飛び降りのあったマンションは「事故物件」に該当する
飛び降り自殺のあったマンションは、事故物件に該当します。
マンションそのものに物理的な問題がなくても、住む人にとって心理的な嫌悪感を与える「心理的瑕疵」が生じてしまうからです。
一般的に傷・欠陥を指す言葉。不動産では、土地・建物などになんらかの不具合があることを指す
参照元:国土交通省|瑕疵担保責任について
まずは、事故物件の定義について詳しく見ていきましょう。
そもそも事故物件とは?
そもそも事故物件とは、なんらかの原因で人の死が生じた物件のことです。
人の死と言っても、自然死や不慮の事故など、日常的に起こり得る亡くなり方であれば事故物件には該当しません。
国土交通省が公表しているガイドラインでは、自然死・不慮の事故は「居住用不動産での発生は十分に予想される一般的な事柄」とされているからです。
参照元:国土交通省|宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン
しかし、死因が事故死・自殺・他殺などであれば事故物件に該当します。
実際に、3年7ヵ月前に起きた失火による死亡事故が起きたアパート跡地には心理的欠陥があるとして、事実を告げなかった売主への損害賠償請求が認められた事例があります。
参照元:平成22年3月8日|東京地裁
このことから、事件性のある死因の場合は買主の購入判断に影響を与え、心理的抵抗感を与えることから事故物件扱いになることがわかります。
事故物件に該当すると告知義務が発生する
所有している不動産が事故物件に該当すると、売買の際に告知義務が発生します。
告知義務とは、不動産取引において買主が契約するかどうかの判断に重大な影響を与えそうな瑕疵の内容は、契約前に売主が伝えておかなければならない義務のことです。
参照元:e-Gov法令検索|宅地建物取引業法第35条
告知義務が売買契約にどのような影響を与えるのか、詳しく見ていきましょう。
事故物件は心理的瑕疵に該当して告知義務が発生する
事故物件は、心理的瑕疵に該当するので告知義務が生じます。
冒頭でもお伝えしたとおり、瑕疵とは傷や欠陥のことを指し、不動産売買では以下の4種類の瑕疵が告知義務の対象になります。
- 心理的瑕疵:嫌悪感や抵抗感など、心理的な瑕疵
- 物理的瑕疵:壁のひび割れや雨漏り、シロアリ被害など物理的な瑕疵
- 環境的瑕疵:近隣にゴミ屋敷や墓地、刑務所があるなど環境的な瑕疵
- 法律的瑕疵:現行の法律に適合していない法的な瑕疵
このような瑕疵を抱えている物件は、一般的な不動産に本来備わっているべき機能・品質・性能が欠けている状態です。そのため、買主が契約するかどうかを判断する際に、重大な影響を与える事柄なので告知する必要があるのです。
事故物件の告知義務の基準については以下の記事でも詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
告知義務違反をすると損害賠償を請求される恐れがある
告知義務違反をすると、売主は契約不適合責任を問われます。
契約不適合責任とは、引き渡す不動産に契約書に記載していない欠陥が見つかった場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。
契約不適合責任の詳細については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ読んでみてください。
契約不適合責任になると、売主は売却した不動産の瑕疵に対して修繕や損害賠償の義務を課せられる恐れがあります。
実際に、飛び降り自殺の事実を告げずにマンションを売却した売主が損害賠償を命じられた判例があります。
状況 | 2年1ヵ月前購入したマンションで飛び降り自殺があった |
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訴え・判決 | 告知義務違反があるとして7,000万円の損害賠償を求め、損害額として2,500万円が認められた |
理由 | 経済的不利益を生じる可能性があるため |
参照元:平成20年4月28日|東京地裁
上記の判例では、収益物件として購入された当核マンションの今後の賃料収入・利回りなどに経済的不利益が生じるとみなされ、買主の損害額が認められました。
この判例から、告知義務違反をすると、現段階で買主に不利益がなくても将来的に損害を与える可能性があるとみなされて契約不適合責任に問われることがわかります。
マンション共用部で起きた飛び降り自殺の告知義務については、下記の記事で詳しく触れているのでご覧ください。
