まず本当に雑種地かどうかをしっかり調べる必要がある
登記簿謄本では「雑種地」と表記されていても、実際の利用状況と一致しないことがあります。
自分の土地にどのようなデメリットが生じるのかを正しく判断するためにも、その土地が本当に雑種地かどうかを調べることが大切です。
雑種地とは
雑種地とは不動産登記法によって定められた地目の1つです。
地目は不動産登記規則によって、以下の23種類に分類されています。
地目は、田や畑などの農地・住宅を建てるための宅地・公衆用道路や公園といった目的に応じて分類されますが、とくに利用目的が定められていないのが雑種地です。
たとえば、駐車場や資材置き場として土地が使われている場合は、雑種地に該当します。
土地の評価は相続開始日の現況が優先されるため、登記簿に記載されている地目と実際の地目が異なるケースは珍しくありません。
雑種地かどうかの調べ方
雑種地かどうかの調べ方は、以下の2つです。
現地まで行って確認する
前述したように、地目には登記地目・現況地目の2つがあり、土地の評価に使われるのは「現況」です。
そのため、現地まで行って現況地目を目視で確認する方法がもっとも確実です。
自身の土地を実際に訪れて、建物が建っていないか、農作物が栽培されていないかなどを確認しましょう。
もし、該当していなければ、登記地目・現況地目が雑種地で揃っている可能性が高くなります。
固定資産評価証明書を確認する
雑種地かどうかは、固定資産評価証明書の「地目」の欄でも確認できます。
【固定資産評価証明書 見本】

固定資産評価証明書は、土地が所在する市町村役場の税金関連の窓口で取得が可能です。
固定資産税の課税は、毎年1月1日時点のデータに基づいて算出されます。
直近では令和6年度に評価替えが行われたので、固定資産評価証明書の内容では比較的新しい情報が確認できるでしょう。
固定資産税の基準となる評価額を3年ごとに見直す制度
注意点:登記事項証明書で判断するのは避ける
登記地目だけでは雑種地かどうかは判断できないので、登記事項証明書で確認するのは避けましょう。
土地の評価は現況優先で行われるため、登記地目が雑種地であっても畑として使用していれば現況地目が農地になるなどのズレが生じます。
登記地目は登記申請時の状態によって決められたものであり、現況地目が自動的に反映されない点は念頭に置いておく必要があります。
雑種地のデメリット
一般的な土地と異なり、雑種地にはデメリットがあるため、活用予定がなければ早期売却を検討することをおすすめします。
雑種地のデメリットは、以下の3つです。
土地の管理問題
雑種地は駐車場などの活用を除けば、基本的に利用・管理されていない状態のことがほとんどです。
そうした土地で起こりやすいのが、知らず知らずのうちにゴミの不法投棄が行われ土地の状態が悪化していく問題です。
不法投棄により廃棄物が溜まり始めると、景観の悪化・ゴミの悪臭・害虫の繁殖などの影響で近隣住民との関係が悪化しやすくなります。

また、不法投棄が深刻化すると単なるゴミ問題では済まず、放火犯に狙われるリスクも生じます。
所有者には土地を適切に管理する義務があるので、管理を怠った結果、他人に損害を与えた場合は損害賠償を請求される恐れがあるのです。
雑種地を現状放置している方は予期しない経済的負担を避けるためにも、早期売却するのが賢明です。
雑種地をスムーズに売却する方法は「売却:専門の買取業者へ」で解説しています。
税金がかかる
活用予定がなくても、雑種地を相続した場合は以下の3つの税金がかかります。
固定資産税
固定資産税とは、住宅やマンション、土地などの固定資産を所有する人に課される税金です。

固定資産税の税率は、原則として固定資産税評価額の1.4%と定められていますが、市区町村によって税率が異なる場合もあります。
たとえば、固定資産税評価額が1,000万円の土地の年間の税額と計算式は以下のとおりです。
また、雑種地が市街化区域内(市街化を促進する区域)にある場合は、原則として固定資産税評価額の0.3%が都市計画税として加算されます。
放置する時間が長ければ長いほど税負担は重くなり、家計を圧迫する要因となるでしょう。
相続税
相続によって雑種地を取得した場合は、相続税がかかります。
相続税とは亡くなった人から預貯金や不動産などの財産を相続した場合にかかる税金のことです。
相続財産の合計額が基礎控除額を超えた場合、相続税が発生します。
相続税の基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 相続人の数)
相続人が配偶者と子ども2人だった場合、
3,000万円 + (600万円 × 相続人の数) = 4,800万円
相続税評価額の算出に使用されるのは現況地目です。
雑種地が都市部の土地などで評価額が高い場合、相続税の基礎控除を超えることで相続人の経済的負担となる場合があります。
贈与税
雑種地の贈与を受けた場合も贈与税がかかります。
贈与税とは個人から年間110万円を超える財産をもらった場合にかかる税金のことです。
たとえば、親から子に向けて相続税評価額1,000万円の雑種地を贈与した場合、以下の税額が発生します。
1,000万円 – 110万円 = 890万円
890万円 × 30% – 90万円 = 177万円
参照元:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」
無料で土地を譲ったとしても、もらう側には贈与税が課税されるため引き継ぎ手を見つけるのは容易ではありません。
活用が難しい
雑種地の活用方法はいくつか存在するものの、一般の方にとって活用の難易度は高めです。
土地活用する準備として地盤調査や設備の購入などの初期費用が高くなりやすく、収益を安定させるのも専門知識が必要になります。
土地をそのまま賃貸に出す選択肢もありますが、駅近や繁華街などの好立地でない限り、借り手が現れる可能性は極めて低いでしょう。
雑種地を活用する方法については、「活用法5選」で紹介します。
雑種地を売却する方法(活用法もご紹介)
これまで述べたように、雑種地を放置すればトラブルのリスクが高まります。
しかし、雑種地は通常の売却方法では買い手が見つかりにくいため、早期売却を希望する場合は工夫が必要です。
この章では、雑種地を売却する方法・活用する方法について解説します。
売却:専門の買取業者へ
相続した雑種地の売却が難しい場合は、専門の不動産買取業者に売却することをおすすめします。
不動産買取とは、売主から直接不動産を買い取るサービスです。

