空き地を活用せずに放置する3つのリスク
空き地を活用せずに放置すると、以下3つのリスクに悩まされる恐れがあります。
- 維持費や税金がかかる
- 近隣トラブルに発展する
- 犯罪に利用される
空き地の活用事例をご紹介する前に、空き地の放置にはどのようなリスクが伴うのかを詳しく見ていきましょう。
維持費や税金がかかる
空き地を所有すると、毎年固定資産税を納める必要があります。
また、所有している空き地が市街化区域内にある場合は、都市計画税も課されます。
すでに市街地が形成されている区域。また10年以内に計画的に市街化を図るべきと定められている区域
固定資産税と都市計画税の求め方は、それぞれ以下の通りです。
固定資産税評価額は、自治体から毎年送られてくる固定資産税納税通知書を見れば確認できます。
【固定資産税納税通知書例】
また、自治体に備えつけられている固定資産課税台帳でも確認可能です。
たとえば、空き地の固定資産税評価額が2,000万円だったときに課される固定資産税、都市計画税は以下の通りです。
「固定資産税評価額×1.4%」の計算式より、
2,000万円×1.4%=28万円【都市計画税】
「固定資産税評価額×0.3%」の計算式より、
2,000万円×0.3%=6万円【合計】
28万円+6万円=34万円
つまり上記のケースでは、空き地を所有する限り毎年34万円を納めなければならないということです。
また空き地の所有者には、その土地をきちんと管理する義務があります。たとえば定期的な草刈り、土が敷地外に流出しないようにするための養生などが該当します。
自分で空き地の管理を行えば費用は抑えられますが、時間や作業をする手間がかかります。自分では管理しきれない場合には不動産管理業者に維持管理を依頼する形となりますが、毎月数千円~数万円ほどの費用が必要です。
空き地を所有し続ける限り、税金や維持管理費は負担し続けなければなりません。
なお、あなたが所有している空き地が農地のときの固定資産税の計算方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
近隣トラブルに発展する
近隣トラブルに発展する可能性がある点も、空き地を放置するリスクのひとつです。
たとえば空き地内に雑草が生い茂って害虫・害獣が発生し、近隣の方に被害を与えることがあります。また木の枝が伸びて隣の敷地に越境し、近隣の方からクレームをいわれるなどのトラブルにつながるケースも少なくありません。
場合によっては、空き地の所有者が賠償責任を問われることもあるので注意が必要です。
参照元:e-Gov法令検索「民法第717条」
たとえば、土地の斜面を安定させるための石垣が雨で崩壊し隣家を全壊させた事例において、裁判所は所有者が安全性を欠いていたと判断し、約364万円の損害賠償を命じています。
参照元:公益財団法人日本住宅総合センター「民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者責任)に係る判例(2)」
近隣トラブルリスクを回避するには、空き地の適切な管理が不可欠といえます。
犯罪に利用される
空き地を放置すると、ゴミを不法投棄されるリスクがあります。不法投棄されたゴミは、ゴミを捨てた人を特定できない限り、土地の所有者が自身の負担で処分しなければならない点に注意が必要です。
また、空き地に捨てられたゴミに放火される恐れもあります。
空き地で放火による火災が発生して近隣の家屋に延焼した場合、原則として所有者責任は問われません。
ただし空き地の所有者に重大な過失がある場合、たとえば空き地の管理を怠って放火されやすい状況を放置したなどのケースでは損害賠償を請求される恐れがある点に要注意です。
参照元:e-Gov法令検索「民法第709条」
参照元:e-Gov法令検索「失火の責任に関する法律」
そのほか、第三者が勝手に自動車を止めるなど空き地を無断使用されるケースも珍しくありません。
土地の無断使用は、刑法上の「不動産侵奪罪」に該当する可能性があります。
参照元:e-Gov法令検索「刑法第235条の2」
しかしあなたが所有している空き地に他人の車が止まっていたとしても、勝手にレッカー移動させるなどの行為はできません。民法上の「不法行為」に該当するためです。これを「自力救済禁止の原則」といいます。
参照元:e-Gov法令検索「民法第709条」
空き地を明け渡してもらうには、土地を無断使用している人と話し合いを行うか、裁判を起こす必要があります。
