実家を空き家のまま放置する8つのリスク
相続した実家を、絶対に放置してはいけません。
実家を空き家のまま放置することには、以下の8つのようなリスクが潜んでいるからです。
- 老朽化が急速に進行して売れなくなる
- 特定空き家に指定される
- 維持費がかかり続ける
- 倒壊によって近隣住民から損害賠償を請求される
- 税制優遇を受けられなくなる
- 犯罪に利用される
- 不法投棄される
- 子や孫の代に負の財産を残すことになる
上記のリスクの中には、あなた自身が数十万円~数億円もの金銭的負担を被るかもしれないリスクもあるので、必ず確認しておいてください。
空き家状態で放置するリスクについては、以下の記事で詳しく解説しています。
老朽化が急速に進行して売れなくなる
実家を放置すると家屋の老朽化が急速に進行するため、あなたが売りたいと思っても売れなくなります。
買い手となる一般の個人は、すぐに住める状態の物件を探しているため、老朽化して人が住める状態でない物件を購入しようとは思わないからです。
例えば、あなたが実家を放置し、一度も換気を行わなければ、家の中の空気が循環せず、湿った空気やカビによって木でできている柱や壁などを腐敗を加速させます。
また、掃除をしなければ、チリやほこりがたまり、それを餌に虫や害獣が住みつき、その糞尿によっても建物の腐敗を進行させてしまいます。
このように、老朽化した物件は人が住める状態ではないので、買い手となる一般の個人からは購入需要がありません。
ですから、実家を売りたいと思っても売れないのです。
もし、将来的に実家を売る可能性があるなら、老朽化を進行させないためにも、実家を放置せず定期的に管理することをおすすめします。
住まない家が痛む理由については、以下の記事で詳しく解説しています。
特定空き家に指定される
実家を放置していると「特定空き家」に指定される可能性があります。
特定空き家とは、2015年に施行された「空家等対策特別措置法」に基づいた制度です。
適切な管理が行われず「防災・衛生・景観」などの観点から住民の生活環境に悪影響が及ぶ可能性があると行政から指定された空き家のことを指します。
この特定空き家に指定されると、主に以下2つのリスクがありますので、それぞれ詳しく解説していきます。
- 固定資産税が6倍になる
- 行政代執行となり家屋が解体される
固定資産税が6倍になる
実家を放置していたことで「特定空き家」に指定されると、固定資産税の支払い金額が6倍に上がってしまいます。
実家が特定空き家に指定されると、それまで適用されていた「住宅用地の特例」の対象外となるからです。
住宅用地の特例とは、人が居住する建物が建っている敷地に対して、以下のように固定資産税や都市計画税が減税される制度です。
- 小規模住宅用地
- 住宅やアパート等の敷地のうち、200㎡以下の部分。敷地が300㎡なら「200㎡」の部分。
- 一般住宅用地
- 住宅やアパート等の敷地で200㎡を超える部分。敷地が300㎡なら「100㎡」の部分。
例えば、相続した実家の土地の固定資産税額が1000万円だった場合、住宅用地の特例の対象となっていれば、固定資産税は以下のように算出されます。
【住宅用地の特例の対象】
土地の固定資産税=1,000万×1/6×1.4%=2万3,333円(年間)
しかし、実家を放置していたことで「特定空き家」に指定され、「すでに居住用の建物とは言えない」と判断されてしまった場合、住宅用地の特例の対象外となり、以下のように固定資産税が高くなります。
【住宅用地の特例の対象外】
土地の固定資産税=1,000万×1.4%=14万円(年間)
両者を比較すると、およそ10万円以上もの差がつきます。(実家の固定資産税額が高いほど、その差は大きくなります)
使わない実家に年間10万円も支払い続けるのはもったいないですから、実家を放置して特定空き家に指定されることだけは避けたいところです。
空き家の固定資産税が最大6倍になる理由については、以下の記事で詳しく解説しています。
「管理不全空き家」に指定されても固定資産税が6倍になる
「特定空き家」に指定されなくても、その前段階である「管理不全空き家」に指定された場合も固定資産税が6倍に上がります。
2023年3月に「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、「特定空き家じゃなくても、管理不全空き家なら住宅用地の特例の対象外にして固定資産税を上げよう」という決まりとなりました。
「管理不全空き家」とは、「特定空き家に指定される可能性のある空き家」のことです。
特定空き家のように、「防災・衛生・景観」などの観点から住民の生活環境に悪影響が及ぶ可能性があると、行政から管理不全空き家として指定されます。
