殺人のあった事故物件の売却時に売主が負う告知義務
殺人のあった事故物件を売却する際、売主は告知義務を負います。
不動産取引時、買主(借主)にとって心理的抵抗を感じる恐れのある事由があるなら、売主(貸主)はその内容を契約前に買主(借主)に伝えなければならない。
物件内で過去に殺人事件が起きて人が死亡したという事実は、買主が物件を購入するか否かの判断に、当然大きな影響を与えるからです。
ただし、事故物件の与える心理的な抵抗は買主個々人の主観的な感じ方によって異なるため、どこまで告知すべきかの線引きは明確ではありません。
そこで、国土交通省の公表した宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドラインや実際の判例をもとに、殺人のあった事故物件の売却時に売主の負う告知義務について解説していきます。
- アパート・マンションの共用部分で起きた殺人も告知すべき
- 物件を解体し更地にしても告知する必要がある
- 告知義務を怠ると契約解除や損害賠償を請求される
告知義務に違反して物件を売却すると、のちに買主から損害賠償や契約解除を請求されることもありますから、これから解説する内容をしっかりと把握しておきましょう。
なお、事故物件の告知義務の基準や違反時のリスクについては以下の記事でも詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
アパート・マンションの共用部分で起きた殺人も告知すべき
ガイドラインによると、集合住宅の共用部分で殺人事件が起こった場合、買主が日常生活において通常使用しない場所であれば、原則として告知をしなくてよいとされています。
しかし、たとえ共用部分で起きた殺人事件であっても、売却時に必ず買い手に告知すべきです。
買い手によっては、殺人事件があったとなれば、共用部分であろうと物件の購入に心理的抵抗を感じるおそれが十分にあるからです。
詳しくは後述しますが、告知せずに物件を売却し、のちに買主が殺人のあった事実を知れば、売主は損害賠償を請求されるかもしれません。
このように、売却時の告知が不要かどうかは買主次第ですから、たとえ共用部分でおきた殺人事件だとしても、売主は買主にあらかじめ伝えておくのが無難です。
物件を解体し更地にしても告知する必要がある
殺人のあった建物を取り壊せば嫌悪感が薄れるように思う人もいるかもしれませんが、事故物件を解体し更地にしても売主の負う告知義務は無くなりません。
建物を取り壊したところで、殺人のあった場所であることに変わりはなく、間違いなく買主の購入判断に影響するからです。
実際、過去に建物内で起きた殺人事件について告知せず、建物解体後の土地を売却したとして、売主に損害賠償の支払いが命じられた判例もあります。
高額な費用をかけて事故物件を解体しても、結局買い手はつきにくいままです。売れ残れば解体費用分が全て赤字になってしまいます。
殺人のあった事故物件を確実に売却したい方は、無駄な費用をかける前に、専門の不動産買取業者に依頼し、そのまま売却することをおすすめします。(詳細は確実に売却するなら専門の不動産買取業者に依頼でお伝えします)
弊社でも、事故物件を専門として全国で無料査定や無料相談を承っておりますので、売却にお悩みの方は気兼ねなくお問い合わせください。
告知義務を怠ると契約解除や損害賠償を請求される
殺人事件があったことを知りながら、売主が故意に隠して事故物件を売却すれば、買主から契約解除や損害賠償等を請求されます。
売買後、契約書に記載の無い不具合が目的物(建物)に見つかれば、売主は契約不適合責任に問われるからです。
売買の目的物が契約の内容に適合しないとき、売主に発生する責任のこと。
契約不適合責任では、買主から売主に対して売買契約の解除や損害賠償(又は購入額の減額)を請求することが可能です。
実際に、約7年前の強盗殺人事件を告知しなかった売主に不法行為を認め、市場価額との差額及び弁護士費用、計1,735万円の支払いを命じた判例があります。
なお、事故物件の売却時に売主が負うべき契約不適合責任について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
殺人のあった事故物件の売却相場は通常物件のおよそ10~50%
