生活保護という制度の基本概要を解説
生活保護とは、日本国憲法第25条の理念に基づき、経済的に困窮する国民に対して最低限度の生活ができるよう給付する社会保障制度のことです。
厚生労働大臣の定める基準で算出される最低生活費に満たない場合に収入との差額を支給すると共に、自立の助長を目的としています。
生活保護が制定されたのは、1945年の第2次世界大戦での敗戦後です。戦後の日本に待ち受けていたのは失業や住宅難、食糧不足など深刻な貧困でした。
餓死者の発生を防ぐために急きょ制定されたのが旧・生活保護法です。それまでも生活困窮者に向けた保障制度はありましたが、ごく一部の貧困層を対象にしたものでした。
その後、社会保障制度の見直しなどを重ねて全文改正により誕生したのが1950年に制定された現行の生活保護法です。
国民1人ひとりが人間らしく生活できる権利である「生存権」に基づき、困惑の程度に応じて支援をするのが国の義務とされたのです。
生活保護を受給するための4つの要件
生活保護を受給するためには、下記の4つの要件をすべて満たす必要があります。
生活保護受給の要件 | |
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持っている資産は活用すること | 預貯金や宝石、利用していない土地など、資産価値のあるものを保有していない |
収入がないこと | 収入がない、もしくは地域差により異なるが月収13万円・年収156万円を下回っている世帯 |
働ける能力がないこと | 病気やケガなどで入院中・うつ病など精神的な病気で休職中など、働く意思はあるが事情によってできない |
扶養してくれる親族がいないこと | 3親等以内の直系血族から支援が受けられない
【3親等以内の親族】 |
このように、持っている資産を売却して身内の援助をもらってなお最低生活費に満たない場合に、はじめて生活保護が適用されます。
共有名義の不動産を取得したら生活保護はどうなるのか?
相続などで共有名義の不動産を取得した場合、不動産の価値や受給者の状況によっては生活保護が打ち切りになります。
詳しく見ていきましょう。
資産価値の高い共有不動産を相続した場合は生活保護が受給できないおそれが
生活保護は「生活に必要最低限の保有資産」しか原則認められません。
そのため、資産価値の高い共有不動産を取得した場合は、生活保護の拒否・受給中の人は打ち切りになるおそれがあります。
需要のある不動産であれば、売却すれば生活費に充てられると福祉事務所に判断されるからです。厚生労働省の指針によると、処分の基準となる金額の目処は約2,000万円程度とされています。
参照元:厚生労働省|不動産の保有の考え方
築20年未満・好立地といった需要のある共有不動産を取得した場合は、生活保護の受給の対象にならない可能性が高いでしょう。
住む場所が無くなる場合は生活保護中でも共有不動産に住み続けられる
すでに共有不動産に住んでおり、売却処分などすると住居を失う上に、最低限の生活レベルが維持できない場合は、生活保護の受給対象・受給の継続になる可能性があります。
受給要件の1つである資産活用の観点から、本来は所有している不動産を処分しなければなりません。
しかし、生活保護は最低限の生活を守ることが主目的であるため、居住用で資産価値が低い不動産であれば住み続けられます。
住宅ローンが残っている場合は生活保護が打ち切りになる恐れがある
不動産に住宅ローンが残っている場合は、生活保護の拒否・受給中の人は打ち切りになる可能性があります。
売却しても安価になるマイホームであれば住み続けられると先ほどお伝えしましたが、あくまで住宅ローンの返済が終了している前提です。
ローンが残っている状態で支給すれば、生活保護費を返済に充てる可能性があります。
個人のローン返済の資金に生活保護費を充てる行為は目的に反するため、原則受給対象外となります。
生活保護を受給する目的での相続放棄は認められない
生活保護の受給要件は、持っている資産を最大限活用した上で生活が苦しい状態であることです。
生活保護を受給するために、本来受けられる相続を放棄することは認められません。その財産を受け継いで生活費として活用すべきだからです。
ただし、遺産に借金があり、相続で生活が困窮してしまうケースであれば相続放棄が認められています。
生活保護を受給するためには不動産を売却する
生活保護の受給要件は、持っている資産を最大限に活用している状態です。
手持ちの財産を余らせていたり、賃貸に出して収益を得たりなどの活用をしているともちろん受給はできません。
生活保護を引き続き受給するためには、不動産を売却処分するのがベストな選択です。
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共有者全員の合意を得て不動産全体を売却する
共有不動産を全体として売却するためには、全員の合意が必要です。
不動産全体を売却した後は、それぞれの持分の割合に応じて売却額を分配する流れになります。
他の共有者との関係性が良い・すぐに連絡できる・足並み揃えて売却できる、といった場合であればスムーズに売却活動に移行できるのでこの方法がベストです。
しかし、上記のようにスムーズな合意形成ができない場合は現実的ではありません。
