がけ条例にかかる土地(がけ地)とは?基準や建築条件を解説
建築基準法や自治体の条例による建築物の安全性を確保するための規制がかかる場合について説明します。
規制については、建築する場所の自治体によって異なりますので、今回は東京都でがけが敷地周辺にある場所で建築をする場合を考えます。
原則として、下図のように高さ2メートルを超えるがけの下端からの水平距離ががけ高(H)の2倍までが条例第6条(がけ)の制限を受ける範囲となります。
例えば、がけの高さが3メートルの場合にはがけの下端から半径6メートルの範囲に建築物の建築や宅地を造成することに対して規制がかかります。
がけの高さによって、規制を受ける範囲が高くなるため土地にあるがけの高さは事前に確認しておきましょう。
がけ条例にかかる土地で建物を建築できる2つの条件【東京都北区の例】
がけ条例の規制がかかる土地で建築物を建築するための条件について、東京都北区での建築を例として説明します。
がけ条例の規制がかかる土地での建築物を建築するための条件は2つあります。
- 新しい擁壁を築造する
- 擁壁を築造できないなら既存擁壁の安全性を確認する
参照元:東京都北区「建築敷地周辺に高低差がある場合」(東京都建築安全条例第6条)
新しい擁壁を築造する
がけ条例の規制がかかる土地での建築には、高さ2メートルを超える擁壁を設けなければなりません。
注意すべきなのは、2メートルを超える建築物は工作物と見なされるため、建築確認申請が必要となります。
擁壁に関して完了検査を申請し、検査済証の交付を受けない限り、安全な擁壁とは判断されず、建築物の建築を行えない場合があります。
擁壁を築造する際には、必ず建築士や設計士に相談しましょう。
擁壁を築造できないなら既存擁壁の安全性を確認する
新たに擁壁を築造できない場合、既に築造されている擁壁の安全性が確認できれば建築が認められる場合があります。
安全な擁壁とは、完了検査が行われ検査済証が交付された擁壁や、開発行為の許可によって検査済証が交付された擁壁であり、検査後も維持管理が良好であるものです。
また、擁壁が構造的に安定していることを設計者や建築士が証明できる必要があります。
既存擁壁の安全性が確認できない場合の2つのケース
既存の擁壁安全性が確認できないと判断された場合、一定の条件を満たした建築物の建築が可能です。
がけ上に建築物を建築するケース
がけの上に建築物を建築する場合には、建築物の基礎を深基礎または杭基礎にする必要があります。
- 深基礎
- 一般的な住宅の基礎が30cmほど地面に食い込むのに対して、75cm程度もしくはそれ以上地面に食い込む深さがある基礎のこと
- 杭基礎
- 地面に杭を打ち込んで基礎を補強する方法のことで、一般的に地盤が軟弱な場合に用いられる。
がけ及び既存の擁壁に構造耐力上不利な影響を及ぼさないことが求められます。
がけ下に建築物を建築するケース
がけの下に建築物を建築する場合には、主要構造部を鉄筋コンクリート造または、鉄骨鉄筋コンクリート造とする必要があります。
これは、がけの崩落に対して安全性を確保することを目的としています。
がけ下に建築する建築物には、マンションや老人ホームなどの大型の鉄筋コンクリート造の建物や、鉄骨鉄筋コンクリート造と木造を組み合わせた住居などが建てられています。
主要構造部を鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造にしなければならないため、それらの構造の特性が活かせる建物ががけ下には多いです。
がけの高さが5mを超える場合は急傾斜地崩壊危険防止法で規制される
がけの高さが5メートルを超えるがけについては、法律による規制がかかるため、条例よりも厳しく行動が制限されます。
がけの高さが5メートルを超え、傾斜度が30度以上であるがけは急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律により、住宅の建築には都道府県知事の許可が必要となります。
また、建築物を建築しようとする土地が土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律による特別警戒区域に指定されている場合があります。
その場合には、建築物を建築する際に建築センターなどが行う建築確認申請のほかに、行政による建築確認を受ける必要があります。
参照元:土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律
また、建築物が建てられたあとで、がけ地による危険が増加した時には行政から移転を勧告されてしまうこともあるため注意が必要です。
