空き家放置が招く5つの近隣トラブル
活用していない空き家はどうしても放置してしまいがちです。
なぜなら活用するあてがないため、現地まで赴き、掃除などの管理を定期的に行うモチベーションが上がらず、面倒くさくなってしまうためです。
しかし、掃除などの管理が面倒だからといって空き家を放置するのはNGです。
なぜなら、空き家を放置することは、様々な近隣トラブルを招くからです。
そこで空き家の放置が招く近隣トラブルを5つ紹介します。
- 伸び放題の庭の草木が近隣トラブルを招く
- 不法投棄されたゴミが近隣住民に大迷惑をかける
- 放火による延焼被害を出す
- 倒壊により近隣住民に損害賠償を請求される
- 犯罪に利用され地域全体の資産価値を下げてしまう
伸び放題の庭の草木が近隣トラブルを招く
空き家を放置すると庭の草木が伸び放題になってしまいます。
そして、草が生い茂ることにより、ダニや蚊が大量発生する可能性があります。
なぜなら蚊は草地で休む習性がありますし、マダニなどは草地に潜んでいることが多いためです。
こうした害虫が大量に発生すれば、当然、近隣住民にとっては大迷惑です。
そのため、空き家所有者であるあなたに苦情が入る可能性は高いです。
そして、そうした苦情にあなたが真摯に対応しなければ、近隣トラブルへと発展してしまうでしょう。
また、空き家を放置すると、庭木の枝も伸びてしまいます。
その結果、伸びた枝が隣家の敷地を侵害してしまう恐れがあります。これもまた、隣家の住民にとっては迷惑なことですから、近隣トラブルの元になります。
もし、空き家を放置したことにより、こうした苦情の連絡を入れられてしまったら、状況が改善するまで、あなたの携帯電話には苦情の電話が入り続けることでしょう。
そうなればあなたは常に苦情の電話に怯えながら生活しなくてはならなくなります。
不法投棄されたゴミが近隣住民に大迷惑をかける
放置された空き家は人の目がないため、ゴミを不法投棄されやすくなります。
そして空き家自体が放置されているため、当然、そこへ投棄されたゴミも放置されることになります。
するとやがてゴミの中身が腐敗し、腐敗臭とともにゴミの中からコバエなどの害虫が大量発生することになります。
そのようなことになれば、近隣住民にとっては堪ったものではありません。
ですから当然、さきほどの庭の草木の時と同様、あなたに苦情の連絡が入ることになります。
もちろんあなたが真摯に迅速に対応しない限り、苦情の電話が鳴り止むことはないでしょう。
もしかしたら、ここまで読んだ方の中には「近隣トラブルといっても苦情の電話がくるだけか。それならたいしたことないかも」と思った方もいるかもしれません。
しかし、近隣住民からの苦情を軽く考えるべきではありません。
なぜなら、近隣住民からの苦情を無視していると、近隣住民が自治体に相談し、自治体から行政処分を受ける恐れがあるからです(「特定空き家に指定され行政処分を受ける」参照)。
ですから決して苦情を無視してはいけません。
放火による延焼被害を出す
放置された空き家は、ゴミの不法投棄同様、放火魔にも狙われやすくなります。
実際、下記のように空き家が放火魔に狙われる事件が発生しています。
(2022年11月7日)午前4時50分ごろ、富山県高岡市高陵町の空き家から出火し、木造二階建て住宅をほぼ全焼した。県警高岡署は同日、非現住建造物等放火などの疑いで、近くに住む自称アルバイト店員の近藤拓馬容疑者(33)を逮捕した。
署によると、近藤容疑者は「空き家に勝手に入り、ガソリンをまいて火を付けた」と容疑を認めている。
空き家はひとたび火をつけられてしまうと、隣家にまで燃え広がってしまう恐れがあります。
なぜなら、空き家は人が住んでいないため、周囲の人が火災に気づくしかなく、その分、火災に気づくのが遅れがちだからです。
特に、先ほどお伝えしたように、空き家は草が生い茂っていることが多いため、もし乾燥した季節に草に火をつけられたら、あっという間に隣家にまで燃え広がってしまうことでしょう。
こうした放火などによって隣家を延焼させてしまっても、基本的には空き家の所有者が損害賠償責任を問われることはありません。
実際、失火法でも以下のように定められています。
失火(過失による火災)による火災で他人や、他人の所有物に被害を与えたとしても、損害賠償はしなくて良いという法律。ただし重大な過失の場合を除くとされている。
