所有者不明の空き家は早急に所有者を特定して対処すべき!【8つの理由】
所有者不明の空き家は、今すぐ所有者を特定して適切な対処を行うべきです。
所有者不明のまま空き家を放置することには、主に8つのリスクが潜んでいるからです。
その8つのリスクについて、「そもそも所有者不明の空き家と何か?」という概要もお話ししながら、詳しく解説していきます。
所有者不明の空き家となる最大の原因は「相続登記の未実施」
基本的に、「所有者不明の空き家」とは以下のような状態の空き家のことを言います。
- 登記簿上の所有者はわかるが、連絡が取れない。(住所がわからない、すでに亡くなっているなど)
- 登記簿上の所有者が亡くなっており、相続人がいない。
- 登記簿上の所有者が亡くなっており、相続人はいるが、相続人全員が空き家を放棄している。
- 登記簿上の所有者が亡くなっており、数代にわたり相続登記がされていないなど、相続人が多数となっており、その所在がわからない。
上記の4つの中でも、所有者不明の空き家となる原因として最も多いのは、上記4つ目の「相続登記の未実施」です。
相続登記とは、相続した財産(今回は空き家)の名義を被相続人から相続人へ変更するための手続きです。
相続登記は強制されていないことに加え、手続きにお金もかかるので、相続登記を怠る人が少なくありません。
そのため、相続登記をしないまま年数が経過し、元々相続人だった人たちが亡くなっていくと、誰が次の相続人になっているのかわからなくなるという問題が発生します。
例えば、親が亡くなり、兄と弟で空き家を相続するケースを例に挙げます。
兄と弟で話し合った結果、空き家は売却して、売却益を2人で分けることにしたとします。
空き家を売却する際は、一度不動産の名義を兄と弟にする必要がありますが、いざ登記簿を確認したら、所有者が親ではなく、全く知らない人だったというケースがあります。
今まで空き家は受け継がれていたけど、相続登記はされてこなかった場合に起こります。
この場合、兄と弟は登記簿上の所有者(=全く知らない人)の血縁をすべてたどり、すべての相続人を洗い出す必要があります。
しかし、数代にわたって相続登記がされてこなかった場合、その分相続人は多くなります。
このように、相続登記をせずに空き家が受け継がれ、相続人が増えてどんどん複雑化していけば、孫やひ孫の代になったときに、今誰が空き家の相続人になっているのかわからない状態となり、当然に所有者も特定できなくなります。
空き家の相続人が複雑化している場合、正直言って所有者を特定するのはかなり大変です、
しかし、所有者がわからないまま空き家を放置するリスクの方が大きいので、空き家の所有者は早く特定するべきです。(所有者不明の空き家を放置するリスクについては後述します)
「相続登記」や「住所変更登記」は義務化されている
「相続登記」と「住所変更登記」が義務化されています。
「住所変更登記」とは、転勤による引っ越しなどで住所が変わった場合に、登記簿上の不動産所有者の住所も変更する登記手続きのことです。
参照元:法務局「登記されている住所・氏名に変更があった方へ」
「相続登記」や「住所変更登記」が義務化された目的は、所有者不明のまま空き家が放置され、適切な対処ができないことで、住環境を悪化させたり都市計画の妨げにならないようにするためです。
上記2つが義務化されたことにより、改正となった内容は以下の通りです。
【相続登記】
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
申請期限 | なし | 相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内 |
過料(罰金) | なし | 10万円以下 |
参照元:宇都宮地方法務局「知っていますか?相続登記の申請義務化について」
【住所変更登記】
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
申請期限 | なし | 相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内 |
過料(罰金) | なし | 10万円以下 |
