抵当権を設定する前に知っておきたいこと5つのポイント
抵当権の設定をすることで、不動産のような特定の資産を担保にして融資を受けることができます。
自分がもつ共有持分のみであっても資産として抵当権を設定することが可能です。
共有持分の抵当権設定する前に知っておいたほうが良いポイントは以下の5つです。
- 共有者全員の許可は不要
- 抵当権の影響範囲
- 抵当権は複数の不動産に設定できる
- 共有持分の一部にのみ抵当権を設定することはできない
- 不動産全体の抵当権は完済後に単独で抹消できる
この章で詳しく紹介していきます。
共有者全員の許可は不要
自分の共有持分のみを抵当権設定するのであれば、他の共有者の許可は不要です。
なぜなら、共有持分の所有者は、各共有者自身、自由に処分できる権利を持っているからです。
それゆえ、他の共有者の同意を得ずとも、自分の共有持分のみに抵当権設定することができます。
抵当権の影響範囲
共有持分に対する抵当権の影響範囲は 基本的に不動産全体に影響することなく、 自身の共有持分のみが影響範囲となります。
この場合に分筆が発生したとしても、 1つの不動産が切り分けられて独立した不動産としてみなされます。
その結果、他の共有者の共有分も独立した不動産となるので 抵当権の影響範囲を受けずに済みます。
土地の持分に抵当権が設定された場合
土地の持分に抵当権が設定された場合、影響範囲は土地全体ではなく、特定の持分の範囲のみです。
例えば、土地の共有持分2分の1をAが所有し残りの共有持分2分の1をBが所有していた状況では、Aが抵当権を設定した場合、Aの所有者分である土地の所有分にのみ抵当権が設定されます。
抵当権の設定とは関係のないBの所有分の範囲には抵当権の効力は及びません。
しかし、分筆が行われたとします。
分筆とは、1つの土地を法的に複数の区画に分割して、それぞれを独立した土地として登録する手続きです。
例えば、200坪の土地をAとBで分筆して100坪の土地をAに、100坪の土地をBに切り分けます。
その際、土地Xと土地Yはそれぞれ独立した土地となります。
抵当権に関しては、分筆前に設定されたいたAの共有持分の土地に対してのみ影響を及ぼします。
そのため、分筆後も抵当権は分割された土地に残るので、分筆された土地Xの共有持分2分の1と土地Yの共有持分2分の1に抵当権が設定されたままになります。
建物に抵当権が設定された場合
建物に抵当権が設定された場合、抵当権の影響範囲はその建物および関連する権利にまで及びます。
抵当権が設定された建物そのものが抵当の対象になりますが、固定された設備や一部の付属物も含まれます。
例えば、コンセプトやスイッチなどの電気設備、排水のような水道設備、ガス管のようなガス設備などです。これらの設備も建物の価値として付随していると考えられます。
仮に競売にかけられた場合には、建物に抵当権が設定されると、その建物の処分や利用が制限され、所有者は自由に売却や改築ができなくなります。また、返済が滞った場合は競売にかけられるリスクがあり、新しい所有者が建物を取得する可能性もあります。
建物だけでなく、その利用や契約にも影響が及ぶため、建物の抵当権の設定は慎重に検討する必要があります。
抵当権は複数の不動産に設定できる
抵当権は複数の不動産に設定できます。
「共有持分全体の7割の土地」を所有していた場合、 銀行X、銀行Y、銀行Zからそれぞれ借り入れを行い、 その土地に複数の抵当権設定をすることが可能です。
仮に、その土地を担保に 抵当権を設定する際、 登記登録は 1番目に登記された抵当権が優先権を持ち、 後から登記された抵当権はその次に優先権を持つことになります。
このような状況で競売にかけられた場合、 第1順位の銀行から優先的に返済をうけることができます。
また、共有持分を複数所有している場合、抵当権をまとめて設定することができます。
例えば、土地の共有持分2分の1、建物の共有持分3分の1、単独名義の土地を3つ所有している場合、この3つの不動産に対してまとめて抵当権を設定することができます。
不動産の抵当権は、1つの不動産に複数の抵当権を設定することもできますし、複数の不動産に1つの抵当権を設定することもできます。
共有持分の一部にのみ抵当権を設定することはできない
共有持分の一部にのみ抵当権を設定することはできません。
なぜなら、法律上、共有持分はそれ自体が独立した所有権として扱われるからです。
例えば、50%の共有持分を持つ人のうち、その中の25%だけに抵当権を設定することはできません。
抵当権は共有持分全体に対してのみ設定することができます。
不動産全体の抵当権は完済後に単独で抹消できる
不動産全体に設定された抵当権は、借入金の完済後に単独で抹消することが可能です。
