事故物件のお祓いは義務ではない
自分が所有する物件で人が死亡した場合、その物件はいわゆる「事故物件」になります。
事故物件になると、「事故物件」である事実が原因で敬遠され、売却をしたり賃貸したりしづらくなります。
また、「この部屋で人が死亡した」という事実が、物件所有者やこれから賃貸や購入を希望している人の精神的な部分に影響を与える可能性もあるでしょう。
そういった場合、少しでも気分を和らげるために「お祓い」を検討される方も多いです。
まずは、所有物件で事故死が発生した場合に、お祓いを行う必要性や義務について詳しく解説します。
なお、事故物件の定義については、以下の記事で詳しく解説しています。
事故物件だからといって必ずお祓いを行う必要はない
物件で事故が発生したからと言って、必ずしもお祓いをする必要はありません。
お祓いは、利害関係者の気持ちの問題であるため、「念のために行っておきたい」と考える場合は行っても良いです。
ただ、お祓いをしたからといって、特別な効力が発生することはありません。
お祓いによって告知義務が消滅するわけではない
事故が発生した物件を売却したり新たに賃貸借をする場合は、事故があった事実を賃借人や買主に告知する義務があります。
仮に、物件のお祓いをしたとしてもこの告知義務が消滅するわけではありません。
物件をお祓いするかしないかは、物件所有者の自由である上に、契約等に影響を与えることは一切ありません。
お祓いをしても当然に告知義務は残りますし、告知義務を果たさなければ告知義務違反となり、契約解除や損害賠償請求を受ける可能性があるので注意してください。
事故物件の告知義務については、以下の記事で詳しく解説しています。
お祓いすることで「安心感」を得られる
お祓いをすることで得られる特別な効果はありませんが、唯一「安心感」を得られるのがメリットです。
お祓いをしたという事実があることによって救われる人がいるのも事実です。
また、「お祓をした」ということで、「お祓いをしたなら安心して住める」と考える入居者や購入希望者が現れる可能性があります。
実際に、住んでもいい事故物件の条件についてのアンケート調査では、「お祓い済みならよい」と回答する方も少数いらっしゃいます。
お祓いはあくまでも、利害関係者の気持ちの問題です。
しかし、物件所有者やこれから入居もしくは購入を希望する人の精神的な負担を軽減させたいのであれば検討しても良いでしょう。
事故物件のお祓いの依頼先
事故物件のお祓いを依頼する先は、お寺もしくは神社です。
ただ、お付き合いのある不動産会社や、売却を検討している不動産会社などで、お祓い先を紹介してくれる場合もあります。
また、インターネット上から申込をしてお祓いができる神社やお寺もあります。相談からお祓いまでの大まかな流れは、以下の通りです。
- インターネットや不動産会社、付き合いのある神社・お寺に相談
- 日程調整
- 事故が発生した部屋でお祓い
次に、事故物件のお祓いの依頼先について詳しく解説します。
お寺や神社に依頼をする
事故物件のお祓いは、お寺や神社に依頼をするのが一般的です。
そもそも、お祓いをする目的は「霊を祓う」や「供養する」というのが目的です。
そのため、この本質に合った依頼先へ相談します。
また、お祓いを行ってくれるお寺や神社であれば、基本的にはどこでも良いです。
宗教や宗派によって、お祓いを行ってくれるとのことであれば、依頼先はお寺や神社でなくても問題はありません。
あくまでもお祓いをする目的は「供養する」ということであるためです。
ただし、菩提寺(先祖代々依頼しているお寺)がある場合は、そのお寺に依頼したほうが良いでしょう。
不動産会社経由でお祓い先を紹介してくれることもある
お祓いの依頼先をどこにすればよいかわからないという方は、付き合いのある不動産会社に相談をしてみるのも良いです。
不動産会社は、お祓いの他にも地鎮祭や上棟祭を行うことがあるため、付き合いのあるお寺や神社を紹介してもらえる可能性があります。
事故物件お祓いの料金相場
お祓いに伴う費用相場は、3万円〜10万円であり、お祓いをする物件の大きさや事故の内容によって費用が前後する場合があります。
また、原則お祓い費用は物件オーナーが負担しなければいけません。
次に、お祓い費用相場と費用負担について詳しく解説します。
事故物件のお祓い料金は3万円〜10万円程度が相場
お寺や神社に事故物件のお祓いを依頼した場合、かかる費用相場は3万円〜10万円です。
費用相場に差がある理由は、事故の内容や物件の規模によって異なるためです。
主な事故とお祓い費用相場は以下の通りです。
事故内容 | 費用相場 |
---|---|
病死 | 3万円〜 |
自殺 | 5万円〜 |
他殺 | 7万円〜 |
