空き家の固定資産税の仕組み
空き家にかかる固定資産税には独特な仕組みがあり、ほとんどの住宅はすでに減免されています。

ただし、空き家の状況によっては減免が除外され、固定資産税が従来の6倍まで増額してしまう可能性もあります。
この章では、空き家の固定資産税の仕組みについて解説します。
空き家の固定資産税については、以下の記事で詳しく解説しています。

空き家の固定資産税は特例で減免されている
空き家であっても建物が建っている限り、「住宅用地の特例」により固定資産税が減免されています。
住宅用地の特例は居住用の土地にかかる固定資産税を軽減する制度で、税額を最大6分の1まで減額できる措置です。

たとえば、土地の評価額が1,000万円の小規模住宅用地の場合、本来なら年間14万円の固定資産税が発生します。
しかし、住宅用地の特例によって課税標準額を6分の1に軽減されているので、約2万3,000円まで固定資産税額を抑えられているのです。
都市計画税についても同様で、住宅用地の特例により最大3分の1まで軽減されています。

住宅用地の特例は毎年1月1日時点で住宅が存在していれば、特別な申請手続きをしなくても適用されます。
しかし、空き家の現況によっては住宅用地の特例が除外されるケースもあります。
特定空き家・更地は固定資産税が減免されない
住宅用地の特例は自動的に適用される制度ですが、すべての空き家が減免を受けられるわけではありません。
2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、「特定空き家」に指定された建物は住宅用地の特例から除外されることになりました。
さらに、2023年12月の法改正では、新たに「管理不全空き家」という区分が設けられています。

上記の空き家に指定され、行政からの勧告を受けると翌年から住宅用地の特例が適用されなくなります。
また、空き家を解体して更地にした場合も、翌年から住宅用地の特例が適用外になります。

ただ、詳細は後述しますが、自治体によっては空き家解体後も固定資産税の減免を受けられる場合があります。
特定空き家については、以下の記事で詳しく解説しています。

固定資産税の滞納が続くと差し押さえになる
固定資産税を滞納し続けると、最終的には不動産が差し押さえられます。
固定資産税を滞納した場合の流れを以下にまとめました。
- 督促状が送付される
- 財産調査が実施される
- 不動産などの財産を差押えられる
- 公売にかけられる
地方税法第329条では、税金の納期限を過ぎた場合は20日以内に督促状を送付することが義務付けられています。
督促状が届いた段階で支払えば、納期限を過ぎた日数分の延滞金(滞納1ヶ月以内だと200円程度)で済みますが、さらに放置すると財産の差し押さえに移行します。
空き家を所有している方は、固定資産税の支払いを怠らず、もし支払いが困難な場合は早めに税務担当窓口に相談することが大切です。
固定資産税の滞納については、以下の記事で詳しく解説しています。

空き家の固定資産税を減免申請する3つの流れ
減免申請には正しい手順があり、順番を間違えると制度を利用できなくなってしまう可能性があります。
空き家の固定資産税を減免申請する流れは、以下の3ステップです。
正しい手順で減免申請を行い、固定資産税の負担を軽減しましょう。
自治体に相談する
まずは、所有している空き家が減免制度の対象になるかどうかを自治体に問い合わせましょう。
多くの自治体では、空き家解体後も固定資産税の増額を防ぐ支援策が設けられています。
たとえば、徳島県鳴門市の場合は、以下4つの要件を満たしている場合は減免申請の対象となります。
- 職員による判定基準表に基づいて老朽化が認められた空き家
- 空き家の土地を所有する個人またはその相続人
- 賃貸住宅については、申請者が不動産業者以外であること
- 市税の滞納がないこと
参照元:鳴門市「老朽空き家を取り壊した場合の土地固定資産税の減免について」
また、自治体によっては、空き家の解体にかかる工事費用に対する補助金制度を用意している場合があります。
鳴門市を例に挙げると、倒壊して前面道路をふさぐ恐れがある空き家を解体する際、工事費用の3分の2(上限60万円)まで補助してもらえます。
自治体によって補助金・減免申請の適用要件や手順が異なるため、事前に確認しておきましょう。
空き家を取り壊して更地にする
自治体に申請を行い、職員による現地調査を終えたら空き家を解体して更地にします。
空き家の解体にかかる費用相場を、以下にまとめました。
| 建物の構造 | 解体費用の相場(30坪) |
|---|---|
| 木造 | 120万円 |
| 鉄骨造 | 180万円 |
| 鉄筋コンクリート造 | 210万円 |
解体工事の多くは100万円を超えるため、必要に応じて資金を手元に用意しておきましょう。
空き家の解体費用については、以下の記事で詳しく解説しています。