所有している土地が何らかの犯罪に巻き込まれるのを防ぐには、やはり定期的な管理が欠かせません。
空き地の活用方法と事例12選【使える補助金も紹介】
空き地でできる有効な活用方法には、以下12種類があります。
- 賃貸経営を行う
- ソーラーパネルを置いて太陽光発電を行う
- 保育園を経営する
- サポート付き高齢者住宅を経営する
- 貸し農園を開く
- 駐車場経営を行う
- コインパーキングを設置する
- トランクルームを設置する
- 資材置き場として貸し出す
- 自動販売機を設置する
- 空き地のまま貸し出す
- 建設協力方式で賃貸事業を行う
中には国や自治体から補助金が支給される活用方法もあるので、適用要件を満たしている場合には積極的に利用するとよいでしょう。
それぞれの活用方法について、具体的に解説します。
賃貸経営を行う
空き地に戸建てやアパート、マンションを建てて人に貸し、賃料を得る方法があります。
賃貸経営のメリットは、長期にわたって家賃収入を得られる点です。
また空き地に居住用の建物を建てると、土地の固定資産税が最大6分の1、都市計画税が最大3分の1となる「住宅用地の特例」が適用されるので、節税効果も期待できます。
住宅用の敷地に課される税負担の軽減を目的とした制度。200㎡以下の住宅用地にかかる固定資産税の課税標準額が6分の1、都市計画税は3分の1、200㎡を超える部分の固定資産税の課税標準額が3分の1、都市計画税は3分の2に軽減される
ただし、初期費用が高額にのぼる点がデメリットです。建物によって建築費用は異なりますが、1億円を超えることもあります。建物の維持管理費や修繕費が継続的にかかるところもデメリットです。
また、金融機関から融資を受けて賃貸物件を建てた際には、金利分を含めた金額を毎月返済していかなければなりません。将来的に金利が上昇すると、総返済額が増えかねない点に注意が必要です。
賃貸経営を始めても、入居者が見つかるとは限らない点にも要注意です。賃貸物件に住む入居者がいないと、当然家賃収入は得られません。空室リスクを回避するには、土地周辺の賃貸需要を見極めることが重要です。
駅に近いなど所有している土地の立地が良い方は、賃貸経営に向いています。
最大140万円の補助金も利用できる
空き地上に建てる木造の賃貸物件が長期優良住宅の認定を受けた場合、最大で140万円の補助を受けられる地域型住宅グリーン化事業を利用できることがあります。
参照元:地域型住宅グリーン化事業【ゼロ・エネルギー住宅型実施支援室】「令和5年度補助金申請等における留意点」
参照元:一般社団法人住宅性能評価・表示協会「長期優良住宅認定制度の概要について【新築版】」
国が定めた長期優良住宅認定制度の基準をクリアし、かつ自治体の認定を受けている住宅。耐震等級2以上、劣化対策等級3、断熱等性能等級5、住戸面積40㎡以上(共同住宅の場合)などの認定基準がある
申請は施工業者を通じて行いますが、1社が受けられる補助金の上限戸数が7戸と定められているため、事前に確認しておくことをおすすめします。
また制度の概要は年度ごとに変更されるため、常に最新情報をチェックするようにしてください。
ソーラーパネルを置いて太陽光発電を行う
空き地上にソーラーパネルを設置し、発電した電力を売ることで収益を上げる活用方法です。
FIT制度(固定価格買取制度)により、ソーラーパネルを通じて発電した電力は電力会社が一定期間、一定価格で買い取ってくれるので、安定した収益を得られるメリットがあります。
たとえば空き地上に10kW以上50kW未満のソーラーパネルを置いた際には、20年間にわたって1kW・10円で買い取ってもらえます(2023年度)。
参照元:経済産業省資源エネルギー庁「FIT・FIP制度」
土地が郊外にあって日当たりが良く、賃貸需要が見込めない場合に向いている活用方法といえるでしょう。
ただし太陽光発電経営を行うにあたり、数百万円~数千万円ほどの初期費用がかかる点はデメリットです。
また20年間電力を買い取ってくれるとはいえ、賃貸経営ほどの高収益は見込めません。
自然災害でソーラーパネルが壊れるリスクもあるため、万一に備えて損害保険に加入しておくと安心です。
自治体の補助金を利用できる
事業として太陽光発電経営を行うにあたり、補助金を受けられる可能性があります。
たとえば太陽光発電に蓄電池を併設すると、設置費用の4分の1、もしくは3分の1を補助してもらえます。
