売れない土地の固定資産税が「おかしい」と感じる理由4選
固定資産税には独特な仕組みがあり、それが「売れない土地なのにおかしい」と感じる原因になっているといえます。
売れない土地の固定資産税が「おかしい」と感じる理由は、以下の4つです。
売れない土地の特徴については、以下の記事で解説しているので併せてお読みください。

利用していないのに課税される
固定資産税は土地の活用状況にかかわらず、所有者に課せられる税金です。
毎年1月1日時点で土地を所有している人は、使用の有無を問わず固定資産税を納めなくてはなりません。

これは、固定資産税が「応益原則」という考え方に基づいているためです。
応益原則とは、市町村が提供する公共サービスの恩恵を所有者が受ける可能性に対して課税する仕組みを指します。
つまり、土地を放置していても、そこで道路や上下水道といった公共サービスを利用する「権利」があることに対して課税されているのです。
使わない公共サービスの「権利」に対して継続的に所有者が費用負担することは、確かに納得しがたい状況といえるでしょう。
固定資産税が高すぎる
固定資産税の税額が高くなるのは、「住宅用地の特例」が適用されていないことも関係しています。
住宅用地の特例とは、居住用物件の敷地として利用されている土地について固定資産税を軽減する制度です。

この特例により、200㎡以下の土地は固定資産税の課税標準が6分の1・200㎡以上の土地は3分の1まで税額が軽減されます。
しかし、住宅が建っていない更地の場合、特例措置は適用されません。
そのため、同じ評価額の土地でも、住宅がある土地と比べて3倍から6倍もの税額になるのです。
売却の目途も立たず有効活用も難しい土地でありながら固定資産税の負担は容赦なく続く現実に、割り切れない思いを抱くのも当然といえるでしょう。
家が建てられないのに宅地扱いになっている
建物を建てられない土地でも、地目(土地の用途分類)が「宅地」になっていると、宅地としての高い税率で課税されます。
土地の地目には、宅地・田・畑・山林・原野・雑種地などがありますが、それぞれ評価方法や税率が異なります。
宅地はもっとも評価額が高く設定されており、公示価格の約7割程度で評価されているのです。
国土交通省が地価公示法に基づき毎年3月に公表する、土地の適正価格を表す指標
宅地の中でも、前面道路の状況や土地の形状などが原因で建物を建てられない土地は多く存在します。
建物を建てられない土地に対して宅地扱いの税金を取られることに、「おかしい」と感じる方が少なくないのも納得できます。
ただ、上記のような場合は、土地の所在地を管轄する役所に確認することで税額を下げられる可能性があります。
詳細は、記事内の「 売れない土地の固定資産税が「おかしい」と感じたときの確認事項2選」で解説しているのでご確認ください。
地価が下がっても税額が下がらない
土地の価格が下がっているにもかかわらず、固定資産税の金額が変わらない状況に違和感を感じる方も少なくありません。
固定資産税は本来、土地の評価額(公示価格の約7割)に税率をかけて計算されます。
しかし、市町村は評価額の変動によって税額が急激に変化することを防ぐため、段階的に調整する「負担調整措置」が取っています。
そのため、地価が下がっても税金の計算のもとになる金額は前年と同じか、少しずつしか下がらないという現象が生じるのです。
地価と税額のギャップについて、「おかしい」と感じる所有者は少なくないのが現状といえます。
売れない土地の固定資産税が「おかしい」と感じたときの確認事項2選
固定資産税には意外と多くの課税ミスや、知らないと損をする減免制度があるので「おかしい」と感じたらすぐに確認することが大切です。
売れない土地の固定資産税が「おかしい」と感じたときに確認すべき内容は、以下の2つです。
自治体の課税ミスが生じていないか
自治体による固定資産税の課税ミスが生じるケースは珍しくありません。
総務省の調査によると、平成21年度から平成23年度で税額修正が発生した市町村は97%を占めています。
ただ、1件でもミスがあれば1市区町村として計算されるため、「個人が課税ミスに遭う可能性の高さが97%」なわけではありません。
納税義務者の総数に占める修正者の割合は土地が0.2%となっており、確率的には低いものの、自分がその1人に該当する可能性もあるわけです。
修正の傾向は、増額修正が平均32.0%(0.1%)・減額修正が平均68.0%(0.1%)となっており、税額が減るケースのほうが多い結果となっています。
参照元:総務省「固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果」
税額修正の要因で割合が多いのは、以下の3つです。
- 評価額の修正(29.9%)
- 負担調整措置・特例措置の適用の修正(22.9%)
- 現況地目の修正(15.8%)
固定資産税に不服がある場合は、自治体の窓口で以下2つの制度を請求できます。
| 手続きの種類 | 対象となる事項 | 不服申立て先 (東京都の場合) |
|---|---|---|
| 審査の申出 | 評価額に関する不服(路線価、地積、地目など) | 東京都固定資産評価審査委員会 |
| 審査請求 | 評価額以外の不服(非課税、減免、住宅用地の認定など) | 東京都知事 |
どちらも、相談窓口は土地の所在地を管轄する市区町村役場の税務課や資産税課です。
審査の申出ができる期間は納税通知書の交付を受けた日から3ヶ月以内と定められているので、「税額がおかしい」と感じたら早めに確認しましょう。
納税通知書を受け取る時期は市区町村によって異なりますが、毎年4月〜5月頃に交付されるのが一般的です。
もし、審査で税金の払いすぎが認められれば、申立人に対して固定資産税の還付が行われる場合があります。
自治体による独自の減免制度がないか
各自治体では、さまざまな固定資産税の減免制度を設けています。
一例として、東京都では以下の減免措置を用意しています。
- 小規模非住宅用地に対する減免
- 商業ビル・テナントの敷地・駐車場などの非住宅用地に対して、200㎡までの部分に2割減免
- 不燃化特区内における老朽住宅除却後の減免
- 不燃化特区内における老朽住宅を解体した土地に対して、最長5年度分の固定資産税を8割減免
知らずに損をしないためにも、自分の土地が減免対象になるかどうか一度調べてみることをおすすめします。
減免制度の内容や申請方法は自治体によって異なるため、土地の所在地を管轄する市区町村の税務課や資産税課に確認しましょう。
空き家解体後の固定資産税の減免制度については、以下の記事で詳しく解説しています。