無理心中 | 10万円〜 |
その他、1室のみのお祓いなのか、建物全体なのか、土地も含めたすべてなのかによって費用が前後します。
どの範囲お祓いすれば良いなどの明確な基準はないため、お祓いを検討している人が判断されると良いでしょう。
なお、お祓いに費用をかけたくない方は、専門の不動産買取業者への売却も検討しましょう。
専門の買取業者であれば、事故物件の活用ノウハウがあるため、現況買取に対応してもらえるためです。
弊社AlbaLinkも事故物件に強い専門の買取業者です。
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依頼先や事故内容によって料金が変わる
お祓いにかかる費用は、事故の内容によって変動するのは先に解説した通りです。
お祓いは死亡した人の無念を鎮め、供養することを目的としています。
そのため、念が強ければ強いほどお祓いにかかる費用は高額になります。
たとえば、病死や不慮の事故(転倒死)の場合は、比較的安い費用でお祓いが完了します。
しかし、他殺や無理心中が発生したような物件の場合、死亡した人の念が相当強いと考えられるため、費用相場は高額になります。
料金は「初穂料」と書いて白い封筒に入れるのが原則
お祓い費用はお祓いを行ってくれた僧侶などに直接支払うのが一般的です。
しかし、現金のまま渡すのではなく、必ず「初穂料」と書いた白い封筒に入れて渡すようにしてください。
初穂料ののし袋は、コンビニやスーパーなど身近な店舗でも販売されています。そのため、事前に用意しておくことをおすすめします。
なお、入れるお金は新札が好ましいと言われているため、事前に銀行へ行ってお札を変えてもらうなどの対応が必要です。
お祓い料金は物件オーナーが負担する
お祓いに伴う費用は、原則物件オーナーが負担をします。
お祓いはあくまでも「気持ち」の問題であり、お祓いを行う義務はないため、物件で死亡した人の保証人や遺族へ請求することはできません。
ただ、遺族等からお祓い費用として金銭を渡された場合、受け取っても問題はありません。
事故物件のお祓いに伴う注意点
事故物件をお祓いした場合は、以下のことに注意してください。
お祓いをしても客観的な証明が難しい上に、事故物件である事実は何ら変わりません。
何度もお伝えしていることですが、お祓いはあくまでも「気持ちの問題」であることに注意してください。
お祓いした事実を客観的に証明できない
事故が発生した物件を新たに賃貸したり、売却したりする場合、賃借人や買主から「本当にお祓いをしたのか?」と問われることがあります。
この場合、客観的にお祓いをした事実を証明することが難しいです。
事故物件のお祓いをしても、その事実が形として残るわけではないため、「証明してほしい」と言われた場合は注意が必要です。
ただし、お祓いを依頼するお寺や神社次第では、「お祓い証明書(3,300円程度)」というものを発行してもらえる場合があります。
もし、お祓いの証明が欲しいといわれたときのために、証明書を発行してほしいという方は、事前にお祓い先へ確認をしておいてください。
また、お祓い証明書の発行を行っていない場合は、写真や動画を撮っておくと良いでしょう。
「お祓いをした」という客観的事実の証拠になるためです。ただし、事前に撮影を行って良いかどうかを、神社やお寺に確認してください。
お祓い証明書は、「お祓いをしました」という事実を証明するためのものです。また、これから入居をする方や購入を希望されている方に、安心感を与えられます。しかし、それ以上の効果はないので注意してください。
お祓いをしても事故物件である事実は変わらない
事故物件をお祓いしても、「事故物件である」という事実は変わりません。
当然、お祓いをしても告知義務は残りますし、その事実が消えることもありません。
そのため、お祓いをするかどうかも自由に決められます。
お祓いをする目的や意味は、あくまでも「気持ち」であることを念頭に置き、依頼するかどうかを決定すると良いでしょう。
告知事項を抱えた物件を利活用する自信がない方は、専門の不動産買取業者に売却することをおすすめします。
専門の買取業者であれば、お祓いをしていない事故物件であっても、そのままの状態で買い取ってもらえるためです。
弊社AlbaLinkも事故物件に強い専門の買取業者です。
「お祓いに費用をかけたくない」「事故物件を利活用する自信がない」という方は、弊社までお問い合わせください。
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事故物件のお祓いをするタイミング
基本的に、お祓いを行うタイミングはいつでも良いです。
ただ、人によっては「早めに済ませておきたい」と考えたり、「物件引き渡し時に行いたい」と考えたりする人もいるでしょう。