参照元:一般社団法人太陽光発電協会「再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業」
また、農地の上部にソーラーパネルを設置する「営農型太陽光発電」を行う場合には、設置費用の2分の1の補助を受けられます。
参照元:環境省「民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」
補助金を有効に活用すると、初期費用の回収期間をより短縮することが可能です。
保育園を経営する
空き地で保育園経営を行うのも選択肢のひとつです。
こども家庭庁の調査によると、2023年4月時点における待機児童数は全国で2,680人います。ピーク時の2017年の2万6,081人と比較すると大きく改善されているといえますが、それでも6自治体において50人以上の待機児童が存在するのが現状です。
参照元:こども家庭庁「令和5年4月の待機児童数調査のポイント」
そのため、あなたが所有している土地が保育需要の高い地域にあるなら、保育園経営は成功しやすいといえるでしょう。
保育園の開業に必要な初期費用は一般的に500~600万円、人件費など毎月の運営費用は200~300万円といわれています。
しかし保育園の運営事業者と定期借地契約を交わして土地だけ貸せば、初期費用を負担せずに済み、長期にわたって安定して地代収入を得られます。
期間を定めて土地を貸すこと。契約期間が満了すると、更地にした状態で返還してもらえる
参照元:e-Gov法令検索「借地借家法第22条」
東京都のように保育園が建っている土地にかかる固定資産税・都市計画税が5年間免除される自治体もあるので、節税効果が期待できる点もメリットです。
参照元:東京都主税局「有料で借り受けた者が保育所等として使用する土地に対する固定資産税・都市計画税の減免Q&A」
ただし、自治体から保育園の認可を受けるまでに数年かかる点はデメリットといわざるを得ません。
園児の声などが原因で近隣トラブルへとつながるリスクもあり得ます。
また、少子高齢化が進展して園児数が少なくなると、保育園経営が破綻しかねない点にも注意が必要です。
国や自治体から補助金が出る
空き地で保育園経営を行う場合、国や自治体から補助金を受け取れる可能性があります。
たとえば「就学前教育・保育施設整備交付金」を利用して保育園を新設すると、費用の2分の1を補助してもらえます。
参照元:こども家庭庁「就学前教育・保育施設整備交付金交付要綱」
また、遊具の消毒や寝具の用意など保育にまつわる周辺業務を行う人員を雇う際には「保育体制強化事業」が適用され、ひとりあたり月額10万円の補助を受けることが可能です。
参照元:埼玉県「保育体制強化事業費補助金交付要綱」
このような補助金をうまく活用すると、初期費用や運営費用の負担を可能な限り抑えられ、より収益率を上げられるようになります。
サービス付き高齢者向け住宅を経営する
単身の高齢者や高齢夫婦が入居できる「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」を経営する方法もあります。
少子高齢化が進む日本にあって、今後ますます介護が必要となる人の割合は高まると見込まれています。
参照元:厚生労働省「我が国の人口について」
そのため、サービス付き高齢者向け住宅には将来的な需要が期待でき、安定した収入を得られるのはメリットです。
一方、サービス付き高齢者向け住宅経営は、土地の所有者が建てた建物を事業者に貸し出す「一括借り上げ方式(サブリース)」が基本です。
賃貸経営よりも初期費用が高く、規模によっては数億円にのぼることも少なくありません。しかし支出は固定資産税・都市計画税、損害保険料くらいであり、比較的収益が安定しやすい点はメリットといえます。
あなたが所有している空き地が以下の条件を満たしているときは、サービス付き高齢者向け住宅経営が成功しやすくなります。
- 敷地面積が200坪以上
- 周辺に医療機関や買い物のできる商業施設が充実している
- 周辺道路が舗装されていて勾配がない
- 周辺に墓地などがない
ただし、サービス付き高齢者向け住宅経営は土地の面積が広くなければ行えません。たとえば20戸の建物を建てるには、200坪以上の土地が必要です。
また、一度サービス付き高齢者向け住宅を建てると、他の用途への転用がしにくい点もデメリットです。もし委託している介護事業者が倒産した場合、次の事業者が見つかるまで収入を得られないことは大きなリスクといえるでしょう。