参照元:司法書士法人 公道「【令和8年4月までに施行】住所・氏名変更登記が義務化!」
上記のように、相続登記や住所変更登記を怠ると、空き家の相続人に対して過料が課せられることになります。
あなたが面倒を見ている空き家に対して、現段階では誰が正式な所有者(または相続人)になるかわかりませんが、
あなたが所有者となる可能性もありますので、早急に所有者を特定して対処すべきです。
所有者不明の空き家解消へ向けた法改正については、以下の記事で詳しく解説しています。
所有者不明の空き家を放置する2つのリスク
所有者不明の空き家のまま放置するリスクは主に以下の2つがありますので、それぞれ詳しく解説していきます。
- 永遠に処分できない
- 子や孫、ひ孫の代にまで空き家管理の負担を負わせてしまう
永遠に処分できない
空き家が所有者不明の状態だと、売却(処分)したり貸したり活用したりできません。
一般的に、不動産は登記上の名義人(=正式な所有者)しか上記のような行為を認められていないからです。
実際に、民法第177条でも、不動産を売ったり貸したりとった行為は登記した者でなければ行えない旨が定められています。
民法第177条
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。引用元:民法第177条
例えば、あなたが「もう空き家の面倒を見るのが嫌だから早く手放したい」と思っても、登記簿上の名義人があなたでなければ売りに出せません。
よって、空き家の正式な所有者(=登記上の名義人)を決めなければ、空き家の面倒を見ているあなたが永遠に負担を強いられることになるのです。
あなたが空き家を抱える負担から解放されるためには、早急に所有者を特定に向けて働きかける必要があります。
子や孫、ひ孫の代にまで空き家管理の負担がかかる
所有者不明の空き家を放置し続けると、あなたの子や孫、ひ孫の代に対して、空き家を管理する負担をかけてしまうことになります。
あなたが空き家を放置したまま亡くなってしまえば、さらに空き家の相続人が複雑化し、所有者の特定を困難にさせてしまうからです。
前述したように、空き家の所有者を特定しないまま年数が経過すると、どんどん相続人が増えていくので、誰が次の相続人になっているのかわからなっていきます。
つまり、空き家の所有者の特定を怠る代が増えるごとに、そのツケが下の代に溜まっていくかのごとく、所有者特定がより難しくなっていくのです。
このような負の連鎖を断ち切るためにも、あなたの代で空き家の所有者を特定しておきたいです。
空き家を放置する6つのリスク
所有者不明でなくても、空き家を放置することそのものにも、以下6つのリスクがあります。
- 急速に老朽化して資産価値が下がる
- 老朽化による倒壊で損害賠償を請求される
- 実家を犯罪に利用されやすくなる
- 実家にゴミを不法投棄されやすくなる
- 実家を管理するランニングコストがかかり続ける
- 実家が「特定空き家」に指定されて強制的に解体させられる
特に、2つ目の「空き家倒壊による損害賠償請求」は、金銭面では最も大きいリスクと言えます。
もし、老朽化した空き家が台風などの影響で倒壊し、空き家の屋根や外壁などの破片が歩行者に当たって死亡させた場合、最高で「2億円」の損害賠償を請求される可能性があるからです。
2億円という金額は、日本住宅総合センターによる過去の判例などを基に試算された金額なので、信憑性は決して低くありません。
現段階で誰が空き家の所有者(または相続人)になるかわからないので、あなたが上記6つのリスクを負うことはないかもしれませんが、あなたが空き家の所有者となる可能性はゼロではないので、早急に所有者を特定しておくべきです。
上記6つのリスクについては以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
所有者不明の空き家の所有者を特定させる3つの手順
前述したような「所有者不明の空き家を抱えるリスク」を回避するためにも、まずは空き家の所有者を特定するための調査を行いましょう。
空き家の所有者の有無によって、空き家をどう対処するべきかの方向性が決まってくるからです。
基本的に、空き家の所有者を特定する際は、以下のフローチャートのような手順で進みます。
