活用していない空き家を放置してはいけない
たとえ活用していなくても所有している空き家は放置してはいけません。なぜなら空き家を放置すると近隣住民とのトラブルや、行政処分を受けるなど、様々なリスクがあるためです。
また、リスクだけでなく放置し続けていると金銭的な負担もかかり続けます。では具体的にどういったリスクや金銭的負担があるのか解説していきます。
管理を怠ると近隣住民からクレームになる
空き家を放置すると以下のような状況が発生し、その結果、近隣住民からクレームが入り、トラブルに発展する可能性があります。
- 法投棄されたゴミから異臭が発生する
- 庭の雑草が生い茂り、害虫が大量発生する
放置された空き家は人の目が行き届かないため、ゴミを不法投棄されがちです。しかも、空き家自体が放置されていると、投棄されたゴミがそのままになってしまいます。結果、ゴミの中身が腐ったり劣化し、周囲に異臭が撒き散らかされることになります。
また、空き家が放置されていると庭の雑草が繁茂(はんも)し、様々な害虫が発生します。たとえば、雑草が生い茂っている場所は蚊が集まりやすく、近隣の住民からすれば迷惑な状況になります。また、雑草を餌とするハダニなども大量発生します。ハダニはガーデニングの草花も食べてしまうため、「育てていた草花が害虫の被害にあった!」といった近隣住民とのトラブルに発展しかねません。
そして、近隣住民とのトラブルがエスカレートし、近隣住民が空き家所有者に話しても埒が明かないと判断すれば、行政に「放置された空き家のせいで迷惑をかけられている」と通報するかもしれません。もし行政にそうした通報をされてしまうと、行政から「特定空き家」(特定空き家に指定され、強制的に解体される恐れがある を参照ください)に指定され、重いペナルティを課せられます。
ですから「少しくらい空き家を放置しても大丈夫だろう」などと軽く考えてはいけません。空き家を放置したことで、近隣住民の怒りと不信を買うだけでなく、行政から処罰の対象とされてしまうこともあるからです。
なお、空き家を放置するリスクについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
資産価値が落ちる
空き家を放置すると老朽化が急速に進み資産価値が落ちます。
なぜ放置すると老朽化が急速に進むかというと、清掃が行われず、ホコリや湿気がたまり、建物の基礎である柱や梁が腐食しやすくなるからです。
たとえば、換気や掃除がされずに室内に湿気がこもると、カビやシロアリによって柱の腐食が進みます。他にも人の気配がないため、ネズミなどの害獣が住み着き、糞尿で床板や天井板が腐ることもあるでしょう。
このように、放置したことにより空き家の資産価値が落ちてしまうと、当然将来売却する際も売却価格が安くなってしまいます。むしろ、安くなっても売れれば良い方で、老朽化が進んでいて住めないような空き家は一般の個人の買い手から相手にされず、永遠に売れ残ってしまう恐れがあります。
空き家の資産価値は所有し続けている限り落ち続けていきますので、今が一番市場価値が高いとの認識を持ちましょう。
金銭的負担がかかり続ける
空き家を放置し続けると、税金や保険など金銭的負担もかかり続けます。どのような税金がどのくらいかかるか、詳しく解説します。
固定資産税と都市計画税が毎年かかる
放置していても、空き家を所有し続ける限り、毎年固定資産税と地域によっては都市計画税がかかります。
毎年1月1日時点で固定資産(土地や住宅など)の所有者に課せられる税金
【都市計画税】
毎年1月1日時点における市街化区域※内の土地・家屋の所有者に課せられる税金
※市街化区域…都市計画法により市街地が形成されている区域、または10年以内に市街化が計画されている区域(都市計画の中の区分の1つ)
参照元:総務省|固定資産税
参照元:総務省|都市計画税
上記の説明を見てもらえばわかる通り、固定資産税の対象は全ての空き家所有者であり、所有している土地と建物、それぞれに課税されます。
また、固定資産税に加え、もし空き家が市街化区域に入っていれば都市計画税もかかります。所有している空き家が市街化区域に建っているかどうか知りたい場合は「空き家がある市町村 市街化区域」で検索すると、空き家が建っている地域の市街化区域を確認できます。
