空き家の処分費用の相場
空き家の処分は主に、「建物の取り壊し」と「荷物の片付け」の2つの作業に分けられます。
それぞれの費用相場を事前に把握することで予算の見通しが立ち、空き家の最適な処分方法を選びやすくなります。
この章では、以下の2つの主要な費用について解説します。
建物を解体する費用相場
建物の解体費用は、主に建物の構造と面積によって決まります。
構造別の坪単価の目安を、以下にまとめました。
| 家の構造 | 解体費用の相場(1坪 = 約3.3㎡) |
|---|---|
| 木造 | 4万円 |
| 鉄骨造 | 6万円 |
| 鉄筋コンクリート造 | 7万円 |
上記は建物本体の解体のみが対象となっており、ブロック塀の撤去やアスベストの除去作業などが必要な場合には、別途費用がかかります。
建物の解体費用が高額になるケースの詳細については、「空き家の処分費用が高額になる6つのケース」で解説します。
空き家の解体費用については、以下の記事でも詳しく紹介しているので併せてお読みください。

荷物を片付ける費用相場
空き家に残された荷物の片付け費用は、部屋の広さと荷物の量によって変動します。
片付け業者に依頼する場合の費用相場を、以下にまとめました。
| 間取り | 費用相場 |
|---|---|
| 1R | 3万円〜8万円 |
| 1DK〜1LDK | 5万円~20万円 |
| 2DK〜2LDK | 10万円〜30万円 |
| 3DK〜3LDK | 15万円〜50万円 |
| 4LDK以上 | 20万円〜 |
空き家に家財が大量に残っている場合は、平均相場の上限に近い金額になる可能性が高くなります。
費用を抑えるには、できる範囲で事前に片付けをして業者に依頼する量を減らすのが効果的です。
詳細は、記事内の「できる作業は自分で済ませておく」で解説します。
空き家の処分費用が高額になる6つのケース
一般的な空き家の処分費用は100万円以上になることが多く、条件によってはさらに高額になる可能性があります。
空き家の処分費用が高額になるケースは、以下の6つです。
道路が狭く重機が入れない
解体現場まで重機が入れない立地条件では、解体費用が通常の1.5倍程度高くなるといわれています。
解体工事では、ユンボやショベルカーなどの重機を使って効率的に建物を取り壊すのが一般的です。
前面道路の幅や敷地の入り口が狭い場合は重機を現場まで運搬できないため、小型重機や手作業での解体が必要になります。
道路が狭く重機が入らない場合、作業効率が落ちて工期が延びるため、その分人件費がかかり解体費用が高くなります。
建物が破損している
老朽化や自然災害の影響で建物が破損していると、解体費用は高くなる傾向にあります。
屋根が崩れていたり、壁に大きな亀裂が入っている建物は、作業員の安全確保のための追加対応が必要になるからです。
たとえば、予期せぬ倒壊リスクに備えて、通常より多くの足場を設けたり、手作業の範囲を広げたりするなどの工夫が必要です。
さらに、破損により建材が細かく砕けている場合は廃材の分別作業にも時間がかかるため、処分費用も増加します。
損傷の激しい建物は解体費用が安くなると誤解されやすいですが、実際は手間がかかって高額になる傾向にあります。
建材にアスベストが使用されている
アスベストが含まれる建物の解体では、通常の解体費用にくわえて1㎡あたり2万円〜8万5,000円程度の除去費用が必要になります。
アスベスト(石綿)は、1955年から1975年頃に建設された多くの建物で断熱材や耐火材として使用されていました。
人体に害をもたらすとして2006年に全面禁止となり、現在は解体時には安全対策を講じることが法律で義務付けられています。
アスベストのレベルによって除去費用は異なり、もっとも危険なレベル1(吹き付けアスベスト)では1㎡あたり1万5,000円〜8万5,000円が相場です。
30坪程度の住宅でも、アスベスト除去だけで100万円〜300万円の追加費用が発生する場合があります。
建物が鉄骨造やRC造で建設されている
前述したように、建物の構造によって解体費用は異なり、鉄骨造やRC造で建設されている場合は費用が割高です。
鉄骨やコンクリートは木材に比べて非常に硬く、壊れにくいため、解体作業そのものに時間がかかります。
くわえて、廃材処分の工程では建設リサイクル法に則った分別・運搬・処分が必要であるため、総額が高くなりやすい傾向にあります。
室内に大量の残置物がある
空き家の中に大量の残置物がある場合も、処分費用は高額になります。
解体業者が残置物を処分する場合、「家庭ごみ」ではなく「産業廃棄物」として扱われるためです。
一軒家全体となると、家具・家電・衣類・食器類など大量の残置物があるため、処分費用だけで数十万円になるケースも珍しくありません。
くわえて、テレビ・冷蔵庫・洗濯機などの家電リサイクル法対象品目は、別途リサイクル料金が必要です。
残置物がある物件を売却する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