国から最大1,000万円の補助金が出る
サービス付き高齢者向け住宅の建設にあたり、国から建設費の10分の1(限度額は1,000万円)の補助金を受け取れる点は大きなメリットです。
参照元:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の登録制度の概要」
また新築後5年間、建物にかかる固定資産税が軽減される点もメリットのひとつです。軽減率は自治体によって異なり、おおむね50~83%です。
参照元:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の登録制度の概要」
ただし、補助の適用を受けるには、以下のような条件を満たす必要があります。
- 高齢者住まい法に基づくサービス付き高齢者向け住宅として10年以上登録すること
- 市町村のまちづくり方針と合致していること
- 入居者が任意の事業者による介護サービスを利用できること
- 家賃の限度額は所在する自治体に応じて設定した額(月11万2,000円~24万円)とすること
参照元:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の登録制度の概要」
サービス付き高齢者向け住宅経営を始めるなら、事前に補助金の適用要件を満たすかどうかを確認しておきましょう。
貸し農園を開く
土地が農地の場合には、貸し農園を始めるのものひとつの方法です。
「自宅に庭がないものの、家庭菜園を行いたい」と考える方は少なくありません。農地を借りたい方の需要は一定数あるため、安定した収益が期待できます。
また、耕作を行っていない遊休農地の固定資産税の評価額は通常の農地の1.8倍となりますが、貸し農園経営を行うと耕作していると見なされるので、税金の負担軽減にもつながります。
参照元:農林水産省「遊休農地の課税の強化」
使用していない農地を活用したい方に向いている活用方法です。
しかし、貸し農園経営で得られる収益は年間で数万円~数十万円ほどとそこまで高くありません。
また、不特定多数の方が貸し農園を利用するにあたり、周辺で耕作を行っている方とのトラブルが起こる可能性がある点にも注意が必要です。
駐車場経営を行う
駐車場経営は、比較的容易にできる土地活用方法のひとつです。
土地のスペースを区切ってそのまま貸し出すだけなので、初期費用はそれほどかかりません。年間収入は1台あたり6~24万円ほどに過ぎませんが、安定した定期収入を見込める点は大きなメリットです。
また1か月前に解約を通知すれば駐車場を閉鎖できるので、他の用途に転用しやすいメリットもあります。
ただし、駐車場を借りたい人がいなければ、当然経営はうまくいきません。また賃貸経営など他の土地活用方法と比べると、収益性に劣る点もデメリットといえます。
住宅用地の特例も適用されないので、固定資産税の軽減措置は受けられません。
「周辺にマンションやアパート、商業施設が多く、駐車場が不足している」「前面道路の幅が広く駐車しやすい」土地に向いています。
コインパーキングを設置する
コインパーキング経営も、駐車場経営同様簡単に始められる土地活用方法です。
特に土地を駐車場運営会社に貸す「一括借り上げ方式(サブリース)」であればコインパーキング経営に必要な設備の導入から管理まですべて任せられるので、初期費用なしで始められます。管理の手間もかかりません。
1~2台分の車を止めるスペースがあれば始められるため、土地が狭い場合でも活用可能です。
また土地上に建物を建てるわけではないので、コインパーキング経営から他の用途への転用もスムーズに行えます。
ただし、他の土地活用方法と比較すると収益性が高くない点がデメリットです。住宅用地の特例が適用されず、固定資産税を満額納めなければならないデメリットもあります。
あなたが所有している土地が住宅街にある、商業施設に近い、道路の幅が広い場合はコインパーキング経営を検討する価値はあるでしょう。
トランクルームを設置する
トランクルーム経営は、空き地上に設置したコンテナを荷物の収納スペースとして貸し出して賃料を得る土地活用方法です。
トランクルーム経営にかかる初期費用の目安は、約200~800万円です。賃貸経営などと比べると、初期費用を比較的抑えられる点はメリットといえます。
立地を問わず、不整形地でも始めやすいところもメリットのひとつです。
ただし、コンテナを設置する際には基礎工事が必要となるため、通常の建物と同じく建築確認申請が必要です。
