滅失登記とは建物がなくなったことを記録する手続きのこと
滅失登記とは建物がなくなったことを法務局に申請する手続きのことで、滅失登記を行うと登記簿が閉鎖されます。
建物の滅失登記は不動産登記法によって、解体後1ヶ月以内に申請することが義務づけられています。
滅失登記をしないと起こる4つのリスク
建物を解体した後に滅失登記をしない場合は、以下のような4つのリスクがあります。
それぞれのリスクについて詳しく解説します。
10万円以下の過料が発生する可能性がある
建物の滅失登記は、先述のとおり、解体した後1ヶ月以内に申請することが不動産登記法によって義務づけられています。
滅失登記の申請をせず放置した場合は、10万円以下の過料が発生する可能性があります。
土地が売却できない
建物を解体した後に滅失登記をしていない場合は、土地が売却できないリスクがあります。
解体しても滅失登記を申請していないため、登記簿上では建物が存在していることになったままです。
そのため、基本的には滅失登記を完了させてからでないと土地を売却できません。
また、登記簿上では建物が存在しているため、新しく建物を建築しようとしても建築許可が下りません。
滅失登記をしていない場合は、土地の売却や新築の建築に支障をきたす可能性があります。
固定資産税の負担が継続する
滅失登記をしていない場合は、建物の固定資産税や都市計画税の負担が継続する可能性があります。
滅失登記を申請していないと登記簿上では建物が存在しているため、課税対象とみなされてしまうからです。
自治体は毎年、固定資産税の評価額を決定するために土地や建物の現況調査を行いますが、必ずしも調査結果が反映されるとは限りません。
実際には存在しない建物に対して無駄な税金がかかることになります。
土地を相続する時にトラブルになる
建物の滅失登記をせずに放置した場合は、土地を相続する時にトラブルになるリスクもあります。
建物の所有者が土地の所有者と同じで被相続人(亡くなった人)だった場合は相続人が滅失登記を申請しますが、戸籍謄本などの書類の準備が必要です。
建物の所有者が被相続人と異なる場合は、建物の所有者を探して滅失登記の申請を依頼する必要があります。
滅失登記をせずに放置していると登記申請をしたり、所有者を特定したりする一連の手間を誰が行うかでトラブルは発生しやすくなります。
「相続に関する不安」についてのアンケート調査でも、多くの方が相続人同士の揉め事に不安を感じていることがわかります。
親族間の揉め事を起こさないためにも、相続が発生する前に登記手続きを済ませておくのが望ましいといえます。
また、建物の所有者と連絡がつかない場合は利害関係人として土地の相続人が「建物滅失の申出」を行うことが一般的です。
建物滅失の申出とは所有する土地上に存在しない他人名義の建物の登記記録が残っているため、登記官によって滅失登記をしてもらう手続きのことです。
建物滅失の申出には建物が存在しないことや所有者が不明で連絡が取れない事情などを記載する上申書が必要になり、実地調査が行われるため、通常の登記申請よりも審査期間が長くなります。
滅失登記ができるのは所有者と相続人
建物の滅失登記を申請できる人は、以下のとおりです。
上記に該当する人であれば自分で滅失登記を申請できますが、手続きが複雑になるため、土地の所有者や相続人は土地家屋調査士に依頼することが一般的です。
建物の所有者
原則的には、建物の所有者として登記簿に記載されている人が滅失登記を申請を行います。
建物の所在地を管轄する法務局に、以下の登記申請書を提出します。
土地の所有者
建物の所有者が土地の所有者と異なる場合は、先述のとおり、建物滅失の申出の手続きを行います。
建物滅失の申出には、以下の上申書の提出が必要です。
相続人
建物の滅失登記を行っていない土地を相続した場合は、相続人が滅失登記の申請を行うことが一般的ですが、建物は解体されてなくなっているため、建物の相続登記は省略可能です。
相続人が複数いる場合は代表者1人が行う
建物の滅失登記を行っていない土地を複数で相続する場合は、相続人の代表者1人が滅失登記の申請を行います。
