亡くなった親の土地の名義変更はなぜ必要?
亡くなった親の土地の名義変更は相続登記にあたり、 相続手続きの一環として重要です。
名義が被相続人のままだと、不動産の売却や担保提供などができず、資産としての活用が大きく制限されるからです。
たとえば、相続登記を放置した結果、相続人の一部が死亡して法定相続人が増え、話し合いが困難になったケースもあります。
不動産を「所有する」という権利を正当に引き継ぎ、将来的なトラブルを防ぐためにも、名義変更は必要不可欠な手続きです。
なお、空き家の名義変更については、以下の記事で詳しく解説しています。

相続登記とは?
相続登記とは、亡くなった方の名義になっている不動産の所有権を、相続人に移転するための登記手続きです。

土地や建物などの不動産に関する権利関係を明確にするために不可欠です。
具体的には、戸籍謄本や住民票、遺産分割協議書などの必要書類を収集し、法務局に申請書を提出することで、登記簿の名義を変更します。
なお、名義変更の際の流れや必要な書類については、こちらの「亡くなった親の土地の名義変更の手続きと流れ」章で詳しく解説しております。
相続登記を行うことで、法定相続人の権利が明確になり、不動産の売却や賃貸、担保設定が可能になります。
相続登記の義務化(名義変更の期限)
2024年4月1日以降、相続登記は義務化され、土地や建物の名義変更は原則として「相続を知った日から3年以内」に申請しなければなりません。
これは相続放置による空き家問題や登記簿上の不明確な所有者の解消を目的とした制度です。
法定相続人であることを知った時点からのカウントとなるため、死亡通知などを受け取ったら速やかに対応を始めることが大切です。
法務局や司法書士などの専門家に依頼し、必要書類の準備と申請を計画的に進めることで、法的リスクの回避と円滑な名義変更が可能になります。
なお、相続登記の義務化については、以下の記事で詳しく解説しています。

名義変更を怠った場合の過料や罰則
名義変更を怠った場合、2024年4月の法改正により「過料」が科される可能性があります。
正当な理由がなく相続登記を怠った場合、10万円以下の過料が発生します。
参照元:東京法務局「相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)」
不動産の名義が被相続人のままだと、売却や担保利用ができないうえ、固定資産税の納税通知書も受け取れず、税務上の問題が生じることもあります。
過料や罰則を避けるには、法務局や専門の司法書士へ相談し、必要書類を整えて期限内に申請する体制を整えることが大切です。
亡くなった親の土地を名義変更しないとどうなる?
親が亡くなった後に土地の名義変更を行わないと、以下のような問題が発生します。
名義変更は、相続人全員の協議や戸籍謄本の取得など、多少の手間はかかりますが、早めの対処が肝心です。
なお、相続した家が未登記物件だった場合のリスクについては、以下の記事で詳しく解説しています。

売却や担保設定ができなくなる
名義変更がされていない不動産は、売却や担保に使うことができません。
所有者が被相続人のままでは、相続登記の申請義務化によって法的に処分することが不可能になってしまうからです。
参照元:法務省「相続人申告登記について」
たとえば、急な資金調達のために親の土地を担保にしたかった方が、名義変更が未了だったために融資を受けられず、事業計画に支障をきたケースもあります。
名義変更を完了させることで、所有者としての正当な権利を証明でき、不動産の売買や担保設定が可能になります。
将来的な資産の流動性を高めるためにも、名義変更は速やかに行うべき重要な手続きです。
相続人同士のトラブルに発展する可能性がある
土地の名義変更をしないと、相続人同士でのトラブルに発展するリスクが高まります。
名義が被相続人のままだと遺産分割が完了するまでは相続人全員の共有状態となり、法定相続分をめぐる争いが生じやすくなるためです。
実際に、遺産分割の話し合いを放置していた結果、相続人の一部が他界し、相続人が孫世代にまで増え、協議が事実上不可能になったというケースがあります。
名義変更を行うことで、相続財産の分割を正式に確定させ、相続人全員の権利関係を整理できます。
固定資産税の納税義務は残る
名義変更をしていなくても、相続人は現実の所有者としてみなされるため、固定資産税の納税義務は相続人に発生します。
さらに、相続人が複数人いる場合、負担の押し付け合いや放置が起きやすく、最悪の場合固定資産税が最大6倍に跳ね上がるリスクもあります。
名義変更を済ませれば、納税者としての権利義務が明確になり、納税証明書なども正式に発行されるようになります。
固定資産税評価額や課税状況も把握しやすくなるため、資産管理の面でも有利です。
相続関係が複雑化し手続きが困難になる
名義変更を怠ると、時間の経過とともに相続関係が複雑化し、手続きが著しく困難になります。

