相続する土地の4つの分け方【換価分割を推奨】
相続した土地の分け方には、以下の4種類があります。
- 共有分割
- 現物分割
- 代償分割
- 換価分割
簡単にまとめると、土地のまま相続する方法が「共有分割」「現物分割」「代償分割」であり、現金化してから分ける方法が「換価分割」です。
詳しくは本文で解説しますが、相続した土地は現金化して分ける「換価分割」をおすすめします。
ここでは、相続する土地の4つの分け方のメリット・デメリットについて解説します。
共有分割
共有分割とは、土地を複数の相続人の共有名義にする形で相続する方法です。
それぞれの相続人が相続できる遺産の割合は、民法の規定によって定められています。これを「法定相続分」といいます。
参照元:国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」
基本的には、この法定相続分に従って土地を共有する形となります。
たとえば、親が亡くなって3人の兄弟が土地を相続した際のそれぞれの持分割合は3分の1ずつです。
複数の人が不動産を共有しているときの、それぞれの人の所有権の割合のこと
ただし後述の「デメリット」の見出しでも解説するように、共有分割は4つの分割方法の中でもっともトラブルに発展しやすいため、おすすめはできません。
共有分割のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
共有分割のメリットは、土地を公平に相続できる点にあります。
前述のように相続人の法定相続分に基づいて相続すればよいので、遺産分割時にもめることはありません。
また共有分割を選択すると、それぞれの相続人が所有する共有持分の割合に応じて相続税や固定資産税を負担すればよいため、節税につながる点もメリットです。
デメリット
共有分割最大のデメリットは、土地の活用がしにくくなる点です。
共有名義の土地は、共有者全員の同意がなければ売却や建物の新築ができません。
また過半数以上の同意がないと、第三者に貸して収益を上げることもできないのです。
参照元:e-Gov法令検索「民法第251条」「民法第252条」
たとえ自分が土地を使用していなくても、固定資産税などを負担し続けなければならない点もデメリットです。
参照元:e-Gov法令検索「民法第253条」
また、共有者のひとりが亡くなって相続が発生すると、共有者の数が増えるデメリットもあります。
相続が発生するたびに共有者の数が増えると、権利関係がより複雑になります。
共有者の数が多いほど意見の対立が生じやすく、活用などを巡ってトラブルへと発展する可能性も否めません。
相続する土地を一度共有名義にすると、後々、単独名義に戻すことは難しくなるため、トラブルを回避したいなら共有分割は避けたほうがよいです。
土地を共有名義にするメリットやデメリット、共有名義を解消する方法を知りたい方は、以下の記事もご一読ください。
現物分割(土地を分筆して分ける)
現物分割とは、不動産や株式などの遺産を特定の相続人が相続する方法です。
たとえば土地を被相続人の妻、土地を長男、車と株式を次男が相続するといった具合です。
物理的な分割が難しい土地でも、分筆して複数の土地に分ければ現物分割できます。
登記簿上でひとつの土地を複数に分割して法務局で登記すること
不動産の所有者や所在地、面積などの権利関係の情報を法務局の職員がコンピューター上に記録すること
現物分割のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
土地を分筆して現物分割すると、各相続人が単独で所有する形となります。
共有分割とは異なり、それぞれの相続人が相続した土地を自由に活用できるようになる点は大きなメリットです。
相続人の数が少なく、土地が分筆できるほどの広さがある場合には検討する余地があるでしょう。
デメリット
分筆で土地の面積が狭くなった結果、利用用途が限定されて資産価値が下がるリスクがあります。
自治体によっては敷地面積の最低限度が定められており、分筆後の土地の面積がそれを下回ると建築ができません。
たとえば東京都世田谷区では、第一種低層住居専用地域における敷地面積の最低限度を70㎡に設定しています。
参照元:世田谷区「敷地面積の最低限度の制限」
