空き家を相続して、扱いに迷う人は多くいます。
売却を決断できない人もいますし、売りたくても具体的には動き出せないケースも。
では実際に空き家売却した経験がある人は、どのような点で迷い、何をきっかけに売却を決断したのでしょうか。
今回は空き家を売却した経験がある120人を対象に、「空き家を所有してから売却を考え始めるまで」についての体験談を聞きました。
- 調査対象:空き家を売却した経験がある人
- 調査期間:2026年9月30日~10月8日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:120人(男性62人/女性58人)
- 回答者の年代:20代 13.3%/30代 26.7%/40代 23.3%/50代 26.7%/60代以上 10.0%
空き家を所有してから売却を考え始めるまでの期間は「1年以内」が47.5%

「空き家を所有してから売却を考え始めるまでの期間」の平均値は2.3年。
ただ実際には、所有してから1年以内に売却を考え始めた人が47.5%と、半数近くにのぼりました。
「~3か月(10.0%)」という人も1割いて、中には「相続と同時に売却を考え始めていた」という人も複数いました。
比較的早い段階で売却を考え始める人も多いとわかります。
一方で「~3年(15.0%)」「~5年(10.0%)」「5年超(6.7%)」を合わせると31.7%となり、検討開始まで時間がかかったケースも少なくありません。
また売却を考え始めるまで「7年」「10年」など、所有してからかなり間が空いた人もいます。
売却を検討しないまま長く所有していた一部の人が、平均値を引き上げています。
空き家を所有してから売却を考え始めるまでに迷った要因は「踏ん切りがつかなかった」

「空き家を所有してから売却を考え始めるまでに迷った要因」の1位は「踏ん切りがつかなかった(25.8%)」でした。
2位「手続きが面倒だった(21.7%)」、3位「片付けに時間がかかった(15.0%)」が続きます。
「踏ん切りがつかない」といった心理的な要因を挙げた人もいれば、「手続き」「片付け」など実務的な要因を挙げた人もいました。
ただ、「片付けが大変だったし、実家を売ることに罪悪感もあった」など、複数の理由があって時間がかかった人も。
空き家売却を検討する際には、考慮する要素が多数あり、時間がかかりやすいと考えられます。
1位 踏ん切りがつかなかった
- 手放す勇気が出なかった(30代 男性)
- 思い出のある実家を売却することに、抵抗があったからです(40代 女性)
- 親が住んでいた家だったため、思い出があり、手放す決心がなかなかつきませんでした(50代 男性)
1位は「踏ん切りがつかなかった」でした。
「自分にとっての実家」「親が苦労して建て、愛着をもって住んでいた家」など、空き家に思い入れをもつ人も少なくありません。
空き家になっていて活用予定がないとしても、思い入れがあるために売却する勇気をもてないこともあります。
売却したほうがいいと思ってはいても、気持ちの整理がつくまでは、具体的な行動に移すのは難しいのですね。
対策としては「まずは家をどうしたいか、気持ちを整理する」「売却以外の活用可能性も探ってみる」などがあります。
2位 手続きが面倒だった
- 売却までの手続きが面倒だった(20代 女性)
- 単純に、売却に要する手続きなどが面倒だったからです(40代 男性)
- 離婚した配偶者の遺産だったので、未成年の子どもが相続した。なので手続きが面倒だった(50代 女性)
2位は「手続きが面倒だった」でした。
空き家を売却するにあたっては、「権利関係の整理」「相談する業者の選定」「必要書類の準備」などの工程があります。
また空き家売却は多くの人にとって、めったに経験することではありません。
そのため「手続きが難しそう」「何から始めたらいいかわからない」などと感じ、売却を考え始めるまで時間がかかることもあります。
なお手続きが難しそうで止まっていた人の中には、友人にやり方を教えてもらって本格的に動き出せたという人もいました。
そのため「売却についての相談先を見つけること」などが、対策になると考えられます。
権利関係については司法書士、売却については空き家の売却に詳しい不動産会社などにも相談可能です。
3位 片付けに時間がかかった
- 冷蔵庫の処理が面倒だった(20代 男性)
