底地の概要を解説
そもそも底地と通常の土地とはいったいどのような点が異なるのでしょうか。
そこでまずは、底地の概要について解説します。
底地とは?
底地とは「借地権」が設定された土地のことです。
借地権は「土地上に建物を建てて利用できる権利」のことで、土地を借りている借地人は地主に一定の地代などを支払うことで底地を自由に利用できます。
また、建物の増改築などをおこなう際にも承諾料の名目で費用を支払う必要があります。
地主にとって、借地人に底地を貸すことで地代や承諾料などの安定した収益を得られる点はメリットといえるでしょう。
ただし、底地を利用できるのは借りている借地人のみであり、所有者である地主自身は土地活用をおこなえません。
また、原則として借地人が賃貸借契約の更新を望む限りは断れないため、土地が半永久的に戻ってこない可能性がある点はデメリットといえます。
また、底地の所有者である地主は毎年土地にかかる固定資産税も納める必要もあります。
なお、底地は借地人側の視点から見たときには「借地」と呼ばれます。
呼び方は異なりますが、底地と借地とはどちらも同じ土地を指します。
底地・借地の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
底地の買取価格の計算方法【事例付き】
底地の売却を検討する際にもっとも気になるのは、「はたしていくらで売れるのか」ではないでしょうか。
底地の評価額は、相続税などのベースとなる路線価を用いて土地全体の金額(更地価格)を算出してから借地の金額を差し引くことで求められます。
国税庁が毎年7月1日に公表している、その年の1月1日時点における道路に面した1㎡あたりの宅地の価格。国税庁のサイト「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」で確認できる
ただし路線価は実勢価格(実際に市場で取引される価格)の8割ほどに設定されているため、最後に0.8で割り戻す必要があります。
ここからは、具体的な底地価格の計算方法について順を追って解説します。
手順1 土地の更地価格を求める
まずは、底地全体の更地価格を以下の計算式で求めます。
たとえば路線価が10万円、土地面積が100㎡のときの底地全体の更地価格は以下のとおりです。
底地全体の更地価格=10万円×100㎡=1,000万円
路線価図の見方
路線価は、前述のように国税庁のサイト「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」で確認が可能です。
路線価を調べたい都道府県、市区町村、町名を順にクリックしていくと、以下のように該当の路線価図が表示されます。
参照元:国税庁「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」
路線価図を見ると、道路上に数字とアルファベットの表記が記載されていることに気がつくでしょう。
この数字が路線価であり、1,000円単位で記載されています。
たとえば「550」と記載されている場合、その道路に面している宅地の1㎡あたりの価格は55万円ということです。
また、該当の路線価が反映される範囲は「←→」によって示されています。
一方、数字の隣に表記されているアルファベットは借地権割合を示しています。
その土地の評価額のうち、借地権がどのくらいの割合を占めるかを数値で表したもの
借地権割合の数値は、アルファベットによって以下のように異なります。
記号 | 借地権割合 |
---|---|
A | 90% |
B | 80% |
C | 70% |
D | 60% |
E | 50% |
F | 40% |
G | 30% |
借地権割合は手順2の計算時に用いるので、路線価と合わせてチェックしておきましょう。
手順2 更地価格から借地権割合を差し引き底地評価額を求める
手順2で底地全体の更地価格を求めたら、そこから借地権割合を差し引いて底地の評価額を算出します。
前述のように地域ごとに借地権と底地の割合が細かく設定されているため、底地全体の更地価格から借地権割合分の価格を差し引くことで、底地のみの評価額を把握できます。
計算式では次のように表されます。
たとえば路線価が10万円、土地面積が100㎡、借地権割合が40%のときの底地の評価額は以下のとおりです。
底地全体の更地価格= 10万円×100㎡=1,000万円「底地の評価額=更地価格×(100%-借地権割合)」の計算式より、
底地の評価額=1,000万円×(100%-40%)=600万円
手順3 底地評価額を0.8で割り戻す
手順2までの計算で求めた底地の価格は、あくまでも相続税などを算出する際に用いられる税法上の評価額に過ぎません。
そのため、実際に底地が取引される際の価格とはズレが生じる点に注意が必要です。