ただし、管理不全空き家となる「正式に基準」は決まっておらず、現段階では「特定空き家の予備軍が管理不全空き家」という状況です。
とはいえ、特定空き家に指定される基準よりも、管理不全空き家に指定される基準の方が緩くなるのは確実です。
ですから、あなたの実家も管理不全空き家に指定されて固定資産税が6倍に上がらないよう、放置せず管理しておくに越したことはありません。
管理不全空き家については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
行政代執行となり家屋が解体される
行政から特定空き家に指定されると、最終的には「行政代執行」となり、家屋を強制的に解体されるリスクがあります。
「行政代執行」とは、行政が空き家所有者に対して、空き家の状態改善に関する指導や命令などを行っても改善が見られなかった場合に、自治体が強制的に家屋の解体を行うことです。
行政代執行は、前述した2015年5月制定の「空き家対策特別措置法(空き家法)」に基づいた制度であり、増え続ける空き家の問題に行政として対処する目的があります。
例えば、あなたの実家の老朽化が激しく、今にも倒壊しそうな状態で放置していた場合、まず行政から特定空き家に指定され、状態改善の助言と指導を受けます。
もし、それを無視すると「勧告」を受けます。
前述した「固定資産税が6倍になる」のはこの時点です。
勧告や助言も無視すると、実家の状態改善をするよう「命令」を受けます。
この命令を無視すると50万円以下の過料(罰金)を支払うことになります。
その命令も無視し続けると、行政から「このまま放置すると行政代執行を行います」という文書が送付されます。
そして、それさえも無視すれば行政代執行が実行され、家屋を強制的に解体されてしまいます。
行政代執行による解体費は「あなた持ち」となります。
しかも、解体費用の相場は「100万円前後」ですが、行政代執行における解体費用は相場の「倍以上」です。
実際に、東京都葛飾区にあった倒壊寸前の空き家は行政代執行となり、解体費用として180万円が請求された事例もあります。
参照元:石狩市HP「行政代執行 事例1」
前述したように、実家を放置していると老朽化が加速しますから、特定空き家に指定される可能性は高くなります。
行政代執行となれば、200万円もの解体費用を実費で支払うことになりますから、実家を放置することは絶対に避けたいです。
行政代執行については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
維持費がかかり続ける
実家を放置していると「維持費」が永遠にかかり続けることになります。
不動産は、手放さない限り「税金」や「公共料金」の支払いが続くからです。
例えば、実家を空き家のまま放置すると、以下のような維持費がかかり続けます。
項目 | 金額(年間) |
---|---|
固定資産税 | 15万円 |
都市計画税 | 3万円 |
火災保険 | 1万円 |
水道光熱費 | 2万円 |
修繕費(外装・内装) | 1~数百万円(修繕個所により変動) |
植栽撤去費用 | 7〜20万円 |
交通費(建物管理で定期的に通う場合) | 1~10万円(遠方ほど金額は上がる) |
このように、放置しているだけの実家に年間で「50万~数百万円」ものお金がかかると考えたら、かなりもったいない話です。
実家の放置を数年続ければ何百万円、数十年続けたら何千万円ものお金を失うことになります。
実家を使う予定がなくても、無駄な維持費を払うことが内容、放置し続けることだけは避けるのが賢明です。
空き家にかかる維持費については、以下の記事で詳しく解説しています。
倒壊によって近隣住民から損害賠償を請求される
前述したように、実家を放置し続けると老朽化が急速に進みます。
老朽化が進むと「倒壊」の危険性が高くなり、最悪の場合は近隣住民から損害賠償を請求される可能性があります。
実家が地震や台風などの影響で倒壊し、屋根や外壁の一部が隣家に当たって傷をつけたり、歩行者に当たってケガをさせれば、その責任は実家を放置したあなたにあるからです。
実際に、空き家が倒壊した場合の被害額をシミュレーションした資料があり、空き家の倒壊によって人を死亡させた場合の損害賠償額は「2億円」と試算されています。
上記の金額はあくまで試算であり、仮に実家の倒壊による事故が起こった場合に必ずしもその金額が請求されるとは限りません。
しかし、上記の金額で損害賠償請求される可能性はゼロではありません。
「実家を放置したら2億円の損害倍書金を背負うことになるかも…」という危機感を持って、実家を放置せず管理する方向で考えた方が無難です。
譲渡所得税に関する税制優遇を受けられなくなる
実家を放置すると、譲渡所得税に関する以下2つの税制優遇を受けられなくなる可能性があります。
