空き家を駐車場にする方法は2種類ある
空き家を駐車場にする方法には、以下の2種類があります。
- コインパーキング
- 月極駐車場
また経営方式にも次の3種類があり、それぞれ特徴が大きく異なります。
- 一括借り上げ方式
- 管理委託方式
- 自主経営方式
駐車場経営を始めたいなら、まずは前提となる基礎知識を押さえておきましょう。
ここでは、空き家を駐車場にする方法について詳しく解説します。
「コインパーキング」と「月極駐車場」の違い
コインパーキングとは、不特定多数の利用者が空いているスペースに車を止め、利用時間に応じた料金を支払う駐車場です。
時間単位で駐車スペースを貸す仕組みであり、「時間貸し駐車場」と呼ばれることもあります。
それに対して月極駐車場とは、車の所有者と1か月単位で駐車スペースを貸す契約を結ぶ駐車場のことです。
契約期間は1~2年が一般的で、利用者とは賃貸借契約書を交わします。
コインパーキングと月極駐車場のメリット、デメリットを以下の表にまとめました。
駐車場の種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
コインパーキング | ・立地や料金設定によっては月極駐車場よりも多くの収益を得られる可能性がある ・狭小地や不整形地でも比較的始めやすい |
・利用状況に応じて収益が変動しやすい ・設備の導入費が必要 |
月極駐車場 | ・コインパーキングよりも初期費用を抑えられる ・安定した収益を得られる |
・空きスペースが増えるほど収益が下がる ・違法駐車される恐れがある |
初期費用の観点からすると、月極駐車場に軍配が上がります。
更地に線を引いて駐車スペースを確保すると始められ、コインパーキングのように機械を設置する必要がないためです。
一方、収益性を求めるならコインパーキングがおすすめです。
月極駐車場は契約している駐車台数によって収入が決まります。
土地の広さによっては、思っていたよりも収益を得られないケースも少なくありません。
しかし、コインパーキングは車の出入りが多いほど収益が上がります。
駅や商業施設などの近くに空き家がある場合には駐車場利用者の需要が見込め、月極駐車場よりも多くの収益を得られる可能性があります。
3つの経営方式がある
駐車場の経営方式は、「一括借り上げ方式」「管理委託方式」「自主経営方式」の3種類です。
経営方式によって初期費用や維持費が異なるため、違いをしっかりと押さえておきましょう。
一括借り上げ方式とは?
一括借り上げ方式とは、駐車場運営会社に土地を貸し出して運営業務のすべてを委任する経営方法を指します。
コインパーキング経営において一般的な方式です。
一括借り上げ方式では、機械の設置費から維持・管理費まですべて駐車場運営会社が負担してくれるので、初期費用をかけずに気軽に駐車場経営を始めたい方に向いています。
ただし、駐車場経営会社から毎月支払われる賃料は、設備費や維持・管理費をあらかじめ差し引いたものです。
駐車場の経営状況にかかわらず毎月安定した収益を得られる点はメリットですが、駐車場経営で得た収益がすべて自分の手元に入る自主経営方式と比較すると、収益性に劣る側面は否めません。
手間がかかってもいいから駐車場経営でなるべく多くの収益を得たいと考えている方は、後述する自主経営方式を選ぶとよいでしょう。
駐車場経営を始めるにあたってできる限りリスクを抑えたい方には、一括借り上げ方式がおすすめです。
管理委託方式とは?
管理委託方式は、経営している駐車場の管理を管理会社に委任する経営方式です。
駐車場の新規契約者の募集から掃除、定期的な巡回、契約者とのトラブル対応などを管理会社に任せられるので、手間をかけずに駐車場経営を行いたい方に向いています。
また、空き家が遠方にあって自分ではなかなか管理に出向けない方にも向いている経営方式です。
ただし、毎月賃料の5~10%ほどの管理手数料を管理会社に支払わなければならない点はデメリットといわざるを得ません。
管理会社によって管理手数料は異なるため、管理委託方式で駐車場経営を始めたいなら複数の管理会社に見積もりを依頼して比較することをおすすめします。
その際、何をどこまでやってくれるのかを確認しておくと、のちのトラブルを未然に防げます。
自主経営方式とは?
