借地権の無償譲渡とは?
借地権の無償譲渡とは、借地人が土地を借りる権利(借地権)を他人に金銭的対価を得ることなく引き渡すことを指します。

これはとくに法人間や親族間などで見られる取引形態であり、税務上の取り扱いに注意が必要です。
たとえば、老朽化した建物を所有する法人が、借地権付きの土地を別の法人に無償譲渡した場合、実質的な経済的利益が発生していると税務当局に認定される可能性があります。
このように、借地権を無償でやり取りした場合でも、「タダだから関係ない」では済まされません。
必ず契約書を作成し、税理士など専門家と連携して、所轄税務署への届出書提出や評価額の確認など、適切な手続きを行うことが重要です。
借地権と所有権の違い
借地権と所有権の最大の違いは、「土地を使えるか」「土地そのものを持っているか」という点です。
| 借地権 (土地を借りて使用する権利) |
・地代の支払いや契約期間、更新のルールが存在する
・契約期間終了時や建物解体時には土地を返還する必要がある |
|---|---|
| 所有権 (土地そのものを持つ権利) |
・将来的に売却や相続も可能 |
しかし、使用貸借や無償譲渡などが絡む場合は、さらに複雑な取り扱いとなるため、権利関係を明確にしておく必要があります。
このように、借地権と所有権では取扱いや税金、契約内容が大きく異なります。
無償譲渡が成立する条件と背景
無償譲渡が成立するには、借地権を受け取る側と渡す側の合意が前提です。
また、地主の承諾も必要なケースが多く、法的・税務的にも多くの条件をクリアする必要があります。
無償譲渡が成立するためにクリアしないといけない条件は、以下のとおりです。
- 借地の契約上「譲渡禁止特約」がある場合、地主の許可が必要になる
- 税務上は贈与とみなされ、受け取った側に贈与税がかかる
- 法人の場合は法人税が課税される
(帳簿価額との比較や、実際の使用価値に基づく評価も求められる)
契約内容の見直し、税務処理の確認、届出書の提出など、全体像を理解した上で適切な対応を進めることが求められます。
無償譲渡による借地権の扱いと課税関係
借地権を無償で譲渡する場合でも、税務上は「何も対価が発生しなかった」とは見なされません。
借地権の無償譲渡について、以下の2つの観点から説明します。
それぞれの理解を深めて、借地権の無償譲渡について把握しましょう。
みなし贈与課税・受贈益課税の対象になるケース
借地権の無償譲渡がみなし贈与や受贈益として課税対象となるのは、相手に経済的利益を与えたと認定されるケースです。
これは個人、法人を問わず、土地や建物などの不動産に関連する権利移転において特に問題になります。
たとえば、地主が親族に借地権を無償で譲渡し、敷地に建物を建てさせた場合、その借地権の価値に応じて贈与税が課税される可能性があります。
法人間のケースでは、借地権を時価評価せずに譲渡した場合、受贈側が受けた相当額の経済的利益について法人税の課税対象となります。
このように、「無償」であっても、その裏に実質的な利益移転があれば課税対象となるのが原則です。
個人間と法人間で異なる税務処理
借地権の無償譲渡に関しては、個人間と法人間で税務処理が大きく異なります。
| 個人間での無償譲渡 | 受け取った側に贈与税が課される |
|---|---|
| 法人間での無償譲渡 | 受け取った経済的価値に対して法人税が発生する |
また、法人が借地権を受け取った際には、帳簿価額への計上や損金算入の可否、場合によっては役員との取引であれば役員賞与として扱われることもあるため、非常に複雑な処理が求められます。
このように、同じ「無償譲渡」でも、個人か法人かによって税金の種類や処理方法が異なります。
借地権で無償譲渡が選ばれる2つのケースとは?