- 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
- 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
譲渡所得とは、一般的に、土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得に対する税金。
どちらの税制優遇も、相続発生から一定期間が経過すると利用できなくなるからです。
上記2つの税制優遇について、詳しく解説していきます。
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
実家を放置すると、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を受けられなくなる可能性があります。
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(以下、取得費の特例)とは、譲渡所得税の計算過程から「相続税額の一部」を差し引けるようになり、譲渡所得税を安くできる制度です。
取得費の特例を利用するには、相続発生から「3年10か月以内」に売却することが条件なので、実家を放置しすぎると利用できなくなってしまいます。
例えば、あなたが実家を3年10ヶ月以内に売却して取得費の特例を利用できた場合と、実家を放置したことで取得費の特例を利用できなかった場合で、どのくらい譲渡所得税が変わるか比較してみます。
【設例】
売主が相続した課税遺産総額 | 5,000万円 |
---|---|
実家の譲渡価格 | 4,000万円 |
実家の取得価格 | 3,000万円 |
実家の譲渡費用 | 200万円 |
売主が納めた相続税額 | 450万円 |
所有年数 | 5年以上(税率20.315%が適用) |
【取得費の特例を利用できなかった場合】
=実家の譲渡価格-実家の取得価格-譲渡費用
=4,000万円-3,000万円-200万円
=800万円
譲渡所得税
=譲渡所得×所有年数に応じた税率
=800万円×20.315%
=162万円
【取得費の特例を利用できた場合】
=売主が納めた相続税×実家の譲渡価格÷売主が相続した課税遺産総額
=450万円×4,000万円÷5,000万円
=360万円
=実家の譲渡価格-実家の取得価格-譲渡費用-相続税額の一部
=4,000万円-3,000万円-200万円-360万円
=440万円
譲渡所得税
=譲渡所得×所有年数に応じた税率
=440万円×20.315%
=89万円
上記の通り、取得費の特例を利用できれば、上記の例では「70万円近く」の税金を節約できることになります。
もし、将来的に実家の売却を考えているなら、「3年10ヶ月以内」に売れば取得費の特例によって節税できるので、放置せずに早めに売却することも検討してください。
取得費の特例については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
実家を放置すると、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を利用できなくなる可能性があります。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(以下、空き家特例)とは、相続した居住用財産を売却した際に、譲渡所得税の計算過程において3,000万円を控除できる特例です。
空き家特例を利用するには、相続発生から「3年以内」に売却することが条件なので、実家を3年以上放置すると利用できなくなります。
例えば、あなたが実家を3年以内に売却して空き家特例を利用できた場合と、実家を放置したことで空き家特例を利用できなかった場合で、どのくらい譲渡所得税が変わるか比較してみます。(※前章で解説した「取得費の特例」と同じ条件で比較します)
【空き家特例を利用できなかった場合】
=162万円(※前章の例と同じ計算式のため割愛)
【空き家特例を利用できた場合】
=実家の譲渡価格-実家の取得価格-譲渡費用-3000万円特別控除
=4,000万円-3,000万円-200万円-3000万円
=0円
譲渡所得税
=譲渡所得×所有年数に応じた税率
=0円×20.315%
=0円
上記の通り、実家を3年以内に売却し、空き家特例を利用できれば、本来なら162万円も支払うはずだった譲渡所得税を0円にできます。
将来的に実家を売却するつもりなら、放置せずに3年以内に売ることを検討してください。
空き家特例が利用できて100万円以上のお金を節約できます。
空き家特例については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
犯罪に利用される
実家を放置すると、犯罪に利用される確率が高くなります。
