実家の相続・売却時に兄弟で起こりがちなトラブル5選
実家の相続・売却する際に兄弟でどのようなトラブルが起こり得るか紹介します。
遺産分割協議で兄弟間の遺産の取り分について揉める
兄弟で遺産分割協議(法定相続人全員で行う遺産配分についての話し合い)を行う際、遺産相続の取り分について揉める場合があります。
そもそも、遺産相続の割合は法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)と被相続人(亡くなった人)との関係によって民法で定められています。この割合のことを法定相続分と呼びます。
たとえば親が亡くなった場合の兄弟(2人の場合)の法定相続分は1/2ずつになります。ですから実家のように物理的に分割できない遺産は共有で相続することになります。
しかし、遺産の分割割合は法定相続分ではなく、冒頭で述べたように遺産分割協議によって決めることもできます。その際、遺産の取り分について話がまとまらず揉めることがあります。
たとえば、資産価値のある実家を兄弟の誰かが単独で相続したがった場合、実家以外のプラスの遺産が少ないと、兄弟間で不公平感が生まれ争いが起きる恐れがあります。
遺産の取り分をめぐる兄弟間の対立は、次節で述べる寄与分が関わってくるとより起きやすくなります。
なお法定相続分や遺産分割協議など、遺産相続について詳しく知りたい場合はこちらの記事も参考にしてください。
献身的に介護していた兄弟が寄与分を請求してくる
法定相続人の中で、介護を主に担っていたなど特別な働きをしていた兄弟が、遺産分割協議の場などで、「寄与分」を請求してくる場合があります。
寄与分とは民法による「一定の事由がある場合には相続する金額を増額できる」規定のことです。
(寄与分)
民法第904条の2
1.共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。
引用元:第904条の2
寄与分が認められると、法定相続分を超える財産を相続することができます。
法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)と被相続人(亡くなった人)の関係によって民法で定められた相続割合のこと
ただし、寄与分が認められるには上記条文のとおり「特別の寄与」によって「被相続人の財産の維持、増加」に貢献したことが必要です。
たとえば長男だけが足しげく実家に通い、被相続人の介護をしたことでヘルパーを雇わずに済んだり、被相続人の事業を「無償で」手伝ったりして財産の増加に貢献していたなどの場合です。単に「介護で親を支えた」といったことでは、寄与分が認められる貢献にはあたりません。
ただし、「貢献」というのは数字などで客観的に表しにくいため、兄弟の誰かが寄与分を主張しても、そのことに納得しない兄弟が出てくる可能性は大いにあります。
もし遺産分割協議で寄与分に関する話がまとまらない場合は、最終的に「遺産分割審判」といって寄与分をめぐり兄弟間で裁判で争うことになります。
このように寄与分の主張により兄弟間での対立が生まれてしまう恐れがあります。
一方、寄与分とは反対に、特別受益を受け取っていた場合は、相続分が減額される場合もあります。
特別受益とは、生前に相続人が被相続人から結婚資金や生活資金として受け取っていたまとまった金額のことです。
実際に民法第903条第1項でも、特別受益を受けた相続人は「贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする」と定められています。
兄弟間で特別受益を指摘することも、トラブルの元になります。たとえば兄が弟に「お前は親から長年生活資金を受け取っていたのだから、そのぶん遺産は減らせ」などと要求した場合です。
この要求を弟がすんなり受け入れれば問題ありませんが、誰でも遺産を減らされるのは嫌なものです。ですから弟が反論し、それをきっかけに兄弟間の争いに発展する恐れは充分にあります。
なお、特別受益を受けた者がいる場合の相続については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ご確認ください。
実家を売るか残すかで兄弟間の意見が対立する
親が残した実家を売却するか否かで兄弟の意見が分かれることもあります。
実際、弊社Albalinkも実家の売却をめぐり兄弟で意見が対立してしまった客様から以下のような相談を受けたことがあります。
