建物の耐震基準は「旧耐震基準」と「新耐震基準」の2種類がある
建物の耐震基準は、建築基準法によって定められており、1981年6月より前の基準が「旧耐震基準」で、それ以降の建物は「新耐震基準」で建てられています。
耐震基準とは、一定の強さの地震が起きても、倒壊・損壊しない最低限度の耐震能力を有した建物が建築されるために設けられた基準です。
参照元:Wikipedia「耐震基準」
1978年(昭和53年)に最大震度5を記録した宮城県沖地震で甚大な被害を受けたことをきっかけに、耐震基準が引き上げられ、新耐震基準へと改正されました。
では、具体的に「旧耐震基準」と「新耐震基準」が何がどう違うのか、ご自身の建物がどちらの基準に該当するのかを調べる方法を解説していきます。
「旧耐震基準」と「新耐震基準」の違い
「新耐震基準」に建築基準法が改正されたのは、1981年(昭和56年)6月1日で、それまでの「旧耐震基準」よりも高い耐震性能を求められるようになりました。
また、2000年には木造住宅に関する法改正があり、新耐震基準をより強化するため、事実上地盤調査が義務づけられることになりました。
目安として、2023年6月時点で築42年以上経過している建物は「旧耐震基準」で建てられていることになります。 「旧耐震基準」と「新耐震基準」とでは、耐震基準が下記のように定められています。
- 旧耐震基準:震度5強程度の地震でも建物が損傷・倒壊しない性能を持つ。
- 新耐震基準:震度6強から7程度までの大規模な地震でも建物が損傷・倒壊しない性能を持つ。
この耐震基準以上の建物を造らなければいけないという意味ですので、旧耐震基準の建物でも頑丈な建物は存在するでしょう。
ですが、旧耐震基準に基づく建物よりも、現行の新耐震基準をクリアしている建物のほうが、建物の倒壊リスクは少ないといえます。
建物の耐震基準は「建築確認済証」で確認できる
あなたの建物が「旧耐震」「新耐震」どちらの基準で建てられたのかについては「建築確認済証」で調べられます。
先ほども触れたとおり、建築基準法が改正された1981年(昭和56年)6月1日を境に耐震基準が変わっています。
そのため、1980年以前に建てられた建物なら旧耐震基準、1982年以上に建てられた建物なら新耐震基準となります。 しかし、注意が必要なのは1981年に建てられた建物です。
「建築確認」を受けた日付が6月1日よりも前か後かで、耐震基準が異なります。
建築工事に着手する前、設計段階で建物や地盤が建築基準法や各自治体の条例などに適合しているか確認すること
参照元:市川市|建築確認制度
建築確認の申請は、「自治体」または「民間の指定確認検査機関」に申請書を提出し、確認してもらいます。
そして建築確認が完了した後に交付されるのが確認済証であり、これを「建築確認済証(または建築確認通知書)」といいます。
建築確認済証の例
引用元:ソニー銀行「建築確認済証」
建築確認日は、この建築確認済証(または売買契約書)で確認できます。
- 建築確認日が5月31日以前→旧耐震基準
- 建築確認日が6月1日以降→新耐震基準
手元に建築確認済証がなければ、お住まいの市町村の建築課の窓口で、「確認台帳記載事項証明」の発行を依頼することができます。
または、「建築計画概要書」の閲覧申請をすることでも、建築確認日が確認できます。20~30年くらい前だと書類が保存されていない可能性もありますので、窓口で相談してみましょう。
建物を特定するためには、少しでも多くの情報があると探しやすくなりますので、次のような情報を確認してから相談してみてください。
- 建築当時の地名地番(または現住所でも対応可能)
- 建築年(竣工年やおおよその年でも可)
- 建築当時の建築主名
- 構造種別、階数、延べ面積、建築面積、敷地面積など
旧耐震基準の建物を所有し続ける4つのリスク
「親から実家を相続したものの、誰も居住していない」「旧耐震基準のため売れないまま所有している」など、旧耐震基準の建物を所有している方は、そのまま所有し続けてはいけません。
旧耐震基準の建物を所有し続けることによって、さまざまなリスクを被るからです。
気づけば数億円単位の損失を被るおそれもあります。
旧耐震基準の建物を所有し続けるリスクを4つご紹介します。
税金や維持費がかかり続ける
耐震基準に関わりませんが、不動産を所有し続ける限り、以下のような税金や管理の負担が重くのしかかってきます。
固定資産税・都市計画税 (下図参照) |
約10〜25万円/ 年 |
---|---|
修繕費用 | 約16〜20万円/ 年 |
各種保険費用 | 約4〜8万円/ 年 |
【固定資産税・都市計画税】