実家を放置し、人目のつかない空き家の状態にしてしまうと、犯罪者に「ここならバレない」と思われてしまうためです。
例えば、千葉県茂原市では、40代の2人の男が木造平屋建ての空き家に侵入し、6畳間に放火して建物を全焼させた事例もあります。
参照元:千葉日報「無職男「消防車見たかった」放火容疑で2人逮捕。茂原など連続不審火」
もし、あなたの実家に金品や希少価値の高い物が残っているなら、上記のような放火だけでなく、盗難に遭う可能性もあります。
ですから、実家を相続したら放置せず、すぐに遺品整理や不用品の整理を行うことをおすすめします。
ゴミを不法投棄される
実家を放置すると、ゴミを不法投棄される可能性があります。
「犯罪に利用される」でもお話ししたように、実家を放置して人目のつかない状態にしてしまうと、「ゴミを捨ててもバレない」と思われてしまうためです。
ゴミを実家に不法投棄されてしまえば、ゴミが腐敗し、悪臭を放ったり害虫が湧くようになります。
そうなれば、近隣住民から苦情が来たり、前述したように行政から「特定空き家」に指定され、固定資産税が6倍に上がったり、行政代執行により家屋を解体される可能性があります。
実家が老朽化していなくても、ゴミを不法投棄されて特定空き家に指定されることもあるので、実家は放置しないに越したことはありません。
子や孫の代に負の財産を残すことになる
実家を放置したまま、あなたが亡くなってしまった場合、子や孫に「実家=負の遺産」を残すことになります。
あなたが実家を放置して何の対処もしなければ、これまで解説した「実家を放置するリスク」をそのまま子や孫に受け渡すことになるからです。
例えば、前述した「管理不全空き家に指定されて固定資産税が6倍に上がる」や「実家が倒壊して歩行者を死亡させたら2億円の損害賠償を請求される」などのリスクを、あなたの子や孫が被る可能性があるということです。
そういったリスクが実現すれば、あなたの子や孫が経済的に困窮する恐れがあります。
子や孫につらい思いをさせたくないとお考えなら、あなたの代で「実家をこの先どう対処するべきか?」について明確に決めておきましょう。
よって、次の章からは、実家の活用方法や処分方法について詳しく解説していきます。
弊社AlbaLinkでは、不動産相続でお困りの方に向けた「不動産相続・相談会」を開催しています。
弁護士や税理士といった法律のプロ、不動産の専門家に「無料で」相談ができます。
オンラインでの開催も行なっていますので、実家や土地など、相続した不動産のことでお困りの場合は、以下のバナーからお気軽にご相談ください。
実家を放置せず活用する方法はあるが実現はほぼ不可能!
前述したように、実家を放置することには様々なリスクが潜んでいます。
かといって、管理し続けるのも維持費がかさむのでおすすめできません。
ですから、他のサイトや専門家の中には「実家は放置せず活用しましょう!」と主張していることが多いですが、正直「実家の活用」はおすすめできません。
「活用する」とは「商売する」ということだからです。
専門知識のない一個人が片手間で実家を活用し、黒字化できるほど甘くはありません。
あなたが会社経営者や個人事業主として事業を行う覚悟がなければ、実家を活用しても必ず失敗します。
具体的に、実家の活用方法は以下の2つありますので、詳細を解説しながら、いかに活用が難しいかということも同時にお伝えしていきます。
- 賃貸物件に再生して家賃収入を得る
- 土地活用を行って賃料収入を得る
賃貸運営は赤字になるリスクがある
あなたの実家を賃貸物件用に再生し、大家さんとなって家賃収入を受け取る活用方法がありますが、実現するのはかなり難しいです。
賃貸運営で黒字化するのは、不動産投資の専門的な知識がないと難しく、逆に赤字になる可能性もあるからです。
例えば、あなたの実家が駅近にあり、商業施設が整っているような利便性の高いエリアにあるなら、賃貸需要が高いので、問題なく入居者がついて安定した家賃を受け取れるでしょう。
実際に、「家を購入した経験のある493人に聞いたアンケート調査」でも、家選びで最優先される要素は「立地」であることがわかっています。
しかし、あなたの実家が駅から遠く、商業施設も整っていない利便性の悪いエリアにあるなら、賃貸需要が低いので、入居者がつかず、十分な家賃収入を受け取れない恐れがあります。
最悪は、実家を賃貸物件に再生した投資資金を回収できず、赤字に終わる可能性さえあります。
このように、「あなたの実家に十分な賃貸需要が見込まれ、家賃収入で投資資金をしっかり回収できるのか?」といったことを調査分析できる専門知識がなければ、実家を賃貸物件として活用するのは難しいでしょう。
不動産投資事業として本格的に事業を行う覚悟がない場合は、安易に手を出し良い活用方法ではありません。