ただし、抹消するには、抵当権者から必要書類を受け取り、法務局に対して抹消登記の手続きを行う必要があります。
借入金の完済後に自動的に抵当権の設定が外れることはありません。
共有持分の抵当権を設定した際の注意点
共有持分の抵当権を設定した際の注意点は、抵当権が実行されることを回避することです。
債務者の返済が滞った場合、債務不履行として借金の回収を行うために担保にした不動産が競売にかけられます。
共有不動産が競売にかけられた場合落札した第三者が、他の共有者と共にその不動産の共有者となります。
それにより、新たな共有者と元からいる他の共有者との間で不動産の扱いについて意見が食い違いことも考えられます。
このような状況になった場合、共有者である親戚に悪い印象を与えることになりますし、後に親族間での相続や金銭的トラブルに発展する可能性もあります。
共有持分を抵当権設定した時点で競売にかけられるリスクを抱えることになります。
共有持分を抵当権設定したのであれば、競売にかけられないように契約書通りの返済を続けることが大切です。
共有持分に抵当権を設定するときの3つの基礎知識
共有持分に抵当権を設定する際、事前に知っておいたほうが良い基本的な権利は以下の3つです。
- 抵当権
- 地上権
- 法定地上権
この章でわかりやすく紹介します。
抵当権とは
抵当権とは融資を受けたい時、不動産のような特定の資産を担保に提供することです。
抵当権は主に不動産を資産として設定されます。抵当権を設定された不動産は所有権は債務者にあり、不動産自由に使うことができます。
しかし、債務者の返済が滞われば抵当権を持つ者が不動産を競売にかけることで債務の回収を図ります。このような条件では不動産の扱いを決定するのは抵当権を持つ者になるので、債務者の意志は反映されません。
地上権とは
地上権とは他者が所有する土地の上に、建物などを所有して使用することができる権利のことです。
地上権の4つの特徴を以下の表に記載していますのでご参照ください。
独立した権利 | 地上権は、特定の物に対しての支配する力を持つ物権として独立しているので、土地の所有者から制限を受けずに、土地の上を自由に建設・維持ができます。 |
---|---|
第三者への譲渡や賃貸 | 地上権は独立した権利なので地上を自由に第三者に渡したり、貸したりすることができます。 |
土地所有者との関係 | 地上権を得るため、土地の所有者に地代を支払うことが必要です。 |
地上権の期限 | 地上権には使用期限が設けられており、期限が過ぎると地上権は消滅します。 |
抵当権の設定に関しては、土地の所有者でなくとも地上権を持っていれば、地上権にも設定することができます。
法定地上権とは
法定地上権とは、抵当権の実行により土地の所有者が変わった場合、建物の所有者が建物を今まで通りに使用できるよう法律上、保護する制度です。
法定地上権は抵当権が行使されない限り、発生することはありません。
しかし、抵当権が実行され不動産の所有者が変更になった場合、建物の所有者を守るため法定地上権が自発的に発生します。
法定地上権についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
共有持分に抵当権を設定する4つのステップ
共有持分に抵当権を設定するステップは以下の4つです。
- 金融機関と金銭消費賃借契約を締結
- 抵当権設定契約
- 抵当権設定登記
- 登記事項証明書を金融機関に提出する
この章で詳しく説明していきます。
金融機関と金銭消費賃借契約を締結
はじめに、金融機関と金銭消費賃借契約を取り決めします。
金銭消費賃借契約とはお金の貸し借りに関する契約のことで、債務者と債権者との間で返済を約束することです。
共有持分を抵当権設定をする前提として、金銭消費賃借契約を金融機関と締結します。
抵当権設定契約
金銭消費賃借契約を締結すると同時に、抵当権設定契約を締結します。
抵当権設定契約とは債務者が金融機関から融資を受ける際に、自分の不動産の権利を担保として提供する約束をするものです。仮に、返済が滞った場合には不動産を競売などで売却して債務問題を解決します。
抵当権設定登記
抵当権設定登記とは抵当権設定した不動産に対して、債権者が抵当権を法的に主張するために法務局で登記手続きを行うことです。
抵当権設定登記は債務者が行う手続きですが、司法書士が手続きを代行するケースが一般的です。
共有持分を抵当権設定した場合においても、同じように登記手続きを行います。
抵当権設定登記を行うことにより、第三者へ自分の持っている法的効力を主張できる上、優先的に貸したお金が支払われるので債権者は自分の権利を守ることができます。
