実家の建て替え費用の相場はおよそ4,000万円
実家の建て替え費用の相場はおよそ4,000万円で、内訳で一番大きい割合を占めるのは、家の建築費用です。
国土交通省の令和4年度住宅市場動向調査によると、平成30年度〜令和4年度の5年間で注文住宅建て替えにかかった費用は以下のとおりです。
上記5年間の平均値から、実家の建て替え費用の相場はおおむね3,500万円程度かかると考えられます。
くわえて、実家が30坪の木造戸建てだとすると、建て替えには以下のような費用も必要となります。
- 解体費用
- 建て替えの前に行う実家の解体工事。90万円〜120万円程度
- 外構費用
- 建て替えにあたって、庭木・駐車場・塀など家の外回りをリフォームする工事。建築費用の10%程度
- 諸費用
- 建て替えに伴って発生する引越し・登記・税金・保険などの費用。150万円〜200万円程度
上記の工事費用をすべて合わせると、おおむね4,000万円程度が実家の建て替えで必要となる費用と言えます。
土地の取得費が加わる新築住宅に比べて割安ではあるものの、家の建て替えにはまとまった資金が必要であるため、適切な資金対策をする必要があります。
実家の建て替え費用が手元にない場合、どのような対処をしたらよいのか次章で詳しく見ていきましょう。
実家を建て替えるお金がない場合の7つの対処方法
実家を建て替えるお金がない場合の対処法は、以下の7つです。
- 親族に建て替えてもらう
- ローンを組む
- 補助金制度を利用する
- ローコスト住宅を建てる
- リフォームで済ませる
- 物件の活用を検討する
- 売却する
建て替えを実現するためにどのような対処ができるか詳しく見ていきましょう。
親族に建て替えてもらう
親族に実家の建て替え費用を提供してもらうのも一つの手段です。
住宅取得等のために両親から資金を援助してもらった場合、住宅取得資金贈与の非課税制度が受けられるので、節税効果を得ながら資金調達ができます。
住宅取得資金贈与の非課税制度が適用となる主な要件は以下のとおりです。
参照元:国税庁|直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
- 直系尊属からの贈与であること
- 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること
- 贈与年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をし、居住すること
- 新築または取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積が40㎡以上240㎡以下で、かつ床面積2/1以上が贈与を受けた者の自己居住用であること
要件を満たしている場合、省エネ等住宅の場合には1,000万円・それ以外の住宅の場合は500万円まで贈与が非課税になります。
なお、要件の最初にある「直系尊属」とは、父母・祖父母など自分より前の世代で血のつながりのある直系の親族です。
そのため、親族であっても兄弟や姉妹、子どもなどからの贈与は住宅取得資金贈与の非課税制度の対象にならないので留意しましょう。
なお、贈与と相続・遺贈の違いについては以下の記事で詳しく解説しています。
ローンを組む
住宅ローンを組んで、建て替え費用を少しずつ返済していくのも有効な手段です。
実家の建て替え前の住宅ローンが完済している場合、あらためて通常の住宅ローンを組むことが可能です。
住宅ローン審査を行う際に「完済時年齢」が審査項目に挙げられますが、年々利用者の平均年齢は上がっており、以前に比べて50代以降でも住宅ローンを組みやすくなっています。
実際に、住宅金融支援機構による利用者調査では、2012年〜2022年の10年間で以下のように平均年齢の推移が高くなっています。
このように、住宅ローン借入の平均年齢が高くなっている背景には、定年退職の年齢引き上げが関係していると考えられます。
金融機関によって審査基準が異なるため、審査落ちして建て替え費用が調達できない事態に陥らないよう、住宅ローンを組む際は、複数社を検討しましょう。
なお、住宅ローンの仮審査をすると6ヶ月間は申込み情報が信用情報機関の履歴に残るので、仮審査を受けるのは3社程度に絞るのがベターです。