更地なら土地活用もできるが固定資産税が上がる
あなたの実家を更地(土地のみの状態)にして「土地活用」を行い、賃料収入を受け取る方法もありますが、こちらも全くおすすめできません。
土地活用も前述した「賃貸運営」と同じように「不動産投資=事業の一つ」なので、専門的な知識がなければ黒字化するのが難しいというのが1つ目の理由です。
そして、2つ目の理由は「更地にすると固定資産税が6倍に上がるから」です。
例えば、あなたの実家が老朽化していて、倒壊の危険性があるので、家屋を解体して更地にし、「コインパーキング」として土地活用を行うことにしたとします。
前述したように、土地活用はそう簡単に黒字化できるものではありません。コインパーキングとして設備投資したものの利用者が少なく、黒字化できないどころか投資資金さえ回収できないなんてことはザラにあります。
おまけに、家屋を取り壊しているので、前述したように「住宅用地の特例」の対象外となり、固定資産税が6倍に上がっています。
つまり、コインパーキングとしての土地活用に失敗すれば、投資資金を回収できないだけでなく、固定資産税の支払いも増えるという「二重苦」の状態になってしまうのです。
更地にすることで固定資産税が上がることを考えると、土地活用は賃貸運営よりおすすめできない活用方法なので、安易に手を出さない方が賢明です。
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ここまでの話を聞いたあなたは、「実家は放置できない、活用もできない、では一体どうすればいいのか?」と疑問に思っているかもしれません。
ですから、次の章でその疑問に対する答えをお伝えしていきます。
放置も活用もNGな実家は処分するのが得策!
あなたの実家の使い道がなく、加えて実家を管理し続ける負担からも解放されたいと考えなら、実家を活用するのではなく、最適な形で「処分」することを検討してみてください。
実家を処分すれば、お伝えしたきた「実家を放置する8つのリスク」からも解放されますし、処分方法によっては、まとまったお金を受け取ることもできるからです。
実家を処分する方法として考えられるのは、主に以下の4つです。
- 無償譲渡する
- 相続土地国庫帰属法を利用する
- 空き家バンクに登録する
- 売却する
先に結論からお伝えすると、使う予定がない実家は「売却」することをおすすめします。
売却以外の方法で実家を手放す方法はあるにはありますが、条件が厳しかったり、トラブルに発展しやすいなど、実現するハードルが高いからです。
上記の内容も含めて、4つの処分方法について詳しく解説していきます。
無償譲渡する
実家を処分する方法の1つ目は「無償譲渡」する方法です。
無償譲渡とは、文字通り「モノをタダで譲ること」です。
あなたの実家を欲しいという知人や友人を見つけてタダで譲り渡せば、実家を放置するリスクから解放されます。
例えば、「空き家活用できる物件を探している」「築古物件を安く買ってリフォームして住むことを考えている」という知人や友人がいるなら、あなたがお金を必要としていなければ、タダで譲ることであなたは実家を手放すことができます。
しかし、実家をタダで譲ることは「贈与」に該当するので、譲り受けた方は贈与税や固定資産税を支払うことになるので、場合によっては「やっぱりいらない」と拒否される可能性もあります。
財産の受け渡しがあった時点で課税される税金。無償譲渡の場合でも発生する。
また、どんなに老朽化した実家でも1円にもならないことはあり得ないので(詳しくは後述します)、そもそもタダで譲ることが非常にもったいないです。
よって、あなたがお金を必要とせず、実家の譲渡先がすでに見つかっているなら処分方法として成立しますが、そうでない場合は他の処分方法を検討してください。
無償譲渡については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
相続土地国庫帰属法を利用する
実家の処分方法の2つ目は「相続土地国庫帰属法」を利用することです。
相続土地国庫帰属法とは、令和5年4月27日より施行された、相続や遺贈により取得した土地を国が引き取ってくれる制度です。
あなたの実家を丸ごと国が引き取ってくれれば、あなたは前述した実家を放置するリスクから解放されることになります。
しかし、一個人が相続した不動産を国が引き取ってくれることはほぼありません。
というのも、相続土地国庫帰属法を利用できる条件が以下のように厳しいからです。
【引き取ることができない土地の要件の概要】
(1) 申請をすることができないケース(却下事由)(法第2条第3項)
A 建物がある土地
B 担保権や使用収益権が設定されている土地
C 他人の利用が予定されている土地
D 土壌汚染されている土地