土地を分筆して自治体の敷地面積の最低限度を下回ってしまうと、家を建てたくても建てられない、売りたくても売れない土地が生み出されてしまいかねません。
分筆後に土地が道路に接しなくなると、建物を建てられなくなる点にも注意が必要です。
参照元:e-Gov法令検索「建築基準法第42条」「建築基準法第43条」
土地の現物分割には上記のようなデメリットがあるため、分筆できるほどの広さがない土地の場合はあまり現実的な選択肢とはいえません。
代償分割
代償分割とは、不動産のように分割が困難な遺産を相続人のひとりが相続し、その代わりに遺産を相続した人がほかの相続人に一定のお金を支払う方法です。
たとえば親の遺産である2,000万円の土地と1,000万円の預貯金のうち、兄が土地を、弟が預貯金を相続したとします。
兄弟の法定相続分は平等であり、本来であれば兄と弟の遺産の取り分は1,500万円ずつです。
しかし上記のケースでは、兄が弟よりも500万円多く相続していることになります。
そこで兄が土地を相続した代償金として500万円を弟に支払うことで、公平な遺産分割が可能となるのです。
代償分割のメリットとデメリットは、以下の通りです。
メリット
代償分割の最大のメリットは、土地を単独名義で相続できることです。
代償分割では相続人のひとりが土地を単独で所有する形となるので、共有名義によるさまざまなトラブルを避けられます。
また、亡くなった親が自宅として使っていた土地を相続する場合には「小規模宅地等の特例」が適用され、土地の評価額が最大で80%にまで軽減されて相続税の負担を抑えられるメリットもあります。
小規模宅地の特例については、本記事の「小規模宅地等の特例」でご確認ください。
思い入れのある先祖代々の土地を手放したくないなどの場合におすすめの分割方法です。
デメリット
代償分割を行うには、土地を相続した人に代償金を支払えるだけの経済力があることが前提です。
加えて、土地を相続した人には相続税の支払いが待ち受けている点にも注意しなければなりません。
また、代償金を巡ってトラブルが起こりやすい点にも注意が必要です。
代償金は土地の固定資産税評価額を基に算出されるケースが一般的ですが、市場相場の7割ほどに設定されています。
そのため、代償金は固定資産税評価額に基づくのか、市場相場を基に計算するのかなど、土地の評価方法を巡って争いが起こることも珍しくありません。
換価分割
換価分割とは、不動産のように物理的に分割ができない遺産を売却し、現金化してから各相続人で分ける方法です。
ここまでご紹介してきた4つの遺産分割方法の中でもっともハードルが低く、トラブルに発展することもほぼないのでおすすめです。
ここからは、換価分割のメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
相続した土地を換価分割する最大のメリットは、遺産を公平に分けられる点にあります。
土地の売却金額を相続人の法定相続分に応じて分ければよいので、遺産を巡るトラブルが起こりにくい点もメリットです。
また、相続が発生したら10か月以内に相続税を納付しなければなりませんが、換価分割を選択することで納税資金を確保できる点もメリットといえます。
相続トラブルを未然に防ぎたい、相続する土地の使い道がない場合におすすめの分割方法です。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)では全国の土地を積極的に買い取っております。
「相続した土地を換価分割したいけど、なかなか売却できない」とお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
弊社なら、買主の見つからない土地でもスピーディーに買い取ることが可能です。
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デメリット
土地を換価分割したいと考えても、確実に売却できるとは限らない点がデメリットとして挙げられます。
以下のアンケート調査を見ても分かるように、買主が家に求めている第一条件は「立地」です。
参照元:【家を購入する際に優先したことと妥協したこと】経験者493人アンケート調査
そのため、駅から徒歩15分以上、周辺に日常生活の買い物ができる商業施設がないなど立地の悪い土地の場合は、いつまでも売却できないことも覚悟する必要があります。
