心理的瑕疵とは住む人に抵抗感を与える欠陥
心理的瑕疵とは住む人に心理的抵抗感を与える欠陥で、一般的に事故物件を指します。
瑕疵(欠陥)には、心理的瑕疵をはじめ以下4種類があります。
心理的瑕疵 | 自殺・殺人・火災事故の発生など、買主や借主に心理的抵抗感を与える瑕疵 |
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物理的瑕疵 | シロアリ・雨漏り・土壌汚染など、不動産そのものに物理的な欠陥がある瑕疵 |
環境的瑕疵 | 周辺にゴミ焼却場・墓場など嫌悪施設があり、環境に問題がある瑕疵 |
法律的瑕疵 | 建築基準法・都市計画法などの法律に抵触していて活用制限が生じる瑕疵 |
上記の中でも、心理的瑕疵は住む人に嫌悪感・恐怖を与えるため、不動産としての需要が減る傾向にあります。
実際に、弊社が行った「心理的瑕疵物件への抵抗感」についてのアンケート調査でも、事故物件に抵抗感を抱く人が85.8%と多数派であることがわかります。
引用元:訳あり物件買取プロ|【500人にアンケート調査!許容できる心理的瑕疵物件のレベルランキング】みんなが選ぶダントツの第1位は?
このように、住む人の快適な住み心地を欠く心理的瑕疵物件は、通常の不動産と同じ方法では売れにくいため、適切な売却方法を選択する必要があります。
なお、瑕疵物件の種類と売却相場については、以下の記事で詳しく解説しています。
自殺や殺人などは心理的瑕疵に該当し事故物件となる
原則として事故物件に関する明確な定義は存在せず、建物内で人が死亡した場合でも必ず事故物件に該当するわけではありません。
自殺や殺人が発生した場合は事故物件に該当しますが、他の死因については状況に応じて異なります。
死因別で事故物件に該当するかを表にまとめましたので、参考までにご覧ください。
死因 | 事故物件に該当するか |
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自殺 | 該当する |
殺人 | 該当する |
自然死(病死や不慮の死など) | 該当しない |
人が亡くなった物件は、死因に関わらずイメージの低下を招きやすいため、少なからず売却価格にも影響を与えます。
なお、建物内で人が亡くなっている事実が買い手や借り手の心理面に大きく影響することから、事故物件は「心理的瑕疵物件」とも呼ばれます。
自殺や殺人などは事故物件扱いになる
自殺については、死の状況に関して「入居者に過失がある」と判断されるため事故物件扱いとなります。
自殺以外には、死の状況に事件性がある「不審死」「火災による焼死」「殺人事件」も事故物件に該当します。
殺人に関してはメディアで報道されることもあり周囲へのマイナスの印象が強いため、事故物件として認定されると、次の入居者探しに苦戦するケースも少なくありません。
自然死や不慮の死は事故物件扱いにならない
自然死や不慮の死(風呂場での転倒事故など)の場合は、「日常におけるやむを得ない状況で発生した死」と判断されるため、事故物件にはなりません。
ただし、自然死の場合でも条件次第では事故物件として扱われます。
例えば「発見までに時間がかかり大規模な特殊清掃が必要になった」というケースは、自然死であっても告知義務が発生するため事故物件として扱われます。
告知義務については以下の記事でも詳しく解説しているので、併せてご参照ください。
事故物件の売却には国のガイドラインによる告知義務が必ず生じる
事故物件を売却する場合は、事故から何年経過しても、必ず死亡の事実を買主に重要事項として告知しなければならない「告知義務」が発生します。
告知義務を怠ると、契約不適合責任に則り買主から損害賠償請求をされる可能性があります。
物件内で自殺や殺人が発生した場合に、事故の事実を買主(賃貸なら新たな借主)に伝える義務を指します。
告知義務については、国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によって定められています。
なお、不動産売却時に売主が負うべき契約不適合責任については以下の記事で詳しくまとめてあります。併せて参考にしてください。
売買契約の告知義務期間は「無期限」
不動産の売買契約では、買主から売主への支払い金額が大きいことを考慮し、事故物件の事実を必ず告知する必要があります。
「一度別の所有者を挟んだので告知義務は無効」ということはありません。
なお賃貸契約の場合、貸主から借主への告知義務は「事故発生から概ね3年」で消失します。
しかし、あくまで法的な告知義務が発生しないだけであり、借主に死亡の事実を伝えないとトラブルに発展する可能性もあるため、念のため告知しておいた方がよいでしょう。
売主が買主に告知すべき事項は3つ
物件の売買契約時に売主が買主へ告知すべき事項は、主に「事故の発生時期・事故の場所・死因」の3点です。