路線価は実勢価格の8割ほどに設定されているため、底地の評価額を0.8で割り戻すことで底地の実勢価格を求めることが可能です。
計算式で表すと、次のとおりです。
手順2までの計算で求めてきたように、路線価が10万円、土地面積が100㎡、借地権割合が40%のときの底地の評価額は600万円でした。
この評価額を実勢価格に換算すると、以下のとおりです。
底地の実勢価格=600万円÷0.8=750万円
底地の取引価格は売却相手によって異なる
ここまで、底地価格の計算方法について紹介してきました。
底地は「土地の所有権自体は有しているものの、実際に地主が土地を利用できない」という特性を持っていることから、売却相手によって取引価格は大きく異なるのが現状です。
そこでここからは、以下3つのケースにおける底地の取引価格について具体的に解説します。
底地の売却先別の買取価格については、以下の記事でも詳しく解説しています。
第三者に底地を売却する場合
第三者に底地を売却する場合は、前述の「底地の価格計算方法【事例付き】」の項目で求めた底地価格の半額程度になる傾向にあります。
底地を購入しても地主自身が使用できるわけではないためです。
また、底地を借りている借地人の権利は借地借家法という法律で強く守られているため、土地を返してほしいと考えても基本的には難しいといわざるを得ません。
そのため、底地の購入者層は底地から得られる地代や承諾料などの収益を目当てとしている投資家や不動産買取業者などに限られてしまいます。
自分の家を建てるために土地を買いたいと考えている一般の方は、まず底地を購入しようとは考えません。
底地を売却したいと考えても実勢価格どおりの金額でほしいと思う買手は現れないため、価格を半額に下げざるを得ないというわけです。
たとえば底地の実勢価格が750万円だった場合は、以下の金額にまで売り出し価格を下げなければ買手を見つけるのは難しいでしょう。
第三者に底地を売却する際の価格=750万円×0.5=375万円
地代によって底地の取引価格は左右される
なお、前述のように底地の購入者は地代などの収益を目的としているため、底地の取引価格は現状の地代によっても大きく左右されます。
周辺の相場と比べて地代を高く設定している場合はその分収益性が高いため、売却金額も高くなる傾向にあります。
底地を売却する際は、地代をいくらで設定しているのかを改めて確認しておきましょう。
一方、得られる地代が安く、購入者から収益性に欠けると判断された場合には売れ残ってしまうことも覚悟しなければなりません。
借地人に底地を売却する場合
底地をもっとも高く売却できる可能性のある相手は、ほかでもない借地人です。
借地人は、底地を利用するにあたって地主へ地代を支払う義務を負います。
また、建て替えや増改築をする際には地主の承諾が必要であり、承諾料も支払わなければなりません。
しかし底地を購入すれば完全所有権の土地を手に入れられるため、地主の顔色をうかがうことなく、自由な土地活用が可能となります。
取引価格は交渉によって異なるので一概にはいえませんが、底地を購入することで借地人が得られるメリットは大きいため、上記の計算で求めた底地価格とほぼ同額で売却できる見込みがあります。
これを「限定価格」といいます。
限定価格については次の見出しで詳しく解説します。
しかし、底地を借地人に売却するにあたっては交渉が不可欠です。日頃の借地人との関係性が悪かったり、借地人に底地を買い取る経済力がなかったりするなどの場合には売却は難しいでしょう。
限定価格とは
限定価格とは、限定された市場において特定の当事者間でのみ成立する価格のことです。
借地人が底地を購入する、宅地を広げたいと考えている方が隣接した不動産を購入するなど、購入者がその不動産を購入することで特別な利益を得られる場合には、当事者間の話し合いによって適正価格を決められます。
限定価格の対義語は、市場価格です。
市場価格は不動産市場に不動産を売り出した際に利害関係のない第三者との間に成立する金額を指します。
限定価格とは異なり売主と買主との間に特別な事情は存在しないため、双方が売却金額に合意したら取引が成立します。
底地専門の不動産買取業者に売却する場合
じつは不動産業者のなかには、底地のような特殊な不動産の買取を専門としているところも存在します。
前述のように、底地を第三者に売却しようとしてもほぼ一般の買手は見つかりませんし、売れたとしても実勢価格の半分ほどの金額にしかなりません。
しかし底地を専門に取り扱っている買取業者であれば、第三者に売却するよりも高値で買い取ってもらえることがあります。
買取業者は買い取った底地をさまざまな方法で活用して収益を上げるノウハウを有しているからです。
たとえば底地を買い取ったあとに借地人と良好な関係を築いて底地と借地権を同時に売却したり、借地権を買い上げて完全所有権の土地として売却したりなどです。