定年後の住宅ローンの支払いにご不安がある方は、以下の記事を参考にしてください。
補助金制度を利用する
国や自治体が設けている補助金制度を利用すると、建て替え費用の負担を和らげられます。
建て替えに使える補助金制度は、対象地域の安全性を高めたり、環境負荷の低減をしたりする目的で設けられており、以下のようなものがあります。
- 老朽危険家屋解体撤去補助金
- 一定の水準以上に老朽化した家屋の解体・撤去に掛かる経費のうち、2/1以内(上限100万円)を補助する制度
- 建築物不燃化推進事業補助制度
- 木造住宅が密集している対象地域内の建物を解体する際に、最大50万円の補助金を受けられる制度
- 耐震不適格木造住宅除却費補助金
- 耐震診断の総合評点が一定水準以下の家屋を解体する際に、工事費用の2/3以内(上限20万円)を補助する制度
- 地域型住宅グリーン化事業
- 一定要件を満たした木造住宅を新築する際、政府指定の施工事業者に依頼した場合に70万円〜140万円を補助する制度
- こどもみらい住宅支援事業
- 省エネ性能の高い住宅を新築する際、最大100万円の補助金を受けられる制度
このように、国や各自治体では家の建て替え費用の一部を補助する制度を設けています。
なお、解体費用に利用できる上記の補助金制度は、自治体によって補助の範囲や要件が異なるため、活用する際は実家の住所地の役所に確認しましょう。
ローコスト住宅を建てる
実家の建て替えで、ローコスト住宅を建てるのであれば、建築費用を抑えられます。
ローコスト住宅とは、設備や設計の規格を統一することで通常の注文住宅よりも手頃な価格で建築できる戸建て住宅です。
ハウスメーカーに依頼する際、坪単価70万円〜80万円程度かかる建築費用も、ローコスト住宅なら、坪単価30万円〜40万円程度で抑えられるため、建て替えが実現しやすくなります。
ただし、ローコスト住宅は材料費・人件費・広告費・設備・仕様などの規格を制限するからこそ安く建てられる住宅です。
そのため、住宅性能や設計の自由度などは通常の注文住宅よりも劣る傾向があります。
シンプルな家で十分な人にはローコスト住宅は適していますが、住宅にこだわりがある場合には、向いていない選択肢と言えます。
リフォームで済ませる
実家を建て替えせず、リフォームで済ませるのも一つの手段です。
家全体ではなく、部分的に修理できるリフォームなら費用を抑えられます。
たとえば、戸建て住宅で優先的にメンテナンスが必要になる箇所は、屋根・外壁の塗装工事です。30坪程度の戸建て住宅なら、屋根・外壁の塗装工事にかかる費用相場は100〜150万円程度です。
瓦屋根の葺き替え工事だとしても150万円〜300万円程度で抑えられるので、500万円程度の資金が用意できればリフォームは実行できるのでコスパが良いでしょう。
ただし、築50年のような築古物件は損傷を抱えた箇所を適切にリフォームしなければ、家全体は長持ちしません。
とくに、建物の基礎の部分がメンテナンス不足で経年劣化を起こしている場合、リフォームではなく建て替えが必要になります。
基礎は家本体を支え、地震などのエネルギーを地面に逃がす建物においてもっとも重要な部分だからです。
家屋の劣化が顕著に現れている場合は、リフォームで済ませないほうが長い目で見ると安全です。
物件の活用を検討する
実家の老朽化がひどくなければ、そのままの状態で賃貸として貸し出す方法もあります。
賃貸として借主が見つかれば、毎月家賃収入も得られるため、建て替え費用をあえてかける必要もなく、新居の費用負担も軽減できます。
ただし、安定した家賃収入を得るためには、借主がいることが前提条件です。賃貸として活用するには立地条件など、家屋の老朽化以外にも課題が生じるため、難易度は高めです。
借主がいなければ、実家の維持費に加えて、新居の費用も二重にかかるので金銭的負担は重くなる点は留意しましょう。
売却する
実家を売却して、家族全員で住み替える方法です。
実家を売却した売却益を元手に住み替えれば、新居にかかる費用を軽減できるため、金銭的な負担を抑えながら新しい家に住めます。
「実家を建て替えて、次世代に受け継がせたい」など絶対的な理由がないのであれば、売却を検討するとよいでしょう。