借地権の無償譲渡は、特定の事情や背景により金銭を伴わない形での譲渡が合理的と判断されるケースで選ばれます。
借地権で無償譲渡が選ばれる代表的なケースは、以下の2つです。
結論からいうと、上記はどちらも「維持費の負担が重く、早く手放したい」という点が共通しています。
こうした不動産でも、専門の買取業者なら平均1週間〜1ヶ月ほどで売却できる場合があります。
詳細は、「借地権は無償譲渡ではなく「売却」という選択肢もある」で解説しています。
空き家・空きテナントの処分としての選択
空き家や空きテナントを抱える借地物件では、無償譲渡という選択が現実的な処分手段になることがあります。
維持管理や修繕費、固定資産税などの経済的負担が大きくなるからです。
たとえば、法人が所有する老朽化した借地上の事務所ビルが長期間空きテナントとなり、収益が見込めない場合、借地権を別法人に無償で譲渡して管理責任を移転するケースがあります。
このような取引は帳簿上の価額と時価評価を基に適正な処理が必要であり、無償とはいえ法人税や所得税などの課税リスクが生じることがあります。
また、借地契約の満了が近づいている場合や、地主との交渉で建物の解体や更地返還が求められている場合にも、無償譲渡は有効です。
このように、空き物件の処分を目的とする無償譲渡は、所有者にとっては金銭的負担を軽減し、借主や第三者との新たな活用につなげる一手として有効です。
相続・高齢化による管理困難な物件
相続人が遠方に住んでいる、または土地や建物の活用予定がない場合など相続や高齢化によって不動産の管理が困難になると、借地権付き物件の無償譲渡が現実的な選択肢として浮上します。
たとえば、地方にある築年数が古い借地建物を相続したが、自身は都市部に住んでいて利用予定もない、管理も難しいというケースでは、第三者に無償で譲渡することで維持コストや将来的な地代支払義務から解放されることがあります。
相続や高齢化によって物件の維持が困難となったとき、無償譲渡は一つの合理的な手段です。
ただし、税務や契約の知識が不可欠であり、軽率な判断は思わぬ損失を招くため、十分な検討と準備をもって臨むことが求められます。
借地権の無償譲渡と借地権返還の手続き
借地権を無償で譲渡したり、地主に返還する場合には、法的・税務的に必要な手続きを適切に行うことが非常に重要です。
借地権を無償で譲渡する場合は、地主の許可や贈与税や法人税に対する申告が必要です。
借地権を第三者に無償で譲渡する場合は、贈与税や法人税などの課税対象になる可能性があるため、事前に税務上の取扱いを確認する必要があります。
さらに、地主との合意がないと譲渡や返還が成立しないこともあるため、交渉や合意形成も欠かせません。
費用や税金、契約条件などを総合的に検討し、専門家と連携して進めることが、スムーズな手続きと将来のリスク回避につながります。
なお、詳細は、「専門業者に相談をするメリット」で解説しますが、税の申告や地主との交渉に不安がある方は、専門の買取業者への依頼を検討してみてください。
専門の買取業者は税理士と提携しているため、売却のご相談から売却後の税金の申告まで、まとめてサポートを受けられます。
地主に借地権を売却する方法については、以下の記事で解説していますのであわせてお読みください。
関連記事:借地権の買取を地主に拒否された!家屋の処分を成功させる対処法
必要書類・提出先・タイミング
借地権を無償譲渡または返還する際には、必要書類の準備、適切な提出先の確認、そしてタイミングの見極めが重要です。
これらを怠ると、後に課税や契約無効といった問題が発生する可能性があります。
借地権を第三者に無償譲渡する際に必要な書類は、以下のとおりです。
- 譲渡契約書
- 地主の同意書
- 評価証明書
- 不動産の登記変更書類
- 贈与税の申告書
- 法人税の申告書
- 届出書 など
上記の書類は、所轄税務署、市区町村役場、法務局、不動産登記所などに提出します。
提出のタイミングは、契約成立後速やかに行うことが原則で、遅延すると加算税や延滞税などのペナルティが発生する可能性があります。
借地権の無償譲渡や返還を円滑に進めるためには、必要書類を事前に揃え、提出先と提出時期を把握し、漏れなく手続きを進めることが必須です。
無償譲渡に伴う2つの注意点
借地権の無償譲渡は対価を伴わないからこそ、契約や税務の面で誤解やトラブルが起きやすく、慎重な対応が求められます。
無償譲渡に伴う注意点は、以下のとおりです。
それぞれの注意点を理解して、借地権の無償譲渡に対する知識を深めましょう。
契約トラブル・税務上の誤解がある
無償譲渡は契約や税務の知識が不十分な場合、重大な誤解やトラブルを引き起こすリスクがあります。
とくに「無償=課税されない」と思い込むことは非常に危険です。
たとえば、譲渡された側が経済的価値のある財産を「取得」したと認定され、贈与税や所得税の対象とされるケースもあります。
帳簿価額や時価の評価をもとに、譲渡所得として課税される可能性もあるため、契約書への詳細な記載、評価額の明示、届出書の提出などが必須です。
このように、形式的な「無償」に安心せず、法律上・税務上のリスクを正しく理解し、専門家の支援を受けながら慎重に手続きを行うことが、不要なトラブル回避の鍵となります。
将来のトラブルを避けるためのポイントを把握する
無償譲渡を成功させるには、将来的なトラブルを予見し、それを未然に防ぐためのポイントを押さえておくことが重要です。
事前準備の質が、譲渡後の安心感に直結します。
たとえば、借地権の無償譲渡をめぐって将来的に地主が返還を求めたり、第三者との交渉に支障をきたすケースもあり得ます。