E 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
上記のように、相続土地国庫帰属法で引き取ってくれる不動産は「土地」に限られているので、実家を引き取ってもらうには、まずはあなた自身で家屋の解体を行わなければなりません。
おまけに、国に土地を引き取ってもらうには、その土地の管理費用(10年分)を「負担金」としてあなたが国に支払う必要があります。
このように、相続土地国庫帰属法を使って実家を国に引き取ってもらうには、多くの出費と手間が伴うので、実家の処分方法としては紹介しましたが、正直おすすめできる方法とは言えません。
相続土地国庫帰属法については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
空き家バンクに登録する
実家の処分方法の3つ目は「空き家バンクに登録する方法」です。
空き家バンクとは、各自治体が運営する「空き家の売主と買主を巡り合わせるシステム」です。
あなたの実家を空き家バンクに登録することで購入希望者が見つかれば、あなたは実家をその購入希望者に売却できます。
つまり、まとまった売却金を受け取りながら、実家を放置するリスクからも解放されることになります。
しかし、空き家バンクを運営している自治体によっては、不動産仲介業者と提携していないケースがあります。
その場合、空き家の売買は「個人間」で行うことになります。
それが原因で、空き家バンク利用者からは「売買契約時に説明のない欠陥があった」や「近所の人から事故物件であることを伝えられた」といったトラブル事例が相次いでいます。
空き家バンクを利用すれば、まとまったお金を受け取りながら実家を手放せる可能性がありますが、トラブルに発展する可能性もあるので、実家の処分方法としては積極的におすすめはできません。
空き家バンクについては、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
売却する
前述したように、実家の使い道が決まっていないなら「売却」することをおすすめします。
実家を売却すれば、実家を放置するリスクから解放される上に、まとまったお金も手に入るからです。
一般的に、実家を売却する方法としては、「仲介業者に売却を依頼する方法」と「買取業者に直接買い取ってもらう方法」の2種類があります。
- 「仲介業者」に売却を依頼する方法
- 売主から不動産の売却依頼を受けた不動産会社が、チラシやネットを活用して一般の買い手を探し、契約・決済までを取りまとめる取引方法です。
- 「買取業者」に直接買い取ってもらう方法
- 売主の所有物件を、不動産会社が直接買い取ることです。仲介業者のように広報活動や買主探しを行うことはしません。
「仲介」と「買取」の違いについては以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
結論から言いますと、実家を売却するなら「買取業者」に依頼することをおすすめします。
もし、あなたの実家の老朽化が進んでいる場合、一般の個人からの需要がないので、仲介業者に実家の売却を依頼しても売れないからです。
そのあたりも含めて、上記2つの売却方法について詳しく解説していきます。
実家が「立地や建物の状態が良い」なら仲介業者に依頼する
あなたの実家の「立地や建物の状態が良い」なら、仲介業者に売却を依頼してください。
前述したとおり、仲介業者は「一般の個人」の買い手を探してくれますが、一般の個人はすぐに住める物件を探しているので、「立地も建物の状態も良い実家」ならすぐに売れる可能性が高いからです。
例えば、あなたの実家が都心で駅から近く、スーパーやコンビニなどの商業施設や公園や病院などの公共施設が整っているエリアにあり、今すぐ人が住める状態であれば、一般の個人から需要が高いので、仲介業者に売却を依頼すればすぐに売れます。
対して、あなたの実家が田舎で駅から遠く、前述した商業施設や公共施設が充実していないエリアにあり、人が住めないほど老朽化している状態であれば、一般の個人から需要が低いので、仲介業者に売却を依頼しても売れません。
実家を仲介業者で売りたいなら、あなたの実費でリフォームして、最低限人が住める状態にする必要があります。
よって、あなたの実家が後者であるなら、仲介業者に売却を依頼するのではなく、次に紹介する買取業者を検討してください。
実家が「立地や建物の状態が悪い」なら専門の買取業者に依頼する
あなたの実家の立地が悪かったり、人が住める状態ではないほど老朽化しているなら、「専門の買取業者」に売却を依頼することをおすすめします。
専門の買取業者なら、上記のような実家でも「そのままの状態」で「高確率」で買い取ってくれます。
そのまま買い取れる理由は、「安くリフォームして再販するノウハウ」を持っているからです。