自主経営方式とは、駐車場経営にまつわるすべてのことを自分で行う経営方式です。
空き家から駐車場への整備、契約者の募集、維持・管理などを自分で行う必要があるため、ほかの経営方式と比較すると手間がかかるデメリットがあります。
また初期費用や維持・管理にかかる費用がすべてオーナー負担である点もデメリットです。
ただし自主経営方式では駐車場運営会社や管理会社を間に挟まないため、売上が増えるほど収益も上がります。
新規契約者を集めるための宣伝活動や駐車場の維持・管理などを行う時間があり、より多くの収益を得たい方に向いている経営方式といえます。
空き家を駐車場にする5つのメリット
空き家を駐車場にするメリットは、以下の5つです。
- 初期費用・維持費用が抑えられる
- 安定収入が得られる
- 短期間の準備で始められる
- 狭い土地でも経営できる
- 撤退・転用もスムーズにできる
空き家で駐車場経営を始めるとどのようなメリットを得られるのか、具体的に見ていきましょう。
初期費用・維持費用が抑えられる
空き家で駐車場経営を行うメリットのひとつ目は、初期費用や維持費用を抑えられる点です。
前述のように一括借り上げ方式なら、あなたが初期費用を負担することなくコインパーキング経営を始められます。
駐車場経営を行う際にかかる機械のメンテナンス代や電気代、清掃費なども運営会社の負担です。
更地にロープを張っただけの月極駐車場の場合には設備の導入費用や整地費用が不要なため、ほぼ初期費用をかけずに始めることができます。
管理も定期的に掃除やゴミの撤去をするくらいで済むので、維持費を抑えることも可能です。
安定収入が得られる
空き家で駐車場経営を行うと、毎月安定した収入を得られるメリットもあります。
たとえ誰も住んでいない空き家でも、所有し続ける限り固定資産税を負担しなければなりません。
空き家が市街化区域内にあるときは都市計画税を納付する必要もあります。
すでに市街地が形成されている、もしくは10年以内に優先的に市街化を図るべきエリアのこと
それに加えて空き家を適切な状態に保つためには修繕などを定期的にしなければなりません。
しかし駐車場経営を始める際には空き家を解体するため、建物に課される固定資産税や維持・管理費がかからなくなります。
空き家で駐車場経営を始めることで、経済的な負担の大きい「マイナスの財産」から収益を得られる「プラスの財産」へと変えられるのです。
短期間の準備で始められる
短期間で始められる点も、空き家で駐車場経営を行うメリットのひとつです。
空き家で賃貸経営を始めるには、まず設備などをリフォームして見た目を改善する必要があります。
リフォーム期間は規模によって異なるので一概にはいえませんが、打ち合わせから工事の完成までに1~4か月ほどの期間がかかります。
当然、その間は収益を得ることはできません。
それに対して、駐車場経営は空き家を解体するとすぐに始められるので、1週間~1か月ほどで収益化が可能です。
事業をスタートするまでの期間が短い点は、駐車場経営ならではのメリットといえます。
狭い土地でも経営できる
狭い土地で気軽に始められるところも、駐車場経営のメリットです。
駐車場経営は自動車を止めるスペースが確保できれば行えるためです。
たとえ2~3台分の駐車スペースしか確保できない土地でも、商業施設や医療機関が近いなど自動車の利用者が多いエリアなら高い稼働率を見込め、十分な収益を上げることも不可能ではありません。
撤退・転用もスムーズにできる
「駐車場経営をやめたい」と考えたときに、撤退やほかの活用方法への転用がスムーズにできるところもメリットです。
駐車場経営を始めても、思うように収益を上げられないことがあります。
また、土地に家を建てるなどほかの用途で活用したいと考えが変わることもあるでしょう。
そのようなとき、駐車場経営なら契約者へ事前通知したり、駐車場運営会社へ解約申込書を提出したりすることで手軽に撤退が可能です。
オーナーの一方的な都合では解約のできない賃貸経営とは異なり、借地借家法の適用対象外のためです。
したがって、土地を一時的に活用したいと考えている方にも駐車場経営は向いているといえます。
空き家を駐車場にする5つのデメリット
ここまで空き家を駐車場にする5つのメリットを解説してきました。
しかし駐車場経営には、以下5つのデメリットも潜んでいます。
- 競合が現れる可能性が高い
