売れにくい市街化調整区域の不動産を売却する選択肢
市街化調整区域の不動産を売却する方法は、大きく「仲介」と「買取」の2つに分けられます。

仲介とは、不動産会社が売主と買主の間に入り、売却活動を代行してくれる方法です。
成約すれば仲介手数料を支払う仕組みで、買主が見つかれば市場価格に近い金額で売れる可能性があります。
一方、買取とは、不動産会社が直接あなたの物件を購入してくれる方法です。
価格は市場価格より低くなることが多いですが、買主を探す必要がなく、スピーディーに現金化できる点が最大のメリットです。
売れにくい市街化調整区域の不動産を売却する選択肢には、以下4つがあります。
隣地所有者に売却する
隣地の所有者への売却は、基本的には避けたほうが無難です。
購入意欲のない隣人に売却を持ちかけても交渉は成り立たず、進め方を誤ればトラブルを招くリスクもあるためです。
とくに、個人間契約で起こりやすいトラブルは以下2つです。
- 契約書類に不備があった
- 売買契約の成立後、物件の瑕疵や条件の相違が発覚した場合、買主から代金減額や損害賠償を請求されるリスクがある
- 価格交渉の折り合いがつかない
- 売主と買主の相場感にズレがあると、交渉の段階で行き詰まる。また、交渉がこじれた場合には隣人との関係性にまで影響が及ぶことがある
ただし、隣人への声かけは、特別な準備をせず気軽に試せる手段でもあります。
日頃から関係が良好で話しやすい隣人がいるなら、「もし興味があれば」という程度に打診してみるのは検討する価値があるでしょう。
そのまま仲介で売却する
前述した、仲介業者に現状のままで売却する方法もあります。
ただし、市街化調整区域の不動産が、仲介でそのまま売却できるケースは限定的です。
市街化調整区域は原則として建物の新築が制限されているため、土地の活用方法が限られます。
また、市街化調整区域に指定されているエリアは、周辺の人口が増えたり都市としての機能が広がったりすることが想定されていない地域です。
上記の理由から、住まいとしての需要自体が低いため、仲介で買い手を探しても成約に至りづらいのが実情です。
例外的に仲介での売却が見込まれるケースは、以下の条件を両方満たす場合といえます。
- 建物が比較的新しく、修繕なしでそのまま住める状態である
- 移住者が増加しているエリアや、地方への関心が高まっている地域に立地している
上記の条件を満たさない場合は、仲介での売却活動を続けるよりも、後述する「買取」へ切り替えたほうが効率的でしょう。
更地にして仲介で売却する
更地にしてから仲介で売却する方法もありますが、市街化調整区域においてはこの方法も基本的におすすめできません。
市街化調整区域はそもそも地域としての需要が低く、更地にしたところで買い手が現れるケースは限られています。
需要が低い理由の詳細は、「市街化調整区域の不動産が売れにくい5つの理由」をご確認ください。
加えて、解体には最低でも100万円以上の費用が発生するケースが多く、売却できなかった場合はその全額が損失となります。
例外的に、更地にして仲介売却を狙える可能性があるのは、次の条件をすべて満たす場合です。
- 解体費用を支払える資金的な余裕がある
- 移住者が増加しているエリアや需要の見込める地域に立地している
- 売れ残った場合のリスクを受け入れられる
これらの条件を満たさない場合は、解体費用をかける前に買取業者へ相談することをおすすめします。
市街化調整区域に強い専門の不動産買取業者に売却する
市街化調整区域の不動産をスムーズに手放したいなら、その分野に強い専門の買取業者へ現状のまま売却するのがおすすめです。
市街化調整区域の買取実績が豊富な業者ほど、その不動産をどう収益化するかのノウハウが蓄積されています。
収益の見込みを正確に判断できるため、一般の不動産会社で断られた物件でも適正価格での買取が実現しやすくなります。

たとえば、建物が建てられない土地でも、駐車場・資材置き場・太陽光発電用地など、収益につながる活用の可能性を幅広く検討した上で査定を行います。
地域の条例等による制限がある場合でも、別の収益化手段を模索しながら柔軟に対応してくれるのが、専門の買取業者の強みです。
市街化調整区域の不動産をより良い条件で売却したい場合は、専門の買取業者への依頼が有力な選択肢となるでしょう。
買取業者の中からどの業者を選べばいいか迷っている方は、以下の記事をぜひお読みください。

