いわくつき土地を売却するなら告知すべき
大前提として、いわくつきの土地を売却することはできます。
ただし、売買契約前に売主にいわくつきである旨を伝えなければならない(告知しなければならない)ケースがほとんどです。
告知せずに売却すると、売却後に買主とトラブルになるおそれがあるからです。
あなたの土地を売却する際は告知義務が必要なのかどうか、判断する基準を紹介する前に、そもそも告知義務がどんなものなのか解説していきます。
「いわく」の内容によっては告知必須の「事故物件」に該当する
いわくつき土地は、「いわく」の内容によっては「事故物件」に該当します。
事故物件とは、敷地内や建物内で事件や事故によって人が亡くなり、心理的瑕疵(欠陥や不具合)を抱えた土地や建物のことです。
参照元:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
事故物件を売却するのであれば、売主は買主に、物件に心理的瑕疵がある旨やその内容を必ず告知しなければなりません(これを「告知義務」と言います)。
物件に心理的瑕疵があるという事実は、買主の購入の意思決定に大きな影響を与えるからです。
以下では「告知義務を怠った場合のリスク」と「建物を解体した場合の告知義務の有無」について説明します。
告知を怠れば契約不適合責任に問われる
事故物件に該当するいわくつき土地を、買主に告知せず売却した場合、売主は契約後に契約不適合責任に問われるおそれがあります。
契約後の不動産に、売買契約書に記載がない欠陥や不具合が見つかった場合、売主が買主に対して負わなければならない責任
心理的瑕疵を告知せずにいわくつき土地を売却すると、売買契約書に記載された内容と異なる不動産を売却したことになるからです。
「いわくつきだと知っていたら購入しなかった!契約不適合責任を負え!」と買主が訴訟を起こし、裁判所にて訴えが認められれば、売主は損害賠償金や売買契約の解除を請求されてしまいます。
例えば、平成28年7月29日、神戸地裁では、売却する物件の建物内で7年前に強盗殺人があった旨を売主が告知しなかったとして、買主が損害賠償を請求し一部が認容されました。
建物を解体しても告知義務は無くならない
不動産業者に相談すると「土地上の建物を解体すれば事故物件ではなくなる」と言われることもありますが、誤りです。
たとえ心理的瑕疵を抱える物件を解体しても、土地を売却する際の告知義務はなくなりません。
建物を解体したところで人の死があった事実が消えるわけではなく、買主の購入の意思決定に影響を及ぼすことは変わらないからです。
ちなみに、建物の解体には当然費用がかかります。仮に木造の戸建て物件であれば、解体費用はおよそ200万で、決して安くありません。
これほどの費用をかけて解体しても、事故物件(告知義務あり)であることには変わりません。解体しても売れなければ、高額な解体費用がまるまる赤字になってしまいます。
ですから、事故物件だからと言って安易に建物を解体してはいけません。
いわくの内容から告知が必須か判断する基準
告知義務の概要説明が終わったところで、いわくの内容から告知が必須であるか任意であるかの判断基準を解説します。
なお、売却後の買主とのトラブルを避けるためには、告知が必須であろうと任意であろうと、告知しておく方が賢明でしょう。
では、判断基準の詳細を説明していきます。
殺人や自殺のあった土地(物件)なら告知が必須
殺人や自殺があった土地(物件)を売却するのであれば、買主への告知が必須です。
殺人や自殺があった事実は、買主に強い心理的抵抗を与え、購入の意思決定に大きく影響するからです。
参照元:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
また、例えば老衰による孤独死など事件性がない死でも、遺体の発見が遅れて腐敗が進んでしまい、室内の特殊清掃が必要になった場合は告知義務が課されます。
遺体の発見が遅れて汚染してしまった部屋を、清掃・除菌・消臭する。また、悪臭や体液が染み込んでしまった壁や床、家具を処分する。
噂程度であれば告知は任意だが、告知するのが無難
いわくの内容が単なる噂で、実際は人の死が起きていないケースもあります。
その場合、ガイドライン上では告知する必要はありません。しかし、噂程度の「いわく」がついた土地であっても、告知せず売却すれば買主から訴訟を起こされてしまうおそれは十分にあります。
噂が購入の意思決定にどれほど影響を及ぼすかは買主によって異なり、たとえ噂であっても「知っていたら買わなかったのに!」と思う買主もいるからです。
ただ、仮に訴訟を起こされたとしても、売主に損害賠償の支払いや契約解除を命じる判決が下されることはほとんどありません。
裁判官も、国土交通省のガイドラインを元に、告知義務違反に該当するかを判断するからです。
とはいえ、判決の参考となる判例自体が少ないので、必ずしも買主の訴えが棄却されるとは言い切れません。
そもそも訴訟を起こされたら、弁護士を立てる費用や裁判に出向く手間や時間など、多くの負担が発生し、非常に面倒臭いと感じるはずです。
ですので、たとえ噂程度の「いわく」であっても、売却前に買主に告知すべきと言えます。
いわくつき土地なのか?調べる方法は大きく分けて2つ