仮に、債務者が勝手に不動産を第三者へ売却したとしても登記登録をしていることで、債権者が新しい所有者に対して抵当権を主張することができます。
抵当権設定登記は金融機関が持つ権利を保護するために重要です。
登記事項証明書を金融機関に提出
抵当権設定登記を終えたら、登記事項証明書を金融機関に提出します。
登記事項証明書は、手続きが完了した時点で法務局で取得できます。法務局側で抵当権設定登記の手続きに時間がかかる場合は、後日、オンライン申請やマイナンバーを使いコンビニ交付サービスで登記事項証明書を取得できます。
登記事項証明書を金融機関に提出することで、抵当権の設定が証明されます。
抵当権設定登記にかかる4つの費用
抵当権設定登記にかかる費用は以下の4つです。
- 登録免許税(登録料)
- 印紙税
- 登記事項証明書・印鑑登録証明書の発行手数料
- 司法書士に支払う費用
この章で詳しく説明していきます。
登録免許税(登録料)
登録免許税とは登記や登録の手続きを行う際に国に対して支払う税金です。
抵当権設定登記の税率は以下の通りです。
例えば、債務金額が1,000万円の場合、登録免許税は以下の計算になります。
印紙税
抵当権設定契約書に対して印紙税がかかります。
抵当権設定契約書に貼付する印紙税額は、契約金額に基づいて次のように定められています。
契約金額 | 印紙税額 |
---|---|
500万円超~1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 6万円 |
印紙税は抵当権設定契約書を作成する場合、発生します。
登記事項証明書・印鑑登録証明書の発行手数料
登記事項証明書と印鑑登録証明書は、発行に手数料がかかります。
登記事項証明書は法務局の窓口で取得することもできますし、登記・供託オンライン申請システムを使って申請することもできます。
取得方法 | 1通あたりの金額 |
---|---|
法務局の窓口での取得 | 600円 |
郵送受取(オンラインでの取得) | 500円 |
コンビニ交付(マイナンバーカード必須) | 480円 |
一方、印鑑登録証明書は自治体によって異なりますが役所の窓口で取得できますし、コンビニ交付もできます。
取得方法 | 1通あたりの金額 |
---|---|
役所の窓口での取得 | 300円~500円 |
コンビニ交付(マイナンバーカード必須) | 200円~300円 |
自治体によってコンビニ交付を対応していなかったり、発行手数料が異なることがあったりするので、事前に確認したい方は各自治体へ問い合わせしてみてください。
司法書士に支払う費用
司法書士に支払う費用は約2~10万円です。
依頼内容、司法書士事務所、地域などによって金額は大きく異なります。
法定地上権が認められる4つの条件
法定地上権とは上記で説明した通り、抵当権の実行により土地の所有者が変わった場合に、建物の所有者が建物を今まで通りに使用できるよう法律上、守る制度のことです。
抵当権の設定において、法定地上権が認められる条件は以下の4つです。
- 土地に抵当権を設定する際、その土地に建物が存在している
- 土地と建物の所有権が一致していること
- 土地か建物または両方に抵当権が設定されていること
- 競売により土地と建物の所有権が分離していること
この章で詳しく説明していきます。
また、法定地上権の成立要件について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
土地に抵当権を設定する際、その土地に建物が存在している
土地に抵当権を設定する際、その土地の上に既に建物が存在している状況でなければなりません。
土地に抵当権が設定された後に、建設された建物は土地が競売されたとしても法定地上権を行使することはできません。
建物の所有者は建物を解体して、新たな所有者に土地を渡す必要があります。
土地と建物の所有権が一致していること
法定地上権が認められるのは、抵当権の設定時に土地と建物の所有権が一致していることです。
土地と建物の所有者が一致していない場合、地上権や賃借権が設定されているケースが多いです。
土地と建物の所有者が一致していない状況で抵当権が行使されたとしても、法定地上権は生じません。
法定地上権が発生するには抵当権を設定する時に、土地と建物の所有権が一致していることが必要です。
土地か建物または両方に抵当権が設定されていること
法定地上権は、土地か建物または両方に抵当権が設定されていれば成立します。
しかし、国や地方自治体のような公的機関が不動産を売却した場合に土地と建物の所有者が同一人物でなくなったのであれば、抵当権を設定しなくとも法定地上権を使うことができます。