入居者の死に関する情報の詳細を物件状況報告書へ記載し、買主へ渡す必要があります。
売主が告知義務違反を犯した場合の罰則
売主が買主への告知義務違反を犯した場合、宅地建物取引業第47条第1項に基づき「2年以下の懲役あるいは300万円以下の罰金、あるいは両方」を科せられる可能性があります。
参照元:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法第47条第1項」
そのほか、以下のケースでも告知義務違反は生じます。
- 売主が瑕疵の存在を知っていたのに買主に伝えていない
- 仲介業者が瑕疵の存在を知っていたのに買主に伝えていない
- 売主が瑕疵の存在を知っていたのに仲介業者に伝えていない
実際に、6年前に売買対象のマンションのベランダで首吊り自殺があった旨を告知せず、売買契約解除および違約金請求が認められた判例もあります。
参照元:一般財団法人 不動産適正取引推進機構「心理的瑕疵に関する裁判例について」
ただし、「売主から瑕疵について知らされていなかった仲介業者」に対しては、告知義務は問えません。
仲介業者の調査義務は売主・貸主に対して、書面に告知事項の記載を求めた時点で、調査義務は果たしたとみなされるからです。
参照元:宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン
つまり、仲介業者・買主に対して告知事項の内容を隠したり、虚偽の申告をしたりした場合、告知を怠った売主に責任が追及できます。
事故物件の売却相場価格は市場価格の10〜50%程度
事故物件の売却相場は、事故の内容にもよるので一概に決まっているわけではありません。
買主が事故の事実を気にしなかったり、物件が好条件(駅近・見た目がキレイ・生活圏に商店が揃っているなど)だったりすると、事故物件でも相場があまり下がらないケースもあるでしょう。
参考までに死因別で売却相場をまとめたので、売却を検討している方は参考にしてみてください。
自然死や孤独死の場合は相場価格の10〜20%程度
自然死や不慮の死の場合、やむを得ない状況における事故のため、厳密には事故物件に該当しません。
しかし「人が亡くなっている」という事実に変わりはないことから、事故物件の購入者が新たな買主を見つけられなかったり賃貸経営する際に入居者が集まらなかったりするケースもあるため、売却相場は低下します。
目安として「相場価格の10〜20%程度で売却できる」と覚えておきましょう。
自殺の場合は相場価格の20〜30%程度
自殺の場合は、死の状況に本人(賃貸であれば借主)の過失があると認定されてしまうため事故物件として認定されます。
持ち主から新たな入居者への告知義務も発生するため、売却時も「相場価格の20〜30%程度」と下がるケースが少なくありません。
殺人の場合は相場価格の50%程度
殺人の場合は大々的に報道されることもあり、多くの人が心理的に抵抗を感じると考えられます。
売却時の相場価格も「50%程度」と、他の死因と比較して最も低くなりがちです。
事故物件の売却相場は以下の記事でも詳しくまとめています。
事故物件の売却は仲介ではなく専門の買取業者がおすすめ
事故物件の売却方法としては「仲介」「買取」の2種類があります。
- 仲介
- 仲介業者が買主探しや条件交渉、契約書締結まで担当する
- 買取
- 買取業者が直接事故物件を購入する
仲介と買取のそれぞれに良し悪しはありますが、可能であれば後述する「事故物件専門の買取業者への依頼」がおすすめです。
一般的な不動産業者に買取を拒否されることも多い事故物件でも問題なく売却できます。
なお、仲介と買取の違いをさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご参照ください。
事故物件を売却する流れは「直接買取」「仲介」で異なる
事故物件を売却する流れは、直接買取・仲介で異なります。
直接買取が「買主」であるのに対して、仲介は「買主とつなぐ仲人」であるため、工数をはじめとしたサービスに違いが生じるためです。
直接買取・仲介の売却の流れについて、見ていきましょう。
直接買取の流れ
直接買取で事故物件を売却する流れは以下のとおりです。
このように、直接買取は事故物件の査定を依頼し、査定額に対して双方の合意が得られると売却が確定します。
直接買取にかかる期間はおおむね1週間〜1ヶ月程度です。
仲介業者へ事故物件の売却を依頼する流れ
仲介業者へ事故物件の売却を依頼する流れは以下のとおりです。
買取との大きな違いは、販促活動・売買条件の交渉が売却までの過程に含まれる点です。
仲介を介した売却は買主からの問い合わせや希望条件によって、売却スピード・売却金額が左右されやすい傾向にあります。
仲介だと事故物件は永遠に売れ残る恐れがある
仲介業者に依頼する場合、買主探しや条件交渉、契約書の締結などを担当してくれるため、売主の負担は軽減されます。
