施設に入った親の家を解体する4つの注意点
親が施設に入った後、実家をどうするかで悩む家族は多いものです。
しかし、施設に入った親の家を解体する際にはいくつか注意点があるので、後悔しないためにも事前にポイントを把握しておく必要があります。
施設に入った親の家を解体する際の注意点は、以下の4つです。
解体費用は1坪あたり4〜7万円かかる
親の家を解体する場合、まず大きな負担となるのが解体費用です。
一般的に木造住宅であれば、3.3㎡(1坪)あたり4万円〜7万円程度・約100㎡(30坪)の家屋であれば120万円〜210万円程度かかります。
くわえて、敷地内に家財が残っていたり、建材にアスベストなどの有害物質が含まれている場合は追加費用が発生します。
一例としてアスベスト除去にかかる費用相場は、建物の面積が300㎡以下の場合、1㎡あたり2万円〜8万5,000円程度です。
解体工事は費用が高額になりやすいため、あらかじめ資金計画を立てて準備を進める必要があります。
空き家の解体費用については、以下の記事で詳しく解説しています。

解体した翌年から固定資産税が高くなる
建物を解体すると、翌年から土地の固定資産税が大幅に上がってしまいます。
これは「住宅用地の特例」という制度が、更地になると適用されなくなるためです。
住宅が建っている土地に適用される税金の優遇措置。200㎡以下の敷地には土地の固定資産税が最大6分の1まで軽減されている。
たとえば、土地が200㎡以下で固定資産税評価額2,000万円のケースでは、従来約4万6,000円だった税額が翌年以降に最大28万円まで増額する可能性があります。
固定資産税の増加は土地を手放すまで続くため、解体から売却までの期間が長くなるほど負担が重くなります。
解体を検討する際は、税額の変化も考慮した上で実行の有無・工事するタイミングなどを決めるのが重要です。
土地によっては建て替えできなくなる
解体を行う前に、実家が「建て替えできる土地かどうか」の確認が必要です。
不動産によっては、現在の建築基準法に適合していない「再建築不可物件」と呼ばれる土地が存在するためです。
たとえば、建築基準法で定義された道路に2m以上敷地が面していない場合は、「接道義務」を果たしておらず原則建て替えができません。
実家が再建築不可物件だった場合、解体すると用途が限定的な土地になるため売却しようにも買い手がつかない事態に陥る可能性があります。
そのため、実家が再建築不可物件なのかどうかを事前に役所や専門の不動産会社に相談して確認しておきましょう。
なお、弊社アルバリンクは再建築不可物件の取り扱いが多い専門の不動産買取業者です。
再建築不可の対象となっているかどうかを確認したい方は、無料でお調べできますのでお問い合わせください。
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再建築不可物件の概要については、以下の記事で詳しく解説しています。

親が認知症を患うと解体できなくなる可能性がある
親が認知症になってしまうと、家の解体手続きが難しくなります。
親の家を解体するには所有者本人の意思表示と代理人の選任が必要です。
認知症により判断能力が低下していると判断された場合、不動産の解体や処分などの法律行為は行えなくなります。
親が認知症を患った場合は、事前に家庭裁判所で成年後見人の選任申立てをしなくてはなりません。
判断力が十分ではない方の財産や権利を守るための法的保護制度。後見人の選任には2ヶ月〜4ヶ月程度の期間がかかり、不動産の処分行為を行う場合は家庭裁判所の許可が必要にある
いざ解体するときに煩雑な手続きで時間や労力をかけないためにも、親が元気なうちに将来の方針について話し合っておくのが重要です。
成年後見制度については、以下の記事で詳しく解説しています。

認知症を患う前であれば「民事信託」の活用で解体できる
認知症になる前であれば、「民事信託」という制度を活用することで将来の解体に備えられます。
民事信託とは、親が子どもなどの信頼できる人に財産の管理を委託する制度です。
認知症になる前であれば、当事者間で信託契約が締結できるので親の代わりに財産の処分が可能になります。
民事信託の利用を検討している方は、司法書士・弁護士・税理士などの専門家に相談しましょう。
専門家へ依頼する場合の費用相場は、30万円〜60万円程度が目安です。
施設に入った親の家を解体する3つのメリット
解体には費用や手間がかかりますが、それを上回る経済的・実用的なメリットが期待できます。
施設に入った親の家を解体するメリットは、以下の3つです。
売却代金を施設費用にあてられる
実家の解体後に土地を売却した場合、代金を親の施設費用にあてることで経済的な負担を軽減できます。
介護施設の料金は民間施設の場合、入居時費用が10万円〜100万円程度・毎月の利用料が10万円〜30万円程度が目安となっています。
この金額を継続的に支払い続けるのは家計を圧迫させる要因となりかねません。
しかし、施設に入った親の家を売却すれば、まとまった資金を確保できるので月々の支払いへの不安を解消できます。
また、建物付きの土地よりも更地のほうが需要を見込めるため、より高い価格での売却が期待できるでしょう。
施設に入った親の家は売却がベストな理由については、以下の記事で詳しく解説しています。

