建築当初はキレイな家でも、徐々に老朽化していきます。
具体的には、外側は紫外線や風雨によって経年劣化し、内側は使用によって劣化していきます。
では老朽化がとくに気になる場所としては、どこがあるのでしょうか。
今回は家の老朽化が気になっている435人を対象にアンケートを実施。
「家の老朽化が気になる場所」「老朽化している家への対策」などを調査しました。
- 調査対象:家の老朽化が気になっている方
- 調査期間:2024年8月31日~9月14日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:435人(女性265人/男性170人)
- 回答者の年代:10代 0.5%/20代 13.6%/30代 31.5%/40代 28.0%/50代 17.7%/60代以上 8.7%
家の老朽化が気になっているのは「床」
家の老朽化が気になっている場所のダントツは「床(157人)」でした。
2位「外壁(93人)」、3位「室内の壁(75人)」、4位「ドア・建具(52人)」が続きます。
全体的には「家の中」を挙げた人が多くなりました。
「外壁から侵入した水により、室内の壁が劣化している」というコメントもあり、外壁や屋根のダメージが室内に影響していることも伺えます。
1位 床
- 和室の畳が沈んでしまっている(20代 女性)
- フローリングの剥がれやきしみがある(40代 女性)
- リビング窓際のフローリング表面が、変色して傷んでいる(60代以上 男性)
1位は「床」でした。
「床にへこみがあり、歩くときしむ」「床材の剥がれや変色が気になる」などの回答が寄せられました。
フローリングが気になるという人が多かったものの、和室の畳が傷んでいるという声もありました。
床が抜けるかもしれないというコメントもあり、かなり状態が悪い家で暮らしている人もいるとわかります。
きしむ床にピアノやタンスなど重い家具を置いており、心配している人もいました。
2位 外壁
- 外壁の天然木が色褪せて、カビのようなものが生えている(30代 女性)
- 外壁にヒビが入っていて全体的にシミになっているし、結露で部屋の壁も腐ってきている(40代 女性)
- 外壁がすっかり退色していること(60代以上 男性)
2位は「外壁」でした。
具体的には「外壁塗装の剥がれや退色・変色」や「ヒビ」「カビやコケが生えている」という回答が多くなっています。
外壁が経年劣化で傷むことにより、防水性が低下して室内の湿気や壁の不具合に繋がっている家もありました。
「外壁塗装し直したのに、また剥げてきた」という家もあれば、「20年前に買ってから一度も塗り直していないので、剥がれが気になる」という声もあります。
3位 室内の壁
- 窓下部分のクロスにヒビ・亀裂があり、気になっています(30代 女性)
- 壁紙が剥がれてきており、さらにカビも生えている(40代 女性)
- 内装のビニールクロスが汚れ、一部は剥がれてきている(60代以上 男性)
3位は「室内の壁」です。
壁紙の剥がれや変色、浮きなどについてのコメントが多数。
壁紙は紫外線で変色・退色したり、接着剤が経年劣化して剥がれてきたりします。
洗面所など湿気が多い場所の壁紙をとくに気にしている人もいました。
また土壁の家については「砂が落ちてくる」というコメントが寄せられています。
4位 ドア・建具
- リビングに入る扉の蝶番から音がしてうるさい(30代 男性)
- 建て付けが悪く、引き戸がスムーズに開閉できない(40代 女性)
- ドアの閉まりが悪かったり、障子や襖などがちゃんと閉まらず隙間が空いていたりすること(50代 男性)
「ドア・建具」が4位でした。
ドアや建具の開閉に苦労している人も多いとわかりました。
ドアがきちんと閉まらないために隙間ができると、冷暖房の効率が下がるなどのデメリットが発生します。
なお、ドアや襖が開閉しにくい原因としては「歪み・傾き」「レール部分の劣化」「蝶番のズレ」などがあります。
5位 浴室
- お風呂の老朽化が気になります。落ちないカビ、自分ではどうしようもないヌルヌルなどです(20代 女性)
- お風呂の温度調節ダイヤルがスムーズに回せなくなっている(30代 女性)
- 風呂の壁のパッキンが取れ、へこみなどから錆びてきている(40代 男性)
5位は「浴室」です。
水回りの中でもとくにお風呂を気にしている人が多いとわかりました。
具体的には「壁や床タイルの剥がれ・ヒビ」「設備の古さや故障」「掃除しても汚れが取れない」といった声が寄せられています。
タイル張りの床や壁にヒビが入ると、割れたタイルを踏んで怪我をする可能性もあり危険です。
お風呂が古いので寒いと言う声もあり、古さのせいで、リラックスタイムできるはずのお風呂タイムをあまり楽しめていない人もいるとわかります。