そのため、もし借地人に底地の売却を打診して断られてしまった場合には、専門の買取業者に売却を依頼することをおすすめします。
弊社AlbaLink(アルバリンク)でも底地を積極的に買い取っております。
「底地をいますぐに手放したい」方は、ぜひ弊社にお任せください。
また、「まだ売却するかどうかは決めていないが、底地をいくらで買い取ってもらえるのかが知りたい」方は、弊社の無料査定をご利用ください。
査定後に無理な営業をかけることはございません。
他社の買取価格と比較したうえで、ご検討いただければ幸いです。
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底地の売却方法については以下の記事でも詳しく解説しています。
路線価以外にも底地の取引価格を算出する方法はある
ここまで路線価を利用して底地の取引価格を算出する方法をご紹介しましたが、以下2つの方法でも取引価格の算出が可能です。
主に不動産会社が査定価格を算出する際に用いる方法です。
しかし、いずれの計算方法も複雑であり、不動産に詳しくない方が正確な価格を算出するのは難しいため、底地の価格を知りたい場合には後述の「底地の取引価格は専門の不動産業者に査定してもらうのが正確」でも解説するように、不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。
ここでは、「取引事例比較法」と「収益還元法」の概要について解説します。
不動産会社がどのように査定をおこなっているのか、知識として押さえておくとよいでしょう。
取引事例比較法
取引事例比較法とは、売却を希望する不動産と条件が似ている成約事例を参考にして査定価格を算出する方法です。
取引事例比較法で求められた査定価格を「比準価格」と呼びます。
取引事例比較法では、対象物件の周辺における成約事例が多いほど、より適正な比準価格を出せます。
ただし、物件ごとに駅からの距離などの「地域要因」、日当たりや接道状況などの「個別的要因」は異なるため、適正な比準価格を算出するには「事情補正」をおこなわなければなりません。
対象物件ごとの事情に応じて価格調整をおこなうこと
また、不動産取引は市場動向の影響を大きく受けることから、過去の成約事例の価格を現時点における価格に修正する必要もあります。
取引事例比較法は対象物件と比較する成約事例が少ないと適正価格の算出が困難なため、都心部など需要の高いエリアに立地する物件の査定価格を割り出すのに向いた査定方法といえます。
ただし、不動産会社によって対象不動産と比較する物件が異なるため、査定価格に差が生じる点には注意が必要です。
収益還元法
収益還元法とは対象不動産の将来的な収益から現在の価値を導き出す査定方法で、主に投資用不動産の査定に用いられます。
収益還元法には、「DCF(ディスカウントキャッシュフロー)法」と「直接還元法」の2種類があります。
DCF法は所有している期間内に得られる収益と、売却時の予想価格を現在の価値に割り引いた金額とを合計して査定価格を割り出すものです。
一方、直接還元法は対象不動産の1年間の収益を近隣の類似物件の還元利回り(不動産から得られる利益の目安)で割って査定価格を算出する方法です。
投資用不動産の査定には一般的に直接還元法が用いられますが、いずれの方法でも不動産に詳しくない方が計算するのは難しいといわざるを得ません。
底地の取引価格は専門の不動産業者に査定してもらうのが正確
ここまで、底地の取引価格の求め方についてご紹介してきました。
しかし、路線価を用いて算出する底地の取引価格はあくまでも机上の計算に過ぎません。
実際には立地条件や地代の金額など多くの要因の影響を受けて変動するため、必ずしも計算で求められた金額で売却できるわけではない点に注意が必要です。
そのため、所有している底地の正確な価格が知りたい場合は、不動産業者の査定を利用するとよいでしょう。
不動産業者は営業活動の一環として査定をおこなっているため、査定料金は無料です。
ただし、不動産業者のなかには底地のように権利関係が複雑な土地を扱っていないところもあります。
底地の査定を依頼する際には、底地の取り扱い実績が豊富な不動産業者であるか確かめて、より正確な査定金額を提示してもらいましょう。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、底地の買取に特化した専門の不動産買取業者です。
底地の買取実績と買い取った底地を活用するノウハウが豊富な点が特徴であり、原則としてどのような底地であっても買取が可能です。
こういったノウハウ・実績により、より高額の買取価格をご提示できるため、底地の売却にお困りの際はぜひ弊社の無料査定をご利用ください。
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弊社Albalinkの底地・借地の買取事例
