農地を相続放棄するとどうなる?メリットデメリットを解説
相続放棄とは、亡くなった人(被相続人)の遺産を相続する権利を放棄することです。
相続が開始したことを知った日から3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述書を提出することで、相続放棄が認められます。
参照元:裁判所|相続の放棄の申述
相続放棄をすると相続人ではない扱いとなるため、農地を受け継ぐ権利がなくなり、今後の維持・管理における手間や費用の負担を負う必要がありません。
ただし、相続人の権利を放棄することに伴い、さまざまなデメリットが生じるため、相続放棄の特性をよく理解した上で手続きに進む必要があります。
この章では、農地を相続放棄する以下2つのメリット・4つのデメリットについてお伝えします。
- 【メリット1】今後一切農地に関わらなくていい
- 【メリット2】他の相続人の了承を得なくても放棄できる
- 【デメリット1】すべての財産を放棄することになる
- 【デメリット2】相続放棄の手続きに期限がある
- 【デメリット3】管理責任が残る
- 【デメリット4】遺留分を受け取れない
なお、相続放棄については以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
【メリット1】今後一切農地に関わらなくていい
まず、相続放棄するメリットの1つ目は「今後一切農地に関わらなくてよくなる」です。
農地を相続すると、定期的に訪れて雑草対策などの管理をしなくてはなりません。農地で作物を育てる気がなくても、一定期間ごとに草刈りなどの手入れをしなければ、雑草が伸び放題となって近隣住民の暮らしに悪影響を与えてしまうからです。
しかし、相続放棄をすれば、農地の所有者ではなくなるため、これらの管理が一切必要なくなります。
定期的に草刈りをする必要もなければ、ゴミの不法投棄などのターゲットにされて近隣住民からクレームが入る心配もありません。
農地を維持・管理する精神的な負担から解放されるのは、相続放棄のメリットと言えるでしょう。
ただし、詳しく後述しますが、次の管理人の管理体制が整うまでの期間は、相続放棄をしていても管理を継続する必要があります。
【メリット2】他の相続人の了承を得なくても放棄できる
相続放棄するメリットの2つ目は「他の相続人の了承を得なくても放棄できる」です。
相続放棄は単独で手続きが行えるため、遺産分割協議に参加をする必要がありません。
遺産分割協議とは、相続人全員で「遺産をどう分割するか?」について話し合う手続きです。
「争続」という俗語があるように、遺産分割協議をきっかけに、相続人同士の関係が悪化するケースは珍しくありません。
実際に、弊社が「家族・親族の相続について考えたことがある500人」を対象にしたアンケート調査では、相続において不安を感じるダントツ1位は「家族・親族と揉め事」でした。
このように、遺産相続における話し合いをきっかけに「揉め事に発展しないか?」を懸念する人が多いようです。
原則として、遺産分割協議は相続人全員で行わなければなりません。相続人同士が不仲、あるいは話し合いの途中で揉めてしまった場合、遺産分割協議で親族が集まる時間は苦痛になるでしょう。
遺産分割協議に参加しなくてよいのは、相続放棄の大きなメリットと言えます。
なお、遺産分割協議がまとまらない際の対処法については、以下の記事をご参照ください。
【デメリット1】すべての財産を放棄することになる
相続放棄するデメリットの1つ目は「すべての財産を放棄することになる」です。
財産には、現預金や債券など、金銭的にプラスになる「積極財産」と、借金や買掛金のように金銭的にマイナスになる「消極財産」の2つに分けられます。
相続放棄は、すべての財産を対象に放棄することなので、積極財産・消極財産の両方を手放さなければなりません。
参照元:裁判所|相続の放棄の申述
相続放棄は特定の財産を限定して放棄ができないので、「農地とセットで受け継ぐか」「農地とセットで手放すか」の2択になります。
被相続人の遺産の中に受け継ぎたい財産があっても、農地と一緒に手放さなければならないのは相続放棄のデメリットと言えます。
【デメリット2】相続放棄の手続きに期限がある
相続放棄するデメリットの2つ目は「相続放棄の手続きに期限がある」です。
相続放棄の手続きは、相続が開始したことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述書を提出する必要があります。