とくに、相続人が亡くなったり、疎遠になったりするケースではその傾向が強まります。
相続開始直後に手続きを進めることで、関係者の状況が比較的把握しやすく、戸籍収集や遺産分割協議もスムーズに進みます。
今後、手続きが複雑になる前に、迅速に名義変更を進めることが重要な対策です。
亡くなった親の土地の名義変更の手続きと流れ
亡くなった親の土地を相続する際には、名義変更の手続きを正しい流れで行うことが重要です。
亡くなった親の土地の名義変更の手続きは、以下のとおりです。
効率的に手続きを進めるために、流れを把握しましょう。
なお、不動産を相続する流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。

【STEP1】相続人の確定と遺言書の確認
名義変更の最初のステップは、法定相続人の確定と遺言書の有無の確認です。
相続関係を正確に把握しないと、後の遺産分割や登記に支障が出るためです。
相続人の確定に関しては、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍を取り寄せて確認し、全ての相続人を確定させる必要があります。
また、遺言書に関しては、自宅の金庫などに保管されていないか、また自筆証書遺言書保管制度によって法務局に保管されていないか確認しましょう。
遺言書がある場合は、必ず家庭裁判所で検認を受ける必要があります。
相続人の確定と遺言書の確認は名義変更の基礎となる重要な作業で、誤りがあるとやり直しが必要となり、時間も費用の負担も増えてしまいます。
正確かつ効率的に進めるためには、司法書士などの専門家に依頼するのも有効な手段です。
【STEP2】必要書類の収集
名義変更の次のステップは、法務局への申請に必要な書類を収集することです。
手続きを円滑に進めるために、正しい書類を事前に準備しておくことが重要です。
主な必要書類と費用の目安は、以下のとおりです。
| 必要書類 | 費用の目安 |
|---|---|
| 戸籍謄本 | 1通450円 |
| 除籍謄本、改正原戸籍謄本 | 1通750円 |
| 住民票、住民票の除票 | 1通200円~400円 |
| 印鑑証明書 | 1通200円~400円 |
| 固定資産評価証明書 | 1通200円~400円 |
| 登記簿謄本(全部事項証明書) | 1通480円~600円 |
それぞれの取得には役所や市区町村窓口への出向が必要なため、早めに準備を開始し、役所の受付時間や交付手順も確認しておくべきです。
不安がある場合は、行政書士や司法書士事務所などに相談し、正確な書類を効率よく収集する体制を整えましょう。
【STEP3】遺産分割協議と協議書の作成
相続人全員による遺産分割協議は、名義変更の前提となる重要なプロセスです。
遺産分割協議によって、土地を誰が相続するのかを明確に決定し、その内容を協議書として作成する必要があります。
遺産分割協議書は、法務局への登記申請時に提出が求められ、法的にも有効な証明書類となります。
作成に不安がある場合は、専門家の監修を受けることで、正確で法的に有効な協議書を作成することが可能です。
なお、共有不動産の遺産分割協議書の作成方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