参照元:総務省|固定資産税
参照元:総務省|都市計画税
一軒家の維持費には、これらを合わせると「年間30〜50万円」程度かかると言われています。
修繕費に関しては、毎年かかるということではなく、30年間に必要とされる費用を合計し、年数で割って出した金額です。毎年支出されるわけではありません。
修繕費用の金額は築35年までの建物で「600万~800万円」が目安ですが、旧耐震基準の建物ではすでに築40年以上が経過しているため、より修繕費用がかさむことが予測されます。
また、人が住んでいないと建物の劣化が早く、多額の修繕費用が発生するおそれがあります。
建物を放置し続ければ、自治体から罰則を受ける
旧耐震基準の建物を空き家のままにして放置し続けると、自治体から罰則を受けるおそれがあります。
2015年の9月に施行された「空き家対策特別措置法」によるもので、管理されていない空き家へ行政が立ち入り、倒壊など危険のある状態と判断された空き家は「特定空き家」に認定されます。
特定空き家に認定されると、土地にかかる固定資産税の優遇措置が適用されなくなり、最大6倍となります。
参照元:総務省|固定資産税制度について
それだけでなく、さらに自治体からの命令に応じずに違反となった場合、最大50万円以下の過料が科せられます。
なお、空き家対策特別措置法については、以下の記事で詳しく解説しています。
さらに放置しておくと、自治体による「行政代執行」の対象となります。
行政代執行とは、不動産所有者による適切な管理がされていない場合に、自治体が所有者に代わって適切な措置を行うことをいいます。
建物を強制的に解体されるおそれもあり、かかった解体費用はすべて所有者に請求されます。
解体費用の請求に応じない場合には、所有者の財産の差し押さえが行われ、強制的に徴収されます。
行政代執行に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。
【分譲マンション所有者の場合】管理費、修繕積立金を毎月支払わなければならない
一戸建てではなく、旧耐震基準のマンション一室の所有者にも、所有し続けることでリスクがあります。
分譲マンションを所有していると、住宅ローンが終わり、たとえ住んでいない期間でも、マンションの管理費、修繕積立金を毎月支払わなければなりません。
修繕積立金とは、マンションの共用部分を中心に、修繕工事や維持管理を行うため、入居者全員が負担する積立金です。
マンションが古くなってくると、修繕が増えてコストもかかるため、修繕積立金がアップすることがあります。
マンションの立地や戸数等によって金額は異なりますが、「平成30年度マンション総合調査」によると1戸あたりの修繕積立金の平均月額(全国平均)は単棟型マンションでは「1万1,875円」、団地型マンションでは「1万4,094円」でした。
年間にすると単棟型マンションでは14万2,500円、団地型マンションでは16万9,128円かかります。
10年程度所有するだけで、約150万円もかかってしまいます。
修繕積立金は一定ではなく、築年数が上がるにつれて高くなる可能性もあります。
なお、旧耐震のマンションの売却方法については、以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
【マンションオーナーの場合】耐震性能が不足していれば改修費用を負担する必要がある
マンションを一棟所有しているオーナーの方もいると思いますが、場合によっては、オーナーはマンションの耐震性能を調べ、必要に応じて耐震改修工事を行わなければなりません。
2013年に改正された「耐震改修促進法」によって、耐震診断が義務づけられました。東京都をはじめとする自治体でも、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化が進められています。
震災時に避難や救急・消火活動、緊急物資輸送の大動脈となる幹線道路。震災の被害を最小限にし、早期復旧を図るためには緊急輸送道路沿道の建物の耐震化を進め、倒壊によって道路が閉塞しないようにすることが重要と考えられている。
参照元:国土交通省|緊急輸送道路とは
耐震改修促進法では、主に学校や体育館、病院等の建物だけでなく、以下の要件を満たす建築物の所有者は、耐震診断を実施し、結果を報告しなければならないと定められています。
- 各自治体の耐震改修等促進計画で指定する避難路の沿道建築物
- 前面道路幅員の1/2 超の高さの建築物(道路幅員が12m以下の場合は6m超)
※お住まいの自治体の耐震改修等促進計画をご確認ください。
