「法定地上権」とは土地を制限付きで利用できる権利のこと
法定地上権とは、「抵当権の実行」や「競売」などによって土地と建物の所有者が分かれた場合に、建物の所有者が土地を一定の制限のもと利用できる権利のことです。
抵当権は、万が一契約者が返済不能となった際に、不動産を売却して返済にあてられる権利を指します。
法定地上権は当事者たちの合意などによらず、法の規定により自動的に発生します。
しかし「法定地上権が何のため・誰のためにあるのかよく分からない」という方も多いと思いますので、ここでは法的地上権の概要を解説します。
法定地上権と混同しやすい他の権利との違いも見ていきましょう。
法定地上権が必要な理由
「法定地上権」とは基本的に、土地が競売にかけられたときに建物を守るための権利のことです。
抵当権は土地と建物それぞれに設定できるため、土地が競売にかけられた場合、建物所有者はその土地を利用できなくなる可能性があります。
例えば土地・建物所有者Aが、不動産を担保にローン組んで返済できない場合に、競売により土地と建物が強制的に分離処分されたとしましょう。
競売により、土地だけがCの所有物になってしまった場合に、もしAがCの土地を一切利用する権利がなければ、AはCの土地に勝手に建物を立てて「不法占拠」しているのと同じです。
これでは、Aが建物を取り壊して出て行かなければなりません。
そこで民法と民事執行法の規定により、建物所有者Aが建物の撤去や土地の明け渡しを強いられずに済むよう、土地を制限付きで利用できる権利が定められました。
これが法定地上権です。
反対に、Aの所有する建物の抵当権だけが執行され、建物が競落されてCに渡った場合は、建物のある土地にCの法定地上権が自動的に発生するので、Aはやはり所有する土地を100%自由には使えません。
建物に住む権利を守るための法定地上権が、土地所有者にとっては将来の長きにわたり大きな縛りとなってしまうのです。
なお、法定地上権はAとCの合意によらなくても自動的に成立するので、条件が揃っていた場合は逃れようがありません。
「法定地上権」と「地上権」の違いは合意の有無
法定地上権と混同しやすい権利に「地上権」があります。
「地上権」と「法定地上権」の違いは、地上権についての合意が土地所有者と建物所有者の間にあるかどうかです。
地上権は他人の土地を使用するための権利で、土地所有者と建物所有者が話し合って土地利用の権利を取り決め、地上権を設定します。
地上権の設定された建物所有者は、土地所有者の許諾がなくても以下の行為を土地に対して自由に行えます。
- 建物の売却
- 担保設定
それに対し、法定地上権は地上権の一部ですが、競売などによって強制的・自動的に発生する点が違いです。
「地上権」と「賃借権」との違いは土地に対する権利の強さ
地上権と似た権利に「賃借権」があり、「地上権」と「賃借権」の違いは、土地を借りる権利の強さです。
賃借権とは、借地人が土地の「賃貸借契約」に基づいて土地を利用する権利のことで、主に居住用の住宅を建てる目的で、地主から土地を借りる際に設定されます。
賃貸借契約では、借地人は地主に対して契約で定められた地代を支払う代わりに、借地上に建物を建てる権利を得ます。
賃借権では、第三者に対して借りている土地に関する権利を主張できず、建物を「建て替え」「売却」「転貸」する場合には、土地所有者から売却の承諾が必要です。
それに対し、地上権では建物所有者が第三者に土地の権利を主張でき、建物を売却するときにも土地所有者の承諾は必要ありません。
つまり、賃借権では地上権ほど建物所有者の土地利用に自由がないことになります。
そのためアパートや賃貸マンションにおいて、ほとんどの大家は賃借人に対し、地上権ではなく権利の弱い賃借権を設定するのです。
法定地上権のある土地では、建物所有者に強い権利を与える地上権が自動的に発生することになり、土地の所有者は賃借権を選択する余地がありません。
なお地上権と賃借権の違いについてもっと知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
法定地上権が成立する4つの要件
賃借権よりも建物所有者に強い権利を与える法定地上権は、以下の要件により成立します。
成立要件が揃うと法定地上権は自動的に成立するので、自分の土地が当てはまるかどうかチェックしましょう。
抵当権が設定されたときに土地に建物が存在していること
法定地上権が成立する要件の1つ目は、抵当権設定当時に土地に建物が存在していることです。
