夫から妻への名義変更が必要になるシーン3選
夫から妻へ家の名義変更が必要になるシーンは、相続・贈与・財産分与の3つです。
- 相続
- 夫が亡くなった際に、妻が家の権利を受け継ぐこと
- 贈与
- 夫が亡くなった際に、妻が家の権利を受け継ぐこと
- 財産分与
- 夫と離婚するときに、妻に名義を移すこと
上記のうち、本記事では「相続」による夫から妻への名義変更について解説します。
相続よって名義変更する場合は期限があるため、相続発生からすみやかに手続きを済ませる必要があります。
夫から妻へ家の名義変更が行われる3つの場面については、以下の記事で詳しく解説しています。
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家の名義変更は夫の死亡から3年以内に済ませなければならない
亡くなった夫から妻へ家の名義変更をすることを「相続登記」といいます。
相続登記は令和6年4月から義務化が開始されました。
参照元:法務局|相続登記が義務化されます(令和6年4月1日制度開始)
相続で家を取得したことを知った日から3年以内に名義変更をしなければ、10万円以下の過料を命じられる可能性があります。
また、相続登記の義務化は施行日以前の相続も対象です。
そのため、過去に相続した不動産であっても、令和9年3月31日までに相続登記を完了しなければなりません。
相続登記の義務化については、以下の記事で詳しく解説しています。
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夫から妻へ名義変更をする前に押さえておくべき基礎知識
夫から妻へ名義変更をする前に押さえておくべき基礎知識として、以下3つが挙げられます。
相続の基礎知識を身につけて、正確かつスムーズに名義変更を完了させましょう。
相続人になれる人物は決まっている
故人の相続人になれる人物は、民法で定められています。
これを「法定相続人」と呼び、それぞれが受け継げる遺産の割合を「法定相続分」と呼びます。
夫が亡くなった場合、相続人となるのはもっとも相続順位の高い妻と子どもです。
子どもがいる場合は1/2ずつ遺産を分け合い、子どもがいない場合は妻がすべての財産を受け継ぎます。
法定相続分の割合や順位については、以下の記事で詳しく解説しています。
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妻は配偶者居住権が利用できる
子どもが家を相続した場合でも、妻は配偶者居住権が利用できるため、引き続き家に住むことが可能です。
配偶者居住権とは、亡くなった夫が所有していた家に引き続き無償で住むことができる権利です。
配偶者居住権には、最短で6ヶ月居住できる「配偶者短期居住権」と、最長で終身まで居住できる「配偶者居住権」の2種類があります。
配偶者短期居住権は、夫が亡くなったときに妻がその持ち家に無償で住んでいれば権利が認められます。
一方で、配偶者居住権が認められるためには以下2つの要件への該当が必要です。
- 亡くなった人が所有していた家に、死別時に配偶者が居住していたこと
- 遺贈・死因贈与・遺産分割・家庭裁判所の審判のいずれかで配偶者居住権を取得したこと
これらの要件に該当し、配偶者短期居住権・配偶者居住権が認められれば、名義人になるのは子ども・居住するのは妻といった状態も実現できます。
配偶者居住権については、以下の記事で詳しく解説しています。
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名義変更にかかる費用は事前に準備しておく
相続登記にかかる費用の目安は、以下のとおりです。
項目 | 費用の目安 | 支払うタイミング |
---|---|---|
必要書類の発行手数料 | 5,000円~1万円程度 | 書類を発行するとき |
登録免許税 | 固定資産評価額×0.4% | 登記手続きをするとき |
司法書士報酬 | 約10万円前後 | 登記が完了したとき |
登録免許税は、不動産の固定資産税評価額が2,000万円であれば8万円です。
固定資産税評価額は、毎年自治体から4月〜6月に送付される固定資産税納税通知書に記載されています。
【固定資産税納税通知書の見本】
相続登記をスムーズに完了させるためにも、事前にかかる費用を把握し、必要であれば資金調達などの準備をしておきましょう。
夫の死亡後に家の名義変更をする流れ4ステップ
夫の死亡後に家の名義変更をする流れは、以下の4ステップです。
相続登記は、相続人が1人で必要書類が手元にある場合は1週間〜2週間程度で完結するケースもあります。
ただ、提出書類に不備があると修正対応などに追われるため、自身で名義変更を行うのが難そうな場合は司法書士に依頼しましょう。