- 収益性が低い
- 固定資産税や都市計画税が増える
- 所得税・住民税が増える
- 解体費用がかかる
空き家で駐車場経営を始めたいと考えているなら、メリットだけでなくデメリットも考慮したうえで慎重に検討することをおすすめします。
空き家を駐車場にするとどのようなデメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。
競合が現れる可能性が高い
前述のように、低リスクで始められる駐車場経営は人気の高い土地活用方法のひとつです。
そのため、空き家を駐車場に変えたあとで周辺に新たな駐車場が作られて競争が激しくなる恐れがあります。
たとえば、新たに完成した駐車場の利用料金があなたの駐車場よりも安く設定されていたら、利用者がそちらへ流れてしまうことが考えられます。
対抗するには料金を下げざるを得ず、結果的に得られる収益が少なくなりかねない点に注意が必要です。
また一括借り上げ方式で駐車場運営会社と契約を結んでいる場合は、利用者数の減少に伴って賃料の減額を申し入れられるケースも少なくありません。
駐車場経営を成功させたいなら、周辺に駐車場がどのくらいあるか、将来駐車場になりそうな土地はあるかなどを確かめることが重要といえます。
収益性が低い
賃貸経営と比較すると収益性が低い点も、駐車場経営のデメリットです。
たとえば、東京都国分寺市における3LDK~4DKの一戸建ての家賃相場は15万8,000円です。
しかし月極駐車場だと1台あたり月7,000円~1万5,000円ほどにしかなりません。
国土交通省の駐車場設計・施工指針によると、普通乗用車1台に必要な駐車スペースは約4.5坪です。
つまり30坪の土地の広さがあっても、6~7台分の駐車スペースしか確保できないのです。
たとえ満車になったとしても、上記の値段設定では月最大で9万円しか得ることはできません。
駐車場経営は賃貸経営よりも少額の投資で始められるものの、家賃収入よりも得られる収益が低いことは押さえておく必要があります。
固定資産税や都市計画税が増える
空き家を解体して駐車場にすると、空き家が建っていたときに適用された「住宅用地の特例」の対象外となります。
居住用の家屋が建っている土地の固定資産税が最大で6分の1、都市計画税が最大で3分の1に軽減される制度
したがって、駐車場経営を始めると土地に課される固定資産税が最大で6倍に、都市計画税が最大で3倍に増えてしまう点はデメリットです。
ただし、建物にかかる固定資産税と都市計画税はなくなるので、トータルで見るとそこまで税負担が増大しない可能性はあります。
駐車場経営を始める際には、空き家が建っていたときと比べてどのくらい税負担が増えるのかをシミュレーションしてみることをおすすめします。
駐車場にした際の固定資産税・都市計画税の計算方法
固定資産税と都市計画税は、それぞれ以下の計算式で算出します。
【固定資産税】
固定資産税評価額×1.4%
【都市計画税】
固定資産税評価額×0.3%(※)
※自治体によって異なることがある
固定資産税評価額は、毎年春ごろに自治体から送られてくる固定資産税納税通知書に記載されているので、確認してみてください。
【固定資産税納税通知書の見本】
たとえば以下の条件において、空き家のままと駐車場にしたときとではどのくらい納税額が異なるのかを見ていきましょう。
土地の固定資産税評価額:1,200万円
土地の面積:100㎡
なお、上記の事例では土地の面積が100㎡で「小規模住宅用地」に該当するため、住宅用地の特例により土地の固定資産税評価額が6分の1に軽減されます。
【空き家のままのときに課される固定資産税・都市計画税】
「固定資産税=固定資産税評価額×1.4%」「都市計画税=固定資産税評価額×0.3%」の計算式より、
空き家の固定資産税=500万円×1.4%=7万円
土地の固定資産税=1,200万円×1/6×1.4%=2万8,000円
空き家の都市計画税=500万円×0.3%=1万5,000円
土地の都市計画税=1,200万円×1/6×0.3%=6,000円
合計:7万円+2万8,000円+1万5,000円+6,000円=11万9,000円
【駐車場にしたときに課される固定資産税・都市計画税】
「固定資産税=固定資産税評価額×1.4%」「都市計画税=固定資産税評価額×0.3%」の計算式より、