- 空き家の片付けに時間がかかってしまい、売却についてすぐには考えられなかった(40代 男性)
- 遺品整理が進まなかった(50代 女性)
「片付けに時間がかかった」が3位です。
空き家には、家財が残っていることも多くあります。
そして家を売る際には、家財をすべて運び出して引き渡しするケースが一般的です。
そのため売却活動の前段階となる片付けが終わらずに、売却について考え始めるまで時間がかかった人も多くいました。
とくに、残されているものが多い場合や思い出の詰まった品が多い場合などには、片付けに時間がかかってしまいます。
4位 親族の意見がまとまらなかった
- 兄弟との話し合いがまとまらなかったことです。売却価格についても意見が合いませんでした(30代 女性)
- 義理の姉が反対した(40代 女性)
- 解体・修繕にどれだけの費用がかかるか見通しが立たず、親族間での売却方針の合意形成に時間がかかった(50代 男性)
4位は「親族の意見がまとまらなかった」でした。
空き家にはさまざまな関係者がいます。
そのため「売却したい」「いや、所有を続けたい」「解体したほうがいい」などと、意見がわかれることも少なくありません。
また、売却するという大まかな合意はできても、希望する売却価格や時期などで折り合わないこともあります。
方針が決まらないと、不動産会社への相談など具体的な行動を起こしにくいと考えられます。
なお判断材料が少なくて見通しが立ちにくい状態だと、話し合いをしようにも進められないことも。
「売却見込み額」「解体費用」「所有を続ける場合の維持費」など、話し合いで使える情報を揃えておくと、具体的な話し合いがしやすくなると期待できます。
5位 活用予定があった
- 使い道がないかなど、調べていた(30代 女性)
- 住み手を探してはいた(50代 男性)
- 空き家の再利用も選択肢にあったため(60代以上 男性)
5位に入ったのは「活用予定があった」でした。
売却以外の方法で活用する可能性があったため、売却を考え始めるまでに迷った人もいます。
具体的には「賃貸化する」「自分が住む」などです。
家は大きな資産ですし、実家などですと思い入れもあります。
そのため、手放す以外に活用方法があるならまずは所有を続けたいと考え、売却の検討を迷う人も多いとわかります。
空き家の売却に向けて動き出そうと決意したきっかけは「維持費の負担が大きくなった」

「空き家の売却に向けて動き出そうと決意したきっかけ」を聞いたところ、1位は「維持費の負担が大きくなった(35.0%)」、僅差の2位は「親族との話し合いがまとまった(33.3%)」でした。
以下5位までは、3位「管理に手間がかかる(18.3%)」、4位「近所迷惑になりそうだった(6.7%)」、5位「老朽化が心配だった(5.0%)」となりました。
「維持費の負担」「管理の手間」など、空き家を維持するための負担が大きくなったことで、売却に向けて動き出した人が多いとわかります。
また「近所迷惑」「老朽化が心配」など、不安要素が大きくなって、売ったほうがいいかもと思った人もいました。
一方で「親族との話し合いがまとまった」という回答も多く、売却に向けて動きやすくなったために、本格的に検討し始めたケースもあります。
1位 維持費の負担が大きくなった
- 税金の支払いの負担です。今後住むことがないのもわかっていたので、決意しました(40代 女性)
- 固定資産税が負担に感じた。空き家のまま放っておくと、金額が上がると聞いていたので(50代 男性)
- 外壁のブロックが壊れて修繕費がかかることになり、売却を決めた(60代以上 男性)
1位は「維持費の負担が大きくなった」でした。
空き家であっても、固定資産税や修繕費はかかります。
そのため、「使う予定のない空き家に維持費を払うのは負担」と感じて、売却を本格的に検討し始めた人も多くいました。
また空き家のまま放置して「管理不全空き家」や「特定空き家」に指定されると、固定資産税に関する特例の対象から外れ、税負担が増える仕組みもあります。
負担が大きくなる前になんとかしたいと考えた人もいるとわかりました。
2位 親族との話し合いがまとまった
- 親族と本格的に「空き家をどうするか」の話し合いが始まったため(20代 女性)
- 親族と話し合いをした結果、売却をすることになりました(40代 男性)
- 兄弟と話し合って、意見がまとまったこと(50代 男性)
