空き家を解体する3つのメリット
行政措置の対象にさせないための1つの方法として、「空き家の解体」が挙げられます。
ただ、冒頭でもお伝えしたとおり、空き家の解体には費用面のリスクもあるため、メリット・デメリットを把握した上での慎重な判断が必要です。
まずは、空き家を解体する以下3つのメリットについて解説します。
- 罰則を回避できる
- 空き家の老朽化による近隣からのクレームを防げる
- 更地にすると土地活用の幅が広がる
罰則を回避できる
土地を所有したいけど建物の適切な管理を続けるのが困難なのであれば、空き家を解体してしまうことで所有者は罰則を回避できます。
そもそも日本には「空き家対策特別措置法」という法律があり、管理が行き届いていない空き家(特定空き家)の所有者には罰則が課せられます。
参照元:空き家対策特別措置法
保安・衛生・景観・その他の観点から、行政がこれ以上放置するのは危険だと判断した空き家
特定空き家に指定されると、所有者には以下のような罰則が課せられます。
特定空き家に指定されるリスク
- 土地に課せられる税金が6倍になる
- 国から所有者に50万円以下の罰金が課せられる
- 行政代執行(空き家の強制解体)が行われ、1,000万近い解体費用を請求される など
人の住んでいる家屋であれば、「住宅用地の特例」によって固定資産税が1/6に軽減されています。
しかし、特定空き家に指定されると、人が住むための土地とは認められなくなります。
結果として、後述する「住宅用地の特例」の適用外とされ、土地の固定資産税が6倍になってしまうのです。
空き家そのものを解体してしまえば、空き家が特定空き家に指定されることもないので、所有者はこのような罰則を回避できます。
空き家に行政代執行が行われるまでの流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
空き家の老朽化による近隣からのクレームを防げる
空き家を解体すると近隣住民からのクレームを回避しやすくなります。
老朽化した空き家は地震・台風などの自然災害の影響で、屋根が飛ばされたり、倒壊したりして近隣に被害を与える可能性が高いからです。
管理が行き届いていない空き家が近隣住民に損害を与えた場合、所有者は工作物責任により損害賠償を請求される可能性があります。
前述した、特定空き家の指定は近隣住民の苦情がきっかけで始まるケースも珍しくありません。
空き家を解体して、近隣住民の安全性を高めることで苦情が発生しにくくなり、行政からの罰則を回避しやすくなります。
なお、人が住まない家が痛みやすい理由については、以下に記事で詳しく解説しています。
更地にすると土地活用の幅が広がる
空き家を解体して更地にすると、土地活用の幅が広がります。
更地になれば、駐車場経営・貸地・太陽光発電など、居住用物件以外の新しい活用方法が見出せるからです。
また売却する際も、更地は買主にとって費用面などのメリットがあるため、空き家を残したままの土地より売れやすくなる傾向があります。
ただし、売却前提の解体は後述する費用面のデメリットもあるため、実行前に「確実に費用を回収できるか」の見極めが重要です。
更地にするメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
空き家を解体する4つのデメリット
土地のみを所有し続けたいのであれば、建物を解体することで罰則を回避できますが、デメリットについても念頭に置いておかなければなりません。
空き家を解体するデメリットは以下の4つです。
- 減税特例から除外されて固定資産税が増額する
- 数百万の高額な解体費用がかかる
- 土地の管理責任からは逃れられない
- 解体後に建物を建てられなくなるおそれがある
解体後に後悔しないためにも、デメリットを理解した上で空き家の解体を検討しましょう。
減税特例から除外されて固定資産税が増額する
前述の通り、人が住むための土地には住宅用地の特例が設けられており、固定資産税が1/6に減税されています。
ところが、建物が建っていない土地は住宅用地として認められません。