耐震診断の結果、マンションの耐震性に問題があると判断されれば、所有者は「補強設計」の基づき、耐震改修工事を実施するよう努めなければなりません。
壁や柱の補強や鉄骨の挿入、劣化箇所の交換などを行い、適切な補強工事を行うこと。
マンションの戸数によって耐震改修工事に必要な費用は異なりますが、一戸あたりに換算しても数十万円から数百万円もの費用がかかってしまいます。
旧耐震基準の建物が売れない5つの理由
お伝えした通り、旧耐震基準の建物を所有し続けることは、所有者にとってリスクが高いといえます。
ですが、いざ旧耐震基準の建物を売り出しても、なかなか買い手が見つかりにくいのが現状です。
この章では、旧耐震基準の建物が売れにくい理由を解説します。
築年数の経過によって建物が劣化している
前述した通り、旧耐震基準の建物は築40年から50年以上経過している場合がほとんどです。
築年数が古く、老朽化が進んでいることで、旧耐震基準の建物は売却がかなり困難になります。
不動産の購入を検討している人のほどんどは、築年数の古い建物より、できるだけ新しい建物を購入したいと考えます。
古い建物を探している人でも、1981年以前に建てられた旧耐震基準なのか、新耐震基準なのかは大きな境目となります。
築50年でどこに不具合があるかわからない心配な建物よりも、少しでも新しく安心して住める建物を買いたいと思うのが実情です。
また、建物の築年数が古いと、
- 設備が旧式で不便
- すぐに買い替えが必要になる可能性がある
- 外観が汚い
- 古臭い
など、耐震以外の劣化も目につき、買い手から敬遠されます。
ですから、築古物件を売却したい場合は、あなたが耐震補強やリフォームを施してから売りに出す必要があります。
ただ、耐震補強やリフォームには費用がかかります。築年数が古い物件の場合はフルリフォームが必要なケースが多く、その費用はおよそ「500〜2,000万円」で決して安くはありません。
なお、弊社アルバリンクは売れにくい築古物件を専門に扱い買取業者です
築古物件でもリフォーム不要でそのまま買い取っておりますので、費用をかけずに物件を手放したいとお考えなら弊社までご相談ください。
住宅ローンの審査に通りにくい
不動産を購入しようとするほとんどの人が、現金一括払いではなく住宅ローンを組んで購入しています。
ところが、旧耐震基準の建物だと住宅ローンの審査に通りにくくなってしまいます。
新耐震基準の建物と比べ、旧耐震基準の建物は倒壊のリスクが高く、担保としての価値が低く評価されるためです。
債務者が債務を果たさない場合の、債権者の損害を補うために設けられたもの。多くは債務者が債権者に物品などを保証として差し出す。
目安としては、担保とする不動産価値の「60~80%」で融資が行われるケースが多いようです。
金融機関が担保とする旧耐震基準の建物を評価した金額が、買い手の希望する借入希望金額よりも低くなれば、買い手は希望額の住宅ローンを受けられないことになります。
不動産を現金一括で購入できる人はほとんどいないので、希望する金額の住宅ローンを借りられなければ、買い手が購入を断念し、結果的に売却に至らなくなってしまいます。
住宅ローン控除を受けられない
一般的に、不動産を購入する際は一定の条件を満たせば「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」を受けられます。
住宅を購入する際にローンを組んだ場合、年末のローン残高の0.7%をその年の所得税から最大13年間控除する制度。(所得税から控除しきれない金額があるときには、住民税の一部からも控除される)
参照元:国土交通省|住宅ローン減税
しかし、旧耐震基準の建物は、住宅ローン控除の「対象外」になってしまいます。
これまでは住宅ローン控除を受けるためには、中古住宅の建物の築年数が木造の場合は「築20年以内」、鉄筋コンクリート造のマンションの場合は「築25年以内」という条件を満たしている必要がありました。
2022年度に国税庁による住宅ローン控除の見直しが行われ、これまでの築年数要件は事実上廃止され、「昭和57年(1982年)1月1日以降に建築された住宅」、つまりは新耐震基準の建物であれば控除の適用となるという要件に緩和されました。
参照元:国税庁「中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
物件の登記簿謄本に記載されている新築の日付が「昭和57年(1982年)1月1日」以降の日付になっている必要があります。
では、昭和56年(1981年)12月31日以前の物件は住宅ローン控除を利用できないのでしょうか?