6位 天井
- 天井にヒビが入ってきている(30代 男性)
- 玄関エントランスの天井に大きな穴が開いている(30代 男性)
- 天井の板が落ちてきました(50代 女性)
6位は「天井」です。
天井が経年劣化すると、「天井クロスの剥がれや変色」「ヒビ」といった症状が出てきます。
板が落ちてきたというかなり危険な症状もあったほか、雨漏りしているという回答も複数寄せられました。
7位 屋根
- 屋根のスレートが割れたり落ちたりしている(30代 女性)
- 屋根の塗装が色落ちしている(40代 男性)
- 屋根瓦にズレが生じている(50代 女性)
7位は「屋根」でした。
「瓦がズレている」「屋根がめくれている」「退色している」などの回答が寄せられています。
瓦が飛んだり屋根材がめくれたりすることで、屋根に設置された防水シートの劣化が早まるリスクもあります。
実際、屋根の劣化が、雨漏りに繋がっている家もありました。
老朽化した場所に対しては「何もせずしばらく様子を見る」
- 修理費用が10万くらいかかるため放置(30代 女性)
- 何もしていません。小さな子どももいるので、修理をお願いするのも億劫になっています(30代 女性)
- 和室の畳が沈んでいるので、板を敷いて応急処置している(20代 女性)
- ヒビは広がっていないので放置。壁紙も浮いている程度なので放置。カビは時間のあるときに、できるだけ自身で除去(50代 男性)
- 屋根は業者に部分修理をしていただいた。傷んだ木材については、まだ何もしていません(40代 男性)
老朽化した場所への現時点での対応を聞いたところ、圧倒的1位は「何もせずしばらく様子を見る(232人)」という回答でした。
何もしていない理由は「業者への依頼が面倒」「お金がかかる」「修理するほど悪い状態ではない」などです。
「自分で修理・修繕する(86人)」「とりあえず応急処置(45人)」「掃除(16人)」と、自力で対応する人も多数。
「自分でやってみて、どうしても無理なら業者に依頼」と、まず自分たちで対処することを考える人が多いとわかります。
老朽化した家に住んでいる不安・不満の1位は「見た目が悪い」
老朽化した家に住んでいる不安・不満としてもっとも多かった回答は、「見た目が悪い(157人)」、2位は「家が壊れそうで怖い(105人)」でした。
3位「使い勝手が悪い(35人)」、4位「お金・手間がかかる(33人)」、5位「老朽化がますます進むこと(32人)」が続きます。
回答は「将来的にどうなるのかという不安」と、「今起こっている不便さについての不満」に分けられます。
家には、自分や家族の安全を預けています。
そのため実際に不便なことが起こっていなくても、日常的に「家が壊れるのではないか」といった不安を感じることは、大きなストレスになるでしょう。
1位 見た目が悪い
- 清潔感がなく、ちゃんと掃除しているのに汚く見える(30代 女性)
- 水回りの老朽化は見た目が悪く、人を呼ぶのに抵抗が出てきた(50代 女性)
- 見た目があまり良くない。屋根を見てよく営業が来る(60代以上 男性)
1位は「見た目が悪い」でした。
内外の見た目が悪いせいで、「やるせない気持ちになる」「テンションが下がる」など、嫌な思いをしている人が多数。
キチンと掃除や手入れをしているのにキレイな見た目にならないと、がっかりしてしまいますよね。
また「家に人を呼ぶのが恥ずかしい」「近所からの印象が悪い」など、周囲の目を気にしている人も多くなっています。
2位 家が壊れそうで怖い
- 床の場合、突然抜け落ちたりしないかという不安はあります。地震などの災害に持ちこたえられるかという心配もあります(30代 男性)
- 突然壁が崩れないか不安(40代 男性)
- 新基準の耐震性がない古い家なので、大きな地震が怖いです(60代以上 男性)
2位は「家が壊れそうで怖い」でした。
台風や水害、地震などの災害で家が壊れてしまわないか、不安を感じている人が多数。
とくに「地震が怖い」という回答が目立ちました。
地震が怖い理由は「築年数が古く、新しい耐震基準に対応していない」「見えない部分もボロボロだと思うから」など。
「部屋の中で飛んだだけでも、家が揺れる」「筋トレするときに床が抜けそう」という声もあり、普段から家が壊れることを心配して生活している人も多いとわかりました。
3位 使い勝手が悪い
- ドアを閉めてもちゃんと閉まらないことがあり、ひと手間かかってしまう(40代 男性)
- ベランダの床が古くてきしむので、自由に動き回れなくて家事の効率が悪くなっていると思います(50代 女性)
「使い勝手が悪い」が3位でした。
床がきしむ場所を避けて家事をしたり、不具合が出てきた設備を使っていたりして、効率が悪いと感じている人も多くなっています。