片付けや遺品整理を業者に依頼する
前述したように、残置物の片付けを業者に依頼する場合は、解体費用とは別に費用が発生します。
思い出の品の分別や形見分けが終わっていない場合、遺品整理も依頼することになり、さらに追加料金がかかります。
遺族の想いを大切にしながら故人の遺品を一つひとつ丁寧に整理・清掃する作業
不用品の処分費用は1Rで3万円〜8万円程度が相場ですが、遺品整理も業者に依頼する場合は作業工数が増えるので費用が高くなります。
また、遺品の供養サービスや遠方の親族への形見の配送サービスなどを利用すると、さらに追加料金が発生します。
業者への依頼は精神的・時間的負担を軽減できるメリットがある一方、費用負担は重くなるので状況を考慮して選択することが大切です。
空き家の処分費用を抑えるための4つのコツ
空き家の解体は高額になりがちですが、所有者の工夫次第で費用を安く抑えられます。
空き家の処分費用を抑えるためのコツは、以下の4つです。
安くするポイントを押さえて、空き家の処分費用をできる限り節約しましょう。
できる作業は自分で済ませておく
空き家の処分費用を抑えるためには、できる作業は自分で済ませておくことが重要です。
不用品を自分で処分する場合は「一般廃棄物」として扱われるため、市の粗大ゴミ回収などを利用すれば数百円〜数千円程度で済みます。
また、事前に残置物を種類ごとに分けたり、不用品を一か所にまとめたりして業者の手間を省くことで作業費用を安く抑えることも可能です。
ただし、時間の確保が難しい場合や体力的な負担を軽減したい場合は、業者に一括依頼するのが賢明でしょう。
業者の繁忙期を避けて依頼する
解体工事や不用品回収にも繁忙期があり、この時期を避けることで費用を抑えやすくなります。
解体業者・不用品回収業者の繁忙期を、以下にまとめました。
| 業者名 | 繁忙期 |
|---|---|
| 解体業者 | 2月〜4月:企業の決算前工事や新生活準備に向けた解体工事が増える時期 |
| 不用品回収業者 |
|
空き家の処分を急がない場合は、業者の忙しくない時期を選んで依頼することで費用を節約できます。
相見積もりを取って費用を比較する
複数の業者に見積もりを取ることで、より好条件なサービスを選びやすくなります。
業者によって料金体系や施工方法が異なるため、同じ建物の解体でも50万円以上の差が出ることは珍しくありません。
見積もりで依頼費用や作業内容の詳細をもらっておくとサービスの比較ができる上に、他社の条件を引き合いに出して価格交渉もしやすくなります。
業者への見積もり依頼は、目安として3社以上で比較検討することが効果的です。
1月2日以降に建物を解体する
空き家を解体するタイミングを1月2日以降にすることで、固定資産税を節約できます。
固定資産税は毎年1月1日時点の状況で課税が決まるため、この日に建物が残っていれば「住宅用地の特例」が適用されます。

住宅が建っている土地について、200㎡以下の部分は評価額を6分の1に、200㎡超の部分は3分の1に軽減する固定資産税の特例措置
しかし、1月1日より前に建物を解体すると特例を受けられる期間が短くなることで、土地の固定資産税が増額します。
節約するためにも年末に解体を急ぐのではなく、1月2日以降に解体工事を開始することをおすすめします。
更地にするメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。

空き家の処分費用が支払えないときの5つの対処法
処分費用が支払えない場合でも、空き家を処分する方法はいくつもあります。
空き家の処分費用が支払えないときの対処法は、以下の5つです。
状況別の空き家の処分方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

自治体の補助金や助成金を活用する
多くの自治体では空き家の解体費用を支援する補助金制度を設けており、解体費用の2分の1から3分の1程度を補助してもらえる場合があります。
空き家対策特別措置法に基づき、各自治体が地域の空き家問題解決のために予算を組んでいるためです。
たとえば、千葉県市原市では「空家の除却・改修に関する支援制度」として、空き家の解体にかかった費用の5分の4(最大50万円)を支給しています。
ただし、補助金には年度ごとに予算上限があり、先着順で受付が終了することが多いため、早めの申請が必要です。
解体工事の着工前に申請する必要があるため、まずは市役所の空き家対策担当窓口に相談しましょう。
空き家の処分に利用できる補助金制度については、以下の記事で詳しく解説しています。

