中古マンションにおける固定資産税の概要
中古マンションを所有する際に事前に把握しておくべきなのは「固定資産税」です。
固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人に課せられる税金です。

1月1日時点の所有者に課税され、年の途中で相続が発生した場合には相続人がその納税義務を承継します。
固定資産税はマンションの使用状況に関わらず毎年発生するため、事前に税額を把握しておくことが重要です。
固定資産税額を決める3つの要素
中古マンションの固定資産税額は、以下3つの要素で決まります。
敷地権割合の調べ方については、以下の記事で詳しく解説しています。

築30年の中古マンションの固定資産税額の計算例
築30年の中古マンションを例に、実際の固定資産税額を計算します。
計算例の条件は下記のとおりです。
- 築年30年の中古マンション
- 専有面積:80㎡
- 土地の固定資産税評価額:1,000万円
- 建物の再建築価格:2,500万円
「土地の固定資産税評価額 = 評価額 ×1.4%」で住宅用地の特例(後述)が適用されるため、
1,000万円 × 1/6 × 1.4% = 2万3,333円
「建物の固定資産税評価額 = 再建築価格 × 経年減価補正率 × 1.4%」により、
2,500万円 × 0.3059 × 1.4% = 10万7,065円
上記の例では土地が2万3,333円・建物は10万7,065円が税額となり、固定資産税の合計は13万398円と計算できました。
築30年の中古マンションに適用される特例と控除
築30年の中古マンションには、すでに適用されている固定資産税の軽減措置や今後利用できる控除制度があります。
築30年の中古マンションに適用される特例と控除は、以下のとおりです。
住宅用地の特例
住宅用地の特例は、中古マンションの固定資産税を大幅に軽減できる制度で、土地部分の課税標準を1/6まで減額しています。

住宅用地に対して、評価額が200㎡以下の部分に1/6・200㎡以上の部分に1/3まで減額する税の優遇措置。住戸1戸あたりの面積が基準になるため、ほとんどのマンションは1/6が適用されている
たとえば、土地評価額が1,000万円の場合、通常なら「1,000万円 × 1.4%」で、税額は14万円です。
住宅用地の特例が適用されると、「1,000万円 × 1/6 × 1.4%」で税額は2万3,333円となり、約12万円もの節税効果を得られます。
住宅用地の特例は、マンションの土地部分に自動的に適用されます。
長期優良住宅化リフォームの特例
中古マンションをリフォームして「長期優良住宅」の認定を受けた場合、固定資産税の減額特例が適用されます。
特例によってリフォームが完了した翌年度分に限り、固定資産税額の2/3まで減額されます。
参照元:国土交通省「長期優良住宅化改修に係る固定資産税の減額措置」
たとえば、年間10万円の固定資産税がかかる不動産の場合、この特例により翌年度は約3万3,000円まで軽減されます。
改修工事の完了後3ヶ月以内に住宅のある市町村等に申告する必要があるため、工事完了後はすみやかに手続きを行いましょう。
省エネ・バリアフリー改修による税金控除
耐震・省エネ・バリアフリー改修を行った場合、改修工事が完了した年の翌年度分について、固定資産税額の1/3を減額する制度が利用できます。
- バリアフリー改修に係る固定資産税の減額措置
- 高齢者や障害者が居住している築10年以上の家屋に対して、一定のバリアフリー改修工事を行った場合に、翌年度分の固定資産税から1/3が減額される
- 省エネ改修に係る固定資産税の減額措置
- 平成26年4月1日以前から所在する家屋に一定の省エネ改修工事を行った場合に、翌年度分の固定資産税から1/3が減額される
上記のどちらも、以下の要件を満たす必要があります。
- 改修後の床面積が登記簿上50㎡〜280㎡以下であること
- 居住部分が床面積の1/2以上であること
- 令和8年3月31日までに工事が完了していること
ただ、マンションによってはリフォームの制限に関する内容が管理規約に含まれている場合があります。
後々トラブルを発生させないためにも、着工前に管理規約を確認した上で管理会社・管理組合に相談しておきましょう。
築30年の中古マンションが売れない5つの理由
中古マンションの固定資産税やリフォーム費用を知り、売却を視野に入れている方も多いでしょう。
築30年のマンションには売却が難しいとされる理由があるため、物件の価値を正しく理解した上で対策をする必要があります。
築30年マンションが売れにくい主な理由は以下の5つです。
中古マンションが長期間売れない理由については、以下の記事でも詳しく解説しています。