2位は「親族との話し合いがまとまった」でした。
「空き家を所有してから売却を考え始めるまでに迷った要因」にもあったように、空き家の売却には、関係者の同意が必要となることがあります。
話し合いがまとまらないと動きにくいですが、話し合って「売却しよう」という方針が決まると、具体的に売却を検討できるようになります。
なお、親族との話し合いがまとまったと答えた人の「空き家を所有してから売却を考え始めるまでに迷った要因」を見ると、「親族の意見がまとまらなかった」のほか、「活用予定があった」も多くありました。
関係者間の意見の違いが解消できたことはもちろん、選択肢が複数あって迷っていたものの、話し合って方針を決められたこともわかります。
3位 管理に手間がかかる
- 定期的に実家へ戻って換気や草むしりをする時間と体力を、負担に感じ始めたことです(30代 女性)
- 遠方に住んでおり、定期的に草刈りや換気などの管理に通うのが、体力的に限界だった(50代 男性)
- 空き家の維持管理が負担になってきたことです。草木の手入れや家の換気のために通う必要があり、今後も続けるのは難しいと思い、親族とも相談して売却を進めることにしました(60代以上 男性)
「管理に手間がかかる」が3位です。
空き家を所有していると、「換気」「掃除」「草抜き」「郵便物の整理」などの管理が必要となります。
敷地や建物の状態を保つために、定期的な手入れが必要なのですね。
空き家が遠方にある場合には、空き家に通うための時間や交通費がかかり、負担になることも。
また年齢を重ねてくると、移動や作業自体が体力的に難しくなることも考えられます。
4位 近所迷惑になりそうだった
- 誰も住まないまま放置したことで庭の雑草や外壁の劣化が進み、近隣住民からクレームが入るのではないかという不安(30代 男性)
- ゴミ屋敷になっていて、近隣に迷惑がかかっていた(50代 女性)
- 空き家のまま放置しておくと、近所迷惑になると思いましたので(60代以上 男性)
4位は「近所迷惑になりそうだった」でした。
空き家の管理が行き届かなくなると、庭が荒れたり、建物の劣化が進みやすくなったりします。
すると「害獣や害虫の発生」「建物の倒壊」などが懸念されるようになり、近隣の住民に不安を与えかねません。
実際にアンケートでは「空き家について、近所からクレームが入った」という体験談も寄せられました。
近隣トラブルが発生すると、対応には時間や労力がかかり、精神的な負担も大きくなりがちです。
そのため「周囲に迷惑をかけたくない」「トラブルを起こしたくない」という気持ちで、売却を検討し始めた人もいました。
5位 老朽化が心配だった
- 家の傷みも少しずつ目立つようになり、放置するより売却を考えようと思いました(30代 女性)
- 家の老朽化も進んできたため、売却を具体的に検討するようになりました(40代 男性)
- 今後さらに建物が古くなる前に、一度査定を受けて、売却を具体的に検討しようと決めました(50代 男性)
5位に入ったのは「老朽化が心配だった」でした。
どんな建物も、年月とともに老朽化します。
とくに手入れの行き届かなくなった空き家の場合は、老朽化が早く進みやすいと言われています。
老朽化がひどくなると倒壊や設備の故障が懸念されるほか、資産価値も下がって、売却しようと思っても売れにくくなりかねません。
そのため「老朽化が本格化する前に」という気持ちで、売却を検討した人もいました。
まとめ
アンケートの結果、空き家を所有してから売却を考え始めるまでの期間は1年以内が多くなりました。
一方で2年超かかった人も30%以上いました。
時間がかかった理由としては「片付け」など実務的な問題もあれば、「踏ん切りがつかない」など心理的なハードルもあります。
また売却に向けて動き出そうと決意したきっかけでは、「維持費や管理の負担」を挙げた人が多くなりました。
空き家は所有している間ずっと、維持費や管理の負担がかかります。
活用予定がないのであれば、コストや手間のシミュレーションをしたうえで、今後空き家をどう扱うべきか、空き家に関わる親族とも早めに話し合っておくことが大切です。
不動産会社などに査定依頼を出すなどし、売却見込みの有無や売却見込み額を知っておくと、話し合いも進みやすいと期待できます。
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