建物の管理が必要なくなる
空き家の管理には、想像以上に多くの手間と費用がかかります。
親が施設に入った後も家を残しておくと、定期的な換気・清掃・庭の手入れなどが必要になるので現地に足を運ばなければなりません。
また、放置された空き家は、劣化による倒壊リスクや不法侵入といった問題を招く恐れがあります。
解体してしまえば、上記のような管理の手間やリスクから完全に解放され、精神的・経済的にもラクになるでしょう。
空き家の適切な管理方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

土地活用の選択肢が増える
施設に入った親の家を解体して更地にすると、土地活用の選択肢が広がります。
建物が建っている状態では、その建物の構造や状態に制約されて活用方法が限られますが、更地はさまざまな用途に使えます。
たとえば、土地を月極駐車場やコインパーキングとして運用し、毎月安定した収入を得ているのも一つの活用方法です。
また、更地になれば、周辺住民から「駐車スペースとして利用したい」などの声がかかることも期待できます。
空き地の活用方法と事例については、以下の記事で詳しく解説しています。

施設に入った親の家を解体せずに放置する3つのリスク
親が介護施設に入った後、実家をそのまま放置してしまうケースも少なくありません。
しかし、実家の管理や処分を先延ばしにしていると、後で取り返しのつかない事態に発展する可能性があるので早期の対策が必要です。
施設に入った親の家を解体せずに放置するリスクは、以下の3つです。
維持管理費がかかり続ける
空き家状態で放置すると、維持管理費が継続的にかかります。
空き家を適切に維持・管理していくために、年間でかかる費用の相場は、以下のとおりです。
内容 | 費用相場(年間) |
---|---|
固定資産税 | 約10万円 |
火災保険料 | 約10万円 |
水道・電気料金 | 約2万円 |
交通費 | 数千円〜数万円 |
また、管理を怠ったことで近隣から「虫が出る」「景観が悪い」などの苦情を受けると、都度現地に足を運ばなければなりません。
上記のような費用は家を放置している限り延々と続くため、長期的に見ると大きな負担となってしまいます。
空き家にかかる維持費については、以下の記事で詳しく解説しています。

老朽化により倒壊する危険性がある
人が住んでいる家と比べて、空き家は劣化が急速に進むといわれています。
換気や掃除が行われないことで湿気がこもり、カビや腐食が発生しやすくなるためです。
とくに、築年数が古い建物では、シロアリの被害や雨漏りなどにより構造がもろくなりやすく、地震や台風のキッカケで倒壊する危険性があります。
建物が倒壊した場合、隣接する住宅や通行人に被害を与えてしまう可能性があり、数千万円の損害賠償を請求されるリスクもあります。
重大な事故を未然に防ぐためにも空き家の状態を定期的にチェックし、必要に応じて修繕などの対策を講じるのが重要です。
空き家倒壊のリスクについては、以下の記事で詳しく解説しています。

特定空き家に指定される可能性がある
空き家を放置し続けると、自治体から「特定空き家」に指定されてしまう可能性があります。
特定空き家とは、倒壊の危険性や衛生上の問題があり周辺に悪影響を及ぼすと自治体に指定された空き家です。
特定空き家に指定されると、以下のようなペナルティが段階的に課せられます。
- 住宅用地の特例が除外され、固定資産税が最大6倍に増額する
- 50万円以下の過料を科される
- 空き家の強制解体とその費用を請求される
上記のような事態を避けるためにも、実家の状態が悪化する前に適切な対策を検討することが大切です。
特定空き家については、以下の記事で詳しく解説しています。