土地の固定資産税=1,200万円×1.4%=16万8,000円
土地の都市計画税=1,200万円×0.3%=3万6,000円
合計:16万8,000円+3万6,000円=20万4,000円
上記のケースでは、空き家を壊して駐車場にしたことで固定資産税・都市計画税が「20万4,000円-11万9,000円=8万4,000円」増えました。
土地の評価額が高ければ、納税額がさらに上がる恐れがある点に注意が必要です。
納税額が増えると収益を圧迫する可能性もあるため、駐車場経営を始める際には収支計画表をしっかりと立てることが重要です。
所得税・住民税が増える
駐車場経営を始めると、所得税や住民税の金額も上がります。
駐車場を貸して賃料を受け取ると所得が増えるためです。
ただし、駐車場経営で得た収益のすべてに所得税・住民税が課されるわけではありません。
具体的には、収益から必要経費を差し引いた金額に税金が課される形となります。
駐車場経営において必要経費に参入できるものには、主に以下があります。
必要経費が増えるほど所得が少なくなり、納税額も低くなる仕組みです。
しかし駐車場経営は賃貸経営と比較するとそこまで経費がかかる活用方法ではないため、思っている以上に税額が高くなる可能性がある点には注意しましょう。
なお、日本では所得が上がるほど税率も高くなる「累進課税制度」が採用されています。
税率は駐車場経営で得た所得のみならず、給与所得などほかの所得と合算した金額によって決定されるため、注意が必要です。
解体費用がかかる
駐車場経営を始めるには、まず建物を解体しなければなりません。
解体費用がかかる点も、空き家で駐車場経営を行うデメリットのひとつです。
解体費用は建物の構造によって以下のように異なります。
建物の構造 | 坪単価 |
---|---|
木造 | 4~5万円 |
鉄骨造 | 6~7万円 |
鉄筋鉄骨コンクリート造 | 7~8万円 |
たとえばあなたの空き家が木造で30坪の規模だったら、120~150万円ほどの解体費用がかかるということです。
前述のように、駐車場経営の収益性はそこまで高いものではありません。
したがって、駐車場経営を始める前には高額な費用をかけて空き家を解体しても十分な収益を得られるかどうかを検討することが重要です。
なお、空き家の解体費用の相場については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
空き家を駐車場にする前に考えるべきこと4つ
空き家を駐車場にしたいと考えているなら、まずは以下4つのポイントを検討しましょう。
- そもそも駐車場向きの立地かを考える
- 駐車可能な台数を計算する
- 初期費用回収までの期間を計算する
- 月極駐車場かコインパーキングのどちらにするか決める
いずれも、駐車場経営を成功させるには欠かせない要素です。
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
そもそも駐車場向きの立地かを考える
もっとも大切なのは、空き家が建っている立地が駐車場経営に向いているかどうかを考えることです。
駐車場経営を始めても、借りてくれる人がいなければ賃料は得られません。
そのため、まずは駐車場としての需要があるエリアかどうかを調べましょう。
とくに以下の項目を重点的に調べることをおすすめします。
- 空き家周辺の駐車場の有無
- 空き家周辺の駐車場の駐車台数
- 空き家周辺にある駐車場の料金相場
- 日中・夜間帯における自動車の交通量
空き家周辺に駐車場があるかどうかは、Googleマップを使うと簡単に調べられます。
そのうえで現地へ赴き、料金や駐車可能な台数など細かい情報をつかみましょう。
また、自動車の交通量が多いエリアかどうかを調べることも重要です。
たとえば空き家の近くに大型ショッピングセンターやレジャースポットなどがある場合には、駐車場としての需要が期待できて駐車場経営が成功する確率は高いといえます。
一方で、空き家周辺に一戸建てが建ち並んでいて各戸に駐車スペースも確保されているエリアで駐車場経営を始めても、需要は期待できず、失敗に終わる可能性が高いといわざるを得ません。
そのようなケースでは、ほかの活用方法を検討したほうがよいでしょう。
駐車可能な台数を計算する
駐車場経営を始める前に、自分の土地に何台の車を止められるのかを計算することも大切です。
