空き家を手放すなら「相続放棄」「国庫帰属」どっちがいいのか?
空き家はなかなか買手がつかず、手放せないと困っている方も多いことでしょう。
立地が悪かったり築古だったりと、空き家の売却はなかなか進まないことがあります。
しかし、空き家を手放す方法は売却だけではありません。
たとえば「相続放棄」や「国庫帰属(相続土地国庫帰属法)」という制度を利用することで空き家を手放すことも可能です。
ただし、どちらもそれぞれに適用条件があり、誰でも利用できるわけではありません。
もし手間や費用をかけずに手放したいのであれば、後述する空き家専門の不動産買取業者に買い取ってもらうことをおすすめします。
それでは、「相続放棄」「国庫帰属(相続土地国庫帰属法)」について、それぞれの概要を解説していきます。
相続放棄すれば負債を相続せずに済む
相続放棄とは、プラス財産もマイナス財産も含めたすべての財産を相続しないために必要な手続きです。
すべての財産を放棄しなければならないため、借金や利子などマイナス財産だけを放棄することはできません。
また、売却がなかなかできない空き家も心理的や経済的に負担と考える方であれば、プラス財産ではなく、マイナス財産と考えるべきです。
プラス財産が少なくマイナス財産が多い場合は、相続放棄を検討してもよいでしょう。
ただし、相続放棄するには手続きが必要なこと、費用がかかることなどの注意点もあります。
相続放棄の概要と相談先については、以下の記事で詳しく解説しています。
相続放棄に必要な手続き
相続放棄をするためには、家庭裁判所へ必要書類を提出しなければなりません。
家庭裁判所へ提出する書類は次の書類です。
- 相続放棄する意思を示す申述書
- 被相続人の住民票除票もしくは戸籍の附票
- 相続放棄を申述する人の戸籍謄本
なお、相続放棄を申述する人により準備する戸籍謄本の種類が変わります。
相続放棄をする場合には誰の戸籍謄本が必要なのか、あらかじめ家庭裁判所などに確認しておきましょう。
空き家だけを選択して相続放棄することはできない
相続放棄をするには、すべての財産を放棄しなければならないため、不要な空き家だけを相続放棄するということはできません。
現金や預金、株などのプラス財産がほとんどなく、不要な空き家や借金など多額のマイナス財産しか相続できない場合、相続放棄の検討をしたほうがよいでしょう。
ただし、相続放棄は家庭裁判所に1度でも受理されてしまうと撤回できません。
相続放棄は撤回できないため、相続財産をすべて調査し確定してから相続放棄する必要があります。
現に占有している場合は相続放棄しても管理責任から逃れられない
現に占有している場合は相続放棄しても管理責任から逃れられません。
民法では空き家の管理をする者が現れるまで、現に占有している相続放棄者が空き家を管理しないといけないと定めているからです。
そのため、相続放棄をしてから相続人が管理を始めるまでに、空き家が倒壊などして通行人をケガさせた場合、相続放棄をした人の責任になってしまいます。
多い場合で100万円もの予納金を納める必要がある
相続財産清算人を選定するには、裁判所に数十万円から多い場合で「100万円」ほどの予納金を納めなければなりません。
予納金が収められないと相続財産清算人が選定できないため、相続放棄した空き家をずっと管理しなければならなくなります。
しかも、仮に予納金を払えたとしても、相続財産清算人の選定申し立てから選定までは「約半年」かかります。
相続放棄しても管理者不在のときは、最低でも半年以上は空き家を管理しなければなりません。
相続発生から3ヶ月以内に申請する必要がある
相続放棄をするには期限があり、相続発生から3ヶ月以内に相続放棄の申請をしなければなりません。
しかし、この3ヶ月という期間は相続放棄を検討するには短すぎる期間です。
相続財産の範囲を決定するだけでも相当な時間がかかる上に、相続財産の範囲が確定したらすぐに相続放棄の手続き準備に入らなければなりません。
相続放棄をするには相続人どうしや家族との話し合いなどの調整も必要です。
それにも関わらず相続発生から3ヶ月以内に相続放棄の申請をしなければならないのは、時間的余裕がないために正常な判断ができなくなる可能性もあります。
そこで、相続財産の状況を調査しても、3ヵ月では相続を承認すべきか放棄すべきか判断する資料が得られない場合、相続放棄の期間を延ばしてもらうように、家庭裁判所へ申し立ても可能です。