たとえば、リフォームをしない箇所を見極める・連携しているリフォーム業者に依頼するなどし、商品化コストを抑えて買取価格に上乗せします。
このように、専門の買取業者ならどんなに老朽化した物件でも「商品化」できるので、どんな物件でも高確率で買い取ってくれます。
よって、あなたの実家が老朽化し、一般個人の買い手に需要がなくて売れない状態でも、専門の買取業者に売却を依頼すれば、確実に現金化でき、かつ実家を放置するリスクからも解放されます。
弊社Albalinkの相続物件の買取事例
前項では、立地や建物の状態が悪い実家は専門の買取業者へ売却するのが最適とお伝えしました。
そこでこの章では、弊社Albalinkを例にとり、相続物件の買取事例を紹介します。
弊社Albalinkは訳アリ物件専門の買取業者として、他社では断られるような不動産も数多く買い取ってきました。
たとえば下記のように「20年以上放置されて老朽化が進んだ家」や「不用品で室内があふれてしまっているゴミ屋敷」を買い取った実績もあります。
【20年以上放置された家の買取事例】 【不用品で室内があふれてしまっているゴミ屋敷の買取事例】
引用元:Albalinkの空き家買取事例
20年以上放置された家については780万円で買取らせていただき、所有者には「雨漏りもするような家だったが、思ったより高い金額で買い取ってもらえた」と、金額についても満足していただけました。
また、不用品で室内が溢れてしまっているゴミ屋敷の所有者は、他の不動産業者から「不用品の回収だけで100万円近くかかる」と言われ、途方に暮れていたそうです。
それだけに「(弊社に)そのまま買い取ってもらえてとても助かりました」と言っていただけました。
上記の方々だけでなく、弊社に買取依頼をしていただいたお客様からは「肩の荷が下りた」「色々不安だったがスムーズに売却できた」といった感謝の言葉を多数いただいております(下記Google口コミ参照)
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
信頼できる買取業者に安心してご実家を売却したい方はぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたからといって、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
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実家を売却する際の3つの注意点
「仲介業者」や「専門の買取業者」に実家の売却を依頼する際には、以下3つの注意点があります。
- 遺品整理を行う
- 境界明示の準備を行う
- 契約不適合責任を免除で実家を売りたい場合は買取業者が最適
「実家」は普通の物件と違って「思い出の詰まった物件」ですから、売ってから嫌な思いをすることだけは極力避けたいはずです。
上記は、そんな嫌な思いをしないための注意点ですから、実家を売却する前には必ず確認しておいてください。
遺品整理を行う
実家を売却する前には必ず「遺品整理」を行ってください。
実家を売却する人の中には「売らなければ良かった」と後悔する人が一定数いますが、「遺品整理」や「思い出の場所の写真を収めること」を行えば、その後悔の気持ちは多少なりとも和らぐからです。
例えば、実家に親の思い出の品やあなたが子供のころの思い出の品があれば、不用品を処分して実家を売却する前に確保しておいてください。また、思い出の場所や家具など、保存しておけないモノなら写真に収めておくと良いです。
これらをしっかりやっておくことで気持ちの整理がつき、実家の売却に迷っているなら踏ん切りがついたり、売却した後でも後悔することが少なくなります。
実家を売却した後に「遺品整理をやっておけば良かった」と後悔しても手遅れなので、実家を売却する前に必ず行ってください。
境界明示の準備を行う
実家を売却する際は、「境界」を明示する準備を行ってください。
境界とは、不動産登記された土地の地番と地番の境目のことで、一般的には自分の土地と他人の土地との境目(隣地境界)、ならびに道路との境目(道路境界)の意味として使います。
参照元:スーモ住宅用語辞典「境界」
不動産を売却する際は、境界を明示して土地の範囲を明確にしておく必要があります。
基本的には、不動産購入時に不動産会社から渡される資料の中にある「地積測量図」があれば、土地の境界を確認できます。
また、土地の測量が実施され、境界が確定されていれば、実際の土地に以下のような境界杭(赤い杭)があるはずです。
この杭が埋もれている場合は、売却前には必ず復元して境界を明確にしておく必要があります。
上記の杭がない場合は、測量が行われていない証拠なので、実家を売却する前に測量を実施しなければなりません。
