「農地を宅地にして売る」とは
農地を宅地にして売るとは、農業に使用している土地を住宅用地などに転用してから売却することです。
この方法により、農地での売却に比べて買い手の選択肢が広がりスムーズに売れる可能性が高くなります。
農地を宅地にして売却する際に知っておくべき重要なポイントは、以下のとおりです。
農地のままだと買い手が限定される
農地法により農地の売買は規制されているため、売却の際には農業委員会の許可を得なければなりません。
この許可を得るには、購入者が複数の要件を満たす必要があります。
個人が農地を購入する場合、以下のような要件が定められています。
1.農地のすべてを効率的に利用すること
機械や労働力等を適切に利用するための営農計画を持っていること2.必要な農作業に常時従事すること
農地の取得者が、必要な農作業に常時従事(原則、年間150日以上)すること3.周辺の農地利用に支障がないこと
水利調整に参加しない、有機農業の取組が行われている地域で化学的に合成された肥料及び農薬を使用するなどの行為をしないこと
つまり、農地のまま売る場合は買い手が農家・農業従事者に限定されるので売却が難しくなるのです。
宅地に転用すれば買い手の条件はなくなる
一方で、農地を宅地に転用することで買い手に関する法的な制限はなくなります。
宅地として売却する場合、個人でも法人でも、住宅建設目的でも投資目的でも、誰でも自由に購入することができるのです。
宅地に転用して売却するメリットを、以下にまとめました。
- マイホームを建てたい一般の方が買い手候補になる
- 土地活用や投資物件の建築を検討している投資家や建設会社も購入できる
- 多くの人が購入を検討するため、より高い価格で売却しやすくなる
ただし、農地を宅地に転用するには農業委員会の許可が必要で、手続きに時間がかかることも知っておく必要があります。
転用許可が得られれば、農地の売却制限がなくなるため、格段に売りやすくなります。
農地を宅地にするための2つの条件
農地を宅地に変更するには「立地基準」と「一般基準」の2つの条件を満たす必要があります。
これらの条件をクリアして初めて、農地を住宅用地として使えるようになります。
所有している農地が宅地に転用するための条件を満たしているかどうか、あらかじめチェックしておきましょう。
立地基準
立地基準とは、農地がある場所・区域によって転用の可否が判断される基準です。
転用許可制度では一般基準よりも立地基準が重視されており、農地の立地状況によっては許可がほぼ下りない仕組みになっています。
立地基準は、以下5つの区分に分類されます。
- 農用地区域内農地:基本的に宅地などには変更できない
- 甲種農地:非常に条件のよい農地で、基本的に宅地などには変更できない
- 第1種農地:まとまって存在する条件のよい農地で、基本的に宅地などには変更できない
- 第2種農地:将来住宅地になりそうな地域の農地で、一定の条件を満たせば宅地などに変更できる
- 第3種農地:住宅地の中にある農地で、基本的に宅地などに変更できる
農地転用は、農用地区域内農地がもっとも難しく、下位の区分になるほど転用しやすくなります。
市街地に近接した地域など、農業上の利用に支障が少ないとされる農地は宅地に転用しやすいといえます。
一般基準
一般基準は立地基準をクリアした後に審査される基準で、以下の3つの内容で審査されます。
- 宅地に転用した後、確実に計画が実行されるかどうか
- 転用により周辺農地に悪影響を与えないか
- 一時転用する場合は、確実に農地に復元されるか
上記の基準を満たさなければ、立地基準をクリアしていても農地転用の許可は下りません。
一般基準については提出書類の内容や申請理由の具体性が問われ、農業委員会や都道府県知事からの審査が厳しく行われます。
農地を宅地に転用して売る5つの流れ
農地を宅地にして売却する場合、正しい手順で進めることで時間のロスを防ぎやすくなります。
農地を宅地に転用して売る流れは、以下の5ステップです。
農地から宅地への転用にかかる期間については、以下の記事で詳しく解説しています。