ここまで底地の売却相場などについてお伝えしてきました。
そこでこの章では、弊社Albalinkを例にとり、実際の底地・借地の買取事例を紹介します。
弊社Albalinkは訳アリ物件専門の買取業者として、地主と借地人がトラブルになっているなど、他社では断られるような底地・借地を多数買い取ってきました。
たとえば、弊社では以下のような借地を190万円で買い取った実績もあります。
築年数 | 54年 |
---|---|
物件の所在地 | 東京都荒川区 |
借地の状況 | ・10坪ほどの土地に木造2階建の戸建が建っている ・建築基準法を満たしておらず再建築できない土地 |
借地売却に関する地主様の要望 | ・売却を承諾するための費用(譲渡承諾料)を更地価格の10%とする ・借地の更新料を更地価格の8%~10%とする ・宅建業者が買い取った場合、転売時に承諾料を支払うこととする など |
買取価格 | 190万円 |
買取時期 | 2023年8月 |
上記の「借地売却に関する地主様の要望」を見て頂けばわかるように、この借地は売却に関する地主様の要望が厳しく、依頼主様(借地人)は他社では買取を断られてしまったようです。
このように、再建築もできず、権利関係の調整が必要な借地を、弊社が190万円で買い取れる理由は以下の2つです。
- 土地の利権に強い弁護士と提携しており、利権問題を解決した上で運用・再販できるため
- 底地・借地の再販先が豊富であり、買取に際して費用がかかっても(承諾料など)利益を生み出せるため
実際、弊社は底地・借地をはじめ、訳あり不動産の買取実績が600件以上(2023年1月〜10月時点)あり、これまで買取をおこなったお客様からも「買い取ってもらえてホッとした」「早く依頼すればよかった」といった好意的な評価を多数いただいております。
また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。
底地・借地を手間や費用をかけることなく、なるべく高値で売却したい方は、ぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください(査定依頼をしたことが、借地人or地主 に知られることはありませんので、ご安心ください)。
底地の地代相場はいくらになるのか?
前述のように、底地の売却価格を算出するうえで大切となる要素のひとつが「地代」です。
地代が高ければより高値で売却できる可能性がありますが、いったいいくらが適正なのかがわからない方もいるでしょう。
一般に、地代は以下の計算式で算出します。
たとえば路線価が10万円、土地面積が100㎡、借地権割合が40%のときの地代の目安は以下のとおりです。
底地全体の更地価格=10万円×100㎡=1,000万円「地代=更地価格×(100%-借地権割合)×6%」の計算式より、
地代=1,000万円×(100%-40%)×6%=36万円
つまり上記の事例では、底地を所有すると年間36万円の地代収入を得られるということです。
そのほか、固定資産税と都市計画税の合計額を3~5倍する、近隣の地代と比較して設定するなど、地代の計算方法はさまざまであり、どれが正解とは一概には言い切れません。
そのため正確な地代を知りたい場合も、不動産のプロである不動産業者に相談するとよいでしょう。
底地の地代の計算方法についてさらに詳しく知りたい方は、以下記事も合わせてご参照ください。
まとめ
借地人に貸している底地の取引価格は、土地の更地価格から借地権割合分の金額を差し引き、さらに実勢価格に割り戻すことで求められます。
ただし底地には通常の土地とは異なり「地主が利用できない」という制限があるため、買主が一般の第三者の場合は底地価格の半額以下でしか売却できないでしょう。
底地を購入することでもっとも大きなメリットのある借地人に売却する場合は適正な底地価格で売却できますが、借地人に購入したいという考えがない限り、売却することは難しいといわざるを得ません。
もし借地人への売却が難しく、底地を少しでも高く売りたいのであれば、底地を専門に取り扱っている買取業者に売却することをおすすめします。
専門の買取業者であれば、適正な価格で底地を買い取ってくれます。平均1か月程度で現金化も可能なため、いますぐ底地を手放したい方に向いた売却方法です。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は2011年の創業以来、底地をはじめ、一般の買手が見つかりにくいような不動産を積極的に買い取ってまいりました。
創業以来着実に培ってきた不動産活用ノウハウがあるため、より高額での買取も可能です。
底地を売却できずにお困りの方は、ぜひ弊社へお気軽にお問い合わせください。
底地の売買に長けた専門の営業担当者が、売却を一からサポートいたします。