駐車可能台数は収益に直結するためです。
1台あたり15㎡(約4.5坪)必要
前述のように、車1台止めるために必要なスペースは約4.5坪です。
それに加えて、駐車場の中央に幅5mほどの車路を確保する必要があります。
コインパーキング経営をするなら、駐車スペースのほかにも精算機を置く2坪ほどのスペースが別途必要です。
たとえば30坪の土地なら、6~7台分の駐車スペースを確保することが可能です。
月1万円で貸し出せば、毎月6~7万円の賃料が入ってくる計算です。
駐車しやすいレイアウトを考える
駐車場経営を成功させたいなら、利用者が駐車しやすいレイアウトにすることも欠かせません。
たとえば駐車可能台数を増やそうとすると、その分1台あたりの駐車スペースや車路が狭くなります。
すると車の出入りがしにくくなるばかりか、車をぶつけるなどのトラブルが起こりかねません。
狭くて使いにくい駐車場は、必然と利用者からは敬遠されがちです。
確実に利用者を確保したいなら、駐車台数よりも利用者の利便性を重視したレイアウトを意識することが大切です。
初期費用回収までの期間を計算する
初期費用を回収するまでにどのくらいの期間がかかるのかを考えることも駐車場経営を成功させるポイントです。
一括借り上げ方式なら初期費用は不要ですが、建物を解体するための費用として100~200万円ほどの費用がかかります。
仮に月10万円の賃料を得られると仮定すると、1~2年ほどで回収できる計算です。
ただし、すべての駐車スペースが常に埋まるとは限りません。
ケースによっては借り手が見つからない期間が長引き、思うような収益を得られない可能性もあります。
そのため収支計画を立てる際には、駐車スペースが埋まらないリスクなどを想定したうえでシミュレーションすることが重要です。
月極駐車場かコインパーキングのどちらにするか決める
駐車場経営を始めるにあたり、月極駐車場とコインパーキングのどちらにするのかを考えておくこともポイントです。
月極駐車場とコインパーキングのメリット・デメリットについては、『「コインパーキング」と「月極駐車場」の違い』の見出しで解説しました。
あなたの所有している空き家が月極駐車場とコインパーキングのどちらに向いているのかは、立地によって異なります。
たとえば空き家の近隣にマンションなどの住宅が建ち並んでいて駐車スペースの不足が予測されるときには、周辺住民による継続利用が見込まれるので月極駐車場経営が向いています。
一方で、周辺に商業施設などがあって駐車場の一時利用が期待できる立地の場合は、コインパーキング経営が最適です。
駐車場経営を成功させたいなら、事前に空き家の周辺環境をしっかりと調査したうえで最適な経営方法を選択しましょう。
空き家を駐車場以外で活用する方法
立地的に空き家を駐車場として活用することが難しいなら、以下の活用方法を検討するのも選択肢のひとつです。
- 居住用物件として貸す
- 店舗用物件として貸す
- トランクルームにする
- コインランドリーにする
- 太陽光パネルを設置する
ただし、駐車場経営同様、成功の鍵は空き家の立地が握っています。
それぞれの活用方法ごとに向いている立地は異なるため、あなたの空き家の状況と照らし合わせながら読み進めていってください。
なお、以下の記事では空き家の状態に応じた適切な対処法を解説しています。
併せて参考にしてください。
居住用物件として貸す
空き家を賃貸物件として貸し出す活用方法です。
空き家を居住用物件として貸し出すと、毎月家賃収入を得られるメリットがあります。
また空き家を借りた方が部屋の掃除や換気などをしてくれるので、建物の老朽化を防げる点もメリットです。
あなたの空き家が駅から徒歩10分以内の場所にあるなど立地がよい場合には入居者がすぐに決まる可能性が高いため、賃貸経営を検討するのは選択肢のひとつです。
ただし、築年数が古く建物や設備の状態が悪い空き家を貸し出す際にはリフォームが必須であり、数百万円ほどの初期費用がかかる点はデメリットといえます。
また、空き家を貸したいと考えても、借り手が必ず見つかるとは限りません。
とくに駅から徒歩15分以上かかるなど立地が悪い空き家は賃貸物件としての需要がなく、借り手が見つかる可能性は低いといえます。
入居者が決まらなければ、リフォーム費用がそのまま赤字となりかねません。
空き家の立地が悪い場合には、ほかの活用方法を検討したほうがよいでしょう。