上記の手順は、大きく分けると以下の3つで構成されていますので、それぞれ詳しく解説していきます。
- 「登記事項証明書」を取得して現在の所有者(登記名義人)を確認する
- 「住民票」を取得して所有者が生存しているか確認する
- 「周辺住民」や「各種公共機関」に聞き込みする
未登記建物の所有者の調べ方については、以下の記事でも詳しく解説しています。
「登記事項証明書」を取得して現在の所有者(登記名義人)を確認する
まずは、登記事項証明書を取得し、現在の空き家の所有者が誰になっているかを確認します。
登記事項証明書(登記簿謄本)とは、以下の画像のように、不動産の情報(所有者の氏名、住所、大きさ、構造、地目など)が記載された証明書のことです。
登記事項証明書の「権利部(甲区)」に所有者の名前と住所が掲載されているので、そこで現在の登記名義人(=登記簿上における現在の所有者)を確認できます。
上記の画像の例で言うと、権利部(甲区)の順位番号2番である「法律B子」が現在の所有者ということになります。
登記事項証明書は、空き家のあるエリアを管轄する法務局の窓口に行けば取得できます。特に必要な書類は必要ありませんが、証明書1枚発行につき600円かかるので、必要枚数に応じた費用は準備してください。
法務局の窓口に行かなくても、オンラインで交付請求して登記事項証明書を郵送してもらう方法もあります。「申請者情報の登録」を行い、「かんたん証明書請求」にログインすると、登記事項証明書の交付を請求を行えます。
>>「申請者情報の登録」はこちら
>>「かんたん証明書請求」へのログインはこちら
登記事項証明書で所有者(登記名義人)を把握したら、次の行程に移ります。
登記簿謄本の見方については、以下の記事で詳しく解説しています。
「住民票」を取得して所有者が生存しているか確認する
登記事項証明書を取得して所有者(登記名義人)を把握したら、その所有者の「住民票」を取得して、生存しているかを確認します。
空き家のあるエリアを管轄する役所の窓口で「住民票の写し」の交付を申請し、住民票が取得できれば所有者は「生存」しているとわかります。
その場合は、住民票に記載されている住所へ訪問し、所有者の居住確認を行います。(詳しくは後の章で解説)
対して、所有者の住民票が削除されていることで取得できなかった場合は、所有者は「転出」しているか「死亡」しているかのどちらかです。
この場合は、さらに「住民票の除票」を取得すれば、以下のように所有者の「転出先の住所」や「死亡日」などが記載されているので、所有者の生存確認が可能です。
【転出先がわかる例】
引用元:住民票ガイド
【死亡日がわかる例】
引用元:住民票ガイド
所有者が「転出」していれば生存しているので、転出先に訪問し、居住確認を行います。(詳しくは後の章で解説)
所有者が「死亡」していれば、相続人の有無を調べる必要があるので、その方法を次の章で詳しく解説していきます。
所有者が亡くなっている場合は、「戸籍謄本」を確認して相続人の有無を調べる
住民票の除票を確認して、所有者が亡くなっていることがわかった場合は、「所有者の出生から死亡までの戸籍謄本」を取得して、所有者の相続人の有無を調べます。
戸籍謄本には、亡くなった人の両親、兄弟姉妹、結婚歴、子どもなどの情報が記載されているので、その情報から空き家の相続人となる人を特定していきます。
引用元:戸籍謄本取り寄せセンター
「所有者の出生から死亡までの戸籍謄本」は住民票を取得した時と同じ役所の窓口で取得できます。
「相続に使用するため出生から死亡までの戸籍謄本が必要です」と担当者に言えば、申請方法を案内してくれます。
上記の調査によって相続人の有無がわかりますが、相続人がいるかいないかで今後の対応が以下のように変わってきますので、それぞれ詳しく解説していきます。
- 亡くなった所有者に相続人がいる場合は、相続人全員を招集して遺産分割協議を行う
- 亡くなった所有者に相続人がいない場合は、財産管理人が選定されて処分される
亡くなった所有者に相続人がいる場合は、相続人全員を招集して遺産分割協議を行う
前述した空き家の相続人の調査により、空き家の相続人が1人だと判明した場合は、その相続人にコンタクトを取り、空き家の正式な所有者となってもらうために相続登記の依頼することになります。