中でも、専門の買取業者は雑種地のような特殊な不動産を商品化して利益を上げるノウハウを持っているため、高確率で買い取ってもらえます。
くわえて、売主と業者との2者間で取引が完結するため、平均1ヶ月というスピード感で売却が可能です。
土地の管理義務や近隣トラブルのリスクから早期に解放される点が、専門の買取業者に依頼するメリットといえるでしょう。
ただし、買取業者によって得意・不得意な物件種別があり、選定を誤ると買取を断られたり、想定より低い価格を提示されたりするリスクがあります。
雑種地の売却を成功させるためには、土地の価値を最大限に評価してくれる「専門の買取業者」に依頼することが重要です。
次項では、全国の売れない不動産を積極的に買い取っている弊社アルバリンクの買取事例をご紹介します。
なお、雑種地を高く売る方法については以下の記事でも解説しているので、併せてお読みください。

アルバリンクの雑種地買取事例
弊社アルバリンクは雑種地を含め、売れない土地専門の買取業者として様々な不動産を買い取ってまいりました。
たとえば、以下のように不動産会社に売却を断られた土地や、所有者様が有効な活用方法を見出せずにいた土地についても買取を実現しています。
土地の事でとても悩んでいたのですが今回AlbaLinkさんに相談したところ永田さんと幸野さんに担当して頂きこちらの希望通りの良い条件で契約をさせて頂きました。
誰にも相手にされずに悩んできたことだったので本当に感謝しかありません。
本当にありがとうございました。
築50年以上の家と、その土地(車もつかない)を相続せざるを得なくなり(負の遺産)、素人には活用方法も分からず困ってた時に、ネットでアルバリンクさんを知り、頼ることにしました。
親身になって対応して頂き、感謝しています。
弊社は土地に付加価値をつけて再販できるうえ再販先も豊富にあるので、上記のような売れにくい土地でも高確率で買取ができるのです。
上記の事例以外にも難しい不動産を多数買い取っており、お客様から感謝のお言葉をいただいております(下記Googleの口コミ参照)。
また、弊社は2023年に上場を果たしており、フジテレビ「newsイット!」・NHK「おはよう日本」など多くのメディアでも特集されています。
信頼できる買取業者に安心して雑種地を売却したい方は、弊社までお気軽にお問い合わせください。
活用法5選
前述したように、雑種地の活用は高い初期費用と複雑な運用という現実的なハードルがあり、すべての人に適した方法ではありません。
ただ、それでも雑種地を活かしたいとお考えの方に向けて、以下の活用方法5選をご紹介します。
アパート経営する
雑種地の活用方法として、アパート経営が挙げられます。
人に貸す建物が建つ貸家建付地は相続税評価額が低くなるため、雑種地から住宅用宅地に転用してアパート経営をすると相続税が節税できます。
ただし、建物が建てられる雑種地である必要があるので市街化区域内にあるか、市街化調整区域にあっても許可が取れるかなど確認しておきましょう。
都市計画区域は、すでに市街地になっている区域や計画的に市街地にしていく区域を「市街化区域」、市街化を抑制する区域として「市街化調整区域」に大きく分類されている
雑種地が市街化調整区域にある場合は自治体の許可が必要になり、許可が下りないケースもあります。
また、アパートを建築するためにはまとまった費用がかかるため、賃貸需要がある土地かどうかなどを入念に調べておくことをおすすめします。
市街化調整区域については、以下の記事で詳しく解説しています。