もし、土地に抵当権が設定された後で建物を建て、土地が競売・競落された場合には、土地と建物の所有者が異なっていても、抵当権の設定当時に土地上に建物が存在していないため、法定地上権は成立しません。
抵当権設定後の建造が要件外となる理由は、金融機関が融資審査を行う際に、土地を更地として評価しており、もし後から建物が建って法定地上権が成立してしまうと、金融機関が不利益を被る恐れがあるからです。
もし抵当権の設定後に建てられ、法定地上権が成立しない建物を落札してしまうと、不法占拠扱いの建物を入手したとみなされる可能性があります。
未登記の建物であっても法定地上権は成立する
未登記の建物であっても、法定地上権は成立します。
参照元: Wikibooks「民法第388条」
抵当権の設定時に土地上に建物が建っていた場合は、土地・建物の担保評価のもと、融資額が決定されます。
融資審査を受けた時点の評価が採用されるため、登記の有無は、法定地上権に影響を与えません。
過去には、抵当権の設定時に所有権移転登記を経由していなかった土地・土地上の建物について、法定地上権が成立した裁判例もあります。
参照元:裁判所「昭和53(オ)533」
土地・建物が共有名義でも法定地上権は成立する
共有名義の土地・建物の両方に抵当権が設定されている場合、法定地上権は成立します。
この場合、共有者の人数は問われません。
土地・建物のすべてが共有状態であれば、所有者は1人としてみなされるためです。
ただし、共有者の土地の共有持分にのみ、抵当権が設定されている場合、法定地上権は成立しません。
詳細は、記事内の「共有者のいずれか1人の土地の持分にのみ抵当権が設定された場合」をご確認ください。
共有名義の解消方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
抵当権が設定されたときに土地と建物の所有者が同じであること
法定地上権が成立する要件の2つ目は、抵当権設定時に土地所有者と建物所有者が同一であることです。
抵当権の設定前に土地所有者と建物所有者が別である場合は、法定地上権は成立しません。
もともと所有者が異なる場合は、抵当権の設定以前から通常の地上権が設定されているのが一般的であり、法定地上権の必要がないとされているためです。
土地か建物、または両方に抵当権が設定されていること
土地もしくは建物に抵当権が設定されているか、土地・建物両方に抵当権が設定されていると、法定地上権が発生します。
不動産は宝飾品やブランド品のように質権を設定できないので、占有権を移さなくても担保を設定できるようにしたのが抵当権と考えると分かりやすいでしょう。
土地や建物に抵当権が設定されていると、通常は競売によって土地と建物の所有者が分かれることになるため、法定地上権が成立するのです。
抵当権の設定は法定地上権が成立する一般的な要件ではあるものの、後述する「強制競売」や「公売」で土地所有者と建物所有者が分かれた場合は、抵当権の有無によらず法定地上権が成立します。
なお、土地と建物の両方に抵当権が設定される状況について知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
競売によって土地と建物の所有者が分かれていること
競売によって土地と建物の所有者が分かれた場合は、抵当権の有無によらず法定地上権が成立します。
抵当権が設定されていなくても、土地や建物を差し押さえられて競売にかけられることがあり、これを「強制競売※」といいます。
※強制競売とは
抵当権を持たない債権者が行う「公文書(債務名義)によって実行される競売」のこと。
債務名義とは、債権者名・債務者名および給付請求権の存在・範囲などを記載した公文書のことで、「確定判決」や「支払い督促」「公正証書」「和解調書」などを指します。
強制競売は担保を取っていない債権者が債権を回収するための制度で、債権者が裁判所に申し立て、裁判所が不動産を競売にかけます。
競売や強制競売以外にも、土地と建物の所有権が分かれて法定地上権が発生するシチュエーションがありますが、詳細は次の項で解説します。
法定地上権が発生する3つのシチュエーション
法定地上権の成立要件を踏まえて、土地と建物の所有者が分かれて法定地上権が発生する具体的なシチュエーションを見てみましょう。
主な発生シチュエーションは以下の3つです。
抵当権を設定して支払いができず競売が起こった場合
法定地上権が発生するシチュエーションとしてもっとも多いのが、土地や建物に抵当権が設定された状態で債務を履行できず、競売にかけられた場合です。