また、相続人の中に土地の売却に反対する人がいる場合には換価分割ができません。
売却に際して、不動産仲介業者に支払う仲介手数料、売却益に課される譲渡所得税などの費用が発生する点もデメリットです。
相続する土地を現金で分ける方法【8つの手順を解説】
相続した土地を換価分割する際は、以下8つの手順で進めていきます。
- 遺言書を確認する
- 財産を確定させる
- 相続人を確定させる
- 遺産分割協議を行う
- 相続登記を行う
- 土地を売却する
- 相続税を支払う
- 確定申告を行って譲渡所得税を支払う
それぞれの手順で何をするのか、具体的に見ていきましょう。
なお、不動産を相続する流れは以下の記事に詳しくまとめてあるので、併せてご参照ください。
遺言書を確認する
親が亡くなったときにまずすべきなのは、遺言書の確認です。
遺言書とは自分の財産を誰にどう残したいのかという故人の意思を示した書類で、「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の2種類があります。
公正証書遺言は、公証人と呼ばれる法律の専門家に作成してもらう遺言書です。遺言書の原本は公証役場に保管されており、窓口で250円の手数料を支払うと謄本を交付してもらえます。
【公正証書遺言の見本】
引用元:翼法律事務所
故人が公正証書遺言を作成しているかどうかは、全国の公証役場に設置されている遺言情報管理システムで確認が可能です。
なお、公正証書遺言の検索は無料でできます。
参照元:日本公証人連合会「公証事務」
自筆証書遺言は、故人が自分で作成して押印するタイプの遺言書です。
【自筆証書遺言の見本】
遺言書を開封するには、故人の最期の住所地を管轄する家庭裁判所に提出し、検認の手続きを行う必要があります。
その際、遺言書1通につき収入印紙800円分の手数料がかかります。
参照元:裁判所「遺言書の検認」
故人の遺言書がある場合は、その内容に従って相続の手続きを進めます。
財産を確定させる
故人の遺言書がない場合は、各相続人が法定相続分に則って遺産を相続します。
それにはまず、すべての相続財産を確定させなければなりません。
預貯金や土地などといったプラスの財産だけでなく、ローンなどのマイナスの財産もすべて洗い出して「財産目録」を作成します。
【財産目録の見本】
財産目録の作成は義務ではありませんが、相続財産がリスト化されていると、誰がどの遺産を相続するのかについて話し合う「遺産分割協議」をスムーズに行えるようになります。
相続人を確定させる
財産目録の作成とともに重要なのが、法定相続人の確定です。
この次に行う遺産分割協議で相続財産の分割方法が決まっても、新たに法定相続人が現れたらすべてをやり直さなければなりません。
そのため、遺産分割協議を行う前に被相続人の戸籍謄本を基に親族関係を洗い出し、法定相続人は誰なのかを確定させましょう。
法定相続人となれるのは、被相続人の配偶者と血族です。
ただし、必ず法定相続分になれる配偶者とは異なり、血族の場合は以下のように優先順位が決まっており先順位の人がひとりでもいる場合、後順位の人は相続人にはなれません。
第1順位 | 子ども(もしくは孫) |
---|---|
第2順位 | 親もしくは祖父母などの直系尊属 |
第3順位 | 兄弟姉妹 |
参照元:国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」
たとえば被相続人に子どもがいる場合は、その子が法定相続人となれます。後順位である親や兄弟姉妹などは、法定相続人にはなれません。
同順位に複数人いる場合、つまり子どもが2人以上いるなどのケースでは全員が相続人となります。
また法定相続人である子が死亡している場合は、その孫が代わりに相続できます。これを「代襲相続」といいます。
自分では相続人を確定させる時間が取れない場合には、司法書士などの専門家に依頼するのもひとつの方法です。
遺産分割協議を行う
相続財産・相続人を確定したら、遺産の分け方を相続人の間で話し合う「遺産分割協議」を行います。
基本的に被相続人の遺産は遺言書・法定相続分に基づいて分ける形が一般的です。
しかし、相続人同士の間で話し合いがまとまれば、遺言書・法定相続分とは異なる形で遺産を分割することが可能です。
遺産分割協議が無事に成立したら、のちのトラブルを防ぐために遺産分割協議書を作成し、相続人の間で内容を共有します。