しかし、世の中にはたとえ法律が許しても人が許さず、ということはあるわけで、もし火災で隣家を延焼させてしまったら当然、隣家の方の怒りを買うことになります。
しかも、失火法により損害賠償請求も出来ないとなれば、隣家の方の怒りは収まらないでしょう。
そのため、火災の後処理などで現地に行ったあなたに、隣家の方が文句を言うために怒鳴り込んでくる可能性もあります。
そこであなたが感情的になれば、一気に近隣トラブルへと発展してしまうことでしょう。
放火による火災であれば、空き家の所有者であるあなたも「自分だって被害者だ」という気持ちが湧くかもしれません。
しかしそのような理屈は隣家の方には通用しません。
なぜなら、隣家の方にとってあなたは、「空き家を放置した結果、放火魔に火をつけられ、わたしの家まで延焼させた加害者」だからです。
つまりあなたは空き家を放置したばかりに、放火被害に遭った上に、隣家の方からも恨まれるという、踏んだり蹴ったりな状況に追い込まれる恐れがあるということです。
倒壊により近隣住民に損害賠償を請求される
空き家を放置すると急速に建物の老朽化が進みます。
なぜなら掃除や換気などがされないため、室内に湿気がこもり、カビやシロアリが繁殖し、木の柱などが瞬く間に腐食してしまうためです。
そして、老朽化が進むと倒壊の危険性が高まります。もし空き家が倒壊し、隣家を全壊させてしまったり、崩れた建物の下敷きになって隣家の住人が亡くなってしまったら、あなたは隣家の家族から一生恨まれることになるでしょう。
さらに火災の場合と違い、多額の損害賠償を請求される恐れもあります。
下の表を見てもらえばわかる通り、隣家を全壊させると1500万円、もし人が亡くなってしまった場合は1億9千万円以上の損害賠償請求がなされるという試算もあります。
もしこれほど高額な損害賠償請求をされてしまったら、あなたは隣人から消えない恨みを買った上に、破産するしかなくなるかもしれません。
空き家倒壊の損害賠償については、以下の記事で詳しく解説しています。
犯罪に利用され地域全体の資産価値を下げてしまう
空き家は人の目がないため、犯罪者にも利用されがちです。
実際、最近でも以下のように、空き家に空き巣が入る事件が起きています。
「石川県・内灘町の空き家に侵入し、800万円相当の貴金属などを盗んだとしてかほく市に住む51歳の男が逮捕された。
邸宅侵入と窃盗の疑いで逮捕されたのは、かほく市大崎潮見台の無職の男(51歳・以下容疑者)だ。
容疑者はことし2月から3月にかけ、内灘町の空き家に侵入し、現金50万円や、貴金属およそ60点、800万円相当を盗んだ疑いが持たれている。」
自分の住んでいる地域の空き家でこのような事件が起きれば近隣住民は不安になると同時に、事件が起きた空き家の所有者であるあなたに不信感を抱くことでしょう。
また、事件がニュースになれば「犯罪が起きた空き家がある地域」として、地域全体の不動産の資産価値が下がってしまう恐れもあります。そうなれば当然、住民の中には「あなたがしっかり空き家を管理しないせいで私たちまで迷惑をこうむった!」と、あなたに苦情を入れる人も出てくることでしょう。
つまりあなたは放火の時と同様、空き家を放置し、犯罪に利用されることにより、金品などを失った上に、近隣住民の不審と怒りも買う羽目になるというわけです。
空き家が遭いやすい犯罪3選については、以下の記事で詳しく解説しています。
空き家放置が招く近隣トラブル以外の3つのリスク
前章で、空き家を放置することによる近隣トラブルをお伝えしました。
しかし空き家の放置には近隣トラブル以外にも、以下3つのリスクが潜んでいます。
- 害獣に侵入され室内を破壊される
- 固定資産税がかかり続ける
- 特定空き家に指定され行政処分を受ける
特にこの章の最後で述べる「特定空き家」への指定は行政処分につながる大きなリスクですので注意してください。
空き家に潜むリスクと対処法については、以下の記事でも詳しく解説しています。
害獣に侵入され室内を破壊される
ここまでたびたび述べてきたように、空き家は人の目がないため、ハクビシンやアライグマ、ネズミなどの害獣の住処にもされがちです。
これらの害獣は天井裏に住み着くことが多く、そうすると糞尿により天井板が腐り、天上が抜け落ちてしまう恐れがあります。
また、ネズミはところ構わず齧る習性があるため、柱などを齧られれば、倒壊の危険性が高まります。
また、電気が通っている空き家の場合、もし配線コードを齧られたら、ショートして火災が発生する恐れもあります。