不動産を相続する全体の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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必要書類を収集する
まずは、相続登記で必要となる書類を収集しましょう。
法定相続分による相続登記の必要書類を、以下にまとめました。
必要書類 | 取得先 | 費用 |
---|---|---|
被相続人の戸籍一式 | 被相続人の本籍地の役所 | 1通450円〜750円 |
被相続人の住民票の除票 | 被相続人の本籍地の役所 | 300円〜400円 |
相続人の戸籍謄本 | 相続人の本籍地の役所 | 450円 |
相続人の住民票 | 相続人の住所地の役所 | 200円~300円 |
固定資産評価証明書 | 対象の家が所在する役所 | 200円~400円 |
登記簿謄本 | 法務局 | 480円〜600円 |
【固定資産評価証明書の見本】
【登記簿謄本の見本】
提出した戸籍謄本を返してもらいたい場合は、相続人との関係を図で表した「相続関係説明図」の準備も必要です。
相続関係説明図の書き方は、法務局のホームページで確認できます。
参照元:法務局「登記申請手続のご案内」
相続登記申請書を作成する
必要書類が揃ったら、相続登記申請書を作成します。
法定相続分によって家を取得する場合は、法務省のホームページから以下の登記申請書をダウンロードして記載しましょう。
相続登記申請書の作成ができたら、法務局で手続きを行います。
法務局で手続きを行う
相続登記の申請方法には、法務局の窓口・郵送・オンラインの3つの方法があります。
- 窓口
- 対象の家を管轄する法務局の窓口で申請する
- 郵送
- 登記申請書・必要書類を同封し、「不動産登記申請書在中」と記載して法務局に送付する
- オンライン
- 法務局のホームページから申請用総合ソフトをインストールし、申請・納付を行う
相続登記に関して不明点がある場合は、事前に法務局に電話予約をして窓口相談を利用しましょう。
登記識別情報を受領する
提出した書類に不備がなければ、新しい名義人宛てに1週間〜2週間ほどで登記識別情報が送付されます。
【登記識別情報通知の見本】
不動産取引の各登記手続きで必要となる重要な書類であるため、紛失しないよう大切に保管しましょう。
夫の死亡後に家の名義変更をしないリスク6選
夫の死亡後に家の名義変更をしないリスクは、以下の6つです。
時間に追われながら手続きを進めないためにも、相続発生後はすみやかに登記を完了させておく必要があります。
家を売却できなくなる
相続登記をしていないと所有権移転登記が行えないため、家の売却ができません。
所有権移転登記を行うには、登記上の名義人・売主が一致している必要があります。
家の所有者が亡くなると所有権は相続人に移りますが、第三者への権利の主張はできません。
自身が所有者であることを証明するためにも、相続登記後に送付される登記識別情報通知が必要です。
売買契約を結んでも、売却後に契約解除・損害賠償請求・違約金などが発生する可能性があります。
家を売却したいタイミングで煩雑な手続きが発生しないよう、早期に名義変更を完了させましょう。
家の建て替えが難しくなる
名義変更が完了していないと、将来的に家の建て替えが難しくなります。
亡くなった方の名義のままでは、住宅ローン利用時に抵当権の設定ができないためです。
住宅ローンを利用する際に金融機関が設定する権利。ローンの返済が滞ったときに金融機関が融資額を回収する目的で設定される
家を建てる際、多くの方が住宅ローンを利用します。
住宅ローンが利用できなければ、建て替えにかかる数千万円単位の金額を自己資金などで用意しなくてはなりません。
老朽化などで建て替えが必要になった際、資金調達で疲弊しないためにも名義変更を完了させておく必要があります。
家を自由に利活用できなくなる
ほかに相続人がいる場合、家を自由に利活用できなくなります。
相続登記が行われていない状態だと、相続財産は一旦共有状態となります。
共有不動産に対して各共有者ができる行為は限定されているため、自由に住む・貸す・売るなどができないのです。
たとえば、家を売却する際は、民法251条1項の「変更行為」に該当するため、共有者全員の合意が必要です。
相続の発生から早期に名義変更しておくことで、共有者間で合意を得る手間をかけずに家を自由に利活用できるようになります。
各共有者が共有不動産におこなえる行為については、以下の記事で詳しく解説しています。
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相続人が増えて権利関係が煩雑化する