解体専用のローンを検討する
空き家の解体費用を分割で支払えるローンを利用すれば、まとまった資金がなくても解体工事に着手できます。
近年の空き家問題の深刻化によって、「空き家解体ローン」という専用商品を提供する金融機関が増えているためです。
たとえば、JA西東京の「JA空き家解体ローン」では、以下の条件で借入の相談ができます。
- 借入期間:1年~10年以内
- 融資金額:10万円〜500万円以内
- 金利:年2.90%~3.25%
審査には収入証明書や空き家の登記簿謄本などが必要ですが、担保や保証人が不要な商品も多く、比較的利用しやすいのが特徴です。
解体ローンを利用すれば、一括での支払いが難しい場合でも計画的に空き家を処分できるでしょう。
空き家解体に使えるローンについては、以下の記事で詳しく解説しています。

空き家バンクに登録する
空き家バンクに登録することで解体費用をかけずに空き家の借り手・買い手を見つけられる可能性があります。
空き家バンクとは自治体が運営する空き家の情報提供サービスで、空き家を使いたい人と貸したい・売りたい人をマッチングする制度です。

老朽化が進んだ空き家でも、DIYやリノベーションを前提として借りたい人や、格安で購入したい人が見つかることがあります。
また、空き家バンクを通じて成約した場合、自治体から補助金を受けられる場合があるのもメリットです。
一例として、栃木市では空き家バンクを通じて成約した場合、リフォーム・家財処分にかかった費用の2分の1まで補助(上限あり)を受けられます。
登録は無料で、自治体の担当窓口やホームページから簡単に手続きできるため、まずは相談してみるとよいでしょう。
空き家バンクを有効活用する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

古家付き土地や更地渡しで売却する
空き家を、古家付き土地・更地渡しの条件で売却すれば、解体費用の負担を実質ゼロで処分できる場合があります。
古家付き土地・更地渡しとしての売却方法の違いを、以下にまとめました。
| 項目 | 古家付き土地 | 更地渡し |
|---|---|---|
| 建物の状態 | 建物をそのまま残す | 建物を解体して更地にする |
| 解体費用 | 買主負担 | 売主負担 |
| 売却価格 | 解体費用分を差し引いた価格 | 土地の適正価格 |
どちらの方法も解体費用の負担分を売却価格で調整できるので、実質的な負担は発生しません。
また、建物を残した状態で売り出せるので、解体による固定資産税の負担増加を心配する必要がないのもメリットです。
立地に恵まれた空き家なら、解体していない状態でも買い手がつく可能性があります。
古屋付き土地で売却する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

不動産買取業者に直接依頼する
空き家に強い専門の不動産業者に依頼すれば、そのままの状態で売却できるので解体費用がかかりません。
買取業者とは、売主の不動産を直接買い取る業者です。

中でも、専門の買取業者は築古物件の扱いに慣れており、解体やリフォームを前提として買取価格を設定します。
そのため、売主は荷物の片付けや建物の解体といった面倒な作業に手間や費用をかけず、現状のままでスムーズに売却できます。

また、一般的な不動産売却とは異なり、買取業者と2者間で取引が成立するため、平均1ヶ月程度で売却できる点もメリットです。
ただし、買取価格は市場価格より3割程度安くなることが一般的なので、複数の業者に査定を依頼して好条件な一社を選ぶことが大切です。
できるだけ高く売るためにも、築古物件の買取実績が多い買取業者をピックアップしましょう。
次項では、全国の空き家を積極的に買い取っている弊社アルバリンクの買取事例をご紹介します。
不動産買取業者ランキングについては、以下の記事で詳しく解説しています。

アルバリンクなら人が住めない状態の空き家でも売却できる
弊社アルバリンクは訳あり物件専門の買取業者として、他社では断られるような空き家も数多く買い取ってきました。
たとえば下記のように「20年以上放置されて老朽化が進んだ空き家」や「不用品で室内があふれてしまっている空き家」を買い取った実績もあります。
【20年以上放置された空き家の買取事例】
【不用品で室内があふれてしまっている空き家の買取事例】
引用元:Albalinkの空き家買取事例
上記のように、老朽化が深刻・室内がゴミ屋敷状態といった空き家でも買い取れるのは、弊社に独自のネットワークがあるからです。
協力関係にある業者に工事を直接発注することで中間マージンを省けるため、その分のコスト削減効果を買取価格に反映させることができるのです。