売れない土地の固定資産税が「おかしい」と感じたときの対処法6選
前述したように、売れない土地に高額な固定資産税が発生するケースは珍しくありません。
売れない土地の固定資産税が「おかしい」と感じたときの対処法は、以下の6つです。
自治体に納税猶予制度の相談をする
固定資産税の支払いが難しい場合、自治体に納税猶予を申請することで一時的に負担を軽減できます。
納税猶予制度とは、一時的に税金の支払いを遅らせてもらえる制度です。
東京都の場合、以下の要件に該当すると最長1年間の猶予期間内での分割納付が認められる場合があります。
- 事業で大きな損失が出たとき
- 本人や家族の病気・入院で高額な医療費がかかったとき
- 災害や盗難で財産に被害を受けたとき
- 事業をやめたり休んだりしたとき
参照元:東京都主税局「納税が困難な方に対する猶予制度について」
東京都以外でも、「◯◯市 納税猶予制度」とインターネットで検索すると、各市区町村で用意されている制度の詳細を確認できます。
納税課に申請書類を郵送などで送付した後、10日~20日程度で猶予決定通知書が納税者のもとに届くのが一般的な流れです。
ただし、すべてのケースで認められるわけではないため、まずは自治体の窓口で相談してみることをおすすめします。
土地貸しや土地活用をする
売れない土地でも、賢く活用することで固定資産税の負担を軽減できます。
土地の活用方法には、以下のような選択肢があります。
| 土地の活用方法 | かかる費用 | 得られる収入 | 収益の期待値 |
|---|---|---|---|
| 駐車場経営 | ◯ | △ | 月極駐車場1台あたり月額5,000円程度 |
| トランクルーム経営 | × | △ | 1人あたり月額5,000円程度 |
| イベントスペース | ◎ | ◎ | 1日あたり2万〜10万円程度 |
| 貸し農園 | ◯ | △ | 1人あたり月額5,000円〜1万円程度 |
| 貸し看板 | ◎ | × | 年間1万~5万円程度 |
活用によって収入が得られれば、固定資産税の支払いに充てることができ、場合によっては収益を上げることもできるでしょう。
お金のかからない土地活用10選については、以下の記事でも詳しく解説しています。

