名義変更とは共有持分の移転を記録すること
不動産には、誰でも確認できる公的な記録として登記という手続きが用意されており、登記される情報には、物件の所在のほか所有権などの権利も含まれます。
ですから、不動産の名義変更とは、共有持分がある人の名前を、登記で書き換えることです。
言い換えると、登記は誰の不動産かはっきりさせるということですね。
登記上の所有者になることで、他人に対して所有権を主張できます。
この点はとても大きいので、名義変更=登記が必要だと覚えましょう。
単独名義から共有名義に変更が必要な3つのケース
多くの人にとって、不動産を名義変更するケースは頻繁に訪れるものではないですが、どうしても名義変更しなくてはならない状況があるのも事実です。
単独名義から共有名義に変更が必要な以下3つのケースを紹介します。
- 相続
- 離婚
- 贈与・売買
共有名義で相続したが単独名義に変更したい
亡くなった人が所有する不動産は、残された遺族に相続で引き継がれます。
しかし、相続が発生したからといって、自動的に名義が書き換わることはありません。
したがって、不動産の相続が発生したら、遺産分割協議によって誰が相続するのか決めて、亡くなった人の名義から相続した人の名義に変更する必要があります(相続登記といいます)。
なお、相続登記は令和6年年4月1日から義務化されますので要注意です。
参照元:法務省:所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し
共有持分の相続登記については、以下の記事で詳しく解説しています。
離婚に伴い夫婦共有名義を変更したい
夫婦が婚姻中に協力して得た不動産は、離婚時に財産分与で清算されます。
財産分与は、必ずしも不動産で行う必要はありませんが、主な財産がマイホームの場合、名義を移して財産分与をするケースが出てきます。
離婚をすると、夫婦は他人同士になってしまうのですから、身内だけの相続よりも、離婚のほうが共有を解消しておくべきだと言えるでしょう。
共有のまま離婚すると、固定資産税や住宅ローンの支払い、自由に売却できない等の不都合が残ります。
将来のトラブルを防止するためにも共有解消は必要です。
離婚時の共有不動産の財産分与については、以下の記事で詳しく解説しています。
子どもへの贈与・売却に伴い親子共有名義を変更したい
贈与または売買による名義変更は、不動産を贈与を受けた人・購入した人にとって重要です。
なぜなら、譲り受けたり買ったりして得た不動産は、名義変更をして自分が所有者だとしておかなければ、完全に自分の物だとは言えないからです。
特に売買では、売主から買主に名義変更をしないことは考えられません。
共有名義の解消方法
どのように共有名義を解消するとしても、最終的には持分を移転する登記が必要なのは同じです。
しかし、登記を申請するまでの過程には違いがあり、実現可能な方法も置かれている状況で異なります。
この章では、共有名義の解消方法5選をご紹介します。
- 共有者間での持分移転
- 共有不動産の全体を売却
- 自分の共有持分のみ売却
- 共有名義の土地を分筆
- 共有物分割請求
共有者間での持分移転
共有者間での売買や贈与によって、誰か一人に持分を全て集めてしまえば、共有名義は解消されます。
ただし、贈与や売買は共有者のうちの一人ではできませんので、当事者間で話し合って契約を結ばなければなりません。
例えば、親子共有名義の不動産で考えると、親と子供の両者が納得し、贈与(売買)契約を結ぶことで初めて、親から子供に持分を移転できます。
また、贈与において譲受人は、数十万程度の贈与税を考慮しなければなりませんし、売買において買主は購入金額を用意しなければなりません。
共有者同士に贈与契約や売買契約が成立するだけの関係性がある場合におすすめの方法です。
共有不動産の全体を売却
共有不動産の全体を売却してしまえば、当然共有名義も解消されます。
ただし、共有名義になっている不動産を全体として売却するには、共有者全員の合意が必要不可欠です。
仮に、夫婦で不動産を共有している場合、夫が不動産を売却したいと考えたら、たとえ妻が1%でも持分を有している限り、妻の合意なしでは不動産を売却できません。
そのため、不動産全体の売却による共有名義の解消は、共有者全員で売却に足並みを揃えられる人におすすめです。
自分の共有持分のみ売却
自身の共有持分のみを、不動産から切り離して売却することで、共有名義から抜け出すことが可能です。
上記の通り、共有者のうちの一人では、不動産全体の売却はできませんが、共有持分のみであれば、各自が好きなタイミングで自由に売却できます。
ただし、共有持分のみでは不動産を自由に使用できませんので、一般の個人や不動産屋はまず買い取ってはくれません。
自身の共有持分のみを売却し、共有名義から抜け出したいのであれば、共有持分専門の買取業者に相談するのが得策です。
共有持分買取業者であれば、他の共有者と慎重に交渉を進め、不動産を再活用できるため、あなたの持分のみでも買い取ってもらえるからです。
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弊社Albalinkの共有持分の買取事例
前項では、共有持分の売却は専門の買取業者に依頼するのが最適である、とお伝えしました。