【遺産分割協議書の見本】
相続人が複数いて代表者ひとりの単独名義にする場合は、遺産分割協議書にその旨と、売却代金から経費を差し引いた金額を各相続人でどのような割合で分けるのかを記載します。
一方、相続人の共有名義にする場合は各相続人の共有持分の割合と、その割合に従って金額を分ける旨を記載しましょう。
換価分割を行う際に土地を相続人の代表者の単独名義とした場合、遺産分割協議書を作成していないと贈与税が課される恐れがある点に注意が必要です。
参照元:国税庁「遺産の換価分割のための相続登記と贈与税」
遺産分割協議書の書き方について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
また、遺産分割協議は相続人の誰かが下記のような要求をすると、トラブルに発展する恐れがあります。
-
- 寄与分を要求する
- 特別受益を主張する
次項で詳しく解説しますが、相続人同士で揉めてしまった場合は弁護士に相談しましょう。
寄与分を要求する
相続財産の分配において、寄与分をめぐるトラブルは少なくありません。
寄与分とは、亡くなった人の介護や財産の維持に貢献した相続人が多く受け取れる制度です。
たとえば、亡くなった親の介護や事業などを、生前に長男が献身的にサポートしていたのであれば、長男は兄弟に寄与分を要求できます。
寄与分が認められるか否かは遺産分割協議の中で決めますが、折り合いがつかない場合、家庭裁判所へ調停を申し立てます。
ただし、親の介護は扶養義務に含まれるため、軽度な介護では家庭裁判所に寄与分を認めてもらえません。
親の介護に対する寄与分が認められやすいのは、要介護度2以上の状態といわれています。
要介護2とは、歩行・起き上がりが一人ではできず、排泄の一部援助が必要な状態を指します。
このように、他の相続人よりも介護などの負担があったにもかかわらず寄与分が認められない場合、相続人同士が不仲になる恐れがあります。
特別受益を主張する
公平性のある遺産相続にするために、特別受益を主張されるケースもあります。
特別受益とはその名のとおり、被相続人が亡くなる前に受け取っていた特別な利益です。
特別受益が認められると、特別受益者は受け取った利益分を差し引いて相続割合が計算されるため、公平性のある遺産の分け合いが可能です。
特別受益の主張が認められる一例は、以下のとおりです。
- 結婚資金として、持参金・支度金を贈与した
- 起業に伴い、開業資金を贈与した
- マイホームを購入するときに、住宅資金を贈与した
上記のようなシーンで、かつ贈与が高額だった場合に特別受益は主張できます。
ただし、贈与が少額だった場合、扶養義務の範囲とみなされ特別受益と認められないケースもあります。
たとえば、親が結婚資金として「挙式費用の一部を負担した」「お祝い金を渡した」など、財産の前渡しとみなされるほど贈与が多額ではないケースです。
もし、兄弟で兄だけが結婚資金の一部を受け取っている場合でも、「その分、相続財産は少額にするべき」と弟が主張しても、個人的な不満感だけでは特別受益は認められません。
特別受益の概要・計算方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
相続登記を行う
遺産の分け方について各相続人が同意したら、土地の住所地を管轄する法務局で相続登記を行い、土地の名義を被相続人から相続人へと変更します。
土地を換価分割する際も、まず名義を被相続人から相続人へと変更する「相続登記」が必要です。
相続登記に必要な書類は、以下の通りです。
書類名 | 入手先 |
---|---|
土地所有権移転登記申請書 | 法務局HP |
遺産分割協議書 | 申請人が作成 |
相続人の戸籍謄本(全部事項証明書) | 自治体窓口 |
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(全部事項証明書) | 自治体窓口 |
被相続人の住民票除票 | 自治体窓口 |
相続人の住民票 | 自治体窓口 |
相続人の印鑑証明書 | 自治体窓口 |
固定資産評価証明書 | 自治体窓口 |
相続関係説明図 | 申請人が作成 |
参照元:法務局民事局「登記申請手続きのご案内」
【固定資産評価証明書の見本】