相続するかどうかを選択できる期間を「熟慮期間」と言い、この期限を過ぎてしまうと、自動的に被相続人の遺産をすべて相続する「単純承認」が成立してしまい、相続放棄ができなくなるので注意が必要です。
例外として、熟慮期間を過ぎても「財産の存在を知らなかった」などの理由で、相続放棄が認められるケースはあります。
実際に、父親に多額の借金があることを知らず相続してしまった家族が、死亡から約1年後に相続放棄の申述が認められた事例があります。
しかし、期限経過後の申述で相続放棄が認められる明確な要件は決まっておらず、あくまで裁判所の判断に委ねられます。
よって、基本的には、熟慮期間である3ヶ月以内に相続放棄の手続きを済ませておくべきです。
【デメリット3】管理責任が残る
相続放棄するデメリットの3つ目は「管理責任が残る」です。
民法第940条では、相続した不動産の管理について以下のように明記されています。
(相続の放棄をした者による管理)
第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
簡単に言うと、「管理できる人にバトンタッチするまでは、相続放棄していても管理を継続しましょう」といった内容です。
基本的に相続後に負担となる財産は、他の相続人にとっても同じであり、相続人全員が相続放棄するケースもあるため、管理する期間が長引く可能性は十分あります。
詳しくは後述しますが、全員が相続放棄をした場合、相続財産清算人を選任して管理を代行してもらう必要があります。
相続放棄をしても、直ちに農地の管理義務から解放されるわけではない点は留意しましょう。
【デメリット4】遺留分を受け取れない
相続放棄するデメリットの4つ目は「遺留分を受け取れない」です。
遺留分とは、一定の相続人に対して定められている最低限保障される遺産の取り分のことです。
遺産相続では遺言がもっとも強い効力を持っており、遺産分割協議よりも優先されます。
しかし、遺言の内容が特定の第三者に「すべての財産を譲る」という内容だと、相続人に明らかな不利益が生じてしまうため、遺留分という形で最低限の取り分を保障されているのです。
遺留分は、相続人との続柄に応じて、以下のように遺産を取得できる割合が決められています。
たとえば、遺産総額1,000万円・相続人が妻のみで、遺言の内容が「親友にすべて相続させる」という内容だった場合、妻は遺留分として親友から500万円を受け取れます。
このように、最低限の遺産取得分が保証されているので、仮に遺言書に自分の名前が記されていなかったとしても相続人である限り、遺産を受け取れます。
しかし、相続放棄をすると「相続人としての地位」を放棄するので、遺留分も含めて遺産はすべて相続できなくなるので注意が必要です。
なお、遺留分について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
農地を相続放棄する5つの手順
ここまで、農地を相続放棄するメリット・デメリットについて解説しました。
相続放棄をすれば、農地を手放せるメリットを得られますが、プラスの財産を受け取れないなど多くのデメリットも生じます。
まとめると、相続放棄がおすすめになるケースは以下の2つと言えます。
- マイナスの財産がプラスの財産を上回っている
- 相続人と揉める可能性が高い
この状況に該当しない場合は、基本的には相続放棄しないほうがよいでしょう。
この章では、相続放棄が適している方に向けて、農地を相続放棄する以下の手順についてお伝えします。
- 遺言書の有無を確認する
- 相続財産を特定する
- 相続人を特定する
- 相続放棄申述書を家庭裁判所に提出する
- 農地の相続人は農業委員会に届出を行う
不動産を相続する流れについては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひお読みください。
遺言書の有無を確認する
まずは、遺言書の有無を確認しましょう。
遺言書とは、被相続人が自己の遺産を誰にどのように配分するかなどを遺した書面です。
相続放棄は一度おこなうと撤回ができないため、遺言や相続財産について調査をして、自身が受け取れる正確な財産を把握した上で、相続放棄の手続きに進む必要があります。
遺言書を確認すれば、自身が受け取れる遺留分の確認ができます。
遺言書の種類は3つあり、それぞれの違いは以下のとおりです。
- 自筆証書遺言
- 相続内容のすべてが被相続人の自筆で作成された遺言書
- 公正証書遺言
- 公証人を通して作成してもらう遺言書
- 秘密証書遺言
- 公証人に遺言書の存在のみを証明してもらう遺言書