家を建てる
雑種地の活用方法として、家を建てて人に貸すのも選択肢の1つです。
アパート経営と同様、雑種地が市街化区域であれば建物の建築が可能です。
借り手が見つかれば毎月安定した賃料収入が入る上に、雑種地の管理を続ける手間もなくなるでしょう。
しかし、賃貸需要が十分に見込める立地でなければ、地盤調査や建築費用などの初期投資が回収できず費用倒れになります。
また、雑種地は評価額が低くなるため、住宅ローンを利用して家を建てる場合は地目変更が必要です。
初期費用の回収や煩わしい登記手続きなど、想定以上の負担が生じる可能性があるので、賃貸経営に踏み切る際は慎重な判断が求められます。
駐車場経営する
雑種地で駐車場経営することも活用方法の1つです。
駐車場経営は初期費用が安いため、比較的始めやすい活用方法で、地目変更することなく雑種地のまま活用できます。
コインパーキングか月極駐車場を経営するかで初期費用や運営会社が変わりますが、手間がかからないこともメリットです。
また、駐車場経営は車1台からでも可能なため、相続する雑種地が狭い場合でも対応可能です。
ただし、一般的には収益性が低い傾向にあり、くわえて更地なので税の軽減措置が使えず固定資産税が高くなるデメリットがあります。
初期費用や毎月のコスト、収益を考慮したうえで慎重に検討することをおすすめします。
トランクルーム経営する
雑種地での活用方法には、トランクルーム経営や倉庫の貸し出しもあります。
コインパーキングや月極駐車場などの駐車場経営は、需要に大きく左右されます。
そのため、相続した雑種地が田舎にある場合は、駐車場経営自体難しいこともあるでしょう。
比較的広い面積がある雑種地で国道など大きな道路に面している場合は、トランクルーム経営で成功する可能性があります。
ただし、トランクルームや倉庫を設置するための費用がかかり、収益性があまり高くないことがデメリットです。
太陽光発電を設置する
雑種地では太陽光発電を設置して活用することも可能です。
雑種地がある周辺環境にもよりますが、日照条件が良ければソーラーパネルを設置することで安定した収入が得られるでしょう。
ただし、電気の買取価格が年々下がっているため、田舎にある雑種地であっても固定資産税の負担で収益が思うように上がらない可能性があります。
また、太陽光発電施設を狙った窃盗が近年多発しているため、セキュリティに関しても気を配る必要もあります。
参照元:警察庁「令和7年警察白書」
雑種地を相続した際の評価方法
雑種地を相続した際は、「市街化区域にある場合」と「市街化調整区域にある場合」で評価方法が異なります。
市街化区域にある場合
相続した雑種地が市街化区域にある場合は、さらに「路線価地域」か「倍率地域」によっても評価方法が異なります。
路線価地域
路線価地域とは路線価が定められているエリアのことです。
雑種地であっても市街地にある場合は路線価が定められているため、宅地と同様の評価を行います。
路線価地域における雑種地の土地の評価額は、以下の計算式で算出できます。
路線価1㎡あたりの価格は、国税庁のサイト「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」で調べることが可能です。
土地の評価額は形状や県している道路の数が影響するため、奥行価格補正率・間口狭小補正率・不整形地補正率などの補正率をかける必要があります。
1㎡あたりの雑種地の土地の評価額がわかるため、土地の面積をかければ、相続時における土地の評価額が算出できます。
倍率地域
一方、倍率地域とは路線価が定められていないエリアのことです。
路線価が定められていない場合は、固定資産税評価額と評価倍率表から算出することが可能です。
倍率地域における雑種地の土地の評価額は、以下の計算式で算出できます。
固定資産税評価証明書に記載されている固定資産税評価額に、「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」で調べられる雑種地周辺の宅地比準(倍率)をかけます。
算出した1㎡あたりの価額に土地面積をかけると、相続時における土地の評価額が計算できます。
市街化調整区域にある場合
市街化調整区域は建物の建築を抑制しているエリアのため、市街化調整区域にある雑種地には建物を建てられないケースが多く、路線価が設定されていないことがほとんどです。
市街化調整区域にある雑種地の土地の評価額は倍率を使用して算出します。
市街化調整区域には宅地が少なく農地、山林などの地目が多いため、宅地比準は使用しないのが一般的です。
市街化調整区域における雑種地の土地の評価額は、以下の計算式で算出できます。
雑種地の現況に似ている地目の倍率を使用するため、農地比準、原野比準などから適切な比準を選択して評価額を算出します。
ただし、市街化調整区域における雑種地であっても、建物が建てられるエリアでは宅地比準を使用して評価額を算出するのが一般的です。
なお、市街化調整区域における雑種地を宅地比準で計算する際には、しんしゃく割合も考慮する必要があります。
宅地比準によって雑種地の評価をする際の建築制限に関係する減額要素のこと
まとめ
今回は、雑種地のデメリットについて詳しく解説しました。
雑種地でも市街化区域内であれば家を建てられ、活用することも可能です。
ただし、雑種地が市街化調整区域にある場合や農地の場合は宅地への転用が難しいため、専門の不動産買取業者に売却することをおすすめします。
専門の不動産買取業者であれば、売れない雑種地でも1週間から1ヶ月の短期間で現金化することが可能です。
なお、弊社アルバリンクも雑種地などの売れない土地を積極的に扱う買取業者で、「フジテレビ」でも特集された実績がございます。

相続した雑種地が売却できずにお困りの方は、査定のみ・相談のみのお問い合わせでも受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
株式会社AlbaLinkは東京証券取引所のTPM市場に上場している不動産会社です。