殺人のあった事故物件の売却相場は、通常物件のおよそ10~50%ほどに下落するのが一般的です。
告知義務の対象となる人の死では、特殊清掃が行われた自然死・事故死よりも自殺のほうが売却価格は下がり、自殺よりも他殺のほうが売却価格は下がります。他殺となれば、50%どころか70%~80%ほど価格が下がることも珍しくはありません。
ただし、結局は買い手が事故物件の購入にいくら出せるのかによって、売却価格は異なります。どれだけ値下げしても、買い手がつかないおそれもあります。
とは言っても、正しい方法を選択できれば、たとえ殺人のあった事故物件であっても売却は可能です。その方法は次章の殺人のあった事故物件の売却方法でご紹介していきます。
他にも、売却価格に影響を与える要素はいくつかありますので、詳しく見てみましょう。
弊社では、殺人のあった事故物件も適正な価格で買い取りますので、「他社の買取価格に納得できなかった」という方も、ぜひお問い合わせください。
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なお、事故物件の売却価格の相場については、以下の記事でも解説しています。
売却価格に影響を与える要素
殺人事件による心理的瑕疵は、不動産そのものの欠陥ではなく、買主の心に与える嫌悪感を指します。ゆえに、事件から時間が経てば、買主の感じる嫌なイメージは徐々に薄れていくこともあります。
また、人の入れ替わりが激しく人間関係がドライな大都市圏と、先祖代々住んでいて近所付き合いが密接な地方の農村地域では、事件が風化するまでの時間は変わるでしょう。
このように、事件となった場所や、事件からどれくらい時間が経過したかなど状況によって事故物件の売却価格は変化します。
売却価格に影響を与える要素
- 地方は値下げが大きい、大都市なら値下げは小さい
- 事件直後は値下げは大きい、時間がたつほど値下げは小さくなる
- 凄惨な事件ほど値下げは大きい
一般的には、上記のような傾向で売却価格が決まります。
実際には、買主との交渉で合意できれば値下げしないこともあり得ます。しかし、殺人事件を告知する以上、事故物件は値下げしないとなかなか売れませんので、売主にとっては値下げするしかない苦しい事情があります。
殺人のあった事故物件の売却方法
お伝えしてきた通り、殺人(他殺)のあった物件は買い手に与える心理的抵抗が強いので、極端に売却価格が安くなることや、一生買い手がつかないこともあります。
とはいえ、殺人のあった事故物件であっても、正しい方法を選択すれば、売却は可能です。
では、殺人のあった事故物件の売却方法である下記の2つから、ご自身に合った売却方法を選びましょう。
- 仲介業者を通じて一般の買い手に対して売り出す
- 確実に売却するなら専門の不動産買取業者に依頼する
では、殺人のあった事故物件の売却方法を詳しく説明していきます。
一般の買い手に対して売り出す
買い手にとって殺人(他殺)事件の記憶が薄れているような事故物件であれば、仲介業者を通じて一般の買い手に売却できる可能性があります。
売却価格に影響を与える要素のように、地域の人間関係や事件発覚からの経過時間によって、買い手の受ける嫌悪感が弱まることもあるからです。
具体的には、以下のような事例が挙げられます。
- 人の入れ替わりが多く、人間関係の薄い都会で起きた事件
- ニュースであまり大々的に取り上げられておらず、あまり認知されていない事件
- 事件から数年が経過しており、周辺に住む人々の記憶から消えている
しかし、当然購入希望者が現れない限り、物件は一生売れ残ってしまいます。
殺人のあった事故物件を確実に売却したい方は、後述する専門の不動産買取業者に直接売却する方法をおすすめします。
確実に売却するなら専門の不動産買取業者に依頼
一般の買い手が購入したがらない殺人のあった事故物件も、専門の不動産買取業者は高確率で買い取れます。
自身が居住するために物件を求めている一般の買い手と違い、専門の不動産買取業者は物件を商品化したのち、自社での運用や再販といった事業目的で物件を購入するからです。
事業内容の例としては、リフォームをおこなってから賃貸物件として運用したり、大家に再販する等が挙げられます。
何年も居住するために購入するよりも、数年の間だけ借りるほうが、一般の個人にとって心理的抵抗が少なくなるので、不動産を扱うプロである買取業者であれば、事故物件を有効に活用できます。