もし、空き家の相続人が複数いることがわかった場合は、全ての相続人を招集し、空き家に関する遺産分割協議を行うことになります。
遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方を話し合う手続きのことです。
一般的に、財産を分割する際は以下3つの方法から選ぶことになります。
- 現物分割
- 不動産などの相続財産を現金に換えることなく、そのまま相続する遺産分割する方法
- 代償分割
- 1人の相続人が財産を取得し、その相続人が他の相続人に代償金を支払うことで遺産を分割する方法
- 換価分割
- 遺産を売却してお金に代え、そのお金を相続人同士で分ける方法
基本的に、空き家は現金のように現物を複数の相続人へ綺麗に分けることができないので、現物分割以外の2つの方法で分割することになります。
空き家を「代償分割」する場合は、空き家を相続人の1人に取得させ、その空き家の相続人が他の相続人に対して法定相続分に相当する現金を支払う形を取るのが一般的です。
空き家を「換価分割」する場合は、空き家を売却し、その代金を相続人間で法定相続分の割合で分ける方法を取ることになります。
空き家の場合、最も簡単に分割できる方法は「換価分割」ですが、どの分割方法が良いかは相続人の意向にもよります。
ですから、弁護士や司法書士といった専門家を交えて、相続人全員が納得できるまで話し合うことが大切です。
共有物の分割方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
亡くなった所有者に相続人がいない場合は「相続財産管理制度」が適用される
前述した空き家の相続人の調査により、所有者に相続人がいないと判明した場合は、「相続財産管理制度」が適用され、最終的に空き家は処分されます。
相続財産管理制度とは、ある財産に関する相続人が存在しないときに、家庭裁判所の申立てにより「相続財産清算人」を選任され、その財産管理人が財産を管理したり処分する制度です。
参照元:裁判所「相続財産清算人の選任」
前述したように、空き家を放置すると様々なリスクがあるので、相続人が不在で所有者不明となっている空き家をこれ以上増やさないという目的から上記のような制度が設けられています。
実際に、千葉県船橋市では、所有者(登記名義人)が亡くなっており、法定相続人もいない空き家を「相続財産管理制度」によって処分した事例があります。
相続財産管理制度を申し立てるには、亡くなっていた空き家所有者の住所を管轄する家庭裁判所へ、以下の必要書類を提出します。
- 亡くなっていた空き家所有者の「住民票の除票」または「戸籍附票」
- 空き家の資料(不動産の全部事項証明書、預貯金通帳写し、残高証明書など)
- (利害関係人が申し立てる場合)利害関係がわかる資料(戸籍謄本など)
- (財産管理人の候補者がある場合)その住民票又は戸籍附票
ただ、このような手続きは弁護士や司法書士に相談すればサポートしてくれるので、あなたが今すべてを把握しておく必要はありません。
このように、空き家の所有者の特定に動いた結果、仮に所有者が亡くなっていて相続人がいなかったとしても、最終的には国や市町村が空き家を処分してくれ、あなたは空き家を抱えるリスクから解放されます。
よって、空き家の所有者を特定するために動くメリットは十分にあると言えます。
「周辺住民」や「各種公共機関」に聞き込みする
空き家の所有者(登記名義人)がわかり、住民票を取得できた場合は生存している証拠なので、その場合は住民票で確認できた住所に訪問して「居住確認」を行います。
実際に空き家の所有者がその住所に住んでいて接触できたなら、空き家の正式な所有者となってもらうために相続登記の依頼を行います。
もし、居住を確認できなかった場合は、「周辺住民」や「各種公共機関(病院、水道局、電気会社など)」に聞き込みを行い、その住所に人が住んでいるかの確認を行います。
聞き込みについては、住民票や戸籍謄本の取得と違って、国家資格を持たないあなたでも実施できますが、慣れていない一般の個人が聞き込みを行うと、トラブルの元になりやすいので、無理せず弁護士や司法書士といった専門家に任せるべきです。
