世帯主とは生計を共にする家族における代表者
そもそも世帯主とは生計を共にする家族における代表者のことで、年齢や所得にかかわらず、世帯の中心となって物事をとりはかる者として世帯側から報告された者を指します。
なお、共有名義については、以下の記事で詳しく解説しています。
名義人との違い
共有不動産における名義人とは一つの不動産に対して複数人で所有する各人のことを指します。
名義人は共有で不動産を所有しているため、使用方法を決定する権利を持っていることになります。
賃貸物件でたとえると、不動産を所有している大家さんは名義人で、居住している家族の代表者が世帯主です。
それでは、世帯主と名義人の違いを「要件」「登録される書類」「役割」に分けて、それぞれ解説します。
なお、共有名義については、以下の記事で詳しく解説しています。
要件
共有不動産の世帯主となるための法律上の条件や決まりはありません。
各世帯で話し合って決めることが可能で、一般的には生計を立てるための収入が一番多い人が世帯主となります。
一方、共有不動産の名義人になる要件として、以下の2つが考えられます。
- 不動産の購入時に共同で出資した人
- 不動産の相続時に共同で相続した人
登録される書類
共有不動産の世帯主は、市区町村によって住民票に登録されています。
一方、共有不動産の名義人は、管轄の法務局にて、登記事項証明書に登録されています。
不動産の所在地や大きさなどの情報、所有者や担保状況など面理に関する情報が記載された証明書のこと
登記事項証明書の権利部の甲区(所有権に関する事項)で、共有不動産の各名義人の氏名や住所の確認が可能です。
役割
世帯主は世帯の代表者のため、国や自治体から送られてくる書類の受取人としての役割があります。
投票所入場整理券(選挙時の入場券)や国からの給付金に関する書類などは世帯主に対して送付されます。
また、世帯の中に国民健康保険の加入者がいる場合は、納税通知書や納付書の宛名は世帯主です。
世帯主本人が国民健康保険に加入していなくても、世帯の中に加入者がいれば、世帯主が納税義務者となります。
一方、共有不動産の名義人の役割は、不動産の使用方法を決定することです。
ただし、共有不動産に大きな変化が生じるような場合は、以下のように制限されます。
状況 | 制限 |
---|---|
共有不動産を売却するとき | 名義人全員の合意が必要 |
共有不動産を賃貸に出すとき | ・5年未満であれば持分価格の過半数の合意が必要 ・5年超であれば名義人全員の合意が必要 |
共有不動産のリフォームを行うとき | 持分価格の過半数の合意が必要 |
また、名義人は共有不動産における固定資産税の納税義務者となります。
なお、共有不動産において名義人が行える行為については、以下の記事で詳しく解説しています。
住民票の世帯主と戸籍の筆頭者の違い
世帯主と名義人のほかに、「住民票の世帯主」と「戸籍の筆頭者」についても混同しやすいため、それぞれの違いについて見てみましょう。
住民票とは市区町村における住民の現在の居住関係を証明する書類のことで、世帯の代表である世帯主の記載もあります。
参照元:総務省|住民票とは
一方、戸籍簿とは日本国籍を持っている人の身分関係が記録された書類で、筆頭者は戸籍簿の一番上に記載されています。
【戸籍謄本の見本】
住民票には現住所が記載されていますが、戸籍簿には本籍地の記載があることが違いです。
また、戸籍筆頭者が死亡しても変更されることはなく、婚姻すると籍を抜いて、新しい戸籍を作ります。
婚姻する際に夫の姓を選択すれば夫が戸籍筆頭者、妻の姓を選択すれば妻が戸籍筆頭者となります。
世帯主は世帯から代表者として届け出るのに対し、戸籍筆頭者は代表者として届け出たり、変更したりできるものではありません。
共有名義不動産は世帯主を誰にするべきか?
それでは、夫婦共有で不動産を購入した場合は世帯主を誰にするべきか、考えてみましょう。
夫婦で共有の場合はどちらでも問題なし
夫婦で不動産を共有名義として購入した場合は、法律上では夫婦のどちらが世帯主になっても問題はありません。
ただし、共働きの場合は、収入が多い人を世帯主にしたほうがメリットがあります。
たとえば、どちらかが正社員でもう一方がパートである場合は扶養控除を受けることになるでしょう。
扶養親族がいる場合に課税所得から一定金額を差し引くことができる制度
参照元:国税庁|No.1180 扶養控除
扶養控除を申請する際の書類には世帯主を記入する必要があります。
年収によっても異なりますが、扶養控除を受ければ、毎年の税金が数万円安くなります。
家賃補助制度の有無で決める
家賃補助制度の有無で世帯主を決めることも1つの方法です。
家賃補助が出る条件として、「世帯主であること」としている会社が一般的です。
会社に家賃補助があっても世帯主でなければ、補助を受けられません。
夫婦共働きで扶養控除を受けない場合は、家賃補助制度がある人を選んだほうが得になります。
夫婦で共有の場合はそれぞれを世帯主にもできる
民法上では原則世帯を分けることができないとされていますが、世帯を2つに分けて夫婦それぞれを世帯主にすることが可能です。
同じ物件の中で世帯を分けることを「世帯分離」といいますが、夫婦で生計を別々にしており、それぞれが経済的に自立していることが条件となります。
ただし、家族手当がなくなったり、行政手続きが煩雑になったりとデメリットもあるため、慎重に検討しましょう。
共有で相続する場合の世帯主は誰になるのか?
