使用貸借の相続完全ガイド【貸主・借主死亡時の対処法と相続税評価】

使用貸借で貸主死亡時の相続はどうなる!?立ち退きトラブル対策も解説 その他

「故人が無償で貸していた土地は、誰に相続される?」
「故人が無償で借りていた土地は、相続人も引き続き無償で使える?」

使用貸借の貸主(貸していた人)が亡くなった場合、貸主の地位は相続人に継承されます。

一方、借主(借りてた人)が亡くなったのであれば、借主の地位は相続人に継承されません。
契約に明確な期間があるなどの例外でない限りは、借主が亡くなった時点で賃貸借契約は終了です。

このような定めはあるものの、「使用貸借」の不動産に相続が発生した際はトラブルが発生するケースが少なくありません。

というわけでこの記事では、以下の内容を解説します。

使用貸借の土地や不動産に相続が発生した際、絶対に知っておくべき内容を網羅的に解説しているので、ぜひ最後までお読みください。

もし、故人が無償で貸していた土地(建物)を相続したものの「借主に撤去してほしい」「他人が無償で使っている不動産なんていらない…」とお考えであれば、不動産自体を手放してしまうのも1つの方法です。

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目次
  1. 使用貸借と相続の基礎知識|トラブル回避のポイント
    1. 使用貸借とは?無償で不動産を借りる契約の仕組み
      1. 3つの貸借契約の種類と使用貸借の特徴
    2. 使用貸借が成立する典型的なケースと相続リスク
    3. 使用貸借と賃貸借の決定的な違い
  2. 【重要】使用貸借の相続における基本ルール|貸主・借主死亡時の対応
    1. 貸主死亡時:使用貸借契約が継続する法的根拠と手続き
      1. 小規模宅地等の特例適用の判断基準
      2. 使用貸借の貸主から土地を相続するときの手続き
    2. 借主死亡時:使用貸借契約の原則的消滅と例外
      1. 例外的に相続の対象となるケース
  3. 使用貸借相続で起こりがちなトラブル事例と解決策
    1. 【借主側トラブル】貸主の相続人から突然の立ち退き要求
      1. 原状回復義務の重い負担
      2. 借主側の対抗手段
    2. 【貸主側トラブル】相続土地からの借主退去拒否問題
      1. 使用貸借終了が認められた重要判例の詳細解説
  4. 使用貸借されている土地の相続税評価額の求め方
    1. 使用貸借の相続税評価における基本的な考え方
    2. 借主が個人の場合:自用地評価による満額課税
      1. 賃貸借にしても節税効果は限定的
    3. 借主が法人の場合:無償返還届出書による評価の変動
      1. 土地の無償返還に関する届出書を提出しているケース
      2. 土地の無償返還に関する届出書を提出していないケース
    4. 相続税の計算方法
      1. 計算例
  5. 使用貸借人が占有している土地は専門の買取業者へ相談するのも手
    1. 占拠された物件・建物も買い取れる!もう1つの理由
    2. 弊社Albalinkの相続物件の買取事例
  6. まとめ

使用貸借と相続の基礎知識|トラブル回避のポイント

使用貸借の不動産で相続が発生すると、貸主(貸している人)の相続人と借主(借りている人)の間で深刻なトラブルが起きるリスクがあります。

ここでは、使用貸借相続で起こりがちなトラブルを理解するために、まず使用貸借の基本的な仕組みから分かりやすく解説します。

では、使用貸借の概要説明からご説明します。

使用貸借とは?無償で不動産を借りる契約の仕組み

使用貸借とは、対価を得ずに無償で物件を借りる契約のことです。No634_使用賃借とは

民法第593条では以下のように明確に規定されています。

使用貸借
第五百九十三条 使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。

引用元:民法(明治二十九年法律第八十九号)(使用貸借)第五百九十三条

どのような物でも無償で借りれば使用貸借に該当しますが、実際の相続問題では不動産の使用貸借が最も重要です。

とくに親子間や兄弟間での土地・建物の貸借で相続トラブルが頻発しています。

3つの貸借契約の種類と使用貸借の特徴

物を借りる契約には、使用貸借を含めて以下の3種類があります。

使用貸借の特徴を理解するために、他の契約との違いを確認しましょう。

契約種類 対価 具体例 相続への影響
賃貸借 賃料支払い 一般的な賃貸アパート 借地権として相続される
使用貸借 無償 親子間の土地貸借 借主死亡で原則終了(民法599条
消費貸借 利息等 住宅ローン 債務として相続される

