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共有持分権に基づく妨害排除請求が可能なケースと訴訟の流れを詳しく解説

共有持分権に基づく妨害排除請求が可能なケースと訴訟の流れを詳しく解説 共有名義不動産

「兄弟3人の共有名義で相続した農地を、長男が家を建てるべく勝手に造成工事をおこなって宅地にしてしまった」
「共有者のひとりが共有不動産を独断で解体し、駐車場に変えてしまった」
など、共有名義の不動産に関する何らかのトラブルを抱えてお困りの方は多くいらっしゃいます。

ひとりの共有者の勝手な行動によって共有不動産の使用を妨害されてしまった場合に、「いったいどうすればよいのか」「このまま泣き寝入りするしかないのか」と頭を悩ませている方もいるでしょう。

結論から申し上げると、共有不動産の持分(権利)を有している方は、共有不動産の利用を妨害している他の共有者などに対してその行動をやめさせる、あるいは損害賠償を請求することが可能です。これを「共有持分権に基づく妨害排除請求権」といいます。

この記事では共有持分権に基づく妨害排除請求権の要点や妨害排除請求が可能なケース、裁判で妨害排除請求訴訟を起こす流れについて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

しかし、共有不動産の妨害に関するトラブルを裁判で決着をつけるのは時間や費用がかかり、あまり現実的とはいえません。自身が所有している共有持分のみであれば他の共有者の同意を得なくても自由に売却できるので、共有不動産のトラブルをすぐに解決したい方は自身の共有持分を手放すことをおすすめします

弊社AlbaLink(アルバリンク)は一般の買い手が見つかりにくい不動産の買取を専門としている不動産会社であり、共有持分のみの買取も可能です。共有持分をいますぐ売却したい方は、弊社までお気軽にお問い合わせください。

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共有持分権に基づく妨害排除請求権の要点を解説

「共有持分権に基づく妨害排除請求権」とは、簡単にいうと「共有不動産の利用を第三者や他の共有者などに妨害されている際に、それをやめるように請求すること」です。

共有持分権に基づく妨害排除請求権はどのような場合に行使できるのか、実際に裁判所に請求する際にはどのようにすればよいのかについて把握する前に、まずは共有持分を有している共有者が共有不動産に対して可能な行為をいま一度確認しておきましょう。

共有名義とは?共有持分とは?

【共有持分】共有名義とは

ひとつの不動産を複数人で所有している状態を「共有名義」といい、それぞれの所有者が有している所有権の割合を「共有持分」といいます。

たとえば親が亡くなり、兄弟2人で持分が均等になるように実家を相続する場合、各々の共有持分は2分の1ずつです。

また、夫婦の共有名義で住宅を購入する際には、それぞれの出資額の割合に応じて持分を設定します。住宅の購入金額が3,000万円であり、妻が結婚前の自分の預貯金から頭金として500万円を支出、残りの2,500万円を夫が住宅ローンを組んで支払う場合は、夫が6分の5、妻が6分の1となるように持分割合を登記します。

登記
不動産の住所地を管轄する法務局で土地や建物の物件情報や所有者などを登記簿に記載し、一般公開すること。これにより、該当の不動産に関する権利を第三者に主張できるようになる

共有物の使用については民法で定められている

共有持分を有している方は、その持分割合に応じて共有不動産全体を使用できると民法第249条で規定されています。妨害排除請求権は、この権利に基づいて行使できるものです。

(共有物の使用)
第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる

引用元:引用元:e-Gov法令検索「民法 第249条

また一口に「使用」といっても、その行為は以下の3種類に分かれます。

名称 主な内容 他の共有者の同意の有無
変更行為 ・不動産の売却

・建物の解体

・大規模なリフォーム

・土地上に建物を新築

全員の同意が必要
管理行為 ・不動産を第三者に賃貸(土地は5年、建物は3年まで)

・物件価値を上げるための部分的なリフォーム

持分割合の過半数の同意が必要
保存行為 ・雨どいの改修や壁紙の交換など現状維持のための修繕

・不法占有者に対する妨害排除請求または返還請求

単独で可能

民法で規定されている「持分に応じて全体を使用できる」というのは、持分割合に応じて可能な行為が変わることを示しています。

現状維持のための修繕であれば他の共有者の同意を得なくてもおこなえますが、売却など不動産の権利関係に大きな変更が生じるような行為は共有者全員の同意がなければできません。この点が、所有者の自由な意思で建て替えや売却などをおこなえる「単独名義」との大きな違いです。

