更地渡しとは建物を撤去して引き渡すこと
更地渡しとは、不動産売却時に建物を解体・撤去して土地だけの状態で買主に引き渡す方法です。
家の引き渡し方法には、現在建っている建物をそのままにする「現況渡し」と、建物を解体して土地のみにする「更地渡し」の2つがあります。
更地渡しの場合、売り出しから売買契約までは建物がある状態で進め、契約後から引渡し前までに解体する流れが一般的です。
更地として引渡すと買主にとって利用しやすく、すぐに新築に取りかかれることから、売却の成約率が高まるとされています。
更地にするメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。

現況渡しとの違い
前述したように、現況渡しは現在の家を解体せずにそのまま買主に引き渡す契約形態です。
更地渡しと現況渡しの主な違いを、以下にまとめました。
項目 | 更地渡し | 現況渡し |
---|---|---|
引き渡し時 | 更地 | 建物が建っている |
解体費用の負担 | 売主負担 | 買主負担 |
契約不適合責任 | 土地のみが対象 | 建物・土地両方が対象 |
解体費用については、売り出し価格を調整するなどして当事者間で負担を分担している場合もあります。
どちらの方法を選ぶかは、建物の築年数や状態、売却スケジュールなどを総合的に考慮して決めることが重要です。
更地渡しをする際の注意点8選
更地渡しを行う際にはいくつか注意点があり、知らずに売却すると思わぬトラブルや損失につながる可能性があります。
更地渡しをする際の注意点は、以下の8つです。
注意点を十分に理解し、スムーズかつ安全な不動産取引を目指しましょう。
契約不適合責任に問われる可能性がある
更地渡しでも、売主は契約不適合責任を負う可能性があります。
契約不適合責任とは、売買契約の内容・引き渡された不動産の状態が異なる場合に、売主が買主に対して負う責任です。
参照元:Wikibooks「民法第562条・563条・541条・542条1項・415条・564条」
中古物件の場合は、「建物 + 土地」に責任が生じ、更地渡しの場合は「土地のみ」が契約不適合責任の対象となります。
更地渡しの場合は、土地の地盤・境界線・地中埋設物などに関して契約内容と異なる状況があれば、損害賠償請求などの責任を問われる場合があります。
たとえば、買主が家を新築する際に地中埋設物などがあった場合は、売却後であっても撤去費用を請求される可能性があるのです。
後のトラブルを避けるためにも、土地の状態を正しく把握した上でその旨を書面・口頭で買主に説明しておく必要があります。
契約不適合責任については、以下の記事で詳しく解説しています。

特約で契約不適合責任を免除にすることもできる
売買契約書に特約を設けることで、契約不適合責任を免除できる場合もあります。
たとえば、「現況有姿にて引き渡し、契約不適合責任を免除する」といった文言が特約にある場合は承知の上で売買があったとみなされます。
ただし、売主が故意に隠した欠陥については、特約があっても責任は免れられません。
解体費用の負担が発生する
更地渡しでは、売主が解体費用を負担する必要があります。
家の解体にかかる費用相場は、1坪あたり4万円〜7万円・30坪あたり120万円〜210万円程度です。
さらに、アスベストを含む建材が使用されている場合や、狭小地で重機が入れない場合などは、費用がさらに高額になる可能性があります。
解体費用は売却価格から差し引いて考える必要があるため、売り出し価格を誤ると費用倒れとなりかねません。
事前に複数の解体業者から見積もりを取得し、正確な費用を把握しておくことが重要です。
空き家の解体費用については、以下の記事で詳しく解説しています。