固定資産税がかかり続ける
活用していない空き家でも所有し続ける限り、毎年固定資産税がかかります。
毎年1月1日時点に土地や家屋などの固定資産の所有者に課される税金
一般的な戸建ての固定資産税は10万~15万ほどですが、正確な金額を知りたいのであれば、固定資産税の納付書に記載されていますので、確認してみてください。
納付書は毎年6月頃に空き家所有者のあなた宛てに送られてきます。
【固定資産税納税通知書の見本】
いずれにせよ、活用する当てのない空き家に10万円近い税金を納め続けることは非常にもったいないことです。
なお、空き家の固定資産税についてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご確認ください。
特定空き家に指定され行政処分を受ける
空き家を放置し、近隣住民からの苦情にも対応しないでいると、最終的に自治体から「特定空き家」に指定され、行政処分を受ける恐れがあります。
特定空き家とは、自治体から景観上・安全上・衛生上、問題があると判断された空き家のことです。
特定空き家に指定される空き家の詳しい条件については、下図の「Check」を参照してみてください。
当てはまる項目が多い場合は注意が必要です。
特定空き家に指定される第一歩は、所有者に苦情を言っても埒が明かないと判断した近隣住民が、自治体の役所へ相談に行くところから始まります。
実際、昨今の空き家増加を受け、多くの自治体が空き家に関する苦情の受付窓口を設けています。
苦情の受付窓口は、ネットで「市町村名 空き家 苦情」で調べることで簡単に見つけられます。
試しに「横浜市 空き家 苦情」で調べてみると以下のように、トップに近隣空き家で困っている方へ向けた、横浜市の相談窓口がヒットします。
そして、近隣住民からの相談を受けた自治体が空き家を調査し、問題がある場合は改善指導を行い、それでも改善されなかった場合に、特定空き家に指定されることになります。
では、特定空き家に指定されるとどのようなリスクやペナルティがあるのか、詳しく解説していきます。
固定資産税が6倍になる
特定空き家に指定されると、土地の固定資産税が最大6倍に跳ね上がってしまいます。
つまり毎年の固定資産税が10万円の場合、60万円支払わなくてはならなくなるということです。
そもそも、住宅用の建物(空き家含む)が建つ土地の固定資産税については、以下のように「住宅用地の特例」が適用され、1/6に軽減されています。
しかし、特定空き家に指定されると、その特例から除外されてしまうため、固定資産税が最大6倍になってしまうわけです。
特定空き家指定による固定資産税の増額についてより詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
「管理不全空き家」として固定資産税が6倍になる恐れあり
ここまでお読みいただいた方の中には、「要は、たとえ空き家を放置していても、特定空き家に指定さえされなければ大丈夫なんでしょ?」と思った方もいるかもしれません。
しかし、そのように安心することは危険です。
なぜなら、2023年3月に空き家をめぐる法律が一部改正され、現在放置されており、将来、特定空き家に指定されそうな物件を、「管理不全空き家」に指定することが決まったためです。
参照元:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」を 閣議決定
もし管理不全空き家に指定されると、特定空き家同様、住宅用地の特例が解除され、固定資産税が6倍になってしまいます。
つまり、これからは放置されている空き家全てに、固定資産税が6倍になるリスクがあるということです。
なお、「管理不全空き家」に指定される条件や、改正された法律がいつから施行されるかなど、詳しい情報を知りたい方は、下記の記事をご確認ください。
実際に国土交通省に問い合わせた情報を元に作成した記事ですので、他のどのサイトの記事よりも正確な情報が載っております。
罰金50万円と高額な解体費用を請求される
特定空き家に指定されたあとも自治体の改善命令に従わないでいると、罰金50万円を徴収された上、行政代執行により空き家を解体されてしまいます。
行政上の義務を義務者が行わない場合、行政(または行政が委託した者)が代わりに行い、そのためにかかった費用を義務者に請求すること
上の行政代執行の説明にもある通り、行政代執行による解体費用は全額、空き家所有者に請求されます。