また、用途地域が第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域に該当するエリアではトランクルーム経営を行えません。
建築できる建物の種類や用途を定めた制度。計13種類あり、「住宅系」「商業系」「工業系」に大別される
トランクルーム経営を始める前に、あなたが所有している土地の用途地域を自治体に問い合わせて確認しておきましょう。
そのほか、利用者の多くは車で荷物を運び入れるため、駐車場が併設されていないトランクルームでは需要が見込めない点にも注意が必要です。
トランクルーム経営は、土地が住宅街の中にある、駐車場を備えられるほど敷地面積が広い場合に向いているといえます。
資材置き場として貸し出す
資材置き場経営は、初期費用をかけずに土地活用を始めたい方におすすめの方法のひとつです。
建設会社や工場などで使用する資材の保管場所として空き地を提供するだけなので、初期費用だけでなく、管理の手間もかかりません。
他の用途への転用がしやすい点もメリットです。
ただし年間収入の目安は固定資産税額の2~4倍ほどであり、そこまで収益性は高くありません。たとえば固定資産税額が10万円の空き地なら、年間で20~40万円の収入を得られるということです。
空き地の近隣に建設会社や工場などがある、農地からの転用が難しい、建物を建てての活用ができないなどの場合に向いています。
自動販売機を設置する
空き地上に自動販売機を設置する土地活用方法も、初期費用をかけずに手軽に始められます。
自動販売機の設置やドリンクの補充などは飲料会社に任せられるので、あなたが費用を負担したり、ゴミの回収などの管理を行ったりする必要はありません。
ただし、自動販売機の稼働にかかる電気代は負担する必要があります。
また飲料会社に管理・運営を任せる場合には、売上の20~30%が取り分となります。年間で数万円ほどの収益しか得られないので、固定資産税が高い土地で行うと税負担のほうが大きく、赤字になりかねません。
自動販売機を設置するなら、賃貸経営と併用するなど他の活用方法と併せて検討するとよいでしょう。
空き地の目の前の道路の人通りが多い、周辺に住宅街やオフィス街が形成されているなどの場合に検討の余地があるといえます。
空き地のまま貸し出す
空き地を活用するにあたって費用も手間もかけたくない方には、そのままの状態で貸し出す方法が向いています。
たとえばコンビニエンスストアやファミリーレストランなどの経営を行っている企業に事業用定期借地として貸し出すと、10年以上50年未満にわたって安定した地代を得られます。
事業用に限定し、10年以上50年未満の契約期間を定めて土地を貸すこと。契約更新はなく、契約期間の満了をもって土地が確実に返還される。居住用の建物も建てられる一般定期借地では50年以上の契約期間を設定しないといけないため、空き地を短期間貸したい方に向いている
参照元:e-Gov法令検索「借地借家法第23条」
あなたが所有している空き地の面積が広く、幹線道路沿いにあるなどの場合には、多くの需要が見込めるでしょう。
ただし、空き地を企業に一度貸すと、契約期間中は自分で活用することはできません。そのため、「空き地を売却したい」「空き地に自分で住む建物を建てたい」などと考えている場合には他の活用方法を検討したほうがよいでしょう。
建設協力金方式で賃貸事業を行う
空き地の活用に際してお金をかけたくない方には、建設協力金方式もおすすめです。
建設協力金方式とは、テナントから無利子、もしくは低金利で借りた「建設協力金」を元手に建物を建設し、それをそのままテナントに貸して家賃収入を得る方法です。
建設協力金方式を利用すると、土地活用に際して金融機関の融資を受ける必要はありません。借り手も決まっているので、確実に収益を得られます。
また建設協力金は土地の所有者が返済する必要がありますが、テナント側から途中解約の申し出があった場合、残債を返済しなくてもよくなります。
ただし「賃貸借契約期間が終了」「テナントが途中解約した」場合、新たな借り手を見つけにくい点がデメリットとして挙げられます。空き地上に建てられた建物は、前の借主が希望した間取り・仕様となっているためです。
加えて建物の所有者はあなたになるので、維持修繕費や固定資産税などの費用を負担しなければならず、収支がマイナスになるリスクがある点もデメリットとして挙げられます。