相談者様はお兄様と実家を共有名義で所有しており、相談者様は実家の売却を希望しておりましたが、お兄様が実家に愛着があり、売却を反対されているとのことでした(このケースでは弊社が相談者様の共有持分のみ買い取らせていただきました。詳しくは「自身の共有持分のみを専門の買取業者に売却する」を参照)
兄弟といえども、実家に対する考えや思い入れは異なります。そのため、実家の処分をめぐり兄弟間で意見が合わずに揉め事に発展してしまうケースは少なくありません。
ただ、もし兄弟間で意見が対立してしまったとしても実家を放置してはいけません。実家を空き家として放置してしまうと近隣トラブルが発生したり、行政処分を受けて解体されるなど、様々なリスクがあるためです。
実家を空き家として放置するリスクについては下記の記事で詳しく述べていますのでご確認ください。
兄弟の共有名義として相続すると実家の売却が制限される
いったん実家を兄弟の共有名義にして相続すると、不動産全体の売却を共有者それぞれの判断で自由に行うことが制限されます。
(共有物の変更)
第251条
1.各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。引用元:民法第251条
「変更」にあたるのは「売却」「抵当権の設定」「建物の建て替え、大規模修繕」など、不動産を法律的に処分したり、物理的に性質を変えるような行為です。
つまり、売却や処分行為を行うには「共有者全員の合意」がなくてはなりません。
よって、最初に軽い気持ちで共有にしてしまうと、売却を希望する共有者がその後兄弟の同意を取り付けることができず、売却を断念せざるを得なくなることも考えられます。
共有持分の売却に同意がいらない件については、以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
相続時に名義変更を忘れていた
相続時に名義変更(不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する手続き)を行っていないと、不動産の売却の話が進んだ際に、スムーズに買主と契約を進められないなど、トラブルが発生します。なぜなら、相続した不動産は、いったん相続人へ名義変更を行わないと第三者へ売却できないためです。
名義変更を忘れていたパターンとしては、大きく分けて次の3つが考えられます。
ケース1:遺産分割協議は完了し、書面(遺産分割協議書)も作成し、法定相続人全員が署名や実印押印を済ませて、印鑑証明書も揃っていたが、単に登記手続きだけが未了だった。
ケース2:遺産分割協議は完了していたが、口約束のみで書面が作成されていなかった。あるいは書面を作成していたが、印鑑証明書が揃っていないなどの不備があった。
ケース3:遺産分割協議自体が未了だった。
ケース1であれば、あとは登記さえすれば良いので比較的早く手続き可能です。
ただ、ケース2になると、書類の不備を補完するために相続人全員の協力が必要になることもあるため、時間がかかることも考えられます。
ケース3では、最初から遺産分割協議をしなければならず、遺産分割協議で意見がまとまらず、相続人への名義変更が完了しない恐れがあります。
その場合もし遺産分割協議前に買主と契約を交わしてしまっていると、売買契約を解除せざるを得なくなり、違約金の支払いが発生するリスクもあります。
いずれにしても、実家の買受希望者が現れたとしても契約を締結するのは、相続人への名義変更が完了するまで待っておく方が無難です。
なお、相続した物件が未登記でお困りの方は、以下の記事を参考にしてください。
【相続発生時】実家を兄弟でトラブルなく売却する方法
実家の相続が発生したが、まだ名義変更を行っていない実家を兄弟間でトラブルなく売却する方法は以下の5つです。
- 財産の種類別に現物分割を行い売却する
- 売却してから換価分割する
- 代償分割して売却する
- 土地は分筆により現物分割して売却する
- 法定相続分通りに登記後、自身の共有持分のみを売却する
それぞれの方法に気を付けるべき点がありますので、次節以降で詳しく解説していきます。
財産の種類別に現物分割を行い売却する
遺産の一番シンプルな相続方法は現物分割と呼ばれる方法です。この方法は財産の種類別にそれぞれの兄弟が遺産を相続する方法です。たとえば、「不動産(実家)は長男」「預貯金は次男」「有価証券は三男」といった具合です。