相続土地国庫帰属制度の申請をする
相続や遺贈で土地を取得した相続人であれば、相続土地国庫帰属制度で土地を手放せる可能性があります。
相続土地国庫帰属制度とは相続・遺贈で土地の所有権を取得した相続人が、一定要件のもとで国に土地を返せる制度です。

制度を利用すると、一般の不動産会社では買い手がつかないような土地でも手放せるメリットがあります。
ただし、制度の要件が厳しく、担保権が設定されている・土壌汚染がある・境界が不明瞭などの土地は申請自体ができません。
また、制度を利用するためには、審査手数料1万4,000円・負担金が原則20万円の支払いが必要です。
費用はかかりますが、活用予定がない土地の固定資産税の負担を軽減したい方は利用を検討しましょう。
相続土地国庫帰属制度が使えないといわれる理由については、以下の記事で詳しく解説しています。

不動産マッチングサービスを活用する
従来の不動産会社では売れなかった土地でも、不動産マッチングサービスを使うことで買い手が見つかる可能性があります。
不動産マッチングサービスとは、インターネット上で売主・買主を直接つなげるプラットフォームです。
代表的な不動産マッチングサイトを、以下にまとめました。
不動産マッチングサイトは、より多くの人の目に触れる機会があるため、居住用とは違う目的で土地を探している買主に出会えるかもしれません。
物件情報の掲載は無料であるサービスが大半なので、登録を検討しましょう。
土地の有償引き取りサービスを利用する
売れない土地を確実に手放したい場合は、有償引き取りサービスの利用を視野に入れましょう。
有償引き取りサービスとは、土地の所有者が一定の費用を支払うことで、業者に土地の所有権を移転してもらう仕組みを指します。
このサービスのメリットは土地の状態や立地に関係なく、ほぼ確実に土地を手放せることです。
ただし、不動産引き取り料の相場は50万円〜150万円程度で、まとまった費用が必要になります。
一時的な費用はかかりますが、将来にわたる固定資産税や管理コストと比較して検討してみることをおすすめします。
土地に強い不動産買取業者に直接売却する
もっとも実現しやすい対処法として、土地に強い不動産買取業者に直接売却する方法があります。
買取業者とは、売主から直接不動産を購入する業者です。

業者が買主となるため、一般的な不動産売却のように売れ残ったり、売却が長期化したりする心配がありません。
くわえて、土地に強い買取業者であれば、一般的な不動産会社では断られやすい以下のような土地でも対応できる場合がほとんどです。
- 立地条件がよくない土地
- 建て替えできない土地
- いびつ形をした土地
- 災害リスクのある土地
- 地中埋設物がある土地
ただし、買取業者に不動産を売却する場合は、市場価格の7割程度になるのが一般的といわれています。
売れない土地を高確率かつ適正価格で売却するためには、複数の専門の買取業者に見積もりを取ることが大切です。
次項では、全国の土地を積極的に買い取っている弊社アルバリンクの買取事例をご紹介します。
売れない土地の買取業者については、以下の記事で解説しているので併せてお読みください。

アルバリンクなら売れない土地でも高確率で売却できる
弊社アルバリンクは訳あり不動産専門の買取業者として、他社では断られるような土地も数多く買い取ってきました。
たとえば、下記のように権利関係や道路条件の問題で処分が難しい土地を買い取った実績もあります。
引用元:AlbaLink「買取事例」
弊社では問題解決にかかるコストや時間を事前に算出し、それを反映した価格で買取を行っています。
司法書士・土地家屋調査士・行政書士などの各専門家と連携し、煩わしい手続きをスムーズに完了できるからこそ、最短かつ適正価格での買取が実現できているのです。