所有者は存在するが、行方がわからない場合は「不在者財産管理制度」が適用される
前章のとおり、聞き込みを行って「所有者は住んでいる」ことがわかっても、その行方がわからない場合は「不在者財産管理制度」が適用され、最終的に空き家は処分されます。
不在者財産管理制度とは、財産の所有者が行方不明の場合に、家庭裁判所の申立てにより「不在者財産管理人」を選任され、その財産管理人が財産を管理したり処分する制度です。
参照元:裁判所「不在者財産管理人選任」
前述した「相続財産管理制度」と同じように、所有者不在で放置された空き家をこれ以上増やさないという目的から上記のような制度が設けられています。
実際に、東京都大田区では、所有者(登記名義人)が不在の空き家を「不在者財産管理制度」によって処分した事例があります。
不在者財産管理制度を申し立てるには、空き家所有者の住所を管轄する家庭裁判所へ、以下の必要書類を提出します。
- 不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 不在者の戸籍附票
- 財産管理人候補者の住民票又は戸籍附票
- 不在の事実を証する資料
- 不在者の財産に関する資料(預金通帳など)
- (利害関係人が申し立てる場合)利害関係がわかる資料(戸籍謄本など)
相続財産管理制度と同様に、不在者財産管理制度の手続きや必要書類の準備については、弁護士や司法書士に相談すればサポートしてくれますので、あなたが把握する必要はありません。
このように、空き家の所有者が行方不明でも、最終的には財産管理人が空き家を管理または処分してくれるので、あなたは空き家を抱えるリスクから解放されることになります。
所有者が特定できた空き家の6つの対処法
所有者の調査を行った結果、最終的にあなたが空き家の相続人となった場合、今後空き家をどうするのかを明確に決めましょう。
空き家を管理していくのか、それとも処分するのかを、正式な相続人であるあなたが今明確に決めておかないと、前述した空き家を放置するリスクは解消しないからです。最悪の場合、空き家が放置されることで、再度所有者不明となる可能性すらあります。
あなたが空き家の相続人となったなら、考えられる空き家の対処法は主に以下の6つがあります。
- 相続土地国庫帰属法を利用する
- 自治体に寄付する
- 無償譲渡する
- 賃貸経営を行う
- 空き家バンクに登録する
- 売却する
結論から言うと、空き家の使い道がないなら「売却」してしまうのが最適です。
空き家を売却すれば、空き家を抱えるリスクから解放されながら、まとまったお金も手に入るからです。
他の5つの方法については、条件が厳しくて実現しなかったり、トラブルが起こりやすかったり、金銭的に損する可能性があるなどの理由で、空き家の対処法としては正直言って現実味がありません。
上記の詳細も含めて、空き家の6つの対処法について詳しく解説していきます。
相続土地国庫帰属法を利用する
空き家の対処法の1つ目は「相続土地国庫帰属法」を利用することです。
相続土地国庫帰属法とは、令和5年4月27日より施行された、相続や遺贈により取得した土地を引き取ってくれる制度です。
空き家を国が引き取ってくれれば、あなたは空き家を抱えるリスクから解放されます。
しかし、国が空き家を引き取ってくれることはほとんどありません。というのも、法務省が制定している「引き取り条件」が以下のように厳しいからです。
【引き取ることができない土地の要件の概要】
(1) 申請をすることができないケース(却下事由)(法第2条第3項)
A 建物がある土地
B 担保権や使用収益権が設定されている土地
C 他人の利用が予定されている土地
D 土壌汚染されている土地
E 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
上記の通り、そもそも「土地」でなければ引き取ってくれないので、空き家を引き取ってもらうには、建物を解体しなければなりません。
一般的に、空き家の解体費用は「100万円前後」かかりますから、その資金を準備できなければ、この制度を利用できません。
また、国に土地を引き取ってもらうには、その土地の管理費用(10年分)もあなたが負担しなければなりません。