賃貸借は賃料を支払って借りる一般的な契約で、アパートやマンションなどが該当します。

消費貸借は借りたものを消費して同等の価値のものを返還する契約で、主に金銭の貸借(ローン)で利用されます。

使用貸借が成立する典型的なケースと相続リスク

使用貸借は主に以下のような親族間の関係で成立します。

  • 親子間の使用貸借:親の土地に子が家を建てる、親の家に子が住む
  • 兄弟間の使用貸借:兄弟の一人が実家に住み続ける
  • 親族間の使用貸借:叔父・叔母の土地を借りて居住
  • 将来の相続を前提:「いずれ相続するから」という理由での使用

親族なので口約束だけで使用貸借の契約をしてしまいがちですが、トラブルの原因になりかねません。

使用貸借は口約束で成立する

口約束でも使用貸借契約は法的に成立しますが、相続発生時に以下のようなトラブルが起きやすくなります。

  • 契約期間が不明確で立ち退き交渉が困難
  • 使用目的の解釈で相続人間が対立
  • 借主の権利範囲が不明で売却できない

親しい間柄でも必ず書面による契約書を作成することを強く推奨します。

参照元:e-Gov法令検索|民法522条

使用貸借と賃貸借の決定的な違い

使用貸借と賃貸借を区別する最も重要な基準は、対価(賃料)の支払いがあるかどうかです。

契約書の有無や名称ではなく、実際の取引内容で判断されます。

判断基準 使用貸借 賃貸借
賃料支払い なし あり
固定資産税負担 借主負担でも使用貸借 通常は貸主負担
相続税評価 減価なし 借地権分減価
借主の権利 弱い 強い

親が子どもに無料で土地や建物を貸している場合、借主である子どもが固定資産税を負担していても使用貸借と判断されます。

固定資産税は不動産の維持に必要な費用であり、賃料(対価)とは法的に区別されるためです。

実務での判断例は以下のとおりです。

  • 使用貸借と判断:月5万円の固定資産税を子が負担
  • 賃貸借と判断:月10万円の地代+固定資産税を子が支払い

この区別は相続税評価額に大きな影響を与えるため、正確な判断が重要です。

使用貸借の場合、土地評価額の減価がないため、相続税負担が重くなる可能性があります。

参照元:e-Gov法令検索|民法595条1項

【重要】使用貸借の相続における基本ルール|貸主・借主死亡時の対応

使用貸借契約が相続で承継されるかどうかは、死亡した人が貸主か借主かによって全く異なる結果となります。

この違いを理解することは、相続トラブルを避けるために極めて重要です。

以下の表で、使用貸借の相続における基本パターンを確認しましょう。

死亡した人 使用貸借契約の行方 相続人への影響 必要な手続き
借主死亡 原則として消滅 とくに影響なし 原状回復・返還
貸主死亡 原則として継続 貸主地位を承継 相続登記

貸主死亡時:使用貸借契約が継続する法的根拠と手続き

使用貸借契約が終了するのは以下のケースだと、民法597条で定められています。

  • 契約期間の満了:貸主と借主の間で定めた期間が満了した時
  • 使用目的の達成:契約で定めた使用の目的を果たした時
  • 借主の死亡:借主が死亡した時

重要な点として、「貸主の死亡」は終了事由に含まれていません。

そのため、貸主が死亡しても使用貸借契約は当然に継続されます。

例えば、母が叔母に家を使用貸借していた場合、子がその物件を相続しても、叔母の賃貸人としての地位が継承されます。

貸主が亡くなったら立場は継承される

貸主が亡くなったら立場は継承される 使用貸借契約が継続するため、相続した子であっても正当な事由なしに借主を立ち退かせることはできません。

借主に対して立ち退き請求ができる正当な事由とは、次のようなケースが該当します。

利用の必要性
他に住む場所がない、その土地で親の介護が必要など
借地に関する従前の事情
その土地でどのくらい生活してきたか
土地の利用状況
どのように利用してきたか、借主自身が居住しているか
給付の申し出
立退料の支払い

