テラスハウスとは一戸建てが隣家とつながっている建物
テラスハウスとは、一戸建てが隣家とつながっている建物を指します。
建物の形態としては「長屋」に分類され、各住戸に独立した庭とテラスがついているのが特徴です。
連結している住戸の数によって、二戸一(にこいち)・三戸一(さんこいち)といったように呼び名が変わり、3戸〜5戸が連なるテラスハウスもあります。
一般的な一戸建てと長屋の違いは、隣家と壁がつながっている点です。
それ以外は独立した一戸建てと造りと同じであるため、アパートやマンションなど共同住宅の要素を兼ね備えた戸建住宅と言えます。
この章では、テラスハウスと他の建物の違いについて理解を深めるため、以下の内容についてお伝えします。
- 連棟式建物や長屋との違いはない
- 一戸建てと明確な違いは建物の構造
- タウンハウスとの違いは所有権の在り方
連棟式建物や長屋との違いはない
テラスハウスと、連棟式建物(長屋)との違いはありません。
長屋とは複数の建物がつながった1つの住宅を指します。
マンションのようにエントランスなどはなく、外から各住戸へ直接出入りができる造りになっており、その構造は長屋もテラスハウスも同じです。
ただし、建物の構造に違いはないものの、テラスハウスはイギリス発祥の住宅様式であることもあり、デザイン性の高い外装が多い傾向にあります。
時代劇をイメージさせる日本の長屋と異なり、テラスハウスはレンガ調の外壁や広々とした出窓など、英国風のスタイリッシュな外観の建物が多く、現代風の長屋と言えます。
一戸建てと明確な違いは建物の構造
一戸建てとテラスハウスの明確な違いは建物の構造にあります。
前述したとおり、一戸建てが完全に独立した住宅であるのに対して、テラスハウスは隣家と自宅の壁がつながっています。
壁を隔ててすぐに別の世帯が住んでいる点は、アパートやマンションと同様です。
戸建住宅と似ているのにテラスハウスを選ぶ理由は、建物の建築・購入にかかる費用を安く抑えられるからです。
外壁の面積が少なく、建築の効率が良いことから、一般的なアパートなどに比べて建築にかかる費用が1割程度安くなる傾向にあります。
テラスハウスは「戸建住宅のような開放的な暮らしをしたいけど、初期費用は抑えたい」といった場合に、選ばれる住宅と言えます。
タウンハウスとの違いは所有権の在り方
テラスハウスと似た建築物にタウンハウスがありますが、両者の違いは所有権の在り方です。
テラスハウスは土地を分筆して、各住戸が単独の所有権をそれぞれ持っています。
1つの土地を複数に分けて登記すること
そのため、各住戸に設けられている庭やテラスなどのスペースは、部屋の所有者の持ち物となります。
一方でタウンハウスは、分譲マンションと同じように建物の専有面積に応じた割合の敷地権を所有している住居です。
エントランス・廊下・階段など共用部分が設けられており、建物の住人が共有して使用できます。
両者とも、隣家と壁がつながっている戸建てのような住宅ですが、テラスハウスは戸建て住宅寄り・タウンハウスはマンション寄りの住居と言えます。
テラスハウスが売れない4つの理由
戸建住宅のような自由度を兼ね備えるテラスハウスですが、不動産市場では売れにくい傾向にあります。
隣家と壁がつながっているテラスハウスには、購入や居住においてハードルが生じるからです。
この章では、テラスハウスが売れない理由である以下の4つについて解説します。
- 住宅ローンの審査が通りにくい
- 建て替えが難しい
- 資産価値が低い
- 火災に弱い
住宅ローンの審査が通りにくい
テラスハウスが売れない理由の1つ目は、住宅ローンの審査が通りにくい点が挙げられます。
テラスハウスは戸建て住宅と同様に独立した所有権を持っていますが、隣家と壁や柱はつながっている状態です。
そのため、大掛かりなリフォームや建て替えをする際にはテラスハウスの他の所有者から許可を得なければならず、買い手が付きにくいことが想定され、住宅ローンが通りにくくなるのです。
住宅ローンを組む際は債務者の返済能力以外に、不動産の担保評価も審査対象として見られています。
担保は、金融機関が融資をした債務者が万が一支払えなくなったときに、損害を補うために設定する代替え品のような意味合いで設定されます。
当然ですが、担保に設定する家が売れにくかったり、売却額が安価になりそうだったりして融資額が補えそうになければ、希望融資額は調達できません。