競売により土地と建物の所有権が分離していること
抵当権が設定されていなくても、競売により土地と建物の所有権が分離した場合、法定地上権は成立します。
強制競売を含めて、競売で土地と建物の所有が別々になった場合、抵当権の設定に関わらずに法定地上権を使って、建物の所有者の権利を守ることができます。
建物の所有者は、建物を今まで通りに使用し続ける権利が守られることによって、建物の撤去を求められるリスクや、土地使用ができなくなるリスクを回避できます。
また、土地と建物の名義が違う場合の不動産の売却方法について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
法定地上権が成立した場合の土地の使用料の相場
法定地上権が成立すると、土地の使用者が新しい所有者に土地の使用料を支払う形になります。
法定地上権が成立した場合の土地の使用料の相場は、年間、固定資産税と都市計画税を合計した金額の3~5倍とされています。
あくまで1つの目安なので、明確な基準はなく地域や土地の広さなどによって大きく異なります。
固定資産税と都市計画税を合計した金額が年間10万円の場合、10万円に3~5の数字をかけた金額(30~50万円)が、法定地上権が成立した場合の土地の使用料の相場と推定できます。
土地の使用料の支払い協議が決裂した場合、地代確定請求訴訟
地代確定請求訴訟とは、地主と借地人との間で地代(土地の使用料)について金額の争いが生じた場合、裁判所に適切な金額を決めてもらう訴訟です。
競売による法定地上権が成立した場合、不動産を客観的に適切に評価する専門家である不動産鑑定士が不動産の評価を行います。
その評価に基づいて、裁判所が適切な地代を決めることになります。
法定地上権が認められても明け渡しを請求できる4つの条件
法定地上権が認められても明け渡しを請求できるケースがあります。
法定地上権は建物の所有者の権利を守る法的な制度です。
一般的に、競売により土地の所有者又は建物の所有者が変わった場合、法定地上権を主張することで、建物の所有者が建物を利用できる環境を守ります。
しかし、建物の所有者の権利を守るという法定地上権があったとしても、建物の所有者又は土地の所有者の身体的安全の確保や使用料を受け取ることを守るために明け渡し請求をすることができる条件があります。
法定地上権が認められても、明け渡しを請求できる条件は以下の4つです。
- 合意に基づく法定地上権の解除ができる
- 法定地上権は正当事由があれば更新を拒否できる
- 長期にわたる地代の滞納がある
- 建物が著しく老朽化している
この章で紹介します。
合意に基づく法定地上権の解除ができる
土地の所有者と建物の所有者が合意しているのであれば、法定地上権を解除することができます。
法定地上権の解除以外にも、双方の同意があれば地代などの条件も変更が可能です。
法定地上権は正当事由があれば更新を拒否できる
法定地上権は、正当事由があれば更新を拒否することができます。
法定地上権は強制的に生じるため、法定地上権が成立した際には土地の所有者は建物の所有者に対して法定地上権を認める義務があります。
一般的には法定地上権に関して更新の拒否はできません。
しかし、以下のような「正当事由」が認められたのであれば、更新を拒否することが可能です。
- 借主が賃料を長期間支払っていない
- 借主が契約に反する不適切な行為を繰り返している
- 貸主が自分や家族の居住のために土地や建物を使用したい
- 貸主がその土地や建物を取り壊して新しい建物を建設する必要がある
参照元:e-Gov 法令検索|借地借家法第六条(借地契約の更新拒絶の要件)
法定地上権は建物が存在している限り存続しますが、正当事由が認められた場合には更新を拒否することが可能です。
長期にわたる地代の滞納がある
長期にわたる地代の滞納は、明確な正当事由として法定地上権を拒否する効力を持ちます。
その理由は地代の滞納が土地賃貸借契約における重大な義務違反であり、賃貸借契約の信頼関係を破壊するものと見なされるからです。
賃貸人の権利が優先されるため、長期的な地代の滞納は法定地上権の成立を阻止することができる要素になります。
建物が著しく老朽化している
建物の老朽化が顕著である場合、建物の所有者が管理を怠ったとして明け渡しを請求できます。
以下のような理由は物件の明け渡し請求を求める法的手続きができます。
参照元:建物明渡請求|裁判所
- 老朽化が進行し、建物の倒壊やその他の危険性がある場合
- 建物の管理を怠った結果、建物が著しく老朽化した場合
- 建物が老朽化して著しく使用に耐えなくなり、その建物の利用価値が失われた場合
