定期借地権マンションとは期限付きで借りた土地に建つマンション
定期借地権マンションとは地主から期限付きで土地を借り、その上に建てられたマンションです。
定期借地権とは、期限付きで土地を借りる権利を指します。
一般的な借地契約である「普通借地権」は、借地人が請求すれば借地契約の更新が可能です。
もし、普通借地権で地主が更新を拒否する場合には、「正当な事由」の提示が必要になります。
しかし、定期借地権の場合は、特段の取り決めがない限り更新は認められません。
定期借地権は契約期間が50年以上と定められており、借地契約の満了を迎えると土地を地主に返還する必要があります。
この契約の期間を「存続期間」、契約の途中から満了までの期間を「残存期間」と呼びます。
また、定期借地権マンションは、将来的に土地を更地にした状態で地主に返還するため、居住期間中に解体準備金を毎月積み立てるなどの特徴があります。
次項で、定期借地権マンション・分譲マンションの違いを見ていきましょう。
借地権の概要・種類については、以下の記事で詳しく解説しています。
定期借地権マンション・分譲マンションの違い
定期借地権マンション・分譲マンションの違いを、以下にまとめました。
項目 | 分譲マンション | 定期借地権マンション |
---|---|---|
存続期間 | なし | あり(50年以上) |
契約期間満了時 | なし | 更地にして返還する |
売買価格 | 市場相場どおり | 分譲マンションの6割〜7割程度 |
地代 | なし | あり |
土地の固定資産税 | 所有者が支払う | 地主が支払う |
解体準備金 | なし | あり |
住宅ローン | 一般的 | 組みにくい |
前述したように、定期借地権マンションには50年以上の契約期間が定められています。
ただし、50年以上であれば、当事者間で自由に設定できるため、実務上は60年〜70年という長期の賃貸借になっているケースが大半です。
地主の合意があれば、契約満了時に借地契約を結び直すこともできますが、法的な義務はないため実現は期待しないほうがよいでしょう。
そのため、「契約期間の満了を迎えるとそのマンションに住めなくなる」という前提で、住み替えなどのスケジュールを組む必要があります。
期限を迎えた定期借地権マンションは現状ない
定期借地権マンションは、平成4年に新しく制定された「借地借家法」により誕生しました。
定期借地権の契約期間は、原則として50年以上です。
平成4年から50年が経過していないので、期限を迎えた定期借地権マンションは現状ありません。
そのため、契約期間の満了を迎える頃には、定期借地権マンションのデメリットがさらに顕在化して売却が難しくなる可能性があります。
定期借地権マンションの売却を検討している方は、早期に売却したほうが売れ残りのリスクを回避しやすくなります。
ただし、定期借地権のマンションには簡単には売ることができません。
詳しくは定期借地権マンションが売れない理由の章で詳しく解説しています。
定期借地権マンションの普及は進んでいる
定期借地権付き住宅の供給は平成5年から始まっており、平成19年末時点で6万3,931戸まで普及しています。
そのうち、定期借地権マンションは2万8,439戸と全体の約44%を占めています。
定期借地権付き住宅自体は平成5年〜平成19年の間で20倍近くに増加しているので、今後も定期借地権マンションの普及は進むと考えられます。
定期借地権マンションが売れない理由とデメリット4選
定期借地権マンション自体は増加傾向にある一方、買主目線ではデメリットが多く売れにくい傾向にあります。
定期借地権マンションが売れない理由とデメリットは、以下の4つです。
永住ができない
定期借地権マンションのデメリットは、取得しても永住ができない点です。
前述したように、定期借地権マンションは特段の定めがない限り期間満了とともに土地を返還します。
たとえば、30歳でマンションを購入しても80歳を迎える頃には住めなくなるため、残存期間が短くなると住み替えの段取りを始めなくてはなりません。
下記アンケート調査からもわかるとおり、持ち家に期待されている「老後の住居を確保できる」などのメリットが得られない可能性があります。
残存期間が50年であれば、「終の住処」として検討しやすいかもしれません。
ただ、契約満了まで20年・10年と期限が迫っている定期借地権マンションは、買主が購入後に再び家探しする必要があるので売れにくいのです。
ランニングコストが割高になりやすい
定期借地権マンションは、ランニングコストが高くなりやすい点も売れにくい要因といえます。