公正証書遺言・秘密証書遺言の有無は、公証役場に訪問して担当者に検索してもらえばわかります。
自筆証書遺言は、被相続人の自宅で保管されているケースが多いため、タンスや引き出しなど保管場所になりそうな箇所を探してみましょう。
相続財産を特定する
次に、相続財産を特定します。
積極財産・消極財産の両方を把握しておかなければ、相続放棄するか否かの正しい選択ができないからです。
相続財産の調べ方の一例として、以下の5つが挙げられます。
- 通帳、キャッシュカードなどから「預貯金」を調べる
- 信用情報機関に情報開示請求をして「借金」を調べる
- 固定資産税課税明細書、登記済権利証などから「不動産」の有無を調べる
- 自宅や金融機関の貸金庫などから「貴金属」の有無を調べる
- 株券、証券口座などから「有価証券」を調べる
なお、自身での相続財産調査をするのが難しければ、弁護士などの専門家に依頼もできます。
弁護士に依頼する費用は財産の数や種類によっても異なりますが、10万~30万程度で調べてもらえるので、依頼も検討しましょう。
相続人を特定する
相続財産の特定が完了したら、次に行うのは相続人の特定です。
相続人を特定すれば、遺産総額のうち自分がどれほどの財産を取得できるのかがわかります。
民法では、被相続人の財産を相続できる人の範囲や優先順位が、以下のように定められています。
優先順位 | 法定相続人 | 法定相続分 |
---|---|---|
第1順位 | 配偶者と子(子が亡くなっている場合は孫) | ・配偶者1/2 ・子1/2(人数で分ける) |
第2順位 | 配偶者と親(親が亡くなっている場合は祖父母) | ・配偶者2/3 ・父母1/3(人数で分ける) |
第3順位 | 配偶者と兄弟姉妹(が亡くなっている場合は甥姪) | ・配偶者3/4 ・兄弟姉妹1/4(人数で分ける) |
相続人の存在が後で発覚すると、受け取れる遺産の割合も変わってしまうため、被相続人の出生から死亡時までの戸籍謄本を調べておく必要があります。
相続人を特定する手順は以下のとおりです。
- 被相続人の住所を管轄する役所で、出生から死亡までが書かれている戸籍を取得する
- 法定相続人となる人の現在の戸籍謄本までをたどる
- 法定相続人の順位に沿って相続人を確定する
ここまでの段階で、農地の相続を選択した場合に「自身がどの程度の財産を取得できるのか?」がわかりました。
相続放棄を選択する場合、次に解説する手続きに進みます。
相続放棄申述書を家庭裁判所に提出する
ここからは、相続放棄の手続きの流れについて解説します。
前述したとおり、相続放棄申述書を家庭裁判所に提出して相続放棄を認めてもらうには「相続が開始したことを知ってから3ヶ月以内」に済ませなければなりません。
この章では、期限内に相続放棄の手続きがスムーズに完結できるよう、以下3つのステップをお伝えします。
- 相続放棄申述書の作成を行う
- 必要書類を家庭裁判所に提出して申し立る
- 相続放棄申述受理通知書を受け取る
相続放棄申述書の作成を行う
まずは、相続放棄申述書の作成を行いましょう。
相続放棄申述書とは、相続放棄することを裁判所に認めてもらうための申請書類です。
農地を含めた相続財産を放棄する場合、熟慮期間の間に、家庭裁判所に相続放棄申述書の提出を済ませる必要があります。
相続放棄申述書は、裁判所のホームページで書式をダウンロードできます。相続放棄申述書の記入例についても記載されているので、参考にしてください。
引用元:「裁判所|相続放棄申述書」
必要書類を家庭裁判所に提出して申し立る
相続放棄申述書の作成を終えたら、その他の必要書類と一緒に家庭裁判所に提出して申し立てましょう。
相続放棄をする際の提出書類は、被相続人が自身の親であれば、以下の書類が必要です。
- 相続放棄申述書
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
- 相続放棄する人の戸籍謄本
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
- 収入印紙(800円)
- 切手(裁判所によって異なる)
参照元:裁判所|相続の放棄の申述
提出方法は、被相続人の住んでいた住所を管轄する家庭裁判所の窓口へ直接持参するか、郵送か選べます。
熟慮期間の期限が迫っている場合は、家庭裁判所の窓口に直接持参したほうがよいでしょう。
相続放棄申述受理通知書を受け取る
相続放棄申述書の内容に問題がなければ、申し立てから1週間〜2週間ほどで家庭裁判所から相続放棄についての照会書が送付されます。