昭和56年以前に建てられた旧耐震基準の場合、「耐震基準適合証明書」を取得することで住宅ローン控除等の減税のメリットを得られます。(耐震基準適合証明書の取り方については後述します)
耐震基準適合証明書は、一定の耐震基準に適合していることの証明書になりますが、昭和56年以前の住宅のほとんどがその基準には適合していません。
このため、耐震補強工事を行っていない建物だと、耐震基準適合証明書を取得することは簡単ではありません。
このように、旧耐震基準の建物は、住宅ローン控除が適用されにくいことも物件が売れにくい大きな理由となっています。
旧耐震物件は不動産購入の資金援助に対する贈与税の非課税対象にならない
旧耐震基準の建物を購入する際に受けた資金援助は、贈与税減税の対象外となってしまいます。
不動産を購入する際、両親や祖父母などから資金援助を受けている方も多いと思います。
そのような不動産の購入を目的とする資金の贈与に対しては、贈与税が一定金額まで非課税となります。
贈与が成立した際に課される税金のこと。不動産購入資金の贈与を受けたとき、土地や建物などの不動産、自動車などの資産を無償で譲り受けた場合などに課税されるもの。
参照元:財務省|贈与税について
たとえば、贈与税は1年間に受けた贈与額が110万円を超えた部分が課税対象となり、それに贈与税の税率を掛けたものが贈与税額となります。
参照元:国税庁「贈与税がかかる場合」
税率は「特例税率」と「一般税率」がありますが、どちらも贈与財産額が高くなるにつれて税率が上がり、課税価格が200万円以下の場合の10%から、3,000万円超の場合の55%まで、税率が8段階になっています。
これに対し、両親や祖父母などの直系尊属から住宅の購入や増改築のための資金贈与を受けても、一定額まで贈与税がかからない制度のことを「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置」といいます。
参照元:国税庁|No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
もともとの適用期限は2021年12月31日まででしたが、2022年度の税制改正で2年間延長され、2023年12月31日までになりました。
「新築・購入・増改築」の契約をした場合、贈与税の非課税の上限額は次のようになっています。
耐震、省エネ、バリアフリーの住宅 | 1000万円 |
---|---|
上記以外の住宅 | 500万円 |
しかし、減税対象の適用条件のひとつに「新耐震基準を満たしていること」という条件があり、旧耐震基準の建物の購入に対する資金援助については、贈与税減税の対象外とされているのです。
そのため、両親等から資金援助を受けて住宅を購入したい買主は、旧耐震基準の建物を避けることになります。
地震保険料が割高になる
火災保険では地震などによる損害は補償されないため、不動産を購入したら地震保険に加入する方がほとんどでしょう。
しかし、旧耐震基準の建物だと地震保険料が割高になります。
地震保険の仕組みとして、地震が起きても倒壊しにくい条件の建物の保険料は安くなり、倒壊しやすい条件の建物の保険料は高くなります。
この建物の強度を数値で表すのが「耐震等級」です。
数百年に一度程度発生する地震(震度は6強から7程度)で持ちこたえられるかを評価する指標。「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で定められている。
参照元:e-Gov法令検索|住宅の品質確保の促進等に関する法律(評価方法基準)
具体的には、耐震等級によって以下のように割引額が設けられています。
等級 | 内容 | 割引 |
---|---|---|
1級 | 震度6強~7程度の地震でも耐えられるレベル | 10% |
2級 | 1級の1.25倍の耐震強度 | 30% |
3級 | 1級の1.5倍の耐震強度 | 50% |
表の通り、震度5強程度の耐震性能しか持たない旧耐震基準の建物だと割引されず、新耐震基準の建物よりも地震保険料は割高になります。
旧耐震基準の建物であっても、耐震診断または耐震改修を行い、新耐震基準の建物と同等の耐震性が確保されていることが証明できれば保険料の割引が可能です。
このことも、買主から購入を避けられる一因となっています。
【条件別】旧耐震基準の建物を売却する2つの方法
旧耐震物件でも問題なく売却できます。
