狭小地とは「15〜20坪程度を目安とする土地」のこと
都市部で多く見られる狭小地は、価格水準そのものは立地の強さに支えられますが、敷地が小さいがゆえに建物計画の自由度が限られます。
採光・通風、動線・収納、構造計画や工事段取りなど、設計と施工の工夫が前提となる点が特徴です。
狭小地が発生する原因
- 相続にともなう細分化
- 都市開発や道路整備による分断
- 不整形地を無理に区画した結果
- 需要増に対応するための小区画販売
狭小地は都市部の土地需給や歴史的な区画の変遷と密接に関係します。
相続分割で敷地が細かく分かれたり、道路拡幅や区画整理により元の区画が分断されたりすることで、小さな区画が生じます。
不整形な地形を区画化したケースや、旺盛な住宅需要に対応して小区画で供給された結果として生まれることも多く、今日まで継続的に流通しています。
狭小地・狭小住宅が売れない9つの理由
狭小地・狭小住宅が売れない理由は大きく9つあります。
立地条件や住みやすさ、資産価値など複数の要因が絡み合っており、詳細はこの後詳しく解説します。
ここからは、狭小地・狭小住宅が売れない9つの理由について詳しく見ていきましょう。
住宅ローンを利用しにくい
狭小地・狭小住宅が売れにくい理由の一つに、住宅ローンが利用しづらいことが挙げられます。
一般的に不動産購入では、フラット35など金融機関の住宅ローンを利用しますが、金融機関ごとに「土地の面積の制限」が定められており、狭小地では融資が受けられない場合があります。
例えば、みずほ銀行や三菱UFJ銀行では土地面積が40㎡以上でなければ住宅ローン審査の対象外です。つまり、12坪以下(約40㎡未満)の狭小地や狭小住宅では、これらの銀行では住宅ローンが利用できません。
さらに、狭小地は敷地が極端に狭かったり、間口が狭く再建築不可物件であったりすることから、担保評価が低くなり審査に通りにくい傾向もあります。

狭小地・狭小住宅は、一般的な不動産より価格が割安といっても、数千万円規模の資金が必要です。現金一括で購入できる人は多くないため、結果的に買い手が見つかりにくくなります。
なお、再建築不可物件については別記事で詳しく解説しています。

駐車場を作れない
狭小地では敷地に余裕がなく、駐車スペースを確保できないケースが多いのが現実です。とくに車での移動が生活必須となるエリアでは、駐車場の有無が購入判断に直結するため、大きなマイナス要素になります。
また、無理に駐車場を設けると居住スペースがさらに狭くなり、間取りの自由度や収納力が犠牲になることもあります。結果として、候補物件から外されやすく、内見から申込みへの転換率も下がる傾向があります。

庭が狭い
庭や外部空間は、子育て世帯にとっては遊び場や家庭菜園、ペットスペースとしての需要が高く、ライフスタイルの満足度に直結します。
しかし、狭小地では敷地いっぱいに建物を建てることが多く、庭や駐輪スペースといった屋外余地がほとんど確保できない場合も少なくありません。その結果、ガーデニングや屋外での過ごし方にこだわる層にとっては魅力が薄く、同価格帯でより広い庭やテラスがある物件に比べるとどうしても見劣りします。
購入検討者が生活イメージを描きにくくなる点も、成約率を下げる要因となります。
不整形地が多い
狭小地には三角形や台形などの不整形な形状が多く見られます。こうした土地は、建物の配置や間取りの自由度が制限されやすく、採光や通風、動線計画が難しくなる傾向があります。
その結果、理想的な間取りを実現するには設計上の工夫が欠かせず、建築コストも割高になりがちです。加えて、家具の配置や収納計画にも制約が生じるため、生活イメージが湧きにくく、購入をためらう人も少なくありません。