相続人が滅失登記を申請する場合は、被相続人と相続人との関係を証明する戸籍謄本などの書類が必要になります。
土地の相続登記は省略できない
建物の滅失登記を行っていない土地を相続した場合、相続人は建物の相続登記は省略できますが、土地の相続登記は省略できません。
土地と建物は別々の不動産で、それぞれ登記簿が存在します。
建物の相続登記を行っても滅失登記をすることになり、手間がかかるため、便宜上相続登記を省略できるだけです。
なお、土地を相続登記する手続きについては、以下の記事で詳しく解説しています。
滅失登記を自分で申請する時の流れ
建物の滅失登記を自分で申請する時の流れは、以下のとおりです。
- 建物の所在地を管轄する法務局を調べる
- 建物登記の有無を確認する
- 申請に必要な書類を準備する
- 滅失登記申請書を記入する
- 法務局へ申請書類一式を提出する
- 登記完了証を受け取る
建物の所在地を管轄する法務局は、法務局のサイト内にある「管轄のご案内」から調べることが可能です。
登記の有無を確認するには建物の家屋番号が必要で、登記識別情報で確認できます。
建物登記の確認ができたら、申請に必要な書類を準備し、法務局へ申請書類一式を提出します。
(必要書類の詳細については後述します)
法務局への申請は窓口に持参するほか、郵送やオンラインでもできますが、不明点や必要書類の不備の確認ができるため、可能であれば直接窓口に行きましょう。
申請書類に問題がなければ、建物滅失登記が行われ、1~2週間程度で登記完了証が交付されます。
滅失登記を自分で申請する時の必要書類と費用
建物の滅失登記を自分で申請する時に必要な書類と費用について解説します。
必要書類
滅失登記の申請を自分で行う際の必要書類は、以下のとおりです。
滅失登記申請書
滅失登記申請書は、法務局のホームページからダウンロードできます。
建物や所有者の情報、建物を取り壊した日を記入しましょう。
引用元:法務局|登記申請書(滅失登記)
取り壊し証明書(解体証明書)
建物取り壊し証明書とは建物を解体したことを証明する書類で、解体証明書や建物滅失証明書とも呼ばれます。
建物取り壊し証明書には解体業者が署名・捺印して発行し、印鑑証明書を貼付することが一般的です。
また、相続の場合などで建物取り壊し証明書を取得できない場合は、自治体が固定資産税の評価額決定のための現地調査で建物の解体の事実を把握していれば「建物滅失証明書」を発行してもらえる可能性があります。
相続証明書
相続人が建物の滅失登記を申請する場合は、相続証明書が必要になります。
被相続人の戸籍謄本・除籍謄本や住民票の除票または戸籍の附票、相続人の戸籍謄本などを自治体の窓口で取得しましょう。
変更証明書
変更証明書は住所や氏名について登記簿上の情報と現在の情報が異なる場合に必要になります。
戸籍謄本や住民票、戸籍の附票などを自治体の窓口で取得しましょう。
取り壊した建物を証明する書類
取り壊した建物を証明する書類は、以下のとおりです。
- 登記事項証明書
- 公図
- 建物図面
また、登記官が現地を確認する場合もあるため、滅失した建物が存在した場所の地図も準備しましょう。
上申書
建物の所有者が土地の所有者と異なる場合には、上申書が必要です。
また、建物取り壊し証明書を取得できず、自治体から建物滅失証明書の八個もしてもらえない場合も上申書が必要になります。
なお、上申書には申請者の印鑑証明書が必要になるため忘れずに準備しましょう。
委任状
建物の所有者が亡くなっている場合、相続人が滅失登記の申請を行えます。
滅失登記を土地家屋調査士に依頼する場合は、委任状を作成することで申請の代行を依頼できます。
委任状は土地家屋調査士が用意してくれるので、依頼する場合は指示を仰ぎましょう。
土地家屋調査士に申請を代行する費用
建物の滅失登記を自分で申請する時に必要な費用は主に書類の取得費用だけなので、1,500円以内におさまることがほとんどです。
ただし、管轄の法務局が遠方にある場合は交通費や宿泊費が発生するため、郵送やオンライン申請を活用することをおすすめします。
また、土地家屋調査士に建物の滅失登記の申請を依頼する場合は3〜5万円程度の報酬が必要です。