確かに、これまでお伝えしてきたような理由から、旧耐震基準の建物は売却が難しい状況にあります。
ただ、旧耐震基準の建物であっても、立地や建物の状態などの条件に合わせて戦術を選ぶことで売却は可能です。
旧耐震物件の売却方法は以下の2点です。
- 仲介業者に売却を依頼する
- 専門の買取業者に売却を依頼する
先に申し上げると、不動産買取業者に依頼して直接買い取ってもらうのが一番確実です。
まずは不動産の売却方法2つを説明してから、理由も含めて解説していきます。
不動産の売却方法は2種類
不動産を売却する方法には「仲介」と「買取」の2種類があります。
売却方法のシステムがそれぞれ異なるので、解説していきます。
仲介と買取の違いについては、以下の記事でも解説していますので参考にしてみてください。
不動産仲介業者による売却
不動産仲介業者は、売主から売却の依頼を受けると、売主に代わって一般消費者の中から買主を探します。
不動産仲介会社は、売主と買主との間で売買契約が成立し、仲介した対価として、売主、買主から「仲介手数料」という報酬を受け取ることで収益を得ています。
不動産仲介業者に依頼して買主が見つかれば、一般的には、売主の希望により近い金額で不動産を売却できます。
仲介業者が広告や自社のネットワークを利用したり、不動産ポータルサイトなどに掲載したりすることで、広く買い手を募るため、売主の希望価格で購入してくれる買主とマッチングできる可能性が高まるからです。
買主が見つかれば、仲介業者が売主と買主との間に入って、契約から引き渡しまでの取引を任せることができます。
ただし、旧耐震基準の建物のように、買い手から需要のない不動産だと、仲介業者に売却を依頼しても売れないおそれがあります。
実際に、弊社アルバリンクが独自に行った「不動産を購入する際、築年数は何年までがベストか?」に関するアンケート調査では、旧耐震基準の物件が含まれる「築30年以上」と答えた人が10%しかいませんでした。
不動産を購入する際、築年数は何年までがベストですか?
つまり、9割の買い手は、旧耐震基準の物件のような築年数の古い家を望んでいないということになります。
不動産仲介業者はあくまで買主と売主とをマッチングさせることが仕事になるため、次の見出しで説明する「不動産買取業者」のように、仲介業者自身が買主となって直接不動産を購入することはしません。
どれだけ仲介業者が精力的に物件情報を宣伝したとしても、購入を希望する買い手が現れなければ買主を見つけることはできません。
頑張っても長い期間売却できないと、仲介業者は積極的に宣伝してくれなくなり、ますます売れ残ってしまいます。
不動産買取業者による売却
不動産買取業者は、売主と買主を仲介するのではなく、不動産会社が買主となってそのまま直接買い取ります。
このため、売主は不動産会社と直接価格などを交渉し、条件が合えばすぐに契約を進めることができます。
広告や内見などの販売活動を行う必要が一切なく、依頼から売却が完了するまでの期間が短いことが大きなメリットのひとつです。
また、買取の場合はあなたの物件を買取業者が直接買い取ってくれるので、一般の買主に売却するときのように、住宅ローンの審査が通らないなどの事情で契約が覆される心配もありません。
ただし、不動産買取業者に依頼すると、買取価格が相場よりも安くなってしまうことも多いのが現状です。
買取業者は、買い取った不動産に対して、リフォームなどにより商品化し、自社で運用したり、再販したりといった事業で収益を得ているためです。
どうしてもリフォームなどにかかるコストの分、買取価格が安くなってしまいます。
ただし、一般個人に売却する場合と違って、あなたが自費で耐震工事やリフォームを行う必要ありません。
さらに、仲介の場合は一般の買主を購入後に欠陥が見つかるリスクから守るために、契約不適合責任を付けて売買契約する必要がありますが、専門の買取業者を相手に売却する場合は不要です。
参照元:e-Gov法令検索|宅地建物取引業法第40条(担保責任についての特約の制限)
売却したあとに建物の不具合があっても買取業者が修繕をするので、売主は責任を負う必要がないからです。
このように、不動産買取業者であれば、旧耐震基準など条件が悪くて需要の見込めない不動産であっても、事業によって収益が見込めれば、すぐに買い取れるというメリットがあります。
なお、契約不適合責任については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