妨害排除請求は共有者の単独で可能

前述の3つの行為のうち、妨害排除請求権は保存行為の中に含まれます。つまり、他の共有者などに共有不動産の使用を妨害された場合は、単独で妨害排除請求権を行使できるということです。

共有持分権に基づく妨害排除請求が可能な2つのケース

共有持分権に基づく妨害排除請求権を行使できるケースは、主に以下の2つです。

  • 無断で共有不動産を売却、譲渡された場合
  • 無断で共有不動産を解体、大規模修繕された場合

ただしこれらのケースに該当する場合であっても、妨害排除請求が必ずしも認められるわけではない点に注意が必要です。妨害排除請求が認められるかどうかは個別的事情によるところが大きいため、自身では判断せずに弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

共有持分権に基づく妨害排除請求が可能な2つのケースについて、具体的に見ていきましょう。

無断で共有不動産を売却、譲渡された場合

共有不動産の売却は「変更行為」に該当するため、共有者全員の同意が必要です。しかし、ひとりの共有者が他の共有者の委任状を偽造して無断で売却してしまうケースもごく稀にですが存在します。もちろんこれは違法行為であり、委任状を偽造した方は有印私文書偽造罪などの刑事罰に問われる可能性があります。

有印私文書偽造罪
個人の印鑑や署名を無断で使用して契約書などの私文書を偽造した方に科される刑事罰。罰則は3か月以上5年以下の懲役

また、他の共有者も無断で共有不動産を売却した方に対して妨害排除請求をおこなうことが可能です。

無断で共有不動産を解体、大規模修繕された場合

共有している建物の解体や大規模修繕も「変更行為」に該当するため、共有者全員の同意がなければ実行できません。

使用できる建物がなくなってしまった、あるいは大規模修繕によって利用を制限された場合には持分割合に応じた使用権が侵害・妨害されたと考えられるため、妨害排除請求が認められることがあります

【判例】妨害排除請求が認められたケース

前述のように、ひとりの共有者が無断で共有物に変更を加える行為をしている場合、他の共有者は妨害排除請求をおこなえます。このケースでは、以下事例のように妨害排除請求が認められる可能性が高いといえます。

父が所有していた農地を父の死後に妻と4人の子で相続したが、共有者のひとりである長男が土地に居住用の家を建てるべく、無断で農地転用をおこなって宅地造成工事を実施した。

そこで同じく共有者のひとりである三男が原状回復を求めて長男に対して共有持分権に基づく妨害排除請求を提起したところ、裁判所は三男の訴えを認めて長男に対して原状回復をおこなうよう命じた(最高裁判所平成10年3月24日判決)。

なお、この裁判では一審、二審ともに長男の共有不動産に対する使用権を認めて三男の訴えを退けています。共有者のひとりが無断で共有不動産の変更行為を加えたとしても、必ずしも妨害排除請求が認められるわけではない点に注意が必要です。

【補足】共有者の一部が共有不動産を専有している場合は?

共有者のひとりが共有不動産を占有しているケースは少なくありません。もし共有者のひとりが共有不動産に住んでいて他の共有者が使用できない状況が現出されている場合、妨害排除請求を起こして明け渡してほしいと考える方は多いでしょう。

しかし共有不動産への居住は「変更行為」ではなく「通常の使用」と見なされるため、基本的に妨害排除請求は認められません。ただ住んでいるだけでは他の共有者の権利を侵害しているとは言い切れないためです。

ただし、黙って見過ごすしかないというわけではありません。共有者のひとりが共有不動産を占有している場合、他の共有者は「不当利得返還請求」をおこなえます

不当利得返還請求での賃料請求が可能

不当利得返還請求とは、法律に基づいた正当な理由がないにもかかわらずに利益を取得し、他者へ損失を与えた方に利益の返還を求める行為を指します。

共有不動産を占有している方に対しては、持分割合に応じた賃料の請求が可能です。ただし、請求できる賃料は法律で定められているわけではなく、当事者間の話し合いで決める必要があります。請求する賃料の目安は、周辺の家賃相場を参考にして決められるケースが一般的です。

たとえば、共有者が占有している共有不動産の賃料の相場が月10万円、不当利得返還請求を起こす方の持分割合が2分の1の場合に請求できる賃料は月5万円です。

不当利得返還請求は過去にさかのぼって適用されるため、仮に共有者が1年間にわたって占有を続けている場合は以下の金額を請求できます。

5万円×12か月=60万円

不当利得返還請求を起こす流れや注意点についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてご参照ください。