債務者の支払いが滞り、抵当権者(債権者)が競売にかけた土地・建物のいずれかが競落されると、土地と建物の所有権が分かれるため、法定地上権が成立するのです。
下記アンケート結果からもわかるとおり、職場や家庭環境の変化などにより、住宅ローンの返済が途中で困難になるケースは珍しくありません。
住宅ローンの滞納などによって差し押さえ・競売にかけられると法定地上権は発生します。
なお債権者による差し押さえの流れを詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
土地または建物が強制競売にかかった場合
法定地上権が発生する2番目のシチュエーションは、土地や建物の所有者が抵当権の設定されていない借金の返済を滞納し「強制競売」にかけられた場合です。
担保を取らない一般の債権者が、裁判を起こし不動産の「強制競売」を申し立てた場合も、土地と建物の所有者が分かれれば法定地上権が発生します。
強制競売は、消費者金融やクレジットカード会社などによる無担保ローンの債権回収で発生するケースが多いです。
税金を滞納し強制処分を受けた場合
法定地上権が発生する3番目のシチュエーションは、税金を滞納し強制処分を受けた場合です。
不動産の所有者が税金を滞納すると、国による強制処分が行われ、不動産が「公売※」にかけられることがあります。
※公売とは
国税局や税務署が差し押さえた財産を滞納国税に充てるため、広く買受希望者を募って売却すること。
公売で土地所有者と建物所有者が異なる状態になった場合も、国税徴収法により抵当権の有無にかかわらず法定地上権が発生します。
法定地上権が成立しない3つのシチュエーション
法定地上権が成立しないシチュエーションは、以下の3つです。
それぞれ解説します。
抵当権設定後に建物ができた場合
抵当権の設定時は更地、その後に建物を建てた場合は、法定地上権が成立しません。
競売で建物を取得しても自由に利活用できないため、抵当権の実行時は土地・建物をセットで出品する「一括競売」がおこなわれます。
一括競売であれば、土地・建物の落札者は同一人物であるため、法定地上権も不要です。
建物が建てられた時期・抵当権の有無が不明な場合は、法務局で登記事項証明書を取得しましょう。
表題部の「原因及びその日付」に建築年月・権利部の「登記の目的」で抵当権の有無を確認できます。
【登記事項証明書の見本】
土地に抵当権を設定していた債権者に優先弁済権が生じる
前述したように、抵当権の設定後に建物が建っている状況で一括競売が開始された場合、土地の債権者に優先弁済権が生じます。
優先弁済権とは、ほかの債権者に先立って弁済を受けられる権利です。
競売物件の価格は、市場相場の7割程度といわれています。
無事に競売物件が売却できたとしても、金融機関が融資額を全額回収できるケースは多くありません。
そのため、担保権をもつ債権者の不利益を最小限に抑えられるよう、優先弁済権が認められているのです。
共有者のいずれか1人の土地の持分にのみ抵当権が設定された場合
共有名義不動産の抵当権の設定には、不動産全体・共有持分の2パターンがあります。
共有名義の土地の共有持分にのみに抵当権が設定されている場合、法定地上権は成立しません。
たとえば、A・B共有の土地・建物があり、Aの土地の共有持分に抵当権を設定し行使された場合、落ち度がないBまで土地を自由に利活用できなくなります。
そのため、抵当権の設定に関与していないBが不利益を被らないよう、法定地上権が成立しない仕組みになっているのです。
過去の裁判例でも、共有者の持分の強制競売による法定地上権は成立しないされた事例もあります。
参照元:裁判所「 平成4(オ)98」
共有持分に抵当権を設定するリスクについては、以下の記事で詳しく解説しています。
建物を取り壊したのち、再建した場合
抵当権の設定時に土地上に存在していた建物が取り壊され、再建した場合、原則として法廷地上権は消滅します。
ただし、例外的に以下2つの条件に該当する場合は、再建した建物への法定地上権が成立します。
- 再建した建物の所有者・土地の所有者が同一人物であること
- 土地に抵当権を設定した金融機関等が、土地と同順位の抵当権を再建した建物に設定した場合
基本的には、建物を取り壊して再建した場合は、法定地上権は成立しません。
法定地上権の成立から原則30年は明け渡しを請求できない
建物所有者にひとたび法定地上権が設定されると、自分の土地でありながら、以下のような長期にわたり自由に活用できなくなってしまいます。
