底地は早めに整理するべき
底地は、相続が発生してしまう前に早めに整理するべきです。
この章では、底地整理の概要と底地を所有し続ける(相続する)リスクを簡単に解説します。
底地整理とは地主と借地人の権利関係を解消すること
底地整理とは、地主と借地人の法的な権利関係を解消することです。
ご存知かと思いますが、地主の「底地権」と借地人の「借地権」は表裏一体です。
参照元:e-Gov法令検索|借地借家法第2条第1項
地主は、土地の所有権が自身にあっても、借地が設定された土地を自由に活用することはできません。
一方、借地人は、地主に地代を支払う代わりに土地に建物を建てる等して活用できますが、建て替えや売却の際は地主に承諾を得なければなりません。
底地整理では、このような密接な地主と借地人の権利関係を解消します。
方法としては、地主が借地権を買い取ったり借地人が底地を買い取ったり、もしくは、地主と借地人で協力して第三者に土地を売却したり等が挙げられます(底地整理の方法は「底地を整理する方法」で1つずつ解説します)。
底地整理をすれば以下でご説明するリスクを回避できるのが大きなメリットです。
底地を放置するリスク
底地整理を行わずに底地を所有し続けると、いずれは相続が発生します。
現状は地主と借地人の関係が良好だとしても、相続が発生して二者の関係が希薄になれば、以下のようなリスクが発生します。
底地を相続するリスク
- 地代の設定や契約の更新でトラブルになり、裁判沙汰になる
- 希望通りの地代を設定できず、固定資産税と相殺して赤字になる
- 土地の完全な所有権が欲しくても、借地人と契約解除ができない
地主(底地を相続した者)には土地の固定資産税の支払い義務があります。
もし3年に一度の評価額の見直しにより将来固定資産税が増額したら地代も値上げしなければ、地主の利益が少なく、もしくは赤字になってしまいかねません。
参照元:総務省|固定資産税の令和3年度評価替えへの対応
にもかかわらず、地主と借地人の関係が希薄であれば、借地人が地代の値上げに応じてくれないおそれがあります。
また、借地権にはいくつかの種類があり、その中でも「普通借地権」は地主からの契約解除が極めて難しいのがデメリットです。
原則として更新ができる借地権。契約期間は最低30年。
参照元:e-Gov法令検索|借地借家法第3条
前述のように、地代と税金の収支が見合わなくなり、土地の完全な所有権を取り返したいと思っても、地主から借地人に契約解除を言い渡すことは原則としてできません。
参照元:e-Gov法令検索|借地借家法第6条
もし普通借地権でないとしても、地主から借地人に一方的に退去を命じることは簡単ではありません。
底地の相続人は、全く利益にならない底地と、借地人との厄介な権利関係を、数十年に渡り手放せなくなってしまう危険があります。
なお、1992年に現在の「借地借家法」が施行される以前に旧借地権で賃貸借契約を交わしている際に起こり得るトラブル事例を下記記事にまとめました。併せて参考にしてください。
底地を整理する方法
底地の権利関係を整理する方法を5つご紹介します。
底地整理は、基本的に借地人との交渉が必須です。ですので、借地人との関係が良好なうちに底地整理を行いましょう。
なお、既に借地人と疎遠であったり関係が悪化していたりする場合は、底地のみを第三者に売却するしかありません(詳しくは「底地のみを第三者に売却する」で解説しているので、参考にしてください)。
では、5つの方法を1つずつ解説します。
底地を借地人に売却する
底地を借地人に売却して土地の完全な所有権を譲ってしまえば、権利関係を解消できます。
これは、一般的に底地を最も高額で売却できる方法です。売却金額については後述しますが、更地価格のおよそ50%で売却できます。
第三者は底地のみを購入しても土地を自由に活用することはできませんが、借地人が底地を購入すれば土地を完全に自身のものにできるからです。
ただし、借地人に底地を買い取る意向や買い取れるだけの経済力がなければ、当然ながら底地を売却することはできません。
なお、底地価格の計算方法について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
借地人から借地権を買い取る
借地人から借地権を買い取れば、権利関係を解消できるうえ、地主は土地の完全な所有権を取り戻せます。
借地人も借地権の売却代金が手に入るメリットがあるので、借地契約の解除より借地権の買取の方が交渉しやすいでしょう。
ちなみに、借地権の買取金額は路線価図に載っている借地権割合に基づいて計算します。
参照元:路線価図
例えば、更地価格3,000万円の土地の借地権割合が6割であれば、1,800万円(3,000万円×60%)で借地権を買い戻せます。
ただし、借地人の売却の意向はもちろん、あなた(地主)に借地権を買い取れる十分な経済力がなければ、この手段は有効ではありません。
「もともと自分の土地だし、なるべく安価に土地の権利を買い戻したい」と思うかも知れませんが、あまり価格交渉しすぎると借地人に買取を拒否され、関係が悪化するおそれもあります。
底地と借地権を同時に売却する
借地権を買い取った後に土地を売却するつもりなのであれば、借地人に同時売却を提案するのも1つの方法です。
同時売却とは、簡単に言えば底地と借地のセット販売です。
購入者は土地の完全な所有権を取得できるので、通常の土地と変わらない金額で売却できます。
ただし、借地人にも売却の意思がなければ、同時売却は実現できません。
同時売却の詳細は、以下の記事を参考にしてください。
底地権と借地権を等価交換する