不動産会社に売却を依頼する
農地を売却する最初のステップは、不動産会社への依頼です。
不動産の売却方法には、仲介・買取の2種類があります。

- 仲介
- 売主と買主をつなぐ橋渡し役を担う不動産会社。売主の物件を広告や営業活動で宣伝し、適切な買主を見つけて売買を成立させることで、成約時に売主・買主双方から手数料をもらうビジネスモデル
- 買取
- 自らが買主となって、売主から直接物件を購入する不動産会社。買い取った不動産に測量やリフォームを行い、付加価値を加えて市場で再販することで利益を得るビジネスモデル
簡単にまとめると高く売れる可能性があるのは仲介、手間をかけずスピーディーに売却できるのは買取です。
仲介・買取のどちらも、農地売買の経験が豊富な不動産会社に依頼することで「農地を宅地にして売る」が実現しやすくなります。
3社以上に相見積もりをとり、売却価格・担当者の対応に納得できる一社を選定しましょう。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)も、農地に強い専門の買取業者です。
農地転用の可能性や査定価格などの無料相談は随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
仲介・買取の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。

転用許可を条件に売買契約を締ぶ
農地の売買では、転用許可が得られることを条件とした「停止条件付き売買契約」を締結するのが一般的です。
これは、万が一転用が不許可になった場合に備えるための手段です。
転用が不許可になった場合も、買主が不要な費用を払う・売主が契約解除に伴う損害賠償を負担する、などのリスクを回避できます。
所有者移転の仮登記をする
売買契約を締結した後、転用許可が出るまでの間に「仮登記」を行うことがあります。
仮登記は所有権移転の予約的な位置付けであり、買主の権利を一定期間保護するための手続きです。
詳細は「転用許可に数ヶ月かかる場合がある」で解説しますが、農地転用は許可が下りるまでに数ヶ月かかります。
仮登記をしておくことで、その期間中により高い価格を提示する別の買主が現れて権利取得されてしまう事態を予防しやすくなります。
ただし、仮登記で農地の所有権は取得できないため、あくまで「トラブルを防ぎやすくするもの」という点は念頭に置いておかなければなりません。
農業委員会に転用許可申請をする
仮登記後は、農業委員会に農地転用許可の申請を行います。
転用許可申請を自分で行う場合は、以下の書類を収集して農業委員会に提出します。
| 書類の名称 | 取得先 | 取得費用の目安 |
|---|---|---|
| 農地転用許可申請書 | 自治体のホームページ | – |
| 登記事項証明書 | 法務局 | 600円 |
| 位置図・配置図・平面図 | 建築会社 | 依頼費用に含まれる |
| 資金証明書 | 金融機関 | 5,000円 |
| 売買契約書 | 不動産会社 | 仲介手数料に含まれる |
農地転用は書類の収集や作成に手間がかかるため、行政書士に依頼するのが一般的です。
行政書士への依頼費用の相場は、5万円〜8万円程度です。
【登記事項証明書の見本】
許可申請後は、農業委員会の定例総会で審議された後、都道府県知事に意見が送付され知事が許可を判断します。
農地転用の許可までの期間は、通常1ヶ月〜3ヶ月程度を要するため、余裕をもった計画が必要です。
なお、行政書士と連携のある専門の買取業者であれば、仲介手数料・士業への依頼費用が不要です。

弊社アルバリンクも無料で対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
所有者移転登記・決済を行う
農地転用許可が下りたら、最後に所有権移転登記と売買代金の決済を行います。
当日は、仲介の場合は金融機関・買取の場合は不動産会社のオフィスで、司法書士の立ち会いのもと、必要書類のチェックをします。
必要書類に問題がなければ、登記手続きと同時に売買代金の決済を行い、「農地を宅地にして売る」は完了です。
農地を宅地にして売る際の3つの注意点
農地を宅地にして売却する場合、想像以上に時間がかかったり制約に直面したりする可能性があるため、事前に情報収集をしておく必要があります。
農地を宅地にして売る際の注意点は、以下の3つです。
転用許可に数ヶ月かかる場合がある
農地を宅地に転用する許可申請は、通常2ヶ月程度の期間が必要です。
農地転用許可は農業委員会・都道府県知事による厳格な審査が行われるため、書類の準備から許可が下りるまで時間を要します。
また、農用地区域内農地については、転用許可の取得に1年を超える期間を要するケースも珍しくありません。

