「空き家差し上げます」で厄介な空き家を処分するには?
厄介な空き家を手放すための一般的な方法を5つピックアップしました。
それぞれの方法について詳しく説明します。
知人や近隣住民で空き家を欲しがっている人を見つける
持て余している空き家を手放す方法の一つに、知人や近隣住民から引き取り手を探す方法があります。
近隣住民は、物件の立地や周辺環境をよく理解しており、駐車場や畑、資材置き場として活用するなど、具体的な利用のアイデアを持ち合わせているケースが多いです。
知人など、見知った仲であれば信頼関係を築きやすく、譲渡後のトラブルを避けやすいというメリットもあります。
空き家バンクやマッチングサイトを活用する
空き家バンクは、自治体が運営する物件情報サイトです。移住希望者など、特定の目的を持った人に情報を届けられる点が大きなメリットです。
空き家マッチングサイトは民間の事業者によって運営されています。「0円物件」や「100万円均一」など、低価格の物件に特化したサービスが多いのが特徴です。
売り手と買い手が直接やり取りできる仕組みのため、仲介手数料を抑えられるメリットもあります。
空き家バンクや空き家マッチングサイトは、費用をかけずに空き家を手放したい人と、格安で物件を入手したい人のニーズを結びつける、有効な手段です。
空き家をうまくアピールできれば、双方にとってメリットがある譲渡ができる可能性があります。
古民家付き土地として売り出す
古民家付き土地として売り出すことができれば、解体費用をかけることなく空き家を譲渡できます。
買い手が物件を解体する前提で土地の価値をメインに価格が設定されるため、解体費用がいらない、というわけです。
古民家ならではの趣や歴史的価値に魅力を感じる層をターゲットにできる点も大きなメリットです。一般的な中古住宅市場では評価されにくい物件でも、買い手が見つかる可能性は十分あります。
しかし、価格は解体費用の分だけ安くなるのは、認識しておかなければいけません。
SNSやオンラインコミュニティを活用する
新しいアプローチ方法の一つとしてFacebookの「空き家活用コミュニティ」や、Instagram、Xなどのオンラインコミュニティを活用する方法があります。特定のニッチなターゲット層に直接アプローチする最良の方法です。
オンラインコミュニティには、DIYや古民家再生に関心を持っている人や、セカンドハウスを探している人、地方移住を考えている人などが集まっています。
物件を魅力的にアピールできる画像とともに、それぞれのターゲット層に響くメッセージを添えることで、ピンポイントな訴求が可能です。
SNSやオンラインコミュニティは、費用をかけずに物件の魅力を最大限に伝えつつ、活用を真剣に考えてくれる人を探す有効な手段です。
地元のNPOや地域おこし協力隊に相談する
地域活性化に取り組む地元のNPOや地域おこし協力隊は、地域住民とのネットワークや空き家問題に関する専門知識を持っています。
空き家の活用方法や引き取り手を見つけるための、最良のパートナーです。
彼らは、空き家バンクへの登録支援や、地域内の移住希望者への物件紹介、古民家再生のイベント企画など、多岐にわたるサポートを提供してくれるでしょう。
例外的なケースとして、NPOが自ら物件を借り上げてゲストハウスやコミュニティスペースとして活用する事例もあります。
地元に根ざした引き取り手探しを検討する場合、地元のNPOや地域おこし協力隊のサポートは心強いものです。
引き取り手が現れない場合の解決策
どうしても引き取り手が現れない場合の選択肢は次の2点です。
2つの選択肢について詳細を説明します。
不動産業者へ譲渡する
どうしても引き取り手が見つからない場合は、不動産業者へ相談して無償で譲渡する方法もあります。
再販価値のある物件なら、不動産業者が無償で引き取ってくれる可能性は高いです。
ただし、一般的な不動産業者なら物件の立地や状態が極めて良い場合でないと引き取ってくれないことも考えられます。
業者は利益を目的としているため、解体費用がかさむような物件や、再建築が難しい物件は引き取りを拒否されることがほとんどです。
いくつかの選択肢がダメだった場合に考えられる方法ですが、まずは複数の不動産業者に相談し、引き取りの可能性や条件を慎重に確認することが重要です。
自治体や国への寄付
自治体や国への寄付も最終手段の一つとしてあげられます。費用をかけることなく物件を手放せる確実な方法の一つですが、寄付を受け入れてもらえる可能性は非常に低いのが現状です。