2024年4月1日からは相続登記が義務化され、相続の開始を知ったときから3年以内に登記を行わないと10万円以下、もしくは5万円以下の過料が科される点に注意が必要です。
参照元:東京法務局「相続登記が義務化されます」
自身で登記手続きをおこなうのが難しい方は、司法書士に依頼しましょう。
相続登記であれば、5万円~8万円程度で依頼が可能です。
相続登記のやり方については、以下の記事で詳しく解説しています。
土地を売却する
相続登記が完了したら、いよいよ土地の売却手続きへと進みます。
土地を売却する方法は、不動産仲介業者に探してもらった買主と売買契約を締結する「仲介」と、不動産買取業者が買主となって物件を購入する「買取」の2種類です。
ただし、土地ごとに向いている売却方法は異なります。適切な売却方法を選択しないと、土地がいつまでも売れない事態に陥りかねない点に注意が必要です。
土地の売却方法は、後述の「相続した土地を高く売却して多くの現金を受け取る方法」で詳しく解説します。
相続税を支払う
被相続人の遺産を相続した人は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に相続税を納めなければなりません。
参照元:国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
相続税には以下の基礎控除があり、課税対象となる遺産総額が基礎控除未満であれば納税する必要はありません。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
参照元:国税庁「No.4152 相続税の計算」
たとえば親が亡くなったときの法定相続人が兄と弟の2人のときは、以下の基礎控除額を課税遺産総額から差し引けます。
基礎控除額=3,000万円+600万円×2人=4,200万円
つまり、上記のケースでは課税遺産総額が4,200万円以内であれば相続税は発生しないということです。
なお、相続税の計算や申告の手続きは複雑なため、申告漏れを防ぐためにも税理士に相談したうえで進めることをおすすめします。
配偶者に対する相続税額の軽減措置
配偶者には相続税額が軽減、もしくは0円になる軽減措置があります。
この控除を利用すると、1億6000万円までは非課税になり、超えた部分に関しても法定相続分の範囲内であれば相続税はかかりません。
配偶者の軽減措置で控除される金額は、1億6000万円・法定相続分のどちらか多いほうが採用されます。
たとえば、相続財産が2億円であれば、配偶者の法定相続分(1/2)は1億円であるため、1億6,000万円が控除額です。
相続財産が4億円の場合、配偶者の法定相続分は2億円になるので、2億円までは相続税が発生しません。
配偶者の軽減措置の適用を受けるためには、相続税の申告が必要です。
小規模宅地等の特例
小規模宅地の特例とは、相続する土地の評価額を最大80%減額できる制度です。
参照元:国税庁|No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例
小規模宅地の特例が適用されると、居住用宅地は330㎡までの部分は宅地の評価額が80%減額されます。
たとえば、相続した宅地が敷地面積300㎡・評価額3,000万円だった場合、600万円まで評価額は引き下げられるので、相続税の圧縮が可能です。
小規模宅地の特例が利用できる人は、以下の3者です。
- 配偶者
- 被相続人と生計を共にしていた親族
- 被相続人と別居していて、賃貸に3年以上住む親族
小規模宅地の特例も、相続税の申告期限内に申告書の提出が必要です。
なお、小規模宅地の特例の概要については、以下の記事でも詳しく解説しています。
確定申告を行って譲渡所得税を支払う
相続した土地を売却して利益が出たら、土地売却年の翌年2月16日~3月15日までの間に確定申告として譲渡所得税を納めます。
参照元:国税庁「No.2020 確定申告」
譲渡所得税は「所得税」「住民税」「復興特別所得税(令和19年まで所得税額の2.1%を課税)」の総称で、以下の計算式で求めます。
取得費は不動産購入時にかかった不動産の購入費用や仲介手数料など、譲渡費用は不動産売却時にかかった仲介手数料や測量費などです。
課税譲渡所得に課される税率は、売却する土地の所有期間に応じて以下のように異なります。