建築費用が割高になりがち
狭小地・狭小住宅では、同じ延床面積の家を建てる場合でも、建築費用が割高になる傾向があります。
理由の一つは、重機や資材搬入の制限です。道路幅が狭い土地ではクレーンや大型車両が進入できず、資材を人力で運び入れたり、小型機械で作業したりする必要があり、その分工期が延びて人件費もかさみます。
さらに、敷地の形状に合わせて特殊な基礎や構造を採用する必要があったり、隣地との距離が近いために採光・通風計画を工夫する設計コストが発生する場合もあります。結果として、坪単価が高くなりやすく、「小さな敷地なのに建築費が高い」という逆転現象が買い手にとって大きな心理的負担となり、購入をためらう要因となります。
維持費が割高になる
狭小地・狭小住宅は、限られた敷地を有効活用するために縦方向に積層したプランが多く、階段が増えるほか、トイレや給排水設備などの設備点数も多くなりがちです。その分、将来的な修理や交換が必要になる箇所が増え、メンテナンスコストがかさみます。
さらに、隣地との距離が非常に近いことが多いため、外壁塗装や防水工事などを行う際には特殊な足場や狭小地対応の工事方法が必要になり、一般的な住宅より足場費や作業費が高額になりやすい傾向があります。
このように、購入後にかかるランニングコストが予想以上に高くなる可能性があるため、将来の維持負担を懸念して購入をためらう人も少なくありません。結果として「建てる時だけでなく、住み続けるコストも高い」というイメージが広がり、購買意欲を下げる要因となります。
法規制・条例による制限がある
狭小地は、建築基準法や自治体の条例による制限を強く受けやすい点が大きな特徴です。代表的なものとして、接道義務やセットバック(敷地後退)、道路斜線・北側斜線などの各種斜線制限、用途地域に応じた建ぺい率・容積率の制限、防火・準防火地域で求められる仕様、高度地区・日影規制、景観・風致地区のデザイン規制、地区計画による建築形態のルール、最低敷地面積の制限などがあります。
また、接道条件を満たさず「再建築不可物件」となるケースも少なくありません。再建築不可の土地は、原則として新築や増改築ができず、現状の建物を維持するしかないため、買い手にとって大きなリスク要因となります。
特に面積の小さい狭小地では、これらの規制によって有効床面積がさらに削られ、居住性や資産価値が低下しやすくなります。結果として購入判断のハードルが高まり、売れにくい要因となるのです。

隣家とのトラブルが生まれやすい
狭小地では敷地いっぱいに建物を建てるケースが多く、建物同士の距離がほとんど取れないことが珍しくありません。
そのため、窓越しの視線、生活音、調理やゴミの臭気など、プライバシーや生活環境に関わる摩擦が生じやすい傾向があります。
また、外壁塗装や修繕工事を行う際には、足場の設置や作業車両の駐車が隣地に影響することもあり、近隣との調整が不可欠です。こうした「入居後に発生する可能性のある手間やトラブル」を懸念し、購入をためらう人も少なくなく、結果として申込みまでの歩留まりが下がる原因になります。

ファミリー層が多いエリアの場合は需要があまり見込めない
狭小地は土地が狭いため、ファミリー層に向けた大きな家を建てるのには向いていません。
そのため、「教育施設が多く集まっている文教地区に位置している」などファミリー層が多いエリアの共用地は売れにくくなります。
なお、以下の記事では駅近の狭小住宅が売れない理由について解説しています。
駅近なのに狭小住宅が売れないとお悩みの方は、併せて参考にしてください。

狭小地の売却のための2つの注意点
前章では、狭小地・狭小住宅が売れにくい理由を解説しました。
売却を成功させるためには、買い手へのメリット訴求に加え、売主自身が押さえておくべきポイントを理解しておくことが重要です。
ここでは、狭小地の売却時に特に意識しておきたい2つの注意点について解説します。
売主好みにリフォームしない
売主の嗜好を強く反映した改装は、費用対効果が乏しいうえに買い手の「やり直しコスト」を想起させます。
機能不全の是正や簡易補修、臭気・汚れの除去など基礎的整備にとどめ、写真や図面(可能なら簡易3D)で使い方を想像しやすくするほうが、間口の広い訴求につながります。
売主判断で建物を解体しない
更地化は費用先出しの割に有利に働くとは限りません。
狭小地では既存建物の活用を検討する買い手も一定数いるため、建物付きのまま「解体する/しない」を選べる状態が有利に働く場合があります。