なお、以下の記事では空き家の賃貸経営が初心者には向いていない理由についてを解説しています。
併せて参考にしてください。
店舗用物件として貸す
空き家を飲食店や食品・雑貨販売店など店舗用物件として貸し出す活用方法も選択肢のひとつです。
たとえば、近年は空き家ならではの質感を活かした古民家カフェが人気を集めています。
徳島県名西郡石井町で地域の住民の憩いの場となっている「Cafeオリジン」も、もともとは築100年を超える空き家でした。
空き家を借りたオーナーは大家さんの許可を得て、自分好みの内装へとカスタマイズ。
うらびれた空き家が、人気のカフェへと大変貌を遂げたのです。
空き家を希望の内装へリフォームして店舗を経営したいと考える方は少なくありません。
そのため上記の事例のように、空き家の借主による自由な改装を許可したうえで貸し出せば、あなたがリフォーム費用などを負担することなく家賃収入を得られるでしょう。
ただし、空き家を元の状態で返してもらうのは難しいといわざるを得ません。
また店舗経営を成功に導くには、集客しやすい立地であることが条件です。
もしあなたの空き家の立地が悪く集客が見込めなさそうなら、借り手を見つけるのは難しいでしょう。
やはりこの場合も、ほかの活用方法を検討することをおすすめします。
トランクルームにする
空き家をトランクルームとして活用する方法もあります。
トランクルームとは、荷物の収納スペースを貸し出して賃料を得る活用方法です。
空き家をそのまま活用できるので、リフォーム費用などの初期費用はほぼかかりません。
築年数が古く賃貸物件として貸し出せない場合でも、トランクルーム経営は人が住むわけではないので十分活用が可能です。
空き家の周辺に住宅街が形成されているなど、収納スペースの需要が高い地域なら成功を収められる可能性は高いでしょう。
ただし空き家でトランクルーム経営を行うと「事業用建築物」として扱われてしまうため、住宅用地の特例の適用対象外となります。
したがって、空き家として所有するよりも固定資産税・都市計画税が高くなる点に注意が必要です。
また、トランクルーム経営は賃貸経営などと比較するとそこまで収益性が高くありません。
そのためトランクルーム経営を始めたいなら、まずは税負担を考慮したうえで収支シミュレーションを徹底することをおすすめします。
コインランドリーにする
空き家をコインランドリーに改築して事業を行う方法もあります。
コインランドリー経営は、店舗に設置した業務用の洗濯機や乾燥機を利用者に使ってもらうことで利用料を得るビジネススタイルです。
無人で経営できるので、人件費がかかりません。
また、一人暮らしをしている方や共働き世帯が多いエリアなどコインランドリーを使う人が見込める立地なら、固定客がついて中長期的に安定した収入が期待できます。
ただし、開業にあたっては設備の導入費などで4,000~5,000万円ほどの費用が必要です。
加えて電気代などのランニングコストも高くつく傾向にあります。
トランクルーム経営と同様、住宅用地の特例が適用されなくなり、土地の固定資産税が高くなる点もデメリットです。
空き家の近隣に住宅が建ち並んでいない、前面道路が狭く車が止めにくいなどの立地でコインランドリー経営を始めると、収入が支出を下回り赤字に陥りかねません。
初期投資の回収も難しくなるでしょう。
コインランドリー経営を成功させたいなら、周辺に見込み客はいるか、利用者にとって使い勝手のよい立地かなどをしっかりと確認することが大切です。
太陽光パネルを設置する
空き家に太陽光パネルを設置し、発電した電力を売却して収益を得る方法です。
2012年7月から「固定価格買取制度(FIT制度)」が始まり、太陽光パネルを通じて発電した電力を電力会社が一定期間、一定価格で買い取ってくれるようになりました。
たとえば容量10kW未満の太陽光パネルの場合は設置後10年間、1kW16円(2023年度実績)で買い取ってもらえます。
環境省のデータによると、太陽光パネルの容量1kWにおける平均年間発電量は1,215kWhです。
したがって設置する太陽光パネルの容量が5kWなら年間に6,075kWh発電でき、売電収入は単純計算で9万7,200円となります。
ただし、5kWの太陽光パネルを設置するには150万円ほどの費用が必要です。