飛び降りのあったマンションが事故物件に該当する6つのケース
飛び降りのあったマンションが事故物件に該当するケースは以下の6つです。
- 居住している部屋(専有部分)から飛び降りた場合
- 日常生活で頻繁に使用する必要がある場所から飛び降りた場合
- 住み心地の良さに影響を与える部分から飛び降りた場合
- 上下左右の部屋から飛び降りた場合
- 居住している部屋の庭が飛び降りの落下地点となった場合
- 報道されるくらい事件性の大きい飛び降り自殺の場合
飛び降りのあったマンションでも、どこからどこへ飛び降りたのか、自殺なのか事故なのか、遺体現場の状況はどうなのかなどによっても事故物件に該当するか否かは異なります。
この章では、宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドラインを元に書くので、所有するマンションが事故物件に該当しているか確認しましょう。
居住している部屋(専有部分)から飛び降りた場合
まず、居住している部屋(専有部分)から飛び降りた場合は事故物件に該当します。
飛び降り自殺が起きた現場が専有部分であれば、その部屋を購入して住む人に対して心理的な嫌悪感・圧迫感を与えてしまうからです。
例えば、居住している部屋のベランダや部屋の窓から飛び降りたケースなどです。
この場合、居住している部屋自体に汚れなどは生じませんが、住居中にベランダや窓を見るたびに人の死を連想させるので心理的負担が大きいとされます。
日常生活で頻繁に使用する必要がある場所から飛び降りた場合
飛び降りた場所が、日常生活で頻繁に使用する必要がある場合も事故物件扱いとなります。
日常的に使用するシーンが多い共用部分からの飛び降りは、心理的抵抗感の度合いが強いからです。
例えば、マンションの廊下や非常階段などからの飛び降りが該当します。
使用する頻度が高ければ、その場所を通るたびに飛び降り自殺を想起させるので、心理的瑕疵にあたるとされます。
住み心地の良さに影響を与える部分から飛び降りた場合
事故物件に該当するケースとして、住み心地の良さに影響を与える部分から飛び降りも挙げられます。
ゆったり過ごせる空間や景観の良さを売りにしているマンションであれば、本来備わっているはずの機能・品質・性能を損なっているからです。
例として、タワーマンションの上層階に設けられているスカイラウンジ、屋上庭園などからの飛び降りがこれにあたります。
購入希望者が日常的に使用する場所ではなかったとしても、売りである住み心地の良さを欠くのであれば事故物件に該当します。
上下左右の部屋から飛び降りた場合
居住している部屋の上下左右の部屋から飛び降りが発生した場合も、事故物件に該当するケースがあります。
心理的な負担を考えると、専有部分から飛び降り・専有部分への落下がもっとも事故についての想起が強く、住む人に嫌悪感を与えるとされます。
加えて、居住している部屋の上下階や隣室で起きた飛び降りであれば、遠く離れた部屋で起きた事故よりも住む人の嫌悪感は強く表れるため、事故物件に該当する可能性があるのです。
ただし、上下左右の部屋からの飛び降り自殺は直接の事故現場ではないので、住む人の解釈によっても事故物件に該当するか否かは異なります。
居住している部屋の庭が飛び降りの落下地点となった場合
飛び降り自殺の落下地点が、居住している部屋の庭だった場合は、事故物件に該当します。
違う部屋で起きた飛び降りでも、専有部分に自殺者が落下してきた事実は、その部屋で起きた自殺と同等の心理的抵抗感を住む人に抱かせるからです。
マンションの屋上、または自殺者の部屋から自分の専有スペースであるベランダやバルコニーに落下した場合は、自分の部屋が事故物件となります。
自分と自殺者と関係性がなくても、飛び降り自殺によって事故物件とみなされるので注意が必要です。
報道されるくらい事件性の大きい飛び降り自殺の場合
報道されるくらい飛び降り自殺の事件性が大きければ、マンション全体が事故物件扱いになります。
近隣住民やネットニュースなどで多くの人から批判や注目を浴びることで、住む人に心理的瑕疵が生じるからです。
例えば、芸能人がマンション敷地内で飛び降り自殺をした場合や、凄惨な事件が起きて連日ニュースで取り上げられた場合は、事故物件に該当します。
この場合、飛び降り自殺が起きた場所は関係なく、風評被害を受けることによる心理的瑕疵が生じます。
飛び降りのあったマンションでも事故物件に該当しない2つのケース
飛び降りのあったマンションでも事故物件に該当しないケースは次の2つです。