たとえば、試しに茨城県の取手市の市街化区域を確認してみましょう。「取手市 市街化区域」で検索すると、検索画面の番一番上に「取手市都市計画図の閲覧」という取手市のホームページ上のページが表示されます。
「都市計画図?」と思うかもしれませんが、上記、市街化区域の説明にも記載した通り、市街化区域とは都市計画の区分の1つなので、このページを開きます。すると、以下のように区域ごとに細かく色分けされた取手市の都市計画図が表示されます。
引用元:取手市都市計画図
では色分けされた区域の中で、どこが市街化区域に該当するかですが、それは左下の凡例を見れば分かります。凡例を拡大した下の図をご覧ください。
引用元:取手市都市計画図
凡例の左側に「用途地域(市街化区域)」という項目があります。つまりその項目に含まれている色で色分けされている地域が取手市の市街化区域ということになります。
固定資産税と都市計画税の試算
固定資産税と都市計画税がどのようなものか理解していただけたところで、実際、固定資産税と都市計画税がいくらかかるのか、次の条件の空き家で確認してみましょう。
土地の固定資産税評価額:1800万円
建物の固定資産税評価額:500万円
面積:150㎡
固定資産税と都市計画税は以下の計算式で求められます。
土地の固定資産税=土地の固定資産税評価額×1/6×1.4%
建物の固定資産税=建物の固定資産税評価額×1.4%
土地の固定資産税=土地の固定資産税評価額×1/3×0.3%
建物の固定資産税=建物の固定資産税評価額×0.3%
参照元:総務省|固定資産税
参照元:東京都主税局|都市計画税について
上記の計算式に、今回の空き家の条件を当てはめてみると、固定資産税と都市計画税は以下のようになります。
土地の固定資産税=1800万×1/6×1.4%=4万2000円
建物の固定資産税=500万×1.4%=7万円
固定資産税の合計:4万2000円+7万円=年間11万2000円
上記の試算を見てもらうとわかるように、固定資産税だけで年間11万2千円もかかることになります。つまり、活用していない空き家に月に1万円弱出費している計算になります。
では続いて都市計画税も計算してみましょう。
土地の都市計画税=1800万×3/1×0.3%=1万8000円
建物の都市計画税=500万×0.3%=1万5000円
都市計画税の合計:3万3000円
都市計画税は3万3000円かかる計算になります。ですから、もし空き家が市街化区域に建っており、都市計画税もかかる場合は、固定資産税と合わせて税金だけで空き家に年間14万5千円も費やしていることになります。しかも、空き家にかかる費用は税金だけではありません。
なお、空き家を維持するのにかかる費用については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
万一のための火災保険料がかかる
空き家の火災保険への加入は任意ではありますが、必ず入っておくべきです。なぜなら空き家は人の目がないことから放火犯に狙われやすいからです。
また、電気が通っている場合、入り込んだネズミなどが配線を齧り、漏電することで火災が発生することもあります。
火災保険に加入していれば、火災で焼け残った空き家の解体費用や、焼け落ちた瓦礫などの撤去費用を保険で賄うことができます。
空き家の火災保険料の相場は、年間約1万円~6万円といわれており、一般的な人が居住している建物より保険料が高めに設定されています。その理由は空き家と、一般的な人が住んでいる賃貸や戸建では火災保険の区分が異なるためです。
一般的な住居は「住宅物件」に区分されているのに対し、空き家は店舗や工場、事務所などと同じ扱いの「一般物件」に区分されます。そして「一般物件」に区分されるような店舗や事務所は人の出入りも多く、それだけ火災のリスクも高いと判断され、「住宅物件」より保険料が高く設定されているのです。
実際には、空き家は店舗や事務所のような人の出入りはないわけすが、火災保険の区分上、「一般物件」に入れられてしまっているため、保険料が高くなってしまうわけです。
空き家の火災保険についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご確認ください。
定期的な修繕費がかかる