他の共有者に自身の持分のみを売却する
共有不動産は、自身の持分の部分を限定して売却することもできます。
他の共有者に持分を売却できれば、共有名義から抜け出せるので生活保護の受給は可能です。
しかし、上記と同様に他の共有者との交渉は当然必要になります。他の共有者が持分を買い取りたい状況でなければ、新たに固定資産税などの維持費がかかるため、実現は厳しいでしょう。
交渉がきっかけでトラブルに発展するケースも少なくありません。
自身の共有持分のみを専門の不動産買取業者に売却する
自身の持分だけを第三者に売却してしまえば、共有名義から離脱できます。
しかし、共有不動産は一般の不動産会社や個人が他人の持分だけ買い取ってくれることはありません。顔も知らない人と権利関係になるとトラブルが発生しやすく、住むにも活用するにも自由度が低いからです。
共有持分のみを売却するのであれば、持分専門の不動産買取業者に相談しましょう。
専門の買取業者であれば、自由度の低い共有持分を活用できるノウハウを持ち合わせています。例えば買い取った後、慎重に他の共有者と信頼関係を築き、一緒に売却を提案したりすることもできます。
こうした市場で売れにくいとされる不動産は、相談する不動産会社の活用バリエーションが豊富にあるかどうかで、買い取りの可否と買取価格が決まるのです。
弊社は、権利関係が複雑な共有持分の不動産を積極的に買い取っている買取業者です。
どのような不動産も活用次第でニーズは必ず生まれます。弊社であれば、不動産の潜在的な価値を見出して適正な金額をつけて買い取ることができます。
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生活保護受給中に共有不動産を売却する際の注意点
ここでは、生活保護受給中に共有不動産を売却するときに注意すべきポイントを4つご紹介します。
売却によって利益を得た場合は生活保護費の返還が必要
生活保護受給中でも不動産を相続することは可能です。
ただし、相続した不動産を売却して利益を得た場合、今まで受給したお金の一部を返還する必要があります。
ここで注意が必要なのは、起算点となるタイミングが「土地を相続した日」ではなく「被相続人が亡くなった日」であることです。
例として、生活保護費を毎月10万円受給していたケースで解説します。
- 2020年5月1日:被相続人が亡くなった日
- 2021年3月1日:相続手続きが完了した日
- 2021年8月1日:不動産の売買契約が成立した日
- 2021年10月1日:不動産の売却金額が口座へ入金された日
この場合、2020年5月1日〜2021年10月1日までの17ヶ月間で受給した170万円を返還しなければなりません。
亡くなったときと相続したときでは、支払う金額が大幅に異なるので留意しましょう。
また、生活保護は返金する金額によって、引き続き受給する・一時的に停止する・廃止するの3択に分かれます。
不動産を売却する際は売却活動の証明をする
すでに生活保護を受給している場合は、不動産を売却しようとしていることを福祉事務所に証明しておいたほうが良いです。
居住用に利用していない・資産価値が高い不動産の場合は基本的には売却を求められます。
売却活動の証明がなければ、売却の意思がないとみなされて、生活保護を打ち切りにされるおそれがあります。
売却するといって十分な売却活動をしていない場合は必ずバレる
生活保護の受給にあたって売却活動をしていない事実は必ずバレてしまいます。
受給者一人ひとりに担当のケースワーカーがつき、定期的な家庭訪問を行うからです。
生活保護受給者の生活実態の把握や自立に向けたサポートを行う福祉事務所の相談員
家庭訪問のタイミングは役所によって異なり、事前に連絡がある場合もあれば抜き打ちで実施される場合もあります。
売却するといって売却活動の痕跡がなければ見抜かれるので注意が必要です。
売却までにかかる固定資産税は生活保護受給中なら減免される
固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日時点で不動産を所有している人が納付する税金です。
生活保護の受給中であれば、売却までにかかった日割りの金額で計算されるため、税負担が軽減されます。
なお、不動産を取得した年に売却できれば納付の必要はありません。
軽減措置は自動的には適用されないため、自治体に確認して申請手続きを行いましょう。
まとめ
今回の記事では、生活保護が受給できなくなる相続物件の条件や共有名義の不動産の売却方法について解説しました。
記事内でもお伝えしたとおり、生活保護費を受給するためには不動産を売却処分する方法が堅実です。居住用ではない共有不動産を所有している場合は、持分専門の不動産買取業者に相談しましょう。
専門の買取業者であれば、他社で買い取りを断られた共有持分のみの不動産でも高確率で売却可能です。
当サイトを運営している弊社AlbaLink(アルバリンク)も、2011年の創業以来、数多くの共有名義の不動産を買い取ってまいりました。
売却の前提でなくてもかまいません。査定額だけ知りたいという方も大歓迎ですので、ぜひお気軽にご連絡ください。
弊社の担当スタッフが売主様が納得して売却できるよう全力でサポートすることをお約束します。