- 住民が利用しない場所から飛び降りた場合
- その他、心理的瑕疵が少ないと判断された場合
それぞれ解説します。
事故物件に該当しなければ告知義務は発生せず、売却しやすくなりますので、自身の物件が該当しないかよくご確認ください。
住民が利用しない場所から飛び降りた場合
飛び降り自殺が起きたマンションでも、住民が利用しない場所から飛び降りた場合は事故物件に該当しません。
飛び降り自殺が居住目的とされるマンションの専有部分や、日常的に使用するスペースで発生したものではないからです。
例えば、屋上から飛び降りて隣接する道路に落下した場合などは、本来生活を送る場所ではないため、心理的瑕疵は低いとされます。
したがって、住民が日常的に利用しない場所からの飛び降りは事故物件扱いにはならないのです。
その他、心理的瑕疵が少ないと判断された場合
マンションで飛び降り自殺があったとしても、心理的瑕疵が少ないと判断された場合は事故物件に該当しません。
事故物件になるかならないかは心理的瑕疵がどの程度生じるかによって決まるからです。
例えば、管理規約上立ち入り禁止となっている屋上からの飛び降り自殺の場合、住む人が感じる心理的負担は少ないとされます。
このように、使用頻度の少ない共用部で起きた飛び降りは心理的瑕疵が少ないので事故物件には該当しないのです。
飛び降りのあったマンションの売却価格は相場より安くなる
飛び降り自殺があったマンションの売却価格は相場より安くなってしまいます。
人が亡くなっているマンションに住みたいと考える方はほぼいないからです。
実際弊社がおこなったアンケート調査でも、どのような理由で亡くなったとしても、事故物件であることは許容できないと回答した方の割合がもっとも多い結果となっています。
引用元:訳あり物件買取プロ|【500人にアンケート調査!許容できる心理的瑕疵物件のレベルランキング】みんなが選ぶダントツの第1位は?
そのため、飛び降りのあったマンションを売却するには相場よりも20~30%ほど下げないと買い手を見つけるのは難しいでしょう。
また事故の規模によっては、半額以上価格を下げても買い手が見つからないこともあり得ます。
事故物件の売却価格の相場について知りたい方は、以下の記事を併せて参考にしてください。
飛び降りのあったマンションは一般の不動産業者では売却しにくい
飛び降りのあったマンションを一般の不動産業者(不動産仲介業者)に依頼して、一般の買い手に売却しようとしてもなかなか売れません。
この章では、一般の不動産業者に依頼しても売れにくい理由について、以下の内容でお伝えします。
- 買主が見つかりにくい
- 契約不適合責任を問われる可能性がある
買主が見つかりにくい
一般の不動産業者に売却を依頼すると一般個人が買い手となるので事故物件は敬遠されて売れにくいです。
実際に、弊社が983人の男女を対象に行ったアンケート調査では「事故物件に住むのはなし」と答えた人が71.4%を占める結果となりました。
引用元:訳あり物件買取プロ|ブームの兆し!事故物件はあり?なし?983人にアンケート調査をしてわかった年収別の超意外な傾向とは?
また、買主を募る段階から始めるので、広告を出してから購入希望者が表れるまでに時間がかかります。
一般の不動産業者は通常の物件でも、売却に3ヶ月〜6ヶ月程度かかりますが、事故物件の場合は買い手が限定されるので、さらに売却期間に時間を要します。
最悪の場合、永遠に売れ残る可能性もあるでしょう。
契約不適合責任を問われる可能性がある
仲介では一般個人が買い手になるので、契約不適合責任を問われる可能性があります。
契約不適合責任は、不動産の知識を持たない一般の買主を売買後のトラブルから守るための制度です。
そのため、不動産業者が買主であれば免責の特約をつけてもらえますが、仲介業者のように買主が一般個人である場合は契約不適合責任を問われる可能性があるのです。
近年、家探しの段階で、目ぼしい不動産が事故物件なのかどうかを調べる方法として大島てるをチェックする買い手もいます。大島てるとは、事故物件の情報を搭載するユーザー投稿型の共有サイトで、不動産で起きた事故の詳細などが閲覧可能です。
マンションで起きた飛び降り自殺が告知義務の対象ではないものだったとしても、こうしたサイトを売買契約後に目にした買主が契約不適合責任を求めてくる恐れがあります。
また、飛び降りの件以外にもマンションの室内に損傷や老朽化など、売主も気付かなかった瑕疵の発覚で責任を問われるリスクもあります。
飛び降り自殺のあったマンションでも買取なら売却できる!