現物分割であれば、実家の売却も実家を相続した兄弟が単独で行えるため、トラブルは起きません。
不動産の評価方法について兄弟で意見が一致している、そしてそれぞれの財産の価格が大きく食い違っていない、などの前提条件が必要にはなりますが、具体的な手続きを考えた場合に分けやすい方法といえます。
売却してから換価分割する
兄弟間の公平性を保つことができる遺産相続の方法として「換価分割」があります。この方法は下記の画像のように不動産(実家)を売却し、金銭に換えてから金銭を相続人同士で分割する方法です。
換価分割であれば、実家の売却と、遺産の分割を一度に済ませることができます。
ただし、換価分割については気をつけるべき点があります。それは、実家を売却する際、実家が複数名義になっている(法定相続分で相続した場合など)場合、売買契約が決済の手続きが煩雑になることです。
なぜなら複数名義の場合、名義人全員が売主となるため、契約や決済に名義人全員が関わらなければならないからです。特に遠方に居住する名義人には負担がかかるなど不都合が生じることもあります。
そこで、手続きの面で動きやすい1人にいったん相続で名義を移しておいて、その人が代表して売却手続きを行い、不動産を金銭に換えたあと、他の相続人に分配する方法をお勧めします。
ただし、この方法にも1つ気をつけることがあります。それは分配金が「贈与」とみなさ、贈与税が課される恐れがあるということです。贈与税を課されないようにするためには、遺産分割協議書に以下の内容を記載しておく必要があります。
遺産分割協議書に、換価分割のために相続人を1人に絞った旨を記載しておくということです。
換価分割を成功させるポイントはいかに実家をスムーズに売却するかです。そのために上で述べたようにいったん相続人を1人にすることをお勧めします。その場合、忘れずに遺産分割協議書に「換価分割のためであること」を記載するようにしましょう。
代償分割して売却する
遺産相続の方法として、誰か1人が不動産を相続し、他の相続人にもらいすぎた分の金銭(代償金)を渡す「代償分割」という方法もあります。
例えば、資産価値が3000万円の不動産と1000万円の預貯金の遺産を兄弟2人で相続する場合、兄が1人で不動産を相続したとします。この場合、代償金として弟に1000万円を渡すことになります。
なお、代償分割であれば不動産を単独で相続できるので売却に際しても制限はありません。また、遺産分配の公平性でも換価分割と変わりません。
しかし、換価分割と代償分割では「居住用不動産の3,000万円控除」適用に差が生じる場合があります。
居住用(マイホーム)を売却した際の売却益(譲渡所得)にかかる譲渡所得税を、要件を満たすことで3000万円軽減できる控除
参照元:国税庁|No.3302 マイホームを売ったときの特例
上記の控除が適用されれば、3000万円以下の譲渡所得税はゼロにできます。
しかし、前節で解説した「換価分割」において、複数の相続人が共同で実家を売却した場合は、不動産(実家)に居住していなかった相続人については「居住用不動産の3,000万円控除」を利用することができません。住んでいないわけですから、「居住用」といえないためです。
土地は分筆により現物分割して売却する
土地の相続については、物理的に分けて分配する「現物分割」という方法があります。
不動産の場合の現物分割は、先ほど述べたように不動産とそれ以外の財産で行います。不動産は物理的に分けられないためです。しかし土地は分筆により分けて分配することがきます。
登記簿上1つの土地を複数の土地に分けて登記をする手続きのこと
ただし、分筆するにあたり、それぞれの土地の価値を完全に公平するのは困難です。たとえば、分筆により公道に接している土地と、公道に接していない土地(接道義務を満たしていない土地)ができた場合、公道に接していない土地の方が価値は下がってしまいます。
なお、接道義務について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
また、分筆登記は専門士業である土地家屋調査士が代理して行うことが通常ですが、特に境界が確定していない場合は、測量費用が50万円程度からと高額になることを覚悟しておかなくてはなりません。
法定相続分通りに登記後、自身の共有持分のみを売却する