このように法律による厳しい行動制限が課せられるため、建築物の建築の際には細心の注意を払う必要があり、災害の危険性への対策のため、建築費用が高額となるリスクがあります。
がけ条例にかかる土地の価値は低くなる【計算方法も解説】
がけ条例にかかる土地の価値は低くなる傾向があります。
建築物を建築する際に、条例や法律による規制がかかるだけでなく、擁壁の築造や構造を強固にする必要があるため建築費用が高額となるためです。
また、敷地内にがけがあることによって、その部分は建築物が建築できません。
それにより、実際の土地の面積よりも建築できる部分の面積は少なくなるため、その分の評価は下がることになります。
実際にがけ地など通常の用途に使うことができない部分がある宅地の評価は土地の総面積に対するがけ地部分の割合によって決定します。
総面積240平方メートルの土地で、がけ地の部分が60平方メートルの土地を例に土地の評価額を計算します。
まず、総面積に対するがけ地部分の面積の割合を計算します。
60÷240=0.25
この割合と斜面の方位を元にがけ地補正率と呼ばれる値が決定し、それを路線価に掛け合わせることで評価額が計算できます。
路線価を仮に300,000円とし、がけ地補正率を0.92とすると
となり評価額は66,240,000円となります。
路線価図とがけ地補正率はいずれも国税局のホームページで調べることができるので、取得時や売却前に必ずチェックしましょう。
がけ条例にかかる土地にまつわる2つのトラブル
がけ条例の制限がかかる土地を売却することは、通常の土地を売却するよりも難しく、ときに以下のようなトラブルに発展することもあります。
- 売却する際は告知義務がある
- 買い手から敬遠されて売れない
売却する際は告知義務がある
土地を売却する際に、土地の売買を仲介する不動産業者は重要事項説明により土地にかかる規制に関して説明する必要があります。
なぜなら、土地の購入を意思決定する際に、購入の判断に大きな影響を与える事項は不動産業者が説明しなければならないからです。
かけ条例による規制がある土地であることは、建築物の建築に大きな影響を与えるため、買主にとって購入判断をするために重要な要素となります。
そのため、不動産業者は、売買をする際に必ず告知をしなくてはなりません。
説明をしないで売買がなされ、建築物を建築する際に擁壁の築造や構造の制限などにより追加の費用がかかった場合、損害賠償請求に発展する可能性もあります。
損害賠償請求をされると、法廷闘争や損害賠償の支払いなどが発生するなど大きなリスクがあります。
売却時には、必ず不動産業者が告知を怠っていないか確認しましょう。
買い手から敬遠されて売れない
がけ条例の規制がかかる土地は、通常の土地と比べて買い手に敬遠される可能性が高いです。
なぜなら、通常の土地ではかからない費用が発生したり、災害のリスクがあるからです。
がけ地には条例や法律によりさまざまな規制がかかるため、建築費用がかさむ可能性が高いからです。また、崩落や土砂崩れの危険性が通常の土地よりも高いため、安全上の問題から買い手から敬遠される可能性があります。
建築費用が通常よりどの程度増えるかを加味して値段を設定をすることで、買い手が付きやすくなります。
がけ条例にかかる土地でも高額&スピード売却を実現する方法
がけ条例に関わる土地は、専門の買取業者なら問題なく売却が可能です。
専門の買取業者であれば、がけ条例によって建築物の建築に制限がかかることを承知したうえで買い取りをします。
過去の買い取り事例も豊富なため、過去の事例を踏まえて適正に査定を行ってくれます。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)はがけ条例にかかる土地に強い買い取り業者です。
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まとめ
この記事では、がけ条例にかかる土地の価値や制限の内容についてご説明しました。
記事内で説明した通り、がけ条例にかかる土地では建築に追加の費用がかかることや、評価が低くなることから売買が困難になります。
仲介業者では売却できなくても、訳あり物件を専門とする不動産買い取り業者であればがけ地でも商品化できるノウハウと実績があるため問題なく買い取ってくれます。
がけ地だけどなるべく早く売却したいとお考えの方は、ぜひ弊社AlbaLink(アルバリンク)までお気軽にご相談ください。
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