測量を行う場合は、以下の流れで役所と手続きを進めます。
参照元:三郷町「境界の明示の流れ」
- 申請書提出(申請者が行う。代理人の場合は委任状が必要)
- 資料調査(申請者が行う)
- 現地立会(申請者にて事前に関係者と立会日を調整)
- 境界標の設置、現地写真、関係土地所有者の同意書、明示図面の提出
- 明示済証(境界確定書)の交付
目安として、測量が完了し境界を明示できるようになるまでには「3~4ヶ月」かかります。
測量費も実費となり、相場は約100㎡の土地で「30万円~60万円」くらいです。
このように、実家を売却する前には境界明示の準備が必要ですが、もし実家の測量が行われていなかった場合は、役所との煩雑な手続きが必要なり、慣れていないと大変な作業となります。
もし、あなたの実家の測量が行われていなかった場合は、ご自身で測量の手続きを行うのではなく、実家の売却を相談した不動産会社にサポートしてもらうか代行してもらうことをおすすめします。
なお、弊社AlbaLinkは測量が行われていないような訳あり物件を専門に扱う買取業者です。
測量の手続きもしっかり「代行・サポート」できますので、お困りの際は遠慮なくご相談ください。
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契約不適合責任を免除で実家を売りたい場合は買取業者が最適
契約不適合責任を免除で実家を売りたい場合は、買取業者に売却を依頼するのが最適です。
契約不適合責任とは、不動産売却後、売買契約書に記載のない欠陥が物件に見つかった場合に、売主が買主に対して負う責任です。
買主から欠陥部分の補修費用や減額を請求されれば、売主はそれに応じなければなりません。
買取業者の場合、あなたの実家を修繕して活用する目的で買い取ります。
ですから、買取後に瑕疵を見つけても自ら修繕してしまうので、契約不適合責任をつけて売買を行う必要がなく、契約不適合責任を免除してくれやすいのです。
対して、仲介業者に実家の売却を依頼した場合、買い手となる一般個人となり立場が弱いので、契約不適合責任を免除で売買することはほとんどありません。
よって、実家の売却後に建物の欠陥が見つかった場合、補修費用として損害賠償金を買主から請求される可能性があります。
もしあなたの実家が老朽化しているなら、どこに欠陥が隠れているかわかりません。
ですから、実家を売却する際は、買取業者に相談して契約不適合責任を免除で売却することをおすすめします。
なお、弊社AlbaLinkでは「契約不適合責任」を完全免除で買取しております。
「実家の売却後に賠償責任を負うことは避けたい」とお考えなら、遠慮なくご相談ください。
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契約不適合責任については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
まとめ
今回は、「実家を放置するとどうなるのか?」について詳しく解説してきました。
結論として、相続した実家は絶対に放置してはいけません。
実家を放置すると、行政に「特定空き家」に指定され、固定資産税が6倍に上がったり、行政代執行を受けて家屋を強制的に解体されたりなどのリスクがあるからです。
老朽化した家屋が倒壊し、屋根や外壁が歩行者に当たって死亡させてしまった場合は、2億円近くの損害賠償金を請求される可能性もあります。
「だから、実家は放置せず活用しましょう!」と主張している専門家もいますが、正直おすすめはできません。
「活用」とは「事業を行う」ことなので、知識のない者が安易な気持ちで手を出してしまえば、収益化できるどころか赤字となり、逆に金銭的に損をする可能性が高いからです。
もし、実家の使い道が決まっていないなら、実家は放置も活用もせず、「専門の買取業者に売却」することをおすすめします。
専門の買取業者なら、どんなに老朽化した実家でも「そのままの状態」で「確実」に買い取ってくれるからです。
しかも、「契約不適合責任」を免除で買い取ってくれるので、実家の売却後に欠陥が見つかっても損害賠償を請求される心配もありません。
実家を抱え続けるストレスから解放され、まとまったお金も受け取りたいとお考えなら、一度専門の買取業者に相談することを検討してみてください。
なお、弊社AlbaLinkは老朽化した実家のような特殊な物件に強い専門の買取業者です。
年間600件以上の買取実績(※2023年1月~10月の実績)とノウハウを元に、老朽化した物件をできる限り高く買い取っており、「フジテレビ」を始めとする各メディアにも取り上げられています。
「実家をできる限り高く売却し、実家を抱えるリスクから一刻も早く解放されたい」とお考えの場合は、一度弊社へご相談ください。