ただし、不動産仲介では買主探しから始める必要があるため、売却まで3ヶ月以上かかるケースや長期間売れ残ることも珍しくありません。
状況に応じて売却前のリフォームも必要です。もし買主が見つからなければ、売主の金銭的な負担は大きくなります。
買取であれば事故物件でも確実に売却できる
買取業者に依頼する場合は、すでに買主が存在している状態のため、相手を探す手間がなく売却スピードも早いです。
必要な書類等が揃っていれば最短数日程度での買取も可能です。
ただし、事故物件に関しては買取業者の査定も安値になる可能性もあります。
事故物件は「人が亡くなった」というマイナスの印象があり、買取業者としても売却などの活用が困難になるためです。
加えて、売主から事故物件を買い取った後、リフォームしてから売却等に出すケースもあり、金銭的負担を考慮して安価にならざるを得ないのが実情と言えます。
ただ、買取の最大のメリットは、ほぼ確実に売却が決まる点です。
買取業者は直接の買主であるのに加えて、どのような不動産も再生する前提で買い取るので、瑕疵の許容範囲も広めです。
そのため、いつまでも事故物件が売れ残り続け、維持費だけを延々と払い続けるリスクがありません。
事故物件をスムーズに売却したい方は、専門の買取業者に依頼しましょう。
弊社Albalinkの事故物件の買取事例
ここまで事故物件の売却相場・方法などについてお伝えしてきました。
そこでこの章では、弊社Albalinkを例にとり、実際の事故物件の買取事例を紹介します。
弊社Albalinkは訳アリ物件専門の買取業者として、他社では断られるような事故物件を多数買い取ってきました。
実際、弊社は下記のように「孤独死」「自殺」「溺死」などさまざまな事故物件を全国から買い取っています。
上記の買取金額を見ていただけばわかる通り、弊社は事故物件であっても物件全体の価値を適切に評価し、適正価格で買い取っています。
実際、事故物件をはじめ、弊社に物件の買取依頼をしていただいたお客様からは「思った以上の高値で買い取ってもらえた」「もっと早く依頼すれば良かった」といった感謝の言葉を多数いただいております(下記Google口コミ参照)
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
そのため、事故物件というデリケートな対応が求められる物件も、売主様のプライバシーを守りながら、速やかに高値で買い取らせていただきます。
信頼できる買取業者に安心して事故物件を売却したい方はぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたからといって、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
事故物件を高く売却する5つのコツ
事故物件は入居者が死亡している物件のため、現状のまま売却を試みると、マイナスの印象が先行して買主を見つける事が難しくなります。
事故物件を売却する際は「特殊清掃をする」「更地にする」などの工夫を施し、マイナスの印象を払拭したうえで買主を見つけることが必要です。
この章では、事故物件を高く売却する5つのコツについて解説します。
- 特殊清掃によって原状回復しておく
- 複数の不動産で事故物件を査定する
- 一定期間を空けてから売却する
- 事故物件を解体して売却する
- 事故物件をリフォームする
特殊清掃によって原状回復しておく
ご遺体発見までの期間が長い場合、体液が部屋にこびりついたり害虫が発生したりします。
汚れや害虫、悪臭などの処置が遅れ部屋の状態が悪化すると、売却価格にも影響を与えるため早めに特殊清掃をして原状回復を試みましょう。
特殊清掃によって徹底的な除菌や体液の清掃等を実施することで、部屋を入居前の状態に戻したうえで売却が可能です。買い手も安心して購入しやすくなります。
特殊清掃が必要なラインはご遺体の状態や時期によっても異なります。
目安として、発見までに要した時間が「夏場で72時間以上」「冬場で1週間以上」であった場合、高確率でご遺体は腐敗しているため特殊清掃が必要になります。
複数の不動産で事故物件を査定する
特定の不動産業者のみに依頼した場合、提示された金額が適正価格であるかを判断できません。
先述の通り、事故物件の売却相場は「自然死や孤独死は相場価格の10〜20%程度」「自殺は相場価格の20〜30%程度」「殺人は相場価格の50%程度」です。
特定の業者のみに依頼をすると、相場より安値で買い叩かれても気づけないため、必ず複数の不動産業者で査定をしてもらいましょう。
一定期間を空けてから売却する
事故が発生した直後は死亡のイメージが根強く残っているため、高値での売却は困難です。
事故直後ではなく一定期間を空けて売却することで、事故の印象を払拭し買主の抵抗感を薄められる可能性があります。