自治体によっては空き家解体に使える補助金制度がある
多くの自治体では空き家の解体を促進するための補助金制度を設けています。
たとえば、静岡県浜松市では「浜松市空き家解体補助金」として空き家の解体費用を3/1(上限50万円)まで補助してもらえます。
また、倒壊する恐れがある危険な空き家を対象にした「老朽危険家屋除却費等助成制度」を用意している自治体も少なくありません。
物件の所在地を管轄する役所に確認して、利用できる制度があればお得に活用しましょう。
解体前にインフラ撤去を済ませる
建物解体前に電気・ガス・水道などのインフラ設備の撤去を完了させておく必要があります。
インフラ撤去を怠ったまま解体工事を進めると、ガス漏れや漏電などの危険な事故につながりかねません。
たとえば、解体工事中にガス管などを破損し、引火・爆発などの事故が発生する恐れがあります。
解体業者と事前に打ち合わせを行い、インフラ撤去のスケジュールを調整しておくことが安全な工事進行のために不可欠です。
解体工事前に境界標確認をしておく
解体工事を始める前に、隣地との境にある境界標の位置を確認しておくことが重要です。
境界標とは、土地の境界線を示すために設置されたコンクリート杭や金属プレートなどの目印です。
解体工事中に重機が境界標を破損・移動させてしまうと、後々隣地所有者とトラブルになる原因となります。
境界標が万が一、破損・移動したときに備えて解体工事前は以下の工程を踏みましょう。
- 境界標を写真や動画の撮影しておく
- 手持ちの測量図と実際の境界標の位置が一致しているか確認する
- 隣地所有者に立会いを依頼する
上記の対応をしておくことで、万が一破損があった際にもトラブルを予防しやすくなります。
契約書の取り決めが甘いとトラブルになる
解体に関する詳細な取り決めを契約書に明記しないと、後々トラブルに発展する可能性があります。
とくに、更地渡しは「引き渡し時の土地の状態」に対する認識を買主と統一させておく過程が必要です。
たとえば、建物には目に見える部分のほか、地面の下にある基礎部分も含まれます。
更地渡しでは、この地中の基礎や残置物(地中埋設物)をどこまで撤去するかについて基準が定められていないケースが大半です。
曖昧な表現を避け、具体的で明確な条件を契約書に盛り込むことでトラブルのない取引が進めやすくなるでしょう。
近隣から苦情が入る可能性がある
解体工事は騒音や粉じんが発生するため、近隣住民から苦情が入る可能性があります。
たとえば、重機の稼働音・建材を破砕する音・トラックの往来などの騒音が、近隣住民に不快感を与える場合があるのです。
また、コンクリートや木材を破砕する際には粉じんが舞い上がり、近隣住民の洗濯物や車に付着する可能性もあります。
近隣トラブルを避けるためにも、工事開始前に近隣住民への挨拶回りを行い、工事期間や時間帯について丁寧に説明しておくことが重要です。
翌年から固定資産税が高くなる
建物を解体して更地にすると、翌年以降は土地の固定資産税が最大6倍まで増額します。
これは、住宅が建っている土地に適用されている「住宅用地の特例」が、更地にすると使えなくなるためです。
住宅がある土地に対して、固定資産税評価額が1/6または1/3まで減額される税の軽減措置
更地渡しは売買契約後に解体工事を行うのが一般的ですが、売却が決まる前に解体すると翌年から重い税負担がのしかかります。
売却までにかかる期間と固定資産税の増額分を考慮して、実行の有無を決めることが大切です。
再建築不可物件だと売却が難しくなる
土地が「再建築不可物件」に該当する場合、更地渡しであっても売却が難しくなります。
再建築不可物件とは、建築基準法の規定により新たな建物を建てられない土地です。
現在家が建っている場合はその建物を利用することで住居として使用できますが、解体すると建て替えができません。
こうなると、居住用物件ではなく土地活用しかできなくなるので、買い手の範囲が狭くなる上に売却価格も下がりやすくなります。
再建築不可物件の場合は建物をそのまま残して売却するか、専門の買取業者に買取を依頼することをおすすめします。
なお、当サイトを運営している、弊社アルバリンクは再建築不可物件の買取実績の多い専門の買取業者です。
再建築不可物件の売却にお悩みの方は、更地にする前に弊社まで一度ご相談ください。
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再建築不可物件の概要については、以下の記事で詳しく解説しています。

注意点を踏まえた上で更地渡しが向いている3つのケース
これまでに説明した注意点があっても、更地渡しが適している場面も存在します。
注意点を踏まえた上で更地渡しが向いているケースは、以下の3つです。
税金控除を利用したい場合
更地渡しは解体費用という初期コストが発生する一方で、税金控除が適用できるメリットがあります。
更地渡しを選択することで受けられる税金控除には、主に2つの重要なポイントがあります。
税金控除を適切に活用し、売却時の税負担を軽減しましょう。
譲渡所得から解体費用が控除できる
更地渡しのための解体費用は譲渡費用として計上できるので、譲渡所得税の減額が可能です。
譲渡所得税とは、不動産などの資産を売却して得た利益(譲渡所得)に対して課税される税金です。
譲渡所得の計算式は「売却価格 – 取得費 – 譲渡費用」となるため、解体費用が大きければその分だけ譲渡所得が減り、税金が安くなります。
この控除を利用するためには、解体工事が売却目的であることを申告の際に証明しなくてはなりません。
なお、煩わしい申告手続きに不安がある方は税理士と連携のある不動産会社に売却を依頼するのも手段の一つです。
弊社アルバリンクも税理士と連携があるので、税金に関する手続きのサポートを受けながら不動産売却ができます。
税の手続きから売却までワンストップで依頼したい場合は、お気軽にお問い合わせください。
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相続空き家の3,000万円特別控除は解体後でも使える
相続した空き家を更地にして売却する場合でも、「相続空き家の3,000万円特別控除」で節税が可能です。
相続空き家の3,000万円特別控除は、相続した空き家を売却する際に一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる制度です。
相続開始から3年後の12月31日までに売却するなどの要件を満たすと、特例の適用を受けられます。
たとえば、相続から3年後の年末までに1981年以前に建築された住宅を相続し、解体して売却した場合は適用要件の一つを満たしたことになります。
特例の利用を検討している方は、国税庁のチェックシートを活用してみましょう。
相続空き家の3000万円特別控除については、以下の記事で詳しく解説しています。