前章まで事故物件の売却は難しいと解説しましたが、「飛び降り自殺のあったマンションは売れない」と諦める必要はありません。
なぜなら、事故物件であっても、専門の不動産買取業者に依頼すれば売却可能だからです。
「一般の不動産業者(仲介)」と「買取業者」の大まかな違いは以下のとおりです。
- 仲介業者
所有する物件を売りたい売主と、希望の物件を探している購入希望者のマッチングと売買契約のサポートをする業者
- 買取業者
- 所有する物件を売りたい売主から、直接買取をする業者
飛び降り自殺のあったマンションは以下の理由から「専門の買取業者」への売却が最適です。
- 価格の合意があれば確実に買い取ってくれる
- 契約不適合責任を免除してくれる
- 適正価格で買い取ってくれる
それぞれ解説します。
なお、「一般の不動産業者(仲介)」と「買取業者」の違いを詳しく知りたい方は、こちらの記事をお読みください。
価格の合意があれば確実に買い取ってくれる
専門の買取業者であれば、売主の価格の合意があれば確実に買い取ってもらえます。
一般の不動産業者は買い手探しを挟むので売却に時間を要しますが、買取業者であれば、業者が直接買い取るのでスムーズに売買契約に進めます。
不動産買取の売却は、平均1週間〜1ヶ月程度かかると言われていますが、価格の合意さえ取れれば最短3日で売却可能です。
契約不適合責任を免除してくれる
契約不適合責任を免除してもらえるのも、買取業者への相談が適している理由の1つです。
買取業者は修繕する前提で不動産を買い取るので、不動産がなんらかの瑕疵を抱えていても問題ないからです。
仮に、売主が気づいていなかった瑕疵が後から見つかったとしても、買取業者は自ら修繕するので、売主に賠償責任を問う必要がなく、契約不適合責任を免除して売買契約を結んでもらえます。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)も、どのような不動産に対しても契約不適合責任を免除する特約をつけています。
無料査定は年中承っていますので、ぜひ一度お問い合わせください。
>>【飛び降りがあったマンションを高額売却!】無料の買取査定を依頼
適正価格で買い取ってくれる
飛び降り自殺のあったマンションでも適正価格で買い取ってもらえるので、専門の買取業者への売却が適しています。
専門の買取業者は、飛び降り自殺のあったマンションを最低限のコストで商品化するノウハウを豊富に持っているからです。
その分、買取価格に上乗せができるので、不動産本来の価値を考慮した適正価格、もしくは高額で買い取れるのです。
まとめ
今回は、飛び降り自殺のあったマンションが事故物件に該当するかどうかと最適な売却方法について解説しました。
飛び降り自殺があったマンションは、専門の買取業者への依頼がおすすめです。一般の不動産業者が扱えない飛び降りのあった物件でも最短3日で確実に売却できるからです。
ただし、買取業者を選ぶ際には相見積もりを必ず取りましょう。買取業者の中には、売主の弱みにつけ込んで安く買い叩こうとする悪質業者もいるからです。
あなたが納得感を持って自宅を売却するためにも、複数社に査定依頼をして査定額を聞くことをおすすめします。
なお、当サイトを運営している弊社AlbaLink(アルバリンク)は、事故物件に特化した買取業者です。
Google口コミでは、ボロ物件・悪立地・再建築不可など、一般の不動産会社が門前払いするような売れない物件も買い取ってもらえる業者として、お喜びの声をいただいております。
事故物件の売却にお悩みの売主様は、ぜひ弊社に一度ご相談ください。少しでも納得感を持って売却できるよう、全力で対応させていただきます。
もちろん、売却すると決めていないご相談も大歓迎でお待ちしております。