なお借地借家法における明け渡し請求が正当となる事由を詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
法定地上権の期限は30年
借地借家法上、法定地上権が成立してから30年間は法定地上権が存続するとされています。
つまり法定地上権が成立してから少なくとも30年間は、建物所有者に対して建物の撤去や土地の明け渡しを要求できないという意味です。
更新拒絶しなければさらに20年
法定地上権成立から30年経過後、更新を拒絶しなければ借地権は自動更新され、更新後の存続期間は20年です。
それ以降は10年ずつ更新され、法定地上権は延々と存続し続けます。
更新を拒絶するには「正当な事由」が必要で、詳細は事項で解説します。
正当な事由がなければ更新拒絶はできない
法定地上権は「正当な事由」がない限り更新を拒絶できないとされています。
「正当な事由」は明確な基準が定められているわけではなく、以下の要素から総合的に判断されます(番号の若い方から優先的に判断)。
- 賃貸人と賃借人それぞれが建物を使用する必要性
- 建物の賃貸借に関する経過(地代の支払い状況など)
- 建物の利用状況
- 建物の現況(耐用年数など)
- 建物の明渡しの条件として示した財産上の給付(立ち退き料)の申し出
実際には、土地所有者側が更新を拒絶するために高額な立ち退き料を支払うケースが一般的です。
もともと法定地上権は建物所有者の長期にわたる安定した権利を保障するものであるため、実務上は貸主である土地所有者が負担を強いられる場合がほとんどです。
法定地上権成立後、明け渡し要求できる5つの条件
法定地上権は最低でも30年、更新されて20年、さらに10年ずつ延々と存続し続けることが分かりました。
ただし以下のいずれかを満たした場合に限り、土地所有者側から建物所有者に建物を明け渡すよう請求することも可能です。
ただし、上記に当てはまるからといって必ず立ち退いてもらえるわけではなく、更新拒絶と同様、総合的に判断されるのが一般的です。
建物所有者が地代を長期にわたって滞納した
明け渡し要求ができる条件の1つ目は、建物所有者が地代を長期にわたって滞納した場合です。
法定地上権の解除事由となる具体的な滞納期間については明示されていませんが、少なくとも3ヵ月以上と考えられています。
1~2ヵ月程度の地代滞納では、法定地上権を解除できるほどの債務不履行とはまず認められません。
実際には、地主側の土地を使用する必要性や、賃借人側の転居可能性なども考慮して判断されるケースが多いです。
お互いの合意のもと法定地上権を解除した
明け渡し要求ができる条件の2つ目は、お互いの合意のもと法定地上権を解除した場合です。
法定地上権は最低30年存続するとされものの、建物所有者と土地所有者が合意すれば、30年未満の期間中に解除することが可能です。
法定地上権を解除する条件については、当事者間で自由に決めてよいとされており、具体的には以下のような取り決めの事例があります。
- 土地所有者が建物を買い取る
- 建物の撤去費用の一部を土地所有者が負担する
実際には、立ち退きにともなう賃借人側の負担を減らす解除条件を設けるのが一般的で、このほうが合意を得やすいといえます。
法定地上権の期間満了後、正当事由により更新しなかった
明け渡し要求ができる条件の3つ目は、法定地上権の期間満了後「正当な事由」により更新しなかった場合です。
法定地上権の期間終了時に賃貸借契約を更新しなければ、基本的に法定地上権は消滅します。
ただし期間が満了しただけで更新拒絶が可能になるわけではなく、更新拒絶には以下の正当事由が必要です。
- 建物の老朽化が進んでいる
- 土地所有者側に土地利用の必要性が高い
- 建物所有者(賃借人)に建物使用の必要性が低い
- 土地所有者が建物所有者(賃借人)に適正な立ち退き料を支払える
これらを満たす場合、賃貸借契約の更新拒絶が認められる可能性は高くなりますが、100%ではありません。
建物が老朽化または消滅した
明け渡し要求ができる条件の4つ目は、建物が老朽化または消滅した場合です。
建物が著しく老朽化していたら、賃貸借契約の途中であっても、土地所有者から解約申し入れできる可能性があります。
建物の現況については、年数や残存耐用年数から使用が可能かどうかが考慮されまが、以下の場合は解約の正当事由が認められ、建物の撤去と土地の明け渡し請求が可能です。
- 倒壊の危険があるほど外壁が崩れるなど、建物が著しく老朽化している
- 築年数が古く現行の耐震基準を満たしていない