自治体は、公的な目的(公共施設や防災用地など)に活用できる見込みのある物件しか受け入れません。老朽化が著しい物件や、多額の維持管理費がかかる物件は、原則として断られます。
寄付が成功した場合は、固定資産税の負担がなくなり、管理の手間からも解放されますが、そのハードルは極めて高いです。検討するときはまず、自治体の担当部署へ相談してみましょう。
空き家を「差し上げます」にする背景とは
近年、空き家が「差し上げます」という形式で無償譲渡されるケースが増加しています。
その背景には、以下のようなことが深く関係しています。
このような背景から、「差し上げます」という無償譲渡は、所有者の負担軽減と、地域活性化や移住促進といった目的に合致する合理的な方法として注目されているのです。
次の章では、上記2つの理由について深堀りしていきます。
背景1:空き家は維持や管理が難しい
手放したい空き家が増えている主な理由は、相続によって「意図せず空き家を所有することになった」ケースが多く、管理や維持が現実的に難しいからです。
前述したとおり、空き家を所有することの最大の問題は、維持費や固定資産税、そして日常的な管理コストが想像以上に重くのしかかる点にあります。
使っていないにもかかわらず、建物の老朽化に伴う修繕費や、草刈り・防犯対策など、維持管理には年間数十万円のコストがかかるケースも珍しくありません。
大抵の場合、郊外の空き家の固定資産税が年間15万円ほど、加えて雨漏りの修繕や外壁の補修などに毎年20万円ほどかかります。
こうした状況は、所有者の経済的・精神的負担を大きくし、結果として「無償でいいから引き取ってほしい」という判断につながるのです。
空き家の維持にかかる費用の内訳や解決策については、以下の記事で詳しく解説しています。

背景2:空き家の条件が悪い
売却が難しい空き家には共通して、立地条件の悪さ、建物の老朽化、再建築不可などの「条件の悪さ」があります。これにより、買い手が見つからず、売買や賃貸のマッチングが成立しないケースが多発しています。
たとえば、駅から徒歩圏外で、周囲に店舗や病院といった生活施設がない古民家では、賃貸としても需要が低く、価格を下げても成約に至らないことが多いのです。
国土交通省によると、空き家の中でも二次的利用、賃貸用又は売却用の住宅を除いた空き家(長期間誰も利用していない家)の数が、20年で約1.9倍に増加したとされています。
このような物件は、リフォームやリノベーションが必要であっても、改修費用がかさみ、活用のハードルが高いため、結果的に無償での譲渡を選択せざるを得ない状況になるのです。
空き家譲渡の成功事例
厄介な空き家の譲渡を成功させたいくつかの事例をピックアップしました。
移住者への譲渡
空き家バンクを活用した移住者への空き家譲渡は各自治体で実施されており、空き家問題を解消する重要な取り組みの一つです。
富山県上市町の「0円空き家バンク」は、空き家バンクを使った譲渡の好事例です。行政の仲介によって空き家の無償譲渡が実現しました。
能登半島地震で被災された方が、この制度を利用して住まいを確保した事例もあります。所有者が「被災者の力になりたい」という思いで物件を無償で提供し、それが住まいという資源として有効活用されました。
その他には、再建築不可の物件でも、活用アイデアを提示したことで、わずか1週間で譲渡先が見つかった事例もあります。「古くて厄介」な物件を、移住者やDIY愛好家にとっての「価値ある家」へと変えることが成功の鍵です。
マッチングサイト「0円物件」を活用した成功事例
築130年の古民家を無償譲渡
空き家マッチングサイトの「みんなの0円物件」を活用した成功事例として、築130年の古民家を無償譲渡できた事例があります。古民家の所有者は、売却の見込みもなく、処分するにも解体費用がかかる古民家の処分に困っていました。
古さはデメリットばかりではありません。「むしろ、古さと歴史的価値にこそ魅力があるのではないか」と、所有者は逆転の発想に転換します。
そこで、専門のマッチングサイトにて古民家の良さをアピールしたところ、わずか1週間で複数の問い合わせが届きました。物件に価値を見出した希望者とのマッチングに成功です。
結果、所有者と希望者はLINEで直接やり取りを進め、短期間で無償譲渡に成功しました。
この事例は、単に「古い」と見なされる物件でも、ターゲットを絞って発信することで、その価値を理解し、活用してくれる人が見つかることを示しています。
再建築不可物件を譲渡
再建築不可物件とは、建築基準法上の道路に接していないなどの理由で、建物の建て替えができない物件のことをいいます。