よほど需要の高い旧耐震建物なら仲介業者に依頼する
旧耐震基準の建物であっても、立地がよく、なおかつリフォームを施してから数年しか経過していない場合は、「不動産仲介業者」に売却を依頼するのもひとつです。
前述した通り、需要の高い不動産であれば、仲介業者に依頼することで売主の希望により近い価格で売却できる可能性があるからです。
具体的には以下のような条件です。
- 最寄り駅まで徒歩5分圏内(都会の場合)
- 市街地まで車で5分以内(地方の場合)
- リフォームしてから5年未満
- 耐震補強をして新耐震基準となった
これらの条件を満たす旧耐震基準の建物であれば、マイホームとして購入を検討している買い手にも売却できる可能性があります。
需要の見込めない旧耐震建物なら買取業者に依頼する
立地がよくない、あるいは建物の状態が良くない旧耐震基準の建物であれば、「不動産買取業者」に売却を依頼しましょう。
前述した通り、需要のない不動産は仲介業者に依頼しても買い手はつかず、売却に至らないからです。
具体的には以下のような条件です。
- 最寄り駅まで徒歩15分以上かかる(都会の場合)
- 市街地まで車で15分以上かかる(地方の場合)
- 耐震補強やリフォームがされていない
- リフォームされてから10年以上経過している
- 老朽化によって外壁が汚れている・剥がれ落ちている
これらの条件にあてはまる旧耐震基準の建物も、不動産買取業者なら収益を見込めるような活用方法を見出すことができます。
ただし、買取業者によって物件の種類に得意不得意があるため、すべて買い取れるわけではありません。
できるだけ高い価格で買い取ってくれる買取業者を見極める方法について次章で解説します。
なお、弊社アルバリンクは旧耐震基準の物件を専門に扱う買取業者ですので、「旧耐震基準の建物を確実に売却したい」とお考えなら、気軽にご相談ください。
【100万円近く差が出ることも】旧耐震物件の売却を依頼すべき買取業者の見極め方
需要のない旧耐震基準の建物でも売却できるとなれば、少しでも高い価格で売却したいですよね。
この章では、旧耐震基準の建物をより高額で買い取ってくれる買取業者の見極め方を解説します。
このポイントを知っているのと知らないのとでは、買取価格に数十万円から百万円近くもの差が出てしまいますので、損をしないようぜひ参考にしてください。
築年数の古い物件の買取実績を確認する
築年数の古い建物を買い取った実績が豊富な買取業者であれば、より高い価格で旧耐震基準の建物を買い取ってくれます。
買取実績の豊富な専門の買取業者は、旧耐震基準のような築年数の古い建物でも、より有効に活用できるノウハウを蓄積しているからです。
たとえば、以下のような活用方法です。
- リフォームを施したのち、賃貸物件として運用する
- リフォームを施したのち、古民家カフェとして運用する
- 元の建物とは雰囲気がまったく異なるレベルのリフォームを施してから再販する
反対に、築年数の古い建物の買取実績が乏しい業者だと、これらの活用ノウハウを持たず、買い取ったあとのビジョンを明確に持てません。
このような業者は、旧耐震基準の建物を買い取っても、その後活用できず売れ残ってしまうリスクを考慮する必要があり、その分買取価格が下がってしまいます。
以上から、不動産買取業者のWebサイトの「買取実績」「買取事例」といったページを確認して、専門性の高い業者を複数ピックアップしましょう。
なお、弊社は旧耐震物件のような特殊な物件に強い専門の買取業者です。 年間600件以上の買取実績(※2023年1月~10月の実績)とノウハウを元に、旧耐震物件をできる限り高く買い取っており、「フジテレビ」を始めとする各メディアにも取り上げられています。
弊社は「全国対応」、査定や相談は「無料」ですので、少しでも買取を検討していましたら、まずは弊社へ一度ご相談ください。
「とりあえず相談してみたい」といった気軽なお問い合わせでも大歓迎です。
買取業者の口コミを確認する
不動産買取業者のWebサイトの「買取実績」「買取事例」に加えて、業者に対する「口コミ」もチェックすることが大切です。
実際に不動産買取をしてもらったお客様からのリアルな評価を確認できます。
お客様にとって満足度の高い売却を実現できていれば、高い評価を得ているはずです。
反対に、満足度の低い業者の場合、「担当者のレスポンスが遅い」「そもそも買取を拒否された」などといった評価が書かれています。