このように、国に空き家を引き取ってもらうには、100万円前後のお金がかかります。それなら、多少安くなっても第三者に売却してお金を受け取った方があなたにはメリットがあります。(現金化する方法は後述します)
相続土地国庫帰属法という制度はあるので一応紹介しましたが、実際にはあなたにとってほとんどメリットのない制度ですので、他の方法を検討するべきです。
相続土地国庫帰属法については、以下の記事でも詳しく解説していますので参考にしてください。
自治体に寄付する
空き家の対処法の2つ目は、空き家・空き地を「自治体に寄付する方法」です。
空き家を無料で自治体に寄付できれば、あなたは空き家を抱えるリスクから解放されます。
空き家を自治体に寄付する場合は、空き家のあるエリアを管轄する自治体の「空き家の寄付に関する相談窓口」で寄付したい旨を伝えます。
寄付の申請が受け付けされた場合、自治体の担当者が空き家の調査を始めます。調査の結果、空き家の受け入れが可能となれば、あなたは以下の必要書類を準備して担当者に提出します。
- 寄付申出書(※各自治体の書式があります)
- 公図(※法務局で取得可能)
- 登記事項証明書(※法務局で取得可能)
- 所有権移転登記承諾書(※兼登記原因証明情報)
- 現況写真(※ご自身で準備)
- 権利者の承諾書(※所有権以外の権利設定がある場合。ご自身で準備)
- その他、自治体が求める書類
しかし、前述した相続国庫帰属法と同様、空き家を自治体への寄付できることはほとんどありません。
自治体からすると、空き家を引き取るメリットがないからです。
空き家を引き取れば、固定資産税の徴収先が減ることになりますし、何より引き取った空き家の管理費用を負担しなければならなくなるからです。
よって、空き家を寄付についてダメ元で自治体に問い合わせてみても良いですが、高確率で徒労に終わるでしょう。
それなら、前述したように、多少安くなっても空き家を売却してお金にした方があなたにとってはメリットがあります。
「自治体への寄付」については、以下の記事でも詳しく解説していますので参考にしてください。
無償譲渡する
空き家の対処法の3つ目は、空き家を「無償譲渡」する方法です。
空き家が欲しい人(知人、友人など)を見つけてタダで譲渡できれば、あなたは空き家を抱えるリスクから解放されます。
例えば、知人や友人を当たった結果、「空き家を活用した投資をしたいから」「空き家を再生して住みたいから」といった理由で空き家を欲しがっていて、あなたもお金を必要としていないなら、空き家を譲渡すれば綺麗サッパリ手放すことできます。
ただ、譲渡される人(譲受人)からすると、タダで空き家をもらえると言っても、固定資産税や贈与税が課されることになります。
その事実を知れば、譲受人は空き家をすんなり受け入れてくれるとは限りません。
財産の受け渡しがあった時点で課税される税金。無償譲渡の場合でも発生する。
また、何度も言うように、売ればお金になる可能性が高い空き家をタダで譲渡するのは、やはりもったいないです。
空き家を欲しい人が見つかっていて、あなたもお金を受け取らなくて良いなら無償譲渡を検討しても良いですが、まだ譲受人が見つかっていなかったり、できればお金を受け取りたいという希望があなたの中に少しでもあるなら、先に他の方法を検討するべきです。
「無償譲渡」については、以下の記事でも詳しく解説していますので参考にしてください。
賃貸経営を行う
空き家の対処法の4つ目は、空き家をリフォームして「賃貸経営」を行う方法です。
空き家を賃貸用にリフォームした上で賃借人を募り、入居者がつけば、あなたは大家さんとして家賃収入を受け取れるようになります。
また、リフォームして建物を新しくするので、前述した「空き家が倒壊して損害賠償を請求されるリスク」も回避できます。
例えば、あなたの空き家が駅近で商業施設も整っている利便性の高いエリアにあるなら、空き家を賃貸用の戸建てやシェアハウスに改築しすれば、社会人や学生が住んでくれる可能性があります。空き家が利便性の良いエリアにあれば入居率も高くなるので、家賃収入も安定して受け取れるでしょう。
ただし、駅から遠かったり、地方や田舎にあるような利便性の低い空き家の場合は、賃貸用にリフォームしても賃借人がつかず、安定して家賃収入を受け取ることは難しいです。