実際、過去には広島や三重で行政代執行が行われ、数百万円の解体費用が空き家所有者に請求されています。
しかも、行政代執行による解体費用は、所有者自ら解体業者に依頼して解体してもらうより高くなる傾向にあります。
なぜなら所有者が業者に依頼する場合は、費用が安い解体業者を吟味すると思いますが、行政代執行の場合は、手早く解体することが最優先されるため、解体費用が高くても、大手の解体業者などへ解体が発注されることが多いためです。
実際、行政代執行による解体費用は1000万円以上になることもあります。
もしかしたら「そんな大金、絶対払えない!もし請求されたら破産するしかない!」と思う方もいるかもしれません。
しかし払えないからといって、たとえ破産したとしても、解体費用の支払いからは逃れられません。
なぜなら、行政代執行による解体費用は国による強制徴収が認められているからです。
税金などの滞納者に対し、国や自治体が強制的に滞納者の財産を差し押さえ、滞納している税金などに充てる手続き
そして、強制徴収が認められている請求については、たとえ破産しても支払い義務が残ると、破産法で定められているのです。
ですから、払えないからといって破産しても、支払い義務からは逃れられないわけです。
そのため、ひとたび行政代執行による解体費用を請求されてしまったら最後、上の強制徴収の説明にあるように、財産や給料を差し押さえられながら、その後の人生の長い時間を費やして解体費用を払い続けていく羽目になります。
なお、行政代執行についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご確認ください。
空き家のトラブルを回避する5つの方法
空き家を放置することによる近隣トラブルやリスクについてご理解していただけたかと思います。
そこでこの章では、どうしたらそういったトラブルやリスクを回避できるのかについて、以下5つの方法を解説します。
- 自分で住む
- 空き家管理代行サービスを活用する
- 活用して収益化を図る
- 第三者に無償譲渡する
- 売却する
なお、「既に今現在、近隣トラブルを抱えているので、回避方法ではなく、対処法を教えて欲しい」という方は「現在空き家トラブルを抱えている場合の対処法」をご確認ください。
自分で住む
空き家に自分で住んでしまえば、生活の中で日々、掃除など自然と管理を行うようになるため、近隣トラブルが起きる可能性は低くなります。
しかし空き家に住むとなれば、現在住んでいる場所から空き家へ引っ越す手間や費用がかかります。
そもそも仕事や家庭の事情で引っ越すことができない場合もあるでしょう。
もし仮に引っ越せたとしても、長年人が住んでいなかった空き家は老朽化が進んでいるため、住むためにはリフォームが必要です。
空き家を住めるようにリフォームするには、老朽化具合にもよりますが、最低でも100万円程度は費用です。
また、シロアリの被害などで柱が腐食している場合は、リフォームでどうなるものではなく、倒壊の恐れがあるため、長期間住むことはできません。
以上のことから、空き家に住むという選択肢が適しているのは以下の条件に当てはまる方といえます。
- 空き家に引っ越すことができる方
- 費用と手間をかけても空き家に住みたいという意思がある方
- 所有している空き家の状態が良く軽微なリフォームで住めるようになる方
空き家管理代行サービスを活用する
空き家に関する近隣トラブルの原因は、空き家を放置してしまうことです。
そこで、自分で空き家を管理するのが難しいのであれば、所有者に代わって空き家を管理してくれる、空き家管理代行サービスを利用するのも一つの手です。
しかし、管理代行サービスの利用には毎月1万円程度、委託費がかかります。活用していない空き家の維持に、毎月それだけの費用をかけるのはもったいないともいえます。
また、管理代行サービスは、空き家に不具合があっても報告をしてくれるだけで、修繕まではしてくれません。
そのため、管理代行サービスに依頼しても、全て管理を丸投げできるわけではなく、結局修繕する手間や費用がかかります。
以上のことから、空き家管理代行サービスの利用が適している方は以下の条件に当てはまる方となります。
- 自力で空き家を管理することが難しい方
- 業者に毎月管理費を払うことが苦にならない方
- 業者から修繕が必要な箇所の報告を受けたら速やかに修繕する意思と費用がある方