上記を総合的に見て、立ち退き請求ができるかどうかを判断されます。

小規模宅地等の特例適用の判断基準

親子間の使用貸借で貸主である親が亡くなった場合、小規模宅地等の特例の適用可否は居住形態によって決まります。

小規模宅地の特例とは

居住状況 特例適用 減額率 節税効果
親と子が同居 適用あり 最大330㎡まで80% 非常に大きい
親と子が別居 原則適用なし 減額なし 節税効果なし

相続開始前3年以内に「自己または配偶者が居住していた家屋を処分していない」等の条件を満たすと、別居の子でも適用できる場合があります。

また、同居していなくても「生計一親族(生活費・家計を共にしていた)」なら対象となる可能性もあるのです。

同居している場合でも、親の自宅が二世帯住宅で登記上分離されていると、同居と認められず適用されないケースも有るため注意しましょう。

使用貸借の貸主から土地を相続するときの手続き

借主に貸している土地を貸主から相続した場合、相続人は相続登記をおこなって名義を変更すると、貸主としての地位も自動的に引き継げます。

No777相続登記とは?

相続手続きの流れは以下のとおりです。

  1. 相続登記の実施:法務局で所有権移転登記
  2. 貸主地位の自動承継:特別な手続きは不要
  3. 借主への通知:新しい貸主として関係継続を確認
  4. 契約内容の確認:既存の使用貸借契約の確認

借主に貸している土地を貸主から相続した場合、相続登記を行って名義変更すれば、貸主としての地位も自動的に引き継がれます。

特別な手続きは必要ありません。

借主死亡時:使用貸借契約の原則的消滅と例外

民法597条の規定により、借主が死亡すると使用貸借契約は原則として消滅し、借主の相続人には承継されません。

例えば、母が叔母に家を使用貸借していて、叔母が亡くなった場合には、叔母の子どもに継承されずに契約は消滅します。

例外的に相続の対象となるケース

借主が死亡しても契約が消滅せずに相続で継承される例外的なケースが2つあります。

例外的継承のケース 詳細
契約書に別段の定めがある場合 借主死亡後も契約継続する旨の記載
相続人への承継を明記した条項
使用収益の必要性が認められる場合 借主名義の建物が土地上に存在
相続人が建物の使用収益権を有する

契約時に別段の定めがある場合は、借主が死亡した場合でも使用貸借契約を終了しない旨の記載があれば、契約書の書面通りに契約が継承されます。

また、契約内容が不明確で借主が死亡しても使用収益の必要が認められた場合も、使用貸借契約は継承されます。

例えば、母が所有する土地を叔母に使用貸借したケースを見てみましょう。

  1. 初期状態:母所有の土地を叔母が使用貸借
  2. 建物建築:叔母が自己名義で建物を建築
  3. 叔母死亡:建物を叔母の子が相続
  4. 結果:子の建物使用収益権保護のため、土地使用貸借契約が継続

この場合、叔母の子は相続により自己名義の建物を所有することになります。

建物の所有者として使用収益権(建物を使用し利益を得る権利)を有するため、その権利を保護する必要性から使用貸借契約が継続されると判断されます。

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使用貸借相続で起こりがちなトラブル事例と解決策

使用貸借は無償での貸借契約のため、契約書が作成されないケースが多く、相続時に深刻なトラブルが発生しやすい特徴があります。

特に親子間や兄弟間での使用貸借では、家族関係の変化により想定外の問題が生じることが珍しくありません。

使用貸借相続でよくあるトラブルは以下のとおりです。

  • 借主側:突然の立ち退き要求と原状回復義務
  • 貸主側:借主の退去拒否と売却・活用の妨げ
  • 兄弟間:相続による関係悪化と契約目的の変化
  • 契約書なし:権利関係が不明確で法的解決が困難