「家の購入で優先したこと」に関するアンケート調査でも、「立地」がダントツで重要視されており、居住用物件においては、利便性が良い好立地物件が人気であることがわかります。
入居付けがうまくいかなければ空室期間は長引き、最悪の場合は、リフォーム費用として投資したお金を回収できず赤字になる可能性もあります。
よって、賃貸運営を行うなら、賃貸事業者として商売をする覚悟や賃貸物件を管理し続ける覚悟が必要です。
「あわよくば儲けたい」という安易な気持ちでは、絶対に手を出してはいけない対処法です。
空き家バンクに登録する
5つ目の空き家の対処法は「空き家バンク」に登録して買い手を募る方法です。
空き家バンクとは、各自治体が運営する「空き家の売主と買主を巡り合わせるシステム」です。
空き家バンクに無料で登録し、自動的に買い手が現れて無事売買が成立すれば、あなたは空き家を抱えるリスクから解放されながら、お金も受け取ることができます。
あなたの空き家も同じように登録しておけば、買い手が見つかる可能性があります。
しかし、空き家バンクを運営している自治体によっては、仲介業者と提携していないことが多く、その場合の空き家の売買は「個人間」で行うことになります。
それが原因で、空き家バンクでの売買においては、「売買契約時に説明のない欠陥があった」や「近所の人から事故物件であることを伝えられた」といったトラブル事例が報告されています。
よって、あなたの空き家に該当する自治体の空き家バンクが仲介業者と提携しているなら検討しても良いですが、そうでないならトラブルに発展する可能性が高いので、先に他の方法を検討するべきです。
「空き家バンク」については、以下の記事でも詳しく解説していますので参考にしてください。
売却する
前述したように、空き家の使い道が決まっていないなら「売却」してしまうことをおすすめします。
空き家を売却してしまえば、あなたは空き家を抱えるリスクから解放されると同時に、まとまったお金も手に入るからです。
一般的に、空き家を売却する方法としては、「仲介業者に売却を依頼する方法」と「買取業者に直接買い取ってもらう方法」の2種類があります。
- 「仲介業者」に売却を依頼する方法
- 売主から不動産の売却依頼を受けた不動産会社が、チラシやネットを活用して一般の買い手を探し、契約・決済までを取りまとめる取引方法です。
- 「買取業者」に直接買い取ってもらう方法
- 売主の所有物件を、不動産会社が直接買い取ることです。仲介業者のように広報活動や買主探しを行うことはしません。
「仲介」と「買取」の違いについては以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
結論から言いますと、あなたの空き家が築古で老朽化が著しいなら「買取業者」に買い取ってもらうことをおすすめします。
老朽化した空き家の売却を仲介業者に依頼しても、買い手となる一般の個人はすぐに居住できる物件を探しているので、老朽化して住めない空き家を買ってくれないからです。
上記の詳細も含めて、以下より両者の売却方法について解説していきます。
築浅で建物の状態も立地も良いなら「仲介業者」に売却を依頼する
あなたの空き家が「築浅」で「建物の状態も立地も良い」なら仲介業者に売却を依頼すれば、市場価格に近い価格ですぐに売れやすいです。
前述したように、仲介業者は買い手として一般の個人を探しますが、一般の個人は今すぐ住める綺麗な物件や立地が良く利便性が高い物件を探しているからです。
例えば、あなたの空き家が都心にあり、最寄駅から徒歩10分圏内、近くに大型ショッピングセンターがあり、学校や公園などの公共施設も充実しているなど利便性が良いなら、すぐに買い手が見つかるでしょう。
しかし、あなたの空き家が田舎にあり、築古で老朽化が進んでいて人が住めない状態ですと、一般の個人からの需要がないので、仲介業者に売却を依頼しても売れません。
よって、あなたの空き家が後者であるなら、仲介業者に売却を依頼するのではなく、次に紹介する買取業者を検討してください。
築古で建物の状態も立地も悪いなら「買取業者」に売却を依頼する
あなたの空き家が「築古」で「建物の状態も立地も悪い」なら、専門の買取業者に依頼するべきです。