そこでこの章では、弊社Albalinkを例にとり、実際の共有持分の買取事例を紹介します。
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ただ、上記のような買取事例だけを見せられてもピンとこない方もいるでしょう。
そこで、弊社が共有持分を買い取ったお客様からいただいた、直筆のメッセージも紹介します。
引用元:お客様の声(Albalink)
このお客様は共有者である親族と折り合いが悪く、話し合いができる関係ではありませんでした。 そのため、弊社が共有持分を買い取ったことで「(共有者と)やり取りをしなくて済むようになり、気持ちが楽になった」というメッセージをお寄せくださいました。
上記のお客様以外にも、弊社に物件の買取依頼をしていただいたお客様からは「肩の荷が下りた」「もっと早く依頼すれば良かった」といった感謝の言葉を多数いただいております(下記Google口コミ参照)
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
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共有名義の土地を分筆
土地を共有している場合には、一筆の土地を複数に分筆して(登記上で分けて)、分筆後の土地を各共有者が所有することでも共有を解消できます。
分筆登記による共有名義の解消は、土地上に建物がない場合のみ使用できる方法です。
ここで注意しなければならないのは、分筆による共有解消では、分筆前と比べて、土地の評価額が下がってしまうかもしれないという点です。
一筆の土地を複数に切り分けたことで、一方の土地が道路に接しなくなれば、その土地上には建物を建てられなくなり、需要が大幅に低下するからです。
したがって、分筆を行う際には、ご自身の土地が分筆登記に適しているのかどうか、専門家である土地家屋調査士に相談するようおすすめします。
共有名義の土地分割で失敗しない方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
共有物分割請求
他の共有者に対し、「共有物の分割」を求めることで、共有名義を解消することが可能です。
(共有物の分割請求)
第二百五十六条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
ただ、注意しなければならないのは、他の共有者が共有物分割請求に応じない場合、当事者間でトラブルが起こり、最終的には裁判にまで発展するという点です。
当然、共有者のうちの一人に有利な条件での共有解消を求めれば、他の共有者も反発するでしょう。
共有物の分割請求を起こす際は、必ず弁護士などの法律家に相談して、慎重に行ってください。
共有物分割請求訴訟の概要については、以下の記事で詳しく解説しています。
不動産別の注意点
本来、土地と建物は別の不動産なので、それぞれの権利も独立していますが、土地を利用する権利がないのに、建物の権利だけ持っていても建物は使えません。
そのため、建物の名義変更では、新たな名義人が土地を利用できるようにする必要があります。
不動産別の注意点を説明しますので、該当する不動産のところを参考にしてください。
- 戸建て住宅
- マンション
- 土地のみ
戸建て住宅
敷地が借地の場合には、建物のために土地を利用する権利(借地権)が存在します。
建物の名義が変わると、借地権の名義(土地の借主)も変更することになりますが、相続による名義変更を除き、地主の承諾を得るのが一般的です。
また、戸建て住宅では、前面道路が私道で共有されているケースがあります。
その場合、私道の持分も名義変更しないと、新たな名義人が前面道路を使えず、住宅まで行くことができない事態が起こりかねないので注意しましょう。
マンション
マンションでは、建物の専有部分と敷地利用権(敷地の共有持分)がセットで考えられており、別々に名義変更することが禁じられています。
(分離処分の禁止)
第二十二条 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
専有部分とセットになった敷地利用権を「敷地権」と呼び、建物の登記には敷地権の割合も記載されますので、建物の名義変更に気を付けていれば大丈夫です。
ただし、一部の古いマンションでは、専有部分と敷地利用権が別個になっていて、登記も別になっているケースがあります。その場合は、建物と土地の両方を名義変更しなければなりません。
マンションの敷地権・敷地利用権については、以下の記事で詳しく解説しています。
土地のみ
一筆の土地を分筆して名義変更するときは、その分けかたに注意が必要です。
土地をどのように分けるとしても、道路に2m以上接していなければ、法令違反となって建物が建てられない土地になってしまいます。
これを接道義務といいます。
そうすると、土地の用途が限られてしまい、著しく市場価値を落としますので、分筆する場合には必ず道路と2m以上接するように分けましょう。
接道義務については、以下の記事で詳しく解説しています。
共有者と連絡が取れない時の対処法
共有を解消したくても、共有者と連絡が取れない場合はどうしたら良いのでしょうか?