「土地が交通量の多い道路沿いにある」「土地が広い」「空き地の活用に際して自己資金をあまりかけたくない」場合に向いている土地活用方法です。
空き地を活用する際の3つの注意点
ここまで空き地の活用事例を12種類ご紹介してきました。
ただし、空き地は自由に活用できるわけではありません。また何らかの方法で空き地を活用しても、確実に収益を上げられるとは限らない点にも注意が必要です。
そのため空き地を活用する際は、以下3つの注意点を踏まえたうえで慎重に検討することをおすすめします。
- 法律で規制されていないか確認する
- 需要のある土地か確認する
- 管理できるか確認する
それぞれの注意点について解説します。
法律で規制されていないか確認する
空き地のある地域によっては、法律で活用方法が制限されていることがあります。
たとえば、あなたが所有している空き地の用途地域が第一種低層住居専用地域に指定されている場合、基本的に店舗は建てられません。また建てられる建物の高さが10m、もしくは12mと制限されているため、3階建ての賃貸物件を建てる際には要注意です。
参照元:東京都都市整備局「用途地域による建築物の用途制限の概要」
空き地によっては、再建築が認められないケースもあります。
建物を建てる際には、建築基準法上の幅4m以上の道路に敷地が2m以上接していなければなりません。これを「接道義務」といいます。この接道義務を満たしていない土地は建物の建築が認められないことから、「再建築不可物件」とも呼ばれます。
参照元:e-Gov法令検索「建築基準法第42条」「建築基準法第43条」
そのため、あなたが所有している空き地が以下の条件に該当する場合は、建物を建てての活用ができないため、太陽光発電経営などほかの活用方法を検討する必要があります。
- 空き地に接している道路の幅が4m未満
- 空き地が道路に接している間口が2m未満
- 建築基準法上の道路に接してない
なお、再建築不可物件の活用方法は以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
そのほか、あなたが所有している空き地が農地なら、活用にあたって「農地転用」が必要です。農地転用はその名の通り、農地を住宅や駐車場など農地以外のものにすることです。
ただし、農地転用をするには都道府県知事や農業委員会の許可を得なければなりません。
農地転用申請をして許可が下りれば、賃貸物件を建てるなどの活用ができるようになります。
しかし農地は農業の基盤となる重要なものであるため、そう簡単に農地転用の許可は下りません。
農地をほかの用途に活用するのは難しいといわざるを得ないため、後述の「空き地を活用できない場合の3つの対処法」の章で解説するように売却を視野に入れるとよいでしょう。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)では、農地でもスピーディーに買い取ることが可能です。農地を活用できずにお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
>>【活用できない空き地を高額売却!】無料の買取査定を依頼する
なお、農地転用の方法や売却の流れは以下の記事に詳しくまとめてあります。併せてご参照ください。
需要のある土地か確認する
空き地を賃貸物件や駐車場、トランクルームなどとして活用する場合は、需要があるかどうかを見極めることが重要です。
たとえば、賃貸経営を成功させるには空室を出さないことがポイントです。入居率が高いほど、安定した収益を得られます。
賃貸需要が高い賃貸物件の特徴は、以下の通りです。
- 駅から徒歩10分以内など交通アクセスがよい
- 周辺に商業施設が充実している
- 周辺の住環境が良い
- 地域の人口が多い
上記の条件に該当しないエリアで賃貸経営を始めても、入居者を集められずに失敗に終わる可能性が高いでしょう。
また空き地を活用する前に、収支計画を立てることも大切です。
前述のように、空き地の活用方法のなかには多額の初期費用が必要となるものもあります。また、維持管理費や修繕費、固定資産税などのランニングコストなどもかかります。
しかし得られる収益が少ないと、投資した初期費用やランニングコストを回収できません。
そのため空き地を活用したいなら、初期費用を抑えたり、収益が安定した事業を選択したりといった対策も不可欠です。
管理できるか確認する
空き地を活用する場合、自分で管理できるかどうかを確認することも大切です。