なお、もし空き家管理代行サービスについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご確認ください。
サービス内容や費用などについて詳しく解説しています。
活用して収益化を図る
前節でも述べましたが、空き家による近隣トラブルの原因は空き家を放置してしまうことにあります。
ですから、トラブルを避けるには、空き家を活用して収益化を図るという方法もあります。
空き家を活用することになれば、いやでも空き家を管理することになるからです。
しかも収益化に成功すれば、トラブルの種であった空き家が一転、お金を生み出す資産に変わります。
具体的な活用方法としては、賃貸や民泊として貸し出したり、駐車場にするといったことが挙げられます。
しかし、実際に空き家を活用して収益化するには様々なリスクやハードルがあるため、以下の条件に合う方でないと難しいのが現実です。
- 賃貸経営や不動産の知識がある方
- 多額のリフォーム費用や解体費用を出せる方
- たとえ赤字になっても構わないという覚悟のある方
この条件からも、空き家を収益化するハードルが高いことがおわかりいただけるかと思います。
ではなぜ空き家の収益化にはこのような条件が必要なのか、その理由も含めて次節以降で解説します。
なお、空き家の活用アイデアについては、以下の記事で詳しく解説しています。
賃貸に出す
空き家を賃貸に出して入居者が入れば、家賃収入を得られます。
しかも、入居後は室内の掃除などは入居者に任せられるため、あなたが掃除などを行う手間を省けます。
ただし、賃貸に出すにはリフォーム費用がかかります。
先ほど、自分で住むためには100万円ほどリフォーム費用がかかるとお伝えしましたが、賃貸として貸し出す場合はリフォーム費用で200万円〜400万円ほどかかります。
なぜなら、自分で住むだけなら、必要な最低限のリフォームで済みますが、賃貸に出すなら、借りたいと思ってもらえるように、隅々までリフォームを施す必要があるためです。
仮にリフォーム費用を出せたとしても、賃貸で収益化を図るためには、空き家の立地が以下の条件を備えている必要があります。
- 徒歩圏内にスーパーや病院など生活するための施設があること
- 周囲に競合となる集合住宅などが少ないこと
賃貸で空き家を貸し出すためには、生活がしやすい立地にあることは勿論、競合となるマンションやアパートが少ないことも重要です。
周りにアパートやマンションがたくさんある中で、あえて一軒家を借りようと思う人は少ないためです。
また、賃貸物件は、たとえ入居者がゼロでも、賃貸に出している以上、設備の修繕や交換費用がかかります。
なぜなら、設備が古かったり、壊れている空き家に入居したいと思う人はいなからです。
たとえば、給湯器が壊れ、業者に取り替えてもらった場合、平均で10万円前後かかります。
ここまでお伝えしたような、リフォーム費用や設備の管理維持費をかけた上で、収益を黒字化するのは容易ではありません。
なぜなら、空き家の場合、集合住宅と違い、入居できるのは1世帯だけであるため、家賃も1世帯からしか受け取れないからです。
しかもその1世帯すら、常に確保できるとは限らないためです。
さらに、空き家を賃貸経営するには、空き家所有者であるあなた自身も、不動産や賃貸経営について勉強する必要があります。
なぜなら不動産や賃貸経営の知識は、入居者と賃貸契約を結ぶ際や、銀行にリフォーム費用の融資を申し込みに行く際など、あらゆる場面で必要になるからです。
このように空き家の賃貸経営には様々な条件やリスク、コストがかかります。
それを乗り越えてでも賃貸経営に挑戦したいという方は止めません。
しかし、そうでない方は、このあとお伝えする「売却する」を選択することをお勧めします。
売却してしまう方がリスクもコストも少なく、空き家トラブルを回避できるからです。
民泊として貸し出す
空き家を民泊として貸し出して収益化を図る方法もあります。
民泊として人気が出れば賃貸より月々の収益は多くなる可能性があります。
なぜなら賃貸であれば月々の収益は一定ですが、民泊であれば宿泊客が増えれば増えるほど月々の収益も上がるためです。
たとえば、1ヶ月8万円で賃貸に出した場合、1ヶ月の収益は8万円ですが、1泊2万円で民泊として貸し出し、仮に5人の宿泊客が1泊ずつしたら、1ヶ月の収益は10万円になります。