所有期間 | 所得税率 | 住民税率 | 計 |
---|---|---|---|
5年超(長期譲渡所得) | 15.315% | 5% | 20.315% |
5年以内(短期譲渡所得) | 30.63% | 9% | 39.63% |
参照元:国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」
親から相続した土地を売却する際には、親が所有していた期間も受け継がれます。
たとえば、以下の条件における譲渡所得税を計算してみましょう。
- 土地の売却価格:2,000万円
- 土地の取得費:1,500万円
- 土地の譲渡費用:100万円
- 土地の所有期間:20年
「課税譲渡所得(土地の売却価格-取得費-譲渡費用)×税率」の計算式より、譲渡所得税=(2,000万円-1,500万円-100万円)×20.315%=81万2,600円
ただし、相続で取得した被相続人が生前に住んでいた家屋の敷地などを売却する際、一定の要件を満たせば課税譲渡所得から3,000万円が控除される「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を利用できます。
また、相続した土地を相続開始から3年10か月以内に売却した際に一定の要件を満たすと、納付済みの相続税額の一部を取得費に加算できる「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を使えることもあります。
これらの特例を活用して課税譲渡所得がマイナスになったら譲渡所得税は発生しません。
ただし特例を利用するには、不動産を売却した翌年に確定申告を行う必要があります。
なお、不動産売却時に発生する税金の概要や計算方法、利用できる特別控除については、以下の記事に詳しくまとめました。
相続した土地を高く売却して多くの現金を受け取る方法
ここからは、相続した土地をより高く売却し、換価分割時にできる限り多くの現金を得る以下2つの売却方法を解説します。
- 築浅で立地の良い土地は仲介業者に売却を依頼する
- 築古で立地の悪い土地は専門の買取業者に買い取ってもらう
土地によって高く売却できる方法は異なります。
あなたの土地がどちらの条件に当てはまるのかを踏まえながら読み進め、適切な売却方法をご選択ください。
それぞれの売却方法について、見ていきましょう。
築浅で立地の良い土地は仲介業者に売却を依頼する
建物の築年数が浅く状態が良い、駅から徒歩10分圏内など立地が良い場合は、不動産仲介業者に相談しましょう。
上記の条件を満たす土地は、購入希望者が多く募れるため、スピーディーかつ高額売却が可能です。
ただし、仲介業者に売却する場合、「仲介手数料の支払いが必要」「契約不適合責任が免除にならない」という2つのデメリットがある点は念頭に置いておきましょう。
仲介の場合、売却金額に応じて下記のように仲介手数料がかかります。
たとえば、土地を3,000万円で売却できても、仲介手数料として105万6,000円は差し引かれます。
また、仲介を介した不動産売却は契約不適合責任が免除できません。
契約不適合責任とは、売主が買主に負うべき責任です。
もし引き渡した土地に対して売買契約書には記載のない不具合や欠陥などが見つかった場合、買主から損害賠償などを請求される恐れがあります。
契約不適合責任については、以下の記事で詳しく解説しています。
築古で立地の悪い土地は専門の買取業者に買い取ってもらう
建物の築年数が古く状態が良くない、立地が悪い土地は、専門の不動産買取業者に買い取ってもらうことをおすすめします。
前述のアンケート調査結果からも分かるように、一般の個人の買主が土地に求めているものは「立地」です。
そのため立地が悪い土地を不動産仲介業者の仲介で売り出しても、需要がないことからいつまでも売れ残ってしまいかねません。
しかし、専門の不動産買取業者には築古で物件の状態や立地の悪い土地を再生して収益化できるノウハウがあります。
そのため、仲介では買主の見つからない土地でも、問題なく買い取ってもらえるのです。
専門の不動産買取業者を選ぶ際は、土地の買取実績に着目しましょう。
土地の買取実績が多い買取業者ほど豊富な活用ノウハウを有しているため、より高く買い取ってもらえます。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)は2011年に創業した専門の不動産買取業者であり、年間で600件以上(2023年1月~10月実績)の物件を買い取っている実績があります。