1つの土地を2つに分筆して底地権と借地権を等価交換し、地主と借地人、それぞれの完全所有権にすれば権利関係が解消されます。
それぞれが所有する土地は狭くなるものの、両者ともに完全所有権の土地が手に入るので、宅地の活用も売却も自由にできるようになります。
ただし、等価交換には借地人の合意が必要です。
また、建物が建っている部分の土地は物理的に分筆できません。ですから、ある程度土地に広さがあるケースでなければ等価交換は難しいでしょう。
なお、底地と借地を等価交換するメリットやデメリットは、以下の記事でも詳しく解説しています。
底地のみを第三者に売却する
上記で紹介した4つの方法は、いずれも借地人と交渉し、合意を得る必要がありました。
一方で「第三者に底地のみを売却する」方法であれば、借地人と一切顔を合わせることなく権利関係を解消できます。
底地のみであれば、地主の意思で自由に売却することができます。
ただし、底地のみを売り出したところで一般の個人の買主は現れません。
前提として個人の買主の多くは居住用の土地を探していますが、底地のみを購入したところで土地を自由に活用することはできないからです。
底地のみを手放すのであれば、底地に特化した専門の買取業者に直接売却しましょう。
専門の買取業者であれば、底地のみも1週間前後でスムーズに買い取ってくれます。
買い取れる秘訣をひとことで言うと、買取業者は借地人と円滑に交渉するスキルを持ち合わせている不動産の専門家だからです。
専門の買取業者は、不動産売買の豊富な知識と経験を活かして、借地人に円滑に交渉を行い、借地権を買い取ったり同時売却したりできます。結果として、土地を運用&収益化することが可能なのです。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)も底地・借地に特化した専門の不動産買取業者です。
無料相談・無料査定は365日受け付けているのでお気軽にご依頼ください。
>>【底地の買取実績年間100件以上】底地買取ならAlbaLink
以下では、底地に特化した不動産買取業者の選び方を解説します。
底地専門の買取業者の選び方
底地専門の不動産買取業者は、以下の手順で選びましょう。
- 底地に特化した買取業者を複数ピックアップする
- 複数社に底地の査定を依頼する
- 買取価格の交渉をする
まず、底地に特化した専門の買取業者を複数(3社以上)ピックアップしてください。
底地に特化した買取業者なら、低コストで借地人と交渉して底地を運用できるので、その分高額で底地を買い取ってくれる可能性が高まります。
底地に特化しているかは、業者のHPに底地の買取実績が載っているかで判断しましょう。
次に、ピックアップした複数社に底地の査定を依頼します。業者によって査定金額は異なるので、複数社に依頼して比較対象を持ちましょう。
査定を依頼した際に注意していただきたいのは、査定金額だけでなく担当者の対応も客観的に比較することです。担当者の対応を無視して、高額な査定金額に真っ先に飛びつくのは非常に危険と言えます。
というのも、契約直前で買取金額を下げてくるなど、悪質な買取業者が存在するのも残念だから事実だからです。
最善なのは、1番信頼できる担当者に、1番高額な査定金額を提示して買取価格の交渉をする方法です。
「X社で1番高額な査定金額をもらったんだけど、A社のあなたの方が信頼できるからあなたと契約したい」と言えば、A社の担当者も悪い気はしません。
X社の高額な査定金額に近づくよう、できる限りの努力をしてくれるはずです。
なお、以下の記事では底地の優良買取業者を25社ご紹介しています。底地を専門の買取業者へ買い取ってもらいたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
底地の売却金額は買主次第
底地の売却金額は、買主によって変動します。
借地人に売却する場合は「更地価格の50%程度」
底地を最も高額で売却できる相手は借地人です。売却金額は更地価格の50%程度となります。
借地人は、既に所有している借地権と購入した底地を合わせて、土地の完全な所有権を得ることができるからです。
借地人との関係性に問題がなく、買取交渉ができるのであれば、まずは借地人に底地買取の話を持ち掛けることを検討してみましょう。
第三者に売却する際は「更地価格の10%程度」
借地人に底地を売却するのが困難なのであれば、第三者に売却するしかありません。売却金額は更地価格の10~15%となります。
前述の通り、買取業者は底地買取後に借地人と条件面の交渉をし、事業として土地の運用を目指します。
交渉の手間やトラブルのリスクを考慮すると、買取金額は更地価格の10~15%程度になってしまうのです。
しかし、買取業者に底地を売却すれば、地主は借地人との権利関係から確実に解放されるうえ、底地を相続するリスクもなくなります。
「借地人に底地買取の交渉をしたが断られた」「借地人との関係が悪く、とても交渉なんてできない」
このような方は、ぜひ弊社にご相談ください。
>>【底地の買取相談はこちら】権利関係を手放し底地を現金化する
まとめ
底地整理の方法を5つ解説しました。
底地整理は、原則として借地人と交渉して同意を得る必要があります。
借地人との交渉や合意が不要な唯一の方法は「底地のみを専門の買取業者に売却する」です。
「借地人と仲違いしていて交渉できない」そんな方は、ぜひ弊社AlbaLinkにご相談ください。
底地の豊富な買取実績を活かし、スムーズに底地を買い取り、現金化いたします。
我々が、お客様の底地売却のお手伝いができれば幸いです。