ただし、賃貸であれば一度入居者が決まれば景気に関わらず、ある程度の期間は家賃収入が期待できますが、民泊の場合は景気が悪くなると全く宿泊客が入らなくなってしまうリスクもあります。
しかも、空き家を民泊にするには賃貸同様、リフォーム費用がかかります。
さらに、賃貸とは違い、空き家の所有者であるあなた自身が常に空き家を掃除し、アメニティを補充するなど、管理を行わなくてはなりません。
費用や管理の手間だけでなく、民泊で収益化するのであれば、空き家の立地も重要になります。
具体的には以下のような立地である必要があります。
- 観光地など人が集まる場所へのアクセスが良い(観光地の駅前など)こと
- 周囲に競合となるホテルや旅館が少ないこと
民泊を経営するのであれば、常に人が集まる観光地などへのアクセスが良い立地であることが必須です。
また、賃貸同様、周囲に競合となるホテルや旅館があまりないエリアである方が、確実に宿泊客を取ることができます。
「そんな都合の良い場所あるの?」と思うかもしれませんが、たとえば観光地として有名である浅草でいえば、浅草寺の北側「奥浅草」と言われるエリアがそれにあたるでしょう。
距離的には浅草寺に近いですが、そこまで旅館があるわけではありません。
以上のように、民泊経営も、コストがかかる割には景気や立地に左右されるなど、ある種博打的な要素があります。
それでも民泊経営をしてみたいという方は止めません。
しかし、なるべくリスクを避けて空き家トラブルを回避したい方は「売却する」を選ぶことをお勧めします。
空き家を民泊にする費用・方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
解体して駐車場にする
空き家を解体して駐車場として収益化を図る方法もあります。
しかし、空き家を解体して駐車場として整地するには1000万円近く費用がかかります。
しかも、空き家を解体してしまうと先ほど述べた「住宅用地の特例」が解除され、土地の固定資産税が6倍になってしまいます。
「住宅用地の特例」は居住用の建物がある土地に適用されるためです。
さらに、以下のような、駐車場として需要のある立地でないと、多額の費用をかけて駐車場にしても、赤字になってしまいます。
- 駅前や人気の観光地から徒歩圏内であること
- 周囲に競合する駐車場が少ない住宅地であること
駅前や観光地はそこまで車で来る人が多いので需要があります。
周りに駐車場がない住宅地も、月極駐車場としての需要が見込めます。
また、駐車場経営には維持管理の手間もあります。
たとえば、駐車場は放っておくと、整地したアスファルトの隙間から雑草が生えてくるため、定期的な除去が必要です。
また、駐車場内を定期的に見回る必要もあります。
見回りを怠り、違法駐車などを見逃せば、駐車場経営にとって不利益になるからです。
また、駐車場の利用者間でのトラブルのもとにもなります。
さらに、トラブルによって不利益を被った利用者に、ネットの口コミサイトに駐車場の悪口を書き込まれてしまったら、駐車場の利用率にもマイナスの影響が出る恐れがあります。
このように、リスクの多い駐車場経営に敢えて打って出るよりも、売却してしまう方がリスクもなく、簡単に空き家のトラブルを回避できます。
第三者に無償譲渡する
空き家は第三者に無償で譲渡することもできます。
空き家を譲渡してしまえば、空き家の所有者ではなくなるわけですから、当然空き家トラブルに巻き込まれることもなくなります。
以前からその空き家を欲しがっている親戚であれば無償譲渡に応じてくれる可能性があります。
また、空き家がある地域の自治体が、空き家バンクを運営していれば、空き家バンクに登録して譲渡希望者を募る方法もあります。
空き家バンクとは自治体が運営する、空き家の売り手と買い手を結びつけるマッチングシステムのことです。
もし、空き家バンクについて詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご確認ください。
ただ、たとえ無償とはいえ、そう簡単に空き家をもらってくれる人など現れないのが現実です。
また、個人間で譲渡を行った場合、譲渡された側に贈与税が発生するので注意が必要です。
贈与(当事者の一方がもう一方に無償で財産を譲渡する行為)によって財産が移転する際に、その財産に対して課される税金
事前に譲渡税が発生することを説明しておかないと、「無償だから譲り受けたのに、税金がかかるなんて知らなかった!」と、後から恨みを買う恐れがあります。