過去には、フジテレビの「Newsイット!」にも「訳あり物件の買取業者」として取り上げられた実績もあります。
立地の悪い土地でも弊社ならできる限り高値で買取できるため、相続した土地を換価分割するために現金化したいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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相続した土地を売却する際の2つの注意点
相続した土地の換価分割時に相続人の間でのトラブルを防ぐためにも、以下2つの注意点を押さえておきましょう。
- 売却価格を決めておく
- 売却の窓口役になる代表者に謝礼を用意する
それぞれの注意点について、詳しく解説します。
売却価格を決めておく
ひとつ目の注意点は、相続人の間で土地の売却希望価格に関する意思疎通を図っておくことです。
土地を換価分割する場合、当然ですが土地が高く売れるほど各相続人が得られる金額も大きくなります。
そのため、「早く売りたいから売却価格は安くてもよい」「高く売って多くの利益を得たい」など、相続人の間で意見が分かれてトラブルへと発展しかねない点に注意が必要です。
トラブルを未然に防ぐには、土地の最低売却価格を相続人で話し合って決めておくことが重要です。
土地の売却価格は、不動産業者に査定を依頼するとおおよその目安をつかめます。
ただし、査定のポイントは不動産業者によって異なるため、査定価格にも違いが生じます。
そのため土地を少しでも高く売りたいなら、複数の不動産業者に査定を依頼して査定価格を比較しましょう。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)でも無料査定を行っております。
全国の土地を24時間以内に査定して査定価格をご提示しますので、土地の売却価格の目安を知りたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。
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売却の窓口役になる代表者に謝礼を用意する
相続した土地の売却の窓口役である代表者に別途謝礼を支払う点も、換価分割をスムーズに進めるためのポイントのひとつです。
前述のように、相続した土地を売却する際には代表者の名義へと一度変更する必要があります。
代表者が土地を売却するには相続登記や不動産業者選び、ほかの相続人との意見調整などやるべきことが山積みであり、時には仕事を休まなければならないこともあるでしょう。
そのため土地を換価分割できた際には代表者に対して謝礼を支払うと、不公平感がなくなり、よりスムーズに相続を進められるようになります。
まとめ
相続した土地の分割方法には、共有分割・現物分割・代償分割・換価分割の4種類があります。
このうち、相続した土地をトラブルなくきれいに分けたいなら、土地を現金にして分ける「換価分割」を選択することをおすすめします。
相続した土地を売却して現金化すれば、相続人の間でトラブルが起こることなくきれいに遺産を分割できます。
ただし、土地によっては不動産仲介業者の仲介では売却できないことがある点に注意が必要です。
とくに立地が悪い土地の場合は、何年も買主が見つからないケースは少なくありません。
そのため、立地が悪い土地を売却して換価分割したいなら、専門の不動産買取業者に相談することをおすすめします。
専門の不動産買取業者には立地が悪い土地でも活用して収益期を上げられるノウハウがあるので、問題なく買い取ってもらえます。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)では立地の悪い土地でも積極的に買い取っております。土地の活用ノウハウにも長けているため、できる限り高く買い取ることも可能です。
「相続した土地を換価分割するために早く売却したい」「相続した土地を高く売却して多くの現金を手に入れたい」とお考えの方は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。