まったら、不動産業者に相談しましょう。
入居者の立ち退きを求める際は、事前に通知する
借地借家法26条1項では、入居者に立ち退きを求める際は、6ヶ月前までに立ち退きの通知が必要と明記されています。
ただし、通知しても必ず賃貸借契約を終了できるわけではありません。
立ち退きを実行するには、次に解説する「正当事由」が必要になります。
立ち退きを成立させるには正当事由が必要
立ち退きを成立させるには、正当事由が必要です。
正当事由とは、下記のような状況を指します。
- 物件を使用せざるを得ない状況
- 物件を売却せざるを得ない状況
- 深刻な老朽化
- 立退料による補填
- 貸借人の家賃滞納
そのため、正当事由がなければ、賃借人に対して立ち退きに応じてもらうよう交渉をする必要があります。
立ち退きを拒否された際の対処法については、以下の記事で解説しています。
売買契約
一般的に、売買契約は不動産業者のオフィスで行われます。
売買契約の内容に双方が合意すれば、契約締結を行い、売買契約書の読み合わせや手付金の受領などがあります。
決済・登記
決済当日は司法書士を交えて、書類の引き渡しや所有権移転登記の手続きなどを行います。
手付金を差し引いた買取金額を振込、もしくは現金手渡しにて決済します。
仲介業者に依頼している場合は、このタイミングで仲介手数料を業者へ支払います。
廃業届の提出
アパート経営を辞めたら、
廃業届を廃業した日から1ヶ月以内に税務署へ提出する必要があります。
廃業届とは、個人事業主が事業を辞める際に「事業を辞めた」という事実を、国や自治体へ通知するために提出する書類です。
参照元:国税庁|個人事業の開業・廃業等届出書
提出期限を過ぎたことによるペナルティはありませんが、事業が継続されているとみなされ、税務署から納税を求められる恐れがあります。
公共料金の解約手続き
アパートの公共料金の解約手続きを忘れず行いましょう。
水道・ガス・電気はもちろんのこと、インターネット契約なども解約しておかなければ、基本料金が発生してしまいます。
確定申告
確定申告は、不動産を売ったすべての人ではなく、売却益(譲渡所得)が発生した人のみ必要です。
譲渡所得の計算式は、以下のとおりです。
大まかに「アパートの売却金額 – アパートの購入価格 – 売却にかかった諸経費」で計算をして、プラスになっているようであれば確定申告が必要と判断できます。
確定申告が必要であれば、不動産会社に取得費に含まれるもの・譲渡費用に含まれるものなどの詳細を聞いて、正確に計算してみましょう。
まとめ
今回の記事では、アパートを高額で売却する方法や賃貸経営を辞める手順について解説しました。
アパート経営を辞めたくても「収益化できていない一棟アパートは売れないのでは」と不安を抱く方は多いです。
しかし、一棟アパートでも売却可能です。ただし、適切な売却方法を選ばなければ一生売れ残り、負動産として抱え続けることになります。
確実に売却できて、なおかつ高値で買い取ってもらいたいのであれば、弊社をはじめとした不動産買取業者に売却しましょう。
もし、ご自身での売却活動に不安があるようでしたら、弊社AlbaLink(アルバリンク)にご連絡ください。
売却に向けた修繕や立ち退き交渉など、すべて弊社に丸投げしていただいてかまいません。弊社スタッフが、売主様が安心して不動産を手放せるよう全力でサポートすることをお約束します。