相続によって共有名義不動産を所有する場合は、そもそも同居しなければ世帯主という概念がありません。
先述のとおり、世帯主とは生計を共にする家族における代表者のことなので、相続人とは別世帯になります。
世帯主変更の手続き方法
世帯主を変更したほうが得だという人は市区町村の役所で手続きすることが可能です。
世帯主変更の手続きは、新たに世帯主になる本人もしくは同一世帯の世帯員が行えます。
世帯主の変更手続きに必要な書類は、以下のとおりです。
書類名 | 内容 |
---|---|
住民異動届書 | 世帯変更届書など自治体によって名称が変わる |
本人確認書類 | マイナンバーカードや運転免許証、パスポートなど |
委任状 | 届出人が代理人の場合は必要 |
印鑑 | 必要な場合がある |
国民健康保険証 | 必要な場合がある |
共有名義不動産における固定資産税の納税義務者は世帯主とは関係なし
共有名義不動産における固定資産税の納税義務者は、世帯主ではなく名義人全員です。
共有名義不動産における固定資産税は、地方税法第10条の2第1項により、連帯納付の義務があると定められています。
参照元:東金市ホームページ|地方税法第10条の2第1項(連帯納税義務)
共有名義不動産における固定資産税の納付は、代表者が行うのが一般的です。
納付書が代表者のもとにのみ送られてくるので、代表者が一旦支払い、共有持分に応じて他の共有者にそれぞれの納付額を請求しましょう。
共有名義不動産の代表者は課税台帳に記載されていますが、相続によって共有名義となる場合は、市区町村から法定相続人に相続人代表者指定届が送付されます。
相続人の間で代表者を決めて、相続人代表者指定届を提出しますが、提出しない場合は自治体ごとの基準により代表者を指定して送付します。
固定資産税を支払いたくない場合は共有状態を解消する
共有不動産の名義人で共有持分を持っている場合は固定資産税の納税義務から免れません。
固定資産税を支払いたくない人は共有状態を解消しましょう。
共有状態を解消する方法として、「名義人全員で協力して共有不動産全体を売却する」「他の名義人に自分の持分を売却する」などがあります。
なお、共有解消方法については、以下の記事で詳しく解説していますので、併せて参考にしてください。
共有者との関係性が悪い場合は買取業者へ売却する
共有状態を解消すれば共有不動産における固定資産税の納税義務から免れますが、基本的には他の名義人との協力が不可欠です。
共有者との関係性が悪い場合は自分の持分のみを第三者に売却する方法があります。
ただし、共有不動産の共有持分は一般の買い手には売れないため、不動産買取業者に売却しましょう。
専門の不動産買取業者であれば、他の名義人と関係性が悪い場合でも、問題なく買い取ってくれます。
専門の買取業者に売却するメリットは、以下のとおりです。
- 他の名義人と関わることなく売却できる
- 短期間で現金化できる
- 売却後も他の名義人とトラブルになる可能性が低い
専門の買取業者であれば、他の名義人と顔を合わすことなく、短期間で売却できます。
また、共有不動産の共有持分の買取経験が豊富な不動産買取業者であれば、他の名義人との話し合いも慣れているため、トラブルになる可能性が低いでしょう。
なお、弊社アルバリンクも底地の買取実績が豊富な不動産買取業者です。
スピード買取も行っていますので、早く共有不動産の共有持分を手放したい方は、ぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください。
>>【共有持分のみで高額売却・トラブル解消!】無料で買取査定を依頼する
また、共有持分の買取業者については、以下の記事で詳しく解説しています。
共有不動産の持分売却はアルバリンクがおすすめ
共有不動産の共有持分を手放したい場合は、アルバリンクに売却しましょう。
弊社アルバリンクは共有不動産の共有持分をはじめとした割あり不動産を全国から買い取っている業者です。
以下は、弊社が実際に共有不動産の共有持分を買取した事例です。
【S様のお声】
今回買い取ってもらった物件は、共有者が失踪してしまった底地です。底地なので借地料をもらう権利がありましたが、それももらえないまま共有者と連絡がつかなくなってしまいました。本来更地であれば普通に売却することができたのかと思いますが、共有物件であること、底地であり借地料ももらえていないなどの理由で他の業者からは断られていました。
今回アルバリンクさんに買い取って頂き、悩み事が一つなくなり肩の荷が降りました。担当の方には丁寧に対応して頂き助かりました。ありがとうございました。
上記の方以外にも、多くのお客様から感謝のお言葉をいただいております(下記Googleの口コミ参照)。
また、弊社は2011年に創業以来、2020年から2023年までの間で500件以上の空き家を買い取っている業者で、2023年に上場しています。
査定依頼をいただいても、無理な営業は行いませんので、ぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください。
>>【共有持分のみで高額売却・トラブル解消!】無料で買取査定を依頼する
まとめ
今回は、共有名義不動産の世帯主について詳しく解説しました。
夫婦で共有して不動産を購入した場合は、扶養控除や家賃補助の有無の観点からどちらが世帯主に適しているか判断することをおすすめします。
また、相続で共有不動産を所有する場合で固定資産税の納税から免れたい場合は、専門の不動産買取業者に売却しましょう。
共有持分専門の不動産買取業者であれば、ほかの名義人と関係性が悪い場合でも問題なく買い取ってくれます。
なお、弊社アルバリンクも、共有不動産の共有持分をはじめとした訳あり不動産を全国から買い取っている業者で、「フジテレビ」を始めとする各メディアにも取り上げられた実績があります。
共有不動産の共有持分を手放したくてお困りの方は、査定のみ、相談のみのお問い合わせでも受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。