ここでは、借主側・貸主側それぞれの立場から、具体的なトラブル事例と対処法を詳しく解説します。

【借主側トラブル】貸主の相続人から突然の立ち退き要求

貸主が死亡し、相続によって新たに貸主となった人から、突然「使用貸借契約の解除」と「立ち退き」を要求されるケースです。

よくある事例として下記のことがあげられます。

親子間:親(貸主)の死亡後、他の相続人から立ち退き要求
兄弟間:実家の相続で使用していた兄弟に退去要求
親族間:叔父・叔母の死亡後、その子から契約解除通知

原状回復義務の重い負担

立ち退きを求められると、原状回復義務が生じます。

使用貸借している土地に建物を建てた場合、建物を解体して更地にして返還しなければなりません。

借主側の対抗手段

立ち退き要求に対して借主が取れる対抗手段は以下のとおりです。

  1. 契約内容の確認:期間や目的の確認、正当事由の有無を検討
  2. 交渉による解決:立退料の要求、移転期間の延長交渉
  3. 調停の申立て:家庭裁判所での話し合い(費用:数千円)
  4. 法的手続き:訴訟による権利の確認(費用:数十万円)

原状回復トラブルについては、以下の記事で詳しく解説しています。

原状回復トラブル解決の教科書【弁護士解説の保存版】
売れない訳あり不動産の情報メディア

【貸主側トラブル】相続土地からの借主退去拒否問題

相続人が使用貸借している物件を自分で使用したい、または売却したいと考えても、借主が退去に応じてくれないケースが頻発しています。

よくある貸主側の困りごととして下記のことがあげられます。

  • 自己使用希望:相続した実家に住みたいが兄弟が退去しない
  • 売却希望:相続税支払いのため売却したいが借主が居座る
  • 活用希望:賃貸経営したいが使用貸借人が契約変更を拒否
  • 管理負担:固定資産税負担のみで収益がない状態

相続人がその使用貸借している物件を自分が使用したい、または売却したいと思っても、貸借人に退去してもらえないケースがあります。

また借主の退去拒否には、以下のようなパターンがあり、それぞれ対応が異なります。

退去拒否の理由 借主の主張 対処法
契約期間の主張 「期間満了まで住む権利がある」 契約書の内容確認・正当事由の立証
相続権の主張 「使用権も相続した」 民法597条による契約終了の主張
建物の存在 「自己所有建物の使用収益権」 建物収去・土地明渡請求訴訟
経済的事情 「移転先がない・費用がない」 立退料支払い・分割払い

期間を定めた契約書がある場合、借主は「期間中は住み続ける権利がある」と主張することが多く、特にトラブルが深刻化しやすい状況です。

契約書が存在しない場合、以下のような問題が生じます。

  • 権利関係が不明確:使用期間・目的が曖昧
  • 立証が困難:口約束の内容を証明できない
  • 交渉が長期化:法的根拠が薄く解決に時間がかかる
  • 費用負担増:弁護士費用や調停費用が発生

使用貸借終了が認められた重要判例の詳細解説

契約書に期限の記載がない場合や、契約書自体が存在しない場合には、訴訟によって使用貸借契約の終了が認められるケースもあります。

実際の判例を見てみましょう。

平成3年5月9日の東京地方裁判所での判決
その土地は、親と娘婿との間で使用貸借が締結された契約でした。その土地は将来的に娘が相続して、親の老後の面倒をみることを目的とした契約です。しかし、娘が病死し、親と娘婿との関係も悪化したことで、使用貸借契約の目的が失われました。裁判所は、親と娘婿との信頼関係は既に破壊されているとした上で、親が娘婿に無償で土地を利用させる理由はないと、使用貸借契約の終了を認めました。参考:平成3年5月9日の東京地方裁判所での判決