このようなお客様による実際の評価は、Googleの口コミなども参考にしてみましょう。
例えば、弊社では公式HPに「お客様の声」を掲載しており、実際に築年数が古く、田舎にある物件を買い取った事例もあります。
参照元:T.Y様「問題の多い家でしたが、とてもスムーズな契約ができ大変助かりました」
もちろん、良い口コミ、悪い口コミ、両方があるのが普通ですが、どちらが多いのか、どのような点で悪く書かれているのかを参考にしてみてください。
複数の買取業者の査定額を比較する
買取実績や口コミをチェックして複数の買取業者をピックアップしたら、必ず3社以上の業者に査定を依頼しましょう。
業者ごとに想定している活用方法が異なる分、査定価格にも差が出てくるからです。 ただし、査定価格が高いからといって、安易に飛びついてはいけません。
買取業者のなかには、顧客獲得のためにわざと査定額を釣り上げている悪質な業者も存在するからです。
そのような悪徳業者の見極め方については、次の章で詳しく解説します。
ちなみに、弊社アルバリンクは、600件以上の買取実績(※2023年1月~10月の実績)を元に旧耐震基準の物件を適正な方法で査定を行っております。
「実績のある買取業者にできる限り高く売却したい」とお考えなら、気軽にお声かけください。
もちろん、査定のみのお問い合わせでも大歓迎です。
担当者に査定価格の根拠を聞く
複数の買取業社から査定結果を受け取ったら、その根拠を各社の営業担当者に聞いてみましょう。
査定価格そのものだけでなく、その価格となった根拠を聞くことが大切な作業です。
最も高額な査定価格を提示していたのに、売買契約の直前になって「新たにリフォームが必要な箇所が見つかった」などと、適当な理由で値下げ交渉をしてくる業者もいます。
このような悪質な業者は、査定価格の根拠を売主から聞かれても、具体的には答えることはできない場合がほとんどです。
それに対して、信頼できる買取業者の営業担当者であれば、査定価格の根拠を売主が納得できるように説明してくれるはずです。
たとえば、類似した不動産の買取事例や、商品化までに業者が想定しているコストなど、具体的な例を提示して根拠を説明してくれます。
これらを提示してくれるような信頼できる業者に依頼して、より確実、より高く旧耐震基準の建物を買い取ってもらいましょう。
旧耐震物件を損せず売却するために知っておくべき4つのポイント
前述した不動産買取業者の見極め方以外にも、旧耐震基準の建物を損せず売却するために知っておくべき4つのポイントをお伝えします。
ポイントをおさえて、できるだけ高額で旧耐震基準の建物を売却しましょう。
耐震基準適合証明書の取得には耐震改修工事がほぼ必須
「耐震基準適合証明書を取得しておけば、買主にとってメリットがあり売却しやすくなる」と聞いたことのある方もいるかもしれません。
該当の不動産が「新耐震基準」を満たしていることを証明してくれる書類。
耐震基準適合証明書の例
専門家(耐震診断士)に依頼すると、必要な耐震診断を受けることができます。
依頼費用は「約20〜50万円」ほどで、現地調査・耐震診断を受けてから証明書を発行するまでに「1か月」ほどかかります。
証明書によって新耐震基準として認められれば、住宅ローンの審査も通りやすくなるうえに、住宅ローン控除も受けられるようになるメリットがあります。
ただし、旧耐震基準の建物となると、適合証明書を取得するためには、耐震改修工事が必要になります。
木造住宅の耐震改修工事では、一般的な相場は「100〜200万円」ですが、築年数が増加するたびに耐震改修工事の費用が増額します。
耐震改修工事に関する補助金や助成金、融資制度もありますが、自己負担は必ず生じます。
売主あなたの負担で耐震改修工事を行い、耐震基準適合証明書を得たからといって、必ずしも売却できるわけではありません。
前述したように、耐震基準適合証明書の取得するには申請手続きや数百万円の費用がかかりますから、そのような手間や費用をかけたくないとお考えなら、まずは専門の買取業者に相談しましょう。
なお、弊社アルバリンクは旧耐震基準の物件を専門に扱う買取業者で、耐震基準適合証明書を取得していなくてもそのまま買取可能ですので、お気軽にご相談ください。
ホームインスペクションを受けても耐震性は確認できない
ホームインスペクション(住宅診断)を受けておくことで、買主に安心感を与え、売却しやすくなると聞いたことがあるかもしれません。