他の相続人との関係が悪く、遺産相続の話し合いができない場合は「ひとまず法定相続分通りに相続登記を行い、その後に自分の持分のみを売却する」という方法があります。
土地・家・マンションなど不動産の所有者が亡くなった場合に、相続人への名義変更を行う手続きのこと
持分のみの売却は、一般の買い手が現れることはまず期待できません。わざわざ赤の他人と不動産を共有で所有したいと思う買い手はいないからです。しかし「共有持分を専門に取り扱う買取業者」へは売却できます(詳しくは「自身の共有持分のみを専門の買取業者に売却する」を参照ください)。
また、法定相続分での相続登記は法定相続人の誰か1人が行うことも可能です。
ただ、その際注意すべきなのは、登記識別情報通知(以前の権利証にあたるもので、暗証番号のような数字とアルファベットの組み合わせ)が相続登記を行った者にしか発行されないことです。
たとえば法定相続人ABCのうち、Aだけが相続登記の申請人になる場合、以下のような状況になります。
- Aは自分の法定相続分だけでなく、ABC全員分をまとめて登記しなくてはならない。
- 登記した際の登記識別情報通知はAの分しか発行されず、BCには発行されない。
BやCが後から自分の持分の売却等をする際には、登記識別情報通知の法務局への提供が必要ですが、上記のケースの場合、BとCの登記識別情報通知が発行されていません。そのためBとCは持分を売却できません。
BとCが持分を売却するためには「資格者代理人(司法書士)による本人確認情報」等の手続きが必要となり、登録費用が通常より5万円から10万円程余計にかかります。
BやCは、Aにより勝手に法定相続分の登記をされた挙句に売却の際の費用まで余分に払わされることになりますので、Aに対して悪い感情を抱くことになり、さらなる関係の悪化が避けられません。
よって、今回の方法は相続人同士の関係が最初から悪く、将来的な関係修復を望まないケースに限られるでしょう。
ただ、AがBCとの関わりを絶ちたいという希望を持っているのであれば、自分1人の手続きで共有関係から抜け出すことができるため有効な方法といえます。
【相続後】兄弟共有名義の実家をトラブルなく売却する方法
実家を兄弟で共有名義で相続した後、トラブルを起こさず売却する方法は以下の5つです。
- 共有者全員の合意のもと不動産全体を売却する
- 土地の場合は分筆後、共有持分を交換して売却する
- 他の共有者に自身の持分を売却する
- 他の共有者の持分を全て買い取った後、単独で売却する
- 自身の共有持分のみを専門の買取業者に売却する
それぞれ詳しく解説していきます。
なお、共有状態を解消する方法について下記の記事でより詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
共有者全員の合意のもと不動産全体を売却する
相続人同士の関係が良好であれば、全員で話し合いを行い合意した上で、不動産全体を売却する方法があります。
ただ、先述したように共有名義の不動産を売却するには名義人全員が売主となって契約や決済を行うことになります。
そのため、遠方に居住する共有者がいる場合は他の共有者に売買手続きの委任状を出したり、事前に司法書士と郵送での書類のやり取りや意思確認の作業をする必要が出てくることもあります。
土地の場合は分筆後、共有持分を交換して売却する
共有土地を分筆し、各共有者の単独名義にしてから売却する方法です。
ただし、前章で解説したように分筆登記をするには数十万円の費用がかかることもあります。
また、もともと共有になっていた土地は、分筆したからといっていきなりそれぞれが単独名義になるわけではありません。AとBで共有になっている土地を二筆に分筆すると、AとBの共有の土地が二筆できるにすぎません。その後、下記画像のように、AとBがそれぞれの持分を交換することによりはじめて意図した通りの「単独名義の土地が二筆」できあがります。
ただし、土地の分筆から共有持分の交換までの過程にかなりの費用や手間がかかることを覚悟しなければなりません。
なお、共有持分を交換して共有関係を解消する方法についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事もご確認ください。
他の共有者に自身の持分を売却する
他の共有者が自分の持分を買い取ってくれるのであれば、売却してしまって実家の共有関係から抜ける方法もあります。