商品化までにかかるリフォーム等の費用が物件の価格から差し引かれるものの、その分売主自身が負担する売却経費は一切ありません。家財等が残っている物件であっても、そのまま売却することが可能です。
弊社でも、殺人事件等によって瑕疵を抱えてしまった物件を積極的に買い取っています。
できるだけお客様のご要望に沿えるよう、弊社スタッフが対応いたしますので、ぜひご相談ください。
以下の記事では、事故物件を高額売却するコツを解説しています。
所有している事故物件を少しでも高く売りたい方は、ぜひ参考にしてください。
殺人のあった事故物件を売却する際の注意点
ここまで、殺人のあった事故物件の売却には告知義務が伴うことや、一般の買い手への売却が難しいことをお伝えしました。
それでは最後に、殺人のあった事故物件を売り出す際の注意点をご紹介します。
詳細はこれから説明しますが、事故物件を売り出すために費用をかけても、結局売れ残ってしまえば赤字になってしまいます。
余計な費用をかけてしまう前に、専門の不動産買取業者に相談することをおすすめします。
弊社でも、事故物件を専門に買い取っておりますので、お気軽にお問い合わせください。査定、ご相談のみでも承っております。
では、殺人のあった事故物件を売却する際の2つの注意点を、1つずつ見ていきましょう。
リフォームしない
事故物件を売却しやすくするためにリフォームをおこなうのはおすすめできません。
殺人のあった物件をリフォームし、見た目の印象を良くしたところで、一般の買い手の感じる嫌悪感を拭えないからです。
リフォームして結局売れ残れば、数十万円から数百万円もの費用がそのまま赤字になってしまいます。
余計な費用をかけてしまう前に、まずは専門の不動産買取業者への相談を検討するとよいでしょう。
専門の不動産買取業者なら高確率で買い取ってくれるので、条件面で折り合えばスピーディーに事故物件を現金化することが可能です。
解体しない
たとえ殺人のあった事故物件でも、安易に解体してはいけません。
数百万円もの高額な費用をかけて解体したところで、買い手が付きやすくなるとは限らないからです。
たしかに建物を取り壊して更地にすることで状況が改善し、買い手がつきやすくなる可能性はあります。
しかし、物件を解体し更地にしても告知する必要があるでもお伝えした通り、殺人のあった建物を解体して更地にしても、売主の負う告知義務は無くなりません。
殺人事件があったという事実が買い手に対して心理的に抵抗を与えることに変わりはなく、解体して売れ残れば解体費用分は全て赤字になります。
さらに解体後、買い手がつかないまま年を越してしまえば、以降は解体前の6倍もの固定資産税を支払い続けなくてはいけません。それまで適用されていた住宅用地の特例の対象外となってしまうためです。
参照元:東京都主税局|住宅用地の特例措置
以上のことから、解体費用ばかりか、莫大な税金を納めることになってしまわないためにも、安易に事故物件を解体せず、専門の不動産買取業者にそのまま直接売却することをおすすめします。
弊社でも、殺人のあった事故物件もそのまま買い取っておりますので、まずはご連絡ください。
なお、以下の記事では更地にしてから土地を売り出すリスクについて詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
まとめ
殺人のあった事故物件は、買い手に強い心理的抵抗を与えてしまいます。
事件から何年経過しようと、建物を解体しようと、売却時に売主の負う告知義務は無くなりません。
以上のことから、買い手が非常に付きにくく、売却価格が通常の物件よりも安くなったり、一生売れ残ってしまうこともあります。
そこで、殺人のあった事故物件を確実に売却したい方は、専門の不動産買取業者に相談し、直接買い取ってもらいましょう。
事故物件を専門とする買取業者に売却すれば、あなたは手間も費用もかけることなく、確実に物件を売却できます。
我々「株式会社Alba Link(アルバリンク)」は、事故物件などの売れにくい物件を専門とする不動産買取業者です。
お客様にご納得いただけるよう、弊社担当者が適正な価格で物件を買い取りますので、「他社の買取価格に納得できなかった」「他社で買取を断られた」という方は、ぜひ一度ご相談ください。