空き家を放置していると老朽化が加速度的に進み、空き家を維持する為の修繕費がかさみます。たとえば、腐った居間の床板をフローリングに張り替える場合、6畳の広さでおおよそ15万円程度かかります。また、1坪の範囲のシロアリを駆除するのに、平均で約1万円程かかります。
特定空き家に指定され、強制的に解体される恐れがある
空き家を放置すると、行政から「特定空き家」に指定される恐れがあります。特定空き家とは、倒壊の危険性が高く、異臭や害虫の発生など衛星面での問題も大きいと行政から判断された空き家のことです。具体的には、以下の図で示したような条件を備える空き家が指定の対象となります。
特定空き家に指定されると、以下のようなリスクがあります。
- 固定資産税が最大6倍に跳ね上がる
- 行政代執行により空き家が解体され高額の解体費用を請求される
- 空き家所有者に罰金50万円が課せられる
下の図を見てもらうとわかりますが、もともと空き家を含め、住宅用の建物が建つ土地の固定資産税には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が1/6に、都市計画税が1/3に減額されています。
参照元:e-Gov法令検索|地方税法第349条(土地又は家屋に対して課する固定資産税の課税標準)
しかし、特定空き家に指定されるとこの特例が解除されてしまいます。そのため固定資産税が6倍になってしまうわけです。
さらに、特定空き家に指定され、空き家の安全面や衛生面を改善するための行政の命令に従わないと、罰金50万円が課され、行政代執行により強制的に空き家が解体されてしまいます。行政代執行によって解体されると解体費用は1千万円以上になることもあり、その費用は全額空き家所有者に請求されます。
「自分の空き家はそこまで放置していないから大丈夫」と思った方もいるかもしれませんが、油断は禁物です。なぜなら、2023年3月に「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が閣議決定されたからです。これにより、今後は特定空き家に指定されていなくても、放置されている空き家は「管理不全空き家」として住宅用地の特例が解除され、固定資産税が6倍になる恐れがあります。
「管理不全空き家」に指定される条件や、改正された法律がいつから施行されるかなど、詳しい情報を知りたい方は、下記の記事をご確認ください。実際に国土交通省に問い合わせた情報を元に作成した記事ですので、他のどのサイトの記事よりも正確な情報となっております。
活用しない空き家は結局どうするのが最適か?【状況別に解説】
空き家をどうすればいいのかについては、以下の選択肢があります。
- 自分で住む
- 賃貸として収益化する
- 駐車場として収益化する
- 第三者に無償譲渡する
それぞれ解説しますが、最初に結論をお伝えすると、上記の選択肢のなかで売却するのが一番リスクがなくお得です。その理由についても解説します。
自分で住む
空き家に所有者自ら住むこともできます。人が住めば日々、換気や掃除が行われるため、空き家として所有しているより老朽化を遅らせることができます。
しかし、長年空き家として所有していた場合、住み始めた時点で既にある程度老朽化が進んでいることが考えられます。そのため、居住するためには、先ほどお伝えしたフローリングの張替えのように、大掛かりな修繕が必要になり、修繕費がかさむおそれがあります。
また、シロアリの被害などで柱が腐食している場合は、倒壊の恐れがあり危険なので、長期間住むことはできません。
収益化する
空き家を「賃貸」や「駐車場」として活用し、収益化を図る方法もあります。ただし、どちらも収益化するためには初期費用・立地・維持管理といった高いハードルがあります。具体的にどのようなリスクや難しさがあるか、それぞれ説明していきます。
賃貸として収益化する
空き家を賃貸に出すためにはリフォームが必須です。そして、後述しますがリフォーム費用には少なくとも数百万円ほどかかります。しかも、それだけお金をかけて賃貸に出したところで、入居者が決まる保証はありません。さらに、以下のような利便性の高い立地に建つ空き家でないと、収益化を図るのは難しいです。
- 徒歩圏内にスーパーや病院など生活するための施設がある
- 周囲に競合となる集合住宅などが少ない