この方法はあくまでも相続人同士の関係が良好な場合に取りうる方法です。また共有者があなたの持分を買い取れるだけの経済力があることが前提となります。
ただ、共有で相続し、結局後から他の相続人に売却するのであれば、相続発生時点で単独名義で登記しておいた方が登記費用は安く済みます。
ですから、遺産分割協議では今後、実家をどうするかについてよく話し合った上で名義人を決めた方が良いでしょう。
他の共有者の持分を全て買い取った後、単独で売却する
上記とは逆に、自分が他の共有者の持分を買い取り、実家を単有名義にして売却する方法もあります。
ただし、この方法も相続人同士の関係が良好である必要があります。他の相続人の持分を買取には当然、話し合いが必要になるためです。
また前節の自身の持分を売却する場合と同様に、最初から単独で相続登記しておいた方が費用面では安く済みます。
自身の共有持分のみを専門の買取業者に売却する
他の共有者と関わらずに共有関係から離脱するのであれば、「自分の持分のみを専門の買取業者へ売却する」方法が最適です。
先述した通り、共有持分は一般の個人へ売却することはほぼ不可能ですが、共有持分の買取に強い専門の不動産買取業者に依頼すれば売却できます。
不動産買取業者とは売主から依頼されて不動産を買取り、再販・運用することで利益を得ている業者です。共有持分に強い専門の買取業者は弁護士などと連携していることが多いので、仮に他の共有者との話し合いで揉めたとしても法的に解決することができます。
専門の不動産買取業者に売却してしまえば、あなたは売却益を手にでき、共有関係からも抜け出せます。
しかも、買取業者は利益が見込めると判断すればすぐに買い取ってくれるため、スピーディーに売却できます。
なお、弊社Albalinkも共有持分に強い専門の買取業者であり、弁護士とも連携しております。年間600件を超える物件(※2023年1月~10月の実績)を買い取っており、共有持分の買取実績も多数あります。
たとえば下記のように、不動産を売却したいのに共有者である親族に反対されていた依頼者の持分を買い取らせていただいたこともあります。
参照元:Albalink(買取実績)
弊社がこのように共有持分の買取を積極的に行えるのは、独自の再販ルートや運用ノウハウを持っているためです。ですから「共有持分をできる限り高く売却し、共有関係のストレスから一刻も早く解放されたい」とお考えの方は、ぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください。
※「物件住所」「氏名」「メールアドレス」を伝えるだけで相談を依頼できます。(※個人情報保護は万全です)
※無料相談はサービスの一環であり、買取を前提とするものではありませんので、お気軽にご利用ください。
なお、共有持分の買取業者については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
実家相続から売却までの正しい手続きの流れ
この章では相続してから売却するまでの大まかな流れや、相続税について解説します。
ただし、相続人同士で話しがまとまらなかったり、連絡が取れない相続人がいる場合は早めに「弁護士」に相談することをお勧めします。のちほど述べますが、遺産をどのように相続するか決めるには期限が設けられているためです。
なお、遺産相続の流れや種類、相続税についてはこちらの記事でより詳しく解説していますので、併せてご確認ください。
遺言書の有無を確認する
まずは遺言書の有無を確認しましょう。
【遺言書の見本】
遺言書は契約書など重要な書類が入っている引き出しや金庫にしまわれていたり、公正証書の作成などを行う公証役場にある場合もありますので確認してみましょう。なお、公証役場は全国にあります。被相続人の住所の近くの公証役場が知りたい方は、以下のリンクより確認してみてください。
もし遺言書が見つかっても焦って開封せず、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、指示に従うのが安全です。遺言書の開封は、家庭裁判所で相続人全員の立会いのもと行い、勝手に開封した場合は5万円の過料を科すと法律で定められているためです。
参照元:裁判所|遺言書の検認
実際は遺言書を開けてしまっただけで5万円を取られるケースは稀ですが、念のため注意しましょう。