空き地の管理は、所有者の義務です。適切な管理がなされていないと、前述のように近隣の方とのトラブルに発展することもあります。
しかし、空き地が遠方にある場合には管理が難しいといわざるを得ません。管理の手間に加え、自宅と空き地の往復にかかる時間、交通費の負担も大きくなります。
賃貸経営や駐車場経営など、活用方法によっては管理会社に管理を委託できることがあります。ただし毎月一定の管理費を支払う必要があるため、コストがかさんで収益が圧迫されかねません。
空き地が遠方にあって自分では管理しきれないと感じたときは、次の章で解説する3つの対処法を検討するとよいでしょう。
空き地を活用できない場合の3つの対処法
空き地の活用が難しい場合に取れる対処法は、以下の3つです。
- 相続土地国庫帰属法を利用する
- 隣人に買い取ってもらう
- 売却する
それぞれの対処法について、詳しく見ていきましょう。
相続土地国庫帰属法を利用する
相続した空き地を活用できずに持て余しているなら、相続土地国庫帰属法を利用して手放すのも選択肢のひとつです。
相続土地国庫帰属法は、2023年4月27日からスタートした相続した土地を国に引き取ってもらえる制度です。
この制度を利用すると、相続した不要な土地を手放せるようになります。
しかし、以下に該当する土地は国に引き取ってもらえません。
- 建物が建っている土地
- 担保権などが設定されている土地
- 他人の利用が予定されている土地
- 土壌汚染されている土地
- 境界が不明瞭な土地
- 崖があるなど管理するのに費用がかかる土地
- 隣地所有者との訴訟によらなければ管理できない土地
参照元:政府広報オンライン「相続した土地を手放したいときの「相続土地国庫帰属制度」」
また、制度を利用する際に数十万円ほどの費用が必要になる点もデメリットです。
相続土地国庫帰属制度を利用しても、確実に土地を引き取ってもらえるとは限りません。そのため相続した土地を手間なく手放したいなら、売却を検討することをおすすめします。
なお、以下の記事では相続土地国庫帰属法を詳しく解説しています。併せて参考にしてください。
隣人に買い取ってもらう
空き地を活用できない場合は、隣人に売却するのも選択肢のひとつです。
隣人にとって、地続きの空き地を購入することで自身の土地を広げられるメリットがあります。もし隣人が「駐車場スペースがほしい」「子や孫家族が住む家を建てたい」などと考えているなら、前向きに検討してもらえるでしょう。
しかし、土地の売買は売主と買主の合意があって初めて成立します。そのため、隣人に購入の意思がなければ売却はできません。
また、売却金額を巡ってトラブルとなる恐れもあります。
土地を購入する側は、少しでも安く買いたいと考えるものです。しかし売主としては、少しでも高く売りたいと思うでしょう。そのため直接売却金額の交渉をすると、話がこじれてしまいかねません。
隣人との関係に亀裂が入ると、その後の売却活動に支障をきたすリスクもあります。たとえば空き地を売りたいのに、隣人が購入希望者に事実無根の言いがかりをつけて妨害をしてくるなどのケースも起こり得るので注意が必要です。
なお、隣人トラブルのある物件を売却する際のポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。
売却する
空き地を売却したいなら、まずは不動産業者に相談することをおすすめします。
一口に不動産業者といっても、仲介業者と買取業者に大別できます。仲介業者は売主と買主をマッチングさせて売買契約を成立させる不動産業者、買取業者は自らが買主となって直接物件を購入する不動産業者です。
以下のように、空き地の条件によっておすすめの相談先は異なります。
- 立地が良く需要がある土地なら仲介業者に相談する
- 立地が悪く需要がない土地なら専門の買取業者に相談する
あなたが所有している空き地の条件に該当するほうを読み進めていってください。
それぞれの売却方法について、詳しく見ていきましょう。
なお、仲介と買取の違いについては、以下の記事でも詳しく解説しておりますので、併せてご参照ください。
立地が良く需要がある土地なら仲介業者に相談する
あなたが所有している空き地の立地が良い場合は、仲介業者に相談するとよいでしょう。
弊社が行ったアンケート調査によると、家の購入時にもっとも優先した条件の1位は「立地」でした。
参照元:【家を購入する際に優先したことと妥協したこと】経験者493人アンケート調査