減免申請をする
空き家の解体が完了したら、減免申請の手続きを行います。
多くの自治体では解体後に申請書や添付書類を提出し、問題がなければ後日、減免決定通知書が交付されます。
この通知書を受け取ることで、翌年から固定資産税の減免措置が適用されることになります。
空き家の固定資産税を減免申請する際の2つの注意点
減免申請時の注意点を押さえていないと、申請が認められなかったり、減免が途中で取り消されたりすることがあります。
空き家の固定資産税を減免申請する際の注意点は、以下の2つです。
減免の適用要件は自治体によって差がある
固定資産税の減免制度は全国一律ではなく、自治体ごとに制度の有無・減免の適用要件が異なります。
たとえば、福岡県久留米市の場合は「法に基づく勧告を受けていないこと」が申請要件の一つにあります。
つまり、特定空き家に指定された後、管理状態を改善せず勧告まで受けてしまった空き家は減免申請ができません。

また、減免期間も解体の翌年度から最長3年間などの規定があり、制度の効力が永続しない点は念頭に置いておく必要があります。
参照元:久留米市「老朽化した危険な空き家(住宅)の固定資産税について」
減免措置が停止されることもある
自治体が設定している減免の期間中であっても、途中で終了となることがあります。
たとえば、福岡県久留米市では、以下の該当した場合は翌年度より減免の適用が停止となります。
- 相続以外の理由で所有者が変わったとき
- 住居として利用が開始された場合
- 収益を目的とした利用が始まった場合
- 売買や賃貸の仲介契約が終了した場合
参照元:久留米市「老朽化した危険な空き家(住宅)の固定資産税について」
固定資産税の減免を最大限活用するためにも、停止条件を理解し、継続的に適切な管理を行う必要があります。
空き家の固定資産税を減免申請する以外の4つの対策
空き家の固定資産税を軽減する方法は、減免申請する以外にも以下の4つの対策があります。
それぞれのメリット・デメリットを理解して、自身の状況に合った最適な方法を選びましょう。
賃貸物件にする
空き家を賃貸物件として活用すれば、固定資産税の負担を家賃収入でカバーしやすくなります。

家賃収入が固定資産税を上回れば、税負担の心配がなくなるだけでなく、収益物件として資産価値を高めることも可能です。
ただし、賃貸経営を始める前にリフォーム費用や管理費用も考慮する必要があります。
築年数が古い物件の場合、入居者を確保するための相応の投資額は覚悟しなくてはなりません。

また、空室になる・家賃滞納が発生するなど、賃貸経営特有のリスクを理解した上で対策を用意しておくことが大切です。
家を取り壊して土地活用する
建物を取り壊して土地活用に切り替えることで、より安定した収益を得られる場合があります。
活用方法と立地条件がマッチしていれば、駐車場経営・コインランドリー経営・太陽光発電用地などにも転用が可能です。
とくに駐車場経営は初期投資が比較的少なく、管理の手間も軽減できるため、利用希望者が周辺にいれば安定収入が期待できるでしょう。
ただ、土地の面積や立地条件によっては思うような収益が見込めない場合もあるため、事前の市場調査は必要です。
お金のかからない土地活用については、以下の記事で詳しく解説しています。

空き家バンクに登録する
空き家バンクに登録して、空き家を必要としている人を募集する方法もあります。
空き家バンクとは、自治体が運営する空き家の情報提供システムです。

登録料は無料で、移住希望者や住宅を探している人に向けて物件情報を発信してもらえます。
自治体によっては改修費用の補助金制度も用意されているので、費用負担を抑えながら借り手・買い手を見つけられるでしょう。
ただし、空き家バンクは情報提供のみを行うサービスのため、契約手続きや価格交渉などは当事者間で行う必要があります。
また、全国の約900万戸の空き家に対して成約率が1%未満と認知度が高いサービスとはいえません。
借り手がすぐに見つかる方法ではない点を理解した上で、空き家バンクの利用を検討することをおすすめします。
空き家バンクを有効活用する方法については、以下の記事で詳しく解説しているので併せてお読みください。