- 衛生環境が著しく悪化するような状態に陥った場合
上記のような状況では、土地所有者は法的手続きを通じて建物の明け渡しを請求することが可能です。
共有持分の競落時に法定地上権の成立・不成立について
共有持分の競落時に法定地上権が成立するパターンと不成立のパターンがあります。
- 【不成立】建物は単独名義で、土地の共有持分に抵当権が実行された場合
- 【不成立】土地は共有名義で、建物のみに抵当権が実行された場合
- 【成立】建物は共有名義で、土地全体に抵当権が実行された場合
- 【成立】土地は単有名義で、建物の共有持分に抵当権が実行された場合
この章で紹介します。
【不成立】建物は単独名義で、土地の共有持分に抵当権が実行された場合
土地の共有持分の抵当権が実行された際、建物が単独名義の場合、法定地上権は成立しません。
競売にかけられたとしても同様です。
抵当権設定と無関係である土地の共有者対して、法定地上権の優位性を主張することはできません。
よって、抵当権の行使により、単独名義の建物の法定地上権が認められることはありません。
【不成立】土地は共有名義で、建物のみに抵当権が実行された場合
単独名義の建物のみの抵当権が実行された際、土地が共有持分の場合、法定地上権は成立しません。
土地と建物の所有者が異なり、建物一方に抵当権が設定され競売された場合であっても、抵当権設定とは無関係な土地の共有者に法定地上権を主張することはできません。
よって、建物の所有者が新しい第三者になったとしても、土地の所有者に負担を強いることはできないため、法定地上権が認められることはありません。
【成立】建物は共有名義で、土地全体に抵当権が実行された場合
単独名義の土地の抵当権が実行された際、建物が共有持分の場合、法定地上権は成立します。
例えば、建物の共有持分2分の1と単独の土地をAが所有し、もう一方の建物の共有持分2分の1をBが所有している状況で、単独の土地が競売にかけられたとします。
それにより、単独の土地を新たにCが所有した場合、建物の所有者であるAとBに法定地上権が成立します。
土地と建物の所有者が異なる状態では、建物が共有持分だとしても、引き続き使用できる法定地上権が優位に働きます。
抵当権が実行されて土地の所有者が変わった場合でも、建物所有者がその土地を利用する権利を保護する必要があるため、法定地上権が自動的に認められることがあります。
【成立】土地は単有名義で、建物の共有持分に抵当権が実行された場合
建物の共有持分に抵当権が実行された際、土地は単有名義の場合、法定地上権は成立します。
競売により、建物の共有者が第三者に渡った場合、第三者が持つ建物の法定地上権が尊重されます。
例えば、建物の共有持分2分の1と単独の土地をAが所有し、もう一方の建物の共有持分2分の1をBが所有している状況で、建物の共有持分2分の1のAの所有分が競売にかけられたとします。
それにより、単独の土地のみをAが所有し、建物の共有持分2分の1をBと建物の共有持分2分の1を新たにCが所有した場合、Cに法定地上権が成立します。
土地と建物の所有者が異なる状態では、建物の新しい所有者は土地を引き続き使用できる法定地上権が優位に働きます。
買取なら競売のリスクを回避して共有持分を売却できる
共有持分に抵当権設定をすることで金融機関から融資を受けることができますが、返済が滞った場合には競売にかけられます。
不動産を競売にかけられることで、不動産の利用価値が下がることに繋がります。その場合、他の共有者が共有持分を手放すことになったり、所有権を得るために売買契約を締結したりと負担になる可能性もあります。
仮にそのような事態になれば、意見の対立や維持管理費のコストの不公平さ、共有物分割請求による金銭的問題を引き起こすことになります。金額の大きさによっては弁護士や司法書士などの専門家に相談することになり、金銭的負担が積み重なります。
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まとめ
この記事では、共有持分に抵当権設定することに関して手続きの流れや抵当権が行使された場合の法定地上権についてご紹介してきました。
一見、共有持分を担保に金融機関から融資を受ける方法はリスクがないように思えます。
しかし、共有持分は不動産として独立した価値を持つので、設定した抵当権が行使されて競売にかけられた場合、他の共有者が不動産の利用を制限される可能性が出てきます。
それにより、不動産の買取や維持コストの負担が増えること、弁護士に相談などの金銭的負担に通じて、訴訟のような大きな問題に発展する可能性を含みます。
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