またFIT制度による買取価格は年々下がっているのが現状であり、思うような収益を上げられない可能性もあります。
加えて発電量は天候や自然環境に大きく左右される点にも注意が必要です。
近隣に高い建物が建っているなどの理由で日が遮られる時間が長いと、発電量が減少して売電収入にも期待できません。
空き家で太陽光パネル経営を始めたいなら、日当たりの良さなど周辺環境をしっかりと見極める必要があります。
なお、以下の記事では空き家対策の成功事例をご紹介しています。
空き家を放置するリスクを回避したい方は、ぜひ参考にしてください。
空き家を放置する7つのデメリット
ここまで、空き家を駐車場や賃貸物件などにして活用する方法をご紹介してきました。
しかし、「空き家を活用するのが難しい」「空き家の使い道がない」からといって、そのまま放置するのはおすすめできません。
なぜなら、空き家を放置すると以下のリスクが生じる恐れがあるためです。
- 固定資産税や都市計画税が課され続ける
- 特定空き家に指定されて固定資産税が最大で6倍になる
- 特定空き家への指定後に放置すると強制的に解体されて高額な解体費用を請求される
- 空き家の維持・管理をし続ける必要がある
- 空き家の資産価値が下がって売却しにくくなる
- 空き家が倒壊して近隣の方に被害を与えると損害賠償を請求される恐れがある
- 空き家のデメリットを次の世代にも引き継ぐことになる
中でもとくに注意しなければならないのが、自治体から「特定空き家に指定されること」です。
特定空き家とは、「倒壊するリスクがある」「衛生上有害となる恐れがある」などの理由によって放置しておくことが危険だと考えられている空き家を指します。
空き家が特定空き家に指定されると、住宅用地の特例の対象外となるので固定資産税・都市計画税額が上がってしまいかねません。
また特定空き家に指定された後も放置を続けると、行政代執行によって強制的に解体されてしまいます。
その際にかかった数十万円~数百万円にのぼる解体費用は、所有者であるあなたが負担しなければなりません。
今後も空き家に住んだり、駐車場などとして活用したりする予定がないのなら、空き家を放置するリスクを回避するためにも売却して手放すことをおすすめします。
具体的な売却方法は、後述の「空き家を活用できないならそのまま売却しよう」の項目で詳しく解説します。
なお、空き家を放置するデメリットについて詳しく知りたい方は、以下の記事も併せて参考にしてください。
空き家を活用できないならそのまま売却しよう
前述のように、空き家の活用が難しいからといって放置をしていると、自治体から特定空き家に指定されて固定資産税が最大で6倍になるなどのリスクが生じる恐れがあります。
もし立地が悪くて収益を見込めそうもない、自分では空き家の管理ができない場合には、そのままの状態で売却を検討するとよいでしょう。
空き家を売却すると、まとまった現金を手にすることができます。
空き家を手放すことで、管理義務から解放される点も大きなメリットといえるでしょう。
空き家を売却するなら買取がおすすめの理由
ただし、空き家の売却先は慎重に検討する必要があります。
空き家の売却方法には、仲介と買取の2種類があります。
仲介は不動産仲介業者に探してもらった個人の方へ売却する方法、買取は専門の買取業者に直接買い取ってもらう方法です。
仲介の場合は、マイホームの購入を検討している方がターゲットとなります。
そのため、空き家の立地が悪かったり、築年数が古かったりする場合には買主を見つけるのは難しいといわざるを得ません。
実際、弊社がおこなったアンケート調査によると、マイホームを購入した方がもっとも優先した条件は「立地」でした。
参照元:訳あり物件買取プロ|【家を購入する際に優先したことと妥協したこと】経験者493人アンケート調査
また、不動産を購入するなら築10年以内がよいと回答した方の割合も全体の6割を超えています。
参照元:訳あり物件買取プロ|【不動産を購入するなら築年数は何年までがベストか】男女100人アンケート調査
したがって、駅から徒歩15分以上かかるなど立地が悪い、築年数が古い場合には仲介業者に依頼しても売れ残ってしまいかねないため、専門の買取業者に相談することをおすすめします。
専門の買取業者は買い取った物件にリフォームなどを施して価値を付加し、再販することで収益を上げる不動産業者です。