住宅ローン控除が利用できないと思われている
築30年のマンションは「住宅ローン控除が使えない」と誤解されている点が理由の一つに挙げられます。
住宅ローン控除とは、ローンを利用してマイホームを購入した人の税負担を軽減する目的で設けられた制度です。
入居から最大13年間にわたり「年末残高 × 0.7%」に相当する税金控除が受けられるので、高い節税効果があります。
従来の住宅ローン控除制度では、非耐火建築物は築20年以内、耐火建築物は築25年以内という築年数による厳格な適用要件が設けられていました。
しかし、令和4年度税制改正によって要件が緩和され、昭和57年以降に建築された新耐震基準適合住宅であれば築年数に関係なく控除対象となる仕組みに変更されました。
2022年の制度改正で築30年のマンションも住宅ローン控除対象になりましたが、この変更の周知不足が中古マンション購入の阻害要因となっているといわれています。
設備の故障などが懸念されている
築30年という年数は住宅設備の交換時期と重なることが多く、買い手の不安要素になりがちです。
給湯器・換気扇・エアコンなどの主要設備は10年〜15年で交換時期を迎えることが多いためです。
実際に、2023年4月〜2024年3月に住み替え・建て替え・リフォームを行った世帯を対象としたアンケート調査でも、以下のような声が挙げられています。
- 【既存(中古)住宅にしなかった理由】
- 購入費用が安くてもリフォーム費用やメンテナンス費用が割高になる:26.6%
- 隠れた不具合が心配:28.9%
- 給排水管などの設備の老朽化が不安:23.9
上記のような要素が買い手から不安視されることから、築30年の中古マンションは売却価格を安くしても売れにくいといえます。
住宅ローン審査が厳しくなる
築30年のマンションは金融機関からの評価が低くなり、住宅ローンの審査が厳しくなる傾向があります。
築年数の経過により物件の市場価値が下がり、ローン残債に対して担保価値が不足するリスクが高まるためです。

築古物件は融資で以下のような影響が生じやすくなります。
- 借入可能額が希望額より少なくなる
- 金利が高く設定される場合がある
- 頭金を多く求められる場合がある
また、住宅ローンの借入期間を「法定耐用年数(法で定められた使用期間)まで」と基準を設けている金融機関もあります。
築30年を経過すると、RC造のマンションは法定耐用年数(47年)の約2/3が消化されているため、買い手が17年で返済しなくてはならなくなります。
現金で購入できる層などに買い手が限定されるため、築30年のマンションは成約が決まりづらい傾向にあるのです。
デザインや性能が古い印象を与える
築30年のマンションは外観や設備の劣化が目立ちやすく、第一印象で買い手の購入意欲を削ぐ傾向にあります。
とくに、外壁の色あせ・タイルの剥がれ・コンクリートの汚れなどは築30年という年月の経過とともに避けられない問題です。
また、以下のような設備面での古さもマイナスな印象を与える要因となります。
- エレベーターのボタンや内装デザインが古い
- 玄関ドアの色や形状が時代遅れ
- 共用部分の照明器具が昔ながらのデザイン
- 水回り設備(蛇口や配管カバーなど)の劣化や変色
築浅物件と比較される際には、これらの外観や設備の差がより際立ってしまい、売却のハードルになりやすいといえます。
修繕積立金の段階増額方式が不安視されている
多くの築30年マンションで採用されている段階増額方式は、将来の負担増を心配する買い手から敬遠される要因となっています。
段階増額方式とは、新築時は修繕積立金を安く設定し、5年や10年ごとに段階的に金額を引き上げていく仕組みです。
たとえば、新築当初7,000円だった修繕積立金が、将来的に2万5,000円超まで値上がりする場合もあるのです。
国土交通省の調査によると、段階増額積立方式を採用している新築マンションの場合、30年の計画期間の中で約4倍に増額するとされています。
参照元:国土交通省「段階増額積立方式を採用しているマンションは」
買い手からすると「今後どこまで負担が増えるのか分からない」「固定資産税も合わせると維持費の負担が重すぎる」という不安を抱きやすくなります。
築30年の中古マンションが売れない場合の3つの対処法
前述したように、築30年の中古マンションは売れにくいといわれています。
しかし、売れない状況を打開するための効果的な対処法を実施することで売却しやすくなります。
築30年の中古マンションが売れない場合の対処法は、以下の3つです。
すぐ売れる中古マンションの特徴については、以下の記事で詳しく解説しています。