- 最寄り駅に徒歩10分以内で行ける
賃貸で空き家を貸し出すためには、生活がしやすい立地であることは勿論、競合となるマンションやアパートが少ないことも重要です。周りにアパートやマンションがたくさんある中で、あえて一軒家を借りようと思う人は少ないためです。
もし入居者が決まらなくても、賃貸に出した以上は、設備の維持管理費がかかります。たとえば、給湯器が壊れ、業者に取り替えてもらった場合、平均で10万円前後かかります。
こうした初期費用を回収し、管理維持費をかけたうえで黒字化経営を維持するのは、容易ではありません。
また、賃貸経営には、不動産や賃貸経営などの知識や勉強が必要です。なぜなら不動産や賃貸経営の知識は、入居者と賃貸契約を結ぶ際や、銀行にリフォーム費用の融資を申し込みに行く際など、あらゆる場面で必要になるからです。
たとえば、不動産実務検定などの賃貸経営に関する資格や知識があれば、入居者が家賃を滞納しており、退去してもらいたいといった場合でも、感情的にならず冷静に法的な手続きを取ることができます。
こうしたリスクやハードルの高さを理解した上で、それでも賃貸経営に挑戦したいという人は別ですが、そうでない人にはお勧めできません。
駐車場として収益化する
駐車場として収益化を図るにも、賃貸同様、初期費用として空き家の解体費用と整地費用で1千万円ほどかかります。しかも、それだけ費用をかけたところで、需要がない立地であれば大きな赤字になってしまいます。たとえば、1千万円かけて駐車場を作り、100万円しか利益が出なければ、900万円の損失となります。
具体的には、以下のような立地でないと、駐車場経営は難しいでしょう。
- 周りに駐車場がない住宅地
- 駅前や人気の観光地周辺
周りに駐車場がない住宅地であれば、月極駐車場として、近隣住民からの需要が見込めます。また、駅前や観光地など、そこまで車で来て、そこから電車や徒歩で移動する人が一定数いるような場所も、駐車場としての需要が高いといえます。
しかし、費用や立地面をクリアして駐車場を作っても、それで終わりではなく維持管理が必要です。「賃貸と違って建物がないのだから管理の手間はないだろう」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
たとえば、放っておけばコンクリートの隙間からでも雑草は生えてくるので除去しなければいけません。利用者からしたら、景観が悪い駐車場は使う気にならないからです。また、違法駐車がないかの監視も必要です。違法駐車を放置していると利用者間のトラブルに発展するためです。そうしたトラブルが起きれば、ネットの口コミサイトに書き込みをされるかもしれず、駐車場の評判にもマイナスの影響を与えます。
第三者に無償譲渡する
空き家は第三者に無償で譲渡することもできます。空き家の隣地所有者や、以前からその空き家を欲しがっている親戚であれば無償譲渡に応じてくれる可能性があります。声を掛けてみる価値はあるでしょう。
また、空き家がある地域の自治体が空き家バンクを運営しているのであれば、空き家バンクを利用して譲渡して欲しい人を募る方法もあります。空き家バンクとは自治体が運営する、空き家の売り手と買い手を結びつけるマッチングシステムです。
空き家バンクについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご確認ください。
空き家を無償譲渡できれば、空き家の管理や税金の支払いに頭を悩ませる必要がなくなります。
ただ、無償とはいえ、実際にはそう簡単に譲渡に応じてくれる人は見つかりません。また、場合によっては譲渡した側・された側、双方に税金がかかることがあります。では、どういった場合に税金がかかるのか、詳しく次節で説明します。
無償譲渡でも税金が発生する
無償譲渡は法律的には「贈与」にあたります。贈与した側も、された側も、税金がかかることがあります。
参照元:財務省|贈与税の概要
特に、個人から個人へ贈与する際は、贈与された側に贈与税がかかることを譲渡する前に理解しておいてもらう必要があります。そうしないと「無償だから譲り受けたのに、税金がかかるなんて知らなかった!」とあとから恨みを買う恐れがあります