一般的に住宅の購入で、住宅ローンに頼らずキャッシュで購入する人は少数なので、必然的にテラスハウスに手が出せない買い手は多くなるのです。
建て替えが難しい
テラスハウスが売れない理由の2つ目は、建て替えが難しいことです。
前述したように、テラスハウスは共用部分は存在しませんが、各住戸がつながっているため、単独で建て替えるのは難しくなります。
隣接する建物を切り離して建て替える方法もありますが、テラスハウスにおいては以下のような課題が生じます。
- 隣接する近隣住民に許可を取る必要がある
- 施工中の騒音や衝撃などに対するクレームが発生する可能性がある
- 住宅強度が劣化する可能性がある
- 工事によって建築基準法の基準を満たせなくなる可能性がある
この中でも、建築基準法を満たせなくなり、再建築不可物件となるテラスハウスは建て替えができません。
再建築不可物件とは、建て替えができない物件のことで、建築基準法では幅員4m以上の道路に2m以上敷地が接していなければならない接道義務があります。
建物を切り離して解体した場合、2つの建物が接道義務を果たさなければならないので、敷地が道路に4m接道する必要が生じます。
建て替えすることで、自宅や隣家が接道義務を果たせなくなる建物だと、そもそも建築許可がおりず、建て替え不可となるのです。
再建築不可物件の詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。
また、テラスハウスは建設工事をするにあたって重機を使えない可能性があるので、職人の手作業の範囲が増え、必然的に建て替え費用も高くなります。
建て替えにかかる費用が高額だと将来的に家計を圧迫することが懸念されるため、必然的に選ばれにくくなります。
資産価値が低い
テラスハウスが売れない理由の3つ目は、資産価値が低いことです。
テラスハウスは、前述した「建て替えが難しい」ことで買い手からの需要が低く、価格がおよそ20%〜30%程度安くなります。
そのため、いざ生活環境の変化で自宅を売却したいと考えたときに売値が安価になってしまい、住み替えの費用に充てる金額が少なくなってしまうのです。
また、テラスハウスは建て替えができないため、老朽化や損傷によって建物がダメージを負った状態が続くことで劣化を起こしやすく、通常の家よりも資産価値が落ちやすい傾向にあります。
テラスハウスは購入費用の安さは魅力ですが、マイホームとしての価値は低いため、一般の買い手からは選ばれにくいのです。
火災に弱い
テラスハウスが売れない理由の4つ目は、火災に弱いことです。
連棟住宅は完全に独立した建物ではないため、一軒が火災を起こすと必然的に他の建物に火が燃え移りやすくなります。
壁を共有している点はマンションやアパートも同じですが、建築基準法では「共同住宅(アパート・マンション)」と「長屋(テラスハウス)」で分類が異なり、共同住宅のほうが規制が厳しいです。
たとえば、共同住宅が満たすべき要件の1つには「耐火性基準」があり、耐火構造で建築されたり、防火設備が備えられていたりするので、アパートやマンションは火災が起きても大事故につながりにくい構造にされています。
一方で、テラスハウスには火災に備えた規制がないため、建物の構造上、発火した際に燃え広がる可能性が高いのです。
全国では年間36,375 件にもおよぶ火災が発生しており、1日あたり100件・14分ごとに1件どこかで火事が起きている計算になります。
参照元:総務省消防庁|令和4年(1月~12月)における火災の概要(概数)について
これほど全国的に火災が頻発していれば、必然的に耐火性が十分ではないテラスハウスは売れにくくなると言えます。
売れないテラスハウスを売れやすくする5つの方法
テラスハウスは特殊な構造であることから、マイホームを想定して家探しをする買い手からは敬遠されがちです。
しかし、所有者の工夫次第でテラスハウスを売却しやすい状態にすることはできます。
この章では、売れないテラスハウスを売れやすくする方法である、以下の5つについてお伝えします。
- 隣家を買い取って所有権を一つまとめてから売る
- 隣家と同時に売却する
- 切り離し解体を行ってから売却する
- 賃貸物件として売却する
- 専門の買取業者に買い取ってもらう
