不動産の共有名義とは、ひとつの土地や建物を複数人が所有している状態を指します。
共有名義の不動産には「権利関係が複雑で、意思決定が遅くなりやすい」「維持管理の負担をめぐり、トラブルになりかねない」というデメリットがあります。
今回は不動産を共有名義で相続・所有している101人を対象に、共有名義の不動産についてのアンケート調査を実施しました。
「誰が管理しているか」「誰が維持費を払っているか」などについて聞いています。
- 調査対象:不動産を共有名義で相続・所有している人
- 調査期間:2026年7月30日~8月6日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:101人(男性51人/女性50人)
- 回答者の年代:20代 10.9%/30代 25.7%/40代 27.7%/50代 22.8%/60代以上 12.9%
共有名義の不動産を何人で相続・所有している?|回答者の内訳

「共有名義の不動産を何人で相続・所有しているか」を聞いたところ、平均は約2.4人で、ボリュームゾーンは「2人(70.2%)」でした。
- 母と、息子である私の2人で相続。すべての不動産が共有名義になっています(50代 男性)
- 兄弟3人で共有しています(30代 女性)
- 兄弟3人と親戚7人の10人(50代 女性)
2人の内容は、「親子」「兄弟姉妹」「夫婦」などです。
両親ともに亡くなった場合は子どもたちが相続人になることが多いため、2~3人の兄弟姉妹で共有名義とするケースが多いと考えられます。
一方で「従姉妹も含めた5人」「10人」といった声も。
親の代で共有名義になった不動産を子世代も共有名義で相続した場合などは、共有者が増えていく可能性が高くなります。
共有名義の不動産の管理は4割以上が1人に集中

建物管理や草むしりやといった「共有名義の不動産の日常的な管理は主に誰が行ってるか」と聞いたところ、1位は「共有者のひとりがほぼ単独で行っている(45.5%)」でした。
次ぐ2位は「共有者で分担(24.8%)」です。
以下、3位「管理会社に委託(13.9%)」、4位「放置(11.9%)」、5位「近くに住んでいる親族に依頼(3.0%)」の結果でした。
- 共有者のうちの1人がほぼ単独で日常的な管理を行っています。自分は遠方に住んでいるため、年に数回帰省した際に草むしりや風通しなどの作業を手伝う程度になっています(30代 女性)
- 共有者のうちの1人が居住しているので、任せている(50代 女性)
- 共有者5人で代わるがわる管理(50代 女性)
- 共有不動産の近くにある管理会社に任せている。場所が遠方で、自己管理は無理があるので(50代 男性)
- 実質的に放置している状態です(40代 男性)
所有している共有名義の不動産から離れたところに住んでいる共有者もいることから、不動産や近辺に住んでいる人が、日常的な管理を引き受けるケースが少なくないようです。
「管理しやすい立場や状況にある人」に負担が集中しやすいとわかります。
空き家の状態で放置してしまうと、建物の老朽化が進んだり、庭が荒れてしまったりします。
そのため「管理負担が大きい」「自分たちではできない」という場合には、管理会社や親族に依頼しているケースもありました。
共有名義の不動産の費用は「持分割合に応じて負担」が過半数

固定資産税や修繕費といった「共有名義の不動産にかかる費用」に関しては、「持分割合に応じて負担している(53.5%)」と回答した人が過半数を占めました。
2位は「共有者のひとりがほぼ単独で負担(27.7%)」、3位「居住している人が負担(11.9%)」、4位「状況により相談(6.9%)」、5位「管理作業していない人が負担(2.0%)」でした。
- 納税通知書の宛先になっている代表者が一度全額を納付します。後から自分の持分割合に応じた金額を計算して、代表者の口座に振り込む形で、費用を負担しています(30代 女性)
- 共有者のうち、維持管理している1人を除いた2人で分担(30代 女性)
- 住んでいる人が負担しています(40代 男性)
- 固定資産税は私が支払っています。トイレが突然故障したなど、共有財産であると判断されるものについては、兄弟で折半して支払うことが多いです(50代 男性)
全体としては、公平性を意識し、持分割合に応じて維持費の負担を分け合うケースが多くなっています。
ただしどのような負担割合が公平かは、共有者それぞれの状況や、共有者の考え方によります。
「持分通りに負担するのが当然」という考え方もあれば、「維持管理してくれているのだから、お金は遠方にいる人が払う」という考え方もあるからです。
共有名義の不動産では、共有者同士が納得できる形で費用を分担することが重要です。
共有名義の不動産について今後の方針が決まっている人は8割強

共有名義の不動産に関する今後の方針については、「決まっている(82.2%)」と回答した人が8割を超えました。
共有名義の不動産では、「権利関係が複雑」「管理や費用負担でトラブルが起こりやすい」といったリスクがあります。
将来的な方向性を決めておくことで、トラブル時の対応方針もスムーズに決定できると考えられ、多くの人が方向性を決めていました。
共有名義の不動産の今後の方針1位は「売却する」