また、ケースとしては少ないと思いますが、個人から法人へ贈与した場合、贈与した側(贈与する前の空き家所有者)に所得税が発生します。「無償で譲渡しているのだから所得税はかからないのでは?」と思うかもしれませんが、「みなし譲渡所得」として所得税が課せられるのです。
参照元:国税庁|所得税法第59条《贈与等の場合の譲渡所得等の特例》関係
「みなし譲渡所得」とは時価でその空き家を売却した場合の所得のことです。「みなし譲渡所得」による所得税が実際いくらになるかなど、詳しく知りたい場合は弁護士や司法書士など、専門家に相談してみてください。
売却する
活用していない空き家は売却してしまうのが一番賢い選択です。売却であれば、活用して収益化を図るより費用もリスクもかかりません。もちろん、管理の手間や、税金の支払いからも解放されます。そのうえ、お金を得ることが第一の目的ではないと思いますが、売却すれば売却益も手にすることができます。
とはいえ、売却が一番いい方法だとしても「そう簡単に空き家を売却することなどできないのではないか」と思う方も多いかもしれません。けれど安心してください。空き家の状態に合った適切な方法を取れば、たとえ老朽化が進んでいる空き家であっても売却することができます。具体的にその方法を次章で解説します。
なお、空き家の売却については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
空き家を売却する際は誰に相談すれば良いのか?の判断基準
前の章で述べたように、空き家をどうするかについての選択肢はいくつかありますが、一番賢い選択は売却することです。
ではどう売却するかについてですが、売却には仲介と買取の2つの方法があり、どちらの業者に依頼するのが良いかは、空き家の立地や状態によって変わってきます。そこでまずは、仲介と買取の違いについてお伝えします。
ただ、それよりも早く自分の空き家が仲介と買取のどちらに向いているか知りたいという方は仲介が向いている空き家以降をご確認ください。
仲介と買取の違い
仲介と買取では売却の仕組みが異なります。それに伴い、売却価格や売却にかかる時間や費用なども異なります。どのような違いがあるのか、1つずつ説明していきます。
なお、仲介と買取の違いについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
売買の仕組みの違い
仲介は不動産業者(仲介業者)が不動産ポータブルサイト(SUUMOなど)や雑誌、店頭などで広く一般の個人の買手を募って不動産を売却する方法です。仲介業者は売買契約が成立すると仲介手数料を受け取ることで利益を得ています。
ちなみに、売り出した物件に修繕が必要な場合でも、仲介業者はそのまま売りに出すだけで、特に対応してくれません。仲介業者の仕事はあくまで売り手と買手を仲介(結びつける)することだからです。ですから、物件に修繕が必要な場合は、売主が費用を負担して修繕やリフォームを行う必要があります。
一方、買取は不動産買取業者自身が買手となる売却方法です。買取を依頼された買取業者が買取価格を提示し、売主が承諾すれば売買契約が成立します。
また、物件に修繕が必要な場合は、買取後に業者が行うため、売主が費用を負担する必要はありません。なぜ買取業者の方で費用を負担してそのようなことを行ってくれるかというと、買取業者は買い取った不動産にリフォームなどを行い、付加価値をつけて運用することで利益を得ているためです。
売却価格の違い
仲介で売却する場合、売却価格は需給のバランスが釣り合った市場価格となります。そのため需要と供給がマッチングすれば高額での売却も見込めます。
一方、買取の場合の買取価格は、市場価格よりは安くなります。なぜなら、買取後に業者がその空き家を運用するためにかかる費用(リフォーム費用など)が市場価格より差し引かれるからです。
売却スピードの違い
仲介で売却する場合は、先ほどお伝えしたように買手を探す必要があります。そのため、通常でも売却するまでに平均数ヵ月かかります。それが、もし老朽化した空き家の場合だと、個人の買手に敬遠されるため、永遠に売れない可能性もあります。
一方、買取は仲介よりスピーディーに売却できます。仲介のように買手を探す必要がなく、買取業者が利益を見込めると判断すれば買い取ってもらえるからです。