また建物が滅失した場合には、当然ですが法定地上権はなくなります。
建物の残骸が残っていたら、建物所有者に撤去させたうえで、土地を明け渡してもらえるとされていますが、事例はあまりなく、レアケースといえるでしょう。
建物の使用を必要とする事情があり、立ち退き料を支払った
明け渡し要求ができる条件の5つ目は、貸主側に建物使用が必要な事情があり、適正な立ち退き料を支払った場合です。
具体的には、以下のようなケースが挙げられます。
- 地主自身や家族が、居住のためにその土地に家を建てる必要がある
- 地主の事業拡張のため、隣接する会社の用地を広げる必要がある
ただし、地主の自己都合による立ち退き請求の場合には、適切な立ち退き料の支払いが必要です。
「適切な立ち退き料の支払い」とは、地主が借地人の経済的損失を補償(財産上の給付)する十分な意志を表明したとみなされる支払いを指し、具体的な補償内容は以下のとおりです。
- 借地権の補償
- 転居費用および移転先の敷金・礼金
- 賃料差額の補償
- その他借主が被る経済的損失に対する補償
しかし、どんなに高額な立ち退き料を支払ったとしても、それだけで地主が契約の更新を拒否したり、借地契約を解除したりすることが正当化されるわけではありません。
例えば、以下のような借地人側の事情によって、立ち退き料支払いによる立ち退き請求が適正でないと判断されるケースがあります。
- 借地上の建物に住んでいる、あるいは健康的、経済的、家庭や職業上の理由で転居が困難
- 他に適切な住居を所有していない
また、立ち退き請求が正当かどうかの判断においては、財産上の給付意思よりも、あくまで地主にとっての土地使用の必要性が優先される点にも留意しましょう。
法定地上権成立後の地代の決め方
法定地上権も借地権の1つであり「地代」が発生するので、金額を決めて建物所有者に支払ってもらう必要があります。
地代の決め方は以下の2つです。
地代の決め方は複雑で、実際にトラブルになることも多いため、土地所有者(賃貸人)と建物所有者(賃借人)で十分協議することが大切です。
地代の金額は当事者間で話し合う
法定地上権成立後の地代は、土地所有者と建物の所有者(賃借人)が話し合って決めるのが一般的です。
地代の決め方は、近隣の相場や双方の事情を総合的に考慮して決めますが、基本的には以下の金額をもとに算出されます。
- 固定資産税・都市計画税額
- 公示価格・基準地価
- 相続税路線価(積算法・賃貸事例比較法・収益分析法)
特に法律で定められた金額はなく、実際には、複数の計算方法を組み合わせ、双方の事情も考慮して総合的に算出するケースが多いです。
目安としては、固定資産税の3~4倍、更地評価額の1%程度とされています。
なお、地代の決め方についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
合意できない場合は地代確定請求訴訟を起こす
両所有者の協議で地代の合意ができなければ、裁判によって地代を確定させる「地代確定請求訴訟」が必要です。
地代確定請求訴訟を通じて、裁判所が適正な地代を決定します。
裁判での土地評価額は、競売手続時の不動産鑑定士による調査結果にもとづき、新規賃料を「積算方式」、継続賃料を「スライド方式」で決める場合が多いです。
しかし裁判ともなれば、少なくとも10万円以上の出費は避けられず、裁定が下るまでに数ヶ月にも及ぶ時間がかかってしまうでしょう。
煩わしい地代のトラブルを回避するには、法定地上権のある土地を手放すことも1つの方法です。
なお賃料のトラブルを抱えた底地を手放す方法については、以下の記事が参考になります。
法定地上権のトラブルはプロに相談するのがベスト
あなたが所有する建物が競売(公売)にかけられると、落札者に法定地上権が設定される可能性が高いです。
その場合、あなたが所有している土地は自由に処分できなくなるうえ、半永久的に地代や明け渡し請求といったタフな交渉に悩まされるでしょう。
ひとたび交渉が抉れれば裁判にもなりかねず、裁判になれば多額の弁護士費用が生じ、判決まで数年かかることも珍しくありません。
それならば、法定地上権のトラブルにお悩みの場合は、専門の買取業者に相談するのがおすすめです。
専門の買取業者に相談すれば、法定地上権が設定された建物のある土地でも、問題なく買い取ってもらえます。
法定地上権に強い買取業者ならば、買い取った土地を再生・活用し、利益化するノウハウを持っているからです。
法定地上権のトラブルを抱えた不動産は、専門の買取業者に相談して解決・売却するのが有効な策といえます。