国庫への帰属が認められる土地は限られる
令和5年4月27日より相続土地国庫帰属法が施行され、相続や遺贈により取得した土地を引き取ってくれる制度が開始しています。
国に不要な土地を引き取ってもらうには、申請者の条件や引き取ってもらう土地の条件を満たす必要があります。
しかも条件を満たしたからと言って無料で土地を引き取ってくれるわけではありません。
国に土地を引き取ってもらうには、管理に要する「10年分」の標準的な管理費用を負担しなければなりません。
その他にも引き取ってもらえるのか審査する費用も払う必要があります。
また、引き取ってもらえるのは土地に限られるため、空き家を引き取ってもらうためには空き家を解体した上で申請をしなければいけません。
このような場合、当然解体費用は自費で払う必要があります。
相続土地国庫帰属法に必要な手続き
相続土地国庫帰属法による国への土地返還をするには、次の手続きを経る必要があります。
- 引き取ってもらいたい土地を管轄している法務局に引き取りを相談
- 審査料相当分の収入印紙が貼付された申請書を作成し土地を管轄する法務局へ提出
- 申請した書面の審査や土地の現地調査が行われる(ケースによっては申請者が現地に同行)
- 審査に通過したら通過後30日以内に負担金を納付
- 負担金納付と同時に土地の所有権が国に移り手続き完了
なお、土地の所有権移転登記や相続登記、住所移転登記などは国が代位登記をしてくれるため、手続きや費用の負担は必要ありません。
国庫への帰属が認められる条件は厳しく定められている
国庫への帰属が認められる土地は、管理の手間がなく処分しやすい土地に限られます。
管理に費用や労力がかかる土地の場合は、審査で申請が却下などされてしまいます。
それではどのような土地であれば国に引き取ってもらえるのでしょうか。
相続土地国庫帰属法によると、引き取れない土地の条件は次の通りです。
(1) 申請をすることができないケース(却下事由)(法第2条第3項)
A 建物がある土地
B 担保権や使用収益権が設定されている土地
C 他人の利用が予定されている土地
D 土壌汚染されている土地
E 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
(2) 承認を受けることができないケース(不承認事由)(法第5条第1項)
A 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
B 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
C 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
D 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
E その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
引用元:法務省相続土地国庫帰属制度の概要
このように引き取ってもらえない土地の条件が決まっています。これら条件に該当しなければ審査の上、土地を引き取ってもらえます。
負担金として数十万円から数百万円納める必要がある
国に土地を引き取ってもらう場合、負担金を払わなければなりません。
負担金の額は引き取ってもらう土地の種類により異なります。それではシミュレーションとして、負動産の代名詞となる山林の負担金を計算してみましょう。
山林を国に引き取ってもらう場合、表の通り引き取ってもらう土地の面積で負担金が変動します。
面積 | 面積負担分 | 固定金額 |
---|---|---|
750㎡以下 | 面積 × 59円/㎡ | 21万円 |
750㎡超・1,500㎡以下 | 面積 × 24円/㎡ | 23.7万円 |
1,500㎡超・3,000㎡以下 | 面積 × 17円/㎡ | 24.8万円 |
3,000㎡超・6,000㎡以下 | 面積 × 12円/㎡ | 26.3万円 |
6,000㎡超・12,000㎡以下 | 面積 × 8円/㎡ | 28.7万円 |
12,000㎡超 | 面積 × 6円/㎡ | 31.1万円 |
まずは表の面積負担分を計算し、計算した金額に固定金額を足したものが納付する負担金額です。