相続放棄照会書には、「相続放棄は自らの意思で行った手続きなのか」を確認するための質問内容が記載されています。
相続放棄照会書に相続放棄回答書が同封されているので、照会の内容に対する回答を記載して家庭裁判所へ返送しましょう。
相続放棄が無事に受理されると、1週間〜2週間ほどで自宅に「相続放棄申述受理通知書」が届きます。
相続放棄申述受理通知書を受け取れば、相続放棄の一連の手続きは完了です。
農地の相続人は農業委員会に届出を行う
農地の相続人は、名義変更と同時に、農業委員会に届出もしなければなりません。
農業委員会への届出は、農地の所有者が相続で変更した旨を報告する書類です。
必要事項を記入した届出に、登記事項証明書のコピーを添付して農業委員会に提出するのが一般的ですが、各自治体によって方法が異なるケースもあります。
農業委員会に届け出をする期限は、相続開始から10ヶ月以内です。
期限を過ぎないためにも、農地を取得したらすみやかに農業委員会に届け出をしましょう。
他に相続人がいなければ相続財産清算人を選任
全員が相続放棄するなどで相続人がいない場合、相続財産清算人の選任が必要です。
亡くなった人に相続人がいない場合に、代わりに相続財産を管理する人のこと。相続人がいない・相続人全員が相続放棄をした際に選任が必要になる
相続人の存在が明らかでない場合、相続財産清算人を選任するよう、民法第952条第1項で定められています。
相続財産清算人は農地の管理をすると同時に、「他に相続人が本当にいないのか?」を調べるため、公告を行い、相続人がいないことが明確になれば最終的に残った財産を国庫に帰属させます。
相続財産清算人の選任申立ては、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所で行い、国庫に帰属するまでを以下の流れで進行します。
- 家庭裁判所に申し立てる
- 相続財産清算人が選任される・相続人捜索公告をする
- 相続債権者・受遺者に対する請求申出の公告をする
- 相続債権者・受遺者に支払いをする
- 特別縁故者への財産分与する
- 不動産持分の共有者への帰属をする
- 残った財産を国庫に帰属する
すべての手続きが終わるまでには、最低半年以上かかり、相続財産の種類や数によっては数年かかるケースもあります。
農地を処分できる3つの方法
これまで挙げたように、相続放棄をすれば農地を所有するストレスから解放されますが、農地を手放すまでに煩雑な手続きが必要です。
しかし、相続放棄をしなくても、一旦すべての財産を相続をして農地だけを限定して手放す方法もあります。
この章では、農地を処分できる3つの方法について以下の順番で解説します。
- 相続土地国庫帰属法を利用する
- 仲介業者に売却を依頼する
- 専門の買取業者に買い取ってもらう
相続土地国庫帰属法を利用する
相続土地国庫帰属法を利用すれば、農地の処分が可能です。
相続土地国庫帰属法とは、相続または遺贈によって取得した土地を一定の要件を満たすことを条件に国に引き渡せる制度です。
法務局の担当官による書類審査・実地調査で問題がなければ、農地を国に引き渡せます。
相続土地国庫帰属法のメリットは、一定の要件を満たしていれば、確実に国へ引き渡せる点です。
引き渡した後の土地は国が管理を行うため、相続人が草刈りなどのために農地に通う必要がなくなります。
反対にデメリットは、農地を国に引き渡すには費用が発生する点です。
相続土地国庫帰属法を利用するには、審査手数料として土地1筆あたり1万4,000円と、10年分の土地管理費として原則20万円の負担金が必要です。
さらに、不要なものをすべて取り除いた更地の状態で申請する必要があるため、別途工事費用がかかる可能性があります。
たとえば、農地の地中に岩石や木くずなど地中埋設物が埋まっていた場合、業者に依頼して撤去しておかなければなりません。地中埋設物の大きさや種類によって費用は異なりますが、1㎡あたり1万2,000円〜2万5,000円程度かかります。
相続土地国庫帰属法の利用は、手元に費用がある場合におすすめできる方法です。
相続土地国庫帰属法については、以下の記事でも詳しく解説しているので、興味がある方はあわせてお読みください。
仲介業者に売却を依頼する
農地の処分方法には、仲介業者に売却を依頼する手段もあります。
仲介業者に売却を依頼して農地の買い手が見つかれば、売却金も手に入るので家計の足しにもなります。
仲介業者に依頼する際の売却方法には、以下の2つがあるので順番に見ていきましょう。
- 農地のまま農家に売却する
- 宅地に転用して売却する