結果として、特例の対象外となり、土地の固定資産税が6倍になってしまいます。
特例空き家の指定による増税を避けるために解体したとしても、6倍になってしまうことは変わらないので本末転倒です。
なお、空き家の固定資産税が最大6倍になる理由については、以下の記事で詳しく解説しています。
数百万の高額な解体費用がかかる
建物の構造別の解体費用の相場は以下の通りです。
構造 | 1坪あたりの解体費用 | 30坪(日本の空き家の平均面積)あたりの解体費用 |
---|---|---|
木造建築 | 4万円 | 120万 |
鉄骨造 | 6万円 | 180万 |
鉄筋コンクリート造 | 7万円 | 210万 |
参照元:NPO法人 空家・空地管理センター|解体費用について
解体費用に加え、前述した増税の負担も合わされば、所有者のお財布事情は非常に苦しくなってしまうでしょう。
なお「空き家の解体費用を安く抑えるポイント4つ」を記事後半でご紹介しているので、もし解体するのであれば参考にしてください。
土地の管理責任からは逃れられない
空き家を解体して建物の管理責任から解放されたとしても、土地の管理責任からは逃れられません。
土地の管理とは、例えば夏場の草むしりや、害虫が湧いた際の害虫駆除等です。
ちなみに草むしりを業者に依頼すると10平米あたり5,000円前後の費用がかかります。
毎夏、雑草が生い茂るたびに費用を負担しなければならないのは、非常にもったいないと感じるはずです。
また、土地に粗大ごみを不法投棄されたら、土地の所有者自らごみを撤去しなければなりません。
参照元:廃棄物処理法第5条
粗大ごみの回収を業者に依頼するとおよそ数千円の費用がかかってしまいます。
また、不法投棄は一度だけでなくこの先何度もされてしまうおそれもあります。
ですから、粗大ごみの回収費用は際限なくどこまでも膨大になってしまうかもしれません。
空き家を解体したことで建物の管理責任から逃れたとしても、土地を所有し続ける限り永遠に土地の管理責任を負い続けなければなりません。
解体後に建物を建てられなくなるおそれがある
空き家を解体してしまうと、その土地に新たな建物を建てられないおそれがあります。
というのも、建築基準法には「建物を建てる土地は、建築基準法上の道路に2m以上接していなければならない」と定められています。
建築基準法上の道路に2m以上接していない土地は、解体後に新たな建物を建てられません。
こうした土地を再建築不可物件といいます。
居住用の土地として活用できないのはもちろん、家が建てられないので「住宅用地の特例」の適用外となり、土地の固定資産税が6倍になってしまいます。
ちなみに、再建築不可の土地を再建築可能にする裏ワザは以下の記事で解説しているので、気になる方は参考にしてください。
解体費用が高くなる5つのケース
空き家の解体費用は、諸条件によって高額になります。
この章では、空き家の解体費用が高くなる以下5つのケースについて解説します。
- 建物の構造が鉄骨造や鉄筋コンクリート
- 敷地と周辺道路が狭い
- アスベストが使用されている
- 残置物や付帯工事が多い
- 地中埋設物の撤去が必要
なお、空き家の解体にかかる費用については、以下の記事でも詳しく解説しています。
建物の構造が鉄骨造や鉄筋コンクリート
前述したように、解体費用は建物の構造によって坪単価が変わり、「木造→鉄骨造→鉄筋コンクリート」の順で費用が高くなるのが一般的です。
木造に比べて鉄骨造・鉄筋コンクリートのほうが造りが強固になっており、解体に伴って作業時間・廃材も増えるためです。
なお、2階建てと平屋の場合、平屋のほうが瓦とコンクリートの面積が広く、撤去作業が高くなる傾向にあります。
敷地と周辺道路が狭い
空き家の敷地や周辺道路が狭い場合、解体工事で使用する重機が侵入できません。
敷地内に重機が入れない場合、本来は機械で壊したり運搬したりする作業を職人の手作業で行うため、人件費が高くなります。
また、周辺道路が人通り・交通量が多い場合も、ガードマンの人件費が解体費用に上乗せされるため、料金が上がります。