また、第三者に譲渡するのであれば、無償譲渡ではなく、売却した方が譲渡益が手に入る分、お得ともいえます。
売却する
ここまで様々な空き家のトラブルを回避する方法をお伝えしてきました。
しかし、ここで述べる売却するという方法が、トラブルを回避する最も賢い方法です。
なぜなら売却してしまえば空き家の所有者ではなくなるため、トラブルに巻き込まれないのはもちろん、管理や税金の支払いといった手間からも解放されるからです。
しかも売却益も手にすることができます。
ここまで読んで、「そうはいっても、売却するのにもリフォーム費用などがかかるのでは?」と思った方は、鋭いです。
たしかに、一般的な不動産業者(不動産仲介業者)に頼んで、一般の個人に売却するのであれば、老朽化した空き家はそのままではなかなか売れないため、リフォームが必要でしょう。
なぜなら一般の個人は居住用の物件として、購入後すぐに、快適に住める物件を探しているからです。
しかし、不動産の売却には、上で述べた不動産仲介業者に依頼して一般の個人に売却するのとは別に、不動産買取業者に売却するという方法もあります。
不動産買取業者はその名の通り、不動産を買取り、リフォームなどを施し、再販・運用することで利益を得ています。
そのため、買取業者に依頼すれば、老朽化した空き家でもリフォームなどの費用をかけず、そのままの状態で買い取ってもらえます。
一般的に、近隣トラブルを心配しなくてはいけないような空き家は、老朽化が進んでいることが多いため、仲介業者に依頼するより、買取業者に買い取ってもらった方が、スムーズに費用もかからず売却することができます。
買取価格は、買取業者が行うリフォーム費用などが差し引かれるため、仲介業者に依頼して売却するより安くなります。
しかし、仲介業者に依頼しても売れなければ一銭にもならず、管理と税金の支払いを続けなくてはいけません。
それを考えれば、多少安くなってもスムーズに買い取ってもらった方がお得といえます。
もちろん、リフォームする必要がないほど建物の状態が良く、最寄駅まで徒歩で行けて、周囲に生活に必要な店や公共施設が揃ってるような、状態も立地も完璧な空き家であれば、仲介で売り出しみてもいいでしょう。
なお、仲介と買取の違いをより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。
買取業者に売却するなら空き家専門の業者を選ぶ
前節で空き家は買取業者に売却するのが良いとお伝えしました。
しかし、一言で買取業者といっても、業者によって何を専門に買い取っているかは異なります。
弊社のように空き家が専門の業者もいれば、マンションの買取が専門の業者もいます。
その中で、空き家の買取依頼をする際は、当たり前ですが、空き家買取を専門にしている買取業者に依頼すべきです。
空き家専門の買取業者であれば、空き家が専門ではない業者と比べ、空き家を活用するノウハウに長けているため、高額で買い取ってくれる可能性があるためです。
買取業者が何を専門に買取りをしているかは、その業者のホームページで、「買取実績」や「業務内容」を確認すればわかります。
なお、弊社Albalinkは空き家専門の買取業者として年間600件超の買取実績(※2023年1月~10月の実績)があります。
ですからたとえあなたが所有する空き家が放置され、老朽化してしまっていても、買取る自信があります。「どうせ売れないだろう」などと思わず、まずは試しに弊社の無料買取査定を利用してみてください。
それが空き家による近隣トラブルから脱却するための第一歩となるはずです。
なお、無料買取査定を利用したからといって、その後、無理に買取りの営業をかけるといったことはございませんので、ご安心ください
>>【放置している空き家を高額売却!】無料で買取査定を依頼する
弊社Albalinkの空き家の買取事例
前項では、空き家を売却するなら専門の買取業者に依頼すると、高額売却が実現しやすいとお伝えしました。
そこでこの章では、弊社Albalinkを例にとり、実際の空き家の買取事例を紹介します。
弊社Albalinkは訳アリ物件専門の買取業者として、他社では断られるような空き家も数多く買い取ってきました。
たとえば下記のように「20年以上放置されて老朽化が進んだ空き家」や「不用品で室内があふれてしまっている空き家」を買い取った実績もあります。
【20年以上放置された空き家の買取事例】 【不用品で室内があふれてしまっている空き家の買取事例】