急いで売却したい場合でも、この期間は短縮できないため、売却計画を立てる際は余裕を持ったスケジュールを組むのが重要です。
地目変更が完了するまでローンが利用できない
農地のままの状態では、購入者が住宅ローンを利用することができません。
金融機関は、宅地以外の土地に対して住宅ローンの融資を行わないためです。
具体的には転用許可の申請をして、農地転用許可書が正式に交付された後でなければ、ローンの本契約に進めない仕組みになっています。
農地転用申請の受付は、各市区町村において月1回の締切日が原則として定められています。
早期の売却を実現するためにも、事前に役所のホームページで必要書類を確認し、締切日に間に合うよう準備して提出しましょう。
転用できない農地もある
すべての農地が転用許可申請によって宅地へ変えられるわけではありません。
とくに、立地基準が農用地区域内農地・甲種農地・第1種農地に該当する場合は、優良な農地として保護されています。
一方で、第2種農地・第3種農地など、街地化の傾向が著しい区域内の農地は、比較的転用許可が得やすいとされています。
ご自身の農地がどの分類に該当するかは、農業委員会に相談して事前に確認しておくことをおすすめします。
農地を宅地にして売るのが難しい場合は専門の不動産買取業者に売却するのがおすすめ
農地の転用手続きが複雑で時間がかかりそうな場合や、すぐに現金化したい場合は、専門の不動産買取業者に依頼するという選択肢があります。
行政書士などの専門家と連携のある買取業者なら、転用許可の取得から地目変更まで、すべての面倒な手続きを代行してもらえます。

ただし、農地は農業従事者にしか売れないので、不動産会社では現状のまま買取ができません。
あくまで、買取業者に売却するためには、「転用許可が下りる農地」である必要があります。
農地転用しやすいといわれている農地の特徴は、以下のとおりです。
- 市街地化が見込まれる、または市街地化が著しい区域内の農地
- 周囲が住宅地や商業地に囲まれている農地
- 面積が小さく農業経営に適さない農地
- 土壌条件や立地条件が農業に適さない農地
上記に該当している場合は、弊社アルバリンクでサポートできるのでお問い合わせください。
無料相談・無料査定は随時受け付けております。
農地買取業者5選については、以下の記事で詳しく解説しています。

アルバリンクなら煩わしい手続きナシで農地を売却できる
弊社アルバリンクは訳あり物件専門の買取業者として、再生・再販が難しいとされる不動産も数多く買い取ってまいりました。
農地の売却でもっとも大変なのは、複雑な転用手続きと長期間にわたる待機時間です。
しかし、弊社では行政書士や司法書士などの専門家と連携をとり、「売主様に負担をかけず、最短で売却手続きを完了させる」という体制が整っています。
実際に、過去のお客様からは「肩の荷が下りた」「色々不安だったがスムーズに売却できた」といった感謝の言葉を多数いただいております(下記Google口コミ参照)
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
信頼できる買取業者に安心して農地を売却したい方はぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたからといって、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
まとめ
農地は農業従事者にしか売却できないという制約がありますが、宅地に転用すれば一般の方でも購入できるようになるので売却しやすくなります。
ただし、農地を宅地にして売る方法には以下の注意点があります。
上記のように、転用手続きが複雑で難しいと感じるなら、専門の不動産買取業者に売却を依頼するのも有効な手段です。
専門の買取業者であれば、転用に関するアドバイスやサポートができる上、転用可能な農地であれば、売却もできます。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国の不動産を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
「これまでに、一般的な不動産会社では扱いにくい特殊な物件を専門とする買取業者として、フジテレビの「newsイット!」で取り上げられた実績もあります。

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株式会社AlbaLinkは東京証券取引所のTPM市場に上場している不動産会社です。




