実家を相続したあと、多くの人が「維持費」について心配します。
持ち家の維持には、固定資産税や修繕費といった費用がかかり続けるからです。
実家を維持したい思いはありつつも、維持費の負担が大きくて悩む人も少なくありません。
今回は実家とは別の場所で暮らしている男女488人を対象に、「実家の維持費として許容できる金額」について調査しました。
- 調査対象:実家(一戸建て)とは別の場所で暮らしている人
- 調査期間:2026年5月1日~11日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:488人(女性307人/男性181人)
- 回答者の年代:20代 11.3%/30代 32.9%/40代 32.2%/50代 16.8%/60代以上 6.8%
実家を相続した場合に許容できる維持費は「年間5万円超10万円以下」

実家を相続した場合に許容できる維持費を聞いたところ、ボリュームゾーンは「年間5万円超10万円以下(27.6%)」でした。
月額にすると4千円~8千円程度となります。
「本音を言えば1円も払いたくない」「固定資産税は払うが、メンテナンスにお金はかけたくないのが本音」という回答もありました。
実家の維持費が許容額を超えた場合は「売却する」

「実家の維持費が許容額を超えた場合はどうするか」という問いに対する回答の1位は「売却する(69.1%)」で、全体の7割近くにのぼりました。
2位「ひとまず様子を見る(15.8%)」、3位「賃貸に出す(11.9%)」が続きます。
維持費が許容できないほど大きくなってしまった場合には、多くの人が無理をして持ち続けるよりも、処分を選ぶとわかりました。
また「賃貸に出す」と回答した人もいて、賃貸収入で維持費を得ながら所有を続ける方法も支持されています。
「ひとまず様子見」「家族に相談」なども多く、即座に売却か維持かを判断するのが難しいことも浮き彫りになりました。
1位 売却する
- 許容額を超えるようであれば、売却を前提に動くと思います。維持費が増えるほど負担が大きくなり、放置すればするほど家の状態も悪化するため、先延ばしにするメリットがありません。自分が住む予定もないため、費用がかさむ前に手放すのが最も現実的だと判断します(30代 男性)
- 兄は持ち家があり、私は賃貸だが仕事場と実家の距離が遠いので、更地にして売却する(40代 女性)
- 許容額を超えるようなら、まず売却を検討します。すぐに買い手がつかなければ賃貸や買取相談を進め、長期間赤字で持ち続けることは避けたいです(60代以上 男性)
1位は「売却する」でした。
許容範囲を超える維持費の負担が続く場合には、家計に深刻な影響を及ぼしかねません。
そのため負担を長期間抱え続けることへの不安があり、実家を売却して手放そうと考えるのですね。
また我慢して負担しているうちに建物は古くなり、状態が悪化するという現実もあります。
そのため、早めに手放すことで、維持費の負担を減らそうと考える人が多くなっていると考えられます。
2位 ひとまず様子を見る
- ひとまず放置して様子を見る(20代 女性)
- 数年は放置すると思います。自身が住むかもしれないので(40代 男性)
2位は「ひとまず様子を見る」でした。
維持費が高くなってしまったとしても、思い入れのある実家を手放すことについては、即断できないことも。
また、今すぐには無理だが将来的には自分が住むかもしれないといった可能性もあります。
そのため「ひとまずそのまま様子を見る」という回答も多くなりました。
ひとまずは現状維持で様子を見ることで、家族と話し合ったり気持ちを整理したりする時間を確保できます。
また急いで決断して後悔することも避けやすくなると考えられます。
ただし空き家のまま放置する時間が長くなると、老朽化が進み、固定資産税や管理費もかかり続ける点には注意が必要です。
3位 賃貸に出す
- 安くても貸し出す(40代 女性)
- 家族の思い出がつまった家なので、すぐに売りに出すことはせずに、貸家として検討したい(50代 女性)
- リフォームして賃貸に出す(60代以上 男性)
「賃貸に出す」が3位となりました。
賃貸に出すと、思い入れのある実家を所有し続けながら、維持費に充てるための収入を得られます。
家賃収入を維持費に回せるからですね。