一般的に市場価値が低く買い手が見つかりにくいため、所有者にとって大きな負担です。しかし、マッチングサイトを活用することで、再建築不可物件でも譲渡に成功した事例があります。
ある事例では、再建築不可物件であることを情報サイトに明記し、無償での譲渡を募ったところ、わずか1週間で引き取り手が見つかりました。この物件は、重機が入れないことで再建築ができない状態でしたが、その一方で、建物自体はまだ利用可能な状態でした。
この事例の成功のポイントは、物件を「再建築不可」というネガティブな側面だけでなく、「DIYやリノベーションのベースとして使える」「居住には問題ない」といったポジティブな面を明確にアピールしたことにあります。
再建築を目的とせず、今の建物を活用したいと考える層に直接情報を届けることで、物件の価値を再定義し、譲渡を成立させることができました。
美容室への転用
空き家の収益化を目指す業者へ相談する方法もあります。空き家の収益化とは、業者が所有者から空き家を借り上げてリノベーションの後、収益化への活路を見出すスキームです。
素人ではどうしようもない厄介な空き家を、空き家再生業者が引き取り、見事に再生させた事例を紹介します。
東京都品川区に、約20年間も空き家状態だった物件がありました。この物件は、駅からも近い好立地にもかかわらず、内外装の劣化や建物の傾き、不法投棄など、状態は極めて悪く、売却や賃貸は困難でした。
空き家は、構造体を補強する大規模な改修を経て、美容室として生まれ変わります。
所有者は費用負担することなく空き家問題を解決することができ、賃料収入を得るにまで至っています。空き家の処分のみならず、新たな活用方法まで見出した好事例の一つです。
歴史的古民家をコミュニティ施設へ転用
大阪府吹田市の旧市街地にある築100年以上の古民家は、所有者が高齢となり、管理が難しくなったことから、市に寄付されました。
この物件は、地域住民にとってなじみ深い歴史ある建物でしたが、老朽化が進み維持管理が困難です。そこで吹田市は、この建物の歴史的価値を再評価し、公的な施設として活用する計画を立てました。
自治体の引取りによって、歴史的古民家を再生できた事例の一つです。
市が費用を負担して建物を改修し、地域住民が自由に集えるコミュニティ施設として再生させました。
この事例は、空き家が「負債」ではなく、「地域の歴史や文化を伝える大切な財産」であるという新たな視点を提供し、地域全体でその建物を守り、未来に引き継いでいくための解決策を示しています。
空き家譲渡でありがちなトラブルポイント
空き家の譲渡でありがちなトラブルを3点ピックアップしました。
それぞれのトラブルについて詳細を説明します。
贈与税をめぐるトラブル
空き家を無償で譲渡する際に、贈与税に関するトラブルはよくある事例です。
「タダでもいいから」と気軽に知人や親族に譲渡すると、受け取った側には、その物件の時価相当額に対して高額な贈与税が課される可能性があります。贈与税だけでなく、不動産取得税や登録免許税といった税金が発生する可能性も忘れてはいけません。
譲渡する側とされる側の間で、税金や手続きにかかる費用負担について事前の話し合いが不足していると、後々大きなトラブルに発展する可能性があります。
無償譲渡であっても、必ず税理士などの専門家に相談し、税金や諸費用について明確な合意を形成しておくことが重要です。
契約不適合責任をめぐるトラブル
契約不適合責任は、引き渡し後に雨漏りやシロアリ被害などの欠陥が見つかった場合に、売主が修繕費などを請求されることをいいます。空き家の譲渡後、契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)をめぐるトラブルは頻繁に起こります。
「タダで譲るのだから責任はないだろう」と考えがちですが、民法上、売主は原則として責任を負わなければいけません。契約不適合責任のリスクを避けるためには、契約書に「契約不適合責任を免除する」という特約を明記する必要があります。
また、売主は物件の不具合を把握している範囲で、事前に買主に正直に伝えることが重要です。事前にしっかり伝えておけば、後々のトラブルを未然に防ぎ、双方にとって安心な取引となります。
所有権移転手続きの失敗
所有権移転手続きの失敗によって、結果的に所有権の名義が変更されることなくそのまま放置されるケースがあります。
所有権を移転せずにそのままにしておくと、法的な所有者は旧所有者のままです。固定資産税の納税義務も継続します。また、名義変更がされていないために、譲り受けた側が将来的に物件を売却したり、担保に入れたりすることができなくなります。