物件の魅力を的確にアピールする
築30年のマンションでも、魅力を上手に伝えることで買い手に注目してもらうことは十分可能です。
国土交通省の調査によると、マンション購入の際に考慮される項目として「駅からの距離など交通利便性」が71.6%ともっとも多くなっています。
次いで「間取り」が61.4%、「日常の買い物環境」が53.5%となっており、立地や生活環境が重視されていることがわかります。
参照元:国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果からみたマンションの居住と管理の現状」
つまり、築30年マンションでも以下のような魅力をアピールすることで売却につなげやすくなります。
- 立地の良さ(駅徒歩圏内、商業施設へのアクセス)
- 間取りの使いやすさ(ファミリー向けの広い間取りなど)
- 買い物環境の充実(スーパーやコンビニの近さ)
空室にして内覧対応の準備をする
中古マンションに残置物が残っている場合は、すべて撤去して空室状態で内覧対応をしましょう。
前の住人の家具や生活用品が残されていると、買い手の購入意欲を削ぐ原因になります。
残置物がある状態での内覧では部屋が狭く暗い印象を与え、壁や床の傷み具合も正確に確認できないため、です。

空室にした後は定期的な換気と清掃を行うことで、内覧時に買い手に好印象を与えやすくなります。
不動産買取業者に直接売却する
市場での売却が難しい場合、不動産買取業者へ直接売却するのも有効な選択肢です。
買取業者とは、個人や法人が所有する不動産を直接買い取る専門業者です。

買取業者は築年数に関係なく物件を現金で購入するため、売れ残りのリスクを回避できます。
買取を選ぶべき具体的なケースを、以下にまとめました。
- 6ヶ月以上仲介で売却活動を続けても買い手が見つからない
- 固定資産税や管理費の負担を早く解消したい
- 相続した物件で遠方にあり管理が困難
- リフォーム費用をかけずに現状のまま売却したい
一般的に、不動産買取による売却価格は市場価格の7割程度になるといわれています。
しかし、業者の活用・再販ノウハウによって買取価格には雲泥の差が生じるので、最低でも3社以上に相見積もりをとることが大切です。

弊社AlbaLink(アルバリンク)も、築古物件を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
無料査定は随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
次項では、弊社アルバリンクの買取事例をご紹介します。
不動産買取業者ランキングについては、以下の記事で紹介しているので併せてお読みください。

アルバリンクなら築30年以上の中古マンションでも売却できる
弊社アルバリンクは訳あり物件専門の買取業者として、マンション・戸建てを問わず再生が難しいとされる築古物件を幅広く買い取ってまいりました。
これまで築50年を超える物件も数多く買い取っており、お客様からも「肩の荷が下りた」など、感謝の声を多数いただいております(下記Google口コミ参照)
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
信頼できる買取業者に安心してマンションを売却したい方は、ぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたからといって、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
まとめ
築30年の中古マンションは、築年数に応じて建物の固定資産税が安くなるものの、最終的に税額がゼロになるわけではありません。
特例や税金控除によって税負担を減らすことも可能ですが、リフォームの着工が前提となるため、長期的な資金計画を慎重に検討する必要があります。
もし、築30年のマンションを今後活用する予定がなく、維持費を負担に感じている場合は専門の不動産買取業者への売却も検討してみてください。
専門の買取業者は、売れにくい要素を抱えた中古マンションでも適正価格で買い取ってもらえるからです。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は築古物件に強い専門の買取業者です。
訳あり物件の買取実績が評価され、フジテレビ「newsイット!」にも出演させていただいた実績があります。

固定資産税の負担が重いマンションを売却して、心の負担を軽減しましょう。
株式会社AlbaLinkは東京証券取引所のTPM市場に上場している不動産会社です。