土地の購入を検討している方の多くは、自分たちが住むマイホームを建てたいと考えています。
そのため、あなたが所有している空き地が以下の条件に該当するなら、仲介業者を通じて市場相場に近い価格で売却できる可能性があります。
- 駅から徒歩10分以内
- 周辺に商業施設・教育施設・医療機関が充実している
- 静かな住環境が整っている
ただし、空き地を仲介で売却する際には仲介手数料を支払わなければなりません。
仲介手数料は仲介業者に成功報酬として支払う費用のことで、以下の計算式で算出します。
たとえば空き地を2,000万円で売却すると、以下の仲介手数料が発生します。
仲介手数料=(2,000万円×3%+6万円)×10%=72万6,000円
また、あなたが買主に契約不適合責任を負わなければならない点もデメリットです。契約不適合責任は売主が買主に負う責任を指します。
もし空き地の売却後、土壌汚染や地中埋設物など売買契約書に記載のなかった欠陥が見つかった場合、買主から損害賠償や契約の解除などを請求されかねません。
のちのトラブルを避けるためにも、空き地を仲介で売却する際には土地に関する事前調査が不可欠といえます。
なお、契約不適合責任についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
立地が悪く需要がない土地なら専門の買取業者に相談する
あなたが所有している空き地の立地が悪く、買主からの需要が期待できない場合は、専門の買取業者に相談しましょう。
専門の買取業者には、買い取った空き地を活用して収益を上げるノウハウがあります。立地が悪い空き地でも商品化できるため、スピーディーに、かつ適正価格で買い取ってもらうことが可能です。
空き地の売却に際して、あなたが契約不適合責任を負う必要もありません。専門の買取業者は空き地に潜んでいる欠陥の修繕を前提で購入するので、あなたの契約不適合責任を免責にすることができるのです。
あなたが仲介手数料を負担する必要がない点も、専門の買取業者に売却するメリットのひとつです。
空き地を手間や費用をかけることなく売却したいなら、専門の買取業者に依頼することをおすすめします。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)は空き地の買取に特化している専門の買取業者です。これまでに数多くの空き地を買取してきた実績があり、過去にはフジテレビの「Newsイット!」にも「訳あり物件の買取業者」として紹介されました。
立地が悪く、買主の見つからない空き地でも、弊社には独自の活用ノウハウがあるので適正価格で買い取ることができます。
空き地を売却できずにお困りの方は、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。
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まとめ
空き地を何の用途にも活用せずに放置しても、固定資産税や維持費などを負担し続けなければならないだけです。空き地が原因で近隣トラブルに見舞われる恐れもあります。
そのため、今後も空き地を所有し続けるなら、賃貸経営や太陽光発電経営、駐車場経営など何らかの用途で活用して収益化を図るとよいでしょう。
ただし、空き地によっては法規制で活用が制限されることがあります。また、必ずしも収益を上げられるとは限らない点にも注意が必要です。
もしあなたが所有している空き地の活用が難しい場合には、売却を検討することも選択肢のひとつです。
空き地を売却すれば、まとまった現金を手にできます。空き地を管理する手間や近隣トラブルからも解放されるでしょう。
空き地をできる限り早く、かつ手間や費用をかけずに売りたいなら、専門の不動産買取業者に依頼することをおすすめします。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、2011年に創業した専門の不動産買取業者です。立地が悪く、買主が見つからない空き地でもスピーディーに買い取ることが可能なので、ご安心ください。
また、弊社には買い取った空き地を活用する独自のノウハウがあるので、より適正価格で買い取ることもできます。
「空き地の活用が難しいから売却したい」「空き地を手間をかけずに早く手放したい」方は、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。