農地のまま農家に売却する
まずは、農地のまま農家に売却する方法です。
農地を一般の消費者に売却するためには、農地を宅地へ変更する手続きが必要ですが、農家が買い手であれば、そのままの状態で売却できます。(宅地変更については後述します)
農地のまま農家に売却するメリットは、農地転用のために農業委員会へ煩雑な手続きをする必要がなく、売却活動が比較的スムーズに進行できる点です。
農地面積を広げたい農業従事者がタイミングよく見つかれば、農地転用に手間をかける必要がありません。
反対にデメリットは、売却のターゲットが農業従事者に限定されるため、買い手が見つかりにくいことです。なぜなら、農業人口の総数は、年々減少傾向にあるからです。
農林水産省の調査では、2013年〜2022年のおよそ10年間で農業人口が約194万人から約138万人まで減少したというデータがあります。
農業人口の全体数が減っているのであれば、仲介業者に売却を依頼しても、農地がいつまでも売れ残る可能性は十分あります。
農地のまま農家に売却する方法がおすすめな人は、「農地転用の手間をかけずに売却したい」「売却活動に時間をかけてもよい」という人です。
宅地に転用して売却する
次に、宅地に転用して仲介業者に売却する方法です。
農業委員会による農地転用の許可がおりれば、農業従事者以外にも農地を売却できるようになります。
参照元:農地法第2章第5条
宅地に転用して売却するメリットは、一般の買い手も売却のターゲットに加わるので買い手が見つかりやすくなる点です。
農地の立地がよければ、仲介業者の売却の平均スピードである3ヶ月〜6ヶ月程度で売れる可能性もあるでしょう。
デメリットは、農業委員会に農地転用許可申請をする費用がかかることです。
農地転用の申請自体には費用はかかりませんが、申請における手続きは専門的な書類が多く、行政書士などに依頼するのが一般的です。
行政書士に農地転用の申請を依頼する費用は、届出は3万円~5万円程度、許可の場合は6万円~8万円程度かかります。届出・許可のどちらの手続きになるかは農地の地域によって異なるため、事前に自治体への確認が必要です。
また、農地の立地によっては宅地に変更しても売れ残る可能性があり、農地転用にかけた費用と手間が無駄になる可能性もあります。
農地を宅地に転用して売却する方法がおすすめな人は、「農地の立地がよい」「売却活動に時間をかけてもよい」という人です。
専門の買取業者に買い取ってもらう
農地のまま専門の買取業者に買い取ってもらう方法です。
前述した仲介業者は買主との成約を手伝う業者ですが、専門の買取業者は直接売主から農地を買い取ります。
専門の買取業者に売却するメリットは、高確率で買い取ってもらえることです。
専門の買取業者が直接買い手となるため、売主から査定額に合意が得られれば、売買契約はすぐに成立し、素早く農地が売却できます。
また、相続土地国庫貴族法や仲介の売却のように、農地を処分する費用もかかりません。むしろ、農地を処分しながら売却金も手に入るので、家計の足しにもなり、一石二鳥の手段と言えます。
デメリットは、売却を依頼をする専門の買取業者によっては売却金が安価になることです。
専門の買取業者は、購入した不動産にリフォーム・リノベーションなどを施し、付加価値をつけた上で、自社に利益が出るよう再販するビジネスモデルです。
そのため、相談する専門の買取業者によっては、活用ノウハウが少なく、農地の再生にかかるコストが高くなり、買取金額が安価になる可能性があります。
しかし、農地の扱いに強い買取業者を選べば、一般の買取業者よりも商品化するノウハウが豊富にあり、コスト削減できるので、高額買取が可能です。
専門の買取業者に買い取ってもらう方法がおすすめな人は、「農地をすぐに手放したい」「できるだけ高く売りたい」という人です。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)は、農地専門の買取業者です。
2011年の創業以来、数多くの農地を買い取り、再販・再生によって収益化につなげてきた実績があり、安価で取引されやすい農地でも高額買取を実現してまいりました。
実際に、フジテレビ「newsイット!」で廃墟化した空き家を買取・再生する業者として特集されています。
豊富な活用ノウハウを持つ弊社であれば、他社で金額がつかなかった農地でも高額買取が可能です。無料査定のみのお問い合わせも歓迎しておりますので、いつでもお気軽にご相談ください。
>>【相続でお悩みの農地を高額売却!】無料の買取査定を依頼する
農地を買い取った弊社の事例