ただし、一定期間を空けても買主への告知義務はなくならないため要注意です。
不動産売買では、事故から何年経過しても原則として買主への告知義務が発生します。
事故物件を解体して売却する
前提として、事故物件を解体して更地にしても告知義務はなくなりません。
ただし、ニュースなどで報道されなかった事故物件であれば、家屋を解体することで当時の記憶が風化して、売れやすくなる可能性があります。
買主が抱く印象はもちろんのこと、周辺住民からの悪い噂も消えて、心理的瑕疵が幾分か軽減されるからです。
しかし、メディアで報道されて事故物件の印象が強く残っている場合は、解体してもその印象が薄まりません。
メディアによって世間的に周知された事故物件に関しては解体費用が赤字になりやすいので留意しましょう。
事故物件をリフォームする
リフォームをして間取りや建物の見た目を一新することで、事故物件としての印象を払拭し高値で売却できる可能性があります。
更地にした場合と同様、リフォームをしても告知義務は残ります。
ただし、リフォームをしても必ず売却できるわけではありません。
見た目は一新できますが死亡事故の事実は消えないため、「人が亡くなっている以上は絶対に住めない」と判断されるケースもあります。
トイレや浴室リフォームでは20万〜100万円、内装リフォームでは120万〜160万円程度かかることもあるため、売却できる可能性を慎重に考慮してリフォームを実行しましょう。
事故物件をより高い価格で買取してもらえる不動産会社を選ぶコツ
上記で解説した「特殊清掃をしておく」「更地にしてから売却する」「リフォームをする」などで売却できる可能性は高められます。
しかし、買主が確実に見つかる保証はないため、売主が費用倒れを覚悟して手を加えるより、現況のまま売却も検討すべきです。
仲介業者・買取業者を選ぶ際は「売却や仲介実績の豊富さ」など基準を設けて決めることが大切です。
売却の際、基準を設けて適切な業者を選べなければ、相場より安値で買い叩かれる可能性があります。
【仲介の場合】事故物件の仲介実績が豊富な不動産業者を選ぶ
上記で解説した売却時と同様に、仲介の際も実績を豊富に持つ不動産業者を選ぶと、事故物件の売却で失敗しにくくなります。
不動産業者によって、戸建・マンション・新築・中古・地域など、得意なジャンルやエリアが異なり、不得意な業者に依頼すると売却価格が安価になりがちです。
公式サイトや口コミを参考に、仲介実績がどれくらいあるのかをチェックしておきましょう。
【買取の場合】事故物件買取専門業者を選ぶ
買取で売却するのであれば、「事故物件専門の買取業者」に依頼しましょう。
事故物件はマイナスなイメージが強く、売却や賃貸経営が困難になるため、買い取れない買取業者も多いためです。
しかし、事故物件の売却実績が豊富な不動産業者であれば、高値で販売するためのコツなどを心得ています。
専門の買取業者に高値で販売するノウハウが豊富にあれば、その分買取価格に上乗せができるので、売主にとっても現金化できる額が多くなります。
不動産業者の公式サイトを見て、どのような物件の売却実績を持つか事前にチェックして査定を依頼しましょう。
弊社AlbaLink(アルバリンク)も、事故物件の買取実績が多い買取業者です。
訳あり物件を豊富に取り扱う弊社であれば、事故物件のように告知事項を抱えた物件でも、活用ノウハウを駆使したスピーディーかつ高額な買取が可能です。
無料査定・無料相談はいつでも受け付けておりますので、事故物件の売却にお悩みの方はいつでもご連絡ください。
もちろん、査定のみの問い合わせも歓迎しております。
>>【売れない事故物件も高額売却!】無料の買取査定を依頼する
なお、事故物件を専門に扱っている買取業者は以下の記事にまとめておりますので、併せて参考にしてください。
まとめ
この記事では、事故物件の最適な売却方法をケース別にご説明しました。
記事内でお伝えした通り、事故物件は一般の買い手に対して心理的抵抗感を生じさせることから、売却は困難です。
心理的抵抗感の度合いは、入居者の死因によってかわります。自殺や殺人などが原因の場合は、大幅な売出し金額の値下げを覚悟しなければなりません。
ですが、不動産買取業者であれば売主が物件に手を加えなくても、直接買い取ってもらえます。
さらに事故物件を専門に取り扱っている買取業者であれば、事故物件に特化した活用ノウハウがあるため、他業者よりも高額で買い取ってもらえる可能性が非常に大きくなります。
ただし、立地や築年数、事故物件の場合は入居者の死因、などによって最適な売却方法は異なります。状況に合わせて、売主が納得できるアドバイスをくれる営業マンを見つけることに注力しましょう。
このサイトを運営している「株式会社Albalink」は、事故物件に強い専門の買取業者です。専門業者の中でも珍しく、全国的に事故物件の買取を行っております。まずはいくらで売れるのか知りたいという方も、ぜひお気軽にご相談ください。