思い入れのある実家を残したい人にとっては、売却以外の活用方法として有力です。
また賃貸に出して誰かに住んでもらうことで、日常的な掃除や換気ができるので、建物の劣化を抑えられる効果も期待できます。
どのような契約内容にするかによりますが、将来的に自分や家族が建物や土地を使える可能性も残せるのもメリットです。
一方で、リフォーム費用や入居者対応など、賃貸化に伴う新たな負担は発生します。
4位 家族に相談する
- できればすぐに売却はしたくないので、姉と相談する(20代 女性)
- 兄弟に相談して援助してもらう(40代 女性)
- ひとまず兄弟姉妹に相談して、今後どうするかを決めていく(50代 男性)
「家族に相談する」が4位です。
兄弟姉妹がいる場合には、実家の扱いについて自分だけで決めるのは難しいと感じることもあります。
「相続したのは自分」「名義人は自分のみ」という場合でも、実家は家族みんなにとって思い入れのある場所だからですね。
独断で進めると、あとから「本当は売らないでほしかった」「知らない人に貸すのは嫌だった」などの不満が出て、トラブルになりかねません。
相談することで、維持費の負担を分担できる可能性もあります。
5位 我慢して維持する
- 他に方法がないので、お金を負担し続ける(40代 男性)
- 自分の子どもたちが将来使う可能性も考えて、維持できなくなるぎりぎりまで維持します(40代 女性)
5位は「我慢して維持する」でした。
維持費が許容範囲を超えても維持し続ける理由としては、「将来使うかもしれない」「売ろうにも売れない」などがありました。
「将来使うかも」は比較的前向きです。
一方で「売ることも貸すこともできず、でも放置はできないからお金を払うしかない」と困っているケースもあります。
維持費を払い続けるにあたり、節税などできるだけ維持費が少なくなる方法を模索したいという声もあがっています。
実家の維持費を払うのがもったいないと感じる状態は「住む予定がない」

「実家の維持費を払うのがもったいないと感じる状態」を聞いたところ、圧倒的1位は「住む予定がない(59.0%)」でした。
2位「活用方法を思いつかない(19.5%)」、3位「傷みが激しい(17.8%)」、4位「空き家になっている(13.7%)」が続きます。
「現状空き家で、かつ今後も住む予定がない」「賃貸などで活用できない」など、実家を活用できる道が見えない場合に、維持費をもったいないと感じる人が多くなっています。
「お金を払っていないのに、実際には使い道がない」「無駄なものにお金を払っている」と感じられるからです。
さらに建物の老朽化など維持費の増加が見込まれる場合にも、コストと価値のバランスが崩れて、もったいない気持ちが大きくなると考えられます。
1位 住む予定がない
- 兄弟はそれぞれに家庭があり持ち家もあるので、維持費を払ってまで残しておく必要があるのかなと思います(30代 女性)
- もう、誰も住まないのが決まっているとき(40代 男性)
1位は「住む予定がない」でした。
現状が空き家でも将来的に住む予定があるなら、維持費は将来に向けた費用として前向きに考えられます。
しかし住む予定がない場合には、実家の維持費に意味を見出しにくくなる人が多くなりました。
誰も住む予定がないと感じられるシチュエーションとしては、「兄弟姉妹それぞれがすでに持ち家を得ている」「実家が遠い」などが挙げられています。
もったいないと感じたら、今後、親族の誰かが住む可能性はあるのかを家族で具体的に話し合うことが大切です。
2位 活用方法を思いつかない
- 活用方法がなく、持っていても価値がなく、どうしようもないとき(20代 女性)
- 放置するしかない状態のとき。実家が田舎なため、賃貸も民泊利用も需要がない(40代 男性)
- 短期での滞在予定もなく、まったく活用手段がないとき(50代 女性)
2位は「活用方法を思いつかない」でした。
住む人のいなくなった実家の活用方法としては、「別荘として使う」「賃貸に出す」「家族が集まる場所にする」「更地化して駐車場にする」などがあります。
しかし上記のような実家の活用方法を実施できない場合には、「維持していても意味がないのでは」と感じやすくなります。