国に引き取ってもらう条件をすべて満たした山林の面積が5,000㎡の負担金は、
このシミュレーションの場合、負担金として「32.3万円」を払わなければなりません。
空き家を楽に手放すなら専門の買取業者に直接売却するのがおすすめ
相続放棄や国庫帰属で空き家を引き取ってもらう場合、費用だけがかかり収入にはなりません。
そのため、相続放棄や国庫帰属を検討する前に、不動産買取業者の買い取りを検討しましょう。
不動産買取業者の買い取りであれば、売却代金を手に入れられます。
空き家でも買い取りできるのは、買い取った空き家にリフォーム工事などをおこない、不動産買取業者が運用したり再度販売したりするからです。
特に空き家の買い取りを専門とする不動産買取業者なら、豊富な活用ノウハウを持っているため適正な価格で買い取ってくれます。
また、買い取りの場合、売却代金が手に入るだけではなく、売主に有利な条件で引き渡すことも可能です。本章では売主に有利な引き渡し条件にはどのような条件があるのかを解説します。
なお、弊社AlbaLinkは空き家に強い専門の買取業者です。
日本全国の数多くの空き家を買い取ってきた実績があり、フジテレビの「イット」など各種メディアでも紹介されています。
弊社は「全国対応」、査定や相談は「無料」ですので、少しでも買取を検討していましたら、まずは弊社へ一度ご相談ください。
そのままの状態で売却できる
買い取りの場合、不動産買取業者が空き家を商品化することが前提になります。
そのため、売主が空き家をリフォームしたり解体したりする必要はありません。
買い取りなら余計な費用と手間を掛けずに売却できます。
1週間から1ヶ月程度で手放せる
買い取りを利用すれば、1週間から1ヶ月程度で売買代金を手に入れられます。
一般の買手から買主を探すときとは異なり、不動産買取業者自身が直接買主となるからです。
買取業者は、物件を査定し、自社での運用や再販が可能であると判断すれば買取価格を提示します。
その買取価格に売主との間で合意があれば、すぐさま売買契約の締結が可能です。
急ぎで空き家を売りたい場合にも買い取りはおすすめです。
売主の負う契約不適合責任が免責される
通常、不動産を売却するときに売主は「契約不適合責任」を負わなければなりません。
あらかじめ取り決めた種類や品質、数量など契約内容に適合しない売買対象物を引き渡した場合、売主側で負担する責任のこと。
空き家を売買するときにも契約不適合責任を負う必要がありますが、長年利用していない空き家の契約不適合責任を負うのは大きな負担となります。
たとえば、雨漏りやシロアリの被害などが出たときには、売主の負担で補修などをしなければなりません。
それに対して、不動産買取業者に直接売却すれば、契約不適合責任が免責されます。
専門の不動産買取業者は、物件に潜む全ての欠陥や不具合を見抜いたうえで物件を買い取り、必要なリフォーム等を施して確実に再生できるからです。
そのため、本来売主の負う契約不適合責任を特約によって免責できます。
そのため、専門の買取業者に依頼すれば、どのような欠陥が隠れているか売主自身も把握しきれていないような空き家も、安心して売却できるのです。
契約不適合責任については、以下の記事で詳しく解説しています。
弊社Albalinkの空き家の買取事例
ここまで、空き家は相続放棄・相続土地国庫帰属制度で手放すより、不動産買取業者に売却したほうがお得である、とお伝えしました。
そこでこの章では、弊社Albalinkを例にとり、実際の空き家の買取事例を紹介します。
弊社Albalinkは訳アリ物件専門の買取業者として、他社では断られるような空き家も数多く買い取ってきました。
たとえば下記のように「20年以上放置されて老朽化が進んだ空き家」や「不用品で室内があふれてしまっている空き家」を買い取った実績もあります。
【20年以上放置された空き家の買取事例】 【不用品で室内があふれてしまっている空き家の買取事例】
引用元:Albalinkの空き家買取事例
20年以上放置された空き家については780万円で買取らせていただき、所有者には「雨漏りもするような家だったが、思ったより高い金額で買い取ってもらえた」と、金額についても満足していただけました。
また、不用品で室内が溢れてしまっている空き家の所有者は、他の不動産業者から「不用品の回収だけで100万円近くかかる」と言われ、途方に暮れていたそうです。