アスベストが使用されている
アスベストが使用されている空き家は、解体費用が高くなります。
アスベストとは、せきめん・いしわたとも呼ばれる天然の繊維状鉱物で、現在では健康被害が問題となり、2006年に全面使用禁止になっている建材です。
アスベストは性質上軽く、解体時に飛散して健康被害をもたらす可能性があるため、建物全体を覆うなど、適切な処置を施して工事を行わなければなりません。
国土交通省が公表する施工実績データによると、アスベストの除去費用は300㎡以下の面積で㎡米単価2万円〜8万5,000円が相場です。
10坪程度の範囲でも、およそ60万円〜255万円かかります。
全盛期の1970年〜1990年頃に建築された空き家は、アスベストの除去費用で解体費用が2倍程度かかる可能性が高いと言えます。
残置物や付帯工事が多い
空き家の室内に家財を残したままだと、解体前に業者が残置物の撤去を行います。
自身で家財を処分した場合は家庭ごみとして処分できますが、業者が行うと産業廃棄物の扱いとなるため、費用は割高になります。
参照元:環境省|建築物の解体時等における残置物の取扱いについて(通知)
また、カーポート・倉庫・ブロック塀など、空き家以外の解体作業である「付帯工事」が加わる場合も費用の総額は増えるので留意しましょう。
地中埋設物の撤去が必要
地中埋設物があった場合、重機で撤去した後に産業廃棄物として処分されるため、費用は高くなります。
地中埋設物とは、地中に埋まっている障害物のことです。
建築リサイクル法が施行される平成12年より以前に建築された家は、不法投棄の規制が緩かったため、工事で発生した廃棄物が地中に埋まっている可能性があります。
参照元:環境庁|建設リサイクル法の概要
地中埋設物の種類別の撤去費用相場は以下のとおりです。
地中埋設物の種類 | 撤去費用の相場 |
---|---|
コンクリートガラ | 1万2,000円/m³ |
木くず | 5,000円〜/m³ |
レンガ・瓦 | 2万2,000円〜/m³ |
タイル | 2万5,000円〜/m³ |
浄化槽撤去・井戸の埋め戻し | 10万円〜/個 |
なお、地中埋設物の撤去費用は見積もりの時点で把握できない点に注意が必要です。
空き家の解体費用を安く抑えるポイント4つ
空き家の解体には、住宅用地の特例の適用外となり税金が増額する、高額な解体費用がかかる等の大きなリスクがあります。
これらのリスクを加味したうえで空き家を解体するのであれば、以下でご紹介する4つのポイントを抑えて、解体費用を安価に済ませましょう。
一方、「空き家の解体費用や税金の増額分を負担したくない」「この先永遠に土地の管理に追われるなんて嫌だ!」という方は、空き家の解体ではなく売却をおすすめします。
空き家の売却を検討したい方は「解体不要!空き家は「そのまま売却」がベスト」からお読みください。
この章では空き家の解体費用を安く抑えるポイントを4つ解説します。
- 自治体の補助金制度を活用する
- 空き家解体専門のローンを活用する
- 繁忙期や天候が不安定な時期を避ける
- 空き家の近くにある解体業者に依頼する
自治体の補助金制度を活用する
自治体によっては空き家の解体費用の補助金を用意しています。
管轄の自治体に問い合わせて、補助金制度があるか確認しましょう。
例えば、東京都大田区では耐震性が不足する木造住宅(昭和56年5月31日以前に新築の工事に着手した木造建築物)の解体費用の助成金があります。
参照元:大田区|木造住宅の耐震診断・改修・除却の費用を助成します
ちなみに、助成額は工事費用の2/3までで、75万円が上限です。
助成金には大抵1/2や3/2等の上限があり、全額を負担してくれるわけではない点には注意しましょう。
また、助成金を受け取るには多くの条件を満たさなければならなかったり、後払い制だったりと、所有者のデメリットとなる点がいくつかあります。
助成金を受け取るための条件が多ければ審査に時間がかかりますし、後払い制であれば、一旦所有者自身が何百万もの解体費用を負担しなければなりません。