「住宅診断士」という専門家が第三者的な立場から、建物の劣化具合や欠陥の有無を調査すること。
費用相場は、一戸建て(30坪程度)で、目視による調査で「5〜7万円程度」です。
目視で判断できない調査となると「6〜12万円程度」になります。
ただし、ホームインスペクションは、旧耐震基準の建物を購入しやすくなるといえるほど、買主にメリットを感じさせるものではありません。
ホームインスぺクションは、耐震性を計算する作業は含まれていないため、耐震性能を証明できるわけではないからです。
また、ホームインスペクションを行い、建物の欠陥箇所がわかったとしても、買主が修繕しなければなりません。
このため、わざわざ費用をかけても、買主の購入判断に影響を与えるほどの効果を見込むことはできません。
リフォームしても費用を上乗せした金額で売却できるとは限らない
少しでも売却しやすくなるよう、旧耐震建物をリフォームしようとする方もいますが、決して早まって売主の判断だけでリフォームしてはいけません。
売主の判断でリフォームを行ったところで、工事にかかった費用を回収できるような価格で売却できるとは限らないからです。
たとえば、そもそも立地の悪く需要がないエリアであれば、いくら建物にリフォームを施しても買い手は見つかりません。
売れ残ってしまうと、数十万円から数百万円ものリフォーム費用が全額赤字になってしまいます。
また、売主の行ったリフォームが買主の好みと合わないこともあります。
運よく買主が見つかってたとしても、買主好みにリフォームし直すための費用を売却価格から差し引くよう、価格交渉を持ちかけられるおそれもあります。
以上のことから、決して売主の独断でリフォームを行わず、専門の買取業者に直接そのまま買い取ってもらうことをおすすめします。
専門の買取業者であれば、ノウハウを活かしてリフォーム費用を安く抑えられるので、その分買取価格に上乗せできます。
なお、弊社は旧耐震建物を専門に扱う買取業者で、提携しているリフォーム業者に安く修繕してもらうことでコスト削減に努めています。
その分を買取価格に還元できますので、「できる限り高く売りたい」とお考えなら、お気軽にご連絡ください。
もちろん、査定のみのお問い合わせでも大歓迎です。
建物を解体するのは売主にとって金銭的リスクが高すぎる
「建物を解体したほうが買主が見つかりやすくなる」などと不動産会社に言われることもあるかもしれませんが、決して鵜呑みにしてはいけません。
数百万円もの費用をかけて解体したところで、売却できるとは限らないからです。
もし売れ残れば、解体費用の全額が赤字になってしまいます。
また、建物を解体し、売れ残ったまま1月1日を迎えてしまうと、住宅用地の特例の適用外となり、固定資産税が増額します。
参照元:e-Gov法令検索|地方税法第349条(土地又は家屋に対して課する固定資産税の課税標準)
さらに、接道義務を果たしていない土地の場合、建物を解体すると、二度と建物を建てられなくなってしまいます。
幅員が4m以上ある建築基準法上の道路に、敷地が2メートル以上接すること。これを果たさない土地上では、建物の再建築・建て替えが認められない。
以上のことから、たとえ旧耐震基準の建物であっても、決して安易に建物を解体せず、そのままの状態で専門の買取業者に直接買い取ってもらいましょう。
まとめ
今回は、旧耐震基準の家を所有するリスクや売れにくい理由、より高額で売却するためのコツを解説しました。
旧耐震基準の建物は、建物の劣化や安全性のみならず、住宅ローンや贈与税、地震保険料の問題により、通常の物件よりも売却しにくく、価格の相場も下がります。
旧耐震基準の家を少しでも高く、確実に売却したい場合には、旧耐震基準の物件を専門に扱っている不動産買取業者に売却することをおすすめします。
まずは今回ご紹介した方法により、複数の買取業者をピックし、信頼のできる営業担当者を見つけ、納得のいく売却をしましょう。
なお、弊社は旧耐震物件のような特殊な物件に強い専門の買取業者です。
年間相談件数5000件、年間買取件数600件の買取実績(※)があり、他の業者が断るような物件でも、数多く買い取りしてきました。
※2023年1月1日~2023年10月25日現在の実績:相談/5,555件:買取/600件
「旧耐震物件をできる限り高く売却し、物件を抱えるリスクから一刻も早く解放されたい」とお考えの場合は、一度弊社へご相談ください。
もちろん、査定のみ、相談のみのお問い合わせでも大歓迎です。