それだけに「(弊社に)そのまま買い取ってもらえてとても助かりました」と言っていただけました。
上記の方々だけでなく、弊社に買取依頼をしていただいたお客様からは「肩の荷が下りた」「色々不安だったがスムーズに売却できた」といった感謝の言葉を多数いただいております(下記Google口コミ参照)
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
信頼できる買取業者に安心して空き家を売却したい方はぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたからといって、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
活用予定のない空き家は早急に処分方法を決断すべき
活用予定のない空き家は、早急に処分方法を決断すべきです。
空き家は所有していると維持管理費用や管理の手間がかかるからです。
本章では、活用予定のない空き家を所有しているときの負担について解説します。
毎年固定資産税を納めなければならない
空き家を所有している限り、所有者には毎年固定資産税が課税されます。
平均的には年間「数万円から15万円」程度ですが、固定資産税額の詳細は毎年4月から6月頃に所有者のもとに送付される「固定資産税納税通知書」にて確認が可能です。
利用してもいない空き家のために、数年間で数十万円から百万円以上もの税金を所有者は負担することになってしまいます。
定期的に管理しなければならない
空き家を所有するのであれば、定期的な維持管理が必要になります。
建物は室内に湿気が溜まると急速に傷み、倒壊や壁面のはがれ、屋根の崩落などにつながります。
また、庭の管理をおこなわないと樹木が隣地に越境し、隣戸の雨どいを落ち葉で詰まらせてしまうかもしれません。
空き家の管理不足が原因で近隣住民や通行人に危害や損害を加えてしまえば、所有者に対して損害賠償金が請求されるおそれもあります。
このようなことを起こさないためにも、空き家を定期的に管理するために、時間も費用も費やさなければなりません。
空き家の適切な管理方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
特定空き家に指定されれば金銭的負担が増額する
空き家の管理を怠った結果、老朽化によって危険な状態になっていると自治体から判断されると、特定空き家に指定されます。
特定空き家とは、倒壊など危険状態の空き家として自治体が指定した建物のことです。
特定空き家に指定されたのち、自治体からの改善指導等に背いて空き家を放置すると、固定資産税の増額や行政代執行などの手続きを取られてしまいます。
行政代執行され強制的に空き家を解体された場合、解体にかかった費用は全額、自治体から管理責任者に請求されてしまいます。
行政代執行例
令和5年(2023年)1月31日、広島県江田島市の空き家1件が行政代執行された。行政代執行により強制解体された空き家は、築年数不明の木造2階建てで、延床面積は133㎡。瓦屋根の落下や家屋の傾きも確認されており、家屋の一部が落下したことで、空き家の前の指導は5年前から通行止めになっていた、空き家の解体作業にかかった費用はおよそ370万円にのぼり、家主に請求される。
特定空き家については以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
相続放棄や国庫帰属といった制度を利用すれば空き家を手放せます。
ただし、相続放棄や国庫帰属を利用するときには厳しい条件を満たした上で、費用まで払わなければなりません。
ですから、空き家を手放したいなら、相続放棄や国庫帰属よりも不動産買取業者の買い取りを検討したほうがよいでしょう。
なお、弊社AlbaLinkは空き家に強い専門の買取業者です。
年間相談件数5000件、年間買取件数600件の買取実績(※)があり、他の業者が断るような物件でも、数多く買い取りしてきました。
※2023年1月1日~2023年10月25日現在の実績:相談/5,555件:買取/600件
「空き家をできる限り高く売却し、物件を抱えるリスクから一刻も早く解放されたい」とお考えの場合は、一度弊社へご相談ください。