自治体の助成金制度の有無は確認するべきですが、はじめから多くの金額を助成金に頼るつもりで空き家の解体を計画するべきではないでしょう。
なお、空き家に利用できる補助金については、以下の記事で詳しく解説しています。
空き家解体専門のローンを活用する
JAバンクや各地方銀行では、空き家解体専用のローンプランが用意されています。
ローンを組むことで、高額な解体費用を一気に支払う負担が大きく軽減されます。
金融機関名 | 借入金額 | 借入期間 | 年利(目安) |
---|---|---|---|
JAバンク | 10万円〜300万円 | 5年以内 | 1.5% |
みちのく銀行 | 500万円以内 | 6ヶ月以上10年以内 | (個別相談) |
秋田銀行 | 10万円〜200万円 | 5年以内 | (個別相談) |
群馬銀行 | 10万円〜300万円 | 6ヶ月以上7年以内 | 2.1%〜3.6% |
東京ベイ信用金庫 | 1万円〜500万円 | 3ヶ月以上20年以内 | 2.275%〜3.775% |
中国銀行 | 10万円〜500万円 | 6ヶ月以上10年以内 | 2.875% |
十六銀行 | 10万円〜500万円 | 6ヶ月以上10年以内 | (個別相談) |
四国銀行 | 5万円〜1,000万円 | 6ヶ月以上10年以内 | 1.9%〜2.4% |
福岡銀行 | 10万円〜300万円 | 6ヶ月以上7年以内 | 2.9% |
低金利のローンプランが多数ありますが、借金であることには変わりないので無計画に借り入れてしまわないように注意しましょう。
ローンを組むのであれば、解体後に土地の固定資産税が6倍になることも考慮のうえ、きちんと返済計画をシュミレーションする必要があります。
繁忙期や天候が不安定な時期を避ける
空き家の解体は、繁忙期(12月~1・2月頃)や天候が不安定な時期(梅雨や雪の可能性がある真冬など)を避けて解体業者に依頼しましょう。
解体業者は繁忙期である12月~1・2月に、解体費用を高額に設定していることがあるからです。
また、雨や雪で作業が難航すれば、その分の人件費や日数分の費用を上乗せされてしまうかもしれません。
業者に解体を依頼する際は、繁忙期や天候が不安定な時期は避け、解体費用を安価に抑えましょう。
空き家の近くにある解体業者に依頼する
空き家の近くにある解体業者に依頼すれば、解体費用が安価に抑えられる可能性があります。
解体費用には、職人・作業員の労働時間分の給与や交通費が含まれており、近くの解体業者に依頼すればこれらの費用を抑えることができるからです。
トラブル回避!信頼できる解体業者を選ぶためのポイント2点
信頼できる解体業者を選ぶポイントを2点ご紹介します。
- 解体業の登録・許可を得ているか確認する
- 必ず複数の解体業者に見積もりを依頼する
残念ながら解体業者の中には、解体後に不当に高額な費用を請求してくる等、悪徳な業者も多く存在します。
以下2点のポイントを抑えて、信頼できる解体業者を選びましょう。
解体業の登録・許可を得ているか確認する
業者が解体工事を行うには、建設業許可証、もしくは解体工事業の登録が必須です。
建設業許可証もないうえ、解体工事業の登録もしていない業者による解体工事は違法になるので、当然依頼するべきではありません。
ちなみに、建設業許可証は具体的に、「建築工事業」「土木工事業」「とび・土工工事業」「解体工事業」の4つに分けられます。4つの許可書のいずれも持っていないとしても解体工事事業の登録は可能です。
ただし、許可証がない業者は、工事金額が500万円未満の工事しか請け負うことができないので、大規模な解体工事であれば許可証がある業者に依頼しましょう。
許可証を持っているか否かは各業者のHPで確認できます。
また、解体工事事業に登録している業者の一覧は、各自治体(都道府県)のHPから確認できます。
ちなみに東京都の解体工事業者登録一覧は、以下から確認できるので、東京都の空き家を解体したい方は参考にしてください。
参照元:東京都市整備局|建設リサイクル法:解体工事業者登録について
必ず複数の解体業者に見積もりを依頼する