方針決定前に、接道・再建築可否・越境・境界・必要なセットバック等を整理し、必要なら「買主負担での解体」「引渡し条件の明示」など選択肢を残すのが現実的です。
狭小地を売却しやすくする5つの方法
ここまで解説してきたように、狭小地・狭小住宅には買手にとって多くのデメリットが存在するため、売却しにくいのが現状です。
しかし、以下の5つの方法を用いれば、売れにくい狭小地や狭小住宅でも現状より売却しやすくなります。
ここからは、それぞれの方法の特徴と、矮小地を売却しやすくする方法を解説します。
売り方を工夫する
狭小地を売却する際は、用途の自由度を伝えることがポイントです。単身者向け、DINKs向けなどに限定せず、「コンパクトな住まい」「セカンドハウス」「SOHOやアトリエ」「収益物件としての賃貸化」など、幅広い使い方ができることを強調すると、より多くの層に訴求できます。
また、「自由に設計できる更地」「リノベーションしやすい既存建物付き」など、買い手が自分の好みに合わせて活用できることを示すと、購入後のイメージが広がります。接道状況や再建築可否、セットバックや境界などの条件も事前に整理して提示し、安心して計画を立てられる環境を整えることが大切です。
売り出し価格を下げる
前述のように、狭小地に家を建てる場合は建築費用が高くなる傾向にあるため、購入費用の総額を考えた際に購入を見合わせる方は一定数います。
そこで有効なのが、売り出し価格の値下げです。
売り出し価格を相場よりも安くすることで、関心を示してくれる方の数を増やせます。
ただし、不動産の売買には値下げ交渉がつきものなので、価格を下げて売り出してもさらに価格が下がる可能性もゼロではありません。
損失を少しでも抑えるためにも、買手がどのくらいの値引きを交渉してくるのかを想定したうえで、希望売却価格から10~20%ほど上乗せした売り出し価格を設定しましょう。
古家付き土地として売り出す
立地条件が良く一定の需要は見込めるものの、建物の築年数が古く状態が悪い場合には「古家付き土地」として売り出す方法が有効です。

古家付き土地とは、その名のとおり古い家屋が建っている土地を指します。
中古住宅を売却する際とは異なり、取引の対象となるのはあくまでも「土地」なので、家屋の資産価値は価格に反映されません。
古家付き土地として売り出せば、数百万円にのぼる解体費用がかからないばかりか、家を建てる土地を探している方、古家をリフォームして住みたい方の両方にアプローチできる点が大きなメリットです。
ただし、仲介業者に狭小住宅の売却を依頼すると、すぐに住める家を探している一般個人が買い手となるので、そもそも住める状態ではない古家に魅力を感じる買い手が少なく、売れにくさは変わらない可能性もあります。
古屋付き土地の売却については、以下の記事も参考にしてみてください。

隣地所有者に交渉して買い取ってもらう
隣地所有者に狭小地の購入を打診するのもひとつの方法です。

とくに隣地も狭小地である場合、あなたの土地を購入することで敷地を広げられて土地活用の選択肢を増やせるため、前向きに検討してくれる可能性があります。
たとえ需要が見込めない立地にある狭小地・狭小住宅であっても、より高値で購入してもらえるケースもあり、一度提案してみる価値はあるといえます。
ただし、あなたが狭小地や狭小住宅を売りたいタイミングで、隣人が狭小地を欲しがっていることは稀ですし、隣人に狭小地を変えるだけの資金がなければ実現しません。
また、隣人との関係が良好な場合は直接交渉しても問題はありませんが、もしあまり親しい間柄ではないときには不動産会社を間に挟んで交渉することをオススメします。
専門の不動産買取業者に直接売却する
狭小地・狭小住宅をより確実に売却したいのであれば、専門の不動産買取業者へ買取を依頼することをおすすめします。
専門の買取業者へ売却を依頼すれば、買取業者が直接の買主となるため、仲介業者のように買い手を探す手間が省けます。