使用貸借されている土地の相続税評価額の求め方

使用貸借で貸主が亡くなった場合、一般的には貸主の相続人と借主の間で使用貸借契約が継続され、相続人は貸主としての地位を承継します。

このため、貸主の相続人は相続税の計算・申告義務が生じます。

特に使用貸借の土地では、評価方法が通常の賃貸借と大きく異なるため、正確な理解が重要です。

実際に弊社が行ったアンケート調査では、相続に関して「相続税の額がどのくらいかがわからずに心配」と回答した方が最も多い結果となっています。

相続に関する不安ランキング

引用元:訳あり物件買取プロ|【相続に関する不安ランキング】男女500人アンケート調査

使用貸借の相続税評価における基本的な考え方

使用貸借されている土地の相続税評価額は、借主が個人か法人かによって計算方法が根本的に異なります。

借主の種類 評価方法 減価の有無 特徴
個人 自用地評価 減価なし 満額での課税
法人 届出書による変動 条件により減価 届け出の有無で大きく変動

なお、不動産の相続税は、評価額に税率を乗じて計算します。

 相続税の計算方法
評価額×税率-基礎控除(3,000万円+法定相続人の人数×600万円)=相続税額

不動産の相続税については、以下の記事でも詳しく解説しています。

共有不動産の相続税を分かりやすく解説!計算方法や申告方法もあわせて紹介
売れない訳あり不動産の情報メディア

借主が個人の場合:自用地評価による満額課税

借主が個人の場合、土地の評価額は通常の自用地と同様に評価され、使用貸借による減価は一切認められません。

重要なポイントは以下のとおりです。

  • 普通借地権・定期借地権では借地権割合分の減価あり
  • 使用貸借では借主の権利が弱いため減価なし
  • 固定資産税を借主が負担していても評価に影響なし

普通借地権や定期借地権では、借地権割合(土地の更地評価額に対する借地権価額の割合)の分だけ土地評価額から減価されます。

しかし、無償で借りられる使用貸借の場合は、借主の権利が弱すぎるので土地評価額から減価されません。

例えば、評価額が1,000万円の土地を母が子に使用貸借していて、母が亡くなり子が土地所有権を相続する場合、土地評価額は減価されないので、満額である1,000万円に対して相続税がかかります。

賃貸借にしても節税効果は限定的

「使用貸借では減価がないので、賃貸借にすれば節税になる」と考える方もいますが、実際はそう単純ではありません。

賃貸借の場合の問題点は以下のとおりです。

  • 地代収入の増加:毎月の地代が親の財産を増加させる
  • 相続財産の増加:地代収入分だけ相続時の遺産が増える
  • トータルでは同じ:土地の減価と現金増加で相殺される

賃貸借にすると毎月地代を支払う必要があり、その分は貸主(親)の財産が増加するため、相続発生時の遺産額も増加します。

単純計算では使用貸借と節税効果は変わりません。

もちろん、必ずしもすべてのケースに当てはまるわけではないので、正確に計算したい場合は税理士などの専門家に相談するのが良いでしょう。

借主が法人の場合:無償返還届出書による評価の変動

借主が法人の場合、「土地の無償返還に関する届出書」を税務署に提出しているかどうかで、相続税評価額の計算方法が大きく異なります。

土地の無償返還に関する届出書
法人が借地権の設定等によって土地を使用させた際、将来借地人が土地を無償で返還することが定められている場合の届出制度。この届出を行えば、権利金の認定課税は行われない。

「土地の無償返還に関する届出書」の届出は、将来法人の借地人等がその土地を無償で返還することが定められている場合の手続きです。

「土地の無償返還に関する届出書」の提出有無による相続税評価額の計算方法の違いを解説します。

土地の無償返還に関する届出書を提出しているケース

税務署に「土地の無償返還に関する届出書」を提出している場合には、借主が貸借権を認識していないと判断されるため、貸している土地の相続税評価額は減額されません。

借主が個人の場合と同様に、更地としての評価額を使用貸借している土地の評価額とします。

土地の無償返還に関する届出書を提出していないケース

税務署に「土地の無償返還に関する届出書」を提出していない場合には、使用貸借で貸している土地の評価額から借地権を控除できます。

賃貸借と同じように、借地権割合の部分だけに課税されます。

借地権割合60%なら、全体の4割がカットされるため、届出書を提出しているケースよりも相続税評価額は下がります。

相続税の計算方法

相続税は、次の計算式に当てはめて計算してください。

 相続税の計算方法
評価額×税率-基礎控除(3,000万円+法定相続人の人数×600万円)=税額

土地の相続税の税率は10%から55%で、以下の表の通り、取得する財産の価格に応じて決まります。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