共有不動産の独り占めには賃料請求で対抗!不当利得返還請求を超簡単解説
不動産の共有者へ不当利得返還請求ができるケースや不当利得返還請求のやり方、不当利得返還請求を行わずにトラブルを解消する方法をわかりやすく解説します。この記事を読めば、共有者との賃料トラブルから解放されます。

妨害排除請求を起こす流れ

共有持分権に基づいた妨害排除請求を認めてもらうには、まず訴える共有者の住所地を管轄する裁判所へ申し立てて訴訟を起こす必要があります。その後、裁判所に訴えが認められれば共有者に対して共有不動産の明け渡しや原状回復などが命じられますが、解決までに半年~1年ほどの期間がかかるケースも珍しくありません

裁判にあたって多くの費用も必要となるため、時間や費用をかけずに共有不動産のトラブルを解消したい場合は、次の項目でも解説するように自身の共有持分のみを売却したほうがよいでしょう。

ここでは、妨害排除請求を起こす流れについて解説します。

弁護士に相談する

妨害排除請求をするには裁判を起こす必要がありますが、前述のように必ずしも訴えが認められるわけではありません。そのため、訴訟を起こす前にまずは法律の専門家である弁護士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします

その際、相談料として5,000円~1万円ほどの費用が必要です。また、妨害排除請求が認められそうで実際に裁判へ向けて動き出す場合には、着手金(結果にかかわらず必要)として30~50万円ほどを支払います。裁判で訴えが認められた場合は、報酬金として60~100万円ほどを支払う必要があります

内容証明で通知する

弁護士への相談後、いきなり訴訟を起こすことも可能です。しかし何の前触れもなく訴状を送っても、相手の態度が硬化するだけで解決までに時間がかかってしまいかねません。

そのため、訴訟を起こす前に内容証明を送り、話し合いで解決する道筋を探ったほうがよいでしょう。

内容証明を送る際に必要となる費用は以下のとおりです。

品目 金額 内容
郵便基本料 84円 内容物の重量が25gまでの場合
内容証明料 440円 2枚目以降は260円増
一般書留料 435円 内容証明を送るときは一般書留にする必要がある
配達証明料 320円 内容証明を配達した事実を証明するサービス

その他、本人限定受取を設定する際は210円、速達にする場合は260円(250gまで)追加でかかります。

また、弁護士を通じて内容証明を送付する場合は別途3~5万円の費用を支払う必要があります。

訴訟を提起する

内容証明を送って話し合いをおこなったとしても改善が見られない場合は、訴える共有者の住所地を管轄する裁判所に訴状を提出します。請求額が140万円以下の場合は簡易裁判所、それ以外の民事事件は地方裁判所が提出先です。

また、訴えを起こす際には以下の手数料が必要です。

訴訟の目的価額 申立手数料
100万円まで 10万円ごとに1,000円
500万円まで 20万円ごとに1,000円
1,000万円まで 50万円ごとに2,000円
1億円まで 100万円ごとに3,000円
50億円まで 500万円ごとに1万円
50億円超 1,000万円ごとに1万円

参照元:裁判所「民事訴訟費用等に関する法律別表第1(第3条、第4条関係)

たとえば、訴訟の目的価額が60万円だった場合にかかる手数料は以下のとおりです。

手数料=60万円÷10万円×1,000円=6,000円

また、裁判所から被告へ訴状などを郵送するための郵便切手代も負担しなければなりません。郵便切手代は裁判所ごとに異なりますが、東京地方裁判所の場合は6,000円で、当事者がひとり増えるごとに2,178円が加算されます。

参照元:裁判所「東京地方裁判所への民事訴訟事件又は行政訴訟事件の訴え提起における郵便切手の予納額について

なお、訴訟費用は訴える側がまず負担しなければなりませんが、裁判に勝ったら相手方から徴収することが可能です。ただし、弁護士費用は訴訟費用に含まれないため、裁判に勝っても負けても自身で負担する必要があります。

判決

裁判を経て妨害排除請求が認められれば、被告に対して共有不動産の明け渡しや原状回復などが命じられます。しかし、現実問題として裁判の判決に相手が従わないケースも少なくありません。そこで強制執行をおこなう際に必要となるのが、債務名義と呼ばれる公文書です。

債務名義には誰が誰に対してどのような内容を請求できる権利を有しているかが記載されており、判決後に裁判所で作成してもらえます。もし裁判に負けた共有者が判決に従わない場合でも、債務名義があれば強制執行が可能となるため、確実に共有不動産トラブルを解消できます。