弊社、株式会社Albalinkも空き家専門買取業者として積極的に空き家の買取を行っております。無料の買取査定だけでもご利用ください(買取査定だけのご利用の場合でも、無理な営業は行いませんのでご安心ください)
>>【倒壊寸前の空き家でも高額売却!】無料で買取査定を依頼する
空き家3000万控除の期限
前節でお伝えした仲介と買取の売却スピードの違いは「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例」(空き家3000万控除)が受けられるかどうかにも関わってきます。
空き家3000万控除とは一定の要件を満たせば、相続した空き家を売却して得た所得(譲渡所得)から3000万円が控除される特例です。つまり所得税が減額されるということです。
参照元:国税庁|No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
ただし、この特例を受けるには以下の期限までに空き家を売却する必要があります。
- 被相続人が亡くなった日(相続発生日)から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
- 特例の適用期限である2027年12月31日まで
上記のような期限があるため、もし仲介で売りに出してなかなか売れないと、期限を過ぎてしまう可能性があります。ですから、確実に特例を受けたい場合は、期限が過ぎる前に早めに買取での売却に切り替えることをお勧めします。
空き家3000万控除について詳しく知りたい方はこちらの記事もご確認ください。
仲介手数料の有無
仲介で売買契約が成立した場合、先ほどお伝えしたように売主は仲介業者に仲介手数料を支払わなくてはいけません。仲介手数料は下の表のように、売買価格によって変わります
参照元:国土交通省|宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額
仮に1千万円で売れたら仲介手数料として36万円支払うということです。
一方、買取であれば仲介手数料は発生しません。
売却にかかる費用
仲介と買取では売却にかかる費用にも違いがあります。基本的に仲介の方が売却するための費用がかかります。なぜなら仲介で空き家を売るには買手である一般の個人にその空き家を購入し、そこで暮らしたいと思ってもらえるように、売主が費用をかけて空き家に手を入れる必要があるためです。
具体的には仲介で売却するためには以下のような費用が必要になります。
【それぞれの作業を業者に依頼した場合の費用】
- リフォーム費用・・・500万~1000万円程度
- 残置物撤去費・・・1部屋3万円~5万円
- 解体費用・・・100万円~300万円程度
空き家は老朽化が進んでいることが多いため、リフォームして見た目の印象を良くし、劣化箇所を修繕する必要があります。また、前の住人の荷物が残っている家に住みたいと思う人はいないため、残置物も撤去すしなくてはいけません。もし、解体して土地だけ売りに出す場合も、解体費用が数百万円かかります。
一方、買取であれば、買い取ったあとに業者がリフォームや残置物の撤去などを行う為、上記のような費用をかけずに売却することができます。
契約不適合責任の有無
仲介で売却する場合、売買契約を交わす際に、売主に契約不適合責任が負わされます。一方、買取では免除される場合が多いです。
契約不適合責任とは、契約後に契約書の内容と、実際の建物の状況に相違があった際、売主が買主に対して負う責任のことです。たとえば、あらかじめ契約書に記載がない不具合(雨漏りなど)が建物に見つかった場合、売主は買主の求めに応じ、修繕するなどの対応をしなくてはいけません。
参照元:e-Gov法令検索|民法第566条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
仲介では、不動産の知識がない一般の個人が買手となるため、購入した後に買手が不利益を被らないために、売主にこうした責任が課せられています。
ではなぜ買取だと売主に契約不適合責任が課せられないのかを説明します。まず、仲介と違い、買取業者は不動産のプロなので、購入前に空き家の不具合箇所は把握しています。
それに、もし購入後に不具合が見つかっても、そもそも買取業者は修繕することを前提で空き家を買い取っています。そのため、売主に契約不適合責任を負わせてまで、不具合に対する保険をかける必要がないわけです。