共有名義の不動産を今後どうするかを聞いたところ、1位は「売却する(49.5%)」で、半数近くの人から票を集めました。
以下4位までは、2位「単独名義に変更する(19.8%)」、3位「決まっていない(17.8%)」、4位「ひとまず現状維持(10.9%)」でした。
現状維持よりも「売却」「単独名義への変更」などが多く、「何かしら変えたい」「整理したい」と考えている人が多いとわかりました。
共有名義の不動産をめぐる意思決定では、他の共有者との調整が必要になる場面も多くあります。
話し合いが負担になったり、トラブルにつながったりすることもあるので、状況を改善したいと考える人も多いと推測できます。
ただしアンケートでは「自分自身は売却したいと思っているけれど、話し合いができない状況」「反対されていて、手続きを進められない」という声も。
自分だけの考えでは変えられないという難しさも、浮き彫りになりました。
1位 売却する
- 自分の共有分のみ売却したいと思っている(30代 女性)
- 今のところは売却する方向で兄と話しています。ただ、思い出のある実家なので、すぐに決めるというよりはタイミングを見ながら進めたい気持ちです。空き家のまま置いておくのも管理が大変なので、早めに結論は出したいと思っています(40代 男性)
- 売却を視野に入れていますが、共有者同士で条件を調整している段階です。納得できる条件がまとまれば処分したいと考えています(60代 男性)
1位は「売却する」でした。
空き家になっている場合には、「活用できないまま、維持費や手間がかかり続ける負担感」を考え、売却したいと考えるケースもあります。
共有名義の不動産を売却する場合には、共有者全員が同意してまとめて不動産を売る方法と、自分の持分だけを売る方法があります。
全員で売却する場合には意思決定に時間がかかることもあり、自分の持分だけを売ろうと考えている人もいました。
2位 単独名義に変更する
- 将来的には共同名義を解消したい(50代 女性)
- 母が共有不動産の持分をすべて私に相続させる旨の自筆証書遺言を作成して、法務局に保管してもらっています(50代 男性)
- 兄が一本化して買い取る方向で話し合いを進めています。共有名義のままでは管理の負担が偏りやすく将来的な手続きも複雑になるため、早めに整理したいという思いがあります(60代以上 男性)
2位は「単独名義に変更する」でした。
共有名義の不動産を手放すのではなく、管理しやすくするために権利関係を整理したいという考え方です。
共有名義の不動産では、何かを変えようとすると共有者全員の同意が必要になることも多く、手続きが複雑だからですね。
また維持管理の負担が一部の人へ偏っているケースでは、家族・親族間のトラブルにつながる恐れもあります。
次の世代に相続すると、さらに共有者が増えて、状況が複雑になりかねません。
そのため誰か一人に所有権をまとめ、共有名義を解消して単独名義に変更することを考えている人も多くいました。
3位 決まっていない
- まだ話を進めていないので未定(30代 女性)
- 双方で話し合っている(40代 男性)
- 放棄したいが、行方不明者がいるため方針が決まらず(60代以上 男性)
「決まっていない」が3位となりました。
「相談中で結論が出ていない」「今後話し合うつもり」という声も。
話し合い中の人からは「話が進まない」という声も寄せられ、話し合いで結論に達するのが難しいケースもあるとわかりました。
共有者と連絡が取れなくて、話し合いすらできないという体験談も。
さまざまな事情が、共有名義の不動産に関する意思決定のハードルになっています。
4位 ひとまず現状維持
- 基本的には今までと変わらないとは思います。お互い変化は嫌がるので(40代 男性)
- 駐車場として貸している。親が亡くなれば親の持分を兄弟でわけ、現状のまま貸し出し続けると思う。収入源なので(50代 女性)
- 将来的に片方が亡くなった際に所有権の移転登記手続きが必要となってくるが、相続したほうが安いか、生前に相手から所有権を買い取ったほうがいいのか、迷っています。税金関係の情報を集めてから、所有権をどうするか決める予定。少なくとも10年間は現状維持の予定です(40代 女性)
「ひとまず現状維持」が4位となりました。
状況を大きく変える必要性を感じていない人もいました。
「現状に不満をもつ共有者がいない」「居住用や収益物件として活用できている」という場合には、急いで名義を変更したり売却したりする必要がないためです。
一方で、「どうするのが得なのかわからない」「手続きが面倒」といった理由から、判断を先送りにして現状維持を選んでいるケースもありました。
共有不動産は名義人が増えたり相続が発生したりすると権利関係が複雑になりやすいため、問題が顕在化していなくても将来を見据えた検討は必要といえるでしょう。
まとめ
共有名義の不動産については、兄弟姉妹や親子などの2~3人で共有している人が多くなっています。
管理や費用負担については「公平に」という意識が見られたものの、実際には、特定の共有者に負担が集中しているケースもあります。
お互いが納得していれば問題ありませんが、不公平感を抱く人がいるとトラブルになりかねないので、注意が必要です。
今後の方針については、多くの人が「売却」や「単独名義への変更」などを検討していました。
権利関係を整理したり手放したりしたい人が多いことから、共有名義の不動産をもつことの負担感がうかがえます。
ただアンケートでは「売却や一本化したいけれど、話し合いが進まない」という声もあって、共有名義ならではの意思決定の難しさが浮き彫りにもなりました。
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