【STEP4】法務局への申請と登記完了までの流れ
最終ステップは、必要書類をそろえて法務局に申請し、登記を完了させることです。
これにより正式に所有権が移転し、名義変更が成立します。
登記完了までの流れを理解し、事前に準備を整えておくことで、安心して名義変更手続きを終えることができます。
亡くなった親の土地の名義変更にかかる費用と税金
土地の名義変更には、さまざまな費用と税金が発生します。
亡くなった親の土地の名義変更にかかる費用と税金は、以下のとおりです。
名義変更をスムーズに完了させるために、それぞれの費用を見積っておくことが重要です。
なお、亡くなった親の土地の名義変更費用については、以下の記事で詳しく解説しています。

登録免許税の計算方法と納付の流れ
名義変更に伴う最大の税金が「登録免許税」です。
登録免許税は土地や建物の所有権移転登記に際して発生する法定の税金で、原則として不動産の固定資産税評価額に一定の税率を掛けて計算されます。
参照元:国税庁「登録免許税の税額表」
評価額が2,000万円の場合、登録免許税は8万円(2000万円×0.4%)になり、登記申請時に収入印紙として納付するのが一般的です。
申請書と一緒に法務局へ提出し、登記識別情報が発行されることで名義変更が完了します。
司法書士に依頼した場合の報酬相場
相続による名義変更手続きを司法書士に依頼する場合、一定の報酬が発生します。
相場は地域や不動産の評価額、相続関係の複雑さによって異なりますが、おおむね5~10万円程度が一般的です。
相続人が複数名いるケースや、遺産分割協議書の作成支援を含む場合は、報酬が高めになる傾向があります。
司法書士に依頼することで、戸籍謄本や印鑑証明書の収集、登記申請書の作成・提出など、煩雑な作業を一括して任せることが可能になります。
その他、必要書類の取得費用の目安
名義変更手続きに必要な各種書類の取得にも、おおむね合計で数千円の費用がかかります。
主な必要書類は、以下のとおりです。
- 戸籍謄本
- 除籍謄本
- 改製原戸籍
- 住民票
- 印鑑証明書
- 評価証明書
- 登記事項証明書 など
事前に必要書類と費用の一覧を作成しておくことで、手続きがスムーズになり、不要な出費を防ぐことができます。
亡くなった親の土地の名義変更が面倒な場合は売却も一つの手
亡くなった親の土地の名義変更が面倒な場合は売却も検討しましょう。
亡くなった親名義のまま土地を放置しておくと、売却や相続手続きが困難になるだけでなく、将来のトラブルや費用負担の原因にもなるからです。
亡くなった親の土地が田舎にある場合は、専門の買取業者に依頼することをおすすめします。
専門の買取業者であれば、田舎にある土地でも利活用できるノウハウがあるため、高確率で買い取ってくれるからです。
弊社アルバリンクも田舎にある土地など訳ありの不動産を積極的に買い取っている業者です。
「とりあえず買い取ってもらえるか知りたい」といった問い合わせも歓迎しておりますので、いつでもお気軽にお問い合わせください。
まとめ
亡くなった親の土地を名義変更しないまま放置すると、売却や担保設定ができなくなるだけでなく、相続人間のトラブルや固定資産税の負担、さらに手続きの複雑化など、さまざまなリスクが生じます。
とくに2024年から相続登記が義務化されたことで、名義変更を怠ると過料が科される可能性もあるため、早めの対応が求められます。
ただし、相続手続きは必要書類の収集や協議の取りまとめなど、時間と労力がかかるのが現実です。
そのような負担を避ける方法の一つとして、土地そのものを売却する選択肢があります。
中でも専門の買取業者に依頼すれば、面倒な手続きを一任できる上、相場に即した価格でスムーズに現金化が可能です。
アルバリンクは、相続した土地の買取を専門に行っており、複雑な事情がある物件でも数多くの実績があります。
実際に、弊社に物件の買取依頼をしていただいたお客様からは「他社から断られたのに買い取ってもらえた」などの感謝の言葉を多数いただいております。
「名義変更が面倒」「土地を放置している」などのお悩みを抱える方は、ぜひ一度アルバリンクにご相談ください。
スピーディーで確実な対応により、不安を解消する一助となるはずです。
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