建物が老朽化している場合
建物が老朽化している場合、更地渡しを選択したほうが売却しやすくなります。
築年数が古すぎて安全性に著しく問題がある家は、買主にとってリスクでしかありません。
たとえば、築50年を超える木造住宅で雨漏りや基礎の劣化が目立つような場合、解体を選んだほうが不動産の価値を引き出しやすくなります。
また、解体によって建物部分に関する契約不適合責任のトラブルを回避できる点もメリットになるでしょう。
すぐに売却したい場合
売却を急いでいる場合も、更地渡しにしたほうが購入希望者が現れやすくなります。
古い家が建っている土地よりも更地のほうが買主にとって用途の自由度が高く、買主に好印象を抱いてもらいやすいからです。
たとえば、新築住宅の建築を検討している個人の場合、土地の状態が確認しやすい上にすぐ着工できるメリットもあります。
売却においてスピードを重視する方にとっては、更地渡しは有効な手段になるでしょう。
ただし、解体費用は決して安くないので、確実に売却できる見込みがあるかどうかの慎重な判断は必要です。
更地渡しの注意点で不安に感じるなら不動産買取業者への売却を検討しよう
更地渡しのリスクが不安だったり、解体費用の負担が心配だったりする場合は無理に更地渡しにこだわる必要はありません。
上記の悩みがある方は、不動産買取業者への売却を検討しましょう。
買取業者とは、個人や法人が所有する不動産を直接買い取る会社のことです。
買取業者は購入した不動産にリフォームや解体を行った後、再販して収益化することを目的としています。
そのため、老朽化した家が建っている土地であっても、現状のままで売却が可能です。
くわえて、買取業者は不動産が抱えている不具合を自社で解消する前提で買い取るため、契約不適合責任が特約で免除となるのが一般的です。
不動産をトラブルなく、現状のままスムーズに売却したい方は買取業者への売却を検討しましょう。
次項では、全国の訳あり物件を積極的に買い取っている弊社アルバリンクの買取事例をご紹介します。
不動産買取業者ランキングについては、以下の記事で詳しく解説しています。

アルバリンクなら築古物件が建つ土地でも適正価格で売却できる
弊社アルバリンクは訳アリ物件専門の買取業者として、他社では断られるような不動産も数多く買い取ってきました。
たとえば下記のように「20年以上放置されて老朽化が進んだ家」を買い取った実績もあります。
【20年以上放置された家の買取事例】
引用元:Albalinkの空き家買取事例
上記は780万円で買取らせていただき、所有者には「雨漏りもするような家だったが、思ったより高い金額で買い取ってもらえた」と、金額についても満足していただけました。
このように、築古物件が建つ土地でも弊社が適正価格で買い取れる理由は、独自の運用・再販システムを構築しているからです。
必要最小限のリフォームなどで資産価値を引き出すことで効率よく再販できる体制を整えているため、問題を抱えた家が建つ土地であっても適正価格での買取に対応しています。
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まとめ
更地渡しは、買主にとって魅力的な条件である一方、売主には多くの注意点が伴います。
具体的には、解体費用の負担・契約不適合責任・近隣トラブルの予防など、売却前から売却後までさまざまなリスクを覚悟しなければなりません。
こうしたリスクを回避する手段として、「物件を現状のままで売却する」という選択肢も検討しましょう。
専門の不動産買取業者であれば、訳あり物件の取り扱いに長けているので問題を抱えた家が建っている状態でも売却できます。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国の訳あり物件を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
他社では断られがちな訳あり物件を専門に扱う買取業者として、フジテレビの「newsイット!」でも特集されています。
訳あり物件の所有・売却にお悩みの方は、現状のまま売却して心の負担を軽くしましょう。