複数の解体業者に見積もりを依頼して、解体費用を比較しましょう。
注意していただきたいのは、1番安い見積もりを出してくれた業者に安易に依頼しないことです。
というのも、解体費用を企業努力で安くしているなら問題ありませんが、中には不法な手段(瓦礫の処分方法が違法である等)で費用を安くしている買取業者もあるからです。
また、解体工事終了後に何かと理由をつけて、見積もりよりはるかに高額な金額を請求してくる悪質な解体業者もいます。
他社より安価な見積もりを提示されたら、金額の根拠や金額に含まれている項目を明確にしてもらいましょう。
見積額について納得できる説明をしてくれない業者には、依頼するべきではありません。
空き家の解体に必要な手続きの流れ
空き家の解体工事に必要な手続きの流れを、順を追って説明します。
なお、工事の手続きに手間や時間を割かずに空き家を手放したいのであれば、そのままの状態で不動産買取業者に相談しましょう。
詳しくは後述しますが、多くの買取業者は老朽化した建物もそのまま買い取ってくれます。
ちなみに弊社AlbaLink(アルバリンク)も、老朽化した空き家等の不動産の買取実績が多々あります。
空き家の売却をご検討中でしたら、そのままの状態で、お気軽にご相談ください。
>>【空き家をそのままの状態で高額売却!】無料の買取査定を依頼する
解体業者と工事請負契約を結ぶ
「トラブル回避!信頼できる買取業者を選ぶためのポイント2点」で解説した点を抑えて依頼する買取業者を決めたら「工事請負契約」を結びましょう。
工事請負契約の際には、契約書を交わさなければならないと建設業法19条にて定められています。
参照元:建設業法19条
契約書は解体業者が作成してくれるのが一般的です。契約書をよく読んで、不明点があれば担当者に直接質問するようにしましょう。
役所に解体工事の説明を行う
床面積80㎡以上(約24坪)の空き家を解体するのであれば、工事着工の7日前までに、役所に「解体工事届出」の手続きをしなければなりません。
平成14年から施行された通称「建設リサイクル法」にて、解体の発注者から各都道府県知事へ、解体の契約等を届け出ることが義務付けられたからです。
参照元:建設リサイクル法
手続きに必要な書類は以下の通りです。
「解体工事届出」の必要書類
- 届出書
- 分解解体等の計画
- 案内図
- 設計図または写真
- 工程表
- 委任状(業者に委任する場合)
ちなみに、前述したアスベストが使用されている空き家であれば、工事着工の14日前までに「特定粉じん排出等作業の実施の届出」を行わなければなりません。
アスベストが使用されている空き家の解体を請け負った業者は、各自治体の条例に則り、粉じんを飛散させないように作業場を隔離する等、適切な方法で解体工事を行う必要があります。
管轄の警察署に道路使用・占用許可を申請する
空き家を解体する際に一時的に車両を停める等で道路を使用するのであれば、管轄の警察署に「道路使用許可」を申請しなければなりません。
なお、足場を組む、長期的に車両を停める等、継続的に道路を占有するのであれば、道路申請許可を申請する必要があります。
基本的に、解体を請け負った業者が管轄の警察署に必要書類を提出して申請しますが、土地所有者が申請することもできます。
申請に必要な書類は以下の通りです。
「道路使用・占用」の必要書類
- 道路許可申請書(2通)
- 道路使用の場所、方法等を明らかにした図面
- 道路使用の方法や形態等を補足するための書類(公安委員会が必要と認めた場合)
ライフラインを停止する
解体する空き家の電気やガス等のライフライン、また、インターネット回線やケーブルテレビを停止しましょう。
水道は解体業者が取り壊しの際に使う可能性があるので、事前に解体業者に確認してください。
停止の手続きにかかる期間はそれぞれ異なりますが、例えば電気業者であれば、およそ2週間かかります。
取り壊し前のアンペアブレーカーやメーター、引き込み線の撤去等も行うからです。
工事着工に間に合うように、早めに申請手続きを行いましょう。
近隣に解体工事の説明を行う