連絡が取れないパターンにもいくつか考えられますので、状況別に解説します。
- 共有者が行方不明になった
- 共有者が亡くなっている
- 共有者が認知症で判断能力がない
共有者が行方不明になった
最初にすべきは、登記事項証明書(登記簿謄本)で共有者の住所を確認することです。
もちろん、登記上の住所を頼りに連絡を取っても、そこに住んでいるとは限りませんので、その場合は家庭裁判所に「不存在財産管理人」の申立てを行います。
不存在財産管理人は、行方不明になった共有者の代わりに財産を管理しますが、持分を処分(売却等)する権限までは与えられていません。
そこで、家庭裁判所に権限外行為許可の申立てを行い、許可が得られたら持分を売却等で処分することができて、共有を解消できる流れです。
なお、共有者の生死が7年以上不明なら、死亡とみなす「失踪宣告制度」を活用できる場合があります。
共有者が亡くなっている
共有者が亡くなると、共有者の持分は遺族に相続されますから、相続人を探すことが先決です。
共有者が親族なら、だいたいの家族構成を知っているはずで、誰かに連絡を取ることは可能でしょう。
しかし、疎遠になっている・共有者が親族ではないなど、誰が相続人かわからないこともありますので、戸籍謄本等から共有者の相続人を探すことになります。
ところが、情報漏洩を防ぐため、戸籍謄本は配偶者か直系血族でなければ請求が認められません。
したがって、後に登記を依頼することを踏まえ、職務上請求が可能な司法書士へ依頼するのが無難です。
共有者が認知症で判断能力がない
共有者が認知症になると、持分を移転するという法律的な行為の判断ができないので、持分を移転しても無効になってしまいます。
そのため、認知症となった共有者の代理人として、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらい、成年後見人が本人の代わりに持分を移転する当事者となります。
ただし、成年後見制度があるのは、判断能力を失った人の生活を保護・支援する目的ですから、共有解消のために成年後見人を選任してもらうのは、制度の趣旨から外れていると知っておいてください。
成年後見制度については、以下の記事で詳しく解説しています。
共有名義から単独名義に変更する方法と費用
名義変更をするために、法務局で登記申請を行って、登記記録を書き換えてもらいます。
登記手続きに慣れていない限り、司法書士に依頼したほうが確実ですし、必要な書類も司法書士に聞けますので、無理せず専門家に任せましょう。
持分移転登記の流れや費用については、以下の記事で詳しく解説しています。
必要書類を揃える
名義変更をする理由によって、集める書類は変わってきます(個別の事案によっても異なります)。
共通 | 登記識別情報または登記済証/現名義人の印鑑登録証明書/新名義人の住民票/固定資産評価証明書/委任状(司法書士へ依頼する場合) |
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相続 | 遺産分割協議書/相続人全員の印鑑登録証明書/被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・住民票除票/相続する人の戸籍謄本 |
財産分与 | 離婚の記載がある戸籍謄本/財産分与協議書等 |
贈与 | 贈与契約書等 |
売買 | 売買契約書等 |
【固定資産評価証明書の見本】
【売買契約書の見本】
所有権・持分移転登記をする
必要書類を揃えたら、登記申請書に全ての書類を添付して登記を申請します。
司法書士に依頼する場合は、必要書類を渡すだけで司法書士が法務局で登記申請してくれます。
当たり前ですが、司法書士には報酬を支払わなくてはならず、相場としては登記1件につき、3万円から5万円程度を想定しておきましょう。
名義変更にかかる税金
名義変更にかかる税金は、名義変更の原因で異なりますが、必ず発生するのは登録免許税です。
相続 | 固定資産税評価額×0.4% |
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財産分与 | 固定資産税評価額×2.0% |
贈与 | 固定資産税評価額×2.0% |
売買 | 固定資産税評価額×2.0%、土地の場合は1.5%(令和5年3月31日まで) |
上記は、不動産全体の名義変更になりますので、持分移転では持分割合を乗じた金額になります。
それ以外の税金については、以下、個別に説明します。
不動産取得税
不動産取得税とは、新たに名義人となった人が納付する税金です。
贈与・売買では課税されますが、相続では課税されません。
また、財産分与が夫婦の財産を清算する目的であるときは減免対象になります。
贈与税
贈与で名義変更したときに、新たに名義人となった人が翌年に税務署へ申告して納税します。
贈与税には年間110万円の基礎控除があり、110万円を超えると課税されます。
譲渡所得税
譲渡所得税とは、贈与・売買・財産分与で名義を手放した人にかかる税金です。
持分の取得費用よりも、名義変更による対価(持分の相当額)が大きい時に発生します。
翌年に税務署へ申告して納税します。
まとめ
- 名義変更とは登記上で所有権や持分を移転させること
- どのような理由で名義変更するかによって税金が変わる
- 共有者と連絡が取れないときは手間が大きくなる
- 共有解消の方法は複数あるが持分売却なら自分の判断でできる
共有不動産の名義変更では、登記手続きを司法書士に任せるとしても、共有者間の調整が面倒になりがちなのは、共有名義の大きなデメリットでしょう。
また、贈与と売買の税金面を比べたとき、贈与による名義変更は贈与税の税率が高く、少しでも税金を減らしたいなら売買のほうが優れています。
弊社AlbaLinkは、共有持分に強い専門の買取業者です。
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