「ひとつひとつは些細なことだから我慢しているが、不満は溜まる」といったコメントも。
毎日生活する家だからこそ、些細な使いにくさでもストレスになっていることがわかります。
4位 お金・手間がかかる
- いろいろガタガタだから費用がすごい(30代 男性)
- いろいろ不具合が出てきているので、修理費がかさむ(40代 女性)
- ぱっと見た感じではわからないのですが、あちこちと床材が外れてきて修理が面倒です(50代 女性)
4位は「お金・手間がかかる」です。
老朽化が進むと不具合を抱える設備や場所も多くなるため、メンテナンス・掃除の手間やかかる費用が増えてしまいます。
また今はあまりお金がかかっていなくても、賃貸物件の退去時や将来的な修繕のタイミングで、高額の必要がかかるのではと不安に思っている人も多くなっています。
5位 老朽化がますます進むこと
- 今後どんどん劣化していくと思うと、憂鬱になります(30代 男性)
- 今は一箇所の雨漏りで済んでいるが、「今後雨漏りの箇所が増えないか?雨漏りの程度がひどくならないか?」と不安(50代 男性)
- 「床がもっと下がってきたらどうなるかな」という不安があります(60代以上 女性)
5位は「老朽化がますます進むこと」です。
小さなヒビやきしみから、不具合がどんどん広がっていくのではないかと不安に感じている人も多数。
経年劣化は避けられないと覚悟しているものの、不具合が増えていくであろうことにうんざりしている人も。
できるだけ劣化を遅らせようと気を遣い、疲れている人もいました。
6位 雨漏りが心配
- 雨が降ったときに、家に染み込むのではないかとヒヤヒヤしている(50代 男性)
- 雨漏りが心配で、夜も眠れない(60代以上 女性)
6位は「雨漏りが心配」です。
すでに起こっている雨漏りが広がらないか心配している人もいれば、今後雨漏りが発生しそうで不安に感じている人もいました。
雨漏りの心配をしている理由としては、「外壁の劣化が目立つから」などがあります。
またすでに起こっている雨漏りに関して、「漏電や木材の劣化に繋がりそう」「カビなどの健康被害に繋がりそう」という声もありました。
7位 断熱性能が悪い
- 隙間風が入ってきて冬場は寒い(30代 女性)
- 春と秋はいいのですが、夏は暑すぎ、冬は寒すぎます。夏のリビングの暑さと、冬の浴室・脱衣所・寝室の寒さが辛いです(40代 男性)
- 築40年以上なので断熱材も壁に入っていない状態で、寒い(50代 女性)
7位は「断熱性能が悪い」でした。
建て付けが悪くなってすきまができると、隙間風が入ってくるなどして冷暖房の効率が下がります。
古い家だと断熱材の性能が今より悪いことも多いでしょう。
そのため、電気代がかかるという声もありました。
とくに冬の寒さを挙げた人が多くなっています。
老朽化が進む家への今後の対策は「リフォーム・リノベーションする」
- 一度大掛かりなリフォームをすることも検討中です(30代 女性)
- DIYで老朽化した部分の修理をしたいです(40代 女性)
- 必要なところのみ修理など検討します(60代以上 男性)
- あと10年程度は細かい修理をしながら居住を考えている。10年後には生活スタイルに合わせて引っ越しを検討している(30代 男性)
- 今は壊れたところや気になるところを直して暮らしているが、将来的には建て替えをしようと思っている(20代 女性)
最後に、老朽化が進む家への今後の対策を聞きました。
その結果、「リフォーム・リノベーションする(166人)」「修繕・修理で済ませる(120人)」という人が多くなっています。
ただしリフォームや建て替えを希望しながらも、費用や年齢の面で「難しいかも」と消極的に考えている人も複数いました。
なお住み替えについては、賃貸に住んでいる人からだけではなく、持ち家に住んでいる人からも票が入りました。
古い家だとリフォーム・リノベーションでは対応しきれないことも多いようで、「部分修理だけだと次々不具合が出てくる」「築90年なので、いっそのこと建て替えたほうがいい」というコメントもあります。
リフォームや建て替えなど大規模な対応を考えている人からは、時期について「親が建てた家なので、代替わりしたら」などの回答が寄せられました。
まとめ
家の老朽化を感じる場所としては、床などの室内が多くなりました。
老朽化を感じつつも現時点で積極的に対応している人は少なく、費用面の問題などからとりあえず様子を見る人が多くなっています。
「将来的にはリフォームしたいが、費用がないので無理かも」という声も。
ただ老朽化を放置すると、大きな不具合や健康被害・ケガに繋がることも考えられます。
不具合が広がらないうちに、適切なメンテナンスをすることが大切です。