不動産の売却方法には、仲介・買取の2種類があります。
大まかな違いとしては、仲介は「売主・買主をマッチングさせ、成約を手伝う業者」で、買取は「売主の物件を直接買い取る業者」です。
仲介・買取の違いについては、以下の記事で詳しく解説しているので、興味がある方はお読みください。
それぞれの業者にどのような特徴があり、実家の売却にはどちらが適しているのかについて次章で解説します。
仲介業者に売却を依頼する
仲介業者は、インターネットや住宅情報誌などあらゆる媒体を利用して、売主の物件を幅広く宣伝してくれる業者です。
購入希望者が多く募れると、不動産を高額売却しやすい点が仲介のメリットです。
仲介業者に売却を依頼する以下2つの方法について解説します。
- そのままの状態で売却する
- 解体して売却する
そのままの状態で売却する
仲介業者を介して、実家をそのままの状態で売却する方法です。
そのままの状態で売却するなら、売主がリフォーム等の費用を負担する必要がないので、金銭的なメリットが大きいと言えます。
ただし、仲介業者が売却のターゲットにしているのは「すぐに住める家」を探し求めている一般の買主であるため、実家の老朽化がひどい場合には適していません。
実家の築年数が浅い・直近でリフォームを施しているなど、家屋の状態が良好な場合におすすめできる方法です。
解体して売却する
実家を解体して更地にしてから、仲介業者に売却を依頼する方法です。
一般的に古家付き土地よりも、更地のほうが買主にとってのメリットが大きいため、売れやすくなる傾向にあります。
ただし、実家を解体すると住宅用地の特例が適用外となるため、土地の固定資産税が最大6倍にまで跳ね上がり、売却期間中の維持費の負担が重くなります。
住宅用地の特例とは、居住用の家屋が建つ土地に対して設けられている税の優遇措置です。住宅用地の特例を適用することで、宅地は固定資産税・都市計画税による税負担は以下のように軽減されています。
土地面積が200㎡以下で、これまで支払っていた土地の固定資産税が5万円だとすると、30万円まで増額してしまいます。
更地にして売却するメリット・デメリットについては以下の記事で詳しく解説しています。
固定資産税は毎年1月1日時点で不動産を所有している人を対象に納税義務が発生します。実家を解体した年に売却できる見込みがあるなら、仲介業者で高額売却を狙うのも一つの方法です。
買取業者に買い取ってもらう
仲介業者を介した売却が難しい場合、買取業者に実家を直接買い取ってもらいましょう。
買取業者は買い取った不動産を再生・再販して収益化につなげる業者であるため、老朽化している家でも比較的高く買い取れる傾向にあります。
そのほか、買取業者に実家を買い取ってもらう以下3つのメリットについて解説します。
- そのまま買い取れる
- 売却スピードが速い
- 契約不適合責任が免除される
そのまま買い取れる
買取業者であれば、実家を解体・リフォーム等する必要なく、そのままの状態で買い取ってもらえます。
現況買取してもらえるので、売主の費用負担はもちろんのこと、売却にあたって補助金の申込みや業者の選定などの手間をかける必要が一切ありません。
実際に、弊社AlbaLink(アルバリンク)も、老朽化した家屋をそのままの状態で買い取る買取業者としてフジテレビの「イット」で特集されています。
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売却スピードが速い
売却スピードが速いのも、買取業者に売却するメリットの一つです。
仲介業者に売却を依頼した場合、平均3ヶ月〜6ヶ月程度の期間がかかり、家屋の状態によっては1年以上を要するケースもあります。
一方で、買取業者は業者が直接の買主であるため、平均1週間〜1ヶ月程度とスピーディーに売却が完結します。
実家の売却活動にスピード感を求めるなら、買取業者に売却を依頼するのがおすすめです。
契約不適合責任が免除される
買取業者に売却するメリットとして、契約不適合責任が免除される点も挙げられます。
契約不適合責任とは、家を引き渡した後、売買契約書にない不具合が発覚した際に売主が負わなければならない責任です。