参照元:国税庁HP「相続税の税率」

基礎控除される額を超える財産に対して、相続税が課税されます。

基礎控除額は法定相続人の人数により異なり、相続人のなかに相続放棄をした人がいる場合も人数に含めて計算しましょう。

計算例

夫婦と子供2人の場合で父が亡くなった場合の法定相続人は3人です。

上記の計算式に当てはめると、3,000万円+3人×600万円なので、基礎控除額は4,800万円となります。

ですので、課税対象の財産が4,800万円を超える場合に相続税が発生し、4,800万円以下であれば相続税は発生しないということになります。

使用貸借人が占有している土地は専門の買取業者へ相談するのも手

使用貸借の不動産を相続した場合、以下のような深刻な問題に直面することが多くあります。

  • 活用・売却の阻害:使用貸借人が退去要求に応じない
  • 契約期間の制約:期間の定めがあり退去要求ができない
  • 法的手続きの負担:訴訟費用と時間的コストが重い
  • 管理コストの継続:固定資産税負担のみで収益がない

借主に立ち退いてもらえない場合、訴訟による解決も可能ですが、弁護士費用や数年単位の期間を要するケースが珍しくありません。

しかし、訴訟には弁護士費用がかかりますし、数年単位の期間を要するケースも珍しくありません。

「訴訟を起こす費用がない」「手間や時間をかけたくない」という方は、使用貸借人に占拠された状態で、土地や建物を手放してしまうのも1つの方法です。

「そんなことできるの!?」と思われるかもしれませんが、専門の不動産買取業者であれば使用貸借人に占有されている土地や建物も積極的に買い取ってくれます。

なぜ占拠された土地や建物を買い取れるかというと、専門の不動産買取業者は以下の高度な交渉スキルと法的対応力持ち合わせているからです。

  • 豊富な経験:使用貸借人との交渉実績が多数
  • 法的知識:立ち退き手続きの専門知識を保有
  • 弁護士連携:提携弁護士による法的サポート体制
  • 事業化ノウハウ:取得後のリフォーム・活用計画

弊社Albalink(アルバリンク)も、使用貸借人などの借主と交渉するスキルを持ち合わせている、専門の不動産買取業者です。

使用貸借人との交渉、訴訟など、時間や費用がかかる手続きは、買取後の私たちにお任せください。貸主様(売主様)は、占拠されている土地や建物をそのまま売却していただけば一切問題ありません。