弊社Albalinkの法定地上権のある土地の買取事例
前述したように、法定地上権にまつわるトラブルを抱えた不動産は、専門の買取業者に売却するのが有効な手段です。
そこで、弊社AlbaLink(アルバリンク)を例に挙げ、複雑な権利関係を抱える不動産をどのように買い取るのかについてご紹介します。
弊社には、法定地上権の設定された土地を買い取った後、建物の所有者と話し合いを持ち、建物も買い取ったうえで土地・建物を一緒に再販する、といったノウハウがあります。
弁護士と提携している弊社は、法定地上権のように複雑な利権の絡んだ話し合いでも、法に則り円満・平和的に進めることが可能です。
これまでも、弊社は訳アリ物件専門の買取業者として、地主と借地人がトラブルになっているなど、他社では断られるような底地・借地を多数買い取ってきました。
たとえば、弊社では以下のような借地を190万円で買い取った実績もあります。
築年数 | 54年 |
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物件の所在地 | 東京都荒川区 |
借地の状況 | ・10坪ほどの土地に木造2階建の戸建が建っている ・建築基準法を満たしておらず再建築できない土地 |
借地売却に関する地主様の要望 | ・売却を承諾するための費用(譲渡承諾料)を更地価格の10%とする ・借地の更新料を更地価格の8%~10%とする ・宅建業者が買い取った場合、転売時に承諾料を支払うこととする など |
買取価格 | 190万円 |
買取時期 | 2023年8月 |
上記の「借地売却に関する地主様の要望」からもわかるように、この借地は売却に関する地主様の要望が厳しく、依頼主様(借地人)は他社では買取を断られてしまったようです。
とくに転売時に承諾料がかかる点が買取業者に負担となるため、買取を敬遠する業者が多いのも無理はありません。
このように、地主の要望が厳しく、再建築もできず、建物の築年数も古い借地であっても、弊社が190万円で買い取れる理由は以下の2つです。
- 土地の利権に強い弁護士と提携しており、利権問題を解決した上で運用・再販できるため
- 借地の再販先が豊富であり、買取に際して費用がかかっても(承諾料など)利益を生み出せるため
実際、弊社は底地・借地をはじめ、訳あり不動産の買取実績が600件以上(2023年1月〜10月時点)あり、これまで買取をおこなったお客様からも「買い取ってもらえてホッとした」「早く依頼すればよかった」といった好意的な評価を多数いただいております。
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
法定地上権のある土地を手間や費用をかけることなく、なるべく高値で売却したい方は、ぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたことが、借地人に知られることはありませんので、ご安心ください)。
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まとめ
今回は競売などで他者に渡った不動産の法定地上権について解説しました。
競売・公売によって土地と建物の所有者が分かれると、建物所有者に土地使用を認める法定地上権が設定されます。
しかしひとたび法定地上権が生じたら、土地所有者は30年以上の長期にわたって自分の土地を自由に使用できなくなり、建物所有者とのトラブルにも悩まされる可能性が高いです。
そのような不利益を被る前に、法定地上権が絡んだ土地は専門の買取業者に売却して手放すのがおすすめです。
専門の買取業者に相談すれば、弁護士などの専門家とも提携し、どんなに難しい権利問題でも円満に解決してくれます。
さらに訳あり不動産の買取実績が豊富な業者ならば、どんな物件でも再販・利益化できるノウハウがあるため、複雑な権利関係の物件でも高額で買い取れる可能性があります。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、法定地上権のついた底地や再建築不可物件などの訳あり物件を専門に買い取っている業者です。
上場も果たし、多数のメディアにも紹介され、不動産買取業者としての高い社会的信用度も得ています。
「建物所有者を円満に退去させたい」「煩わしい権利関係から解放されたい」という方は、ぜひ弊社にご相談ください。
専門のスタッフが誠心誠意、問題解決に努めさせていただきます。