立地が悪く、築年数の古い空き家でも再生して活用できる独自のノウハウを持っているため、問題なく買い取ることができるのです。
また買取業者に売却すると、あなたが契約不適合責任を負わなくても済むメリットもあります。
契約不適合責任とは、売主が買主に負うべき責任を指します。
もし空き家を引き渡した後に売買契約書に記載のない不具合や欠陥が見つかった場合、買主から損害賠償や契約の解除などを請求される恐れがある点に注意が必要です。
築年数の古い空き家だと、建物のどこに不具合や欠陥が潜んでいるのかは見ただけでは確認できません。
契約後にトラブルに巻き込まれたくない方も、専門の買取業者への売却を検討するとよいでしょう。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)は全国の空き家を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
あなたの契約不適合責任を免責したうえで空き家を買い取らせていただきますので、安心してお任せください。
>>【契約不適合責任免責で空き家を高額売却!】無料の買取査定を依頼
弊社Albalinkの空き家の買取事例
弊社Albalinkは訳アリ物件専門の買取業者として、他社では断られるような空き家も数多く買い取ってきました。
たとえば下記のように「20年以上放置されて老朽化が進んだ空き家」や「不用品で室内があふれてしまっている空き家」を買い取った実績もあります。
【20年以上放置された空き家の買取事例】 【不用品で室内があふれてしまっている空き家の買取事例】
引用元:Albalinkの空き家買取事例
20年以上放置された空き家については780万円で買取らせていただき、所有者には「雨漏りもするような家だったが、思ったより高い金額で買い取ってもらえた」と、金額についても満足していただけました。
また、不用品で室内が溢れてしまっている空き家の所有者は、他の不動産業者から「不用品の回収だけで100万円近くかかる」と言われ、途方に暮れていたそうです。
それだけに「(弊社に)そのまま買い取ってもらえてとても助かりました」と言っていただけました。
上記の方々だけでなく、弊社に買取依頼をしていただいたお客様からは「肩の荷が下りた」「色々不安だったがスムーズに売却できた」といった感謝の言葉を多数いただいております(下記Google口コミ参照)。
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
信頼できる買取業者に安心して空き家を売却したい方はぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたからといって、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
なお、以下の記事では空き家の買取に特化している買取業者を30社、特徴別にご紹介しています。
空き家を売却する際にどの買取業者に相談したらよいのかが分からない方は、ぜひ参考にしてください。
まとめ
駐車場経営のメリットは、初期費用を抑えながら空き家を活用できる点にあります。
空き家を解体すれば短期間で始めることができ、安定した収入を得られるところもメリットです。
ただし、賃貸経営などほかの活用方法と比較すると収益性は低いといわざるを得ません。
駐車場経営を始めるにあたり、数百万円の費用をかけて空き家を解体しなければならない点もデメリットです。
また、立地によっては借り手が見つからない可能性がある点にも注意しましょう。
「空き家の立地が悪く、駐車場経営を始めても収益を上げられそうにない」「空き家の解体費用をかけたくない」方は、空き家を売却することをおすすめします。
専門の買取業者に依頼すると、空き家をそのままの状態で買い取ってくれます。
売却に際してあなたが費用をかける必要はなく、まとまった現金を手に入れられる点は大きなメリットといえるでしょう。
弊社AlbaLink(アルバリンク)では、全国の空き家を積極的に買い取っております。
過去には、一般の不動産業者が取り扱わない訳あり物件専門の買取業者としてフジテレビの「newsイット!」に紹介されました。
あなたの空き家をスピーディーに、かつ適正価格で買い取らせていただきますので、「空き家を活用できない」「いますぐに手放したい」とお考えの方は、お気軽にご相談ください。