また、遺言書の内容は法定相続分より優先されますが、遺留分に反する分割はできません。
遺留分
民法によって被相続人の兄弟・姉妹(甥・姪)以外の法定相続人に保障された、相続財産の最低限度の割合(法定相続分の1/2もしくは1/3)
遺留分とは、一定の法定相続人に対して民法で認められた最低限の相続割のことです。被相続人の兄弟(2人)が相続人の場合、上の表より遺留分は遺産の1/4となります。
また、遺留分に反していなくても、相続人全員が遺言書の内容に反対している場合は、遺産分割協議を行って遺産相続の割合を決めることができます。
相続の選択を行う
遺産の相続については「単純承認」・「限定承認」・「相続放棄」の3つの選択肢があります。この3つのうちどれを選ぶかを決めましょう。
- 単純承認
- プラスの財産も、マイナスの財産も全て相続します
- 限定承認
- プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続することです。マイナスの財産がプラスの財産より多い場合に有効です(下記の画像も参照ください)
-
参照元:裁判所|相続の限定承認の申述
- 相続放棄
- プラスの遺産もマイナスの遺産も全て相続を放棄することです。
-
参照元:裁判所|相続の放棄の申述
単純承認というのが、いわゆる一般的な相続にあたります。現金などのプラスの遺産も、借金などのマイナスの遺産も相続することになります。
限定承認というのは、下の図を見てもらえばわかるように、プラスの遺産の範囲内でマイナスの遺産も相続することです。この方法であれば仮にプラスの遺産よりマイナスの遺産が多い場合でも、相続した遺産がマイナスになることはありません。
相続放棄は、プラスもマイナスも全ての遺産を相続をしないことです。遺産相続争いに巻き込まれなくて済むといったメリットがあります。ただ、マイナスの遺産だけでなく、プラスの遺産も相続できないため、相続人の中であなただけが損をしてしまうかもしれないというデメリットもあります。
相続放棄についてより詳しく知りたい場合は、下記の記事もご確認ください。
上記の3つのどれを選ぶかは、被相続人が亡くなってから(亡くなったことを知ってから)3カ月以内に決めなくてはいけません。親族との関係や、プラスの遺産とマイナスの遺産、どちらが多いのかなどを総合的に判断して決めましょう。
なお、限定承認と相続放棄は家庭裁判所で手続きが必要なため、何も行わないと、自動的に単純承認となります。
遺産分割協議
遺言書がない場合や、法定相続分で相続したくない場合は、相続人全員で遺産の分割割合について話し合う遺産分割協議を行います。
遺産分割協議を行う際は、前提として法定相続人を正しく特定するための戸籍謄本、除籍謄本等の収集が必要となります。
売却を前提とする場合は時間的に余裕がないことも多いため、司法書士に依頼して職権で戸籍を取得してもらうことをおすすめします。
戸籍収集が済んだら、法定相続人全員で遺産をどのように分割するか話し合いを行います。
実家不動産以外に預貯金などがあるケースは全体のバランスも考える必要があります。
司法書士に遺産分割協議書を作成してもらい、相続人全員が署名と実印の押印を行い、印鑑証明書を添付します。
相続登記
不動産の管轄法務局に相続登記(被相続人から相続人への名義変更)の申請を行います。
各法務局により、また時期により完了までの期間は異なりますが、おおよそ「2週間~1カ月程度」です。
登記が完了すると、法務局から「登記識別情報通知」が発行されます。この通知は先述した通り、売却の際に必要となるため大切に保管してください。
売買契約
不動産の買主が決まったら、売買契約を締結します。
売買契約は極力、相続登記を完了させてから行いましょう。相続登記前に売買契約をしてしまい、万一相続登記が完了できなければ、買主への所有権移転登記を行えなくなってしまうためです。
また、先述した通り、共有名義での相続登記を行った場合は共有者全員が売主となり契約や決済に関与しなくてはなりません。
もし、遠方に居住しているなどの理由で契約に同席できない場合は、出席者に売買手続き一切を任せる旨の委任状を提出しておきましょう。不動産仲介業者に依頼すれば委任状のフォーマットをもらえることが多いです。
無事契約締結が済んだら買主から売主へ手付金が支払われます。
決済・引き渡し
売買契約のなかで定めた日時で決済と引渡しを行います。