また、譲渡後の固定資産税や修繕費の負担割合が曖昧なまま進められると、予想外の費用が発生することもあるでしょう。
そのため、借地契約の再確認、地主との明確な合意、譲渡契約書への必要事項の記載、評価額の妥当性確認、届出書の正確な提出といったプロセスを踏むことが推奨されます。
借地権は無償譲渡ではなく「売却」という選択肢もある
借地権の処分を検討する際は、無償譲渡を決める前に、まず借地権を専門に扱う買取業者へ相談してみることをおすすめします。
自分では価値がないと思っていた借地権でも、専門の買取業者に査定を依頼することで無償譲渡以外の選択肢が見つかる場合があります。
ここでは、専門の買取業者に相談するメリットと、相談のタイミングについて解説します。
なお、借地権の売却方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:借地権の3つの売却方法と99%高額で売却できる4つのテクニック
無償譲渡よりも有利な出口戦略になる
借地権付き物件を手放す際は、無償譲渡を検討する前に専門の買取業者に相談をしてみましょう。
専門の買取業者は、地主との交渉や権利関係の整理も含めて借地権付き物件に対応できます。
そのため、一般的な不動産の売却方法では譲渡先が見つからなかった物件でも、引き取れるケースがあるのです。
早く手放せれば、その分、地代や税金などのランニングコストの負担からも解放されます。。
また、査定を受けると想像以上の価値が認められる可能性があることも、先に専門の買取業者に相談した方がよい理由といえます。
借地権の売却を検討すべきタイミングを見極める
借地権付き物件は、更新までの期間や相続による権利関係の変化により、時間が経つほど手放しづらくなる傾向にあります。
早めのタイミングで専門の買取業者に相談することで、スムーズに手放せる可能性が高まるでしょう。
たとえば、借地契約の残存期間が十分にあるうちであれば、引き取り手にとっても利用価値を見出しやすく、手放せる選択肢が広がります。
「まだ手放すか決めていない」という段階でも、早めに専門の買取業者へ相談し、物件価値を確かめておくことが大切です。
売却のタイミングは、建物の状態や相続の状況にも左右されます。
当社にも、古い建物が建つ借地権の売却についてご相談が寄せられています。
専門業者に借地権の買取相談をする2つのメリット
借地権を手放す際には、専門業者に買取相談をすることで、手続きの簡素化やトラブル回避など多くのメリットが得られます。
専門業者に借地権の買取相談をするメリットは、以下の2つです。
上記の内容をメリットと感じる人は専門業者に買取相談をすることをおすすめします。
スムーズな契約・手続きを簡素化できる
専門業者に借地権の買取を依頼することで、契約や各種手続きをスムーズに進められる点が大きな利点です。
個人や法人が自己判断で譲渡や返還を行う場合と比較して、時間と労力を大幅に削減できます。
たとえば、借地権付きの古い建物を手放したい場合、通常であれば地主との交渉、契約書の作成、届出書の提出、不動産評価、課税関係の確認など、非常に煩雑な作業が必要になります。
しかし、専門業者に依頼すれば、これらの手続きを一括して代行またはサポートしてくれるため、所有者自身の負担が大きく軽減されるのです。
このように、専門業者の活用は、借地権に関する煩雑な手続きを明確かつ効率的に処理できる最適な方法です。自力での処理が困難な場合ほど、そのメリットは大きくなります。
収益化できない物件を速やかに手放せる
専門業者への買取相談は、収益化が難しくなった借地物件を迅速に処分する手段として非常に有効です。
専門業者であれば、収益化が難しくなった借地分でも利活用できるノウハウがあるため、買い取ってくれる可能性が高いからです。
たとえば、空き家状態が長期間続く借地上の建物では、地代や固定資産税、修繕費などの支出だけが発生し、収入が得られない状態が続きます。
専門の買取業者に依頼すれば、「タダでも欲しがる人がいなかった借地権」を、平均1週間〜1ヶ月ほどで手放せる可能性があります。
毎月の維持費の負担から、いち早く解放されることこそ、専門の買取業者に依頼する最大のメリットといえるでしょう。
借地権の買取を検討している場合はアルバリンクへ相談!
「借地権付きの家を売りに出したけれど、買い手が見つからない」「地主との調整が難しく、どこにも引き取ってもらえない」
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ただ、借地権付きの物件は需要が限られることから、物件によっては価格面で厳しい結果となったり、手放す際に一定のご負担をお願いしたりするケースもございます。
それでも、地代や固定資産税を払い続けるより、早めに手放したほうが結果的に費用を抑えられるケースは少なくありません。
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まとめ
借地権の無償譲渡は、早く手放すための手段として選ばれがちですが、みなし贈与課税や受贈益課税といった税金のリスクが伴います。
こうしたリスクを避けながら借地権を手放したい場合は、「専門家への売却」も視野に入れておきましょう。
借地権付きの物件は、条件によっては価格がつきにくいことや、手放す際に費用が発生することもあります。
ただ、「どうせ値段はつかない」と決めつけずに売却の可能性を探ってみると、想像以上の価格で買い取ってもらえるケースもあります。
売却を検討する際は、「借地権付き物件に強い専門の買取業者」に相談すると安心です。
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