次に、お祓いを行う目的別のタイミングについて解説します。
一般的には特殊清掃後に行う
お祓いを行うタイミングは自由ですが、清掃や特殊清掃が終了したタイミングで行うと良いでしょう。
なぜなら、物件を原状回復したタイミングで、お祓いをすることによって、リセットされたような気持ちになるためです。
事故物件が発生したままの状態でお祓いをしても、どこか死亡した人の念が残っているように感じる方も多いのではないでしょうか。
反対に、清掃後しばらくの間お祓いをしなければ、その部屋に念が染み付いていると感じる方も多いです。そのため、一般的には清掃が完了したタイミングで、お祓いを依頼します。
物件引き渡し直前でも良い
お祓いをするのは、物件の引き渡し直前でも良いでしょう。
たとえば、新たな賃借人や買主が「お祓いに参加したい」という可能性もあります。
そのような可能性を考慮して、物件引き渡し前に行うとしても問題ありません。
ただ、事故発生後できるだけ早めにお祓いを行っておきたいと考えている方は、先にお祓いを済ませておいても良いでしょう。
なお、お祓いは何回行っても良いです。
そのため、清掃後に1度行い、物件引き渡し前にもう1度行うという流れでも良いでしょう。
お祓いのタイミングは、細かなルールは決められていないため物件所有者や賃借人・買主が気持ちよく取引ができるように考慮すれば問題ありません。
事故物件をお祓いする際のマナー
お祓いに参加する際は、喪服を着てお供物を用意しておくと良いです。
ただ、お供物はお寺や神社で用意してくれる場合もあるため、事前の打ち合わせを行なっておくと良いでしょう。
お祓いをする際のマナー
事前に上記のマナーを確認し、参加するようにしてください。
それぞれ詳しく解説します。
喪服を着て参加する
事故物件をお祓いする際の服装は、男女問わず喪服が好ましいです。
もし、喪服の用意が難しかったり、何らかの事情で喪服を着ることができない場合は、ダークトーンのスーツで参加をしてください。
また、ネクタイの色もできるだけダークトーンのほうが良いです。
地鎮祭や上棟祭を行う場合は、私服で参加する場合が多いです。
そのため、同じようなイメージでお祓いに参加されてしまう人がいるかもしれません。
事故物件のお祓いをする目的は「亡くなられた方を供養する」ことです。
そのため、亡くなられた人を弔う気持ち、服装での参加を心がけてください。
お供物の用意をしておく
お祓いに参加する場合は、あらかじめお供物を用意しておいたほうが良いです。
事前に準備しておくお供物は以下の通りです。
- お米などの穀物
- 野菜・果物
- 塩
- 酒
以上のものは、お祓いが開始される前までに準備されておくと良いです。
依頼先で準備する場合もある
お供物は、お祓いを依頼する神社やお寺などで持参してもらえることも多いです。
そのため、お祓いを依頼した際に、お供物の用意について確認しておくと良いでしょう。
もし、自分で用意が必要なのであれば、事前に何がどの程度必要なのかを確認しておいてください。
六曜・宗派は原則関係ない
お祓いを行うにあたって、原則、六曜や宗教は関係ありません。
ただし、宗派によって慣習などがある場合は、できるだけそれに従うようにしましょう。
まとめ
所有している不動産が事故物件になると、物件所有者やこれから入居、物件購入を検討している人が、「なんとなく嫌だな…」と感じるでしょう。
そのような嫌悪感を少しでも軽減させるために、お祓いを行って故人の供養をします。
しかし、お祓いはその行為自体に法律的な効力はなく、事故物件である事実は変わることもなく、告知義務が消えることもありません。
そのことを理解した上で「故人を供養したい」と考えているのであれば、積極的にお祓いを検討するべきでしょう。
お祓いを依頼する場合は、神社やお寺に相談するのが一般的です。
中には、不動産会社でお寺や神社と付き合いがある場合もあるため、不動産会社に相談すると紹介してくれることもあります。
お祓いにかかる費用は、事故の原因により大きく変動します。
故人の念が強いと判断される死因の場合は、費用は10万円程度になります。
そのため、お祓いによる効果と費用のバランスを考慮した上で、依頼するかどうかを検討されてみてはいかがでしょうか。
お祓い自体は法的効果を持たず、するしないは当事者の自由です。
事故の内容や原因や費用などを踏まえた上で、最終的にお祓いをするかどうかを検討してください。
また、事故物件になってしまい、その物件を手放したいと考えるのであれば、訳あり物件専門の買取業者へ相談してください。
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