分譲マンションは、管理費・修繕積立金が毎月発生します。
定期借地権マンションは、上記にくわえて地代・解体準備金の支払いが必要です。
解体準備金とはその名のとおり、建物を解体して更地の状態で返還するための準備金です。
定期借地権マンションは、将来かかる解体費用の一部を先払いする形で毎月5,000円程度を支払います。
住宅ローンを利用する場合は毎月の返済額も加わるため、戸建て・分譲マンションよりも家計を圧迫しやすいデメリットがあるのです。
住宅ローンが利用しにくい
買主が住宅ローンを利用しにくい点も、定期借地権マンションのデメリットです。
定期借地権付きマンションは、住宅ローン審査で担保価値を低く評価される傾向があります。
なぜなら、中古の定期借地権マンションには「土地の返還が必要」「契約期限が迫っている」などの活用制限があるからです。
そのため、買主が借りられる融資額が少なくなる・そもそもローンが組めないなどの影響を与えます。
また、住宅ローンは30年〜35年の借入期間で組むケースが一般的です。
定期借地権マンションは土地の返還までにローンを完済する必要があるため、「借入期間の上限 = 残存期間」です。
買主が希望する融資額・借入期間などで住宅ローンを組みにくいのは、買主に敬遠される要因といえます。
売却価格が低くなりやすい
定期借地権マンションは、条件が類似した分譲マンションよりも売却価格が低くなりやすいデメリットがあります。
土地の活用制限があり、買主にとっては「維持費が高いのに自由度が低いマンション」だからです。
とくに、定期借地権マンションの場合、契約期限が迫るにつれて住める期間も短くなります。
理屈としては、残存期間がゼロになると土地上のマンションの価値もゼロになるといっても過言ではありません。
築年数の経過による値下がりの影響を分譲マンションよりも受けやすい点は、定期借地権マンションのデメリットです。
定期借地権マンションのメリット3選
土地の活用制限がある・金銭的な負担が多い、というデメリットをもつ定期借地権マンションですが、メリットもあります。
定期借地権マンションのメリットは、以下の3つです。
購入価格が安い
定期借地権マンションは、購入価格が安く抑えられる点がメリットです。
土地・建物をセットで購入する分譲マンションに対して、定期借地権マンションは建物の購入費用だけで済みます。
定期借地権マンションは、分譲マンションの6割〜7割程度の価格で売買されるのが一般的です。
地価が高い都心部などでは、土地の購入費用を節約できるメリットは大きいといえます。
好立地なケースが多い
定期借地権マンションは、好立地であるケースが多いのもメリットです。
都心部・駅近などの好条件な土地は資産性が高く、地主が手放さない傾向にあります。
土地で収益化しながら、将来的には更地で返還してもらえる定期借地権マンションは地主にとってリスクの低い運用方法です。
そのため、立地条件に恵まれたエリアに定期借地権マンションが多く建築される傾向にあるのです。
下記アンケート調査からも、通勤・通学がしやすく周辺施設が充実している、といった立地条件は買主のニーズが多いことがわかります。
買主目線での定期借地権マンションは、「好立地なのに安く買えるお得な不動産」ともいえます。
土地の固定資産税がかからない
定期借地権マンションは、土地の固定資産税がかからないメリットがあります。
分譲マンションは、土地・建物の両方に対して固定資産税が徴収されます。
定期借地権マンションの固定資産税は、土地は地主・建物は借地人といったように、所有者別に徴収されるのです。
とくに、都心部などの地価が高いエリアは土地の固定資産税も高額になりやすいため、税負担を抑えられるのは大きなメリットといえます。
定期借地権マンションを売却するコツ3選
買主が得られるメリットに対して、デメリットが多い定期借地権マンションは売却が難しい傾向にあります。
そのため、定期借地権マンションを売却するときは分譲マンションよりも工夫が必要です。
定期借地権マンションを売却するコツは、以下の3つです。
借地権を高額売却する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
できるだけ早期に売り出す
定期借地権マンションの売却を成功させるためには、早期に売り出すことが重要です。
居住できる期間が決まっている定期借地権マンションは、売り出しが遅くなると買主が使用できる期間も短くなります。
たとえば、残存期間が10年しかない場合は用途が限定的ですが、残り40年など長期の場合は終の住処として選んでもらえるかもしれません。