売れない市街化調整区域のやってはいけない手放し方3選
市街化調整区域の不動産がなかなか売れないとき、「タダでもいいから早く手放したい」という気持ちになるのも無理はありません。
しかし、以下の3つの方法はトラブルや思わぬ損失を招くリスクがあるため、おすすめできません。
無償譲渡先を探す
結論からいうと、無償譲渡は「永遠に手放せないまま終わる」可能性が高い方法です。
前述した隣地所有者への売却では、価格交渉のこじれや契約書の不備といったトラブルが起こりやすいとお伝えしました。
その点、無償譲渡であれば金銭のやり取りが発生しないため、代金をめぐるトラブルや契約上の争いは起きにくいといえます。
しかし、「トラブル以前に、そもそも引き取り手が現れない」という点が根本的な問題です。
市街化調整区域の不動産は、原則として住宅などの建物を新たに建てられないため、活用方法が限られています。
そのため、有料・無料にかかわらず需要自体が低く、無償譲渡を呼びかけても引き取り手が現れないケースがほとんどです。
市街化調整区域の不動産を早く手放したい場合は、おすすめできない方法といえます。
国や自治体に寄付する
市街化調整区域の不動産を、国や自治体に寄付して手放す方法もあります。
ただし、国や自治体への寄付はいずれも条件が厳しいため、制度の対象となる可能性は低く、有力な選択肢とはいえません。
相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈で取得した土地を、一定の費用負担を伴いながら国に引き渡せる制度で、実質的には国への寄付に近いといえます。

土地を持て余す所有者にとって朗報に思える制度ですが、国庫帰属が認められるまでのハードルは想像以上に高いのが現実です。
具体的には、以下のいずれかに該当する土地は制度を利用できません。
【申請が却下される土地】
- 建物が残っている土地
- 第三者の権利が残っている土地
- 第三者による使用・利用がある土地
- 土壌汚染が認められる土地土地
- 境界や所有権をめぐる争いがある土地
【申請しても不承認になる土地】
- 通常の維持管理に過大な費用・労力を要する土地
- 管理や売却を妨げるものが地上・地下に残っている土地
- 隣地所有者などとの訴訟なく管理・処分ができない土地
- その他、通常を超える費用・手間が見込まれる土地
また、自治体への寄付を受け付けている自治体も存在しますが、自ら申し出ても受け入れてもらえないケースがほとんどです。
自治体側としては、税収の減少や維持管理コストの負担が生じるため、具体的な利用計画がなければ、受け入れには応じないのが実情です。
詳しい条件については上記の記事を確認したうえで、条件を満たせそうであれば検討してみるとよいでしょう。
相続放棄をする
相続前であれば相続放棄は選択肢の一つではあるものの、基本的にはおすすめできない方法です。
相続放棄とは、家庭裁判所に申述することで故人の財産を承継しない旨を法的に認めてもらう手続きを指します。
注意しなければならないのは、相続放棄では「いらない不動産だけを選んで手放す」ができない点です。
相続放棄を選ぶと、市街化調整区域の不動産はもちろん、現金・預貯金・有価証券といったプラスの財産まで手放さなくてはなりません。
相続放棄が効果的なのは主に、借金などの負債が財産全体を上回り、相続すること自体がマイナスになると見込まれる場合です。
不動産のみを手放したいという方は、いったんすべての財産を相続してから売却する方法がおすすめです。
市街化調整区域の売却は、通常の不動産売却とは異なるノウハウが必要なため、対応実績のある会社に相談しましょう。
おすすめの優良買取業者については、「訳あり物件の売却におすすめな買取業者10選!」で紹介しています。
市街化調整区域とは
ここまで読み進めて、「そもそも市街化調整区域って何のこと?」と感じた方もいらっしゃるかと思います。
改めて基本的なところから確認しておきましょう。
市街化調整区域とは、農地や森林を守るために市街化への発展を抑制された区域のことです。
参照元:仙台市|市街化調整区域内の建築行為全般について