そのため、1週間から1か月ほどで現金化できるので、狭小地・狭小住宅をすぐに手放したい方に向いています。
狭小地や狭小住宅の買取価格は、相場の「6~7割」ほどとなるケースが一般的です。
しかし、買い取った狭小地・狭小住宅を活用して収益化できるノウハウに長けた買取業者であれば、より高値で買い取ってもらえます。
狭小地を買い取った後の修繕コストを安く抑えられるので、その分売主への買取価格に還元できるからです。
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狭小地や狭小住宅をできる限り高く売却したいとお考えなら、狭小地を買い取った実績が豊富な買取業者に依頼するようにしましょう。
なお、弊社Albalinkも狭小地のような特殊な物件の買取に強い専門の買取業者です。
買取業者での狭小地の買取事例として、弊社の事例を次章で紹介します。
Albalinkなら売れない狭小地でも買取可能
前章で、狭小地の売却方法の1つとして専門の買取業者への売却を紹介しました。
弊社Albalinkも狭小地のような訳ありの不動産専門の買取業者です。
そのため、通常の仲介業者や一般的な不動産買取業者に依頼しても売れない狭小地でも買い取ることができます。
実際、狭小地や狭小住宅のような「訳あり物件」を年間600件以上(※2023年1月~10月の実績)買い取っており、過去にはフジテレビの「Newsイット!」にも取り上げられたこともあります。

この章では、弊社が過去に狭小地を買い取った事例を1つ紹介します。
狭小地・狭小住宅を買い取った弊社の事例
弊社で狭小住宅を買い取った事例を紹介させていただきます。
【買取した狭小地(O様宅)の概要】
| 築年数 | 29年 |
|---|---|
| 物件の所在地 | 京都府京都市 |
| 買取価格 | 1400万円 |
| 買取時期 | 2022年2月 |
【O様の買取事例】
子どもの進学の関係で引っ越しをすることになり、12月くらいから家の売却を開始しました。
はじめは地元の不動産会社に売りに出してもらっていたのですが、いわゆる狭小住宅であることと、築年数が若干古いこともにあり、なかなか買い手がつかずに困っておりました(引っ越しも迫っていましたし)。
そんな時に、何気なくネット検索して見つけたアルバリンクの情報サイトを読み、狭小住宅でも買い取ってくれることを知りました。
買取なので、安くなることが嫌だったのですが、査定額が他の買取業者よりも高く、納得できる金額だったので、そのままお願いすることに。
無事引っ越しに間に合ってほっとしました。アルバリンクさんには本当にお世話になりました。
上記のお客様のように、狭小住宅が売れずに苦しんでいるお客様は他にもたくさんいらっしゃいました。
もし、あなたもO様と同じように狭小住宅が売れずに困っているなら、弊社に一度ご相談ください。
あなたにご納得いただける査定額を提示できるよう努めさせていただきます。
なお、以下の記事では売れない狭小地をスムーズに買い取ってくれる専門の買取業者を3社ご紹介しています。
売れない狭小地を少しでも高く売るためのポイントも解説しているので、併せて参考にしてください。

まとめ
今回は、狭小地や狭小住宅が売れない理由や売れやすくなるコツについて解説してきました。
「15~20坪以下」の狭小地や狭小地に建てられた狭小住宅には、さまざまなデメリットがあるため、売りに出してもなかなか買手は見つかりません。
しかし、専門の不動産買取業者に買取を依頼すれば、1週間から1か月ほどで確実に売却できます。
売却に際してリフォームや解体工事をおこなう必要もありません。
狭小地・狭小住宅がまったく売れずに困っている、いますぐに現金化したいといった方は、専門の不動産買取業者へ買い取ってもらうことをおすすめします。
なお、弊社は狭小地や狭小住宅といった特殊な物件に強い専門の買取業者です。
年間相談件数5000件、年間買取件数600件の買取実績(※)があり、他の業者が断るような物件でも、数多く買い取りしてきました。
※2023年1月1日~2023年10月25日現在の実績:相談/5,555件:買取/600件
あなたの抱える事情をしっかり伺い、真摯に対応いたしますので、狭小住宅が売れ残ったり二束三文の価格で手放すことになるのは避けたいとお考えなら、まずは気軽に弊社へご相談ください。
もちろん、査定のみ、ご相談のみのお問い合わせでも大歓迎です。
株式会社AlbaLinkは東京証券取引所のTPM市場に上場している不動産会社です。