たとえば、売買が成立した後に雨漏りやシロアリ被害が発覚した場合、売主は修繕費用や損害賠償を負担する必要があります。
買取業者が売却先なら、売買が成立した後に不具合が発覚しても対処できるノウハウがあるため、契約不適合責任は特約で免除してもらえます。
契約不適合責任については以下の記事で詳しく解説しているので、興味がある方はお読みください。
老朽化を抱えた家屋は至る箇所に不具合が生じている可能性が高く、売主がすべてを把握して契約書に記載するのは難易度が高めです。
売却後のトラブルを回避したい場合、買取業者にそのままの状態で買い取ってもらったほうが、スムーズかつ安全と言えるでしょう。
家の建て替えで後悔する3つのこと
これまで挙げてきたとおり、家の建て替えには多額の費用が必要です。
家の建て替えで起こりがちな後悔・失敗をあらかじめ把握しておくことで、建て替えが最善策かどうかを判断しやすくなります。
この章では、家の建て替えで後悔する以下3つのケースについて解説します。
- リフォームで十分だった
- 工務店選びで失敗した
- 仮住まいの費用がかさんだ
リフォームで十分だった
家の建て替えで後悔する一例として、リフォームで十分だったケースが挙げられます。
建て替えの最大のメリットは耐久性・快適性を高められる点ですが、家族構成の変更があったり、次世代に受け継ぐほど長期的に住む予定がない場合には得られる恩恵が少ないです。
リフォームなら改修する場所が限定的であるため、引っ越しなどの諸費用も必要なく、工事費用を大幅に圧縮できます。
建て替えする際には、今後実家とどのように付き合っていくかをシミュレーションした上で費用対効果を推し量る必要があるでしょう。
工務店選びで失敗した
建て替えは一生のうちに何度も行わないため、工務店選びに失敗する場合もあります。
ハウスメーカーが全国規模であるのに対して、工務店は小規模で地域密着型であることがほとんどです。
ハウスメーカーは建築資材の加工を工場で一括して行うケースが多く、一定水準以上の仕上がりは保証されている傾向にあります。
しかし、工務店は施工がマニュアル化されていないため、依頼先によって施工の精度にムラが生じがちです。たとえば、下請けに丸投げする工務店の場合、要望が反映されなかったり設計ミスが生じるケースがあります。
高い費用を支払って建て替えたのに、費用に見合った仕上がりにならない場合があるので、工務店選びには注意が必要です。
仮住まいの費用がかさんだ
建て替え工事期間中の仮住まいの費用が想定以上にかさむのも、ありがちな失敗例です。
家の建て替えには、おおむね半年程度の時間を要しますが、天候などの諸条件によって工期が遅れる場合もあります。
もちろん、工期が延びれば、その分仮住まいの家賃が必要です。
工期が延びた原因が、施工ミス・人手不足など施工業者に責任がある場合は遅延した分の損害は保証してもらえますが、原因が天候不良など業者側に非がない理由だと自己負担になります。
建て替え工事を依頼する際には、工期が遅延した場合の対応について施工業者と話し合っておくことでトラブルは回避しやすくなります。
まとめ
実家を建て替える費用が手元にない場合でも、補助金や住宅ローンを活用すれば建て替えは実現可能です。
ただし、実家の建て替えは、新築の注文住宅を建築するよりは費用負担を抑えられるものの、多額の費用が必要になる点には変わりありません。
実家を建て替えたい理由が、単に「老朽化を改善したい」だけなら、専門の買取業者への売却も検討しましょう。
専門の買取業者なら、築古物件をそのままの状態で買い取ってもらえる上に現金化もできるので、新居への住み替えがしやすくなります。
建て替えに限定する理由がないのであれば、専門の買取業者への売却も有効な選択肢となるでしょう。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)は、築古物件に強い専門の買取業者です。
これまで、廃墟化した空き家など問題を抱えた物件を数多く買い取ってきた実績があり、Google口コミでもお客様から多くの高評価をいただいております。
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