着工の1週間~10日前までに、近隣住民へ解体工事をする旨を伝えましょう。
解体工事の際は騒音や振動が発生するので、近隣住民が解体工事を知らされていなければクレームに繋がり、トラブルに発展するおそれがあるからです(近隣住民への工事の説明を義務化している自治体もあります)。
工事を請け負った買取業者が近隣住民の家を訪問して説明するケースが多いですが、可能であれば土地の所有者も同行し、挨拶をしておくのが望ましいでしょう。
建物内・敷地内の家具や家電、私物を撤去する
建物内や敷地内の家具や家電、私物を解体前に撤去しましょう。
なお、家具や私物の処理を専門の業者に依頼すると、1m³あたり約1~3万円の費用がかかります。
また、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機等の処分は「家電リサイクル法」に基づいて行わなければなりません。
参照元:家電リサイクル法
リサイクルショップで買取依頼をしたり、不用品回収を依頼したりして、適切に処分するようにしましょう。
解体後、建物滅失登記申請をおこなう
空き家解体の1カ月後以内に「建物滅失登記」を、管轄の法務局に届け出る必要があります。
「建物滅失登記」は不動産登記法第57条にて義務化されています。
怠ると、10万円以下の罰金が課されるほか、誤って建物の固定資産税が課税され続けたり、土地の売却や新築の許可が下りなかったりするおそれもあるので忘れずに行いましょう。
「建物滅失登記」の届出に必要な書類は以下の通りです。
「建物滅失登記」の届出に必要な書類
- 滅失登記申請書
- 請負業者が作成する建物滅失証明書
- 請負業者証明書と業者の印鑑証明
- 取り壊した家の登記簿や図面
建物滅失登記の手続きは所有者自身が行うこともできますが、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。
土地家屋調査士への依頼費用は、およそ3~5万円です。
なお、滅失登記の概要については、以下の記事で詳しく解説しています。
解体不要!空き家は「そのまま売却」がベスト
「空き家の解体費用を安く抑えるポイント4つ」で前述した通り、空き家の解体には、固定資産税の増額や高額な解体費用、土地の管理責任など、多くのリスクがあります。
ですから、老朽化した空き家や管理できない空き家は、解体ではなく売却して手放してしまうのがベストです。
以下では、空き家の売却方法を解説します。
住居として需要が見込める空き家は仲介業者へ
個人の住居として需要が見込める空き家は、不動産仲介業者に売却活動を依頼しましょう。
不動産所有者から売却の依頼を受けたら、一般の個人に向けて物件情報を公開し、買主を探す
仲介業者は、マイホームを探している一般の個人に向けて売却活動を行います。
そのため、一般の住居として需要が見込める空き家は、仲介業者に売却活動を依頼すれば売れる見込みは十分にあります。
ちなみに、住居として需要が見込める空き家の条件は以下の通りです。
- 最寄り駅まで徒歩圏内
- 市街地(商店街やスーパー等)まで徒歩圏内
- 学校や幼稚園・保育園まで徒歩圏内
- 外観から老朽化が感じられない など
専門の買取業者なら需要が低い空き家も買い取れる
個人の住居として需要が見込めない空き家は、不動産買取業者に直接売却するべきでしょう。
住居として需要が見込めない空き家とは、例えば以下のような条件の空き家を指します。
- 最寄り駅や市街地まで徒歩圏外
- 学校や幼稚園・保育園に通いにくい
- 築年数20年以上経過している
- 外観から著しく老朽化している
- 再建築不可である など
買取業者であれば、このような空き家もほぼ確実に買取できます。
不動産所有者から買取の依頼を受けたら、買取業者自身が買主となって直接買い取る
以下では、不動産買取業者に空き家を売却する利点を解説します。
空き家をスムーズに手放せる
不動産買取業者に直接売却すれば、およそ1週間前後でスムーズに空き家を手放せます。
仲介業者が個人に向けて売却活動を行うのに対し、買取業者は自らが買主となって直接不動産を買い取るからです。