売却する
固定資産税の負担から完全に解放される唯一の手段は、空き家を売却することです。
空き家を売却すれば税負担がなくなり、維持管理の手間からも解放される上にまとまった現金も取得できます。
空き家の売却方法には、「仲介業者に売却を依頼する」「買取業者に直接売却する」の2種類があります。

それぞれの特徴を理解し、自身の希望や空き家の状態に応じて最適な方法を選択しましょう。
仲介・買取の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。

仲介業者に売却を依頼する
不動産仲介業者に依頼する方法は、より高い価格での売却を目指したい場合に適しています。
仲介とは、売主と買主の間に立って売却活動を行う業者です。

不動産サイトなどで幅広く宣伝をするため、複数の購入希望者が現れれば、価格交渉によってより高い価格で売却できる可能性があります。
ただし、空き家の立地や建物の状態によっては売却が長期化する恐れがあります。
実際に、弊社が行った「購入したい中古住宅」についてのアンケート調査でも、立地条件や建物の状態のよさが重視されていることがわかります。
空き家をスピーディーかつ高確率で売却したい場合は、次項で解説する買取業者に売却するのが賢明です。
買取業者に直接売却する
前述したように、スピーディかつ高確率で手放したい場合は、買取業者への直接売却が効果的です。

買取業者は不動産会社が直接物件を購入するため、平均1ヶ月程度というスピード感で売却が可能です。

さらに、自社で付加価値を付けて再販する前提で買い取るため、訳あり物件でも高確率で買い取ってもらえる可能性があります。
一方で、再販コストが差し引かれるため、売却価格は仲介で売却した場合の7割程度になるのが一般的です。
ただ、空き家に強い専門の買取業者に依頼することで、できる限りの高額買取に対応してもらいやすくなります。
次項では、全国の空き家を積極的に買い取っている専門の買取業者である、弊社アルバリンクの買取事例をご紹介します。
空き家買取に強い買取業者ついては、以下の記事で特徴別に紹介しています。

アルバリンクなら建物の状態がよくない空き家でも売却できる
弊社アルバリンクは訳あり物件専門の買取業者として、他社では断られるような空き家も数多く買い取ってきました。
たとえば下記のように「20年以上放置されて老朽化が進んだ空き家」を買い取った実績もあります。
【20年以上放置された空き家の買取事例】
引用元:Albalinkの空き家買取事例
上記は780万円で買取らせていただき、所有者には「雨漏りもするような家だったが、思ったより高い金額で買い取ってもらえた」と、金額についても満足していただけました。
このような老朽化が著しい空き家でも適正価格で買い取れるのは、弊社がリフォーム業者などの各専門家と提携しているからです。
再販までの過程で発生する中間マージンなどの余分なコストを省くことで、通常よりも高い買取価格を売主様に提示しています。

上記の方々だけでなく、弊社に買取依頼をしていただいたお客様からは「肩の荷が下りた」「色々不安だったがスムーズに売却できた」といった感謝の言葉を多数いただいております(下記Google口コミ参照)
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
信頼できる買取業者に安心して空き家を売却したい方はぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたからといって、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
まとめ
空き家の固定資産税について悩む多くの方にとって、「減免申請」は負担を軽減できる有力な手段です。
ただし、固定資産税の軽減措置を利用しても、各自治体の条件や適用期間によって期待するほどの効果が得られないケースもあります。
もし、固定資産税の悩みから確実に解放されたい場合は、専門の不動産買取業者への売却を検討しましょう。
専門の買取業者に空き家を売却すると、毎年訪れる税負担から確実に解放される上に、まとまった現金も受け取れます。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、空き家に強い専門の買取業者です。
これまでに、訳あり物件の買取専門業者として、フジテレビの「newsイット!」など各種メディアで取り上げられた実績もございます。

固定資産税の負担が重い空き家を売却して、心の負担を軽くしましょう。
株式会社AlbaLinkは東京証券取引所のTPM市場に上場している不動産会社です。