売却したい土地が本当に「いわく」つきの土地なのか、確認したい方に向けて2つの方法をご紹介します。
地元の老舗不動産会社に聞く
地元の老舗不動産会社に聞けば、売却したい土地は本当にいわくつきなのか、どんないわくがついているのかを聞ける可能性が高いでしょう。
昔から地域に密着している不動産会社なら、地主や町内会を通じて、その土地にまつわる噂や過去の出来事を多く知っているからです。
例えば「以前自殺があった」といういわくがついている土地があったとしましょう。
しかし、土地の日当たりの悪さ(暗い雰囲気)から子供たちが噂を流し始めただけで、実際は自殺なんて起きていないことも十分にあり得ます。
昔から地域に密着している不動産業者であれば、このような噂の真相を知っていることが多いでしょう。
大島てるのサイトで検索する
全国の事故物件の情報を掲載しているサイト「大島てる」で、自身の土地がいわくつきであるかを知らべることも可能です。
「大島てる」は、全国の事故物件に関する情報を誰でも自由に投稿できるため、信ぴょう性が低い、噂程度の情報も公開されています。
自身の土地に「いわく」があるのか確かめたい方は利用するのも1つの方法でしょう。
参照元:大島てる 物件公示サイト
いわくつき土地の売却価格は「いわくの内容」と「立地」で変わる
いわくつき土地の売却価格は「いわくの内容」と「立地」によって変動します。
いわくの内容や立地によって、買手のつきやすさが異なるからです。
この章では、具体的にどんな「いわく」や「立地」なら売却価格が下がってしまうのか、詳しい内容を解説していきます。
なお、自身の土地の正確な売却価格が知りたいのであれば、不動産業者に査定を依頼するのが賢明です。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、訳あり物件の豊富な査定実績(※)をもとに、より正確な金額をご提示できます。
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いわくの内容による売却価格の違い
いわくの内容は土地の売却価格に大きく影響します。
いわくの内容によって、買主の購入判断に及ぼす影響の強さが異なるからです。
例えば、冬場の孤独死で、遺体の発見が翌日だった場合は、遺体の腐敗による建物の汚損も少ないため、少し値下げしただけで売れる可能性もあります。
一方、世間で大きく話題になった殺人事件があった土地であれば、いくら売出金額を下げても買手がつかないおそれもあります。
立地による売却価格の違い
立地の利便性によって、いわくつき土地の売却価格は異なります。
個人の買主はマイホーム用の土地を探しているので、生活するうえで不便な立地の土地は敬遠してしまうからです。これは、通常の土地はもちろん、いわくつきの土地にも共通して言えることです。
例えば、土地の広さ、建物の状態、そして「いわく」の内容など全ての条件が同様の土地が、都心の一等地と地方の田舎、それぞれにあるとしましょう。
都心の一等地にある方の土地は、たとえいわくつきであっても少し値下げすれば個人の買手がつく可能性が十分にあります。都心の一等地は、通勤・通学や子育てなど、日常生活を送るうえで便利だからです。
一方、地方の田舎にある方の土地は、日常生活を送るうえで不便なため、どれだけ値下げしても買手がつかないおそれがあります。
いわくつき土地を売却する方法は2つ
告知義務やいわくつき土地の調べ方、売却価格について理解していただいたところで、実際の売却方法をご紹介します。
いわくつき土地の売却方法は2つあり、いわくの内容と立地によって正しい方法を選ぶ必要があります。
売却方法を間違えると、永遠に買手がつかず売れ残ったり、安価で買いたたかれてしまうおそれがあるので 注意しましょう。
では、あなたに合った売却方法を解説していきます。
「いわく」に事件性が無い&好立地なら仲介業者に依頼
「いわく」の内容に事件性がなく、なおかつ好立地の土地は、不動産仲介業者に売却活動を依頼するのも1つの方法でしょう。
不動産仲介業者は、売主から売却の依頼を受けると、一般に広く物件情報を公開して買手を探してくれます。広く物件情報を公開することで、売主の希望する金額で購入してくれる買主に出会える可能性が高まるのです。
とはいえ、いわくつきの土地が一般の個人に売却できることは稀です。
というのも、一般の買主は生涯暮らすためのマイホーム用の物件を探しているからです。ほとんどの買主は、わざわざいわくつきの土地にマイホームを建てようとは思わないでしょう。
ですから「いわく」の内容に事件性がなく(孤独死や不慮の事故死など)、なおかつ、生活するうえで利便性がよほど高い土地でない限りは、仲介業者に売却活動を依頼するのはおすすめできません。
ちなみに、「利便性が高い立地」とは、以下のような条件を指します。
- 最寄り駅まで徒歩10分以内で通勤・通学に便利
- 市街地や商店街が近く、気軽に買い物に行かれる
- 幼稚園や小学校、病院が徒歩圏内にあり子育てに最適
「いわく」に事件性があるor悪立地の土地は不動産買取業者に依頼
「いわく」の内容に事件性がある、または立地が悪い土地は、不動産買取業者に直接売却するのがベストです。