また、弁護士へ支払う報酬金は判決後に支払います。ただし報酬金はあくまでも成功報酬であるため、敗訴した場合には支払う必要はありません。

トラブルから離脱するのが目的であれば持分の売却が有効

【共有持分】共有持分の買取相場

ここまで、共有者のひとりが共有不動産の利用を妨害している際に妨害排除請求訴訟を起こす流れについて解説してきました。

しかし、裁判で決着をつけるには相当の時間や労力が必要です。訴訟費用や弁護士費用として100万円以上のお金も負担しなければなりません。たとえ訴訟に勝ったとしても、弁護士費用は自身で支払う必要がある点に注意が必要です。

共有者のひとりが共有不動産を好き勝手に利用しているとはいっても、現在共有不動産を利用しなくてもとくに問題が生じていない、そもそも共有不動産自体にそこまでの思い入れがないといった場合には、自身の共有持分のみを売却してトラブルから抜け出すことをおすすめします。

前述のように、共有不動産を売却するには共有者全員の同意が不可欠ですが、共有持分のみの売却であれば他の共有者の同意は不要です。

ただし、共有持分のみを購入したとしても共有不動産には「共有者のうち過半数以上の同意がなければ第三者へ貸し出せない」「共有者全員の同意がなければ大規模なリフォームをおこなえない」といった利用制限があるため、一般の買い手はまず見つかりません。不動産仲介業者に売却を依頼しても、取り扱いを断られてしまうのがオチでしょう。

しかし共有持分を専門に取り扱っている不動産買取業者であれば、確実に買い取ってもらえます。共有持分専門の不動産買取業者には、他の共有者の共有持分も買い取ってから通常の不動産として再販したり、買い取った共有持分を他の共有者に転売したりして利益を上げるノウハウがあるためです。

弊社AlbaLink(アルバリンク)でも、これまでに数多くの共有持分を買い取ってまいりました。共有持分を活用するノウハウにも長けているため、より高額での買取が可能です。査定は無料なので、ぜひ他社と査定価格を比較したうえで検討していただければ幸いです。

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まとめ

共有不動産の売却や解体、大規模なリフォームなどの変更行為は、共有者全員の同意がなければ実行できません。そのため、共有者のひとりが無断で共有不動産の変更行為に着手した場合、他の共有者は妨害排除請求訴訟をすることが可能です。

しかし、裁判を通じて妨害排除請求が認められるまでに1年以上の期間がかかるケースも少なくありません。また、訴訟費用や弁護士費用として100万円以上の金額を負担する必要もあります。訴訟を起こしたとしても、必ずしも妨害排除請求が認められるわけではない点にも注意が必要です。

現在、共有不動産に関するトラブルを抱えており、なるべく手間や費用をかけずに解決したいと考えている場合は、自身の共有持分のみを専門の不動産買取業者に売却することをおすすめします。自身の共有持分のみの売却であれば、他の共有者の同意は必要ありません。1週間~1か月ほどで現金化できるため、共有不動産に関するトラブルをスムーズに解消できるでしょう。

弊社AlbaLink(アルバリンク)は、共有持分など一般の買い手が見つかりにくい不動産を専門に買い取っている買取業者です。共有不動産のトラブルからいち早く解放されたい方は、弊社までお気軽にご相談ください。

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「共有持分の妨害排除請求権」に関するよくある質問

共有持分権に基づく妨害排除とは?
共有不動産に対する共有持分を有している方は、持分割合に応じて共有不動産全体を使用できます。この共有不動産を使用できる権利が他の共有者に妨害・侵害されている場合、共有者は共有持分権に基づく妨害排除請求権を行使でき、権利を侵害している共有者に対して建物の明け渡しや原状回復などを求めることが可能です。
妨害排除請求権の具体例は?
過去の判例では、勝手に共有名義の農地を宅地に造成した共有者に対して原状回復するよう裁判所が判決を下しています。
農地の共有持分を放棄するにはどうすればいいですか?
共有持分は他の共有者の同意を得ずに放棄することが可能です。共有持分を放棄すると他の共有者がその権利を取得することになりますが、共有者と協力して持分放棄に伴う所有権移転登記をおこなう必要があります。
監修者
株式会社AlbaLink代表取締役の河田憲二です。同社は地方の空き家などの売れにくい不動産に特化して買取再販を行う不動産業者です。同社が運営しているサービスサイトである「訳あり物件買取ナビ」の運営者も務めています。同社は東京証券取引所東京プロマーケット市場にも上場している不動産会社です。

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