上記の事例以外にも、弊社に買取依頼をしていただいたお客様からは「肩の荷が下りた」「色々不安だったがスムーズに売却できた」といった感謝の言葉を多数いただいております(下記Google口コミ参照)
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
信頼できる買取業者に安心して空き家を売却したい方はぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたからといって、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
売れない土地を放置するリスク4選
売れない土地の固定資産税に疑問を感じながらも、対策を後回しにする方は少なくありません。
しかし、問題を先送りにすると、さらに深刻な問題が発生する恐れがあるので早めの対処が必要です。
売れない土地の固定資産税が「おかしい」と感じたまま放置するリスクは、以下の4つです。
固定資産税を払い続けることになる
前述したように、土地を放置している限り、毎年確実に固定資産税の支払いは続きます。
たとえば、年間20万円の固定資産税がかかる土地を10年間放置すると合計200万円もの出費になってしまいます。
本来なら子どもの教育費・親の介護費用など、家族のために使えるはずだったお金が無駄な土地の維持費に消えることになりかねません。
さらに、固定資産税は3年ごとに評価替えが行われるため、地域によっては地価の上昇とともに税額が増える可能性もあります。
固定資産税の課税基準となる土地・家屋の評価額を3年ごとに見直し、地価変動や経年劣化を反映して適正な評価額に更新すること。
税負担による損失を最小限に抑えるためにも、活用しない土地は早期に処分するのが賢明です。
買い手を見つけるのがより困難になる
土地を放置すればするほど、売却におけるハードルは高くなります。
管理されていない土地は外観が悪化し、雑草が生い茂ったり、ゴミが不法投棄されたりして見た目の印象が悪くなるからです。
とくに、空き地を放置すると雑草が伸び放題となり、やがて木が生えて大きく成長するので除去の際には重機による伐採が必要になります。
買い手をスムーズに見つけるためには土地を常に良好な状態にしておく必要がありますが、想像以上に手間と費用がかかるものです。
放置して問題が大きくなる前に土地を処分しておけば、金銭的・精神的な余裕も生まれやすくなるでしょう。
近隣住民から苦情が寄せられる恐れがある
土地を放置していると、近隣住民から苦情が寄せられる可能性があります。
放置された土地は雑草が繁茂して害虫の発生源となったり、枯れ草による火災のリスクが高まったりするためです。

令和5年中に発生した火災の着火物別出火件数は枯草が19.1%で最多となっており、空き地を放置すると放火犯に狙われやすいことがわかります。
参照元:総務省消防局「第1章~第6章」
また、所有者のずさんな管理によって火災が発生した場合、損害賠償を請求される恐れがあります。
使わない土地であっても、定期的な草刈りや清掃などの最低限の管理は続けなければなりません。
子や孫の世代が相続トラブルに巻き込まれる可能性がある
放置された土地は、次の世代に大きな負担となって引き継がれてしまいます。
相続が発生すると土地の所有権は配偶者や子どもたちに移り、同時に固定資産税の支払い義務も引き継がれるからです。
とくに、複数の相続人がいる場合、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。

- 誰が固定資産税を負担するかで揉める
- 税金の支払いや管理を怠る共有者が現れる
- 土地の管理や活用方法で意見が分かれる
- 共有名義となり売却が難しくなる
また、長期間放置されていた土地は境界や権利関係が不明確になっていることが多く、相続手続き自体が複雑になりがちです。
このようなトラブルを避けるには、ご自身が元気なうちに土地の処分方法を決めておくことが大切です。
大切な家族に負担を負わせないためにも、早めの対策を心がけましょう。
まとめ
売れない土地にかかる固定資産税を「おかしい」と感じた場合、早めに対策をすることが大切です。
具体的には、自治体の納税猶予制度や減免制度を利用することで、一時的に固定資産税の負担を軽減できます。
ただし、税負担が軽くなったとしても、相続トラブルの発生や近隣住民から苦情を受けるリスクなど、土地に関する根本的な問題は解決しません。
長期的な視点で考えると、早めに土地を手放すのがもっとも効果的な解決策といえるでしょう。
当サイトを運営する弊社AlbaLink(アルバリンク)は売れない土地の買取に強い専門の買取業者です。
訳あり物件の買取を専門とする業者として、フジテレビの「newsイット!」で紹介された実績があります。

売れない土地をスムーズに売却して、肩の荷を下ろしましょう。
株式会社AlbaLinkは東京証券取引所のTPM市場に上場している不動産会社です。