必要書類の取得から申請まで依頼できるため、忙しい人や手続きが苦手な人は依頼しても良いでしょう。
相続して活用する予定がない場合は買取業者へ売却する
建物の滅失登記をしていない土地を相続して活用する予定がない場合は、不動産買取業者へ売却することも選択肢の1つです。
土地を相続登記すれば問題ありませんが、活用しない土地を所有するとさまざまなリスクがあります。
また、相続した土地は不動産会社に売却を依頼することも可能ですが、立地が良いなど需要がある場合に限られます。
田舎にある土地など立地が悪い場合は一般の買い手に人気がないため、売却を依頼しても不動産会社に断られる可能性があります。
実際に、弊社アルバリンクが独自に行った「土地選び・土地探しで優先すること」に関するアンケート調査では、生活が便利な立地を優先している人が多い結果となりました。
上記の結果からも立地が悪い土地は、不動産会社に売却を依頼しても一般の買い手に売るのは難しいでしょう。
相続した土地の立地が悪い場合は、不動産買取業者に売却することをおすすめします。
なお、弊社アルバリンクも滅失登記をしていない土地などの訳あり不動産を買い取っている業者です。
相続した滅失登記をしていない土地を手放したくてお困りの方は、査定のみ、相談のみのお問い合わせでも受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
売れない土地の買取業者については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
建物の滅失登記をしていない土地の売却はアルバリンクがおすすめ
相続した滅失登記をしていない土地を手放したい場合は、アルバリンクに売却しましょう。
弊社アルバリンクは滅失登記をしていない土地をはじめとした訳あり不動産を全国から買い取っている業者です。
以下は、弊社が実際に土地を買取した事例です。
【買取した土地の概要】
物件の所在地 | 東京都 |
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買取価格 | 900万円 |
目的 | 相続財産の処分 |
【A様のお声】
父親が亡くなって実家のエリアで所有していた底地を相続しました。再建築ができない底地だったようでなかなか取り合ってもらえませんでしたが、無事に買取をして頂くことができました。相続登記や税金のことなど、各種士業の方にも助けて頂き安心して進めることができました。アルバリンクさんにお願いして良かったです、ありがとうございました。
上記の方以外にも、多くのお客様から感謝のお言葉をいただいております(下記Googleの口コミ参照)。
弊社は2011年に創業以来、2020年から2023年までの間で500件以上の空き家を買い取っている業者で、2023年に上場しています。
査定依頼をいただいても、無理な営業は行いませんので、ぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください。
まとめ
今回は、滅失登記をしない状態で放置するリスクについて解説しました。
建物を解体した際は、1ヶ月以内に滅失登記を申請することが義務づけられています。
滅失登記をせずに放置すると、10万円以下の過料に処されたり、土地が売却できなかったりといったリスクが生じます。
建物の滅失登記をしていない土地を相続した場合は、早めに土地の相続登記を行いましょう。
また、滅失登記をしていない土地を相続して活用する予定がない人は、不動産買取業者に売却することをおすすめします。
不動産買取業者であれば、滅失登記をしていない土地を直接買い取ってくれるため、短期間で現金化することが可能です。
なお、弊社アルバリンクも滅失登記をしていない土地をはじめとした訳あり不動産を全国から買い取っている業者で、「フジテレビ」を始めとする各メディアにも取り上げられた実績があります。
滅失登記をしていない土地を手放したくてお困りの方は、査定のみ、相談のみのお問い合わせでも受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。