買取業者は、物件を再生して事業化できるかどうかで買取を判断するからです。マイホーム用の土地を探している個人の買主のように、心理的な要因で買取を断ることはありません。
例えば、殺人事件など、事件性の高いいわくがついた土地を買い取ったとしましょう。
すると、買取業者は、買い取った土地に賃貸用物件を建てて入居者をつけたうえで不動産オーナーに売却する等、いわくつき土地を活用できます。
買手には敬遠されてしまういわくつきの土地でも、賃貸用であれば借手がつくケースは多くありますし、既に借手がついている物件は不動産オーナーに喜んで購入してもらえます。
その他にも、買い取ったいわくつきの土地に娯楽施設を建てて運用する等、買取業者は物件の事業化ノウハウを豊富に持ち合わせています。
弊社AlbaLink(アルバリンク)も、多くの訳あり物件を買い取り、事業化してきた買取業者です。
いわくつき土地を売却したい方はぜひ我々にご相談ください。
数多の買取実績を活かし、できる限りお客様が希望する金額で買い取らせていただきます。
>>【売れない…いわくつきの土地も高額売却】無料で査定を試してみる
いわくつき土地をより高く売却するためのポイント
いわくつき土地をより高額で売却するための、不動産業者の選び方をご紹介します。
業者によって、取り扱いが得意な分野と不得意な分野があるからです。
いわくつき土地の買取・活用が得意な買取業者を選ばなければ、極端に安い金額で買いたたかれたり、そもそも買取を断られるおそれもあります。
以下でご紹介するポイントを押さえて、より高くいわく付き土地を買い取ってくれる業者を選びましょう。
事故物件の買取実績が豊富な業者をピックアップする
事故物件の買取実績が豊富な業者なら、いわくつき土地も高額で買い取ってくれます。
実績の多い買取業者は、いわくつきの物件を再生するノウハウや、売却を見込める再販先を既に豊富に持ち合わせています。ですから、確実に活用・再販できる自信があるので、過度なリスクヘッジをする必要がありません。
結果として、事故物件も積極的に、高額で買い取ることができるのです。
業者HPの「買取実績」「買取事例」などをチェックして、事故物件に特化した専門性の高い業者をピックアップしましょう。
なお弊社AlbaLink(アルバリンク)は、HPにて、心理的瑕疵を抱える物件の「買取実績」や「売主様の声」を掲載しています。
買取業者をお探しの際は、ぜひ弊社HPも覗いてみてください。
複数の買取業者に査定を依頼する
いわくつき土地を売却する際は、事故物件に特化した複数の不動産買取業者に査定を依頼しましょう。
業者ごとに買取後の活用方法が異なるため、それに伴って査定金額にも大きく差が出るからです。
低コストで活用・再販できる不動産業者であれば、その分高額で買い取ってくれるでしょう。
ただし、高額な査定金額を提示されたからと言って、その買取業者に飛びついてはいけません。
高額な査定金額を提示しておきながら、契約直前で買取金額を大幅に下げてくるような悪質な買取業者も存在するからです。
詳細は次の見出しで説明しますが、業者に査定を依頼した際は担当者に金額の根拠を必ず聞くようにしてください。
担当者に査定価格の根拠を聞く
複数の買取業者に査定を依頼したら、それぞれの担当者に金額の根拠を訊きましょう。
先ほど少し触れましたが、初めはデタラメに高額な査定金額を提示して、契約直前に大幅に金額を下げてくる、悪徳な買取業者も存在するからです。
例えば、契約直前に「リフォームが必要な部分が見つかったので、買取金額200万下げますね」などと言ってくるおそれがあります。
このような悪徳業者はデタラメの査定価格を提示しているので、売主に金額の根拠を訊かれてもきちんと答えられません。
反対に、通常の良心的な買取業者なら、周辺の類似物件の買取事例や買取後にかかるコストなど、具体的な数字を提示しながら金額の根拠を説明してくれます。
買取金額の根拠をきちんと説明できる担当者と契約し、トラブルなく確実に買い取ってもらいましょう。
まとめ
告知義務の概要や、いわくつきの土地を売却する方法を解説しました。
記事の結論をひとことで言うと、売却方法さえ間違えなければ、いわくつきの土地を売ることは可能です。
具体的に、「いわく」の内容に事件性がなく(老衰・事故死など)、なおかつ立地が良い土地であれば、不動産仲介業者を通して個人の買主を探すのも1つの方法でしょう。
ただし、通常の物件より値下げしなければ当然買手はつきませんし、いくら売出金額を下げても永遠に売れ残るリスクがあります。
一方、事故物件に特化した専門の不動産買取業者に直接売却するのであれば、どんないわくつきの土地も積極的に買い取ってくれます。
専門の買取業者は、買い取った事故物件を活用・再販して事業化するノウハウを豊富に持ち合わせているからです。
マイホーム用の土地を探している個人の買主のように、心理的な抵抗感から買取をためらったり、買取金額を下げたりすることはありません。
弊社AlbaLink(アルバリンク)も、事故物件に特化した専門の買取業者です。
日本全国のいわくつき物件・事故物件を買い取れますので、たとえ立地が悪くても、安心してお任せください。
もちろん、相談のみ・査定のみのお問い合わせも大歓迎です。