隣家を買い取って所有権を一つにまとめてから売る
隣家を買い取って所有権を一つにまとめて売り出すと、売却が決まりやすくなります。
テラスハウスの所有権が一つにまとまっていれば、隣家とトラブルが生じる懸念がなくなり、活用の用途が広がるからです。
たとえば、隣家を買い取れば以下のような選択肢が生まれます。
- 店舗付き物件として個人経営者に賃貸・売却する
- 民泊用の物件として宿泊者に貸し出す
- 更地にして土地として売却する
このように選択肢が広がると、売却方法にバリエーションが持たせられるので売れやすくなります。
ただし、隣家を買い取れるだけの自己資金がなければ実行できず、現実的な方法ではありません。
また、戸建て住宅やマンションの一室などは一般の買い手もターゲットになりますが、建物を丸ごと購入する人は不動産投資家に限定されます。
不動産市場の多くを閉めるのは一般の買い手なので、通常の家よりターゲットの範囲が狭くなり、買い手は見つかりにくくなります。
隣家と同時に売却する
隣家を買い取るパターンと似ていますが、ほかの隣家に声をかけて一斉に売却する方法もあります。
住戸単体では売却が難しいという悩みは隣家も持っているはずです。
そのため、隣家も売却を検討しているのであれば話を持ちかけるのも有効な施策です。
隣家とセットで売却ができれば、所有者が異なっていても、テラスハウスの資産価値は上げられるので買い手は見つかりやすくなります。
ただし、あくまで隣人の同意が必要な方法です。
自分と同じタイミングで家を売りたいと考えているケースは稀であるため、現実的な手段ではありません。
切り離し解体を行ってから売却する
テラスハウスに切り離し解体を行ってから売却する方法もあります。
隣接する壁を切り離して建物が独立すれば、隣家関係のデメリットが払拭できるので購入希望者が見つかりやすくなります。
ただし、切り離し解体を行うには隣家との壁や柱を切断する工事が必要です。
連結しているこれらの部分は建物の共用部分であり、各住戸の5分の4以上の賛成がなければ建物の取り壊しなどを行なってはならないと区分所有法第62条によって定められています。
そのため、テラスハウスの所有者全員の「切り離し同意書」「印鑑証明書」をもらう必要があり、誰か一人でも同意しない区分所有者がいると切り離し解体は実行できません。
また、切り離し解体にかかる工事費用も必要です。
テラスハウスの工事は他の住宅へのダメージを考慮しなくてはならず、重機を使用せずに職人による手壊し解体をするケースがほとんどです。
解体費用の相場はテラスハウスの造りにもよりますが、おおむね100万円〜200万円程度かかります。
1つの方法としては成立しますが、切り離し解体を行ってから売却するのは実現のハードルがもっとも高い手段と言えます。
賃貸物件として売却する
賃借人をつけて、オーナーチェンジ物件として売る方法も1つの手段です。
オーナーチェンジ物件とは、不動産を運用して収益化する「投資用物件」のことで、客付けをした状態で売り出すことを言います。
客付けができていれば、買い手となる不動産投資家が入居者募集にかける手間がなくなるため、売却しやすくなります。
ただし、投資物件にすると、居住用物件で売り出すより売却価格が下がる傾向があります。
なぜなら、不動産投資家は「その不動産が将来どれぐらい稼げそうか?」を表す指標である「利回り」で購入判断をするからです。
利回りの計算式は以下のとおりです。
たとえば、通常であれば2,000万円で売却できる住宅があったとします。
この住宅を賃料7万円で貸しており、相場である2,000万で売却する場合、利回りは以下のようになります。
利回りが4.2%と算出できました。
一般的に不動産投資家への売却は、物件の利回りが5%〜7%以上ないと厳しいため、売却価格を利回りに合わせる必要があります。
利回りが5%〜7%に合わせた場合の売却価格は以下のとおりです。
利回り | 5% | 6% | 7% |
---|---|---|---|
売却価格 | 1,700万円 | 1,400万円 | 1,200万円 |
このように、居住用物件であれば2,000万円程度で売却できる住宅が、オーナーチェンジ物件では数百万円値下げして売却することになります。
賃貸物件として売却する方法は売れやすくはなりますが、安価な売値となるのは避けられないでしょう。