上記の方々だけでなく、弊社に買取依頼をしていただいたお客様からは「肩の荷が下りた」「色々不安だったがスムーズに売却できた」といった感謝の言葉を多数いただいております(下記Google口コミ参照)
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
信頼できる買取業者に安心して空き家を売却したい方はぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたからといって、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
空き家の処分を先延ばしにする4つのリスク
費用の高さを理由に空き家を放置すると思わぬトラブルが発生する可能性があるため、処分を先延ばしにしてはなりません。
空き家の処分を先延ばしにするリスクは、以下の4つです。
空き家を放置するリスクについては、以下の記事で詳しく解説しています。

特定空き家に指定される
空き家を適切に管理せずに放置すると、特定空き家に指定される恐れがあります。
特定空き家とは、周辺への悪影響が大きいと自治体に判断された空き家です。

特定空き家に指定されると行政から改善命令が出され、従わない場合は特例の除外や50万円以下の過料が科せられます。
最終的には行政代執行により強制解体され、その費用も所有者負担となります。

行政代執行による空き家解体は調査費用などが含まれる場合があり、所有者が自ら解体業者に依頼する場合よりも高額になる傾向にあります。
一例として、2016年に北海道室蘭市で実行された行政代執行は、64.4㎡(約20坪)の木造平屋で除去費用は840万円です。
老朽化が進んだまま放置し続けると、特定空き家に指定されて費用負担が増える可能性があります。
特定空き家については、以下の記事で詳しく解説しています。

維持費の負担が重くなる
空き家を所有し続けるだけで、年間数十万円の維持費がかかり続けることになります。

また、建物の劣化を防ぐためには定期的な点検や修繕が必要で、これらの管理費用も無視できません。
具体的な空き家の年間維持費の内訳は、以下のとおりです。
| 内容 | 費用相場(年間) |
|---|---|
| 固定資産税 | 約10万円 |
| 火災保険料 | 約10万円 |
| 水道・電気料金 | 約2万円 |
| 交通費 | 数千円〜 |
| 修繕費 | 10万円~50万円(必要に応じて) |
上記のように、空き家を放置する期間が長ければ長いほど、維持費が積み重なって負担は重くなります。
負担を最小限に抑えるためにも、空き家の状況を定期的に確認し、早めの判断で処分を進めることが大切です。
空き家にかかる維持費については、以下の記事で詳しく解説しています。

犯罪に利用される
管理されていない空き家は不法侵入・放火・薬物の製造拠点などの犯罪に利用されるリスクが高くなります。
人の出入りがない空き家は、犯罪者にとって発見されにくい格好の隠れ場所となってしまうためです。

実際に、宮城県内では管理されていない空き家の敷地内に火のついた紙を投げ込んで建物を燃やそうとした放火未遂事件が発生しています。
空き家から火災が起きると近隣住宅にも延焼する恐れがあるため、所有者だけの問題では済まなくなります。
上記のようなリスクを未然に防ぐためにも、空き家の定期点検や早期の売却・解体を検討することが重要です。
空き家が遭いやすい犯罪については、以下の記事で詳しく解説しています。

資産価値が低下する
空き家を放置すればするほど建物の劣化が進み、不動産価値が下がります。
建物は人が住まなくなると急速に劣化が進むため、時間が経つほど状態が悪くなり、建物価格は下落します。
とくに、屋根の崩落や外壁の剥落などが進むと建物としての基本的な機能が失われ、住居としての活用が難しくなります。
早めに対処すれば資産価値を保てる可能性がありますが、放置し続けると回復不可能な状態まで価値が下落するでしょう。
まとめ
空き家を処分する際は、建物の解体と荷物の片付けが必要になるため、総費用が高額になってしまいがちです。
本記事では費用を抑えるコツとして、以下の内容もお伝えしました。
もし、上記の方法でも費用負担が重い場合は、専門の不動産買取業者への売却を検討してみてください。
専門の買取業者が取引相手なら、老朽化した建物が建った状態でも売却できるので解体費用が必要ありません。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は老朽化した空き家の買取に強い専門業者です。
実際に、一般的な不動産会社では扱いにくい特殊な物件の買取を専門とする業者として、フジテレビの「newsイット!」で放送された経験もございます。

空き家を処分費用の負担なしで売却して、肩の荷を下ろしましょう。
株式会社AlbaLinkは東京証券取引所のTPM市場に上場している不動産会社です。
【不用品で室内があふれてしまっている空き家の買取事例】 