引用元:Albalinkの空き家買取事例
20年以上放置された空き家については780万円で買取らせていただき、所有者には「雨漏りもするような家だったが、思ったより高い金額で買い取ってもらえた」と、金額についても満足していただけました。
また、不用品で室内が溢れてしまっている空き家の所有者は、他の不動産業者から「不用品の回収だけで100万円近くかかる」と言われ、途方に暮れていたそうです。
それだけに「(弊社に)そのまま買い取ってもらえてとても助かりました」と言っていただけました。
上記の方々だけでなく、弊社に買取依頼をしていただいたお客様からは「肩の荷が下りた」「色々不安だったがスムーズに売却できた」といった感謝の言葉を多数いただいております(下記Google口コミ参照)
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
信頼できる買取業者に安心して空き家を売却したい方はぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたからといって、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
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現在空き家トラブルを抱えている場合の対処法
現在、空き家のことで近隣トラブルを抱えている場合は、トラブルから目を背けず、しっかり向き合うことが大切です。
たとえば、近隣住民から苦情を言われているのであれば、無視せずしっかり苦情に耳を傾けましょう。
なぜなら苦情を無視し続けていると、近隣住民に空き家の所有者に訴えても無駄だと思われ、自治体に相談されてしまうかもしれないからです。
もしそうなれば、さきほど述べた「特定空き家」指定まで一直線で進んでしまう恐れがあります。
そうならないためにも、苦情と向き合い、できる範囲で空き家の状態を改善すべきです。
たとえば、「屋根瓦が崩れ落ちてきそうで怖い」という苦情であれば、すぐに屋根瓦を張り替えられないしても、屋根を工事用の養生シートで覆うなど、応急措置だけでも行うようにしましょう。
そうした改善しようとする姿勢と行動を見せれば、近隣住民もすぐに自治体へ相談をするようなことはないはずです。
ただし、応急措置を施したところで、根本的な解決にはなりません。
応急措置はあくまで応急措置であり、時間が経てば元の状態に戻ってしまうからです。上で述べた養生シートにしても、時間が経てば劣化して、破れてくることもあるでしょう。
そうなれば近隣住民にとっては元の危険な状態と変わらなくなってしまいます。
ですから、応急措置でさしあたり苦情に対応したら、なるべく早く、先ほど述べたように買取業者へ売却することをお勧めします。
まとめ
今回は空き家を放置するとどのようなトラブルやリスクが起こるか解説し、そうしたトラブルやリスクを回避する方法や、現在進行形で起きているトラブルについての対処法についてもお伝えしました。
空き家によるトラブルを起こさないためには、空き家を賃貸に出すなど、いくつかの方法がありますが、その中で、最もリスクやコストが掛らない方法は、空き家を売却することです。
しかし、記事でもお伝えしたように、空き家は老朽化が進んでいることが多く、一般の個人に売ろうとしてもなかなか売れません。
特に、近隣トラブルを心配するほど放置してしまった空き家であれば、なおさら個人に売るのは難しいでしょう。
ですから、空き家を売却するのであれば、不動産買取業者に依頼すべきです。
買取業者であれば、老朽化が進んだ空き家でもそのままの状態で買い取ることができるからです。
なぜなら、買取業者は、事業用として再販・運用するために、手を加えることを前提に物件を買い取っているためです。
特に空き家専門の買取業者は、買取後の空き家の活用ノウハウを豊富に持っているため、確実かつ、できる限り高値で買い取ってくれる可能性があります。
弊社Albalinkも空き家専門の買取業者であり、最近も、老朽化が進んだ空き家を買取り、再生させる専門の買取業者としてフジテレビの「newsイット!」でも紹介されました。
また、弊社はスピーディーに可能です。ですからもし弊社にご依頼いただければ、空き家によるトラブルや悩み、金銭的負担から完全に解放されることができます。ぜひ一度、ご相談ください。