ほかに相続人がいる場合、相続人が増えて権利関係が複雑になります。
たとえば、3人兄弟がいた場合、以下のようなケースで権利関係が複雑になります。
- 長男が亡くなり、長男の共有持分を配偶者取得する
- 共有持分を取得した配偶者が亡くなる
- 親・子どもがおらず、配偶者の兄弟が共有持分を取得する
上記のように、共有不動産の権利の一部である共有持分が細切れに受け継がれていくことで、権利者同士の面識がなくなるケースも珍しくありません。
連絡がとれない相続人が増えると、名義変更手続きのハードルはより一層高くなります。
相続登記を煩雑化させないためにも、相続の発生からすみやかに手続きを済ませておく必要があります。
子どもや孫の代に迷惑がかかる
子どもがいる場合、子どもや孫の代の負担が大きくなります。
たとえば、相続登記が完了していない間に相続人が亡くなると、戸籍謄本は2世代分の取得が必要です。
くわえて、司法書士報酬も相続人の数によって金額が変更するため、依頼費用も割高になります。
子どもや孫に必要以上の金銭的負担を負わせないためにも、親の代で名義変更を完結させるのが理想的といえます。
10万円以下の過料が科される可能性がある
前述したように、期限までに相続登記を完了させなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。
期限を過ぎても過料の対象とならないのは、登記できない「正当な事由」があった場合に限定されます。
法務省による正当な事由の一部を以下にまとめました。
- 相続人が多数おり、相続人の調査・書類収集に多くの時間を要する場合
- 相続登記の義務を負う者が、重病などの事情を抱えている場合
- 経済的困窮により登記申請の費用を負担できない場合
上記のような個々の事情を登記官が総合的に考慮して、はじめて正当な事由が認められます。
夫から妻への名義変更では、上記の正当な事由に該当せず過料の対象となる可能性が高いといえます。
夫から妻へ名義変更した家を売却するのも有効な手段
前述したように、名義変更を先延ばしにするとトラブルが発生しやすいため、相続登記は早期に済ませるのがベターです。
また、夫が亡くなったことで「維持費の負担が重い」「間取りが合わない」などの住みづらさが生じた場合は、売却も検討しましょう。
家を売却すれば、地方部への移住・子どもの近くに住む・バリアフリー物件に住むなど、選択肢が広がります。
くわえて、まとまった資金も得られるので、引越し代をはじめ、毎月の生活費・子どもの養育費など、金銭的な負担も軽くなります。
もし、夫から妻への名義変更を自身で行うのが難しい場合は、相続物件に強い専門の不動産会社に依頼すれば、名義変更が完了していない家でも売却が可能です。
専門の買取業者は、司法書士・弁護士など各専門家と連携をとりながら買取するためです。
次項では、全国の相続物件を数多く扱っている不動産買取業者である、弊社アルバリンクの買取事例をご紹介します。
アルバリンクなら名義変更のサポートを受けながら家を売却できる
弊社アルバリンクは訳あり物件専門の不動産買取業者として、他社では断られるような状態の家を数多く買い取ってきました。
そのため、名義変更が済んでいない家であっても問題なく売却が可能です。
たとえば、下記のように、名義変更していないまま月日が経ってしまっていた家も、担当者がフルサポートする形で買取を実現しています。
【相続登記していない家の買取事例】
引用元:Albalinkの空き家買取事例
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まとめ
夫から妻への名義変更は、相続の発生から3年以内に済ませないと10万円以下の過料が科される可能性があります。
そのほかにも、名義変更が遅れることで自由に活用ができなくなったり、相続トラブルが発生したりするリスクがあるため、早期に登記を完了させるのが重要です。
もし、家の「維持費の負担が重い」「間取りが合わない」などの悩みがある場合は、専門の不動産買取業者に売却するのも一つの手段です。
専門の買取業者であれば、司法書士など各専門家と連携があるため、名義変更が済んでいない家でも現状のままで売却できます。
相続した家を売却し、ご自身の生活スタイルに合った新居に引っ越すのも一つの選択肢として検討しましょう。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)も、相続物件に強い専門の買取業者です。
「相続登記ができていない」「相続人が複数人いる」といった家もお気軽にご相談ください。
無料査定・無料相談のみのお問い合わせも随時受け付けております。