所有権移転のトラブルを避けるためには、必ず売買契約書や贈与契約書を作成し、司法書士に依頼して所有権移転登記を正確に行うことが不可欠です。
専門家に依頼することで、手続きの漏れを防ぎ、双方の権利を法的に守ることができます。
いらない空き家をスムーズに引き取ってもらうには
スムーズな取引に必要なポイントを4点ピックアップしました。
それぞれのポイントについて詳細を説明します。
物件の価値を再定義する
「負の遺産」ではなく「宝物」として、物件の価値を再定義することがスムーズな取引につながります。
老朽化した建物でも「DIYで自分好みにリノベーションできる」「歴史ある古民家」といった魅力的なポイントを見つけ出して、ポジティブな側面を強調しましょう。
「家庭菜園ができる広い庭付き」「週末のセカンドハウスに最適」といった具体的な活用アイデアを提示できれば、買い手の想像力を掻き立て、物件に新たな価値をイメージしてもらうことができます。
売り手の発信方法が、物件を必要としている人たちを惹きつけることをよく認識しておきましょう。単なる売買ではなく、物件の未来を共有する視点が大切です。
物件の状態をできるだけよくする
たとえ無償で譲渡する予定の物件でも、良い状態を維持しておくことは大切です。
家の中の不要なものを片付けたり、庭の草を刈ったりするだけで、内覧時の印象は大きく向上します。
引き取り手は、物件の改修費用だけでなく、残置物の処分費用や手間も考慮することを忘れてはいけません。
売り手の負担を軽減することで、引き取りのハードルを下げることができます。
また、雨漏りやシロアリ被害など、建物の不具合を事前に正直に伝えることも大切です。
隠さずに情報を共有することで、引き取り手はリスクを把握した上で検討でき、後々のトラブルを防ぐことにもつながります。
スムーズな手続きのための準備
円滑な取引には、手続き面での事前準備がとても大切です。
まず、所有権の名義を確認します。相続した物件であれば、名義が故人のままになっていないかを確かめましょう。もし故人の名義であれば、事前に相続登記を済ませておく必要があります。
名義変更の手間や費用は引き取り手にとって大きな負担です。済んでいると済んでいないでは、話の進み方が全然違います。
次に、必要な書類を事前に揃えておくことも大切です。
具体的には、登記簿謄本や公図、固定資産税納税通知書などが挙げられます。これらの書類を整理しておくことで、引き取り手が見つかった際に、スムーズに交渉や手続きを進めることができ、相手に「準備ができている売主だ」という良い印象を与えることができます。
適切な窓口をえらぶ
物件の特性や目的に合った窓口選びはとても大切です。
例えば、地方の空き家で田舎暮らしを希望する人に譲りたいなら、自治体が運営する「空き家バンク」が最適です。空き家バンクには、移住や二拠点生活を検討している人々が多く登録しています。
一方、都心部の老朽化した空き家であれば、「0円物件」を専門に扱う民間のマッチングサイトや、空き家活用ビジネスを手がける業者に相談するのが良いでしょう。
マッチングサイトなどのサービスは、DIY愛好家や事業用途を目的とした買い手・借り手と、売り手を効率的に結びつけてくれます。
適切な窓口を選ぶことで、物件を本当に必要としている人に情報が届きやすくなります。窓口選びを間違えてしまうと、訴求ポイントがズレてしまい、うまく話がまとまりません。
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【20年以上放置された空き家の買取事例】
【不用品で室内があふれてしまっている空き家の買取事例】
引用元:Albalinkの空き家買取事例
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まとめ
厄介な空き家を処分するポイントは、さまざまなアプローチの試行錯誤と、地域のコミュニティの力を借りることです。
0円物件やSNS、オンラインコミュニティは、ニッチな需要に向けたピンポイントなアプローチができます。ニッチなニーズへピンポイントな訴求ができれば、思いの外、簡単に引き取り手を探すことができるかもしれません。
地域のコミュニティは、空き家の再生事業や移住者とのマッチングに強みを持っています。地域に根差した譲渡を心がけたい場合、うまく活用したい方法です。
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【不用品で室内があふれてしまっている空き家の買取事例】 