専門の買取業者なら、あなたの空き家が老朽化していて、立地が悪く、一般の個人から需要がない状態でも、「そのままの状態」で「確実」に買い取ってくれるからです。
専門の買取業者が上記のような空き家でも問題なく買い取れるのは、安くリフォームして再販するノウハウを持っているからです。
例えば、実際に弊社では千葉県鎌ケ谷市にある老朽化した空き家を買い取り、賃貸物件用にリフォームして入居者を付け、家賃収入を受け取れる状態にまで再生した実績があります。
その後、その物件は商品として不動産投資家に売却することにも成功しています。
このように、専門の買取業者は、老朽化した空き家を商品化するノウハウを豊富に持っているので、どんな空き家でもすぐに買い取ってくれるのです。
ですから、あなたの老朽化した空き家も専門の買取業者に依頼すれば、確実に現金化できるだけでなく、あなたが賃貸物件用にリフォームする手間やお金をかける必要も、国や自治体に寄付するために掛け合う必要もなく、ラクに空き家を手放すことが可能です。
なお、弊社は老朽化した空き家に強い専門の買取業者です。
全国の空き家を買い取っており、「20年以上放置されて老朽化が進んだ空き家」や「不用品で室内があふれてしまっている空き家」なども買い取った実績もあります。
【20年以上放置された空き家の買取事例】 【不用品で室内があふれてしまっている空き家の買取事例】
引用元:Albalinkの空き家買取事例
上記のように、未登記・雨漏り・大量の残置物など、さまざまな問題を抱えた空き家を適正価格で買取しております。
上記の方々だけでなく、弊社に買取依頼をしていただいたお客様からは「肩の荷が下りた」「色々不安だったがスムーズに売却できた」といった感謝の言葉を多数いただいております。
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
弊社は「全国対応」、査定や相談は「無料」ですので、少しでも買取を検討していましたら、まずは弊社へ一度ご相談ください。
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まとめ
今回は、所有者不明の空き家に対処する方法を詳しく解説してきました。
所有者不明の空き家を放置すると、永遠に処分できなかったり、子や孫、ひ孫の代にまで迷惑をかけるリスクがあるので、今すぐに所有者を特定して対処する必要があります。
空き家の所有者を特定する具体的な方法については、本文中で詳しく解説しているので、改めて確認をしておいて欲しいですが、正式な所有者は見つかる場合もあれば、すでに亡くなっており、新しい相続人(=s新しい所有者)を決める必要がある場合もあります。
そして、新しい所有者となるのが、あなたである可能性も十分にあります。
もし、あなたが空き家の新しい所有者となったなら、今後一切「所有者不明の空き家」にさせないためにも、空き家を管理するのか、それとも処分するのかを明確に決めてください。
空き家の対処法についても本文中で詳しく紹介しましたが、最もおすすめなのは「専門の買取業者」に買い取ってもらう方法です。
専門の買取業者なら、どんなに老朽化して需要のない空き家でも、「そのままの状態」で「確実」に買い取ってくれるからです。
つまり、あなたは買取業者に「買い取って欲しいです」というだけで、空き家を抱えるリスクから解放され、おまけにまとまったお金も手に入れることができるのです。
もし、あなたが空き家の新しい所有者となったなら、空き家を「綺麗サッパリ」そして「お得」に手放すためにも、専門の買取業者に相談してみてください。
なお、弊社は老朽化した空き家に強い専門の買取業者です。
一般の不動産会社が取り扱わないボロ空き家なども買取しており、フジテレビの「イット」で特集された実績もございます。
年間相談件数5000件、年間買取件数600件の買取実績(※)があり、他の業者が断るような物件でも、数多く買い取りしてきました。
※2023年1月1日~2023年10月25日現在の実績:相談/5,555件:買取/600件
「空き家をできる限り高く売却し、空き家を抱えるリスクから一刻も早く解放されたい」とお考えの場合は、一度弊社へご相談ください。
もちろん、相談のみの問い合わせも歓迎しております。