施設に入った親の家を解体する以外の4つの選択肢
解体にはまとまった費用がかかる上に、一度取り壊すと元には戻せません。
後悔のない判断をするためにも、解体以外の複数の選択肢を知った上で慎重に判断しましょう。
施設に入った親の家を解体する以外の選択肢は、以下の4つです。
自分たちで住む
もっともシンプルな選択肢の一つが、自分たちが親の家に住むという方法です。
親の家に自身や兄弟が住むことで、住居費を大幅に削減しながら実家を有効活用できます。
実家に住みながら管理もできるので、交通費がかかったり、突発的なクレーム対応に追われたりする心配もなくなります。
ただし、親の家が現在の生活圏から離れている場合は、通勤時間の増加や子どもの転校などについても考慮が必要です。
家族の生活スタイルや将来の計画と照らし合わせて、現実的に住めるかどうかを慎重に検討しましょう。
賃貸として活用する
親の家を賃貸物件として活用すれば、継続的な収入を得られるメリットがあります。
駅近だったり、周辺施設が充実していたりするなど立地条件が良ければ入居者も現れやすいでしょう。
実際に「家選びで優先したこと」に関するアンケート調査でも、居住用物件においては「立地」が重要視されていることがわかります。
ただし、賃貸経営には入居者のクレーム対応や突発的な修繕費用の発生など、精神的・金銭的なリスクも伴います。
また、将来的に実家を売却したい場合、入居者がいることで不利になる可能性もあるので長期的な視点で判断するのが重要です。
リバースモーゲージを利用する
リバースモーゲージとは、高齢者が自宅を担保にして金融機関から融資を受ける制度です。
この制度を利用すれば、生活に必要な資金を確保しながら毎月利息のみの支払いで実家を維持できます。
リバースモーゲージでは不動産評価額の50%〜70%が融資上限となり、資金の受け取り方は以下3種類から選べます。
- 年金形式:毎月決まった金額を継続的に受け取る
- 一括形式:必要な資金を初回にまとめて受け取る
- 都度形式:限度額内で必要な時に必要な分だけ受け取る
ただし、リバースモーゲージは金融機関によって契約条件が異なり、対象となる物件の評価額によっては利用できないケースもあります。
また、相続人となる人物全員の同意があることが前提条件となるため、家族間での意向がまとまっている必要があります。
解体せずに売却する
もっとも実行しやすいのは、施設に入った親の家を解体せず現状のまま売却する方法です。
一般的に老朽化した家は買い手がつきにくいですが、依頼先が不動産買取業者であれば、そのままの状態で売却できます。
不動産買取業者とは、直接物件を買い取る専門業者です。
物件を買い取った後に解体やリフォームを行う前提で買い取るため、売主が売却にあたって手間や費用をかける必要がありません。
また、平均1ヶ月というスピード感で売却できるため、手元に入ったまとまった資金から介護費用の支払いができます。
ただし、買取業者が提示する買取価格は通常の不動産売却時の7割程度になるのが一般的です。
これは、査定額に解体費用やリフォーム費用があらかじめ織り込まれているためです。
実家をそのままの状態で、かつ適正価格で売却したい場合は実績のある専門の買取業者を選ぶのが重要です。
次項では、訳あり不動産に強い専門の買取業者である弊社アルバリンクの買取事例をご紹介します。
不動産買取業者ランキングについては、以下の記事で詳しく解説しています。

アルバリンクなら築古物件でも適正価格で売却できる
弊社アルバリンクは訳あり物件専門の買取業者として、他社では断られるような不動産も数多く買い取ってきました。
たとえば下記のように「20年以上放置されて老朽化が進んだ家」や「不用品で室内があふれてしまっているゴミ屋敷」を買い取った実績もあります。
【20年以上放置された家の買取事例】
【不用品で室内があふれてしまっているゴミ屋敷の買取事例】
引用元:Albalinkの空き家買取事例
20年以上放置された空き家については780万円で買取らせていただき、所有者には「雨漏りもするような家だったが、思ったより高い金額で買い取ってもらえた」と、金額についても満足していただけました。
また、不用品で室内が溢れてしまっている空き家の所有者は、他の不動産業者から「不用品の回収だけで100万円近くかかる」と言われ、途方に暮れていたそうです。
それだけに「(弊社に)そのまま買い取ってもらえてとても助かりました」と言っていただけました。
上記のように、建物の損傷が激しく「人が住めない状態」でも適正価格で買い取れるのは、弊社に各専門家とのネットワークがあるからです。
提携している業者に直接依頼することで余分なコストを削減できる分、買取価格に上乗せする形で売主様に還元ができるのです。
上記の方々だけでなく、弊社に買取依頼をしていただいたお客様からは「肩の荷が下りた」「色々不安だったがスムーズに売却できた」といった感謝の言葉を多数いただいております(下記Google口コミ参照)
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
信頼できる買取業者に安心して実家を売却したい方はぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたからといって、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
>>【親の家を解体せずに高額売却!】無料で買取査定を依頼する
まとめ
親が施設に入った後の実家をどうするかは、多くの方にとって悩ましい問題です。
解体は管理の手間をなくし、土地活用の幅を広げる有効な手段である一方、トータルの費用が高額になりやすいデメリットがあります。
そのため、施設に入った親の家は解体せず、そのままの状態での売却も検討しましょう。
専門の不動産買取業者であれば、現状のままで買い取れるので施設費用への充当や相続トラブルの回避もしやすくなります。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国の築古物件を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
訳あり物件の豊富な買取実績があり、「問題のある不動産を専門に扱う買取業者」として複数のメディアで紹介されています。
施設に入った親の家を解体せずに売却して、現状抱えている不安から解放されましょう。