なお、契約不適合責任については、以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
仲介が向いている空き家
仲介での売却が向いている空き家は、状態や立地が良く、一般の個人の買手に需要がある空き家となります。具体的には以下のような条件を備えている空き家になります。
- 築15年以内(リフォームの必要がなく住める)
- (電車文化の都心であれば)最寄り駅まで徒歩10分以内
- (車文化の地方であれば)市街地まで車で15分以内
なぜ、上記のような築浅で、駅や市街地へのアクセスが良い空き家が仲介に向いているかというと、前述したように、仲介の買手は住居用の不動産を探している、一般の個人だからです。ですから、リフォームをしなくてもすぐに暮らせて、最寄り駅や市街地に出やすい空き家でないと、需要がないわけです。
買取が向いている空き家
前節で仲介での売却が向いている空き家の条件をお伝えしましたが、実際、その条件に当てはまるような好立地、好条件の空き家は多くありません。ですから、基本的には空き家を売却するのであれば、買取依頼することをお勧めします。具体的には以下のような条件の空き家は買取が向いています。
- 築15年以上(住むためにはリフォームが必要)
- (電車文化の都心であれば)最寄り駅まで徒歩10分以上
- (車文化の地方であれば)市街地まで車で15分以上
なぜ上記条件のような空き家は買取が向いているかというと、仲介では需要がないためです。住むのにリフォームが必要で、交通の便が悪い空き家を、わざわざ居住用に買う人はいないからです。
しかし、買取であればこうした仲介では買手がつかないような空き家でも、現状のままで買い取ってもらえます。なぜなら前述したように、買取業者は事業目的で空き家を買い取っており、買い取ったあとに業者自身が運用目的に合わせてリフォームなどを行うからです。
空き家は老朽化していることも多く、一般の個人の買手がつきにくいため、基本的には買取で売却するのが良いということを理解していただけたかと思います。そこで、次章ではどうすれば高額買取が実現できるかについてお伝えします。
もちろん、弊社、株式会社Albalinkにご依頼いただければ、どんな老朽化した空き家でもできる限り高額買取させて頂きます。空き家が老朽化してしまい、活用することも売却することもできずにお困りの方は、ぜひ弊社の無料買取査定をご利用ください(買取査定だけのご利用でも、その後、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
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空き家を高額で買い取ってもらうためにはどうするべきか?
たとえ老朽化している空き家であっても、買取依頼を出す以上、1円でも高く買い取ってもらいたものです。そこでこの章では、高額買取を実現するために必要なことをお伝えしていきます。
空き家専門の買取業者を選ぶ
一言で買取業者といっても、業者によって何を専門に買い取っているかは異なります。空き家のこともあれば、マンションの買取が得意な業者もいます。
空き家の買取依頼をする際は、当たり前ですが、空き家の買取を専門にしている買取業者に依頼しましょう。空き家専門の買取業者であれば、空き家を活用するノウハウが豊富にあるため、高額で買い取ってくれる可能性があるからです。
もしこれが、同じ買取業者でも、マンションの買取を専門にしている業者に依頼してしまうと、空き家を活用するノウハウはないため、買い取ってもらえないか、買い取ってももらえても金額は安くなってしまいます。
買取業者が何を専門に買取しているかは、その業者のホームページで、「買取実績」や「業務内容」を確認すればわかります。
弊社、株式会社Albalinkは空き家専門の買取業者として年間600件超(※2023年1月~10月の実績)の買取実績があります。その中で培ってきた、空き家を再生活用するノウハウと人脈により、高額買取が可能です。ぜひ一度無料の買取査定をご利用ください(買取査定だけのご利用でも、その後、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