アンケートから、とくに地方では賃貸や民泊などを検討しても需要が少なく、活用のイメージを持ちにくいケースもあるとわかりました。
何にも使っていないのに、維持費だけが発生し続ける状態をもったいなく感じるのは、当然です。
3位 傷みが激しい
- 建物の老朽化が進んでいて、台風や地震で倒壊する危険性が高い状態のときです(30代 男性)
- 住めないくらい老朽化した場合(40代 女性)
- 修繕するにも状態が悪すぎてどうにもならなくなった場合は、維持費はもったいないと感じます(50代 男性)
「傷みが激しい」が3位となりました。
建物の傷みが激しくなると、修繕してまで維持するべきなのかと悩む人が増えます。
古い家ほど修繕範囲が広くなりやすく、維持にかかる費用が膨らみやすくなるからです。
また老朽化が進んだ家は、台風や地震による倒壊リスクが高まり、安全面や近所迷惑への不安にもつながります。
損害賠償など、維持費とは別の費用面でのリスクも抱えてしまうのですね。
4位 空き家になっている
- 誰も住んでいないとき。思い出があるので多少は払ってもよいが、誰も住んでいないとその意味が薄れていきそう(30代 女性)
- 空き家になっていて、定期的に管理するのがひとりでは難しくなった場合(40代 男性)
- 誰も住んでいない状況で固定資産税や修繕費・管理費などを払うのは無駄です(60代以上 男性)
「空き家になっている」が4位です。
現時点で空き家の場合にも、「誰も使っていないのに費用だけかかる」という感覚になります。
実際に「固定資産税」「修繕費」「掃除や庭木の手入れにかかる光熱水費」などは、住んでいなくても必要です。
思い出があるから維持したい気持ちがあっても、まったく活用されていない状況では、気持ちがしぼんでしまう可能性もあるとわかりました。
「空き家状態は近い将来解消できるのか」や「空き家の状態で我慢できるのはいつまでか」などを考える必要があります。
5位 借り手がつかない
- 修繕をしても賃貸物件として活用できない場合(20代 女性)
- 賃貸などによる家賃収入が見込めない(30代 男性)
5位は「借り手がつかない」でした。
維持費が高くなってしまった場合には賃貸に出すことを検討する人も多いですが、物件によっては借り手がつかないことも。
理由としては「立地が悪い」「間取りが現代的ではない」「建物の状態が悪い」などが考えられます。
賃貸に出しても借り手がつかない場合、維持費だけが出ていく状態になるので、もったいなさを感じやすくなります。
維持費とは別に、「借り手がつかないことへのストレス」という精神的なしんどさも、馬鹿にできません。
また家賃収入が低い場合には、借り手がついたとしても維持費に追いつかない可能性があります。
同率5位 費用負担が大きすぎる
- お金に余裕がなく、維持費を払えないと感じたとき(30代 女性)
- 今後もっと支払いが増えそうだと思ったとき(40代 女性)
- 修繕・リフォームに莫大な費用がかかると思われるとき(50代 男性)
同率5位は「費用負担が大きすぎる」でした。
維持費の負担が大きくなりすぎた場合にも、「もったいない」と感じる人がいるとわかりました。
例えば老朽化が進んでいる建物では、まとまった修繕費がかかることもあります。
またアンケートでは「災害被害で修繕に30万円以上かかって、もったいなかった」という声も寄せられました。
維持費が大きすぎると、実家を残したい気持ちとの間で悩む人が多くなると考えられます。
現時点での維持費だけではなく、今後も払い続けられるのかを心配する声もあります。
まとめ
実家の維持費に対しては、月換算で1万円以下など「できるだけ少なく抑えたい」と考えている人が多くなりました。
とくに「自分や家族の誰かが住む」「貸す」などの活用方法が見いだせない実家については、維持費がもったいないと感じやすくなります。
さらに老朽化が進むと、修繕などの負担が大きくなり維持費も高くなりがちであることから、「維持費が許容範囲を超えたら早めに手放したい」という人が多くいます。
実家への思い入れはあれど、現実的な負担は無視できません。
納得して維持費を負担するためには、「今後の活用の可能性」や「維持費の負担が無理のない範囲か」を見極める必要があります。
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