定期借地権マンションの立地条件によっては、将来的に地方移住を検討している若い層が購入する可能性もあります。
また、残存期間が長いほど住宅ローンを組みやすくなるので、買主が抱える資金面のハードルを下げられます。
契約期限までの時間が長ければ長いほど買主の選択肢は広がるため、早期に売り出したほうが売却は決まりやすくなるのです。
興味を引く価格設定にする
不動産の売却方法には、売買のサポートをしてもらう「仲介」、業者に買い取ってもらう「買取」の2種類があります。
上記のうち、オーソドックスな売却方法は仲介です。
仲介で売却をする場合、売り出し価格を決めるのは売主であるため、興味を引く価格設定にするのが重要です。
競合マンションよりも「立地条件がよいのに購入費用が安い」「同じ価格帯なのに間取りが広い」など、魅力的に映る見せ方をすることで、関心を集めやすくなります。
そのため、仲介業者と相談しながら、自身でもポータルサイトなどで競合物件を調べて魅力的に映る価格設定をしましょう。
仲介・買取の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
専門の不動産買取業者に売却する
定期借地権マンションはタイムリミット付きの不動産であるため、早期に売却するのがポイントです。
しかし、定期借地権マンションには借地契約の期限以外にも購入・居住のハードルがあるため、買い手が付きにくいのが実情です。
そのため、スピーディーかつ確実に売却するためには、専門の買取業者に依頼するのがおすすめです。
前述したとおり、不動産買取は業者に直接買い取ってもらう仕組みであるため、買い手を探す必要がありません。
くわえて、定期借地権マンションのように活用制限・権利関係を抱えた不動産に強い専門の買取業者であれば、買取価格が高くなりやすい傾向にあります。
専門の買取業者は、定期借地権マンションの残存期間に応じて活用方法を柔軟に変えられるからです。
定期借地権つきマンションの売却にお悩みの方は、専門の買取業者に依頼してスピーディーかつ高額売却を実現しましょう。
次項では、定期借地権マンションなど売れにくい不動産を日常的に取り扱っている、弊社AlbaLinkの買取事例を紹介します。
AlbaLinkは売れない不動産も買い取れる
弊社Albalinkは訳アリ物件専門の買取業者として、他社では断られるような売れにくい不動産を数多く買い取ってまいりました。
借地権を例に挙げると、地主の要望が厳しい・築54年の建物が建っている・建て替えができない、といった借地を190万円で買い取った実績がございます。
このように、売却が難しい借地を買い取れる理由は、借地の活用方法・再販先が豊富にあるからです。
過去にも借地権と同様、土地の活用制限がある不動産を数多く買い取っており、お客様からも感謝の声を多数いただいております(下記Google口コミ参照)
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
訳あり物件に強い買取業者としてフジテレビの「Newsイット!」など、多くのメディア搭載実績もございます。
信頼できる買取業者に安心して定期借地権マンションを売却したい方は、ぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたからといって、無理な営業などは行いませんのでご安心ください)。
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まとめ
定期借地権マンションが売れにくい主な要因は、住める期間が限定されているからです。
存続期間である50年を迎えると更地にして返還する特性から、資産にならない・老後に住み替えをしなくてはならないなどのハードルが生じます。
築年数が古い定期借地権マンションだと買主が使用できる期間が極端に短くなってしまうため、さらに売却は難しくなります。
もし、定期借地権マンションの売却を検討しているのであれば、専門の不動産買取業者への売却を検討しましょう。
専門の買取業者であれば、定期借地権マンションの活用ノウハウがあるため、問題なく買い取ってもらえるからです。
弊社AlbaLinkも、定期借地権マンションに強い専門の買取業者です。
借地・底地・共有名義など、活用制限を抱えた不動産を数多く買い取ってきた弊社であれば、できる限りの高額買取に対応できます。
無料査定・無料相談は随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。