このとき手付金を除く売買代金を決済します。
買主が金融機関のローンを利用する場合であれば、その金融機関で決済が行われることが多くなります。
原則的に売主、買主は全員が出席、不動産仲介業者や司法書士などの関係者が立ち会い、所有権を移転する登記を行うために必要な書類を司法書士に渡します。
司法書士は、残金の決済がなされたらその日のうちに所有権移転登記を法務局に申請します。法務局が審査を行い問題なく処理されると、売主から買主に登記簿上の所有権が移ります。
相続が行われてから売却、所有権移転の完了までにかかる期間は、相続人の人数、相続人同士の関係の良し悪し、物件の条件、買主のローン利用の有無などでまったく異なります。
つまり案件によりまちまちなのですが、遺産分割協議が問題なく速やかに完了し、買受希望者もすでに現れているような物件であれば、相続開始から「3カ月以内」にすべて終えられることもあります。
逆に、売主側が予測しなかったような事情(例えば買主側のローン審査等)で時間がかかってしまうこともありますので、実家を素早く現金化したい場合は、とにかく早めに不動産業者に相談することが大切です。
実家を相続すると相続税が発生する
実家を相続すると相続税が発生します。
相続税は建物と土地、それぞれの課税評価額を合算し、そこから基礎控除を差し引くことで求められます。計算式で表すと以下のようになります。
参照元:国税庁|相続税のあらまし
上記の式の各要素について、このあと順に解説していきます。
まず建物と土地の課税評価額の求め方ですが、建物と土地それぞれの固定資産税評価額に税率を掛けることで求められます。固定資産税評価額は、毎年4月頃に不動産の所有者に届く固定資産税の納税通知書に同封されている課税明細書の「価格」という欄を確認するとわかります。
建物の税率は「1.0」なので、固定資産税評価額=建物に対する課税評価額ということになります。
土地の課税評価額ですが、「路線価方式」と「評価倍率方式」のいずれかで求められます。
- 路線価
- 路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡当たりの評価額。土地の課税評価額を算出するのに使われる
- 評価倍率
- 路線価が定められていない土地の課税評価額を算出するために、その土地の固定資産税評価額に乗じる倍率
路線価が定められいる土地の場合は、路線価=土地の課税評価額となります。一方、農村など市街地以外の土地は路線価が定められていないことも多くあります。その場合は土地の固定資産税評価額に評価倍率を掛けることで土地の課税評価額を求めます。
なお、土地の路線価と評価倍率は下記、国税庁のHPで確認できます。
上記の手順で求めた建物と土地の課税評価額の合算に、基礎控除を差し引いた額が相続税額になります。
つまり兄弟が2人いる場合、基礎控除額は4200万円になるということです。ですから建物と土地の課税評価額の合算が4200万円以下であれば、相続税を支払う必要はありません。
しかし、もし相続税の額が基礎控除額を超える場合は早めに税理士に相談しましょう。なぜなら相続税の支払いには「被相続人の死亡を知った翌日から10ヶ月以内」という期限があるためです。
実家の相続には遺産相続など考えるべきことがたくさんありますが、相続税の支払いが発生するかどうかも忘れずに確認するようにしましょう。
まとめ
今回は、実家を兄弟で売却する方法について解説してきました。
実家の売却を行うにはまず相続登記を行う必要があるが、法定相続人の間で売却の可否や誰が相続するかなどについて意見が一致しなくなる状況が考えられます。
ですから、安易に法定相続分での登記を行うことはせずに、その先の売却処分まで考慮した上で実家の遺産分割を行い、名義人を決定するべきです。
とはいえ、兄弟間で意見が食い違い、実家の売却がなかなか進まないケースもあるでしょう。
その場合は、すみやかに実家の共有関係から離脱する方法があります。
専門の買取業者に売却を依頼すれば、共有者と顔を合わすことなく、あなたの持分を買い取ってくれ、実家の共有トラブルから解放されることになります。
実家の売却に関する兄弟とのトラブルから抜け出したいとお考えなら、まずは共有関係のトラブルに強い専門の買取業者に相談してみてください。
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