>>【倒壊寸前の空き家でも高額売却!】無料で買取査定を依頼する
複数見積もりする
買取業者を選ぶ際は、複数の買取業者に買取査定を依頼しましょう。1社だけだと自分の空き家の買取相場がわからないので、査定額が高いのか安いのかの判断もつかないためです。
ただし、高い査定額を提示されても、安易にその業者と契約せず、業者の態度などもよく見極めるべきです。なぜ、業者の態度が重要なのかについては、次節で説明します。
問い合わせたときの業者の対応をチェックする
買取業者を選ぶ際は、査定額だけでなく、問い合わせた時の受け答えが丁寧で誠実であるかも重要です。なぜなら、受け答えが雑だったり不明瞭な業者は、金額の根拠などを名言せずに、あとから理由をつけて査定額を下げてくる可能性があるからです。そうした悪徳業者にひっかからないためにも、問い合わせ時、以下の点をチェックしましょう。
- こちらの希望(買取価格・時期など)について耳を傾けてくれるか
- 査定額について根拠を持って説明してくれるか
- 質問に対してはぐらかさず、わかりやすく説明してくれるか
まず、何よりも、希望をかなえられるかどうかは別にしても、こちらの希望にしっかり耳を傾けてくれる業者を選ぶべきです。初めから高圧的にこちらの希望を否定してくるような業者では高額買取は期待できません。査定額についても、たとえ希望額に達していなくとも、納得いく説明をしてくれて、こちらの質問にもしっかり答えてくれる業者を選びましょう。
価格交渉をしてみる
信頼できる業者が見つかり、そこが一番高い査定額であれば迷わずその業者を選びましょう。
しかし、信頼できると感じた業者とは別の業者が一番高い査定額を出してきた場合は、その査定額を信頼できる業者に伝え、価格交渉をしてみるべきです。
信頼できる業者であれば、いきなり無理とは言わず、一度は検討してくれるはずです。その結果、査定額が上がるかはわかりませんが、交渉してみる価値はあります。
口コミサイトを確認する
高額買取をしてくれそうな買取業者を見つけるためには、口コミサイトで買取業者の直近の実績を確認してみましょう。口コミサイトは、実際にその業者に買取依頼をした売主からの情報であるため、信憑性があります。
買取業者の口コミを確認するには、ネットで「業者の社名+口コミ」などで検索してみてください。その業者の口コミをまとめたサイトなどが出てくるはずです。
直近の口コミを確認し、自分が所有している空き家と同じような状態の空き家を高額買取してもらったという書き込みがあれば、迷わず買取査定を依頼してみましょう。
ただし、高額買取の書き込みがある一方で、担当者の態度などに関するクレームの書き込みもある業者は、
業者として高額買取するノウハウや実績はあるけれど、担当者の質にむらがある可能性があります。ですから、そういった業者の場合は、さしあたり買取査定を依頼したうえで、前節で述べたチェック項目に従って担当者の態度を確認しましょう。
まとめ
今回は空き家はどうするのが一番良いのかについて、いくつか選択肢を示した上で、一番リスクがなくお得な選択は売却であるということをお伝えしました。
空き家を売却するには仲介と買取の2つの方法があります。ただ、記事でもお伝えしましたが、立地や条件の良い一部の空き家を除き、基本的に空き家は買取で売却すべきです。なぜなら、空き家は老朽化が進んでいることが多く、一般の個人が買い手である仲介では売れにくいからです。
一方、買取であれば、たとえ老朽化が進んだ空き家であっても、スピーディーに費用をかけずに売却することができます。加えて、仲介では空き家の所有者である売主に契約不適合責任が負わされるますが、買取では免責されます。そのため、買取で売却すれば、その後は空き家のことで一切頭を悩ます必要がなくなります。
空き家をどうするのが一番良いのか悩んでいる方は、買取業者に買い取ってもらいましょう。そうすれば売却益も手にでき、空き家を管理する手間や税金の支払いからも永遠に解放されます。
すぐに空き家を買い取って欲しいという方は、年間600件以上の空き家買取実績のある弊社、株式会社Albalinkへ今すぐご相談ください。
※2023年1月1日~2023年10月25日現在の実績:相談/5,555件:買取/600件