土地には都市計画法によって区域ごとに分類されている、市街化区域と市街化調整区域の2つがあり、どちらに該当するかで都市開発へのスタンスが変わります。
市街化区域では、人々が住みやすくなる街づくりを積極的に推進している地域です。
住宅や商業施設などの建築物が充実しており、利便性が高く居住しやすい市街地とも言えます。
一方で、市街化調整区域では開発行為が規制されおり、住宅や商業施設などの建設を原則認められていません。
市街化調整区域の不動産が売れにくい5つの理由
前述したように、市街化調整区域は街づくりを抑制しているエリアであるため、そこに所在する不動産は市場で売れにくい傾向にあります。
市街化調整区域内の不動産が売れにくい具体的な理由は以下の5つです。
原則的に新たに建物を建設できない
市街化調整区域は建物ではなく、土地も売却しにくい傾向にあります。
なぜなら、市街化調整区域は原則として建物の新築が認められていないため、マイホームを建てる前提で土地を買う一般消費者からの需要がないためです。
参照元:名古屋市|市街化調整区域内における開発許可・建築許可(都市計画法第29・41〜43条)
市街化調整区域内で新しく建物を建設するには、開発許可が必要になります。
建て替えやリフォームも許可がないと行えない
既存の建物の建て替え・増築リフォームを許可なく実行できない点も、売れない理由として挙げられます。
市街化調整区域内の不動産は、宅地として整備するときは「開発許可」、宅地としての利用が認められている場合も「建築許可」が必要です。
建物の容積率・建ぺい率の制限以外にも、延床面積の1.5倍以内に収めるなど、建て替えの規模感も自治体によって規定があります。
建て替え・リフォームの許可がとれたとしても、通常の不動産ほど自由に建築できないため、市場では売れにくい傾向にあります。
インフラ環境が整備されていない
市街化調整区域では人が住むことを前提にしていないため、電気やガス、水道などのインフラ環境が整っていない傾向にあります。
そのため、購入者がインフラを引くところからはじめなくてはなりません。
もし、下水道管がない地域だと、浄化槽の設置だけでも80万〜100万円程度の費用がかかります。
そこまでの費用をかけてまで市街化調整区域の物件を買いたいと思う人はいないでしょう。
住宅ローンの審査が通りにくい
市街化調整区域の物件は住宅ローンの審査が通りにくいため、買い手に敬遠されがちです。
市街化調整区域の物件について、金融機関は担保としての価値を認めていないためです。
住宅ローンが使えなければ、買い手は現金一括払いで不動産の購入を強いられるため、売却に至らないケースも多くあります。
ただし、専門の不動産買取業者であれば、市街化調整区域の物件を現金で買い取るため、住宅ローンが通らなくても問題ありません。
弊社Albalinkも市街化調整区域の物件の買取を積極的に行っております。
適正価格で買い取らせていただきますので、ぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたからといって、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
地目が農地の場合は売却自体が制限される
地目(土地の用途)が「農地」となっている場合は、物件の売却が困難です。
農地は農地法により宅地などへの転用が制限されているため、基本的に農家にしか売却できないためです。
国内の農業人口自体も減少傾向にあるため、土地の地目が農地だと売却が難しいでしょう。
なお、以下の記事では農地の売却方法について詳しく解説しています。
市街化調整区域内に農地を持っていて早く売却したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

市街化調整区域の不動産を売却する前に確認すべき3つのポイント
前述したように、市街化調整区域の不動産は売却が難しい傾向にあります。
しかし、事前に3つの重要なポイントを確認しておくことで売却のハードルを下げられる場合があります。
土地の地目が農地か否か
まずは、土地の地目が農地かどうかを確認しましょう。
農地の売却や地目変更は農地法で規制されており、農業委員会や都道府県知事への申請が必要になるからです。
反対に、すでに宅地や雑種地などの地目に変更されている土地であれば、比較的スムーズに売却を進められる可能性が高くなります。
手続きの負担を最小限に抑えるためにも、地目の確認は最初に済ませておくことが大切です。
まずは市町村の固定資産課税台帳をチェックして、土地が農地なのかどうかを確認しましょう。
農地かどうかをチェックする方法の詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。

自治体毎の区域指定制度
市街化調整区域にある不動産でも、区域指定制度の要件を満たしている場合は売却しやすくなります。
県が定めた基準を満たす地域に指定されることで、建築などに関する規制が緩和される仕組み
たとえば、茨城県つくばみらい市の場合、伊奈地区や谷和原地区などに複数の指定区域があり、以下のような不動産は建築可能となります。
- 低層住宅(第1種・第2種低層住居専用地域で認められる建物)
- 小規模な事務所・作業所(延床面積200㎡以内)
参照元:つくばみらい市「区域指定」
土地が建築可能な状態であれば、購入者の関心が高まり売却しやすくなります。
「○○(地域名) + 区域指定制度」で検索し、対象地域に該当しているか確認しておきましょう。
(建物がある場合)区域区分されるより前か後か
市街化調整区域内に建物がある場合、その土地が区域区分(線引き)に指定される前か後かで売却の難易度が変わります。
線引き前から存在する宅地は、一定の条件内であれば建て替えが認められる傾向にあります。
たとえば、静岡県浜松市の場合、現在と同じ敷地・用途・規模で建て替えを行う場合は許可不要で建築可能です。
一方、線引き後に都市計画法の許可を得て建築した家屋については、増改築や用途変更の際に都度許可が必要となります。
線引きの多くは、1970年頃に行われています。
地域によって時期に違いがあるため、自治体の窓口やWebサイトで確認しましょう。
まとめ
今回の記事では、市街化調整区域にある物件の売却方法や業者選びのポイントについて、解説しました。
市街化調整区域に該当する土地や物件は、総じて売りにくい傾向にあります。
ご自身で売るのが難しいと感じた場合は納得した査定額で売却ができるよう、専門の買取業者に見積もりを依頼しましょう。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)では、日本全国の買い手の付きにくい訳あり物件を積極的に取り扱っています。
弊社スタッフが提示した査定額には、根拠をもって納得いくまで解説をさせていただきます。
売主様とWin-Winの関係になれるよう全力でサポートさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社AlbaLinkは東証グロース市場に上場している不動産会社です。