もちろん、「ほんとにそんなことができるの?まずは話だけ聞いてみたい」「もし売ったらいくらになるのかだけ知りたい」という方も、お気軽にお問い合わせください。

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占拠された物件・建物も買い取れる!もう1つの理由

使用貸借人に占拠された土地を買い取って立ち退き交渉が可能となる理由は、「買取業者が高度な交渉スキルを持ち合わせているから」だけではありません。

もう1つの理由は、専門の不動産買取業者が「使用貸借というリスクを抱えた物件」を前提に買い取るノウハウを持っているからです。

使用貸借契約は、相続であれ第三者への売却であれ、新しい所有者に貸主としての地位が承継されるのが原則です。

そのため、借主は新しい所有者に対しても使用貸借契約を主張できます。

しかし、不動産買取業者はこうした状況に対応する経験が豊富であり、以下のことを駆使して占拠状態を解消する手段を持っています。

  • 借主との交渉実績
  • 立退料の提示や移転先の提案
  • 提携弁護士と連携した法的手続き

相続人自身が長期の訴訟や交渉を行わなくても、専門業者に売却することで早期に問題を整理できるのです。

弊社Albalinkの相続物件の買取事例

ここまで使用貸借されている相続物件のトラブル・売却方法などについてお伝えしてきました。

そこでこの章では、弊社Albalinkを例にとり、実際の相続物件の買取事例を紹介します。

弊社Albalinkは訳アリ物件専門の買取業者として、他社では断られるような複雑に利権が絡まる相続物件を多数買い取ってきました。

実際、地方の不動産の相続が発生し、弊社でその不動産を買い取らせていただいたお客様からは、以下のような感謝のお言葉を頂きました。

かねてより悩みの種であった地方にある不動産をいよいよ相続することとなり、相続人全員で話し合い、買取業者様にお願いすることにしました。 譲渡益は見込んでおらず、とにかく早い段階での現状渡しが実現しそうな業者様を探し、口コミや実績からAlbaLink様にご相談いたしました。 断られてしまうのでは、と不安が募りましたが、担当の方が当初より親身に寄り添って下さり、難しい条件の不動産ではありましたが、何とかお引き受けいただけることになりました。 やり取りも非常にスムーズ且つ迅速で、相続発生から短期間での契約締結となり、長年の肩の荷が下りてホッといたしました。 AlbaLink様にご相談して本当に良かったです。また、ご担当いただいた方にも心より感謝申し上げます。

引用元:Google口コミ(Albalink)

このように、権利関係が複雑な不動産も現況買取しており、できる限りのスピード売却を実現しています。

上記は信憑性の高いGoogleの口コミにお客様が書き込んでくださったものですが、その他にも弊社はGoogleの口コミで多数の好意的な評価を頂いております。

また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。

「相続物件を売却できず困っている」「他の相続人ともめている」そういった方はぜひ一度下記無料買取査定フォームから弊社にご相談ください(売却前提の問い合わせでなくても構いません)。

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まとめ

使用貸借の不動産を相続した場合のトラブルや解決策などを解説しました。

記事内でご説明した通り、使用貸借人の地位は相続人に継承されます。ですが、使用貸借の土地や建物なんていらないと思う相続人も少なくないでしょう。

故人は使用貸借人と仲が良かったり恩があったりしたとしても、相続人には関係がない、そもそも使用貸借人と面識すらないとなれば、無償で土地や建物を貸し続けたくないと思うのも当然です。

不動産は所有しているだけで固定資産税が発生するので、使用貸借人が賃貸人に何も支払わないのであれば負の遺産になってしまいます。

使用貸借人に撤去を要求してスムーズに応じてくれれば問題ありませんが、なかなか応じてくれなければトラブルに発展したり裁判沙汰になったりするリスクもあります。

「使用貸借関係を手放したい!」とお考えであれば、専門の不動産買取業者に土地や建物を売却してしまうのも1つの方法です。

専門の不動産買取業者は、占拠された土地や建物もそのままの状態で積極的に買い取ってくれるからです。

弊社Albalink(アルバリンク)も、使用貸借関係が結ばれた不動産、占拠された不動産に特化した専門の買取業者です。
使用貸借人との交渉や裁判など、売主様(貸主様)が費用や労力を割く必要は一切ありませんので、肩の力を抜いてご相談ください。

もちろん、「まずは話だけ聞いてみたい」「査定金額だけ知りたい」という方のお問い合わせも大歓迎です。

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使用貸借の土地の相続に関するよくある質問

親の土地の使用貸借が相続でトラブルになる可能性はありますか?
土地の使用貸借でもっとも多いのは、親の土地を子どもに無償で貸すケースです。 親が亡くなった後に、使用貸借をしている子ども・土地を相続する子どもが異なる場合に、トラブルに発展しやすい傾向にあります。 親が存命中に、相続財産の分け方・使用貸借の行方について話し合い、書面に残しておくとトラブル回避につながります。
監修者
株式会社AlbaLink代表取締役の河田憲二です。同社は地方の空き家などの売れにくい不動産に特化して買取再販を行う不動産業者です。同社が運営しているサービスサイトである「訳あり物件買取ナビ」の運営者も務めています。同社は東京証券取引所東京プロマーケット市場にも上場している不動産会社です。

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