個人の買主が現れるのを待つ必要はありません。
ちなみに、仲介業者に依頼して空き家を売却するとなると、需要のある物件であっても、およそ3カ月~半年の期間がかかってしまいます。
参照元:公益財団法人東日本不動産流通機構|首都圏不動産流通市場の動向(2022年)
できるだけ早く空き家を手放したければ、専門の買取業者に依頼して買い取ってもらうことをおすすめします。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)は、日本全国どんな空き家もスピーディーに買取可能です。
スピーディーに空き家を手放したい方は、ぜひ弊社にご相談ください。
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売却経費がかからない
買取業者に直接空き家を売却するのであれば、売主が売却経費を負担する必要はありません。
売却経費とは、例えば、仲介業者に売却活動を依頼する場合の仲介手数料や空き家内の家具や家電・私物の処分費用です。
買取業者は売主からの直接買取であって、仲介業務ではないので当然に仲介手数料はかかりません。
また、家具や私物の処分も買取業者が買取後に行うので売主が費用を負担する必要はありません。
何年も放置された空き家でも、たとえゴミ屋敷の空き家でも、そのままの状態で買取業者に相談しましょう。
売主の契約不適合責任一切免除
不動産の売主には契約不適合責任が課せられるのが一般的です。
引き渡し後の不動産に契約書にない不具合があった場合、売主が負わなければならない責任。
老朽化した空き家や管理が行き届いてない空き家には、思いがけない欠陥(シロアリや雨漏り等)が隠れていることが大半です。
もし空き家引き渡し後に欠陥が見つかったら、売主は買主からの損害賠償や契約解除の請求に応じなければなりません。
しかし、買取業者に直接売却するのであれば、大抵の場合、特約によって契約不適合責任が一切免除されます。
買取業者は全ての欠陥を見抜いたうえで物件を買い取るからです。
ですので、どんな欠陥があるかわからない空き家であっても、買取業者に依頼すれば安心して売却できます。
もちろん、弊社AlbaLink(アルバリンク)も、売主の契約不適合責任を一切免除したうえで空き家を買い取ります。
どんな空き家も安心してお任せください。
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なお、契約不適合責任については、以下の記事で詳しく解説しています。
「空き家特例」で空き家売却後の税金を安く抑えれられる
空き家に限らず、不動産を売却して利益(譲渡所得)が出たら、譲渡所得税が課せられます。
売却する空き家が相続によって取得したものであれば、相続空き家の3,000万控除が適用され、譲渡所得税が大幅に減税、もしくはゼロになります。
参照元:国税庁HP「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
ただし、控除を受けるには「相続開始日から3年が経過する年の12月31日まで」に売却しなければなりません。その他にも適用には様々な条件があります。
条件の詳細などは以下の記事で解説しているので、必要であれば参考にしてください。
まとめ
空き家解体のリスクや費用を抑える方法、手続きの流れを解説しました。
記事内でご説明したとおり、空き家の解体には、高額な解体費用の他にも固定資産税の増額や土地の管理責任など、多くのリスクがあります。
すべてのリスクから後腐れなく解放されたいのであれば、解体ではなく売却するべきでしょう。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、日本全国どんな空き家もスピーディーに買い取っております。
売却をご検討の方は、空き家を解体せずにそのままの状態で弊社にご相談ください。
空き家の管理や固定資産税など、現在所有者様が抱えている負担を、我々が少しでも軽くするお手伝いができたら嬉しく思います。