この章では、弊社AlbaLink(アルバリンク)で農地を買い取った事例を1つご紹介します。
物件の所在地 | 群馬県片品村 |
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買取価格 | 400万円 |
買取時期 | 2020年6月 |
遠方に住んでいた親が亡くなり、農地の相続を控えていました。
自分自身は会社勤めであるため、農地を営む気はまったくありません。農地を相続しても、いずれ固定資産税などの維持費が苦痛になると予想していたので、早々に売却活動を始めました。
ところが、街の不動産会社をどれだけあたっても買取に対応してくれる業者が見つかりません。
買い取れない理由を尋ねると「農地は簡単に宅地に変えられないので、家探しをしているお客さんに売れない」との返答。
農地の売却価格を安く設定していれば、どのような土地でもすぐに売れると思っていたので、驚きました。
それでも相続するわけにはいかないと思い、自宅の周辺以外の不動産会社についても調べていたところ、アルバリンクさんの記事に辿り着きました。コラムを読んでいると、普通の不動産会社でも買い取らないような物件を取り扱っているとのこと。
モノは試しにと査定依頼をしてみたら、農地の買取金額はなんと400万円でした。自分としては相続財産を受け継ぎ、農地だけ手放したいと思っていたので、すぐに売却する旨を返信しました。
親が遺した遺産は無事に受け取れましたし、なにより手放したかった農地が高値で売れて嬉しい限りです。この度はありがとうございました。
このように、不動産の売却活動をしておられる方の中には「売値が安ければ、農地はすぐに売れる」と思っていらっしゃる方は少なくありません。
しかし、それは「立地条件がよい」「農地転用が可能」など一定の諸条件をクリアした農地に限られます。
一般的な不動産買取業者は、リフォーム・リノベーションを施してマイホームとして再販する目的で買い取るので、宅地として機能しない農地は買い取りません。
買取業者が農地を買い取れるかどうか、買取価格が安くなるか高くなるかは、業者が持つ活用ノウハウによって大きく異なるのです。
当サイトを運営する弊社AlbaLink(アルバリンク)は、日本全国の農地を積極的に買い取っている買取業者です。
豊富な活用ノウハウを持つ弊社であれば、「立地が悪い」「農地転用できない」などの事情を抱えた農地の高額買取に対応できます。
実際に、Google口コミでは、他社で買取を断られ続けた不動産を買い取る業者として、感謝の声をいただいております。
売主様が一日でも早く、納得できる価格で農地を売却できるよう、全力で対応することをお約束します。
無料査定のみの問い合わせも歓迎ですので、いつでも弊社にご連絡ください。
>>【農地転用できない農地も高額売却!】無料の買取査定を依頼する
農地を活用する方法もあるがオススメできない
処分以外にも、農地を賃貸して収益化につなげるといった活用方法もありますが、おすすめできる手段ではありません。
農業人口が全体的に減少傾向であるのに加え、農家の高齢化も進んでおり、借り手は非常に少ないと予想できるからです。
農林水産省の調査では、令和2年時点での基幹的農業従事者の70%以上が65歳以上の高齢者が占めているというデータがあります。
高齢化に伴って農業を辞める人口は増えます。つまり、現状の農業人口の70%は近い将来に農家を引退する人とも言えます。
よって、農地の周辺に農家がいたとしても、高齢化によって「借りたい」と意思表示する人は少ないでしょう。
まとめ
今回の記事では、農地を相続放棄するメリット・デメリットを中心に解説しました。
農地の相続放棄はできますが、故人が遺したプラスの財産も農地とセットで手放さなければならないなど、デメリットが生じます。
「故人の遺産が借金だらけで、農地の売却額でも負債を補えない」といったケースでない限り、相続放棄はしないほうがよいと言えるでしょう。
もし、あなたが農地を相続したくないとお考えでしたら農地専門の買取業者への売却をおすすめします。
専門の買取業者は農地の活用ノウハウに長けているので、いらない農地も高確率&スピーディーに売却可能です。そのため、「すべての財産を一旦相続して、農地だけを限定して手放す」という選択肢もできます。
当サイトを運営している弊社AlbaLink(アルバリンク)は、農地専門の買取業者です。
弊社の持つ、独自の活用ノウハウ・販売ルートを駆使して、あなたの農地を高額買取することをお約束します。
無料相談・無料査定のみのご依頼も歓迎しておりますので、いつでもお気軽にお問い合わせください。