専門の買取業者に買い取ってもらう
売れないテラスハウスを売却するのであれば、専門の買取業者に買い取ってもらう方法がもっともおすすめです。
専門の買取業者であれば、他の方法のように売れやすくするための手間や費用をかけずに、そのままの状態で買い取ってもらえるからです。
専門の買取業者に売却することで、具体的にどのようなメリットが得られるのか、以下の順番で解説します。
- 隣人との交渉が不要
- 切り離し費用やリフォーム費用などがかからない
- 適正価格で買い取ってくれる
隣人との交渉が不要
専門の買取業者であれば、隣人との交渉が不要です。
なぜなら、専門の買取業者は不動産を買い取った後に、損傷があればリフォームする・隣人トラブルがあれば解決する、といったように、売れやすい状態へと再生させて再販するプロだからです。
そのため、前述したような「隣家を買い取る」「隣家と同時に売る」のように、売れやすくするためにテラスハウスの所有者が直接隣人と交渉する必要がありません。
上記のようにお金が絡む交渉は隣家とのトラブルに発展しやすい傾向にあります。交渉に自信がない場合には、専門の買取業者への売却がおすすめです。
切り離し費用やリフォーム費用などがかからない
専門の買取業者に売却する場合、切り離し費用やリフォーム費用など、売主が負担する必要がありません。
前述したように、建物が抱えるトラブルはすべて専門の買取業者が解決してくれるからです。
そのため、売れやすくするために数百万円の工事費用をかけて自身の家計を圧迫させた挙げ句売れ残る心配がありません。
住みたくもないテラスハウスに住み続けて、さらに固定資産税を払い続けるという悲しい末路をたどらなくて済むのです。
売主は必要書類を揃える程度の手間と費用しかかからないので、スムーズに売却したい人は専門の買取業者へ依頼するべきでしょう。
適正価格で買い取ってくれる
テラスハウスのような訳あり物件を専門に扱う買取業者であれば、一般の買取業者よりも高値で買い取ってもらえます。
訳あり不動産を取り扱う買取業者は、最低限のコストで最大限の効果を得られるリフォームの方法など、再生ノウハウが豊富に蓄積されているからです。
たとえば、「修繕しない箇所」を見極めて、必要な箇所には販売戦略に見合ったグレードの建材をチョイスするなど、買い取った物件のお金をかけるべき箇所を的確に判断して再生技術を施します。
当然、お金をかけなくてよい箇所がある分、浮いたお金を還元できるので、売主の買取価格に上乗せができるのです。
弊社AlbaLink(アルバリンク)も、適正価格で買い取る訳あり物件専門の買取業者です。
テラスハウスをはじめ、市場で売れにくい不動産を数多く買い取っており、お客様からも多くの感謝の声を頂戴しております。
売主様とWin-Winの関係が築けるよう、なるべく高く買い取れるよう努力いたしますので、ぜひ一度お問い合わせください。
無料相談・無料査定のお問い合わせも大歓迎です。
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まとめ
本記事では、テラスハウスの概要や売れない理由について解説しました。
テラスハウスは、通常の住宅と比べて売れにくい傾向にあります。
戸建住宅に住むような開放感を抱ける反面、住宅ローンが通りづらく、建て替えが難しいなど、連棟住宅特有のさまざまな住みづらさが付帯するからです。
テラスハウスがなかなか売れずにお困りの方は、専門の買取業者への売却をおすすめします。
専門の買取業者であれば、一般的に人気がないとされる不動産も確実に&高額で売却できるからです。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国の売れにくい不動産を取り扱っている専門の買取業者です。
空き家・共有名義・事故物件など、売れない代表格の不動産を年間600件以上(※)買い取っている実績があります。
※2023年1月1日~2023年10月25日現在の実績:相談/5,555件:買取/600件
実際に、フジテレビの「イット」で、売れにくい代表格である「空き家」を買取・再生する買取業者として紹介されました。
「テラスハウスを早く売りたい。でも安く手放したくない」とお考えの方は、ぜひ弊社にご連絡ください。もちろん、無料査定・無料相談のみのお問い合わせも大歓迎です。